「ヤンデレなんて無い」 作:マロニー
提督(さて、目的地には着いたが…
よし、あの娘は居るな。先に執務室に行かれてなくてよかった)
提督「…やあ、イムヤ」
伊168「あ、司令官!
わざわざ迎えに来てくれたの?」
提督「…やあ、お疲れ様。丁度ここらに来たからな。折角だからこっちに来たのさ」
伊168「…嘘つき」
提督「…え?」ドキッ
伊168「本当は私達を…私を気遣ってこっちに来てくれたんでしょ?気を使って嘘までついて…」
提督(…何だ、そういう事か)ホッ
提督「…遠征で疲れてるかなと思ってな。逆に怪しませてしまったか?」
伊168「ううん、ありがとう、司令官。
司令官のそういう所大好きよ」
ギュッ
提督「…急に抱きつくな」
伊168「いいじゃない、それ位」
提督「ああ、いや、まあ…」
伊168「……?」
伊168「…何かやましい事でもあるの?」
提督「!いや、そんな事は…!」
伊168「…そういえば随分と身体に他の女の子の匂いが染み付いてるもんね?その割には服はかなり真新しいみたいだし。」
伊168「ひょっとしてわざわざ迎えに来てくれたのも執務室に入れたく無かったから?入られると都合が悪いから?服を着替えるような事をしてて、部屋に入れたくなかったから?」
提督「ッ!?ち、違う!!」
伊168「大丈夫よ、司令官が自分からそういう事をシただなんて思って無いから。
無理やりさせられたんでしょ?大丈夫、そんな子は私が居なくならせるから。
えっと、今日の秘書艦は…」
提督「やめろ、イムヤ!
違う、服を着替えたのはただイタズラで服が汚れてしまっただけであって…!」
伊168「イタズラ?そんな事されたの?
それも、着替えなきゃいけないくらいに服が汚されるような?」
提督「……!(…馬鹿か、俺は!)」
伊168「イタズラっていうと…やっぱりあの子だよね?…ごめんね、前忠告しておいたんだけど…そしたら『他の皆がやっても許されない。あれはうーちゃんだけの特権』なんてよく解らない事言われて誤魔化されちゃって…」
伊168「ごめんね、あの時私がもっとちゃんとしておけば良かった…ねえ、今からでも大丈夫?」
提督「ま、待て!やめろ!!」
伊168「…私を気遣ってくれてるの?大丈夫よ、私疲れてなんてないから。」
提督「違う、やめろと言っているんだ!」
伊168「それに、司令官の為なら私いつでも、何でもできるわ。だから…」
提督「…イムヤ、頼む…!」
伊168「…」
提督「…この鎮守府に居る皆は、全員が全員、掛け替えのない仲間なんだ。誰かが欠けてしまったら悲しいだろう…!?」
伊168「司令官に迷惑をかける娘なんて要らない」
提督「…!!…頼む、イムヤ。俺に出来る事なら何でもする。だから…」
伊168「…司令官は優しいね。
イムヤ以外の子にも気を掛けてあげてて」
伊168「…分かったわ、司令官。私、何もしないわ。困らせちゃって、ごめんね?」
提督「…! 分かってくれたか…!」
伊168「うん。…ただ…」
カチッ
『俺に出来ることなら何でもするから…』
提督「……!?(録音機!?)」
伊168「ふふっ。せっかくだし、言った通りに何かしてもらっちゃおうかな」
提督(…!こいつ、まさか!)
提督「まさかお前…!俺の言質を得る為に…!」
伊168「…ねえ、司令官?
司令官は嘘を吐かないよね?」
提督「なッ!それは…!」
伊168「本当に何でもしてくれるんだよね?」
提督「……ッ!」
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提督「……」
提督(結局、あの後、イムヤは『お願いをちゃんと考えてきてからおねだりする』との事で、何とか無事にいるが…)
提督(…録音機はイムヤの手の中にある。
そしてアレがある限り俺は逆らえん。反故にしようとしても、逆上してしまう可能性があるからな)
提督(…正に、『詰み』だな)
提督「…とりあえず、イムヤはまた遠征に出しておこう」
提督(…全く。次、帰ってきた時が楽しみでしょうがないな…)
提督(…嗚呼、頭も痛い)