「ヤンデレなんて無い」   作:マロニー

6 / 9
夕暮れ、食堂

 

 

 

提督(…っと、もうこんな時間か。

昼食を取り損ねてしまったな)

 

 

提督(しょうがない、遅めの昼食、早めの晩飯といこうか)

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

提督(ようやく一息、か)

 

 

 

「ねえ、相席いい?」

 

 

提督「ああ、どうぞ」

 

 

「ん、ありがと。じゃ遠慮なく」

 

 

提督「…やあ北上。

結構久しぶりだな?」

 

 

北上「うん、久し振り。

…相変わらず凄い顔してるね」

 

 

提督「…そうか?」

 

 

北上「そうだよ。ていうか、隈とか表情云々の前に、まず顔色が悪いもん」

 

 

提督「…さっき、ちょっとした修羅場をくぐってきてな」

 

 

北上「修羅場ってそんな『ちょっと』でくぐるようなもんだっけ?ほんと、提督も大変だねー」

 

 

提督「はは、ありがとう…」

 

 

北上「最近やばいもんねー、ウチ…

ちょっと前までそんな事は無かったのにね」

 

 

北上「…いっそ逃げちゃおうか?」

 

 

提督「それは絶対に有り得ないな」

 

 

北上「あー…暴走されたら困るから?」

 

 

提督「…それもあるが。

俺は『提督』なんだ。それをほっぽり出して何処かに行く訳には行かないだろう」

 

 

提督「…こんな白い顔をしておいて何をと思われるかもしれないが…これでも一応、使命感ってものがあるんだ」

 

 

北上「…ま、そう言うんならいいけどさ。

無理だけはしないでよ?」

 

 

提督「言われずもがな、さ。…おっと、時間が経つのは早いな。申し訳無いが、話すのはまた今度だ」

 

 

北上「ん、わかった。じゃあね。何か手に負えなくなっちゃったら、何か相談してね」

 

 

提督「ああ、ありがとう北上。それじゃあ」

 

 

 

スタスタ…

 

 

 

北上「…別に礼なんて言わなくて良いよ」ボソッ

 

 

 

北上(…今の提督はまともに話し合える人を必要としている。誰かに話していないと心の限界が近くなっちゃうし、でも、他の人には相談できない)

 

 

北上(なら、少しでも分別が残ってる私が提督の話を聞いてあげないと、ね。)

 

 

北上(…何てのは建前で。

本当は、こうやって親身になって話を聞いてくれれば提督が私の事良く思ってくれないかなーって下心からの行動なんだけどね。

 

 

北上(…実際、変にアプローチとるよりもそっちの方が提督からのウケもいいだろうし。だからほんと、礼を言われるような事じゃないよ)

 

 

北上(…逃げちゃおうってのは結構本気だったんだけどな。でも、提督があんなに強い意志を持って言ってるんだし、無理強いするわけにもいかないしなぁ。)

 

 

北上(…でもさ。私、もし…提督に何かが。『あの時無理矢理にでも逃がしとけばよかった』なんて思うような事があったら…)

 

 

北上「……」

 

 

北上(…できたら、ここの仲間を殺したくは無いんだけどなー)

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

提督(北上は殆ど唯一まともに、気兼ねなく話しができる娘だ。どうやら俺の事をただ同僚と見てくれているらしい)

 

 

提督(…偶に、ゾッとするような怖い顔をする時があるが、それさえ除けば彼女になんらかの警戒をする必要も無いくらいだ。)

 

 

提督(さあ、執務室に戻り、少しだけ仕事をしたら今日一日がようやく終わる。それまでに何事も起こらなければいいのだが…)

 

 

 

「提督」

 

 

 

提督(……何事も起こらなければ良かったのだが)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。