「ヤンデレなんて無い」 作:マロニー
提督「…やあ、さっきぶりだな?グラーフ」
Graf Zeppelin(以下グラーフ)「ん、先程食堂に居たのを分かっていたのか」
提督「…ああまで視線を向けられれば誰でも気づくよ…」
グラーフ「?そんなに見ていたかな」
提督「…そんなに、だ。見るというよりは監視に近かったと思うくらいにはな」
グラーフ「そこまで言われるのは心外だな。
私だって、アトミラールに危害を加えたりだとか、気を散らそうだとか思ってやったことでは無いんだ」
提督「…そう、か」
グラーフ「ああ、むしろその逆だ。私はアトミラールの事を見守っていたんだ」
提督「見守っていた、ねぇ…」
グラーフ「勿論、今さっきだけじゃなくずっとアトミラールの事を陰ながら見守ってきたぞ?今日もアトミラールのベッドの下で侵入者が来ないか見張っていたんだ。残念ながらアトミラールは気がついていなかったようだが」
提督「…!ベッドの下に居た、のか…」
グラーフ「ああ。アトミラールの周りには貴方を想う余り、常軌を逸した行動を起こしているような者も多いからな。これくらいはしないとアトミラールを守れないと思っての行動だ。実際、こうしていてもアトミラールが雷に拉致される事を阻止できなかった」
グラーフ「アトミラールが何かを恐れる様に部屋を出て行かなければ私が守る事が出来たと思うのだが…ああ、いや分かっている、アトミラールはそういった拉致等を恐怖した故に夜中、目を覚ましてしまったのだろう?そのせいで外出して攫われてしまったのだろう?」
提督「…どこかにある誰かの気配が恐ろしくってな」
グラーフ「そうか。ふむ、やはり以前からも思っていたように私がアトミラールの側に居ない時やアトミラールを見張れない時というのはどうしてもある。そしてそういった時にアトミラールが危害を加えられてしまったら今回の如くどうしようもない。駆除はアトミラールに禁止されてしまっているから、元を断つことも出来ない」
グラーフ「そこでだ。最近それに対する対処法を思いついたのだ。なあアトミラール、ここは一つ、私とケッコンしないか?そうすれば不貞な輩が近づく事も無いだろう」
提督「お、おい、グラーフ…」
グラーフ「心配してくれるのか?それなら大丈夫、私はアトミラールの事が大好きだからな。アトミラールも私の事が好きだろう?それなら問題は無いさ」
提督「…その。うっかり指輪を紛失してしまってな。だからケッコンは…」
グラーフ「それも大丈夫、指輪ならば以前にアトミラールの部屋の片隅に隠されてる様に置いてあるのを私が見つけておいた」
グラーフ「…に、しても。うっかり者だな、アトミラールは。そんな大切な物はもっと大切に保管しておかないといけないぞ?」
グラーフ「まあこれからは私とずっといる事になるのだ、もうそれを気にする必要も無い。これからは24時間365日ずっと貴方の側に居るから、私が完璧に貴方を支えるから…」
提督「……」
グラーフ「さあ、それでは早速ケッコンしよう。アトミラール」
提督「……」
提督「……ッ」
提督「…すまない。その誘いは魅力的だが、急に言われてしまってはな。少し、心の準備をさせてくれないか?」
グラーフ「…そうか。確かに、それからの人生を左右する様な出来事だ、ちゃんと心構えも、道具も準備した方が良いだろう」
提督「…すまない、という事でこれで俺は…」
グラーフ「ああ、また明日。
出来れば早めの決心を頼む」
【グラーフはいつもの様に去っていった…】
提督「……ああ、わかってる」
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提督(…ああわかってる。わかってるさ、わかってるとも。この行動がただ問題を後回しにしてるだけに過ぎない事なんて)
提督(でもこれ以外にこの状況を切り抜ける手段が咄嗟に思い浮かば無かったのも事実…ああ、また一つどうにかしなければならない事が増えてしまった…)
提督(少し前まではそれこそグラーフは普通に俺を守ってくれようとしてくれていた、正義感の強い娘だった。それが、いつからかエスカレートしていって…)
提督「…どうしてこうなってしまったんだ」
提督(…というか。昨日、俺は誰かの気配を感じて仮眠室で眠ったから雷に拉致される事になったんだな)
提督(そうなると、つくづく寝床を移したのは正解だったな。あの場で2人が遭遇してしまっていたらと思うと…)
提督「……」ゾクッ
提督(…あまり考えたく無いな)