「ヤンデレなんて無い」 作:マロニー
提督「…自室に戻ろう」
提督(…自分の部屋に…俺の部屋に…)
「お帰りなさい」
提督「ああ、ただいま。
…って、あれ?何で俺、お前の部屋に?」
「ん?どうしたんですか?」
提督「いや…俺は…そうだ、自分の部屋に戻らないと」
提督(俺の部屋…俺の寝室、俺の居るべき部屋…戻る、所…)
提督(…戻るべき処?ならば、ここじゃあないか。俺は何をぼーっとしてるんだ)
「…どうかしましたか?」
提督「…いや、何にも無い。
ただ少し疲れていただけだ」
「…そうですか♪」
提督(そうだ、俺はここに帰らなくっちゃいけなかったんだ。…昨日は執務室に付け合わせてある部屋で寝たが、本当は此処こそが俺の…)
「…どうやら本当に疲れてるみたいですね。
ちょっとこっち来てください」
提督「…え?」
「ほら、いいから…
膝枕。してあげますから」
提督「…ありがとう。では、頼む」
「はい、今日も一日お疲れ様です。大変だったでしょう?色んな娘からアプローチを受けてましたもんね?見てましたよー」
提督「…アプローチ?あれらはそんな生易しいものだったか?」
「あれ?忘れちゃったんですか?何度も言ってるでしょう、あれは皆好きだからやってる事だから…」
提督「受け入れ、ないと、いけない」
「あ、やっぱり覚えてるんじゃないですか。
それなのに…」
提督「解っている。けど!
…怖いんだ、辛いんだ、恐ろしいんだ。
この鎮守府の中にいる全てが俺を見ている。
鎮守府の全員が俺を狙っている…!」
「はいはい、落ち着いてください。
大丈夫です。みんな、ただひたむきに愛しているだけなんですから。これが普通なんです。これも何度も言ったでしょう?」
提督「…ああ、そうだった。
これが、普通、なんだっけか」
提督(これが、普通なんだ。
こんな恐ろしい事が。
…恐ろしい事がこの世には蔓延っている。
…恐ろしく無いのは『こいつ』だけか?)
「そうですよ、これが普通。
異常だなんて事は無いんです。
…それに、もし異常だとしても、絶対に頼れる娘が此処に居るでしょ?」
「…そうか。お前が居るものな」
「はい。例え何があろうと、絶対に貴方を愛し続けて、味方であり続けますから」
提督(ああ、そうだ。
『こいつ』は…この娘だけは怖くない。
恐ろしくもなく、ただ愛してくれる。
やっぱりこの娘は…)
提督「…ありがとう。
やっぱり、頼れるのはお前だけだ」
「……♪」ゾクゾク
「…ええ。
そう言ってくれると嬉しいです♪」
提督「…すまない。また、情けない所を見せてしまった」
「何言ってるんですか。初期艦の頃からの付き合いですし、今更情けない所の一つや二つ大して変わりませんよ」
提督「…はは、それもそうか」
提督「…そろそろ眠くなって来たから、寝るよ。どうもありがとう」
「お礼なんて。
…ただ、一言。言ってくれれば良いですよ」
提督「ああ、ありがとう。
…愛しているよ。 お休み。
… 漣」
漣「…ええ♪
漣も愛してますよ、ご主人様?」
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提督「ああ、まあその…確かに俺の部下は少し押しが強かったりだとか…我が強いみたいなところはあるさ」
提督「でもそれは常識の範疇内であって普通の事だ。どこも変なんかじゃないだろうよ」
提督「時計の…器物の破損なんて良くある事だろう。喧嘩?そりゃこんな大所帯で暮らしているんだ、不和なんて多々ある。…ストーキング?また大袈裟な。ただ献身的に俺の心配をしてくれているだけだ」
提督「…だからなぁ…憲兵さん。どっかからのタレコミでここに調査に来てくれたっていうのは本当に有難い事なんだが…その…何だっけか」
提督「…そう、それ。
そんな物は俺の所の鎮守府には無いよ。
あるのはただ健全な組織だ」
提督「…しつこいな、貴方も。
先程から何度も言っているだろう?
この鎮守府に…」
提督(洗脳済み)「…『ヤンデレ』なんて無い」
おわり