遊戯王ZEXAL ~もうひとつの世界   作:夜想曲

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サムネタバレのような何か(すっとぼけ
ベクターのその後シリーズ。


VSベクター! ~叛逆のバリアンズ・ガーディアン

 

ベクター「ハア、ハア……畜生!」

 

ここは人間界。そしてかつて《No.(ナンバーズ)65 裁断魔人ジャッジ・バスター》のあった遺跡。

バリアン世界から逃げ出したベクターは崩壊したバリアン世界を正体不明の影が取り囲むのを見て、すぐさま人間界へ向かった。

人間界なら、……悔しいが、九十九遊馬とアストラルという悪意ある異世界人の天敵のようなデュエリストが存在する。しばらく姿を隠していれば――と思い、既にナンバーズの回収された遺跡へと身を寄せた。

 

ベクター「――今も感じるぜ、この胸糞悪い感覚」

 

それもその筈。今のベクターにはわからないことだが、内なる存在(ドン・サウザンド)にはわかっている。ここが人間だったころのベクターの過去にとって忌まわしい記憶の眠る土地だと。

 

ベクター「で、だ。オイ、ドン・サウザンド!」

【何事だ、ベクターよ】

 

遺跡内の大広間にて、とりあえず玉座に座ったベクターが自分の内に潜めた存在に話しかける。

 

ベクター「アァ? 『何事』だと? お前、自分の古巣が崩壊したってのに俺の中で気持ちよ~くオネンネしてたんじゃねぇだろうなァ!?」

【無論、バリアン世界が崩壊したことは理解している。それよりも厄介なのが《No.(ナンバーズ)96》のエネルギーを以て複製した偽のナンバーズだ】

 

偽のナンバーズ。本来なら、七皇の揃う直前に地上世界(にんげんかい)へバラ撒いて、カオスに取り付かれた人間共を利用しヌメロンコードの隠された地上世界ごとバリアン世界へ取り込む。その筈だった。

 

ベクター「そういや、お前遅れてたじゃねえか……ハートバーニング!の蝿野郎はまだ地上世界にいるんだろ? 何故作戦を実行しなかった?」

【しなかったのではない。できなかったのだ】

ベクター「ここに来て言い訳とは、バリアン世界の神様も小賢しい真似をするもんだ」

【茶化すでない、ベクターよ。事実、バリアン世界はあの奇妙な連中に支配された。バリアン世界は既に連中の手に落ちていたのだ。作戦を実行しようともしなくとも、どちらにせよ偽りのナンバーズは全て奴等の手の中だ】

 

そこで、ベクターは思い至る。仮に偽のナンバーズを掴ませたとして。

 

ベクター「そいつらがナンバーズの呪縛にもドン・サウザンドの呪いにも引っかからないってのは有り得るのか?」

【うぅむ、あれ程のカオス……操れこそしないが、たとえ七皇といえども百枚――いや、千枚も掴ませれば正気は奪えよう。だがバリアン世界を掌握するほどの集団だ。力ごと奪われる可能性は残る。故に今、この遺跡へと舞い戻ったのではないか】

ベクター(遺跡……何故この遺跡に?)

 

それからドン・サウザンドは、ベクターに遺跡の奥へと進むように指示し、ベクターは渋々その命令に従った。自分でも何故この場所にイラつくのかわからないままに。

そして――

 

ベクター「おお……なんだよ、これは……!!」

 

そこに祀られていたのは、紛れもなくドン・サウザンドの紋章。そしてあちこちに呪われた何かが封印されているであろう石櫃。そして中央に位置する棺は既に崩壊しており、中には一枚のカード(・・・)が見えた。

 

ベクター「オイ、もしかしてここに封印されてるのって……!!」

【フフフ、そうだ。ここには我を信仰する人々の欲望(カオス)が注ぎ込まれておる。我を内に秘めたる貴様ならば手に取っても呪い(カオス)には侵されぬ筈だ】

 

ベクターは端の棺の蓋を蹴り開け、中にあるカードを恐る恐る手に取る。そのカードは何も描かれていない何も記されていない白紙のカードだった――しかし、ベクターが手に取ることで急に文字が現れイラストが描かれた。

 

《拷問魔人 キリング・バスター》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/悪魔族/ATK 2000/DEF 2500

 

【これこそが我を信仰した者達の(カオス)の深さよ、手に取った者の欲望そのままに描かれるまさに理想のカード】

ベクター「すげぇ、こんなカード初めて見た――いや、俺好みのカードに創造(・・)されたってことか」

【この者達はヌメロンコードに手を届かせることが出来なかった。故に作り出されたのがこの暗黒物質のカード(・・・・・・・・)……フフ、最早現在のみを作り変える限定的なヌメロンコードと言っても過言ではないな】

 

ベクターは全ての石櫃を破壊し、中にある白紙のカードを取り出す。そして、それらはドン・サウザンドの呪縛とベクターの悪意によって黒く、黒く染められてゆく。

 

   《狂気の速贄》   《悪意の托卵》   《飢餓の咆哮》

 

そしてベクターはあえて残しておいた、既にテキストが描かれているカードの元へ。中央の石櫃へと足を運ぶ。

 

ベクター「さァて、お楽しみは最後に取っておいた訳だが――このカードは? って聞いた方がいいのか?」

ベクターがおちゃらけてとはいえ質問するのも当然だ。唯一描かれていたそのカードの名前には、「No.(ナンバーズ)1000」の文字が刻まれていたのだから。

 

【そうだ。この者達の溢れんばかりのカオスによって我がほんの僅かな瞬間、人間界に顕現できた。その時に触れた唯一のカードこそがその1枚だ――その時の我の力の余波で皆狂気に溺れてしまったが――遺跡のナンバーズが我の力を封じ込め、古の戦いによって千切れ飛んだ《No.(ナンバーズ)96》が我の一部だとすれば、このカードは言わば我が内に秘めたるカオスの象徴!!】

 

それが《No.(ナンバーズ)1000 夢幻神ヌメロニア》だ。ドン・サウザンドはそう語り、嗤った。

 

 

「そこまでだ。バリアンの使徒よ」

 

ベクター「!?」

【何奴だ!?】

 

気配は感じなかった。にもかかわらず背後を取られた。もしや――

振り向くと、そいつ(・・・)はこちらを眺めたまま動こうとしない。しかし変装にしては奇妙な格好をしているその男に、ベクターは問いかけることにした。

 

ベクター「――お前は、さっきバリアン世界で会ったか?」

???「いいや、先程バリアン世界を侵略しに行ったのは私の同僚だよ。我等『マイナデス』にも向き不向きがある」

 

『マイナデス』。それが奴等の名称。バリアン世界でもアストラル世界でもないとすれば人間界発祥の存在か? だとすると、

 

ベクター「おーそうかい、それじゃあお前はお仲間と一緒に人間界で待ちぼうけって訳かよ。下っ端は辛いねぇ~」

???「いいや、私は自らの意志で人間界へ向かったのだ。この遺跡を見張っていればお前達が現れると思って、な」

 

【どうやら『マイナデス』とやらは人間界ではない異世界からの客という訳か】

ベクター(それにしても随分とお喋りな奴だな、もう少し情報を引き出すか?)

【どうやらその方がいいな。背後を取ったとはいえ仕掛けてこない以上は時間稼ぎをしているとみてよかろう。今お前が手にしているカードの力ならば、仮に集団で囲まれても逃げ出すことが可能だろう】

ベクター(「倒すのは容易い」とは言わないんだな)

【流石にこの状況では難しかろう。そもそも力を取り戻す為に遺跡に立ち寄ったのだ、無理は禁物だろう】

 

???「そろそろ、か」

ベクター「あン?」

 

その直後、遺跡全体が揺れた。

【――!? 馬鹿なァ!! 遺跡が人間界から切り離されただとォ!?】

ベクター「何だと!? どういうことだ!?」

 

ドン・サウザンドが動揺するなんて、ベクターには想像も出来なかった。それが現実のものとなっている以上、バリアン世界の神にすら予測不可能な現象が起きているということ――

 

???「やっと切り離せた(・・・・・・・・)。これでじっくりとドン・(・・・)サウザンドの力(・・・・・・・)を奪い取れる」

 

【!? 貴様、何者だ!!】

ベクター「ドン・サウザンドのことを知っている……つまりお前、バリアンか」

???「だとしたら?」

 

ドン・サウザンドがベクターの中にいることを知っているのは四悪人とベクター、ドン・サウザンドのみ。あるいは、アリトとギラグから情報を吸い出した可能性もあるが。

 

ベクター「だったら話は早い、俺とデュエルしろよ。お前は俺とドン・サウザンドの力を奪いたい。俺は力を回復したい。……だったらバリアン同士のデュエル(・・・・・・・・・・・)で手っ取り早く奪い合うのが筋ってモンじゃねえかァ?」

【ベクター……それら(・・・)のカードを操る力は貸そう】

???「……よかろう」

 

互いにデュエルディスクを取り出す。ベクターは腕のみをバリアン化させてから、ここが異世界の一部と化していることを思い出す。

 

ベクター「デュエル!――っと。折角だ、いいもの見せてやろうかァ? バリアル……フォーゼェェェ!!!」

 

自らを黒と灰色の魔人に変身させ、紫色のオーラを纏うベクター。さらに影にはドン・サウザンドの気配を漂わせる。

 

ベクター「さぁ、折角俺様が本当の姿を見せてやったんだ。お前もそのいけ好かない仮面(かぶりもの)を外して正体を現したらどうだ?」

 

ベクターの目の前のマイナデスは、先程から大きな被り物をしている。さながら仮面舞踏会のように、頭全体を仮面と一体化したものを。

 

???「――そうだな、折角だ。もっと面白いモノを見せてやろう(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

そして、奴が纏うマントを脱ぎ捨てる。

 

???「私は『マイナデス』の使途、「ポリス」。そして―――」

 

ポリスが仮面を外した時、ベクターは、いや、ドン・サウザンドでさえも同様を隠せなかった。

そこにいたのは橙色の髪を立てた、確実に見覚えのある姿――

 

「『バリアンズ・ガーディアン』の「真月 零」だ」

 




真ゲス! 生きていたのか!(棒


※「四悪人」=蝿,蚊,蝉,海月の夏の風物詩さんのことです。
※当作品は真月が出ている他の作品さんを応援してます(卑劣な宣伝
※注意事項の2番目が規約に引っかかる場合は即座に消します(姑息な危機回避
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