今更ですが「***」は視点変換だったり場面変換だったりします。よしなに
璃緒「……ちゃ、ばん?」
何を言っているのだろうか。
麗華「そう、茶番。この戦いは『私が負けて貴女が勝つ』、そう決まっているのに」
璃緒「きまって…?何を、言っている?場に攻撃力2800以上のモンスターが4体、攻撃も《チルビメ》に誘導されるんじゃ……」
アルルーナ『そろそろ現実見たらァ?』
げん、じつ…? この圧倒的な状況が現実でなくて何だというの……?
麗華「私はさっきのターンで勝てていた」
アルルーナ『《種子弾丸》を最初から発動していれば3回の召喚・特殊召喚で貴女を蜂の巣に出来ていた』
麗華「そもそも《アルルーナ》に『相手にもドローさせる効果』が付いてるのは何故?」
アルルーナ『それも、貴女のライフが十分に残る状態でしか発動してないのよ』
麗華「都合よく手札に来る《ガード・ペンギン》《氷の護封剣》そして特殊召喚カード」
アルルーナ『ご都合主義のようなカードばっかり』
麗華「互いに拮抗したようにしておきながらこっちが優勢になるとすぐに歪む」
アルルーナ「何が奇跡よ、何が祈りよ。必死に目を逸らして、それで負けそうになってるくせに」
麗華「目覚めたことだけに集中して、本来の力を使わないようにしている。それなら言い訳がきくからと言って」
アルルーナ『わざわざ勝てそうな状況を何度も何度も作ってあげたっていうのに』
「『どうして回りくどく
「『七皇の剣を』」
――瞬間、私は呼吸を忘れた。
璃緒「そ、れは……」
何故知っているのか、なんて言えなかった。当然知っているはずなのだから。
今まで見えている幾つかの断片は、全て
麗華「貴女がわざわざ遠回りをして
アルルーナ『《
麗華「そんなことはないわ。はっきりと認めているはずよ、あなたは神代璃緒ではない。バリアン七皇のメラグだって」
アルルーナ『それじゃあ何で使おうとしないのかしら? 自覚してるんなら、ハッキリと口に出しなさいよ』
思い浮かぶのは、今より少し先の未来。ベクターが何かをやらかしたのか、人間世界がバリアン世界化し始めている中で。
鉄男「いいえ、璃緒さんは璃緒さんです!だから、貴女を取り戻してみせるんだ!」
そう、鉄男くんとデュエルして。それで―――
「『消しちゃったんだよね』」
璃緒「ひぅっ!!」
アルルーナ『そう、貴女は彼を消滅させてしまった。それなのにこんな紛い物の世界で彼と仲良くやってることに罪悪感を抱いている……違うのかな?』
麗華「違わないわよね? 現に、愛華達が使っていた時の《バリアンズ・フォース》は誰も死なせてはいないもの」
アルルーナ『《
麗華「その力で葬られた彼は……心も体も苦しかったでしょうね」
メラグ「あなたの気持ち、デュエルを通して確かに伝わってきた。けれど今の私にとって、それは迷惑でしかないわ!」
璃緒「―――ごめん、なさい」
それは、確かにあの時に思っていたこと。涙を流して、それでも
鉄男君だけじゃない。大切な仲間を切り捨てて、次々と、ああ―――
璃緒「うあぁぁあああッッ!!!」
私たちはなんてことを。信じていた仲間を裏切っても、それは
「何も思っていなかった」。心が張り裂けるまで苦しんだりせず、流した涙もすぐに乾くほどしか流さない、そんな冷たい女。そんな私がどう救われればいいというの!?
璃緒「ごめ、ごめん、なさい。ごめんな――」
アルルーナ『そんなことより、はやく続けましょうよ』
――――ごめんなさい、鉄男君。ごめんなさい、アンナさん。ごめんなさい、風也くん。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい―――
ごめんなさい、こんな、ひどい女で。
璃緒「……ドロー」hand3→4
麗華「あら、やる気になった?」
璃緒「手札より《
麗華LP:1600
璃緒LP:1500→3500
璃緒「カードを伏せて、ターン終了」hand3→2
アルルーナ『あ? 舐めてんの?』
麗華「落ち着きなさい。あの子は墓地の《氷の護封剣》で1ターンの攻撃に耐えられる。つまり《種子弾丸》を耐えるライフがあれば1ターンは生きられるのよ」
アルルーナ『ちっ……ドローしなさい、そして奴の亡骸に弾丸をぶち込むのよ』
麗華「口が悪い子はお仕置きするわよ? ドロー、そして2体の植物族でオーバーレイ」
こちらの挑発にも怒りを表すことなく、冷静にデュエルを続行する麗華さん。《ティタニアル》と《チルビメ》を素材にする辺り、攻撃力0とはいえ《タレイア》を一時的にフィールドから離すのは危険視している訳か。
麗華「エクシーズ召喚、《森羅の守神 アルセイ》。そして効果を発動。デッキトップを確認し宣言したカードでない場合墓地に送る。そしてデッキからカードが墓地に送られる場合に
ここで《ティタニアル》が墓地に送られないためには。
麗華「うん、《
アルルーナ『―――え?』
めくったカードが
アルルーナ『せ、セブンスワン? なんで? なんでレイカのデッキに?』
麗華「……そう、
ここから先の未来で、私たちが使う力。バリアンズカオスドロー。ゼアルによるシャイニングドローと似て非なる力。「未知の創造」ではなく「既知の可能性を引き寄せる」力。では、何故彼女のデッキに創造されたのか。
璃緒「――ここが空想の世界ってことを教えてくれたのは貴女だったんだもの」
想いが力となるのなら、その力は自分だけに制限されないはず。そして彼女の想いは「私を滅ぼす」事ではなかったとすれば―――!!
アルルーナ『―――キャッハハハハ!!! 「殺し」のナイフを相手に持たせれば自分が殺人者だってことを隠蔽できるとでも思ってるのかしら!? おっもしろーい!!』
麗華「手段はともかく、この世界の力を思い知ったのなら問題ないわ」
璃緒「ええ、貴女のお陰で――」
アルルーナ『何和気藹々としてんのよ! 使える手札6枚あるんだからとっととぶっ潰すのよ!』
――唐突に、アルルーナがぶちぎれた。
麗華「アルルーナ、あの子の墓地には戦闘ダメージを封じる《氷の護封剣》が――」
アルルーナ『うっさいわねェ!! アンタの敷いたレールでわざと負けるようなデュエルで、アイツの心を破壊できる訳がないだろ!! アンタがやらないんなら、アタシがぶっ壊す!!』
触手が。
璃緒「麗華さんッ!?」
麗華「――ああ、結局こうなるのね……」
麗華さんに巻きついて。全身を覆いつくそうとしてて。
麗華「それじゃ、あとは自覚を以て、ね。ばいばい」
璃緒「麗華さん!れい」
麗華「うっさいのよ、メスガキが」
璃緒「―――ッ!!」
身体に巻きついていた数多の触手が引いていく。が、姿を現したのはさっきまでの麗華さんとは違う、暴力的な精神。これは――
璃緒「身体を、乗っ取ったのね……」
アルルーナ「ええ、これで、やっと貴女を破壊するデュエルができるわ――心を砕くなんてまどろっこしいことよりも、とっても簡単でとっても愉しい方法よ。なんせ、」
ここは精神の世界なのだから。 そう、彼女は言い放った。
* * *
ALRUENA
LP:1600
HAND:7(内1枚《RUM-七皇の剣》)
MONSTER:《
OPEN:《種子弾丸》(プラントカウンター×3)
CEMETERY:《プリベントマト》
RIO
LP:3500
HAND:2
MONSTER:none
SET:2(内1枚《ダイヤモンド・ダスト》)
CEMETERY:《氷の護封剣》
アイツの手札と伏せカード。このターンの攻撃で《氷の護封剣》を使ったとして防げるのはダメージ、
なら次に引くカードが何であれ、魔法・罠を警戒すれば次で潰せる!
アルルーナ「手札より《エクシーズ・ギフト》を発動! 《アルセイ》の
引いた2枚は今は使えないカード。今引いた2枚目の《マイナデス・フォース》を《アルセイ》に使って何になるって? マイナデス側からしたらどんな結果になるかなんて知ってるんだよ、期待させんな。守護神を堕落させたら攻撃で破壊しつくすだけの木偶の坊に決まってんだろ。
アルルーナ「堕とす価値ないんだよねェ…私みたいなの
璃緒「やっぱり短絡的な行動をするのね、所詮はモンスターかしら?」
………は? 何言ってんだ、こいつ?
アルルーナ「ねぇ、挑発ってのはね。『強者が弱者をいたぶる為に煽る』か、『弱者が強者に一矢報いる為の隙を作る』以外の用法が存在しないのよ? 今のアンタが私に手を出せるとでも思ってんの?」
璃緒「麗華さん相手なら、負けてたわね」
――もういい。ぶっ潰す。
そのまま触腕で殴り飛ばし……防がれる。
璃緒「墓地の《氷の護封剣》を除外して戦闘ダメージを0にする」
アルルーナ「手札4枚をセット。ターン終了だよ」
プラントカウンター4つの《種子弾丸》。
《禁じられた聖槍》で魔法も罠も、《キックバック》で召喚もさせない。
壁を出しても《ブロッサム・ボンバー》でこれ以上のライフ回復すら許さない。
そして何かダメージを与えようとしても既に墓地には《プリベントマト》がいるし、最後の伏せカードは《禁じられた聖典》。《タレイア》を攻撃しても返り討ちにしてやる……
璃緒「私のターン」
さぁ、お前の最期の――
璃緒「私のドローしたカードは、《
――!?
アルルーナ「な……レイカに罪を擦り付けたつもりになったんじゃなかったのか!? なんでお前がそのカードを持っている!?」
璃緒「言っていたでしょう?『この世界は虚構、全ては想いの力』だと」
* * *
麗華さんは私の罪を思い出させてくれた。今は起こっていないけれど、決して許されてはならない罪を。
璃緒「だから、私はこの罪から逃げない――!!」
アルルーナ「っざ、け、てんじゃ、ねェェェ―――ッッ!!!」
ふざけてる。そう、ふざけた話だ。根元の部分では自分の罪から眼を背けながら「逃げない」などと言い放っている。
璃緒「エクストラデッキより《
でも、この幻想の世界でなら。これから起こることが避けようもない事実なのなら。綺麗ごとでも、謝る事ができる。
鉄男君なら、きっと許してくれるだろう。でも、それで許されてはいけない。
でも、それができれば。きっと未来を変えることができるかもしれない!
璃緒「カオスエクシーズ・チェンジ!! 《
だから、今からでも。あの
アルルーナ「ふざけんのもいい加減にしとけよ、攻撃力2800程度であたし等のモンスターをどうこう出来ると思ってんのか!?」
璃緒「ええ。そう思わなかったらやってないわよ――リバースカード発動、《超古代生物の墓場》……このカードが存在する限り特殊召喚されたレベル6以上のモンスターは攻撃と効果の発動が出来ない」
アルルーナ「ッ!(ここで《聖槍》を使わないと《ティタニアル》が効果を発動できない……そして使えば奴に戦闘破壊される…ッ!?)」
そう、貴女のような攻撃的な存在ならば
璃緒「これで《ティタニアル》の効果は発動できない! 装備魔法《エクシーズ・ユニット》を発動し《ラグナ・インフィニティ》に装備する!」
アルルーナ「攻撃力3800、アタシと並んだか」
璃緒「バトルよ!まず《
アルルーナ「《ボタニカル・ライオ》の攻撃力は3100、効果破壊を狙ってきたか!」
冷たいまなざしで操り人形と化した《タレイア》を一瞥する《ラグナ・インフィニティ》。そのの大鎌が振り下ろされる――!
アルルーナ「(ここで《聖典》を使っても互いに2800同士だ、ならここは攻撃させて相打ちでいいか――?)……ダメージステップに入らない、だと?」
璃緒「そして攻撃宣言時、このタイミングでリバースカード発動! 《ダイヤモンド・ダスト》! 互いの水属性モンスターを全て破壊し、その数×500ポイントのダメージを相手に与える!」
アルルーナ「場の水属性の合計は
璃緒「ええ、しっかりと覚えてるわよ。その効果は。《エクシーズ・ユニット》をコストにして、《ラグナ・インフィニティ》の効果を発動する! 攻撃力の変化しているモンスター1体を選択しそのモンスターを除外!攻撃力の変化分のダメージを相手に与える!」
アルルーナ「《タレイア》を除外して巻き戻す気か!?私は墓地より《プリベントマト》を発動する!これでダメージはゼロ、《タレイア》は除外されず《ダイヤモンド・ダスト》で破壊される植物族は《タレイア》のみだ! そしてこのターンダメージを受けない為《ダイヤモンド・ダスト》のダメージも無効!」
璃緒「いいえ、破壊されるのは《ラグナ・インフィニティ》も同じよ。そして攻撃宣言に対して発動する効果はチェーンを組んではいない――《ラグナ・インフィニティ》が
ただし墓地に《ラグナ・ゼロ》が存在する場合のみ、ね。本当なら《プリベントマト》にチェーンする形で除外したかったけど、仕方ない!
璃緒「時をも凍らす無限の力が今、蘇る! 復活せよ、《
残る手札2枚は、相手の伏せカード次第では――いいえ、奴が人間でなければきっと……!!
璃緒「私は復活した《ラグナ・インフィニティ》で《ボタニカル・ライオ》を攻撃! 戦闘ダメージなら有効よ!」
アルルーナ「攻撃力の劣るモンスターで攻撃だと!? 速攻魔法でも使う気か? 《禁じられた聖槍》を発動! このターン《ラグナ・インフィニティ》の攻撃力は800下がって2000! しかも魔法・
璃緒「残念なのは貴女よ、アルルーナ。もし麗華さんだったら、無意味に攻撃表示でモンスターを立てて置いたりしなかっただろうから……《禁じられた聖典》を手札から発動、互いのモンスター効果は無効になり攻撃力を元々の数値で計算する」
《ボタニカル・ライオ》ATK 1600 vs ATK 2800《
アルルーナ「な、そんな……馬鹿な……!!」
璃緒「これで貴女のライフは残り400、最後のカードをセットしてターンを終了」
アルルーナ「おのれ……このターンで終わりにしてやる――ドロー!!」
直後、笑みを浮かべる。そして《
アルルーナ「私の引いたカードは《エクシーズ・ユニット》!! そして貴様には身を護るカードがそのセットカード1枚だけ!! まずは《タレイア》を再び墓地から蘇らせて―――」
璃緒「ドローフェイズ、2枚目の《ダイヤモンド・ダスト》を発動。これにより貴女に《アルルーナ》と《ラグナ・インフィニティ》の2体分のダメージを受けてもらうわ」
アルルーナ「………え」
本当に、どうしようもない。所詮モンスターの浅知恵なんて、知性ある生命体の悪意に比べたら――
アルルーナ「え、う、いあ、いやだ」
璃緒「《ダイヤモンド・ダスト》で私のモンスターごと砕け散りなさい!!」
だからとっとと、
アルルーナ「嫌だあああぁぁぁああアァァァァッッ!!!」
璃緒「麗華さんから離れなさいッ!!」
枯れ尽くして消滅してしまえ……ッ!!!
ステラ「あーらら、消滅☆」
ベネト「……ま、この後よね」
ステラ「勝たれたんだから当然よ。――あれ、真月は?」
ベネト「ポリスなら出かけたわよ」
* * *
「自分が罪人でもいい、許されてはならない。償いをしなければ?」
「ふざけるのも大概にしろッ! そんなの、まだ起こってすらいないじゃないか!!」
???「でも、その可能性を選んだのは彼女だよ」
「……ヌルか」
ヌル「彼女の心は既にそっち側へと進んでいる。今更どうこうするのもどうかと思うんだけどなぁ」
「―――それでも、私は彼女に……彼らに救われて欲しい」
ヌル「それは、オマエの観た可能性――ベクターのやらかしたことに対する償いかい?」
「……そういうことにでもしておくがいいさ」