FGORPG 新英雄チャート(改訂)RTA   作:O島

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初めての小説形式ですので実質初投稿です。


加勢

本条元哉というマスターは、私にとって特に記憶に残ることの無い男だった。特筆した才能など皆無なのに、最後まで足掻いてみせる。戦闘続行のスキルを持つ英霊ですら苦笑いした程だ。

 

肩を並べて戦うなら、まだ円卓の面々の方が頼りになると思った。私達の関係はマスターと使い魔、それだけだと。

 

「俺は諦めたくない。未来のため、皆のために。だから力を貸してくれ」

 

私が否定した時、お前はそう言ったな。その真っ直ぐな目で、なんの根拠もない希望を持って。

 

正直、馬鹿だと思った。だって、お前にはその才能がない。世界を救う為の才能なんて、お前にはこれっぽっちもなかったのに。それでも私にお前はそう言った。

 

協力してやる理由は英霊の座に登録されていたから、この馬鹿な男の人生を笑ってやろうと思ったから、その程度だったか。でもお前は、私の予想など遥かに超えて、仲間と共に奇跡を起こしてくれる。

 

馬鹿な突撃女を超え、文明の破壊者を防ぎ、英雄達の海を渡り、霧の街を駆け抜け、大陸の戦争を止め、絶対的な法を壊し、神殺しを成し遂げ、そして人理を守った。

 

私が見たお前は、場を重ねる毎に輝いて行った。経験して行くうちに、私が知っているお前とは似ても似つかないようになって。

 

そしていつの間にか、その成長に私は笑うようになっていた。元の私とは別人とも言える私が、だ。

 

あなたと過ごした場所、時間、それが私を絆すきっかけとなったのだろう。誰がなんと言おうと、そうに違いない。自然とあなたと過ごした時間が心地よかったのだ。

 

最後の日、最後まで残っていた私にもあなたは変わらぬ顔を向けてくれた。少し寂しそうではあるが、どこかそれを認めている顔を。私は最後に言う言葉を決めていた。あなたへ最後まで言えなかった言葉を言おうと待っていたのだ。

 

そしてその刻はやってきた。最後まで言うことのなかった、あなたへの礼を。あなたへ伝えるために口を開き、そして───

 

 

 

 

 

───()()()()()()()()()()

 

「..........は?」

 

私はいつの間にかあの場所にいた。彼と初めて出会ったあの場所に。

 

そしてそれが、地獄の始まりだった。

 

 

 

 

1回目。

 

私はあなたを見つけ、契約を結んだ。

 

しかしあなたは言ったな

 

特異点を攻略しに行く

と。

 

 

 

 

 

2回目。

 

また同じ場所に居た。

 

同じようにあなたを見つけた。

 

また私はあなたと契約を結んだ。

 

そしてあなたはまたも言うのだ、特異点を攻略しに行くと。

 

 

 

 

 

5回目

 

言うべきことは分かっている。

 

あなたが言うこともだいたい分かった。

 

私は、あなたのために戦おう。

 

 

 

 

 

50回目

 

まだ終わらない。

 

どういうことだ?まさかこの世界が特異点だとでも言うのか?

 

嗚呼、またあなたが来た。

 

分かっている、皆まで言うな。

 

 

 

 

 

200回目

 

また、まただ。

 

いつまで続ければいい?

 

また、来たな。

 

さぁ、行こうか。

 

 

 

 

 

 

900回目。

 

終わらない、終わらない。

 

世界はまたも塗り替えられた。

 

分かっている。分かっているさ。

 

また行こう。

 

 

 

 

 

 

2000回目

 

死んだ、マスターが死んだ!

 

何故だ、何が間違っていた!?

 

私は同じようにやっただろう!

 

何がいけない。どうなっている。誰か教えてくれ。

 

 

 

 

 

 

5000回目

 

死んでも終わらない。

 

死んだその時点で世界は塗りつぶされる。

 

繰り返す。そこに他者の意思は関係ない。

 

マスター、本当はお前のせいじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

7000回目

 

決めたよマスター。

 

私はお前を殺す。あなたを救っても終わらないなら、逆に殺してやる。

 

あなたのために、私のために。

 

もうあなたをマスターなどとは呼ばない。

 

 

 

 

 

 

10000回目

 

私を超えたのに、またやってきたのか。

 

それでも終わらないなら、また私が殺してやろう。

 

さぁ、超えて見せろ元哉。

 

お前が死んだその敵を超えるまで。

 

 

 

 

 

 

■■■■■回目

 

いい加減、飽きた。

 

お前は何度でもやってくる。

 

私は何度でもお前を相手する。

 

時間が惜しい。

 

 

 

 

 

 

■■■■■回目

 

殺す。殺す。殺す。

 

私に出来るのはそれだけだ。

 

さぁ、次はどうやって狩ろうか。

 

どうやれば効率的だ。

 

 

 

 

 

 

■■■■■回目

 

記録更新だ。

 

またも私は最速でお前を殺した。

 

さぁ、お前は何度でも来るのだろう?

 

..........あと何度来れば、お前は折れてくれる?

 

 

 

 

 

 

■■■■9回目

 

時間の感覚など、もう私には残っていない。ただ、殺意の無い相手を殺すことだけを考える。

 

嗚呼、今回は遅かったな。先に他のマスターが来ていたぞ?

だが生憎、私がやることは変わりない。

 

「...............卑王鉄槌、極光は反転する。光を飲め。約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!!」

 

さぁ、死ぬがいい。超えれるのなら超えて見せろ。今回のお前はどっちだ?本条元哉。

 

 

 

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆

 

 

 

元哉へ向かって放たれた、光すら飲み込む禍々しい漆黒の豪砲。それは完全に彼へタイミングを合わせたものであり、サーヴァント1人すら連れていない彼に防ぐことは出来ない。

 

アルトリア・オルタはそれを()()()()()

 

だから確信する、今回は勝ったと。また世界が塗りつぶされ次へ移行するのだと。

 

だがアルトリア・オルタが己が勝ちを確信したその瞬間でも、本条元哉は笑っていた。

 

残光、忌まわしき血の城塞(スーメルキ・クレムリ)!!」

 

一瞬にしてそこに現れた、壮麗かつ堅固な城塞。ロシア各地に点在したという城塞を再現する宝具、それを使えるのは彼女しかいない。

皇帝(ツァーリ)の血を引く皇女、アナスタシア・ニコラエヴナ、ロマノヴァ。

 

彼女の宝具は己がマスターを城の中に囲み、豪砲と真っ向から衝突した。並のサーヴァントなら防ぐことすら出来ずに蹂躙されるはずだが、未だに堅固な城塞は此処に在る。

 

アルトリア・オルタの表情が曇る。反対に穴から降りてきたアナスタシアは笑う。

 

やがて消えゆくアルトリア・オルタの宝具に一切負けること無く、亀裂ひとつすら見当たらない堅固な城塞は見事に己がマスターを守りきって見せた。

 

「大切な人を傷つけるというのなら、あなたでも容赦しませんよ。セイバー」

 

元哉に接する時とは似ても似つかない底冷えする様な低い声で、アナスタシアは宝具を放ってきたアルトリア・オルタを睨んだ。

 

「元哉!」

 

「元哉先輩!」

 

宝具が解除されて地面におりた元哉へ、立香やマシュ達が駆け寄ってくる。特に立香は目頭に涙を浮かべながら心配げな表情で元哉の体に触れる。

 

「っ馬鹿!マスター!よそ見してんじゃねぇ!」

 

「っ!」

 

立香が契約しており、今現在シャドウアーチャーと戦闘中のキャスターの声によって彼女は我に返る。指示が遅れてしまい、対応が追いつかない。前方からはシャドウバーサーカーが迫ってきており、とてもマシュ一人では塞げないだろう。

 

「盾の人、そのまま攻撃を受け止められるかしら?」

 

「っはい?........やります!」

 

どこからともなく聞こえた声に一瞬だけ戸惑ったマシュだが、咄嗟の決断によりシャドウバーサーカーの一撃に構える。振り下ろされたバーサーカーの剣がマシュの大盾とぶつかり合って甲高い金属音をあげた。

 

「■■■■■───!!」

 

「っ重............!」

 

「うん、上々よ。ありがとう」

 

その声の正体は、突如として現れる。霊体化していた両儀式が空中で身を翻し、バーサーカーへ向かって回し蹴りを繰り出した。

突然の奇襲に大英雄の格落ちと言えども反応出来ず、軽々とその巨体が吹き飛ばされる。

 

「まさか、そんな偽物程度で私に勝てるわけがないでしょう?」

 

嘲笑混じりに言い捨てた彼女はそのまま起き上がってくるバーサーカーを見据える。

 

「マスター、あれは私と盾の人に任せて。あなたも、それでいい?」

 

「私は大丈夫ですが...........その、マスターの意見が」

 

「マシュ、任せるね」

 

「..........はい!」

 

再び一人の英霊と半英霊(デミ・サーヴァント)はバーサーカーに向かって行く。その時、立香のリストバンドにホログラムのロマニが映し出された。

 

『そこにいるのは元哉君で間違いないかい!?はぁ〜、良かった、どうやら無事だったようだね!』

 

「ああ、無事だ。問題ない」

 

『ちょ、元哉!?元哉なのね!通信くらい出なさいよ!』

 

ロマニを押しのけて今度はオルガマリーが映し出される。どうやら2人とも無事だったようだ。

 

「すいません、どうやら通信の調子が悪かったみたいで」

 

『全くもう!こっちはあなたと連絡がつかないから大騒ぎよ!だいたいね、連絡もなしに────』

 

『まー!まー!所長、今は落ち着いてください。..........とりあえず積もる話はあとだよ、元哉君。今は生き延びることだけを考えて』

 

「分かった」

 

そこでホログラムは消える。しかしどうやらこちらの映像は伝わっているらしく、立香のリストバンドの画面は発光していた。

 

「ちょおーっと!さっきとんでもないことやらかしそうになったでしょう!マスター!」

 

「んひゃあ!?何!?誰!?」

 

突如元哉達の背後から現れた玉藻の前に立香は間の抜けた声をあげた。一方でぷくーっと頬を可愛く膨らませた玉藻の前はずいっと元哉に迫る。

 

「丁度良かった。玉藻、俺を強化してくれ」

 

「っ........あなたという人は!もう!」

 

「ついでに立香の護衛も頼むぞ」

 

「分かりました。分ーかりました!玉藻ちゃんもうどうなっても知りませんからね!」

 

「助かる」

 

「もう!これは帰ったら見返りプリーズですよ!」

 

文句を言いながらも玉藻の前は渋々、呪術を元哉の体に刻み込む。一件してみればなんともないように見えるが、内部には伝説の九尾が施した最上位の神秘性と強化が含まれている。元哉自身も、力が漲ってくるのをその肌で感じていた。

 

「立香、彼を下がらせてアナスタシアの援護に回せ」

 

「ええ!?でもそうしたら誰が相手するの!?」

 

「俺が行く。安心しろ、俺は負けない」

 

そう言うなり、立香の言葉を聞く耳持たず歩き出た。神霊クラスのサーヴァントの強化により飛躍した身体能力、さらに自前の強化魔術を施すことによって並のサーヴァントと同じか、それ以上の力を引き出す。

 

やがてシャドウアーチャーと一旦距離をとったキャスターの横に元哉は並んだ。

 

「..........テメェ、何者だ。何だ、その内から溢れ出る強い神秘は」

 

「やはり複数の魔力が混在しているせいで感じ取れないようだな。下がれ、キャスター。お前が知りたい事柄は全てお前のマスターの元にある」

 

「おいおい、お前マスターだろ!冗談キツイぜ?」

 

「まぁ見ていろ。それと、マスターの言う事は聞いておけ」

 

自身を越えてシャドウアーチャーの方に歩き出す元哉をもちろんキャスターは止めようとした。だが、その手は後方からの声によって阻まれる。

 

「キャスター!」

 

「ッ!!マスター、正気かよ!?」

 

「大丈夫!元哉を信じて!」

 

主の瞳には絶対的な自身の色が浮かんでいた。一切の嘘はなく、それを信じて疑わない目だ。

 

「........おい坊主、英雄同士の一騎打ちを邪魔したんだ。分かってんだろうな?」

 

「任せろ」

 

「.........チッ」

 

元哉が後ろ背に軽く手を振ったのを見てキャスターは立香の元へ下がった。そうしてその場に残ったのはシャドウアーチャーと元哉のみ。互いに一定の距離で立ち止まった。

 

「まさか、自殺志願者かね?人間がサーヴァントに挑む等、愚かすぎると思うが」

 

「愚かかどうかは、戦ってから決めるといい」

 

そう言い捨てれば、元哉は腰に帯刀していた刀を抜刀する。それと同時に、眼鏡も外した。

 

「直死」

 

彼にとっても久方ぶりである終末の世界。あらゆるものに青と白の交じった線が入っており、それは目の前のシャドウアーチャーも例外では無い。

 

「まさか、魔眼だと!?」

 

「生きているなら、神様だって殺してやるさ」

 

元哉は強化魔術を全身と刀に施し、シャドウアーチャーへ向かって行った。




乱戦を書くのが難しいのでこの先どうなるか分からないため失踪します。
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