東京ドラグナーズ   作:タク@DMP

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第11話:蒼変/チェンジ・ザ・ワールド

「安心しろソラ。今回は──俺様が一緒に戦ってやる」

「っ……アギト。お願いしますッ!」

 

 

 

 浮かび上がるシールド。それはまるで、真のデュエルのようだった。

 デュエルスフィア──【SWORD】に限らず、組織(スート)同士の抗争でよく使われるARデュエルシステム。

 スイッチを入れて投げ込んだ球体のボールからARフィールドを展開し、現実空間にクリーチャーが入り乱れる拡張現実感を再現するというものだ。

 

「やれやれ、アラサーの前で見せつけてくれる。私は2マナで《フェアリー・ライフ》を唱えよう」

 

 自然文明の紋章が浮かび上がり、琥珀にマナを与えた。

 このように、デュエルスフィアはプレイヤーのデッキを自動的にスキャンして3Dモデルに出力し、紙のカードではなく3Dモデルを手に取って戦うというものだ。

 更にそれだけではなく、相手を強制的にデュエマに引きずり込むという拘束力抜群の優れものである。

 カードの感触が感じられないという慣れない感覚に戸惑っているソラだったが、なぞるように指を動かすとカードが動く。

 

「ソラ、こっちも負けずに展開するンだぜッ! プレイヤーは、マナに置いた色と同じ色のカードを使えるぞッ!」

「マナに置いた色と同じ色……」

 

 ソラはマナに置いたカードを見やる。

 置かれてるのは《飛べ!イカロソ君》。火と自然の多色カードである。

 多色カードはタップして置かれる上に、使える色が増やせるので最初の1ターン目に置いた方が良いと咢斗が教えたのだ。

 

(マ、マナ置きとかまだ難しいけど……!)

 

「そして、クリーチャーで攻撃する前に、プレイヤーはマナを支払ってカードを使えるッ!」

「マナを使うにはどうしたら……!?」

「タップだ! カードを横向きに倒せ!」

「で、では、2マナを、タップします! そして《タイク・タイソンズ》を召喚です!」

 

 飛び出したのは組体操の5人組のクリーチャー。

 場を離れた時にマナを増やす、ジョーカーズの強力な初動となるカードだ。

 

「ッ……成程。私はマナゾーンにカードを置いてターンエンドだ」

「何も、しないッ……!?」

 

 咢斗は歯を噛み締める。

 ソラに渡したデッキは赤緑モモキング。初心者でも扱いやすい上に、種族間のシナジーが強いジョーカーズをメインにしたデッキだ。

 一方、琥珀のデッキは、十中八九防御力が激高であることで有名な悠久チェンジと呼ばれるデッキ。

 動きは少ないように見えるが、恐らくマナを伸ばしながらも手札を溜め込む準備をしているのだろう。

 

(それが、悠久チェンジの防御法……だからな)

 

 ソラに渡したデッキも決して弱いわけではないが──貫けるかどうかは五分五分だ。

 相手のマナが貯まる前に攻め込めれば良いのだが。

 そして何より、彼女がカードの効果をデュエル中に読み込んで扱いきれれば勝ち目はある、といったところだ。

 

「わ、私のターン、ドロー……!」

「その前にマナをアンタップだ」

「アンタップ……?」

「前のターンにタップしたカードを全て元に戻すんだ。こうすることで、またマナのカードを使える」

「成程……分かってきました」

「ああ。マナとクリーチャーをアンタップ→ドロー→カードを使う→クリーチャーで攻撃。これが1ターンの流れだッ!」

 

(それでも無理ゲーだろ……悠久チェンジなんて、俺様でも突破が難しいンだぞ!? このまま俺様がアドバイスし続けてたら、素人ってのがバレバレだし──)

 

「……うん、()()()()

 

 ぽつり、とソラは誰に言うでもなく零す。

 それは咢斗に向けられた言葉ではない。

 静かに目を閉じた彼女はカードに手を翳し──

 

 

 

「《モモダチ モンキッド》を召喚してマナを増やします。そして、《タイク・タイソンズ》で攻撃するとき、Jチェンジ4発動ッ!」

「ちょッ……!?」

 

 

 

 言うが速いか、今度はソラは間髪入れずに《タイク・タイソンズ》で攻撃を仕掛ける。

 その時、《タイク》のマナゾーンのコスト4以下のジョーカーズと入れ替わる──

 

「──繋がったッ! 私のターン、《タイク》で攻撃ですッ! お願い、《ドンドド・ドラ息子》ッ!」

「ちょ、ちょ、あの、ソラさんッ……!?」

「《ドンドド・ドラ息子》の能力で山札の上から4枚を表向きに! そして、《勝熱英雄(ジョーネツヒーロー)モモキング》を手札に加えますッ!」

「……何と。舐め腐っていたが、随分と手馴れているじゃあないか」

 

 咢斗は言葉を失っていた。

 先程まで初心者同然だった彼女が、咢斗の説明も無しに即座に最適解を導き出したのである。

 まだカードの効果の内容も教えていないのに。

 

(ま、待てッ、まさかコレが……カードの声が聞こえる、って奴か……ッ!?)

 

「シールドを……ブレイクッ!」

「ッ……成程な」

 

 手札を取った琥珀は顔を顰める。

 S・トリガーは無いようだった。

 

「美少女に苛められる……それはそれで悪くないなッ!!」

「ソラ、今のは──」

「カンですッ! カードが……繋がったような気がして」

「……巫女様パネェな」

「放置プレイも悪くない──だが、そろそろ高耐久の所以というものを教えてやろう」

 

 無視を決め込まれた変態ドM女は、5枚のマナをタップする。

 次の瞬間、彼女の背後に巨大な道場が浮かび上がった──

 

「シノビと疑い、即ちドロン(Doron)&ダウト(Doubt)のD2フィールドッ! 《Dの隠家 ザトー・オブ・ウラギリガクレ》だッ!」

 

 ──D2フィールド。

 それは、クリーチャーでもなければ呪文でもない特殊なカード。

 フィールドに残り続けて効果を発揮する上に、クリーチャーではないので除去されづらい。

 

「くくっ、私はターン終了だ。さぁて、教えてやろう! 《ザトー・オブ・ウラギリガクレ》は──」

「よーしやれッ! ボコボコにしてやれソラッ!」

「はいッ! 《ドンドド》でシールドをブレイク!」

「かはッ!? 本当に放置プレイ、だとォッ!?」

 

 言うが速いか、ドラムのクリーチャーが放つ強烈な音波が、琥珀のシールドを更にもう1枚とする。

 変な事を言い出す前に口を封じてしまおうという考えである。何より教育に悪い。

 しかし──今度という今度は、琥珀も容赦はしなかった。

 

「──させないさ。ニンジャ・ストライク5、《怒流牙(ドルゲ) 佐助の超人(サルトビジャイアント)》召喚!」

「そ、そのカードは──ッ!?」

「シノビだッ! マナが貯まったら相手ターン中でも突然出てくる奇襲カードッ!!」

 

 ニンジャ・ストライクは相手のクリーチャーが攻撃、またはブロックした時に発動するシノビの能力だ。

 手札から突如前触れもなく現れ、奇襲していく、文字通り忍者のような能力である。

 

「効果で手札を1枚引いて1枚捨て、墓地から1枚をマナゾーンに置く」

「な、何か嫌な予感がします……ッ!」

「ほう。こいつを見て、ただマナを増やすだけのカードと思わない辺り、タダの初心者じゃないな。咢斗君の教育力には驚かされる」

「俺様何にも教えてねェンだけど……」

「《佐助》の効果で手札を捨てるッ! そして──」

 

 琥珀が捨てた手札から水流が巻き起こる。

 そこから現れるのは──渦潮に包み込まれたシノビの龍だった。

 

「──相手ターン中に手札から捨てられたので、《斬隠蒼頭龍バイケン》を召喚するッ!」

「エッ……!? 相手ターン中に、また……!?」

「《バイケン》の効果で《ドンドド》を手札に戻すッ!」

 

 次の瞬間、《ドンドド》の姿は攻撃が通る前に消えてしまう。

 そして、ソラの手札には《ドンドド》が戻っていた。

 

「そして、シノビが出たので《ザトー・オブ・ウラギリガクレ》の効果で私はカードを合計2枚引かせてもらおうかッ!」

「シノビが出る度にカードを引くなんてッ……!?」

「成程な。シノビを溜め込んで防御力をアップ……てところか。悠久チェンジの新カードか」

 

 くくく怖かろう、と琥珀は言ってのける。

 シノビはその性質上、手札を溜め込めば溜め込む程、ニンジャ・ストライクの残弾が多くなるのだから。

 

(こいつァ難しくなってきたぞ……ッ! 攻めるのが億劫になっちまうじゃねェか……ッ! 《バイケン》2体目は流石に──)

 

「《モンキッド》でシールドをブレイクッ!!」

「あッ」

「あっ……」

 

 しかし。

 二度目は無かった。流石に《佐助》と《バイケン》をもう1セット抱えてはいなかったのである。

 見事にシールドは砕け散り、琥珀のシールド枚数は残り3枚に。

 

「よ、よく、殴れたな……今ので」

「え? だって、攻撃しないと勝てなくないですか……?」

 

(初心者特有の思い切りの良さ──ッ!!)

 

 ラッキーヒットだったことには違いない。

 琥珀の手札補充は相手の攻撃をけん制する意味合いもあったが、そもそも初心者のソラにそれは通用しなかったのである。 

 更に、今の攻撃によって──ジョーカーズの必殺技が発動する。

 

「それに呼んでるんです、この子が……”俺に繋げ”って!」

「ああ、使え! そいつの力は味方がシールドをブレイクした時に、発動する!」

「え、えーと、キリフダッシュ6……です! 6マナ払って《勝熱英雄(ジョーネツヒーロー)モモキング》をバトルゾーンへッ!」

 

 キリフダッシュ。

 それは、味方の攻撃に合わせて、特定の数字のマナを支払えばバトルゾーンへ出てくる能力。

 《モモキング》は二連撃を放つT・ブレイカーというだけではない。この能力で速攻でバトルゾーンへ見参する。

 

「やった……! アギトが使ってた切札、出せたッ……!」

「《モモキング》……クソッ、《バイケン》がもう1枚あれば……ッ!」

 

(琥珀のマナは6枚ッ……! ()()()()()()()()()()だが、《モモキング》は選ばれない上にT・ブレイカーだッ!)

 

 《モモキング》が刀を振り回し、琥珀のシールドを一気に3枚切り裂く。

 しかし──砕かれたシールドから光が迸る。

 S・トリガーの予兆演出だ。思わず咢斗もソラも身を固めた。

 

 

 

「ズキズキとイイ痛みだ。興奮した……ッ!」

 

 

 

 恍惚とした笑みを浮かべた琥珀はその1枚をバトルゾーンへ投げ捨てる。

 

「S・トリガー、《フェアリー・シャワー》ッ! 効果で山札の上から2枚を見て、1枚を手札、1枚をマナゾーンに!」

「まだですッ! 《モモキング》は……攻撃の終わりにアンタップしますッ! 貴女のシールドはもう無い、しかも《モモキング》は多色以外のクリーチャーでは選ばれない──お終いですッ!」

「……ば、バカッ! 待てッ! ()()()()()ッ!」

「えッ!?」

 

 しかし時既に遅し。

 ソラは《モモキング》に手を掛けていた。

 そして、桃色の鎧竜は琥珀目掛けて飛び掛かる──

 

 

 

「ニンジャ・ストライク7、《怒流牙(ドルゲ) サイゾウミスト》」

 

 

 

 ──そのすんでの所で、刀は届かなかった。

 突如現れたシールドが最後の一撃を防ぎ切ったのである。

 霧の超人が生み出した幻影だ。

 

「あーあ……」

「え、こ、これって──」

「《サイゾウミスト》が場に出た時、シールドを1枚増やす。その攻撃は止めたぞ」

「ニンジャ・ストライクはマナが増えるごとに使えるクリーチャーの種類が多くなるンだよ……!」

「《ザトー・オブ・ウラギリガクレ》で1枚、そして《バイケン》で1枚ドローだ。さて、準備は全て整った──」

 

 結果的に言えば、この段階では彼女は殴るべきではなかった。

 《サイゾウミスト》によって攻撃を防がれたのみならず、横にあった置きドロー要員によって琥珀の手札は更に増加した。

 現在、琥珀の手札は合計10枚。 

 今まで散々に受けた痛みが全て、防御壁となって彼女を守ろうとする。

 

「傷がズキズキ、あの頃を思い出す。疼くぞ、私の全身の傷がッ!!」

「く、来るッ……!?」

「な、何なんですかあの人……ッ!」

「剣琥珀……俺様の元・仲間の一人にして──」

 

 山札に手を掛けた琥珀の目は──恍惚としていた。

 頬は発情したように上気しており、口からは絶え間なく息が漏れ出ている。

 

 

 

「あァ、このズキズキは生の証ッ!! 銃創、それだけが私を奮い立たせるッ!!」

 

 

 

「──超・ド変態のドM豚女だッ!!」

(えええええ……)

 

 変態ドM豚女──剣琥珀は自ら引き寄せた切札を意気揚々と呼び出す。

 それは 主の痛みを魔力に変換し、世界さえも一変させる蒼き神の龍。

 時を巻き戻すのみに留まらない。時さえも書き換えてしまう時間の龍──

 

 

 

I need you so(私にはお前が必要だ)──《蒼神龍チェンジ・ザ・ワールド》ッ!!

 

 

 

 ──それが降臨した時が全ての転換点。

 現れたのは、銃創さえも力に変える全身が蒼い重蒼龍。

 展開された魔方陣に琥珀の手札を吸い込んでいく──

 

「《チェンジ・ザ・ワールド》の効果発動ッ! 巻き起こるは奇跡の大波──手札を全て捨てて、その数だけシールドへ変換するッ!」

「待ってください、今手札の枚数って──」

「9枚だ。合計9枚が私のシールドゾーンへ加わるぞッ!」

 

 壮観であった。

 一気に9枚のシールドが並んだのである。

 回復どころではない。超回復も良い所だ。

 やっとの思いで削り切ったシールドが全てソラは最早戦意を失ってしまっていた。

 

「そ、そんな──ッ!?」

「そして、私は手札から《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》を捨てていた。これで山札と墓地をシャッフルして回復だ」

「《チェンジ・ザ・ワールド》と《悠久》……だから、悠久チェンジって言うんですかァ!?」

「そうなるな。私の守りは鉄壁だ。もう誰にも破らせはしない。【SWORD】の精鋭をナメるなよ」

 

(参ったな──初心者にこの対面はキツすぎたか──)

 

「……まだです」

 

 少女は小さく呟いた。

 声は震えている上に、拳を強く握り締めている。

 しかし。目はキッと真っ直ぐに相手を向いている。

 

「ソラ──」

「相手のシールドが10枚以上あったとしても──全部砕けばいいだけですッ! そうでしょう、アギトッ!?」

「……あァ。まだ諦めちゃァいけねェなッ!!」

 

(そうだ。こいつが諦めてねェ時に俺様が諦めてどうするンだ──)

 

「……4マナで《ドンドド・ドラ息子》を召喚ですッ! 効果で、《モモキング》をもう1枚手札に加えますッ!」

「殴って来い。殴らないと勝てないだろう?」

「いいえッ! 手札が無いとデュエマは何も出来ない──アギトのデュエルを見て、私も学習しましたからッ!」

「チッ──」

 

 この通り、今の琥珀は《チェンジ・ザ・ワールド》の能力で手札を全て捨ててしまったため、何もすることが出来ない。

 今のこの状況で彼女にターンを渡しても、彼女は何も出来ない──

 

「私のターン。マナにカードを置いてターンエンド──ふっ、シノビさえ引けばすぐまた私のペースだ。何も焦る事は無い」

「いいえ、もう()()()()()()にはさせません。畳みかけますッ!」

 

 強靭と化した琥珀の防御網だったが、それは相手が攻撃して来ない限り数ターンの隙を生むことを意味していた。

 引いたカードを見やったソラは、このターンが勝負だと判断する。

 

「《ドンドド・ドラ息子》は……手札の火のジョーカーズのコストを2減らせます……ッ! そして、《アイアン・マンハッタン》……この子も自力で軽減が出来るッ!」

「ッ……《マンハッタン》!? おのれ、引いていたのかッ!」

「ジョーカーズ・オーバー・エクスプロード……火のジョーカーズの必殺技だぜェ。コスト軽減する代わりに、ターンの終わりに山札の一番下に行く。そして、この能力は()()()()ンだぜッ!」

 

 ガコン、ガコン、ガコン。

 

 音を立てて《アイアン・マンハッタン》に刻まれていたコストが次々に下がっていく。

 本来は9コストの大型クリーチャーだが、次第にそれは下がって行き──コスト5まで激減した。

 

「5マナをタップッ! 《アイアン・マンハッタン》を召喚ですッ! 効果で相手のシールドを2枚残して全てブレイクしますッ!」

 

 そう、これならば最早シールドの枚数は関係ない。

 《アイアン・マンハッタン》により、琥珀のシールドは一気に7枚も叩き割られてしまった。

 残るは《モモキング》による二連撃を叩きこむのみとなる。

 しかし──元より悠久チェンジとは防御型デッキ。

 S・トリガーもそれなりに詰め込まれており──

 

 

 

「S・トリガー、《謎帥の艦隊》。マナゾーンにカードが4枚以上あるから、相手のクリーチャーを3体選んでバウンスする」

「えッ……!?」

 

 

 

 次の瞬間、《マンハッタン》と《ドラ息子》が再び消え失せた。

 だが、もう一度踏んでしまったアクセルは止まらない。

 いや、止められるわけがない。増えた手札で相手が何をしてくるか分からないからだ。

 ソラは勢いに任せて《モモキング》を走らせる。

 二刀流が彼女を襲い、残るシールドも叩き割ろうとする。しかし──

 

「ニンジャ・ストライク5、《佐助の超人》で《バイケン》を捨てる。そして、《バイケン》を再び場に出すッ!」

「また出てきたッ……でも《モモキング》は選ばれませんッ!」

「だろうな。だから《佐助》を戻す」

「……なら、これでトドメですッ!」

 

 《モモキング》の二刀流が残る琥珀のシールドを切り刻む。

 そして──再び《モモキング》が返す刀でトドメを刺そうとする──

 

「引けたぞ。今の《佐助》のおかげで《サイゾウミスト》がなッ!」

「なッ……!?」

 

 ──しかし、その攻撃は通らない。

 再びシールドの幻影が現れて、またもやダイレクトアタックは通らなかった。

 

「クソッ、《メメント》殿堂でくたばったと思ってたが、まだ生きてやがったのか……ッ!」

「くたばる訳が無いだろう。私の悠久チェンジは不滅だッ!」

 

 カードを引いた琥珀は、すぐさま《バイケン》で殴りかかる──

 

「ま、まだシールドは5枚ッ! 耐えきれますッ!」

「終わらせてやるッ! コスト5以上の水のドラゴンで革命チェンジだッ!」

「か、革命チェンジ……!?」

 

 ソラの脳裏にはこの間の《レッドギラゾーン》が浮かんだ。

 忍封龍と入れ替わるのは、鐘の音を鳴らして降臨する時空龍。

 その咆哮が、全ての時間を止める──

 

 

 

The end──《時の法皇 ミラダンテⅩⅡ(トゥエルブ)》ッ!!

 

 

 

 

 ──次の瞬間、全ては停止した。

 そして、《ミラダンテ》の攻撃が全てを静止させる。

 その能力は、ファイナル革命により相手はコスト7以下のクリーチャーが出せなくなるというもの。

 それはS・トリガーであっても例外ではない。

 

「S・トリガー、《発明オジソン》──」

「《ミラダンテ》の効果発動だッ! 相手はコスト7以下のクリーチャーを召喚出来ないッ!」

「そんなッ!?」

 

 そのまま時間龍の放つ無数の剣がソラのシールドを全て叩き割る。

 続けさまに《バイケン》のW・ブレイクがシールドを持っていく──

 

「そ、そんな、後少しだったのに──」

「惜しかったか、クソッ──!!」

 

 

 

 

「──《チェンジ・ザ・ワールド》でダイレクトアタックッ!!」

 

 

 

 トドメを刺したのは、重蒼の時間龍の魔法攻撃だった。

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