ありふれた職業で世界最強と召喚教師!!リアルバウトハイスクール 作:arcgun
遂にトータス召喚!!忘れ物はないかっ!!
暗闇の中、南雲ハジメは腕の中で気を失っている白崎香織を抱きしめながら急速に小さくなる光。
手を伸ばしても届く筈もなく、神気を練り上げながら走馬灯のように自分がファンタジーと言うには些かハード過ぎるこの世界に喚ばれた時の事を、そして現在進行形で味わっている不幸の始まりを思い出していた。
月曜日それは1週間で最も憂鬱な始まりの日。
これは誰にも当て嵌まるだろう。南雲ハジメもそれは例外ではない。しかも、中学からの親友の頼みでこの日だけは飛天道場の鬼塚先生より送られた、鉄芯入りの木刀を学校に持って来て欲しいと頼まれているのだ。
その日だけはその親友も馬鹿みたいな大きいサバイバルパックを担いでくるのだ。中を一度見せてもらったか今から何処かの秘境にでもキャンプする積もりかと思う程に、膨大なサバイバルグッズが入っているのだ。親友曰く今月中に使わなければ後は大丈夫と言っていたが。
まぁ、あの親友の突飛な行動は今に始まった事ではない。今回も、最後には飽きたとか言っていつも通り自分を含めた友人でサバイバルパックの中の食料品を分け合って食べて終わりだろう。
それよりも、南雲ハジメにはこの月曜日は違う意味で憂鬱な日なのだ。
8時過ぎ。この時刻に到着した時点で彼に逃げ道はないのだが、無駄な抵抗とは思いつつ極限迄気配を殺しながら勇気を振り絞って教室の引き戸を開けた。
「南雲くん、おはよう今日はギリギリだねっ!遅刻するかと思っちゃった。」
Sideハジメ
いた~っ!なんでこの娘は僕の気配が認識出来るんだ!?
いつも通り、彼女の挨拶を受けると緊張しながらも挨拶を返した。
「おはよう白崎さん、木刀を取りに一度家に戻ったから、少し遅れそうになったよ。」
白崎さんと挨拶を交わしていると檜山くんたちが少し駆け足で入って来た。
「ようっ!南雲おはようさん。まだ大丈夫だよな?」
「「「ウッス、ハジメん。おはようございます。」」」
「う、うん時間は大丈夫だけど、近藤くん斉藤くん中野くんいつも言ってるけどさ。同級生なんだからそんなに畏まらなくても良いんじゃない?」
「いやあ、ハジメさんに挨拶する時はちゃんとしないと。なぁ斉藤?」
「そうっすね!ハジメさんに挨拶ッスから。だろ中野?」
「そうですよ!ハジメさんへの挨拶ですから。」
「・・・それで本音は?」
「「「今月、発売予定のゲームのβ版はありませんか?」」」
「大丈夫、ちゃんと持って来たから。後で配るからねっ!!今回は皆がモーションキャプチャーの手伝いとデバッグ取りを手伝ってくれたんで父さんたち喜んでたよ。」
「「「よっしゃあっ!!」」」
八重樫さんと龍太郎くんそして谷口さんと中村さんに清水くんのいつものグループが入って来た。
「おはよう、香織。又、南雲くんに絡んでいるの?」
「むむっ、幾ら雫ちゃんだからってひどいよね!」
「よお南雲、草薙の奴見なかったか?さっき朝練の光輝に聞いたんだが、まだ学校に来てねぇらしいんだわ。」
「えっ、まだ来てないの?このままじゃ遅刻扱いになるよ。」
「エリリン。どうせ、ベニコが起こすの失敗したんじゃないかなっ!あっ、おはようカオリン!」
「おはよう。鈴っ!」
「鈴ったら、またホァンニャンさんの事ベニコ呼ばわりして、怒られるよ。おはよう、皆。」
「ホァンニャンさん名前の事弄られるの大嫌いだもんね。おはよう、檜山くんハジメくん。」
「おう、清水に中村おはよう」
「清水くん、中村さん。おはよう。」
そして、天之河くんが引き戸を開けて姿を見せた瞬間?
「おはよう、皆っ!?ぎょぺっ!?」
真横から大きな影にぶつかられてその姿が扉から消えた。
「ふぃ~っ!なんとか遅刻しないで済んだ!皆、おはようっ!」
それは巨大なサバイバルパックを背負った草薙くんだった。
「あれ?どしたのみんな?ポカーンとしちゃって鳩がガトリング喰らったような顔してんぞ?」
廊下から愛子先生の悲鳴が聞こえてきた。
「天之河くんっ!どうしたんですかっ!?壁に叩きつけられたみたいになってますよっ!」
僕たちは草薙くんを見ながらため息を一斉に付くと
「「「「「とりあえず、天之河くん(さん)に謝れ(謝りなさい)。」」」」」」」
と突っ込んだ。
その時初めて、天之河くんを轢いた事に気付いたのだろう。草薙くんは顔色を変えて愛子先生を手伝い天之河くんを起こした。
Side武尊
「すまん。天之河悪気はなかった。つい急いでいたもので周りを確認してなかった。大丈夫かっ!?」
俺は天之河を起こしながら神気を流し全身の状態を回復させた。
「草薙、お前巫山戯るなよ!あんな大きなリュックなんぞ背負って全力疾走したら危ないだろうかっ!」
「いや、これはリュックではなくサバイバルパックというものだ。それはともかく怪我はなかったか?」
「あ、あぁさっきまで少し身体に痛みがあったが今はなんともない。それどころか大分身体が軽いんだが。」
「そうか。なんともないなら良かった。」
「草薙くん、天之河くんに何したの?」
「雫さん、何の事か解らないな。」
「いや草薙、お前わざとぶつかっておいて起こす際に神気を天之河に流し込んだだろ?」
「ぶつかったのはわざとじゃないさ。本当に偶然さね。起こした際に神気を流し込んだのは、まあアレだわ。あのままじゃ全身痛いだろうからちょっとした詫びさ。檜山。」
「ふーん、まあいいや。それより後ろ見た方が良いぜ?」
「なん・・・だ・・・。」
後ろを振り返った俺の目には両腕を組みいかにも私怒ってます!と自己主張している愛子先生の姿が映った。
「草薙くん、駄目ですよ!大きさ荷物を背負ったまま全力疾走しちゃ駄目です!良いですか?ましてや廊下は走るなんてもっての外ですよ!」
「すいません。気をつけます。愛子先生。」
「解れば良いんですよ。以後、気をつけて下さいね。草薙くん。それと皆さんは昼休み教室で待っていて下さい。進路志望のプリントを配りますので。」
愛子先生は教壇に立つと出席を採り始めた。
「あれ?遠藤くん、遠藤くんはいませんか?永山くん遠藤くんは見ませんでしたか?」
「あれ、遠藤の奴遅刻か?うわっ?」
そう答えた永山の肩にポンッと手が置かれた!
「・・・さっきからお前の後ろに座ってたんだけど?愛子先生、遠藤浩介、遠藤浩介登校してます!」
遠藤は涙目になりながら愛子先生に答えた。
「す、すいませんっ!遠藤くん出席ですねっ!」
まぁ、いつもの光景が広がっていた。
そして、運命の昼休みになった。
Sideハジメ
僕はいつも通り10秒チャージできる定番のお昼を取り出してお昼を済ませて、愛子先生からプリントを受け取り、近藤くんたちに父さんの会社のゲームのβ版を配布すると再び夢の中に旅立とうとした。
しかし、僕の安眠を妨害しようとする声が・・・。
「南雲くん。珍しいね。教室にいるの。お弁当?よかったら一緒にどうかな?」
そう、白崎さんの声だ。
「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから、八重樫さんたちと食べたらどうかな?」
頼むっ!気づいてくれっ!昨日は父さんたちの新作ゲームのβ版を一足先にやっちゃってほぼ徹夜なんだっ!
そう思った時に、僕を救う天の声が聞こえてきた。
「おい、南雲どうせお前の事だからゼリー飲料で昼メシ済ませてるだろうから一緒に食おうぜ?」
草薙くんが何故か後ろに紅娘さんを侍らせながらテーブルに一人分とは思えない量の弁当を並べていた。
「草薙くん、私が先に誘っているんだけど?そこの所解ってるのかな?」
白崎さんの後ろに何故か般若さんが野太刀を肩に掛けながら凄んでいるのが見えた。
「そりゃ、白崎には悪いと思うが見ろよこの量っ!とても一人で食い切れねえよっ!頼む、皆俺を助けると思って手伝ってくれっ!」
草薙くんが半泣きになりながら僕の制服の袖を引っ張り始めた。
「だったらさ。皆で食べれば良いんじゃない?」
清水くんが机をくっつけながら話し掛けてきた。
「そうだね。白崎さんもそれで良いかなっ!とてもじゃないけどあの量を草薙くん一人じゃ食べ切れないよ!」
僕は必死の思いで白崎さんを説得した。白崎さんの後ろの般若さんが少しずつ揺らいでいく。よし、もう少しだっ!
「檜山くんたちも一緒に食べない?清水くんは私のお弁当があるから。」
中村さんが檜山くんたちを生贄げふんげふん手伝いに声を掛けた。
「俺たちは、そりゃタダ飯貰えるってんならそれはそれでラッキーだけど良いのか紅娘さんはそれで?」
檜山くんがこんな時に気遣いを発動させた。
おい馬鹿ヤメロ今そのスキルは発動させちゃならないヤツだっ!
紅娘さんは照れくさそうに笑いながら答えた。
「何故か、東方先生が沢山作っていけとおっしゃいまして、エルフさんにも手伝って貰って武尊様の好物ばかり詰め込んじゃいましたっ!やっぱり武尊様お一人では食べ切れないでしょうし良ければ皆様でお召し上がり下さい。」
それならばと一番後ろの窓際の席に皆集まり始めた時、ソレが見えた。
クラスの中央で龍太郎くんと昼御飯を食べていた天之河くんの足元から白い光が広がっていったのだ。
その時、草薙くんがとんでもない行動に出た。いきなり、紅娘さんを窓の外に投げ飛ばしたのだ!そして、サバイバルパックを背負い弁当の蓋をを閉め両腕に抱えると投げ飛ばした紅娘さんに泣きそうな顔でこう叫んだ。
「紅娘、ちょっと行ってくるっ!後は、師匠に従ってくれっ!」
そして、紅娘さんが光で描かれた魔方陣から完全に離れたのを確認すると何時も通りの不敵な笑顔でこう言い切った。
「神様気取りのクソ野郎、俺たちを召喚したのを地獄で後悔させてやる。」
その瞬間僕たちの視界に光が溢れた。
数秒か数分か徐々に教室が色を取り戻した時、教室には既に誰もいなかった。飲みかけのペットボトル等が机のにそのままの状態で置いてあった。
この事件は後に集団神隠し事件として大いに世間を騒がせるのだがそれは又別の話である。
但し、あまりしつこい報道関係者はいつの間にか病院送りにされるという事件が相次いだ。中にはボコボコに潰されたロッカーの中に閉じ込められた姿で発見された者もいた。その上、取材の名を借りた犯罪行為の証拠まで捜査機関に送られ、退院後即逮捕される者が後を絶たなかったという。
何とかプロローグ書き上げました。
ロッカーをボコボコにしたのは一体誰なのか?
捜査機関に証拠書類を送り付けたのは一体誰なのか?
解る人には解りますよね。