ありふれた職業で世界最強と召喚教師!!リアルバウトハイスクール   作:arcgun

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それぞれがやる事やります。
一人称がコロコロ変わります。
意外に楽し~い。(錯乱)


それぞれの道・それぞれの戦い・それぞれの思い

sideハジメ

僕は師匠の弟子の中では、一番最後だから師匠の性格は良く判らないが、こんなに絶望した武尊くん達を見るのは初めてだった。

只、これだけは理解した。親友(とも)が苦しみ絶望している。ならばその絶望を消し去る為に力を貸すのに何の躊躇がある。今こそ魂を燃やす時っ!

 

三日三晩不眠で自転車を作製しました。檜山くんに怒られました。・・・解せぬ。

 

園部さん達が店舗を一軒騎士団経由で探し出してきた。

三階建ての一軒家で大通りから一本奥に入った筋にあり、隣の民家迄セットで購入できたらしい。

資金源は武尊くんの金のインゴット×2。

モットー・ユンケルさんと言う人の商会にメルドさん経由でお願いしたそうだ。

一階を店舗に、二階を従業員休憩室に、三階を神の使徒(クラスメイト)専用のセーフハウスにするそうだ。

隣の民家は更地にして馬車などが止められるようにした。

特に三階は鍵を別にしておく徹底ぶりだった。

それに三階だけは二階を経由せずに一階の店舗から直接上がれるようになっていた。

主に、檜山くん率いる冒険者グループの仮眠室替わりに使われるそうだ。

後、各階には小規模ながらシャワーを設置したらしい。なんでも、魔石を利用して水をタンクに溜めてその水を魔石の力で温めて使うらしい。

僕は清水くんとそのシステムの設計及び施工を行った。

そんな中檜山くんと園部さんって意外と相性が良いのではと清水くんと話したりもした。

小グループなら引っ張って行くのが得意な檜山くんと結構姉御肌な園部さんはお店の話し合いでユンケルさんとよく話したりしていたが、二人ともしっかり利益を上げる為に意見を戦わせていた。お互いを尊重しながら。

その様子を見ていたユンケルさんは夫婦のようだ。と笑いながらからかっていた。

遅くなったが、一階の店舗は園部さんの実家の洋食店『ウィステリア』の内装に似せた。

檜山くん曰く働く場所位思い出のある場所の方が良いだろうとの事。

外装は普通だが耐震・耐衝撃・耐魔術の付加効果をクラスメイトと王宮の魔術師の皆さんと協力して施した。

僕は、王都の鍛冶職ギルドに錬成の修行の為通いだが弟子入りした。

親方のウォルペンさんは厳しいが、自分の実力が上がっていくのが判って不謹慎ながら嬉しかった。

明日はベレッタと357の弾薬を錬成してみよう。

 

side檜山

 

会議場で話し合った次の日の朝、メルド団長に宝物庫のアーティファクトを

配布された俺と近藤礼一、斉藤良樹、中野信治のいつもつるんでる四人は、王宮を後にして冒険者ギルドへ行こうと準備をしていた。

そんな時にアイツは来た。

中学の時から、俺達がハジメの親父さんの所でバイトした後、いつもなんとなく入る洋食店の『ウィステリア』の看板娘の園部優花だ。俺達の最初の出会いは最悪だったと言って良い。

中学の時初めて『ウィステリア』に食べに行った時中野と斉藤がハジメの親父さんとこのゲームの設定の話で盛り上がっていた、

但しそのゲームが18禁のゲームだったのが不味かった。いつもは俺か近藤がやんわりと止めているんだが、その日は徹夜でデバッグ取りを手伝った後で頭が回ってなかったのもあった。

結果、周りのお客さんの様子を見た園部が俺達のテーブルに注意をしに来た。その時は素直に謝ろうとした。

園部の一言がなかったら。

「Hなゲームなんて作らなきゃ良いのに。」

次の瞬間、俺は反射的に文句を言ってしまった。それも最悪の一言を。

「たとえ、頼まれたってこんな洋食店設定にも出ねーよ。」

次の瞬間、俺は銀色のトレイで頭を殴られ、中野と斉藤は完全に喧嘩腰になっていた。宥めている近藤もキレかかっていた。

その時、厨房から園部のお袋さんが出てきて、園部の頭に拳骨を落としたのだ。

そのあまりに痛そうな様子に俺達は一気に冷静になり、慌てて謝罪した。

お袋さんは、ハジメの親父さんとこの社員も来た事があると教えてくれた。

そういえば、あの店を紹介してくれたのはハジメの親父さんだったっけ。

そんな事があって俺達は出禁になると覚悟していたが園部の親父さんとお袋さんが気にせず寄ってくれと言ってくれたお陰でちょくちょく利用させてもらった。

しかし、園部本人とは、あまり口を聞く事はなかった。いつも、俺達が店に行くと必ず注文はお袋さんだったし、配膳も親父さんかお袋さんのどちらかになっていた。

確かに、店内でトレイで頭を殴った客の対応はさせ辛いと思って、何も言わないが。

そんなこんなで、俺達はあまり園部とその友達にはあまり話し掛けた事はなかった。

 

ちなみに、後でその話を聞いたハジメから何でそんなに怒ったのか聞かれた。

ゲームを一生懸命作っているお前の親父さん達の背中が格好良く見えたと言ったら顔を真っ赤にして照れていた。

 

その園部が友達二人を連れて俺達の所に来た。

と言っても俺達は食堂のような場所で、武尊がメルド団長や王宮出入りの冒険者から聞いたギルドの情報を纏めてプリントしたものを見ながら、意見交換をしていただけだが。

アイツは俺達を見つけるなり開口一番とんでもない事を言いやがった。

「檜山くん、私達も冒険者ギルドに登録に行くから一緒に連れてって。」

 

俺は、一瞬何を言っているのか理解出来なかった。我ながら思わず間抜けな反応を返していた。

「はぁ?」

勿論、園部は馬鹿にされたと思ったんだろう。

「ちょっと、聞いてるの?はっきり言わないと解んない?私達も冒険者になるって言ってんの!」

「聞こえてるよ!!何でお前達迄冒険者になる必要があるんだ?判ってんのか?冒険者ってのは危険と隣り合わせの職業だぞ!だから、武尊は比較的戦闘職をメインにして編成したんだろうか!だいたい、店はどうする?世界は違うが『ウィステリア』はお前の店だろうがっ!?」

「私達だって戦闘職なんだけど?一応投術師だし。奈々は氷術師で妙子は操鞭師なんだけど?」

「近接戦闘が出来ねえ奴は無理だ!中野は炎術師、斉藤は風術師だけど近接戦闘はそれなりに出来る。それに対してお前達は遠距離オンリー無理に決まってんだろっ!」

「それに、冒険者になった方が自分達で食材を手に入れ易いでしょ?」

「そこは、俺達に指定依頼をすれば問題ない。」

「じゃあ、聞くけど危険な害獣とか特殊な素材を採れるレベル迄どれくらい懸かるのかしら?」

「そ、それは・・・すぐになってやるよっ!」

「無理ね。それに草薙くんからは、許可を貰ってるもの。つまり檜山くんの意見は通らないわよ。」

「はあっ!?あのバカ何考えてやがる!」

「あのバカはひどいな。檜山ちょっとこっちゃ来い。」

「なんだよ!武尊っ!」

「いいから、いいから。」

武尊の奴は俺を部屋の外迄引っ張ると小声で理由を話始めた。アイツら、最初自分たちだけで勝手に冒険者になろうとしていたらしい。

それを聞いた武尊が慌てて俺達と合流させたってのが理由だそうだ。余りの無鉄砲さに頭痛がしてくる。

ともかく、勝手な行動を取られて騒ぎになるよりも俺達と一緒にして騒ぎを未然に防ぐ方が良いと判断したとの事。

それに男だけのパーティーだとつい危険な依頼でも受けてしまう可能性があるが、彼女達が一緒だと依頼を受ける際にある程度の安全性を確認してから受けるだろうからとの事だった。

そういう理由ならとアイツらと一緒に冒険者ギルドに向かったのだが、アイツらときたらガンガン行こうぜを地で行く突撃思考の連中だった。

俺は、初日で後悔したね。あの時、どんな事になろうと反対するべきだったと。

焦りがあるのは俺達も一緒だと説明しても人の話なんざ聞きやしねぇ。俺達はアイツらが無茶をし過ぎて大ケガをする前に、アイツらの盾になる事を決めた。

そして、案の定アイツら遣らかしやがった。王都の近くで薬草採取の依頼を受けた時の事だった。一匹の四つ目の狼を確認した。四つ目の狼は本来群れで生活する魔物だ。それが一匹だけってのは何かある。そう判断した俺達は、ギルドに報告して改めて依頼を受ける方が良いと決めた。

しかし、アイツらは自分の力を過信していたのだろう、四つ目の狼に攻撃をしたのだ。四つ目の狼は当然逃げ出した。そこ迄で止まってくれたら良かったんだが調子に乗ってアイツら追い掛けちまった。

結果、近くの繁みに何と10匹の四つ目の狼が隠れていて、それにビビってアイツらこっちに逃げて来やがった。所謂モンスタートレインってヤツだ。

こっちは、追い掛けたアイツらを探してそっちの方向に進んでいたから真面に巻き込まれた訳さ。

アイツらをさっさと俺達のパーティーの真ん中に匿って、直ぐさま応戦したが、俺と近藤が少し手傷を受ける羽目になった。俺は左腕を爪が掠ったし、近藤は背中の左側をやっぱり爪で切り裂かれた。俺達のパーティーにはご存じの通り治癒師なんて居ねえから、直ぐさまポーションを使う事にしたんだが中々どうして四つ目の狼の群れは俺と近藤に狙いを付けやがった。

あの時は、俺も近藤も覚悟したね。これまでかって、運の良い事に天之河が王都近くでモンスターを狩る訓練をしてなかったら2人ともお陀仏だったよ。

天之河達が四つ目の狼共を駆逐してくれたお陰で何とか助かった俺達だが、今回ばかりはなあなあで済ませる積もりはなかった。

アイツらは俺達が怪我をしたのを見てパニックになっていたが知った事か。俺はアイツらの頭に右手で拳骨を一発ずつお見舞いした。そして痛みで蹲ったアイツらに怒号を浴びせた。

「馬鹿野郎っ!お前ら冒険者の仕事舐めてんのかっ!?今回は運良く天之河達が近くに居たから良かった物の本来ならあれで死んでたかも知れねえんだぞっ!」

すると、半泣きで園部が謝ってきた。

「ごめん、私がつい一匹だけだから倒せると思って深追いしたばっかりに檜山と近藤に怪我をさせてしまって・・・。」

俺は園部の勘違いを正す為にデコピンを一発かました。

「違えよ。俺が怒っているのはなこんな所で仲間の誰かを死なしちまったら、俺はどの面下げてそいつの親御さんに会えばいいんだって事だよっ!俺達がやってるのはゲームじゃねえ実戦なんだよ。簡単に怪我もするし下手打ちゃあっさり死んじまう。・・・そんな世界に来てんだよ。・・・だから、無理すんな。・・・俺は皆と一緒に家に帰りてぇんだ。」

園部は静かに嗚咽しながら頷いた。

それからは、アイツらは無茶をしなくなった。只、俺と近藤の傷はポーションを飲んで回復したにもかかわらず、傷跡だけは消えなかった。

 

Side園部

 

私たちは王都に三階建ての一軒家を買ってそこを店舗兼冒険者組のセーフハウスにする事になった。

1階の店舗部分は洋食をメインとしたお店にするとの事だった。そして、各階に温水を使えるシャワーが設置された。

南雲くんと清水くんの2人が色々と工夫してくれたお陰で、とても助かった。

なんせ、マヨネーズとケチャップを料理に使うのは良いが食器類が木製なのだ。もしお湯が使えなかったらと思うとぞっとした。

そして、1階の店舗は何故かウチのお店と同じような内装になっていた。なんで、ウチのお店と同じような内装にしたのかを尋ねたら、檜山が働く場所位思い出のある場所の方が良いだろうと言っていたらしい。

 

・・・檜山大介。

私にとってアイツの第一印象は軽薄そうな感じだがそれなりに見られる顔をした人だなという感じだった。

但し、初めて来店した時の事は今でも忘れない。中学校3年の時私は家の手伝いでお店の受付や注文取りをしていた。ある日、開店してすぐに檜山とその友達が四人で来店した。何か徹夜明けの状態で四人の中の斎藤と中野のテンションがえらく高かったのかゲームの話で盛り上がっていた。只、そのゲームが普通の格闘ゲームとかの話なら少し煩い位で済んだのだけど。

・・・アイツらの話していたのは大人向けの所謂エロゲーとかの話だった。設定がどうだのキャラクターがどうだのとか大声で話して馬鹿笑いする始末。

流石に、注意しない訳にも行かず私が注意したのだけど、私も少しイライラしていたのだと思う。つい余計な一言を言ってしまった。

「Hなゲームなんか作らなきゃ良いのに。」

その瞬間、頭を下げようとしていた檜山が怒った顔で吐き捨てるように言った。

「たとえ、頼まれたってこんな洋食店設定にも出ねーよ。」

次の瞬間、気が付いたら檜山の頭をトレイで力一杯叩いていた。

中野と斎藤はすごく怒っていたし近藤も2人を宥めながらも大分怒っていたのが判った。

あの時、お母さんが私の頭に拳骨を落とさなかったら大変な騒ぎになっていたと思う。

私が拳骨を落とされるのを見て中野たちも一瞬で冷静になり檜山をはじめ四人とも謝罪してくれた。

お父さんとお母さんは四人に又寄ってくれと言って四人もたまに食べに来るようになった。

だけど、私はあの四人には接客させて貰っていない。

注文はお母さんが取り、料理を出す時はお父さんかお母さんのどちらかだ。

理由は実に簡単、私が檜山にちゃんと謝罪をしてないから。

両親ともに、私がちゃんと謝罪してないお客さんに接客するのは却って失礼にあたると譲らないのだ。

そりゃ、私だってちゃんと謝ろうとは思っている。

だけど、あの怒りの本当の理由を知ってしまった。南雲くんのお父さんの会社の手伝いをしていて、その作る姿が格好良かった・・・。私がお父さんやお母さんに憧れる理由と何の違いがあると言うのか?それを作らなきゃ良いのに?私は何様の積もりだったのか?

アイツを見る度その事が頭をよぎり私の心をかき乱す。

そんな中、あの四人が冒険者ギルドに登録しに行くと聞いた。それは私たちクラスメイトの中でも危険度が高いと言う話だった。

居ても立ってもいられなくなった私は妙子と奈々を説き伏せて一足先にギルドでの登録をしようとした。

草薙くんにあっさりバレて阻止されたけど。

草薙くんに檜山達と一緒に登録するように説得された私たちは檜山達に良いとこを見せようとして、却って危ない目に遭わせてしまった。

その時のアイツの言葉は実に簡単な事を思い出させてくれた。それは、クラスメイト全員で元の世界に帰るということだった。

 

そして、今はまだ無理だけどいつか必ずアイツにちゃんと謝罪したい。

 

・・・そう思った。

 

Side清水

 

僕と恵里が王宮の図書館に籠もりっきりになって1週間になる。ノートパソコンを使ってトータスの歴史、風習、地理、各地の名物を纏めてプリントアウトしている。

「各地の名物って必要なの?」

「どう考えてもヒイリヒ王国だけで神様をぶん殴るのは、まず無理だからね。周辺の国々を確実に巻き込まないといけない。その為にも相手の風習とか文化を知る事は重要なんだ。」

「『京極』とか?」

「もちろん、彼処には、僕達の先輩達が沢山居るんだから頑張って貰わないとね?」

「意外と知ってる人達が居たりしてね。」

「例えば?」

「南雲慶一郎さん一家とか、草薙静馬さん一家とか後、人間凶器トリオの皆さんとか?」

「・・・オーバーキル過ぎるでしょ。・・・それ。特に最後とか。とはいえ、『京極』は実質鎖国状態、どこの国の使者も受け入れていない。いっそのこと何人かで『京極』に乗り込んで行った方が簡単な気がするよ。」

「神威の拳の使い手だけで乗り込んでみる?」

「色々とやる前ならそれも出来たけど今は無理かな?」

「幸利くん、そういえばさっき調べた《反乱者》の名字ってこの世界の秘境とか迷宮の名前になってるけど何か意味が有るのかしら?」

「・・・この《反乱者》の名字を冠した秘境や迷宮、武尊曰く神様気取りのクソ野郎にとって大きな意味を持っているのかも知れない。」

「どういう事?」

「神様気取りのクソ野郎って長いね。・・・エセ神様でいいや。《反乱者》はエセ神様に喧嘩を売って負けたんだと思う。どこの世界でも次の歴史を書き記すのは時代の勝者だ。だから、《反乱者》として世界の敵認定されましたと残されているんじゃないかな?」

「それがどうして、エセ神様にとって大きな意味があるの?」

「多分、これは想像の域を出ないけどエセ神様をある程度追い詰めたんじゃないかな?その結果エセ神様の影響を持ってしても彼らの痕跡を消し去れなかった。そこにエセ神様を倒すヒントがあるような気がする。」

「もしかして、神様殺しの武器とか?」

「いいや、そんな物有ったらエセ神様が黙っていないだろ?もしかしたら、それぞれに魔法とかを継承するとか?とにかく、データを纏めてしまおう。恵里。」

「そうだね。これがエセ神様の喉元に突き刺す刃とならん事をってね。」

 

side天之河

俺達と言っても永山グループ(永山重吾、遠藤浩介、野村健太郎、辻綾子、吉野真央)と坂上龍太郎、谷口鈴、八重樫雫、相川昇、仁村明人、玉井淳史の他の任務から漏れたメンバーだ。

俺達はメルド団長からこの世界の状況等を説明された後、させられたのは死刑囚の死刑執行と云う名の殺人だった。ご親切に人数分、それも現代法廷でもまず死刑が確定したような連中だった。

・・・人を殺すのは間違っている。

だけど、被害者の家族と話をさせられた。

そこに俺の正義なんて入り込む余地なんてなかった。

食堂を営み自慢の看板娘として元気に育っていた愛娘を犯され殺された両親に何を言える?

罪は生きて償わなければならない?

殺された女の子に落ち度は何もなく死ぬ手前に両親に死にたくないと泣きながら死んだと聞かされて、俺の正義なんて語れなかった。

俺は、そいつを斬る前に一つだけ質問した。

何故、殺したのかと。

・・・質問しなければ良かった。

そいつは、笑いながらこう答えた。

どうしたって、自分の女に出来ない。だから彼女の初めてを奪いその命さえ自分のモノにしたのだと。

 

 

 

 

・・・・俺は、初めて自分の意思で人の命を奪った。

 

その後、被害者の両親から御礼を言われた。

俺は、それに答える事は出来なかった。なぜなら、その場で胃の中を全部吐き出していたからだ。

何で、俺なんだ。

俺だって殺したくなんてなかった。

それでも、殺さなければならなかった。

あの男は、更正の余地なんて端っからなかった。

それでも、俺の中の正義が俺を責め立てる。

 

・・・何故殺した。

・・・・・・お前の正義は平気なのか?

・・・・・・・・・殺す必要はあったのか?

・・・・・・・・・・・・爺ちゃんの正義をお前は汚した。

・・・・・・・・・・・・・・・爺ちゃんを何故裏切った?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・それでお前は平気なのか?

 

発狂直前の俺を抱き締めてくれたのは、殺された女の子の母親だった。

「貴方のお陰であの娘は救われました。私達の自己満足かも知れない。それでも、あの娘を惨めに殺したあの男を許す事はできませんでした。貴方はあの娘の魂だけではなく私達も救ってくれました。だから、もう苦しまないで下さい。」

俺は、泣いた。

子供のように泣き喚いた。

そして、俺は戦いの中で迷う事はなくなった。

そして、王都の近くで魔物を狩る訓練をしていた時、檜山達のパーティーが危険な状況に陥っていた。

俺と龍太郎が先行して、四つ目の狼の群れを殲滅した。

その時、園部が檜山の傷を見てパニックを起こしたのを少し羨ましいと思ったのは俺だけの秘密だ。

俺は、勇者なんかじゃない。人より少しだけ強い力を持った只のガキだ。

それでも、頼ってくれる人が居るのなら精々勇者とやらを演じてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある教皇の悩み

私の名はイシュタル、聖教教会を束ねる者だ。

この所、私にはある悩みがある。

それは食事の時に必ず現れるある存在の事だ。

おそらく、今日の夕食にも現れるであろう。

ちなみに、今夜の夕食は茹でたカルトッフェルにマヨネーズを添えたものを主食に生野菜のサラダに神の使徒が開発したフレンチドレッシングをかけたものだ。

これなら、私のような料理下手でも簡単に出来るメニューだ。

カルトッフェルにはマヨネーズだけでなく場合によってはバターと黒胡椒でも美味しい。

それでは、いただき「イシュタル、此処に居ましたか?」・・・ます。

「ノイント様、何の御用でしょうか?」(ピキピキ、マガジン風)

「いいえ、用と云うほどの事はないのですが。今日の夕食も美味しそうですね?」(無表情でお皿を凝視)

「すまない、ノイント様に私と同じものを。」(メンチ切りまくりでピキピキピキピキ、マガジン風)

「まるで、催促したみたいですいませんね。後、スパーゲル(アスパラガス)の塩ゆでにマヨネーズを添えて下さい。食後には『ウィステリア』から仕入れた紅茶ゼリーもお願いします。」(無表情でいそいそとmyフォークを準備)

「ああっ?」(メンチ切りながらモーニングスターを懐取り出す。)

「食事は楽しむものですよ。イシュタル。」(無表情なのにドヤ顔)

「その食事を邪魔しているのはお前だァッ!!」

私はモーニングスターを振り下ろした。

角度、スピード、タイミング全てが完璧だったのにノイントはトレイを持ったまま後ろに跳躍し壁と天井を蹴りで移動し窓際に無駄に格好良く降り立ちながら、トレイを近くのテーブルに置いた。

驚くべき事に料理は全て平らげていたのだ。

そして、その右手には紅茶ゼリーを皿に盛ったモノを指3本で支えていたのだ。

そして、ヤツは無表情なのに勝ち誇った顔でゼリーを堪能してから窓から帰って行った。

 

 

・・・・・・・二度と来るなっ!




なんとか上がりました。
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