作者は神イントロ以外のネタ的な要素以外をほとんど知りません。にわかです。
恋
それはなんて、甘美な響き。
男なら一度は夢見る、感動的な出会い。
あなたのお相手は?
幼馴染み?クラスメイト?後輩?先輩?
それとも上司?部下?
はたまた禁断の姉?妹?もしかして弟やお兄さん?
お父さんやお母さん?
人の出会いは千差万別。
恋の相手も十人十色。
みんなちがってみんないい。
私の相手?んふ。
私の相手はね・・・・・・
***
フッと我に帰る。
周りを見渡せば、三年間過ごしてきた友人たちや
いつも支えてくれた親や兄弟、慕ってくれた後輩たちの涙ぐむ姿・声が聞こえる。
私も涙を流し嗚咽を漏らす。
体育館の壁際では私たちを導いてくれた先生方も
下を向いたり、上を向いたり様々だ。
けれどそんな時間も長くは続かない。
私たちから見て正面、ちょうど体育館の中央に設けられた簡易的な台。そこに立った二人の男女が交互に言う。
「先輩方、ご卒業、おめでとうございます。」
連れて奥に見える在校生もおめでとうと言ってくれる。
たとえ儀礼的に、感情のこもらない言葉だとしても
状況や雰囲気で涙してしまう。
また、こちらからも在校生・親族・先生方に答辞を送る。
代表の言葉のあとに私たちも礼を繋ぐ。
そして心のなかで繰り返し言う。
育ててくれて、教え導いてくれて、
支えてくれて、本当にありがとう。
***
私たちの卒業式が終わって数日が経った。
しばらくの間は学生気分が抜けないだろうが
それも時期に慣れたものになるだろう。
それよりも私は、ある予定のために外出している。
それは、愛の告白のためだ。
繰り返そう。
愛の!
告白のためだ!!
卒業式のあった日、きっともう会えないだろうからと
三年間想いを寄せていた彼女に伝えようと思った。
けれど、私も彼女もそこまで時間はなく、それでもなんとか今日にまた会おうと、伝えたい言葉があると言った。
すると彼女は
「わかった、私も言いたいことがあるの。」
と了承してくれた。
感極まりそうだった。
おめでたい私は「もしかしたら彼女も私のことを・・・・・・」と考え、そんな都合のいいことはないと思いながらも都合のいい考えを払拭できずにいた。
待ち合わせの場所は
学校から近すぎず遠すぎない自然公園に14時、東広場のベンチ前だ。
私は少し駆け足ぎみに向かった。
***
自宅への道でもなく、学校への道でもなく、
当てもなくフラフラと歩く少年がいる。
その背中にはたしかなる悲壮感が漂い、俯いた顔からは絶えず滴が滴り落ちる。
道を歩く少年とは誰あろう、私だ。
私だ。悲しいかな私だったのだ。
なぜ悲壮感を漂わせて顔から滴を落としながら歩いているのか、理由は言わずもがなだろう。
深くは突っ込んでくれるな。
私は今まさに失意のどん底にいる。
志望校に受かったんだから、大学でいい人に会えるさ、
世界には少なくとも10億人以上の女性がいるんだから
くよくよするな。そんな言葉は何の慰めにもならない。
私には彼女だけだったのだ。
私には彼女しか・・・・・・
「・・い・・お・・・い。」
誰かを呼ぶ声がする。
きっとどこかで子供が迷子にでもなったんだろう。
嗚呼、私も絶賛迷子中だよ。
「おい・・・お・・・そこ・・・ないぞ!」
一体何がないのだろうか。
少なくとも私にキューピッドはいないようだ。
マヨネーズは大好きなんだがなぁ。
「おい!そこ滑りやすいから危ないぞ!!」
私の視点はここで一回転した。
『ゴッ!!』
鈍い音がする。
私の意識はここで一旦暗転した。