【休載中】十六夜桜花と黒猫燦のてぇてぇがみたい!【連載版】   作:古代 有朱夢

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本作は【ちやいじ】の2次創作ですわん!
原作URL:https://syosetu.org/novel/217501/


夢を持つ者

オレの幼稚園には大きなイチョウの木がある。

 大きいと言っても、幼稚園児にとってという意味で実際は普通のイチョウの木だ。

 嫁たちと会合した次の日、オレは木影に入り、イチョウを観察していた。

 幹から枝が伸びて、枝は幾十に別れて何枚もの葉をつけている。その葉ひとつひとつに葉脈がながれている。葉や枝の隙間からさす木漏れ日は美しいものであった。幹は太く壮大で世界がこのイチョウを中心に存在しているように感じた。この素晴らしいイチョウの木を嫁と共に楽しみたい。オレはそう思った。

 確か1人が"ねこちゃん"と呼ばれていたはず。

 多分あだ名だよな。本名なんなんだろう。ちゃんと聞いとかなきゃ。

 まあ、園内にはいるだろうし探そう!

 嫁たちは室内系って感じだし、教室にいるだろう。

 オレが教室に入っても、2人の姿は見当たらなかった。

 うーむ、滑り台やブランコに行ったのか?

 オレはそう思い、廊下を歩いていた。

 

「うーむ、いつまで経っても玄関が見当たらない。急に玄関が消える訳ないしなぁ。」

 

 そう呟きながら、ぶらぶら歩いていた。

 

「あ、そらちゃん!」

 

 オレの嫁のうちの1人が話しかけてきた。

 

「お、おう。あの、だな……。」

 

「天ちゃんも見る?熱帯魚」

 

 もう1人の嫁がオレの話を遮った。

 

「熱帯魚かぁ。うむ、見せてくれ。」

 

「ほら、こっちの水槽にいるだろう。」

 

 オレが水槽の中を覗くと背は青っぽい銀色でキラキラと輝き、尾びれは絵の具のように濃い赤色の魚が中に入っていた。あぁ、美しい。俺はそう思った。

 まるで別世界のような生き物がオレの目の前を泳いでいる。とても綺麗だ。

 

「綺麗だ。」

 

「気に入ってくれて、嬉しいよ。」

 

「かわいいよね。」

 

「あぁ、そうだな。でも、お前たちも可愛いぞ!」

 

「あはは、 じょうだんは じゅうぶんだよ」

 

「冗談じゃないんだが……。」

 

「ところで、どうして昨日は俺たちに絡んできたんだ?」

 

「それはだな。オレの嫁センサーに反応したからだ。オレの夢はハーレムを作ることだ!」

 

「はーれむって?」

 

「ロマンだ!」

 

「ろまん?」

 

「天ちゃんは色んな言葉を知っているんだね。」

 

「まあ、そうだな。ところで、嫁たちの名前を教えてくれるか?」

 

「ふえ?」

 

「あれ?言っていなかったっけ?ごめん。黒音小宵って名前だ。」

 

「わたしは さくら!」

 

「了解した。」

 

「話を戻して悪いんだけど、どうして天ちゃんさハーレムを作りたいんだ?」

 

「それはだな、皆が幸せになるためだ。」

 

「へ?」

 

「1人だけが選ばれる世界というのは本当に虚しい。片方だけが得をし、もう一方は辛い。そんな世界は嫌なんだ。何方もが幸せになるエンディングをオレは望んでいる。」

 

「ふむ。でも、ハーレムを作ることが本当にどちらもの幸せに繋がるのか?」

 

「それは……。」

 

「むー。 よくわかんないけど そらちゃんの およめさんなら たぶん たのしいよ〜」

 

「へ?」

 

「だって、 そらちゃんは おさかなさんの きれいさが わかるでしょ?」

 

「お、おう。」

 

「なら、 だいじょうぶ!」

 

「はは、さくらちゃんが言うと説得力があるや。まあ、頑張ってよ。夢を叶えるために。」

 

「うむ。それで、嫁たちに見せたいものがあるんだが……。」

 

「何を見せてくれるの?」

 

「イチョウの木だ。」

 

「へ? イチョウの木って園の庭にあるやつ?」

 

「あぁ。まじまじと見たことはないだろう?」

 

「いいね。 たのしそう。」

 

「うむ。それじゃあついて来てくれ。」

 

 廊下を進もうとすると、さくらが声を出した。

 

「そっちじゃないよ?」

 

「うむ、そうであるか。」

 

「そらちゃんは おっちょこちょいだなぁ」

 

「うむ。そうやもしれんな。」

 

 仕切り直し、もう一度進み直す。

 イチョウの木の下に着いた。

 

「幹がしっかりしてるだろう?」

 

「そうだね。 おっきい!」

 

「上を見るとどうなっている?」

 

「すごい、きれい!」

 

「そうだろ!」

 

「本当だ。綺麗だ。」

 

「そらちゃんは きが すきなの?」

 

「あぁ。」

 

「どうして?」

 

「なんていうか、オレが持ってない強さがあるからかな?」

 

「へぇ。」

 

「ハーレムを作るなら、どっしりと中心に構えてなきゃダメだろ?」

 

「そうなのか。格好良いな。」

 

「そらちゃんは かわいいよ?」

 

「あぁ、可愛いくて格好良い。」

 

「可愛いは要らないんだが。」

 

「いいの! そらちゃんは かわいいの!」

 

「はい……。」

 


 

 天ちゃんは凄いなぁ。しっかりと夢を持っていて。俺も何か夢を見つけないと。

 この世界になんでいるんだっけ。

 確か、タイムトラベラー曰く、よく分からないサンタに転生させられたんだったか。

 だとすれば何故、俺は転生したんだ?

 うーむ。分からない。

 もしかしたら、意味なんて無いのかも知れない。

 ただ、サンタの遊びなんじゃないだろうか。

 さくらちゃんや天ちゃんと遊んでいるのは楽しいし幸せだ。それでも、ずっと一緒にいる訳にはいかないだろう。

 天ちゃんはハーレムなんて言っているが、同性婚は現行民法では許されていない。いつかは、それに気づき夢を諦めるだろう。さらには多重婚も認められていない。

 天ちゃんの夢が叶ってほしいと俺は思う。だけど、そんなことは出来ない。

 でも、本当に出来ないのだろうか?

 木を見上げてる天ちゃんは可愛いらしい笑みを浮かべている。

 この笑顔を守ることが俺には出来ないのか?

 何か方法がないのか?

 やはり、天ちゃんを救うには法律を変える必要がある。そのためには、どうしたら良い?

 社会に影響を与えるような地位に着く。そうすれば、世間の結婚観を変化させることができる。

 社会に影響を与える地位の中でも、何を目指すのが良いだろうか。政治家だろうか。資本家だろうか。芸能人だろうか。

 政治家は正直、向いてないと思う。第一、自らの友のために法律を変えようだなんて人物が政治をしてはいけない。もっと、世の中を良くしようという人がなるべきだ。

 資本家というのは、悪くはないと思う。ただ、日本だと金持ちは嫌われるから余り良くないかもしれない。

 そうなると、芸能人になるしけないか。子役なら今の俺でも十分やっていけると思う。ただ、成人した後、本物の女優になるなんて俺には出来ない。

 別の道を考えなくてはいけない。MyaTuber 。2005年現在、一般人の俺には一切、情報が入ってきていない。しかし、その存在はいづれ社会に大きな影響を与える筈だ。

 幸いなことに今世の体はとても愛らしいもので、これからみゃあチューブで活動をするのにピッタリな筈だ。

 でも、MyaTubeで活動するなら、可愛いだけじゃきっと戦っていけない。色んな国や地域を相手にできるようにしなくてはいけない。それに、強みが必要だ!

 目先の目標は俺の強みを見つけるか作ることだな。

 

「よし、頑張るか!!」

 

「うん、何を頑張るんだ?」

 

「内緒だ。」

 

「教えてくれよ!」

 

「ねこちゃん。 おしえて!」

 

 愛らしい瞳で天とさくらちゃんが見つめてくる。うー。言いたい。言いたいが、言っちゃダメだ。

 

「お・し・え・て!」

 

 ああああああああああああああああああああああああ!

 言いたい。

 言おう!

 言うしかない!

 こんな、可愛い娘に隠し事なんかできる訳ないだろう! こちとら学生時代、盛大な告白をかまして散々に振られとるんじゃい!

 いまさら、黒歴史の一つや二つ増えたところで関係ない!

 

「どうやったら、天の夢を叶えられるかなって考えてたんだ。」

 

「へぇ。」

 

「それで、インフルエンサーになろうかとおもって。」

 

「いんふるえんさーって かぜみないな やつ?」

 

「それはインフルエンザだよ。インフルエンサーってのは社会的に影響力がある人。」

 

「しゃかいてき? えいきょうりょく?」

 

「さくらちゃんは好きな俳優さんとかアイドルっている?」

 

「うん、いるよ!」

 

「そんな感じで、キラキラしてる人をインフルエンサーって言うんだ。」

 

「へぇ。アイドルになるんだぁ。」

 

「いや、そういうわけじゃなくて……。」

 

「ねこちゃん、おうた しょうずだもんね!」

 

「えっと、ちがって……。」

 

「黒音よ。君がアイドルになることと、オレの夢を叶えるのとどう繋がるんだ?」

 

「え、いやぁ、その……」

 

「ただ、ずっとオレと一緒にいてくれたら良いんだ。」

 

「いや、でも……。」 

 

「でも?」

 

「この国では、多重婚は認められていないんだよ!」

 

「うむ。まあ、そうだな。しかし、認められていないなら認められるようにすれば良いだろう?」

 

「だから、そのためにインフルエンサーになろうと思ったんだ。インフルエンサーになれば、社会に影響を与えられて、多重婚も同性婚も認められると思うんだ!」

 

「なるほど、そういうことだったのか。でも、黒音だけに任せるのはオレのポリシーにあわん! オレも一緒にやる!」

 

「よくわからないけど、 わたしも やる。」

 

「さくらちゃん……、天ちゃん……。」

 

「オレの夢を叶えるためなんだから、オレが助けるのは当然だ!」

 

「天ちゃんだけじゃなくて、みんなの夢!」

 

「うん。 みんなの ゆめ!」

 

「うむ、皆の夢か。」

 

「ねこちゃんと、 わたしと そらちゃんとで  アイドルに なって みんなが しあわせに   なる!」

 

「え、あ、いや、アイドルになる訳じゃなくて……。」

 

「うん? アイドルになるのではないのか?」

 

「えっと、その今から十年後くらいに個人のテレビチャンネルみたいなのが流行るようになる。」

 

「どうして、そんなことを しっているの?」

 

「えっと、その……。」

 

「まぁ、黒音にだって、言いにくいことがあっても可笑しくはないだろう。まぁ、話せるようになったら教えてくれよ。」

 

「え! あ、うん。」

 

「いつか ぜったい おしえてね!」

 

「うん。分かった。」

 

「まあ、その個人チャンネルみたいなやつが流行るまでは特にやることはないな。」

 

「いや、出来れば色々な言語を習得しておきたい。あと、それなりに発声とかの練習もしておきたい。」

 

「資料はどうやって手に入れる?」

 

「インターネットの動画で……。無理だよな。」

 

「どうにかして、手に入らないものか……。」

 

「ふたりは どれくらい えいご できるの?」

 

「一応、中学英語くらいならできるな。」

 

「オレもそれくらいだ。」

 

「それじゃ、しりょうが みつかるまで わたしに えいご おしえて!」

 

「あぁ、わかった!」

 

「ねぇ、 えいごって Englishのことです⁉︎」

 

「あぁ、そうだが……!!!!!」

 

 俺が返事をした先には、ブロンドの美しい髪をなびかせる美少女がいた。

 

 




 最後に登場した女の子は誰なんでしょうね。(すっとぼけ)
 今のペースじゃ、いつまでも主人公がVにならない。
 一話一日ペースだからね。
 何処かに加速を入れたいけど、小学校編は丁寧に書きたいし。2013年頃からはガチで書きたいし、飛ばせるところがない。
 黒音小宵の憑依転生者が元々住んでいた世界は、黒猫燦はいないが生芋生(わかる人はわかる略称)が存在し、MyaTubeも存在する世界線の住人。

 うちの作品略称は

いくてぇ!
ざよくろみ!
桜猫みたい
温帯
on Thai

 
 

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