「ここまで来れば、安全だろ」
そう言いながら新堂さんはそのまま変身を解いて、こちらに振り向く。
「なぁ、あいつは何者か知っているのか?」
「あぁ、奴はルイ・ディビエル。
この世界へと変わった瞬間に現れた不死身のディビエルだ」
「不死身って、どういう事なんですか?」
その言葉に響は思わず聞いてしまう。
「奴とは既に戦闘を行ったのだが、倒す事ができなかった。
強固な糸の他に何度も攻撃を行っても、致命傷を与える事ができなかった。
残酷かもしれないが、心臓に首。
それらを切り落としても、すぐに再生してしまう」
「そんなの、どうやって、倒せば良いの」
そう言い、その場にいる全員が頭を悩ませる。
「ディビエルという事は、奴は物語では倒されるはずなんだよな?」
ディビエルがこうして存在している以上、物語の中では倒される存在。
「けど、モンスターパニックのように無敵な敵の可能性はないの?」
朝田はそう言い、ディビエルの可能性について話したが
「その可能性はある。
だが、不死身という事以外では戦闘能力は高いが倒せないレベルじゃない。
そこから考えれば、奴を倒す可能性は決して低くない」
「だとしても、どうやって調べるんだ?」
「何か、この町で起きた変化を探せば良いんじゃないか?」
朝田の時と同じくアミュスフィアのように大きな変化があるはずだが
「そんな変化はある訳」
「あれ?
こんな食堂あったけ?」
「すぐに見つけたな」
そこは見たことのない定食屋だった。
登校している時によく通る事もあって、絶対に見るはずの店だった。
だが、記憶ではそんな定食屋がなかったはず。
そうしている、響の腹から音が響く。
「っ」
「・・・とりあえず食事するか」
「・・・そうね」
「さて、何を食べるか」
その事について、全員は聞かなかった事にして、そのまま店の中に入っていく。
店の中は人は結構いるのか、賑やかな様子だ。
「あっいらっしゃい。
お席はこちらにどうぞ」
「あっはい」
そう言い、俺達は店員に案内され、そのまま席に座った。
見た感じ、特に変わった様子もなかったが
「何かあるか?」
「普通の定食屋だね。
でも、こんな所にあのディビエルのヒントがあるのか?」
そう言いながら、俺達は周りを見つめるが
「うぅ、だって、爺ちゃんの話は本当なんだよ」
「また、その話?
いい加減にしなさいよ」
ふと、聞こえてきた声に俺は耳を傾ける。
「そんなのあり得ないでしょ。
不死身の鬼に対して、力を合わせて倒したなんていう話なんて」
「えっ!!」
俺はそう言い、すぐに詰め寄る。
「えっ!?
何です!?」
「ごめん、聞きたいんだけど、さっき不死身の鬼って言った!?」
俺はすぐに詰め寄るが、女の子は少し驚いて目を見開いてる。
「なんですかあなたは?」
そう言いながら、俺に対してすぐ隣の男の子はこちらを睨んでくる。
「あっ悪い。
いや、その鬼の話をしていると聞いたから、少し気になって。
そういう小説を探していたから」
いきなり聞いてくるのは驚いたのか、そのまま無難な理由を言ったが、それでもこちらを見つめる目は怪しいままだ。
「まぁ、私の所の曾おじいちゃんの嘘話ですけど。
人食いの鬼が昔いたらしくて、曾おじいちゃんとその仲間が鬼のボスを倒したというよくある話ですよ」
「・・・」
まだ確定じゃないけど、もしもそれが嘘話ではなく、本当に起きた話ならば。
そして、舞台が現代ではなく遙か過去の可能性が出てきた。
「それで、その鬼というのは一体どうやって倒したんだ?」
「なんで、そんな事を聞いてくるの?」
そう言ってこちらを怪しむ女の子に対して、俺は冷や汗をかいてしまう。
「いやぁ、小説の参考にしていてね。
参考にしていて」
「ふぅん」
そう言いながら、未だに怪しんでいる様子だけど
「えっと、確か曾爺ちゃんの話だと、太陽に当てて倒すか、山の頂上で一年中太陽の光を浴びた岩で作られたと聞いてるけど」
「そんな場所あるのか」
俺は思わず呟いたが
「そう言えば」
俺が思わず首を傾げていると、もう一人の男の子が上を向き
「この前、先輩と桃寿朗先輩と行った合宿場所の山にそんな岩があったな」
「それは本当なのか!?」
「あぁ、なんだか曾爺さんの話で聞いた場所で印象に残っていたから。
確か、場所は陽光山だったような」
「ありがとう!!」
そう言い、俺はすぐに自分達の席に戻る。
「聞いた?」
「勿論」
「なるほど、鬼か。
見れば確かにルイ・ディビエルの特徴も合っている。
ならば、そこに向かえば、倒す事ができるかもしれない」
「んっんっ、そうだね」
そう言いながら、響は先程注文した料理を口の中に入れていた。
「・・・とりあえず、目的地は決まったら、向かうか」
そう言い、俺達もまた運ばれてきた料理を食べ始める。