「それじゃあ、今はこのLBXに慣れないといけないんだ」
「なんというか、私が言うのもなんだけど、まさかこんなのがあるとはね」
「そうだな、けど、これはこれでなかなか凄いぞ」
そう言いながら、俺はタケルから受け取った紅丸を動かしながら、響と詩乃に見せている。
世界が移動した事もあって、俺とは別に日常生活を送っていた二人から聞くと、LBXの登場自体に様々な影響を受けており、人々の生活は大きく変わったらしい。
人の手のひらサイズのロボットという事もあって、本来ならば人間では通れない場所や危険な場所の調査などおもちゃという枠を超えて、様々な活動を行えるLBXは世界を大きく変えていた。
だが、以前までは過去の世界が変えられたが、以前までの世界とはあまり変わりない様子だった。
あえて言うなれば、GGOなどのゲームぐらいの変化は起きているが、技術がここまで世の中が大きく変わる事はなかった。
「それにしても本当に凄いなこれは」
そう言いながら紅丸を動かしていく。
今はタケルから借りたステージで練習しており、周りにはあまり人が通っていない。
「へぇ、それがお兄さんのLBX?」
「んっ?」
そう練習していると話しかけてきた少年がいた。
緑色の長髪を後ろで一本にまとめている青年がいた。
「誰?」
「そんな事よりも、君のLBXと戦わせてよ」
「えっ、いや別に良いけど」
「ふふっ、楽しみだ」
そう言っていると彼が取り出したのは黒い一つ目のLBXが現れた。
「ベクター戦いの時間だよ」
「行くぜ、紅丸!」
その言葉と共にバトルが始まった。
ベクターと呼ばれている機体は目を赤く光らせながら、その手に持った斧で攻撃を仕掛けていく。
それに対して、紅丸は背中に背負った刀を構え、攻撃を受け流す。
「この衝撃、とんでもないけど」
そう言いながら、紅丸は軽やかな動きで宙に舞いながらベクターに対して攻撃を仕掛けていく。
攻撃力も防御力も、これまで戦ってきたLBXとは比べものにならない。
それでも
「勝てない訳じゃなさそうだ!」
紅丸は攻撃を避けながら、何度も攻撃を仕掛けていく。
「ふぅん、面白いね」
そう言って、ベクターは武器が持っていない手で紅丸に触れようとした。
「っ」
その瞬間、何か嫌な予感がし、そのまま後ろへと下がる。
「一気に決める」
同時に紅丸に備わっている必殺技を発動させるコマンドを入力する。
「必殺ファンクション!」
【怒髪天横一文字斬り】
その音声と共に紅丸が手に持った刀に炎が宿り、そのまま紅丸は走り出し、一閃。
ベクターはそのまま真っ二つに切り裂かれ、そのまま爆散する。
「へぇ、ここまでの性能か。
それに面白いね」
「んっ?」
目の前にいる男がそんな事を呟くと同時にベクターの残骸はそのまま消える。
「えっ、何が起きたの!?」
ベクターが消えた事に驚きを隠せない響はフィールドを見ているが、詩乃は
「あいつ、人間なの」
「何があったんだ?」
どうやら詩乃は何か見ていたのか、目を見開いて、男がいた所を見つめていた。
「あいつ、一瞬で姿を消したわ。
人間じゃないわよ」
「っ!」
LBXのようなロボットだけが変化のはずだが、そんな技術は聞いた事ない。
そう思っていると、ガサガサと音が聞こえる。
見ると、周りにはLBXの大群が現れ、こちらを見つめていた。
「なっなんなのこれ!?」
「これは幾ら何でも異常よ」
「あぁ」
どうやら、思った以上に厄介な事に巻き込まれている。
ここで変身して対抗したいが、今は火炎剣烈火はメンテナンスをしていてない。
「このまままじゃ」
「あれ、戦わないの?
あぁそういえば、今は持っていないんだったな」
「えっ?」
聞こえてきた声、それと共に目の前に迫っていたLBXを切り払い現れたのは一人の少年だった。
「君は」
「せっかくセイバーの戦いが見れると思ったけど、残念。
まぁ、ここは俺がなんとかしてやるよ」
その言葉と共に取り出したのは緑色の剣とワンダーライドブックだった。
「もしかして」
【とある影に忍ぶは疾風!あらゆる術でいざ候・・・】
その音が鳴り響くと共に、そのまま手に持った剣にワンダーライドブックにセットすると
「変身!」
【猿飛忍者伝!双刀分断!】
その音声と共に手に持った剣は二つに分離すると共に襲い掛かってきた敵に対して二つに分かれた刀で攻撃する。
【壱の手、手裏剣!弐の手、二刀流!風双剣翠風!】
目の前に迫るLBXに向けて、吹き荒れる嵐と共に放たれる斬撃は地面を覆う程のLBXを瞬く間に切り裂き、その姿を現す。
【翠風の巻!甲賀風遁の双剣が、神速の忍術で敵を討つ!】
そこに現れたライダーの姿はまさに忍者と呼ぶのに相応しい程に緑色の身軽な姿をしており、足下まで届く緑色のマントに最低限の装甲しかなかった。
「あれが、俺と一緒に調査しているライダー、剣斬」
「それじゃあ、行くよ!!」
その言葉と共に剣斬は走り出すと、襲い掛かっているLBXを切り裂いていく。
体格差で力は圧倒的に剣斬の方が有利だが、LBXは手に持った銃やその体格故に狙い憎い。
だが、剣斬はそれを見せないように、縦横無尽な動きで正確に切り裂いていく。
「俺に勝つなんて、まだまだだね。
さらに、ここで」
そう言いながら、剣斬がバックル取り出したのは別のワンダーライドブックだった。
【かつて“違法稀少種”と呼ばれ、狩りの対象となってしまった幻獣達を護る為に、多くの仲間達と共に躍動した“黒吸血鬼”の王がいた】
「よっと」
【風の忍びが聖剣と交わり身に宿る】
その音声と共に剣斬が纏っていたマフラーは黒いマントへと変わると同時に、その手に持った剣を振り上げる。
「ほらほら、どんどん突き刺すよ!!」
その言葉と共にLBXに向けて放たれたのは牙だった。
次々と放たれる牙の威力は高く、瞬く間に全てのLBXを破壊した。
「凄い」
一瞬の出来事で、思わず呟いてしまう言葉。
だが、同時に感じた圧迫感に、思わず見上げると、そこには
「あれは、LBXなのか?」
そこに立っていたのはLBXだった。
ここまでLBXを数々見てきたので、その特徴から分かるが、その大きさが可笑しかった。
大きさは既に人間と同じぐらいの大きさだが、その姿はこれまで見てきたLBXとは違った。
緑色の光を放った翼、白い装甲などこれまでのLBXとは思えないような姿だった。
「なになに、結構強そうだね!!」
その言葉と共に剣斬はそのままそのLBXに向かって剣を振り下ろすが
「あれ?」
簡単に避けた。
一瞬で攻撃を避けた事に驚きながら、そのままLBXはそのまま手に持った槍で剣斬に攻撃を仕掛けていく。
「うわっ、なんだこいつ!?」
その怒濤の攻撃に驚きを隠せなかったが、剣斬もそのまま反撃をする。
だが、まるで身体がすり抜けるように攻撃を避けていた。
「俺よりも早いのか、こいつはぁ!!」
そうしながら、剣斬はそのまま攻撃を続けようとした瞬間、そいつは自身を飛行機を思わせる形に変形し、その場からいなくなった。
「なんだったんだ、あいつは?」
「分からない、けど」
あまりにも突然すぎる出来事、それらは先程の男が原因かもしれない。
「んっ?」
そう悩んでいると、ポケットにあるスマホから着信があり、メールを見てみると
「・・・」
そこに書かれているのは一つの文章、それは
【アキバハラキングダムで待っている ベクター】
「ベクター」
おそらく、それが今回の黒幕だろう。
なぜか、俺はそんな予感がした。