「まず、お前はこの世界についてどう思う」
「どうって、まぁ色んな世界が混じり合っていると思っているけど」
今でも混ざり続ける世界だが、それが何の関係があるんだ?
「あぁ、そうだ。
裏切った剣士であるカリバーは世界を融合させる事によって、本来ならば作り出す事ができなかったワンダーライドブックを作る事が目的にしている。
だけど、そのワンダーライドブックがどのような物なのか、こちらも未だに謎だ」
「そうなのか」
カリバーが今回の事件にも大きく関わっているのは間違いない。
「そして、飛羽真。
お前はあいつにとっても本当に未知の存在なんだ。
なぜ、あいつが求めていたワンダーライドブックを作り出す力を得たのかは謎だ」
「まぁな。
なんか幼い頃から持っていたらしいけど」
俺はそう言いながら頭を抱えながら言うが
「いいや、お前はそんな力、元々なかったんだよ」
「なかった?
おい、何を言っているんだ」
「俺が中学生の時、お前は確実に普通の中学生だった。
けど、お前がセイバーになったと聞いて、そんな能力を小さい頃からあったと聞いた時は驚きしかなかった」
「いや、そんな訳ないだろ。
だって、響だって、知っているんだぞ」
「その立花響の事でもだ」
そう言い富加宮の言葉に戸惑いを隠せなかった。
「中学生の時、立花響はいなかった。
そして、立花響は本来この世界の住人ではない」
「何を言っているんだよ」
その言葉に俺は思わず聞き返してしまう。
「立花響は、おそらくは、この世界で最初に融合した世界、戦姫絶唱シンフォギア。
その世界の住人であり、中心人物だ。
だからこそ、お前の側にいたという記憶を刷り込まれたんじゃないのか」
「刷り込ませられたって、何を」
「お前も知っているはずだ。
世界が融合すれば、世界の住人は記憶に違和感がないように刷り込まされる。
それは世界の崩壊を防ぐ為の処置であり、それを防ぐにはワンダーライドブックが必要だ」
「あぁ、だから朝田の時にはっ」
その言葉と共に思い出す。
あの時、クラスメイト全員が朝田の事について違和感がなかった。
その中で、俺と響だけが違和感を持っていた。
それが普通で、新堂も、皆も特に気にしていなかったから、思っていなかったけど
「そんな事が」
「あぁ間違いない。
お前が幼い頃から過ごしていたという立花響は、この世界に最初から存在しないんだ」
その言葉に俺は倒れそうになる。
嘘だと叫びたくなる。
だけど、今の富加宮が嘘を言っているとは思えない。
「だからこそ、俺は言えなかった。
お前にとっても立花響はきっと大切な存在だから」
「あぁ分かっている分かっている」
富加宮がこれまで言えなかった訳も、全てが納得できた。
「あぁ、本当になぁ、この世界は嘘だらけかもしれないな」
本物だと思っていた記憶、ずっと一緒にいたと思っていた幼馴染み。
それらが全て嘘だと証明され、俺はどうしようもない程に涙が止まらない。
けれど
「だけど、嘘だろうと、そこには確かな思いがあるんだよな」
「飛羽真」
もしも、これまでの全てが嘘だとしても、そこには意味があるはず。
記憶も響も、俺を騙していた訳ではない。
「響はこの事は」
「・・・知らない。
けど、ある意味、この世界自体も彼女自身が望んだ結果なのかもしれない」
そう言い取り出したのは本だった。
「カリバーが狙っている中で戦姫絶唱シンフォギアの事についても僅かながら記載されている。
そこで描かれている内容では、立花響自身もつらい経験を数多くしている。
この世界は、その原因自体が既になくなっている、だから」
「あぁ、未だに分からない事は沢山ある。
それでも、俺は信じたい。
響に、富加宮の事を」
そう言い、俺は富加宮と向き合う。
「だから、これからも頼む、富加宮」
「あぁ、勿論だ」
そう言い、俺達は握り合う。
「・・・」
「あれ、大秦寺さんいつの間に」
そうして、俺達が話していると、入ってきたのは大秦寺さんだった。
「いや、急いでここを探していたが、まさか既に終わっているとは思っていなくてな」
そう言い、大秦寺さんは顔を逸らしてしまう。
「えっいや、そんな事ないですよ。
大秦寺さんのおかげで、俺色々と助かりましたから」
「えぇ、本当に気にしないでください!!」
大秦寺さんがあまりにも恥ずかしそうに顔を赤くしていたので、俺達は慌ててフォローする。