「はぁはぁはぁ」
ナツキ・スバルは、今、負けられない戦いをくり広げていた。
彼はこの異世界へと転生して、多くの出来事を乗り越えてきた。
唯一与えられた力である『死に戻り』という能力を行ってきたが、その死の先の運命を掴む為に戦っていた。
その中でもロズワール邸での戦いは、その困難に立ち向かっていたが
「くっそ」
それはこれまでにない脅威が迫っていた。
今回の戦いにおいて心強い味方でもある尾上から既に聞いていたが、本来の存在から離れ、怪物になった存在ディビエル。
それがどのように誕生するか分からなかったが
「まさか、こんな事になるとはな」
それは不死身とも言える強敵エルザ。
そのエルザに対して尾上が変身した時に使われた奴と同じ本が吸い込まれると共に、そこには黒く染まった怪物へと変わった。
それがディビエルだと思えたのは、人の大きさまで変わった白鯨を見た頃から予感していた。
未だにやり残して、これから助けに行かなければならない時に。
「諦めてたまるかよ!」
そう言いながら、スバルは必死に走る。
残る可能性である扉は二つ。
片方は既に場所を知っており、もう片方はすぐ近く。
だが、それはディビエルとなったエルザから逃げながら行くにはあまりにも遠すぎる。
「その可能性に賭けるしかないだろ!」
その言葉と共に走り出す。
だが、その決意を砕くように、エルザは瞬く間にスバルの前に立ち、そのナイフを振り上げる。
既に走り出し、勢いをつけたスバルは止まる事ができない。
ならば、突破できるかもしえない賭けに乗ると共に真っ直ぐと突き進む。
そう思った時だった。
「そういう所、嫌いじゃないぜ!」
「っ!」
突然聞こえた声、それと共に目の前にある扉は開かれ、溢れ出る炎はスバルの目の前へと瞬く間に訪れる。
同時にこちらに向かっていたナイフが炎から現れた剣によって、防がれた。
【烈火抜刀!Don`t miss it!
ドメタリックアーマー!ドハデニックブースター!ドハクリョックライダー!
ドラゴニックナイト! すなわち、ド強い!】
「あんたは」
いきなりの事で思わずスバルは目を見開く。
「通りすがりの仮面ライダーだ」
そう言いながら、現れたのはドラゴニックナイトに変身しているセイバーこと飛羽真だった。
「その姿、尾上さんとそっくりの。
まさかあんたがずっと尾上さんが探していた騎士かよ!?」
「尾上さんを知っている?
まぁそれは良いとして、あまり時間はなさそうだけど」
そう言いながら、セイバーが剣を振り上げると、周りにある炎が僅かだが消えた。
だが、その僅かな炎によって、最も困難だったもう一つの扉への道ができた。
「遅れた分は任せろ」
それは罠かもしれない。
普通の人間だったら、それを考えるが
「あぁ、任せた!」
スバルは何の迷いもなく、セイバーを信じて、扉へと向かう。
「ウッアアァァ!!」
「通させないよ!」
その言葉と共にセイバーが取り出したのはディケイド世界旅行記ワンダーライドブックだった。
それをドラゴニック・ブースターに装填する。
【ディケイド!ワン!リーディング!フレイムスパイシー!】
その音声と共にエルザディビエルの背後に現れたのは銀色のオーロラ。
「おらぁ!」
セイバーはそのままエルザディビエルを蹴り上げ、それに続くように走り出す。
「たくっ、本当に厄介だぜ」
その向かった先では白鯨ディビエルと激戦を繰り広げているバスターだった。
ロクでなし魔術講師と禁忌経典ワンダーライドブックの能力によって、白鯨ディビエルの力を強制的に押さえ込み、その力を封じたまま肉弾戦を繰り広げていた。
だが、白鯨ディビエルは見た目こそ人間サイズに収まっていたが、その中身は巨大な鯨の肉を無理矢理、人の形へと変えた存在。
それもあってか、バスターによって傷つけられたとしても、すぐにその肉の部分を押し出して、再生する。
肉弾戦において、バスターは決定的な攻撃を与える事ができずに苦戦を強いられていた。
だが
「はぁ!」
「んっ」
白鯨ディビエルの背後から現れた銀色のカーテン。
そこから現れたのはエルザディビエルで、それに続くようにセイバーも現れる。
「おい、飛羽真!
今まで、どこに行っていたんだ!」
「少し修行を。
それよりも、尾上さん、あいつは」
「ディビエルだ。
さっきから何度も試しているが、思った以上にダメージを与えられなくてな」
「それは確かに。
でも、諦めるつもりはないでしょ」
「当然!
元の世界にはそら、そしてこっちの世界には嫁が俺を待っているんだ。
こんな所で負けてたまるかよ!」
その言葉に合わせるように新たなワンダーライドブック、そして鋼の錬金術師ワンダーライドブックが玄武神話に吸い込まれる。
【Re:ゼロから始める異世界生活】【鋼の錬金術師】【玄武神話】
それらが重なると共に玄武神話は新たなワンダーライドブックへと生まれ変わる。
【家族と過ごす為に巨大な存在に立ち向かった父親!】
【つまりはド級な硬さを持つ】
【つまりド強い!】
「へっ父親か、俺にぴったりじゃないかよ!」
【父屈玄武神話】
その言葉と共に新たなワンダーライドブック鋼鉄玄武神話をそのまま土豪剣激土に装填する。
【父屈玄武神話!
一刀両断!ブッた斬れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土!
激土重版!家族を守る父に、全てを守る手が集い、その大いなる一撃を叩き込む!】
その音声が鳴り響くと共にワンダーライドブックから飛び出たのは何十、何百の黒い腕だった。
その腕はそのままバスターの身体に吸い込まれると共に影の鎧へと作り上げ、漆黒のバスターへと変わる。
「なんだか、悪役みたいな見た目ですね」
「最近流行のちょい悪親父だよ。
それに、このワンダーライドブックから伝わってくるのは家族を守りたい純粋な思いだぜ」
それと共にバスターの左腕を翳すと、無数の黒い手が地面に触れると、そこから巨大な壁で白鯨ディビエルとエルザディビエルを強制的に閉じ込めた。
「さぁ、まだまだ行くぜぇ!!」
その言葉と共にバスターの後ろから作り上げたのは無数の簡易な土豪剣激土だった。
それを黒い腕が掴むと同時にディビエルに向かって、斬りかかる。
「はぁ!」
襲い掛かった土豪剣激土による連続攻撃。
一撃一撃が重く、ディビエル達にダメージを与えていく。
そのダメージを回復させる為に再生していくが、一撃一撃のダメージは大きく、身体の再生が追いつかない状況だった。
「一気に決めるぞ、飛羽真!」
その言葉と共に手に持った土豪剣激土に全ての剣が集まり、人を、木を、見上げるのが難しい程の巨大な土豪剣激土へと変わった。
その土豪剣激土を支えるように、バスターから何百の手が支える。
「えぇ!!」
それに合わせるようにディケイド世界旅行記ワンダーライドブックを取り出すと、その絵柄は変わる。
【希望の魔法使いウィザード!】
そのワンダーライドブックは希望の魔法使いウィザードへと変わった。
「晴人さん。
希望の力、お借りします」
同時に修行の中で出会った仮面ライダーウィザードとの会話。
それと同時に思い浮かべるのは、彼がウィザードとして誕生した経緯を思い出す。
多数の人間を生贄にしてファントムを大量に発生させる日蝕の儀式・サバトによって絶望に追い込まれた晴人のアンダーワールドで誕生した。
その後晴人の全てを喰らい尽くして現実世界に出現しようとしたが、晴人が生きる希望を捨てなかった事で出現する事は無く、現在も晴人の体内で抑え込まれている。
本来だったら、絶望だったはずのドラゴン。
だが、多くの戦いを乗り越えた先で、その絶望の象徴だったはずのドラゴンは、今は希望へと変わった。
だからこそ、禁断の力だとしても、希望へと変える事ができる。
「その為に、俺は強くなる!」
その言葉と共に現れたのはセイバーが変身する時に力を貸してくれるドラゴン。
ドラゴンはそのまま火炎剣烈火に纏い巨大な炎の剣へと変わる。
「「はあああぁぁぁ!!」」
セイバーとバスター、互いの叫び声と共にディビエルに向けて必殺の一撃を放った。
圧倒的な質量による一撃と全てを燃やし尽くす程の炎。
その全てを受け、二体のディビエルは再生が追いつかず、そしてやがて消滅した。
「ふぅ、なんとかなった」
「まったく」
そう言いながら、同時に変身を解除する。
「どうやら、向こうもどうにかなったか」
その言葉と共に見上げると白い光が空を通り過ぎるのを見る。
「どうやら、やったみたいだな、あの坊主」
「えぇ」
それが、勝利した時だと確信へと変わった。