その場所はエキドナが作り出した空間。
その緑が風に揺れる草原の中の白いテーブルで向き合っているのはエキドナ、そして彼女とはもう一人の人物がいた。
「それにしても、無粋だと思わなかったかい?」
そう言いながらエキドナは目の前に現れた存在に対してため息を吐きながら質問をする。
「そうかい?
僕としては、なかなかに粋な計らいだと思ったが」
それに対して、何の悪気もないようにエキドナの質問を答えたのは静鞠だった。
「ダフネの魔獣、吸血鬼の彼女。
あの存在を化け物に変えたのは、君の仕業だろ?」
「あぁそうだよ」
エキドナの質問に対してあっさりと答えると共に取り出したのは複数のアルターワンダーライドブックだった。
「これまではあの爺さんに付き合う形でのアルターワンダーライドブックを作成できなかったが、今はあの爺さんも死んだから、こんな風に好きに活動できるからね」
「飛羽真君から聞いたが、正体不明のはずの怪物。
それがまさか君が作っていたとはね」
「それは違うよ」
そう言いながら静鞠はそのまま自身の手で作り出した黒い闇を見せる。
「ディビエルは元々物語から外れた存在。
それは以外にも誰もが持っている願望であり、僕はそれに少し干渉して作りやすいだけの話だ。
おかげであの爺さんがジャオウドラゴンに必要なアルターワンダーライドブックを作る為のディビエルを作らされたからね」
そう言いながら不満そうに呟く。
「まぁ今はこうやって自由に活動できるからね。
以前は作れなかったディビエルを作る事もできるしね」
「それであのディビエルを作った訳か」
「えぇ、スバル君のおかげで多兎の力を取り込む事ができた。
そのおかげで、これまでできなかったディビエルも作れそうだ」
そう言いながら、これまでのアルターワンダーライドブックを並べながら言う。
「その力を見る為にも、彼を教えた訳か」
「好きだろ、そういう知識は」
同時に彼女達の前に映し出されたのはとある風景だった。
「そして、彼がこの世界で手に入れるだろう禁断の書、プリミティブドラゴン。
あれは僕でも手を出せない程の呪いが詰まった厄介な本だ。
だけど、彼はそれをあえて手を出すのはなかなかに興味深い」
そう言いながら、映し出されたのは飛羽真が禁断の書であるプリミティブドラゴンを受け取る所だった。
あの戦いを全て終え、しばらくスバル達と共に復旧を行いながら、書庫を納めていたベアトリスの案内と共に導かれた場所。
数多の本が焼け落ちたにも関わらず、そのたった一冊の本だけは焼けておらず、奇妙な程に真新しいその本を手に取っていた。
「あの本を使いこなす事なんて普通の人間では不可能だけどね」
「僕はそれを行える為に彼に試練を与えた。
いや、なかなかに刺激的だったよ。
僕の知らない魔法を使う彼もそうだが、数多の世界では僕では考えられないような数々の現象。
実に興味深かったよ」
そう言いながら、エキドナは笑みを浮かべており、その様子に対して呆れたように静鞠はため息をつく。
「だから使いこなせると?
僕としては、彼以外が禁断の書を使っても良いけど、彼が使った結果自滅するのは嫌だな。
せっかく、あの爺様からこれを回収できたのだから」
そう言いながら、取り出したのは闇黒剣月闇だった。
「彼がプリミティブを相手してくれたおかげで手に入れる事ができた。
これで彼もこちら側に来れば、最初の聖剣は二つが揃う」
その笑みは凶悪な表情へと変わっていた。
「まったく、君は僕に負けず劣らず強欲だね。
まぁ。そのおかげで僕も面白いのを見られたからね」
そう言いながらエキドナの姿が徐々に薄れていく。
「ふむ、本体に戻るのか?」
「僕としてはこれから起きるこの世界の出来事もそうだけど、彼と一緒に見るのも悪くない。
だからこそ、既に彼が持っているワンダーライドブックに僕の一部を入れた。
これからは君とも戦うかもしれないけどね」
「その時はお手柔らかに」
そう言って、エキドナはその姿を消し、それに合わせるように静鞠もまた姿を消した。