ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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阿井 上夫様から素敵なイラストを頂きました! 

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ブルーツ波遮断ゴーグルを首から下げた子供ターレスに、原作よりちょっと若いゲロ、それにネイルを参考に4号を描いて頂きました! ゲロ・コーポレーションのロゴも入れてもらえて、神龍に願いを叶えてもらったような気分です!

私は絶大なパワーを手に入れたぞ! 


申し訳ありません。何らかの原因で大本の画像ページが消えてしまったようで、現在上記のイラストが閲覧できない状態にあります。
カラー版が16話に掲載されていますので、よろしければそちらを閲覧いただければ幸いです。


悟空地球飛来後~原作開始前
10話 公に地球へ帰還した天才科学者


 孫悟空が無事地球に飛来したが、天才科学者であるこの儂、ドクターゲロはまだ彼と関わるつもりはない。

 少なくとも、彼が頭を打つまでは。儂が会いに行く事で、孫悟空が頭を打たずサイヤ人の性質を色濃く持ったまま育ってしまったら大変だからだ。

 

 何故かと言うと、孫悟空がサイヤ人の性質を色濃く持ったままだと元気玉を習得出来なくなってしまう可能性が高いのだ。

 自然や人々から少しずつ元気……気を分けてもらって作る元気玉は、『ドラゴンボール』でも有名な必殺技だ。魔人ブウとの戦いや、複数の劇場版で強敵を倒すのに使用している。

 

 その元気玉を使う条件の一つが、使用者が善人である事なのだ。

 

 この技を孫悟空に伝授した界王が教える対象を厳しく絞っているという事情もあるが、元気玉を作るための元気を集められるのは、善人だけという条件がある。

 この条件は厳しく、悟空でもスーパーサイヤ人になると邪気を伴うためと言う理由で、元気玉を作る事が出来なくなってしまう程だ。

 

 元気玉が完成した後の制御はスーパーサイヤ人になっても可能だし、クリリンなど『筋斗雲に乗れない程度に純粋ではない者』でも出来るようだが。後者は善良か否かと、純粋か不純かは別の基準であると言うだけかもしれない。

 

 また、元気玉でなければ倒せないという特殊な敵も儂の記憶では存在しないはずだ。元気玉と同等、もしくはそれ以上の威力の攻撃をぶつければ、劇場版の強敵も魔人ブウも倒せる。

 しかし、それを踏まえても元気玉は強力な必殺技であり、他者の気を集める事で使用者の力を超える威力の攻撃を可能にする有用な技である事に違いはない。

 

 それに、もしドラゴンボール超同様力の大会が開かれた場合、悟空が元気玉を使えなかったら、身勝手の極意を発動させるきっかけが無くなってしまうかもしれない。

 

 もっとも、孫悟空が死んで界王様に修行を付けてもらう機会があるかどうかは別の話だが……それでも可能性は残すべきだろう。

 ……まさかターレスの頭をぶん殴る訳にはいかんし。

 

 なら、そもそも原作が始まる前に会わなければ良いじゃないかと思うかもしれない。原作通りなら、たしかに会いに行く必要はない。

 だが……儂がいろいろしているせいで、状況は原作と大きく変わった。それに、孫悟空の母親であるギネを人造人間にして復活する以上、会いに行くべきだろう。

 

 それに、孫悟飯が大猿化した孫悟空に踏み潰されて死ぬと分かっているのに、見殺すのは抵抗がある。特に、儂は世界的大企業の社長で天才科学者のドクターゲロ。無力な存在ではないのだから、既に発明したブルーツ波遮断ゴーグルを渡すだけで防げるかもしれない悲劇を放置するのは、怠慢であり罪だ。

 

 さて……話は変わるが、ジャコは無事ブリーフに宇宙船を直してもらったそうだ。

 

 ジャコは儂の予想通り、宇宙船を作れる儂やブリーフに接触しようと試みて、カプセルコーポレーションに向かってブリーフに宇宙船の修理を頼んだらしい。原作とは違うが、これでジャコとカプセルコーポレーション一家との繋がりが出来たから、良しとするべきだろう。

 

 そして、既にジャコは無事宇宙へ帰っている。……しばらく後にまた来るはずだが、その時は行動を共にした博士の所にしか行かなかったはずなので、大凡ではあるが四十年程彼が関わってくる事はないだろう。

 なお、細胞はスパイロボットの活躍によってちゃんと手に入れた。

 

 そして儂が今何をしているかと言うと……地球帰還の演出である。

「ぬおぉぉぉ! サイコキネシス全開!」

「ドクター、そろそろ成層圏を越えます」

「よし、このまま地球から離れるぞ!」

 

 宇宙服を着た儂と4号は、舞空術とサイコキネシスによって地球を離脱した。

 そして、4号がホイポイカプセルを投げて宇宙船を出し、それに乗り込む。

「さて……では一旦地球から離れた後連絡を入れ、今帰ってきた風に装うぞ」

「スピーチの台本は覚えていますか、ドクター?」

「ああ、任せておけ」

 

 ドクターフラッペとして活動するためのアリバイ作りとして、地球から出発する時にテレビや雑誌で派手に特集してもらったので、帰還もちょっとしたお祭り騒ぎになる予定なのだ。テレビや雑誌のインタビューだけではなく、ゲロ・コーポレーションで社員相手にスピーチまでしなくてはならない。

 

 儂はただの天才科学者であって、敏腕経営者でもなければ芸能人でもないはずなのだが……楽しくないわけではないし、研究の気分転換と人生に彩を加える貴重な経験になるだろうから構わないが。

 そうこうしている内に、宇宙船は地球へ降下し、一年前劇的な出発を演出した発着場に着陸した。

 

「今、宇宙船のハッチが開きました! ゲロ社長と秘書のヨン・ゴーさんです! こちらに手を振っています!」

「二度目の宇宙へのフィールドワーク、お疲れさまでした! 宇宙人には会えましたか!?」

「今回はカプセルコーポレーションの社長夫妻とは一緒じゃなかった理由はなんでしょうか!? 確執があるという疑惑は本当なんですか!?」

 

 集まっていた人々の先頭、マイクやカメラを持った取材陣が詰めかけてくる。

「皆さん、お久しぶりですな」

「申し訳ありません。社長は長旅で疲れていますので、質問には後日記者会見でお答えします」

「社長、ヨン・ゴーさん、車へ! 皆さん、押さないでください!」

 宇宙服を着たままの儂と、ヘルメットを脱がないままの4号は屈強な警備部の社員達にマスコミ対応を任せて、会社が用意した車に乗り込み、会社へ。

 

 彼等への相手は後日開く記者会見が本番だ。ここで長々と話してボロを出すと、その本番での筋描きに支障が出る。

 そして会社で、予定通り社員相手のスピーチを行う。社員の殆どは真実を知らないので、こうした事が必要なのだ。

 

「二度目の宇宙旅行に際して、儂は入念な準備を整えた。しかし、実際に地球を旅立った儂とヨン・ゴーを待ち受けていたのは、想定外の事態の連続。命を落としていたかもしれない瞬間もあった」

 桃白白が警察の捜査協力者になっていたり、うちの会社の警備部に就職したり、惑星ベジータでバーダックとぶつかって死にかけたり、惑星ベジータの崩壊に巻き込まれかけたり、ギネの遺体とターレスを連れ帰ったり。本当に想定外の事態の連続だった。

 

「諸君、準備は……前もって備えておくことは重要だ。だが、突然起こる想定外の事態に狼狽えない精神力、そして柔軟な対応力も重要だ。君達には、そのすべてを兼ね揃えた人材へ成長する事を期待しておる。

 また、今回の宇宙旅行で儂はついに宇宙人の痕跡を発見した。この発見は我が社、そして地球人類にさらなる発展をもたらすだろう!」

 

 宇宙人の存在そのものはまだ明かさないが、戦闘服の破片や以前ナメック星で発見した宇宙船の残骸の写真等、いくつかの物品を「宇宙人の痕跡」として捏造して発表する。

 これからスカウターや戦闘服を解析した成果を会社の商品に活用する予定なので、嘘を混ぜた一部の真実を発表した方が怪しまれないと考えたからだ。

 

 そして幸い儂のスピーチは成功したようで、社員達の拍手に見送られて壇上から降りる。彼らに嘘をつくのは心苦しいが、会社にはしっかり貢献するから勘弁してほしい。

 

「ドクターゲロ社長、少々よろしいかな?」

 そんな儂に声をかけてきたのは、想定外の事態の一つである我が社の警備部顧問、桃白白だった。着ている拳法着に殺の字はないが、やはり殺し屋稼業をしていないからだろうか?

 

「君は……おお、桃白白さんか。天下一武闘会で優勝した君の活躍は聞いとるよ。それで、何故我が社に?」

「実は、あなたの会社の警備部の顧問になりまして」

「ほうっ! 我が社の警備部に。いやはや、君のような高名な武闘家が顧問になってくれるとは、嬉しい限りだ」

 

 そう桃白白が我が社に就職した事を初耳のように演技して応対するが、中々難しいものがある。中年に見える彼だが、実は二百七十……いや、今は二百六十歳くらいか。地球人なのになんと二世紀半も生きており、儂よりも年上なのだ。

 年長者として扱っていいのか、それとも年寄り扱いしない方が良いのか、判断が難しい。

 

「警備部に対して意見があるときは、遠慮せずに言って欲しい。出来るだけ善処しよう」

「それはありがたい。できれば同じ天下一武闘会の優勝者同士、試合をしていただきたいのだが……」

 しかも、桃白白はそう和やかな口調で話しながらも眼光鋭く儂を睨みつけている。やはり、儂の下手糞な演技では騙しきれなかったか?

 

「試合ですか、いいですな。しかし、儂は長期間の宇宙旅行で体が鈍っているので、鍛え直さなければ桃白白さんの相手は務まらんでしょう。

 ありがたい申し出ですが、後日改めてという事で……」

 

「ミスター桃白白、申し訳ありませんがこのあたりで。ドクター、こちらです」

 そして儂は桃白白の前から4号に誘導されて立ち去ったのだった。背に、彼の鋭い視線を感じながら。

 

 

 

 

 

 

「……食えない爺だ」

 私、桃白白はドクターゲロの後ろ姿が見えなくなった後、そう呟いた。

 あの爺、口では驚いた風な事を言っていたが、顔は全く驚いていなかった。私が自分の会社に就職した事を、前もって知っていたのだ。

 

 私が兄者からの指示でこの会社の警備部顧問になったのは、奴が宇宙にいる間の事。通信などで会社の人間とやり取りは出来ただろうが、私が入社した事を限られているだろう通信時間で話すだろうか? それとも、宇宙旅行とは私が想像しているよりも気楽で、世間話に興じる時間が豊富にあるのだろうか?

 

 だが、重要なのはそこではない。あの足運び、佇まい、隙の無さ、そして私を探るような鋭い眼光。

「何が鈍っている、だ。あの準優勝経験者のヨン・ゴーと言う男も同様だが、一分の隙も無く鍛えられ、磨き上げられた刀剣のようではないか」

 

 

 

 

 

 

 一方儂の研究だが、ブリーフに秘密研究所に来てもらって解析と改良を進めている。

 戦闘服は解析も終わり、再現もできるようになったが……これを着ると普通の地球人では手も足も出なくなるという事が改めて分かったため、本来の防具としての使い方はしばらくしない事に決めた。

 

 何せ、プロボクサーのパンチどころか、至近距離で放たれた大口径の銃にすら無傷で耐える代物なので、もしこの戦闘服が犯罪者の手に渡ったら、警官どころか我がGCG(ゲロ・コーポレーション・ガード)でも手が出せなくなる。……まあ、頭と手足が無防備だから、そこを攻撃すればどうとでもなるだろうけれども。

 多分、これを着れば桃白白に戦闘服の上から殴られても平気なのではないだろうか?

 

 ただ、とりあえずは防御力を落とした劣化品を我が社の警備部門の支給品にする事にした。形はもっと防具らしいプロテクター風に変更し、手足と頭部を守れるようにする予定だ。ブリーフも、防具以外の方法で活用するアイディアを思いついたらしく、さっそく設計を始めていた。

 

 次にサイヤ人達の小型宇宙船、アタックボールだが、解析してみるとなかなか面白かった。

 あの一人用の小さな宇宙船の中に、生命維持装置や冷凍睡眠機能まで内蔵されており、更に長期間宇宙を高速で移動するための燃料まで搭載されている。それでいて、地面に激突するような勢いで着地しても故障しない強度まで有している。

 

 それらの部品の配置は、シンプルでありながら緻密で、芸術的ですらあった。永久エネルギー炉の小型化はもちろん、人造人間の設計にも大きなヒントをくれた。

 まあ、会社的には利用できるものは少なかったが。小型化以外では、儂とブリーフが作った宇宙船やブリーフが見たジャコの宇宙船の方が高性能じゃからな。

 

 そしてスカウターは、慎重に盗聴を防いで解析し、高速通信システムを構築する事に成功した。儂の会社とカプセルコーポレーションの合同事業として進める予定である。

 ……この際、「いっそ会社全体を合併するのはどうだろう?」と言う画期的なアイディアがブリーフから出たが、儂とブリーフ、どちらが社長になるかで揉めに揉め立ち消えになった。

 

 儂はブリーフが社長でいるべきだと主張し、ブリーフは儂が社長になるべきだと主張し、お互いに全く折れなかったのである。

 既に十年以上の付き合いでお互いに天才同士、「気心の知れた友人に社長を任せれば、自由に研究ができる時間が増える」というお互いの魂胆が隠しきれるはずもなかったのだった。

 

 話は戻すが、スカウターの戦闘力を計測する機能も役立てるため、地球製スカウターもすでに出来上がっている。また、永久エネルギー炉搭載の人造人間の戦闘力も計測するための接触型戦闘力計測器の開発も進めている。

 気が感知できないのは利点でもあるが、強さがどれくらいか計測できるようにしておいた方が便利だろう。

 

 そして、肝心の人造人間の素体となるサイヤ人の遺体だが、やはりトテッポとパンブーキンの脳組織の再生は不可能だった。これでは記憶はもちろん、運動機能も戻らない。

 頭の中身を機械に入れ替える方法もあるが、機械で生身の肉体を制御するのはなかなか難しい。だったら、肉体も機械ベースで作った方が手っ取り早いのだ。

 

 それに、人造人間への改造が終わった後に生前の記憶か何かを思い出し、それが原因で儂を恨んで暴れ出す恐れもある。……科学的にはあり得ない事だが、ここは儂の知る『地球』ではなく、『ドラゴンボール』の世界である。

 科学では説明のつかない事が起きるのは、お約束と言うものだろう。

 

 そのため、二人はサンプルを採った後に埋葬する事にした。別荘の裏庭の土を掘り、墓碑を建てて簡単だが葬式をあげさせてもらった。

 トテッポとバンプーキンにしてみれば、行った事もない星に勝手に遺体を運ばれて、会った事もない地球人に勝手に葬儀をあげられて困惑しているだろうが、勘弁してもらいたい。

 

 逆に残りの三人、ギネ、セリパ、トーマは細胞の再生も終わり、いつでも人造人間に改造できる状態になっている。しかし、儂が彼女達に望むのは量産型人造人間ではなく、彼女達に最強の人造人間を作るための実験台になってもらう事だ。

 

 そのため、彼女達には4号よりもさらに進化した人造人間になってもらわなければならない。

 そのために必要なのが永久エネルギー炉の小型化、そしてフリーザの細胞の移植だが、それはまだ不可能なので改造計画は白紙の状態でストップしている。

 

 そう、フリーザの細胞は培養こそ成功しており十分な量があるが、まだ使う事は出来ないのだ。

 今日もそのフリーザの細胞についてブリーフと話をしていた。

 

「なんというか、この細胞の持ち主はよっぽどの悪じゃな。もう極悪じゃ」

「うむ、知的生命体がいる惑星を破壊してその様子を『奇麗な花火』と評するほどじゃしな」

「それはなんというか……もう想像するのが難しいというか、悪党の枠に収まらないなにかだな」

 

 ブリーフが言った通り、惑星規模の悪党となると、地球人が『悪党』という言葉から想像できる範囲からはみ出てしまう気がする。規模が大きすぎて、惨さや冷酷さとフリーザが行っている破壊行為に結びつかないのだ。

 

 とはいえ、やっている事は惑星規模の地上げ……される方の惑星の住民はだいたい皆殺しなので、侵略代行業とでもいうべきかもしれないが、そう考えれば想像もしやすくなるだろう。

 

 ただ部下に対しては、一度の失態なら大目に見る場合や挽回の機会を与える事があるなど、『ドラゴンボール』の悪党の中では寛容な方だ。『たった一人の最終決戦』や『復活のF』では、バーダックと戦っている部下や、クリリン達に返り討ちにされて横たわっている部下を巻き込んで攻撃しているが。

 

 それでも、一度の失態で部下を粛正していたレッドリボン軍のレッド総帥や、『超サイヤ人だ孫悟空』のスラッグよりはマシなのだ。……それに、原作ではブリーフの義理の息子になるベジータも、同じような事をしているし。

 

 さて、何故そんなフリーザの悪どさについてブリーフと言い合っているのかというと、フリーザの細胞に関する実験を検証していたからだ。

 儂は別荘の地下にあるこの秘密研究所とは別の、絶海の孤島にある研究所で培養したフリーザの細胞を、実験用マウスの胎児に組み込み、フリーザマウス(仮称)を十二匹作った。

 

 その結果生まれたフリーザマウスは、真空状態でも生存と活動が可能で、驚異的な生命力、そして戦闘力を発揮した。

 しかし、フリーザマウス達は実験用マウスからは逸脱した邪悪さを見せた。他の実験用マウスを殺して餌やケージを独占しようとしたり、徒党を組んで儂を殺そうとしたかと思ったら、気功波で同族ごと攻撃してきたり。

 

 移植した細胞が少量だったのと、素体が実験用マウスだったから、フリーザマウスの戦闘力は低い個体で十、高い個体でも百は超えなかったため、儂でも処分する事が出来たが。

「細胞レベルで邪悪さ……良く解釈したとしても、冷徹な判断力と自身が頂点に立つ事を諦めない強い上昇志向、そして狡猾さが染みついているとなると、相当じゃな。鳴き方と尻尾は可愛いと思うんだけどなー」

 

「ああ、知能も動物としては高くなったので扱いにも気を付けたのじゃが……飼育されている事自体が気に入らなかったらしい」

 万が一にも逃がさないよう、そして他の研究施設やサンプルに害が及ばないよう別の研究所で実験していて良かった。

 

 さて、このように『ドラゴンボール』では培養した細胞を組み込んだり、遺伝子を移植したりすると、その細胞のオリジナルの人格の影響を受ける事が多い。

 複数の武闘家やサイヤ人、フリーザなどの細胞を融合させて誕生した究極の人造人間セルも、そしてなによりゲーム『ドラゴンボールファイターズ』の人造人間21号も、移植された細胞の影響を人格にまで受けていた。セルの方は原作ゲロのコンピューターによって刷り込まれた分も大きいだろうが。

 

 ともかく、このフリーザ細胞から邪悪さを分離し、フリーザ細胞の生命力や生態、圧倒的な力の伸び代を手に入れる方法……つまり、良い所取りをする手法を確立しなければならない。これから強力な存在……ヘラー一族やダーブラ、ブロリーや魔人ブウの細胞を手に入れ人造人間に使うためにも。そして、『ドラゴンボールファイターズ』の悲劇をこの世界線で起こさないためにも。

 

「でもゲロ、この細胞を移植した事で手に入る強さの殆どは、この細胞のオリジナルのフリーザの邪悪さと切っても切り離せない気がするのだが……」

 

 ただ、ブリーフもデータから見て取ったとおり、フリーザの細胞を移植して手に入る強さは、彼の邪悪さとセットになっている。仮に邪悪さを分離する事に成功した場合、フリーザ細胞を移植してもそれだけで強さは手に入らなくなる。

 手に入るのは、宇宙空間でも生存可能な生態と体を真っ二つにされても生存可能な生命力、そして圧倒的な強さの伸び代だけ。だがそれで十分ではないか。

 

「ああ、それで構わんよ。別に儂が作った瞬間から最強である必要はない。その後自力で成長し、その結果最強になれるなら十分だと儂は考えているからな」

 誕生した瞬間から最強にしたいのなら、機械ベースで充分だ。人間ベースの人造人間の強みは、自己成長が可能な点だ。

 

 原作でも、人造人間17号と18号は大きな成長を遂げていた。力の大会で最後まで勝ち残った17号は当然だが、18号も人造人間編で初登場した時と比べて格段に強くなっていたはずだ。

 だから、生態と生命力、そして伸び代が手に入れば十分なのだ。

 

「なるほど。なら一安心だ。ところで、生命力だけなら地球の生物の細胞を組み込むだけで十分手に入ると思うんじゃけど、虫とか」

「ブリーフ、脊椎動物と無脊椎動物の細胞を融合させるのは儂でも難しいのだ。それなら、虫から進化した宇宙人の細胞を組み込んだ方がよほど簡単だ」

 

 地球に存在する生物の細胞を活用する案は、儂も昔考えた事がある。しかし、不思議な事に人間に宇宙人……つまり別の異種族の人間の細胞を融合させるのと、人間以外の生物の細胞を融合させるのでは難易度が段違いだったのである。

 

 これは地球人が、異星人との交配に適している種族だからかもしれん。考えてみれば異星人であるサイヤ人や、天津飯の先祖である三つ目族と交配可能だったこと自体が、特異的な事だったのじゃし。

 

 まあ、素体であるベースも人間以外の生物にするなら難易度も下がるが、儂の最終目標は地球人である妻アルマを最強の人造人間にする事なので、やる意味が薄いのだ。

 多分昆虫の類がベースだと思われるセルは作らんと決めているし。

 

「そうなのか……人造人間研究は、わしにも分からんことが多いなぁ。でも、だったらあのフリーザマウスは? 素体は実験用マウスだったよね?」

「あれは仕方無しにやった事だ。動物実験をするのが難しいからと、人体実験をする訳にはいかんだろう?」

「ああ、それは確かに」

 

 悪人なら殺しても構わない『ドラゴンボール』の世界だが、実際には細かい条件があるのではないかと最近儂は考えている。

 例えば、閻魔は死者を裁くとき殺した相手が悪人か否かだけではなく、その時のシチュエーションや被害者と加害者のそれまでの関係性や殺した時の感情や考えていた事、殺した動機……等をあの世の基準で裁いているのだろう。

 

 悪人を殺すのが無条件で良い事になるなら、フリーザやスラッグ、レッド将軍は部下を殺すだけで善行を積むことが出来る事になってしまうしな。

 

 それで、悪人を攫ってくるとしても人体実験で使い潰すのは多分アウトだろう。ブリーフもそんな顔をしているし。

「おい、爺! トレーニングの時間だぞ!」

「お爺ちゃん、パパとのお話はそろそろ終わったでしょ!?」

 そうこうしていると、ターレスとタイツがやって来た。

 

「そうさな、そろそろ気分転換にするか。ブリーフ、君もどうだ? 適度な運動は健康と頭脳に良いぞ」

「いやいや、ゲロ達がするのはわしにとって過度な運動だから、遠慮する。タイツも無理はしちゃいかんよ。

 ところでブルマは?」

 

「あちらでドクターと博士の論文を読んだあと、テレビで桃白白さん主演の映画を見ています」

 桃白白主演映画、『黄昏の桃白白、真昼の夜戦』。夕方なのか昼間なのか夜なのかタイトルからは分からんが、アクション映画としては中々面白かった。特に、主人公の桃白白が柱に乗って空を飛び、飛行機に乗って逃げる悪役を追うシーンが評判らしい。

 

「分かった、じゃあわしがブルマを見ているから、タイツ達はゲロと運動してきなさい」

「はーい!」

 

 さて、ターレスはもちろんだが数か月前からタイツも武道に興味を持ち、教えてくれと言い出すようになった。そこで子供がやりたい事は一通りやらせる方針のブリーフとパンチー夫人は、長女の希望に反対せず、むしろ応援した。だが、タイツを子供向けの格闘技教室を開いているジムに通わせたり、専属トレーナーを雇うのではなく、なんと儂に頼んできたのだ。

 

 儂は思わず本気かと聞き返したが、本気だった。しかし、まだ六歳のタイツに警備部の社員と同じトレーニングをさせる訳にはいかないので、気のコントロールを中心に教えている。

 

 この分だと、ブルマも武道に興味を持つかもしれんな。……ヤムチャ、この世界ではブルマと付き合えるのだろうか? 

 




・ドクターゲロ

 無事地球に帰還した事になっているゲロ・コーポレーション社長。カプセルコーポレーションとの合併話は残念ながら立ち消えになった。……と、本人達は考えている。
 全員が人間離れしていると評判の警備部は順風満帆で、桃白白が顧問に就任して百人力……のはず。だが、桃白白が何を考えて顧問になったのか分からず、やや悩んでいる。

 研究ではフリーザ細胞と永久エネルギー炉の小型化に関する事以外は順調。
 細胞移植は、宇宙人を含めた人の細胞を人へ移植するのは可能。人以外の生物の細胞を人へは、難しい。

 最近帽子を被ろうかどうするか考えている。



・ブリーフ博士

 ゲロに社長業を押し付ける事に失敗したカプセルコーポレーション社長。長女が武道に興味を持ったので、昔から武道をたしなむゲロに丸投げした。彼ら夫婦としては最も信頼できる専門家に頼んだつもり。



・ターレス

 少年サイヤ人。書類上は既にゲロの正式な養子。戦闘力は気のコントロールを中心にトレーニングしているため、あまり変わっていない。



・タイツ

 武道にも興味を持った天才超能力少女。戦闘力は2ぐらい。
 実の祖父のように慕うゲロと兄のように慕う4号が武道を嗜み日々トレーニングをしており、弟分のターレスもそれに加わっているため、彼女が武闘に興味を持つのは当然の流れだった。



・桃白白

 ゲロ・コーポレーション警備部顧問であると同時に、映画デビューを果たしたタレント武闘家。
 デビュー作で主演作品である「黄昏の桃白白、真昼の夜戦」は大ヒットした模様。桃白白に関しては、スタントマンを使わず全て自分で演じている事が話題になっている。

 なお、警備部の顧問に就任したのは兄である鶴仙人からの指示だが、別にゲロやその周辺の人物の暗殺を指示されたわけではない。ただの情報収集である。

 そして原作では孫悟空の実力に見ただけでは気が付かなかった彼が、ゲロの実力を見抜けた理由は、まずゲロが自分と同じ天下一武闘会優勝者である事を知っていたから。そして、強いわけではない相手を殺すだけの殺し屋稼業ではなく、それなりに強いドクターフラッペのロボットとの戦いや、GCGの社員達に稽古をつけるなどして、経験を積んだため。

 ちなみに、警察に協力して追っていたドクターフラッペは、大規模な犯罪の準備をしているところに彼らが踏み込んだからか、まだ動きがない。
 そのしばらく後にゲロが地球に帰還した。

 現在の戦闘力は百三十六。原作より若干強くなっている。



・フリーザマウス

 フリーザの細胞を少量移植した実験用マウスの胎児が成長した合成生物。平均的な実験用マウスより大柄で、尻尾が太くて強靭。鳴き声は「チューッチュチュチュ!」で、縄張り意識が強く同族同士でも殺し合いを躊躇わず、圧倒的に実力差がある場合は相手に致命傷を与えないまま嬲る事を好む。

 戦闘力は低い個体は十で、高い個体は五十。弱い個体は二ミリの鉄板を食い千切り、銃で撃たれても致命傷を受けない程度だったが、強い個体は戦車の装甲に前歯で穴をあける事が出来る。
 大人しく飼われるなら、もしくは良好な関係を築ける知能と社会性があれば、ゲロは創り出したものの責任として生かすつもりだったが、その強さよりも性質が危険すぎると判断したため全て処分される。



八山シン様、是夢様、コダマ様、あんころ餅様、カド=フックベルグ様、h995様、たまごん様、Kuro様、ヴワル魔法図書館様、六四様、valeth2様、gsころりん様、 クラスター・ジャドウ様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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