ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
【挿絵表示】
ゲロに七つのドラゴンボールに映るキャラクター達という超豪華イラストです! 掲載許可を頂き誠にありがとうございます!
なお、4号と一緒に映っているのはとあるお方に似ていますが、人造人間1号との事です。
ドミグラが杖を振ると、ここにいないはずの者達が現れた。
「ここはっ!?」
「天、ボクの超能力じゃない!」
「うわっ! ベジータ王さんそっくりだ!」
「ありゃ? ど、どうもベジータ王子さん、俺は後で挨拶に行くはずだったんだけど……」
それは儂が、「ベジータ王子を迎えるのは、とりあえず惑星ベジータが健在だった頃には存在していたサイヤ人だけにしよう」と言ったため、離れたところで待機していた天津飯、チャオズ、クリリン、そしてヤムチャ。さらに――。
「おおっ? これは君の瞬間移動かね?」
「っ!? いえ、孫悟飯さん。我々を連れて来たのは、彼の仕業のようです」
孫悟飯と4号だった。
「なんだテメェ等!? その訳の分からねぇ奴の手下か!?」
「いや、こいつらは俺達の仲間だ! ほら、あっちのヤムチャって奴には尻尾だって生えてんだろ!」
「お、マジだ。なんだ、驚かすなよ」
「しかし見た事がない顔だな。まさか、奴が人造人間の一人か?」
「ど、どうも、ヤムチャって言います。地球人とサイヤ人のハーフなのかな、一応」
とりあえず殴りかかろうとしたナッパを、タロが慌てて止めてくれたため、不幸な事故は回避できた。
「何がやりたいのかは分かったが、それで修正になるのかね?」
「なるとも。まあ、やらないよりマシ程度だがね。では、代役が二人ほどいるが戦士は揃った。次は――」
「何をぼさっとしていやがる!」
儂がドミグラと話していると、ベジータ王子が彼に殴りかかった。4号が咄嗟に止めようとするが、タッチの差で間に合わない。
「おっと、血の気が多いな。だが、少し待っていろ。貴様が戦う相手は、これから用意してやる」
「なっ!?」
ドミグラは片手でベジータの拳を受け止めると、羽虫を追い払うように軽く彼を追い払った。それだけで済ませた事から、彼にベジータを殺すつもりが無いのは明白だった。
しかし、事を穏便に済ませるつもりはないらしい。再び杖を一振りすると、彼が他の歴史から連れてきた戦士達が姿を現した。
『運が良いぞ、サイヤ人のプリンスである俺が遊んでやるんだからな』
『さあて、それじゃあ俺は、どいつと遊ぼうかな』
『皆殺しにしてやる!』
『『『ギィー!』』』
禍々しい気を纏ったベジータ、ナッパ、ラディッツ、そしてサイバイマン達だ。……何故ラディッツがいるのか突っ込みたかったが、皆の前で原作について口にするわけにはいかないので、我慢しよう。
「お、俺達の偽者にサイバイマンだと!?」
「偽者共が纏っている雰囲気には見覚えがある。カナッサ星人達や仮面を被った奴らと似ているぞ!」
そう動揺するナッパとラディッツの方を見たドミグラは、苦笑いを浮かべた。
「私はお前達を助けた側なのだが、見分けろと言うのは無理か。……おや、正しい歴史への完全な修正も不可能なようだな」
ドミグラがそう言い終える前に、瞬間移動でマロンやタイツ達が現れた。
「ごめんね~、来ちゃったっ。ヤムちゃん、無事~?」
「なんだ、こいつらは!? サイヤ人に、この星の原住民か!?」
「いちいち狼狽えるな。おい、ゲロっ、こいつらは味方だな!? それだけはハッキリしろ!」
「味方じゃ。敵なのは、そっちの禍々しいベジータ王子……便宜上ベジータダークと以後呼称するが、そいつらだけじゃな」
「あのオレンジ髪は敵じゃねぇのかよ?」
「ターレス、あのオレンジ髪の名はドミグラ。羽虫を潰すのと同じ感覚でフリーザを殺せる奴じゃから、手を出しちゃいかんぞ」
そう注意するが、ドミグラには儂等を直接攻撃するつもりはないだろう。
ただ、歴史の修正を素直にするつもりもないようだ。他の歴史から連れて来たベジータダーク達を強化した分と同じか、それ以上のキリを確保するために、本来の歴史(原作)ではサイヤ人襲来編に居なかったマロンやタイツ達が来るのを止めようとはしなかった。彼なら、やろうと思えばこの辺り一帯を結界で覆うぐらいは出来ただろうに。
おそらく、彼は歴史の修正よりもトワ一味に対する嫌がらせを優先しているのだろう。
「こいつ、そこまで強いのかよ!? だが、どうする? 俺達が無視していても、向こうがこれ以上手出ししてこないとは限らないぜ!」
トーマの言う通りではあるが、幸いドミグラの相手はすぐに現れた。
『ドミグラぁ!』
ヘルメットを被った、タイムパトロールの制服姿の青年が現れ、剣を抜いて斬りかかったのだ。……目元はバイザーで隠されているが、トランクスだろう。
「タイムパトロールまで私の方に来るとはな。向こうを残りの二人だけに任せていいのかね?」
『黙れっ! 皆さん、俺はタイムパトロールです! こいつは任せてください!』
杖で剣を受け止めたドミグラを、そのまま押し込んで儂等の前から離れていくトランクス。……なるほど、あっちか。
「クソっ、どいつもこいつも突然現れて好き勝手言いやがって! ふざけるな!」
ベジータ王子がそう苛立ちを隠さず吐き捨てるほど、戦う前から混迷した状況。この世界の『サイヤ人襲来戦』の地球での戦いはこうして始まったのだった。
「ドミグラ……やってくれたわね」
ドミグラが現れ事態に介入した時、結界内に身を潜めたトワは悔しさを隠さずに唸った。何故なら、彼女が今回起こそうとしたのは「地球側とベジータ達が戦わない」と言う歴史改変だったからだ。
何故そんな改変を企んだのかと言うと、トワが何もしなくても成功するからだ。
ゲロの行動により、ベジータ達が地球側と敵対する理由がない。それこそ、ベジータ達がキリで操られでもしなければ争いにはならないだろう。
この改変なら失敗したベジータの抹殺とは違い、トワ自身は何の準備も必要ない。キリを効率よく回収するために、現場近くに潜んでおく必要がある程度だ。タイムパトロールだって妨害しようとしないはずだ。
唯一の懸念は、ベジータを抹殺しようとした時もタイムパトロールより早く妨害してきたロベルの主、ドミグラだ。
そこで、トワはドミグラが裏でベジータ達を操ってゲロ達と戦わせようとしても、邪魔できるよう備えていた。
魔術師でもあるトワがキリでの強化を妨害し、タイムパトロールが駆けつけて来るまでミラとバーダック、そしてルシフェルの三人で抑え込む事を企んでいた。
だが、ドミグラはこの歴史のベジータ達をキリで操るのではなく、別の歴史からキリで操り、強化したベジータ達を連れて来た。自分自身の姿をゲロ達に見せてまで。
「歴史の修正のためにここまでするとは思わなかったわ」
「どうする、トワ? もう一度ベジータを……いや、この際だ、孫悟空を殺すか?」
『孫悟空っ! そうだ、そうするべきだ!』
ミラの提案に、新しい仮面をつけたルシフェルが激しく同意する。今回は実戦経験を積ませるためではなく、ドミグラ一味相手に時間稼ぎをするための戦力として連れて来ているので、ミラやバーダック程ではないがかなり強化している。
「黙れっ! 決めるのは貴様ではない、トワだ。どうする、トワ?」
「そうね……確かに、こうなった以上抹殺する方向で考えるべきね。でもあなた達には他にやってもらう事が出来た」
そう言ってトワが視線を向けた先に、タイムパトロールの悟空とベジータが現れた。
「へへっ、今度こそ決着がつくまでやろうぜ」
「この前はまんまと逃げられたからな。今度こそ、その仮面を叩き割ってやる」
『孫悟空! 他の歴史のとはいえ、貴様も許さん!』
他の歴史から来たとはいえ、仇は仇。キリによる強化で狂暴さが増しているルシフェルは、タイムパトロールの悟空にもその怒りを向けた。
「ん? 誰だ、おめぇ?」
しかし、悟空はそもそもルシフェルの事を覚えていなかった。
『な、なんだと!? この魔族ルシフェルの事を忘れたというのか!?』
「いや、忘れたっちゅうか……オラ、おめぇと会った事あったか?」
『キ、貴様ァァァァ!』
激高して叫び声をあげるルシフェルだが、そもそも彼等は生まれた歴史が違う。しかも、『魔神城の眠り姫』事件時もタイムパトロールの一員である悟空はこの歴史に来ていたが、魔神城上空でトワ一味と戦ったり、大猿化して暴走したバーダックと戦ったり、色々と忙しくて周りを見ている暇があまりなかった。
そんな彼に自分の事を知らなかったからと、怒るルシフェルの方が理不尽なのだ。そもそも、彼の恨みも目の前にいる悟空にとってはただの八つ当たりである。
「悪ぃ、今思い出すからちょっと待っててくれ、な?」
「カカロット、こいつはこの歴史の住人だ。貴様が会った事はない。よう、元気そうだな、負け犬」
『この私が負け犬だと!?』
「違うのか? この歴史の俺に負けて、命乞いをしていたと思ったが。よくおめおめ出て来る事が出来たな。貴様のような奴を殺さずに使い続ける奴の気がしれないぜ」
『ウオオオオ! 殺す!』
「飛び出すんじゃないっ! お前も来い!」
『……!』
ベジータの挑発に乗せられて飛び出したルシフェルを追って、ミラとバーダックもベジータと悟空に襲い掛かる。
「フッ、俺はこの歴史の俺程甘くはないぞ!」
「へへ、ゲロのじっちゃんが無茶する前にこの歴史の父ちゃんをどうにかしねぇとな!」
自分達より一人数が多いミラ達に対して、二人はスーパーサイヤ人ブルーになって応戦した。たちまち繰り広げられる激戦から距離を取ったトワは、この歴史のベジータ王子や悟空がいる方向に向かって杖を掲げた。
「よし、これで……術が掛けられない。ドミグラが邪魔をしているのね。なら、これでどう。さらに……また失敗っ! タイムパトロールめ、しっかりドミグラを抑えなさい!」
トランクスに理不尽な文句を言いながら、魔術をかけようと奮闘していた。おそらく、ドミグラが連れて来たベジータダーク達を強化しようとして失敗し、別の手を打とうとしているのだろう。
儂はその彼女の周囲を、早めに歩く程度のスピードで回りながら、準備を進めていた。
「ベジータダークはトーマとセリパの担当じゃ! 他の者は近づいてはならん! ナッパダークはマロンやトテッポ達、ラディッツダークはサンと4号でどうにか出来る! ギネは何かあった時に備えて儂と待機!
悟空や天津飯はサイバイマンダークから離れろ!」
儂は素早くスカウターでベジータダーク達がどれだけ強化されているのかを計測し、指示を出した。
あの中で注意しなければならないのはベジータダークだ。その強さは戦闘力に換算して360万。なんと原作の二百倍、フリーザの第三形態を軽く上回る。トーマとセリパ以外だと一瞬でミンチにされかねない。……ドミグラは本当に儂等を殺すつもりが無いのか、少し前の儂の判断を疑いたくなる強化具合だ。
逆に、ナッパダークとラディッツダーク、そして六匹のサイバイマンダーク達はそれ以外のメンバーでもなんとかなる。儂が口にしたのは目安で、例えばマロンやトテッポと同じぐらい強ければナッパダークと互角以上に戦う事が出来る、と言うものだ。
「おうっ!」
「任せな!」
トーマ達は儂の指示を素直に聞いてくれたが――。
「貴様の指図は受けんっ!」
「貴様、お袋を殺すつもりか!?」
この歴史のベジータ王子は儂の指示をガン無視し、ラディッツは食ってかかった。まあ、ベジータ王子はドミグラにあしらわれて気が立っているのじゃろうし、ラディッツは今のギネの強さを知らないから仕方ないのだろうが。
「え、いや、ラディッツ、あたしは平気――」
「そうそう。こいつらは狂暴だからな。ラディッツのお袋さんやガキ共はこのナッパ様に任せて離れてな」
そしてナッパは無造作にサイバイマンダークに近づいていく。いや、彼に対しては儂の指示が悪かったな。
「大人しく土に帰りやがれ!」
儂等が止める前に、サイバイマンダークを踏み潰そうと上段からの蹴りを放つナッパ。隙だらけだが、戦闘力1万2500の彼なら、普通のサイバイマンを蹴散らせただろう。
『ギヒヒッ!』
だが、キリで強化されているサイバイマンダークはナッパの蹴りを片手で受け止めたのだ。
「な、なにぃっ!? サイバイマン如きが――うおぉっ!?」
しかも、サイバイマンダークは動揺するナッパの足首をもう片方の手で掴み、ジャイアントスイングの要領で振り回し、放り投げる。
『ギヒーッ!』
しかも、頭を開いて溶解液をナッパに向かって吹き出した。空中で体勢を崩している彼にはそれを避ける術がない。
「フォトンシールド!」
だが、瞬間移動でナッパの近くに移動したターレスが、フォトンシールドを張って溶解液を防いだ。
「おい、こいつらはキリっていう妙なエネルギーで強化されてる。油断しない方がいいぜ」
「お、おう。助かったぜ」
半ば呆然とした様子でターレスに礼を言うナッパ。ターレスは「いいって事よ」と言って、サイバイマンダークに向かっていく。
『ギッ!? ギャヒーッ!?』
「こいつがサイバイマンか。妙にバイオマンに似てるな?」
そして、そのまま互角に……いや、明らかにターレスが優位を保った状況で戦い始める。
ナッパが驚いたまま周囲を見回すと、ラディッツやタロとリーク、転移してきた老人や、離れていろと言われていた悟空達までサイバイマンダークと戦っていた。
「カカロットとお袋は離れて――おお、カカロット、こいつらと戦えるほど強く育っていたとは、流石俺の弟だ!」
「これ、悟空っ! 会長殿に離れていろと言われたじゃろう。ヤムチャと天津飯もじゃ」
「でもじっちゃん、こいつらメチャクチャ追ってくるんだ! それに、ヤムチャと天津飯も一緒だから大丈夫だ!」
「三人がかりなら、なんとかなりそうです!」
「狼牙風風拳!」
それぞれ一匹ずつサイバイマンを相手取っているラディッツと孫悟飯に対して、悟空達は三人で一匹のサイバイマンを相手にしていた。彼らの戦闘力は、悟空が6840、天津飯が6300、そしてヤムチャが5250。平均するとサイバイマンダークの1万2千の半分程だ。
『ギヒヒヒヒ!』
しかし、サイバイマンダークは悟空達の誰か一人に狙いを絞って倒したり、自爆攻撃をして殺そうとしたりする様子はなかった。キリによる強化で力以上に狂暴性や残虐さが増した事で、悟空達を殺す前に嬲って遊ぼうとしているのだ。
キリで強化された事で気の感知能力を身につけたことで、悟空達の気が自分の半分程度だと分かり、彼らを自爆しなくても勝てる敵だと認識したのだろう。
「クソッ、この世でもこいつらの相手か!」
「こいつらを使った因果ってやつですかね!?」
そしてタロとリークもサイバイマンダークとそれぞれ戦っているが、戦闘は優勢だ。
「な、なんて奴等だ。まさかこいつら、俺より戦闘力が高いのか!?」
それらの様子を見ていたナッパは、驚愕した。サイバイマンダークが強かった事は、ターレスに助けられた後思い出したが、リデブ星で襲ってきた連中が戦闘力以上に強かったことを考えれば不思議はない。
しかし、タロやリークが明らかに自分を上回る動きでサイバイマンダーク相手に優勢に戦いを進めているのは驚愕に値した。
「ねえ、お爺ちゃん! こいつらの自爆ってどれくらいの威力なの!?」
「タイツなら直撃を受けても死にはせんだろうが、戦闘力で1万4千ぐらいだと死ぬかもしれん、と言うぐらいじゃな」
しかも、そう話している金髪のサイヤ人(タイツ)の女の動きは、ナッパの目では追いきれない。ついスカウターで彼女の戦闘力を測ろうとしたら、なんと爆発してしまった。あのスカウターは、戦闘力2万数千までなら測れるはずだったのに。
「チ……チクショウーッ!」
ショックを怒りに変えて驚愕から立ち直ったナッパは、タイツが相手にしていた二匹のサイバイマンダークの内、片方に猛然と突進した。
「ちょっとっ! さっきのお爺ちゃんの声を聴いてなかったの!? あんただと死んじゃうかも――」
「うるせぇっ! 俺は名門出のエリートだ! いくら強化されていたとしても、サイバイマン如きから女子供に守ってもらったなんざ、情けねぇ真似ができるか!」
「まあ、好きにやらせてやれ」
『ギィ!』
「って、ターレス、あんたが抱き着かれてどうするの!?」
背後からターレスに抱き着いたサイバイマンダークは、ニヤリと笑って道連れに自爆しようとするが、ターレスも笑みを浮かべていた。
「こうするのさ。あの世には貴様一人で行くんだな、フォトンシールド!」
『ギギッ!?』
ターレスの体から発せられたフォトンシールドによって、サイバイマンダークが彼から引きはがされた。その刹那サイバイマンダークが自爆するが、シールドに遮られターレスにはまったくダメージを与えられなかった。
「さて、後はオッサンと悟空達の様子でも見てやるか。ん? おい、あの瓶はオッサンのか?」
「何!? あ、俺のサイバイマンの種が!」
ターレスがふと見ると、空中に瓶が浮いていた。ナッパが気づいて手を伸ばそうとするが、その前に蓋が開き、中から飛び出した種が空中で見る見るうちに成長する。
「ギギィ!」
そして、六匹のサイバイマンが新たに誕生した。しかも、本来の持ち主のナッパを無視して動こうとしている。
「あのオレンジ髪野郎っ! よくも俺のサイバイマンの種を! 高かったんだ……グオッ!?」
サイバイマンダークに殴られ、ナッパのドミグラへの恨み言が中断される。彼のサイバイマンを利用しようとしたのはドミグラではなくトワなのだが、
「チッ、こうなったら一気に……あ? こいつら、強化されてないのか?」
多少強引にでも纏めて倒そうとしたターレスだったが、サイバイマン達がキリを纏っていないのに気が付いて気を変えたようだ。
「おい、ブルマ! 増えたサイバイマンはお前らが相手をしろ! せっかく来たんだ、一勝負くらいはしていけ!」
「義兄さん正気!? こいつら自爆するのよ!?」
「そうですよっ! それに、俺達が戦っている間に強化されたらどうするんですか!?」
ブルマとサタンが猛然と抗議するが、ターレスは気を変えるつもりはないようだ。
「その時は俺か爺が助けてやる! お前らなら油断しなければ勝てるっ、さっさとやれ!」
「まあ、そう言う事じゃ。仙豆はたっぷりあるからやってみると良いじゃろう」
「くっ、仕方がない! 皆、あいつらが纏まって自爆しないよう分断して戦うんだ!」
「サタン、いつもみたいに一人で飛び込むんじゃねぇぞ!」
覚悟を決めたクリリンが指示を出し、ジャガーがダイナマイトアタックで飛び出しがちなサタンに釘を刺し、彼らも戦闘を始めたのだった。
「ぐわぁっ!」
ベジータダークに攻撃を仕掛けようとしたベジータ王子は、ベジータダークが指を突き付けると、彼に触れる事も出来ず吹っ飛ばされた。
『ほう、今の衝撃波を咄嗟に防御して避けたか。別の歴史とはいえ、流石は俺だ。褒めてやってもいいぞ』
どうやら、ベジータダークは原作で彼が天津飯と戦ったサイバイマンを処刑した時に放った技を、ベジータ王子に放ったようだ。
「くっ……ふ、ふざけやがってっ!」
不可視の衝撃波に対して、とっさに小さなエネルギー弾を作って弾けさせ、その反動で直撃を避けたベジータ王子はベジータダークに罵声を返した。
ベジータダークが、自分をザコ未満の戦うに値しない存在としか見ていないのが伝わったからだろう。とはいえ、ベジータダークの力が360万に対して、ベジータ王子は3万6千。これほど力量に差があると、どんなにテクニックやセンスがあろうと、正面から戦うのは至難の業だ。
『なんだ? もう立つ事も出来ないのか、褒めてやった直後に情けない姿を見せやがって。いいだろう、せめてもの情けだ、これ以上恥を晒す前に――』
「おっと、お前の相手は俺達だ!」
「あたし達以外は近づくなって言われてただろっ、いきなり宰相の助言を無視してんじゃないよ!」
ベジータ王子に向かって再び衝撃波を放とうとしたベジータダークの前にトーマが割って入り、セリパが彼を離れた場所まで運ぶ。
『貴様等もサイヤ人の生き残りか。下級戦士のようだが良いだろう、特別にこのベジータ様が遊んでやる!』
「そいつはありがたいねぇ。だが、遊ばれるのはどっちだろうな!?」
たちまち高速で肉弾戦を始める二人。その攻防で、ベジータダークもトーマが強敵であると気が付き、顔から挑発的な笑みが消える。
「さっき王子様を情けないとか言ってたけどよ、あんたの方がよほど情けないぜ」
逆に、トーマは好戦的な笑みを深めていた。
『なんだと!?』
「どこの誰かも知らねぇ奴に操られて、貰いもんの力に酔うなんて、素面の時のお前ならどう思っただろうな?」
『っ!? だ、黙れぇ!』
怒りに顔を歪めたベジータダークが蹴りを放つが、それを掻い潜って避けたトーマに懐に入られ、顎と腹に左右の拳を受けて後ろに下がる。
「図星を指されたからって、いちいち怒鳴るんじゃないよ! 情けないね!」
そこにベジータ王子を置いて来たセリパが飛び掛かり、ジャブとフックの嵐を浴びせる。
『ぐっ! 女だからと言って、俺は手加減せんぞ!』
「誰がそんなこと頼んだのさ? でかい口を叩くんじゃないよ!」
セリパの拳を受けながらも、体勢を立て直したベジータダークが反撃に転じようとする。
だが、セリパはベジータダークの前から姿を消し、代わりに気弾を構えるトーマの姿があった。
「おっと、俺も忘れるなよ! フレイムバレット!」
『っ!? 小癪な真似を!』
怒りで痛みを強引に無視するベジータダークだったが、いかに溜めが短かったとはいえトーマの必殺技が直撃したダメージは小さくない。
そこに再びセリパが接近して息もつかせぬ連続攻撃を見舞い、ベジータダークが反撃に転じようとするとトーマと交代。ベジータダークにダメージを与えるとともに体勢を崩させると、またセリパに攻勢を代わる。
生前から今まで続くチームワークは、人造人間になっても健在だ。むしろ、精神と時の部屋で二年分の修行をした事でより隙が無くなっている。
『クソッ、ちょこまかと動き回りやがって!』
しかも、二人は人造人間になった事で気が無くなっている。ベジータダークはキリで強化された事で気の感知能力を得ていたが、それが全くの無駄になっている。そのため、目や耳で二人の位置を把握するしかない。
『ええいっ、一人では戦えんのか!?』
「はっ! 少人数で仕掛けてきたのはテメェ等だろ!」
「寂しかったらお友達でも呼ぶんだね! 今頃あたし達の仲間を相手するのに忙しくて、それどころじゃないだろうけど!」
ベジータダークが数の差に文句をつけても、チームで戦うのが常になっているトーマとセリパは取り合わない。
「正々堂々一対一で戦いたいなら、武道会にでも出場するんだな!」
トーマの気弾を受けたベジータダークは、大きく後ろに下がった。そして、そのまま飛んで二人から距離を取りながら考えた。
(このままでは勝てん! 女だけならともかく、男の方が厄介だ! ナッパやラディッツを呼んでも盾にもならん。どうすれば……そうだ! 奴らはいくら強くても下級戦士、俺とは違う。
奴らは、大猿化すれば理性を失う!)
ベジータダークが思いついたのは、パワーボールを使用して大猿化する事だった。もちろん、大猿化は自分だけではなく、尻尾のあるトーマとセリパも可能である事は分かっている。
だが、大猿化すれば理性を失って敵味方の区別もつかず暴れまわるはずだ。チームワークも発揮できなくなり、一人理性を保つことができるベジータダークが有利になる。
『弾けて、混ざれ!』
ベジータダークは即座に行動した。空に向かってパワーボールを打ち上げ、人工の満月を空に出現させる。
そして変身が……始まらない。
『なんだと!? 馬鹿な、何故変身できない!?』
「そりゃあもちろん、うちの宰相閣下の仕込みさ」
同じく変身する様子の無いトーマが言うように、尻尾があるのに彼やベジータダークが変身できないのは、このドクター・ゲロの仕業だ。
儂は、この荒野に前もってスパイロボットを無数に配置している。その何割かにブルーツ波遮断薬を搭載しておいた。ベジータ王子との交渉が決裂した場合や、王子がトワに操られてパワーボールで大猿化しようとした時に薬剤を散布するために。
予定とは異なる状況だが、上手く行ったようだ。
「それで、これからどうするんだい?」
挑発的なセリパの問いに、ベジータダークは額に青筋を浮かべて怒鳴った。
『クソッ――』
『クソッタレがーっ!!』
だが、ベジータダークの怒鳴り声は、より大きな咆哮によってかき消された。
『サイヤ人の王子、ベジータ様を舐めるなーっ!』
咆哮の主は、なんと大猿化したベジータ王子だった。セリパによって戦場から離れたところに運ばれたため、偶然ブルーツ波遮断薬の範囲外におり、ベジータダークのパワーボールで変身したのだ。
そして怒りの咆哮と共に放たれたエネルギー波が、ベジータダークを飲み込む。
『驚かせやがって!』
だが、ベジータ王子の戦闘力は大猿化しても36万。ベジータダークの一割ほどしかない。彼がダメージを受けていても、不意に熱めのお湯を掛けられて驚いた、程度だろう。
だが、それは致命的な事態に繋がった。
「ファイアバレット!」
「ハンティングアローッ!」
大猿化したベジータ王子が放った極太のエネルギー波によって視界を覆われたベジータダークは、トーマとセリパの必殺技の直撃を受けてしまった。
『……!?』
悪足掻きも出来ずベジータダークは爆炎に飲み込まれ、地面に落下する前に元の歴史に戻っていった。
『フッ、後はナッパとラディッツの偽者とサイバイマン共か。残りもこのまま蹴散ら……し……うぐっ』
だが、ベジータ王子の方も地面に膝を突くとそのまま倒れ込んでしまった。
「お、おい、大丈夫か!? セリパ、ベジータに仙豆を食わせたよな?」
「いや、傷が治ったらまた無茶をするだろうからそのまま置いて来たんだけど……不味いね」
変身タイプの宇宙人には、変身すると傷が治りダメージが回復するタイプがいる。フリーザなどがそうだ。
しかし、サイヤ人の場合は傷が治る訳ではない。大猿に変身して体力が増えるため、傷が治ったように錯覚するだけだ。
ベジータ王子は重傷を負った状態で大猿化し、強力なエネルギー波を撃って体力を消費し、倒れてしまったのである。
「仕方ねぇ、大猿化が解けない内に口の奥に仙豆を投げ込むぞ!」
「世話が焼けるね、まったく!」
二人は急いでベジータ王子の下に向かったのだった。
〇戦闘力推移
・天津飯:1815→6300 精神と時の部屋での修行と超神水を飲んだことで、原作ナッパよりだいぶ強くなった。目標は桃白白とランチ。
・チャオズ:225→900 精神と時の部屋での修行と潜在能力解放で強くなったが、まだ原作のサイヤ人襲来時の自分と互角に。
・クリリン:138→1400 精神と時の部屋での修行と潜在能力解放、そして十五歳なので超神水を飲んだ事で、サイヤ人襲来編のヤムチャと互角の戦闘力にまで至った。
・ヤムチャ:908→5250 精神と時の部屋での修行と潜在能力の解放、超神水の飲用によって、サイヤ人としても通用する戦闘力を獲得した。
・4号:8万1300→17万2千 精神と時の部屋での修行で、クウラ機甲戦隊のサウザーを若干超える戦闘力にまで至った。ドミグラにピッコロの代わりとして連れて来られた。
・孫悟飯:7500→22000 精神と時の部屋での修行により、ドドリアと互角の戦闘力にまで至った。ドミグラにまだ生まれていない義理の孫の代わりとして連れて来られた。
・タイツ:7080→25800 精神と時の部屋の修行と超神水でナメック星編のベジータ(変身したザーボンにやられる前)よりも強くなった。
・ブルマ:670→2450 精神と時の部屋の修行と潜在能力覚醒で、サイヤ人襲来編でピッコロの死で激高した悟飯と同じくらい強くなった。精神と時の部屋内では成長しないので、十四歳のまま。
・サタン:283→1660 精神と時の部屋の修行と潜在能力覚醒、超神水を飲んで原作ラディッツより若干強くなった。
・ジャガー:256→1330 サタンと同じ修行内容で、サイバイマンをやや上回るほど強くなった。
〇ダークサイヤ人+α
・ベジータダーク:360万
・ナッパダーク:80万
・ラディッツダーク:30万
・サイバイマンダーク:1万2千
それぞれ原作の二百倍、そしてサイバイマンダークは十倍に強化されている。
・ナッパが持っていたサイバイマン:1200 トワが強化に失敗したため、素のまま。
〇ベジータチームのスカウター
原作のサイヤ人襲来編の十年以上前なので、ナメック星編でザーボンが付けていた(戦闘力2万4千のベジータの数値を計測できず爆発した)旧型機を装着しています。
名無しの過負荷様、PY様、ヨシユキ様、コダマ様、ハガネ様、社畜戦士様、佐藤東沙様、-SIN-様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。