ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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103話 大団円の宴と未来への備え、そして暗躍

 ベジータチームのスカウターからの反応が途切れた事が判明してから、惑星フリーザNo.79では、ソルベが動揺する部下を鎮めるのに苦労していた。

「頭を冷やせ! フリーザ軍の兵士ともあろう者が、この程度で狼狽えてどうする!」

 

「で、ですがソルベ様、地球でベジータ様達に何かあれば、次に襲われるのはここなのでは!?」

 そう怯える兵士の気持ちは、ソルベにもよくわかる。よく分かるが、一緒になって狼狽えていているようでは、参謀は務まらない。

 

「スカウターの反応が途切れたのは、ベジータ様達が戦闘中であるからかもしれんし、地球と言う惑星が特殊な電磁波でも発しているからかもしれん! 情報の収集と分析に集中しろ!」

「はっ!」

 何とかオペレーターを仕事に戻らせたソルベは、内心で頭を抱えていた。

 

(念のためにベジータ様達のスカウターに注意を払うよう命じておいた事が、裏目に出てしまった)

 フリーザ軍では、侵略対象の星に派遣した兵の行動を基本的には追尾しない。だが、今回はベジータ達が惑星リデブでスラッグ一味(だと思われる者達)に襲撃されている。そのため、ソルベが独断でベジータ達を注視するよう命じていたのだ。

 

「ベジータ様から通信が入りました!」

 しかし、ソルベの後悔はオペレーターがそう叫んだことで終わった。

「なんだと!? 繋げろ!」

 

『おい、俺だ。聞こえているか?』

「はい、ベジータ様。こちら惑星フリーザNo.79、参謀のソルベです」

『貴様か。まだNo.79の基地に居たのか』

「はい。それで、地球で何かありましたか? スカウターの反応が途切れたという報告を受けたのですが」

 

『地球で敵の待ち伏せにあったが撃退した』

「おおっ! それは幸いでした! ラディッツ様やナッパ様もご無事ですか!?」

『当たり前だ。だが、戦闘の際にスカウターが壊れ、修理するのに手間取った』

 

 ソルベはほっと胸を撫でおろした。フリーザに良くないニュースを報告しなければならなくなったり、まだ仕事が残っているこの基地が対スラッグ一味の最前線になったり、そんな事にならなくて本当に良かった。

「それでは不足の品などはございますか? 新しいスカウターと共にお届けしますが?」

『いらん。スカウターはこの星の科学者で直せる奴がいた、そいつに直させる』

 

「この星と言うと、地球にですか? 辺境の惑星と聞いていましたが、スカウターを修理できる程の文明があったとは……」

『ああ、俺達にとっては幸いだったがな。それと、この星でラディッツの弟、カカロットを発見した。俺達は休暇が終わるまで、カカロット達を鍛える事にする』

 

「おお、それはおめでとうございます」

 

『詳しい事は後でラディッツに報告書を送らせる。以上だ』

「お、お待ちください! 地球は、その、制圧為されたので?」

『……少し込み入った事情があってな。それもラディッツに報告させる。以上だ』

 

「通信切れました。反応はまだありますが……」

「そうか。まあ、ご無事なら報告を待つとしよう。そもそも、ベジータ様達は休暇中なのだしな。だが、一応スラッグ一味と思われる敵を始末した事については、フリーザ様に報告しておこう」

 

「ラディッツ様の弟に関してはどうします?」

 オペレーターの一人に問われたソルベは、「放っておけ」と答えた。

「まだ戦闘力がどれほどなのかもわからんのだ。殊更隠す必要はないだろうが、報告まではしないでいいだろう。世間話の域に留めておけ」

 

 サイヤ人が飛ばし子にするのは、弱い子供だけだという。

 飛ばし子にされなかったラディッツでも、血が滲むようなトレーニングを重ね、実戦で何度も重傷を負いつつもその度に立ち上がって来たから上級兵士になれたのだ。

 

 辺境の星で、弱い種族としか戦った事がないだろうカカロットに、「ラディッツの弟だから」と期待するのは酷だろう。

 そうソルベは考えていた。

 

(そう言えば、カカロット『達』とはいったい? 戦いでナッパ様かラディッツ様が何か失態でも犯して、それを鍛え直しているのか? それとも、地球人で見どころのある奴を見つけて手下にするため鍛えようとでもいうのか?

 分からん。とりあえず、ラディッツ様の報告を待つとしよう)

 

 ソルベはそうして区切りをつけると、別の仕事に移ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 通話を終えたベジータ王子は、すぐにスカウターを外した。

「これで文句はないな?」

「うむ、問題ない。あとはラディッツが纏める報告を偽造するだけじゃ」

 

 そう儂は答えるが、ベジータ王子は儂に視線も向けず食事を再開した。

 ここは牛魔王の宮殿の大広間で、今はあの戦いが終わった後、夕食にベジータ王子達の歓迎会及びバーダックの帰還祝いのパーティーを行っているところだ。

 

「分からんな。何故チャオズ達が連れていかれたんじゃ? しかも、人質にとるでもなく放り出しただけ」

「確かに。しかも、孫悟飯やヨンまで連れて行っている。私や兄者だけではなく、兄弟弟子の牛魔王は連れて行かなかったのにだ」

「あのドミグラと言う男、連れていく者を適当に決めたのか? それとも何かあるのか?」

 

 そう鶴仙人や桃白白、チャパ王が話し込んでいる。確かに、原作のサイヤ人襲来編を知らなければ不自然な組み合わせじゃからな。

 

「まあ、ええじゃろ、勝ったんじゃから! ほれほれ、めでたい席で辛気臭い顔をしてもつまらんぞ!」

「そうだそうだ、飲もうぜ、爺さん!」

 そんな三人に、肩を組んでご機嫌な様子の亀仙人とナッパが絡みだした。亀仙人は態々気を解放した筋骨隆々とした体になってナッパに体格を合わせているため、大変暑苦しい絵面になっている。

 

「亀の、お主は酒が入ると話にならんな。ええい、考えても分からんものは仕方ない! 儂等も飲むぞ!」

「そうするか。後で会長に、時の界王神様に尋ねてもらうとするか」

 その様子に真面目に考えるのがバカバカしくなったのか、鶴仙人達も酒を飲みだした。

 

 ちなみに、真面目な話を続けると……ベジータ王子達と話し合った結果、時間を稼ぐためフリーザ軍にはカバーストーリーを報告する事になった。

 ベジータ王子達が死んだ事にする、何も発見できなかったと虚偽の報告をする等の選択肢が他にもあった。だが、ベジータ達が地球に向かう事をフリーザ軍の人間に話していたので、これが最も時間を稼ぐことが出来る方法だと考えたからだ。

 

 カバーストーリーの内容をざっと話すと……ベジータ王子達は地球でスラッグ一味らしい魔族を退治した後、スラッグ一味に征服されかけていた地球を手に入れた。そしてカカロットと、何人かのサイヤ人と地球人のハーフを発見する。

 

 ベジータ王子達も知らなかったが、昔、惑星ベジータから何かの手違いで複数の飛ばし子が地球に送られており、それが地球で生き延び、地球人との間に子孫を残していたのだ。

 それを知ったベジータ王子はこの地球を第二の惑星ベジータにするため支配し、フリーザにこの星を献上するよう上申しようとしている。

 

 という内容だ。

 

 カカロットを見つけた事にするのと、サイヤ人と地球人の子孫がいると伝えるのは、ギネや尻尾が生えた後のタイツやチチ、ブルマ、ヤムチャにサタン、マイ達の映像やグッズが地球には山ほどあるからだ。

 全国に放送された天下一武道会の映像にグッズ、タイツ達が出演したCM、上映された映画……隠しきるのは不可能だろう。

 

 しかし、フリーザが直々に視察しに来る可能性は低い。ベジータ王子によると、フリーザは侵略した星だけでなく、名を惑星フリーザに変えNo.を与えた星でも全ての星を視察する訳ではないらしい。

 もちろん、部下を派遣して視察させるぐらいはするだろうし、いつかは本人が来るだろう。しかし、幸いなことに地球はフリーザ軍から見て辺境に位置している。フリーザ本人が来るのは、もしかしたら十年以上先かもしれない。

 

 それなら、派遣されてくるフリーザ軍の幹部の目に触れる情報を制限すれば誤魔化せるかもしれない。その際、天下一武道会の映像等を見られても誤魔化せるよう、サイヤ人と地球人のハーフがいるという情報を明かす事にした。

 

 ベジータ王子が地球を欲しがる説得力にもなるじゃろうし。

 

 もちろん、サイヤ人の生き残りがいると知ったフリーザは今度こそサイヤ人を滅ぼすため地球ごと滅亡させようとするかもしれない。

 しかし、この頃のフリーザはサイヤ人をそこまで敵視してはいないはずだ。そうでないなら、ベジータ王子達を十年以上生かしておく訳がない。

 

 だから、少なくとも今のフリーザはサイヤ人に対して早急に始末しなければならない存在だとは、考えていないはずだ。

 とはいえ、サイヤ人が再興しそうだと分かったら考えを変えるだろうが……別に儂等はフリーザ軍と末永く付き合いたい訳ではない。フリーザ、およびクウラを倒せるようになるまでの間、時間を稼げればいいのだ。

 

「それで、本当だろうな? 不死鳥とやらに触れれば、俺達の寿命を数百年延ばす事が出来るというのは?」

「本当だとも。今ナッパと肩を組んでいる亀仙人は、三百年近く生きている。サイヤ人でまだ若い君なら、五百歳ぐらいまで若い肉体を維持できるはずだ」

 

「五百年か……いいだろう」

 原作ではドラゴンボールで不老不死になる事を企んだベジータ王子だが、この前の儂の説得と不死鳥の力で一先ず納得してくれている。内心では、『百年か二百年後、十分強くなってから改めてドラゴンボールで不老不死になればいい』と考えているかもしれないが。

 

「父ちゃん、ラディッツ兄ちゃん、オラの婚約者のチチだ」

「初めましてだべ、お義父さん、お義兄さん。悟空さの嫁になるチチだべ」

「マジか? もう嫁になる女がいるとはやるもんだな、カカロット」

「カ、カカロットに嫁が……!?」

 

 一方、悟空一家では、彼に婚約者がいる事を知ったバーダックとラディッツが驚いていた。

「不束者ですがよろしくお願いしますだ」

「お、おお、こいつをよろしく頼む」

「こ、これはご丁寧に……」

 バーダックとラディッツは動揺のあまりか、丁寧にあいさつするチチにつられたのか、揃って頭を下げていた。

 

「チチちゃんは良い娘なんだよ、料理も上手くて教えても呑み込みが早いんだ」

「そんな~、お義母さんの教え方が上手ぇんだべよ~」

「ほう、そいつは大したもんだ。ラディッツ、お前もうかうかしてられねぇな」

「そう言えば、ラディッツは誰かいるのかい?」

 

「いるわけがないだろう。盛り場に繰り出す暇があるなら、強くなるためのトレーニングをしていたからな。でなければ、今ほど強くはなれなかった」

 フリーザ軍の兵士は過半数が男だから、出会いは少ないはずだ。兵士達が利用する店には女性も多いだろうが、ラディッツ達はそうした店を殆ど利用しなかったらしい。

 

 まあ、考えてみればラディッツとベジータ王子はまだ十九歳。異性と付き合った事がなくてもおかしくない年齢だ。彼らの仕事と、その拘束時間の長さを考えれば猶更。

 

「なんにしてもめでてぇべ! これからは家族ともどもよろしく頼むべ、バーダックさん! ラディッツさん!」

「こっちこそよろしく頼むぜ。……ところで、あんたも地球人だよな?」

「ん? ああ、この角は兜の飾りだべ。生えてるわけじゃねぇだよ」

 そう言って笑いながら兜を脱いで見せる牛魔王の、四メートルの巨体を見上げてバーダックは苦笑いを浮かべた。

「いや、角じゃねぇんだが……」

 

 一方、悟空はスッと近づいて来たウーロンに小声で話しかけられていた。

「おい、悟空。後生だから俺の事はお前の親父と兄貴には内緒にしておいてくれよ」

「なんでだ? おめぇが懲りずに母ちゃんの風呂を覗こうとしてた事なんて、皆知ってるじゃねぇか」

 

「皆はともかく、お前のおっかなそうな親父と兄貴に知られるのが嫌なの! チャーシューやトンカツにされたらどうする……ひえぇ!?」

 器用に小声のまま怒鳴るウーロンだったが、悟空の頭越しにバーダックとラディッツがこっちを見ているのに気が付くと、悲鳴を上げて素早く逃げていった。

 

「カカロット、あのしゃべる豚も地球人か?」

 どうやら、バーダックたちはウーロンが約一年の間パオズ山で悟空達と暮らしている間、ギネの入浴や着替えを覗こうとしていた事を知って睨んでいた訳ではなかったようだ。

 

「おう、あのヤムチャの隣にいるプーアルと、あそこで飯を食ってるギランも、イエローって虎のおっちゃんもそうだぞ」

「……そうか。地球人ってのは妙な種族だな。同じ種族でこれほど姿が異なる奴らは見た事がねぇ」

「ああ、髪や肌の色が違うとか、男と女で別の種族に見えるほど姿が異なるとか、そうした宇宙人も知っているが……」

 

「もしかすると、地球人ってのはこの星に流れ着いた雑多な宇宙人共が暮らす内に血が混ざって生まれた種族なんじゃねぇか?」

「かもな」

 

 バーダックから、興味深い地球人類の起源説が飛び出した。過去に地球に移住した三つ目族の例があるので、完全にあり得ないとも言い切れない。時間が出来たら検証してみるのも面白いかもしれん。

 

 ちなみに、儂はバーダックにギネを改造した経緯を話した時に一回ぶん殴られる事になった。

 バーダックがぶつかって意識を失った儂をギネが庇って死に、その彼女に恩を返すために瞬間移動でターレスと共に宇宙船に連れ帰ったという経緯を彼に話した。すると、彼は顔を顰めて言った。

 

「うっかりぶつかったのは悪かった。それに、テメェが人造人間に改造したからギネが生きてここにいるのも分かってる。洗脳から目を覚ましてもらった借りもある。だが、正直複雑だぜ」

「じゃろうな。ギネには改造する前に同意を得ておらんし」

 当時は占い婆と知り合う前で、地獄に居るギネに事前に話を通さなかったからな。

 

 後は、当然だが裸も見ている。外科手術でも手術する部位以外は見えないようにするのは常識だが、体内に永久エネルギー炉を接続や、全身にナメック星人やフリーザ一族の細胞を移植、脳改造手術をしながら同じ事は出来ないから問題はないと儂は考えているが。

 

「バーダック、ゲロの爺さんは悪くないよ。改造って言っても、あたしはあたしのままだし、ロボットみたいになった訳でもないからさ」

「ギネ、言いたい事は分かるが……」

「まあ、納得できないんじゃったら、一発儂を殴るといい」

 

「ドクターっ!? 死ぬつもりですか!?」

「そうだよ、爺さんっ! バーダックに殴られたら自慢の頭が消し飛ぶよ!?」

 血相を変える4号とギネに、儂は「いや、もちろん手加減はしてもらうつもりだが」と言って宥める。

 

「儂の本分は科学者だが、武道家の端くれでもある。頭で納得できない事を長々と抱えるよりは、拳に乗せて放った方が効率的じゃろう。何せ、短くて済む」

 いわゆる「ケジメ」だな。短絡的に物事を解決した事にするのは良くない。が、議論しても解決しない感情的な問題を片付けるためにはいいと儂は考えている。

 

 驚いた顔で儂の話を聞いていたバーダックだったが、納得したのかニヤリと笑った。

「そう言う考え方は気に入ったぜ、爺さん。地球の科学者は皆そうなのか?」

「いや、儂ぐらいだな」

 儂の背後でブリーフやピラフ大王達が全力で首を横に振っているのが気配で分かる。

 

 そして儂は牛魔王の城のテラスでバーダックの拳を受けて、空を舞ったのだった。ちゃんと手加減してくれたので、意識を失う程度で済んだ。傷も4号に治療してもらったので完治済みだ。

 

「クリリン君、ジャガー君から聞いたよ、活躍したみたいだね」

「いや~、そんな事無いですよ、パンプットさん」

「お前が突然消えたから、こっちは大変だったんだぞ。こいつが慌てて――」

 

「べ、別にあたしは慌てちゃいない! こいつが突然消えたから、驚いただけさ! ブルマ達もあたし達を置いてすぐに消えるし」

「え? ラズリさん、もしかして俺の事心配してくれたとか……」

「驚いただけだって言ってるだろ! ラピスも、余計な事を言うんじゃない!」

 

 悟空とチチだけでなく、ラズリとクリリンも仲が良くていい事だ。さて、こうなるとブルマとベジータ王子がどうなるのかが気になるところだが……。

 

「あんた、さっきから黙って食べてるけど、地球の料理がそんなに気に入ったの?」

「……フン、悪くはない」

 ふと見ると、ブルマがベジータ王子に話しかけていた。ベジータ王子はそっけなく答えているが、手を止めずに料理を食べ続けているから、よほど気に入ったようだ。

 

「そう。だったら肉だけじゃなくて魚も食べてみなさいよ。お寿司なんてどう? ウナギのかば焼きもあるわよ」

 牛丼からステーキ、スペアリブ、ローストチキン等、肉料理を主に食べているベジータ王子に、魚料理を勧めるブルマ。ベジータ王子が肉ばかり食べているのは、単に自分の近くにある料理から食べているだけだろうから、何事もなく受け取るだろうと儂は思っていた。

 

「……ブルマと言ったな。貴様、こいつの孫か何かか?」

 しかし、何故かベジータ王子は儂を指さしてブルマにそう尋ねた。

「まあ、孫みたいなものね。血は繋がってないし、お爺ちゃんって実はパパとそんなに歳は変わらないんだけど」

 

「そうか。なら言っておいてやる。こいつや親父に何を言われたかは知らんが、俺に媚を売っても無駄だぞ。諦めるんだな」

 と、当時はまだベジータ王の手紙に書かれていた事を知らなかった儂にとって、奇妙なことを言い出した。

 

「な、なんですってっ!」

 すると、言われたブルマの顔が赤く染まっている。もちろん、怒りでだ。

「あんたね、人が寂しそうにしていて可哀そうだから話しかけてあげてるのに何様のつもり!? 王子だからって調子に乗り過ぎなんじゃない!?」

 

「な、なんだと!? 誰が寂しそうだっ!」

「あんたよ! 友達が二人とも楽しそうにしてるのに、一人で黙々と食べてたじゃない!」

「貴様っ、言わせておけばいい気になりやがって!」

 

 瞬く間に怒鳴り合いに発展している。ブルマは自身よりはるかに強いベジータ王子に臆さず、指を突き付けた。

「言っておくけど、あんたなんて全然素敵じゃないわっ! ベジータ王様と似ているのは髪形と目つきだけなんだもの!」

「な、なにぃっ!? 俺が親父以下だとでも言うのか!」

 

 ……この歴史のブルマの好みは、桃白白じゃからな。なお、ベジータ王もかなり好みらしい。

 そしてベジータ王子が動揺しているのは、十年以上前に戦闘力でベジータ王と並び、今では当時のベジータ王よりも圧倒的に強くなったので、既に親を超えたという自負があるからだろう。

 

「そうよっ! 言っておくけど、ナッパって人の方があんたより素敵だわ! フンっ!」

 そう言い捨てて、ブルマは席を立ってしまった。そして……離れた場所のバーダックチームがいる席に向かっていく。

 

「ガッハッハッハ、すげぇな! 王族を言い負かしちまったぜ!」

「なら俺はどうだ? 素敵かい?」

「う~ん、スリムになったら考えてあげる」

 

「振られちまったね、パンブーキン。それにしてもブルマ、あんたサイヤ人に向いてるよ!」

 ワイワイとブルマを褒めるバーダックチーム。一方、ベジータ王子は激怒するかと思われたが、ブルマを追いかける様子もなく座ったまま呆然としていた。

 

「俺より……ナ、ナッパの方が……!?」

 どうやら、ブルマにナッパの方が素敵だと言われた事がだいぶショックだったようだ。

「まあ、気にすんなよ、ベジータ。ほれ、大人の男にしか出せない魅力ってもんがあるからよ」

 ちなみに、言われたナッパの方はまんざらでもない様子でニヤケていた。

 

「魅力云々はともかく、ナッパの言う通りだぜ。そう気にする事はねぇさ」

「そ、そうか?」

「うん、あの子、かなり年上が好みだから」

「ああ、好みは人それぞれだからな。それにしても、ベジータ王の手紙にはなんて書いてあったんだ?」

「ああ、手紙には――」

 

 そして、ショックを受けているベジータ王子を、ターレスとタイツが慰めている。今は問われるままに答えているが、ベジータ王子も精神的にタフなはずじゃから、しばらくすれば立ち直るだろう。

 そう思っていると、ふとバーダックが苦笑いしているのが視界に入った。

 

 もしかしたら、未来トランクスの母親が誰か気がついたのかもしれない。

 

(しかし、この歴史ではどうなる事やら。もしかしたら、儂の知るトランクスはこの歴史では生まれないという、改変が起きるかもしれんな)

 その時は時の界王神様に弁明しておこう。儂のせいではないと。

 

 

 

 

 

 

 まだパーティーは続いているが、バーダックは夜風に当たってくると牛魔王の城のテラスに出た。

 既に日は沈んでいるが、赤々と燃えるフライパン山の炎のお陰で暗くはない。見ようによっては、まるで地獄のような夜景だ。

 

「よう、ギネと待ち合わせか?」

 だからというわけではないだろうが、テラスには先客のトーマがいた。

 

「いや、用があるのはお前だ、トーマ」

「俺にか? 地獄での話が聞きたいならいくらでも聞かせてやるぜ。これがほんとの冥土の土産話だな」

「そいつも気になるが、それよりもお前に返す物がある。これだ」

 

 バーダックは血染めのバンダナを外すと、トーマに向かって差し出した。惑星ミートで、死にかけていたトーマから受け取った物だ。

 フリーザ等が放った強力なエネルギー波にさらされたせいか、それともタイムスリップやトワの魔術が未知の作用を及ぼしたのか、バンダナは乾いて黒ずむ事もなく、まるで最初から紅かったかのような鮮やかさを保っている。

 

「こいつは……もしかしてあの時のか? お前、まだ持ってたのかよ」

「覚えてるのか? これを受け取ったのはお前が死んでからだぞ」

「まあな。死んでからしばらくはお前の様子を見られたからな。惑星ベジータがフリーザに滅ぼされる時に、お前と戦っていて巻き添えになったフリーザ軍の連中も、お前が赤いバンダナをしていたって話してたしな」

 

 トーマ達が地獄に落ちてから間もない頃、一向に見つからないバーダックを探すために、他のサイヤ人だけではなくフリーザ軍の死者も締め上げて情報収集をしていた。その時に、分かったらしい。

 

「チッ、死人に口なしってのは嘘だな。だが、それなら話が早え。悪いが、俺は多分お前らの仇を討てねぇ。だから、こいつはお前に返す」

 トーマ達の仇を取ると、サイヤ人として最後まで戦うと誓って締めたバンダナだったが、タイムパトロールになると決めた以上それは難しい。

 

 ドドリア、そしてフリーザと戦う時には、バーダックはおそらく歴史改変者と戦っているはずだからだ。そして、タイムパトロールになる以上、当時の彼らの知る「サイヤ人」ではいられない。

 

「タイムパトロールになるって話か。バーダックがまさか正義の味方になるとは驚いたぜ」

 バーダックがタイムパトロールになる事は、トーマ達はもちろんギネやラディッツ、悟空、そして家族以外の全員からも驚かれた。

 

 しかし、ゲロが事情を話した事と、不定期にだがたまに帰って来られる事を聞いたギネは「それって、前とあんまり変わらないって事?」と言って特に反対しなかった。代わりに「二度と操られるんじゃないよ。それと、時の界王神様って言うのに失礼が無いようにね」と言った。

 

「単純な正義の味方、って言う訳じゃなさそうだがな」

「銀河パトロールとは違うのか?」

「名前が似てるだけだろ」

「そうか、じゃあそのバンダナは就職祝いって事でお前が持っとけ」

 

 そう言ってトーマはバーダックにバンダナを投げ返した。

「何の因果か、こうして俺達は生きてるわけだ。それも、ドドリアくらいなら軽く指で弾いてやるだけで殺せるぐらい強くなってな。だったらお前一人に背負わせる必要もないって話だ。

 俺達はチームだ。そうだろ、バーダック?」

 

「チームか……そうだったな。思い出したぜ」

 バーダックはトーマに頷くと、投げ返されたバンダナを改めて締め直した。

「俺が歴史改変者の相手をする。その間に、お前らがフリーザを倒す」

「完璧な作戦だな。バーダックチーム再結成の初仕事に相応しいぜ」

 

 そしてお互いに拳をぶつけ合った。

 

 

 

 

 

 

 宴の後、占い婆の宮殿で行われるこの世とあの世の交流試合までの間、儂等はそれぞれの時間を過ごした。

 宇宙軍のレッドリボン旅団は、我が社の技術者達と協力して外宇宙からやってくる脅威を監視している。

 ベジータ王子達からの情報提供によって、フリーザ軍の拠点の座標が判明したので、監視作業も捗っている。

 

 もちろん地球からだけではなく、ナメック星やヤードラット星からもそれぞれの星の軌道上に設置した人工衛星を使って監視している。

 こうなると、本拠地を惑星クルーザーに改造して宇宙を飛び回るスラッグ一味の方が厄介かもしれん。

 

「しかし、今の監視衛星では惑星フリーザNo.79の基地の動きを監視するのがやっとですぜ」

「オレンジ大佐、ひとまずそれで十分だ。地球に対して何かするなら、No.79の基地からじゃろうからな」

 フリーザが直接地球に来る場合や、フリーザ軍とは別の組織のクウラが動く場合はその限りではないが、それはまだ先のはずじゃから、ひとまずNo.79の基地を監視できれば問題ない。

 

 そして洗脳から解放されたバーダックは、タイムパトロールの一員として歴史改変者との過酷な戦いに身を投じるまでのつかの間の時を家族や仲間達とともに過ごす……前に、ベジータ王子より先に精神と時の部屋に入る事になった。

 

 何故そうなったのかと言うと、始まりは宴の翌朝……つまり、バーダックが解放された翌朝に時の界王神様からの通信が入った事だった。

『ゲロ、ちょっといい? あなたに悟空が頼みたい事があるみたいなんだけど』

「これは時の界王神様。もちろん構いませんぞ」

 仙豆の追加か、それともトレーニングスーツが欲しいのだろうか?

 

「しかし、魔術妨害装置はトワに壊されたばかりなので、無事な物は予備が数台だけですし、メチカブラ一味のトワやドミグラには効果を発揮できないでしょう」

 妨害装置は通常時のトワの魔術は妨害できたものの、魔神化した途端オーバーヒートを起こし停止してしまった。

 

 この事から、普段から魔神化しているメチカブラ一味のトワやサルサ、そしてドミグラには通用しないと思われる。まだまだ改良が必要じゃ。

『やっぱりそうか~。じゃあ、完成したら貸してね。でも、悟空が頼みたいのは別の事みたい』

『オッス、ゲロのじっちゃん!』

 

「昨日ぶりじゃな、悟空。それで儂に頼みたい事とはなんじゃろう?」

『ああ、そっちの精神と時の部屋を使わせてくれねぇか? そっちの精神と時の部屋は一度に四人まで使えて、しかも中では歳はとらねぇんだろ?』

 

 ついでに飯は我が社のインスタントやレトルト、冷凍食品、缶詰を提供している。その事をタイムパトロールの悟空が知っているとは思わなかったが。儂が世間話か何かで口に出したか、時の界王神様がこの歴史に異変が起きないか監視している時に知り、それを悟空に話したのかもしれん。

 別に秘密にしている訳ではないから構わないが。

 

「なるほど。つまり、儂に地球の神様とミスター・ポポに話を通して欲しいのか」

 別の歴史の、それも未来の悟空やベジータ、トランクスの姿を地球の神様に見せるのは出来るだけ避けたいじゃろうからな。

 

 精神と時の部屋の中に直接出入りできたとしても、無断使用している間に儂等の歴史のベジータ達が入ってきたら一大事じゃし。

『おう、それで父ちゃんもオラ達と一緒に入れねぇかな?』

「バーダックもか。なるほど、今のバーダックだと歴史改変者と戦うには力不足だから、精神と時の部屋を使って彼を強くするのが狙いか」

 

 今のバーダックの戦闘力は2億で、スーパーサイヤ人に成れば100億。儂等から見ればとてつもない強さだ。しかし、タイムパトロールが戦う相手は魔人ブウや旧ブロリーを超える強さを持つ歴史改変者達。今のままの彼では通用しない。

 

 そこで、精神と時の部屋を使って短期間で強くする事を思いついたのだろう。ついでに、自分達も思い切り修行が出来る。

『へへ、流石ゲロのじっちゃんだ。話が早いぜ。じゃあ、頼むな!』

「うむ、分かった。バーダックにも連絡しておこう」

 

 こうして儂はバーダックを二日借りる事をギネ達に許してもらい、途中で彼を不死鳥に触れさせて寿命を延ばしてから地球の神様の神殿に連れて行った。

「時の界王神様に頼まれては是非もない。ポポ、精神と時の部屋とその前には二日、いや、三日間立ち入り禁止だ」

「はい、神様」

 地球の神様達の了承も得られたので、バーダックはタイムパトロールの悟空達と四人で修行する事になったのだった。

 

「やれやれ。ギネやガキ共と再会したと思ったら、次の日には二年間離れ離れとは思わなかったぜ。惑星ベジータがあった頃でも、ここまで長くは留守にしなかったぞ」

「すまんな。部屋の外では二日しかたっておらんから、大目に見てくれ」

 

「まあ、いいさ。ギネに弁当も貰ったしな。別の歴史のガキと、ベジータ王の倅と孫と過ごすとするさ」

 そう話していると、タイムパトロールの悟空達が現れた。

「オッス、父ちゃん、ゲロのじっちゃん」

 

「うむ。トランクス、これは部屋の重力や空気の薄さ等を操作する説明書じゃ。そしてこれが追加の仙豆。部屋の中には再生ポッドもあるが、薬剤が無くなった時や緊急の場合に使うと良いじゃろう」

「助かります」

 儂は悟空に挨拶を返した後、説明書などをトランクスに手渡した。悟空に渡しても、読んでくれないかもしれんからな。

 

「ついでにこれを渡しておこう」

 そして、最後に薬が入ったケースを手渡した。

「この薬は?」

「老化遅延薬じゃ。飲めば二割老化が遅くなる。タイムパトロールとして働いている間に取る歳を緩和できるじゃろう」

 

「いらん世話だ。貴様の所にいる俺と違って、俺達は不老不死に興味がない」

「儂もそう思うが、念のためだ。スーパーサイヤ人に成る事で体に受けた負荷も、この薬で緩和できるからな。

 遅くなった老化も、お前さんが元の歴史で繰り返し精神と時の部屋に入った分で相殺されるじゃろう」

 ベジータが断ろうとするが、儂がそう言うと納得したのか押し黙った。

 

「そうだぞ、ベジータ。それによ、いらねぇんだったらブルマにでもやったら喜ばれるんじゃねぇか?」

「えっ、そんな事をしていいんですか?」

「大丈夫だろ、多分」

「元々不死鳥は君達の歴史にも存在したのだから、問題ないじゃろう。ドラゴンボールで若返るのに比べれば、細やかな効果じゃしな」

 

 厳密に言えば、これも他の歴史への干渉になるのだろうが……それなら儂が渡す仙豆も使ってはならない事になる。今はタイムパトロールとはいえ、悟空達も時期が来れば自分達の歴史に戻る事になるのだろうし。

 

『一応聞くけど、それってメチカブラには効かないわよね?』

「調べたわけでは無いが、効かないでしょうな。もし効くのなら、今頃メチカブラ一味が我が社の製薬工場を襲撃しているじゃろうし」

 

 トワやミラの細胞は昨日入手に成功している。トワとメチカブラは種族的には同じじゃろうから、トワの細胞の解析が終われば色々分かるかもしれん。だが、まだ取り掛かっていないので推測しかできない。

 もしかしたら、老化遅延薬が効くかもしれないが……二割程度ではメチカブラが期待する若さには足りないので、見向きもされていないだけかもしれん。

 

『それもそうね。じゃあ、いいわ。機械の体になるとかして、永遠の命を手に入れる事も不可能じゃないんだし。でも余ったら、だからね!』

 と、時の界王神様も黙認してくれた。

 

「な、時の界王神様もこう言ってるしよ。ありがとな、ゲロのじっちゃん! じゃあ、そろそろ行くか!」

 そう言って悟空達は精神と時の部屋に入っていった。それを見送った儂は地球の神様達に彼等が部屋に入った事を伝えた後、この歴史のベジータ王子達の様子を見た後、研究開発に取り組むため会社に戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「まだじゃ、ピッコロ大魔王。まだお前はドクター・ゲロが作り上げた人造人間と、子飼いの宇宙人達に勝つことは出来ん!」

「な、なんだと!? 貴様の言う通り、戦闘力を23万にまで高め、強くなったというのにか!?」

 

 その頃、ゲロの目が届かない何処かにあるドクター・コーチンの研究所では、例年の恒例行事のようにピッコロ大魔王がコーチンに待ったをかけられていた。

 彼の戦闘力はコーチンの度重なる改造と地道なトレーニングによって、元の千倍の23万にまで上昇している。しかし――。

「それでもまだじゃ」

 

「先日公開されたという映画で、貴様が心酔していたドクター・ウィローが桃白白に殺された時、奴らを殺してやると復讐心を新たにしたのではなかったのか!?」

「それでも、それでもまだじゃ!」

 

「まさか貴様、映画でウィローが思いのほか天才らしく描写されていたのを評価していたが、それで絆されたか!?」

「そんな訳があるまい! だが、まだじゃ!」

 

「貴様の要求通り生み出した我が子、ピアノの改造も上手く行ったではないか!」

「その通りです、ドクター・コーチン! ピッコロ大魔王様のご命令とあらばこのピアノ、命を賭して戦います!」

 

 ピッコロ大魔王に同意するのは、プテラノドンに似た頭部を持つ小柄な魔族、ピアノだった。見たところ、コーチンよりも小柄でとても戦えるようには見えない。しかし、彼が「ふん!」と全身に力を漲らせた瞬間、筋骨隆々とした巨体へと変化した。

 

「ピッコロ大魔王様から授かり、ドクターの改造によって力を手に入れた、この狂暴魔族戦士ピアノにお任せください!」

 そう、ピッコロ大魔王から生まれたピアノはコーチンによって狂暴魔族戦士に改造されていたのだ。

 

「ピアノ、確かに貴様はかつて作り上げた狂暴戦士達を遥かに上回る、傑作じゃ! その力はドクター・ウィローすら上回る!」

「ではっ!?」

「だがダメじゃ! 昨日、地球に現れた宇宙人達とゲロの手下が戦っていたのだが、その時儂の放った計測機器で奴らの戦闘力を計測した。その結果、ゲロの人造人間には50万を軽く超える者が複数確認された!」

 

「ご、50万!?」

「ば、馬鹿な!」

 コーチンの言葉に目を丸くして驚愕するピッコロ大魔王とピアノ。ちなみに、コーチンは自力で手に入れた情報だと思い込んでいるが、全てドミグラが魔術で彼に与えた情報である。

 

「だが……確かに、儂は復讐に拘り過ぎているのかもしれん。この研究所の最下層から地球の核に向けてピッコロ大魔王が気功波を放てば、地球を爆散させ人類を滅ぼす事が出来る。

 だが……それではわしの気が済まんのだ!」

 そう叫ぶコーチンの瞳は、怒りと憎しみの炎で炯々と光っていた。

 

「奴に儂とドクター・ウィローこそ真の天才科学者であると思い知らせ、屈辱と絶望の中で殺さなければならんのだ。他の人間共も、一瞬で楽にするなど生ぬるい! じわじわと恐怖で追い詰め死の苦痛を味わわせてやる!」

「大魔王様、やはりこのドクター、実は魔族なのでないでしょうか?」

「ピアノ、儂も何度か疑ったが、こいつは人間だ。だが、こいつに復讐を諦めさせるなよ。地球を爆散させると、儂も死ぬからな」

 

 コーチンが叫び続ける間、こそこそと内緒話をするピッコロ大魔王とピアノ。地球の神と元々一人だったピッコロ大魔王は、彼が死ぬと同時に死んでしまう。そのため、地球人類を滅ぼしたとしても、地球と言う惑星そのものを爆散させるという選択肢はない。

 

 しかし、コーチンは本気でやりかねないため、二人は彼が復讐を諦めないよう注意していた。

 

「力を貸してくれるな、ピッコロ大魔王!」

「も、もちろんだ、コーチン! 貴様と交わしたこの世を地獄にするという約束を忘れるほど、儂は耄碌しておらん! このピッコロ大魔王を甘く見るなよ!」

 

「おお、それでこそ伝説の大魔王だ! ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!」

「フハハハハハハハ!」

 そう高笑いをしてお互いを鼓舞するコーチンとピッコロ大魔王。ピアノはとりあえずホッと胸を撫でおろした。

 

 しかし、研究室を出たコーチンは思い悩んでいた。これ以上ピッコロ大魔王をどう強化すればいいのか、分からなかったからだ。

 正確に言えば、アイディアはある。あるが、それを実行するだけの素材が足りない。

 

(やはり素材が足りない。こうなればこの研究所の場所がゲロ達にばれる危険を犯しても、素材を手に入れるために動くべきか? いや、それでは結局復讐を遂げる前にゲロにこの研究所を嗅ぎつけられ、攻め込まれるかもしれん)

 そう思い悩みながら、彼は研究所のスペースを拡充するため、ロボットを操作して地面を掘り始めた。

 

 作動音を響かせながら土を掘り、岩を砕くロボット。その時、土に混じって奇妙な壺が地面から出て来た。

「ん? なんじゃ、これは……」

 古代の遺物か何かだろうかと、コーチンはロボットを止めると壺を慎重に持ち上げた。考古学は専門外だが、気分転換になるかもしれない。そう思い、蓋を開ける。

 

「なんと、これは――」

「神精樹の実だ」

「神精樹の実だ。神しか口にする事が許されないという、伝説の……まさか、こんな地下で眠っていたとは」

 

 壺から神精樹の実を取り出し、驚くコーチンの背後にはドミグラが佇んでいた。彼の頭上に掲げられた杖は妖しく輝いている。

「この神精樹の実を使えば、ピッコロ大魔王をより強くできる」

 

「そうだ、この神精樹の実を使えばピッコロ大魔王をより強くできる! もっとも足りなかった素材が、まさか地面の中で眠っているとは! 神か悪魔かは知らんが、この采配に感謝する!」

 そしてコーチンは神精樹の実を壺に戻すと、それを抱えたまま研究室に戻っていった。

 

「なに、これぐらいならお安い御用だ。ククク……」

 それを見送った魔神ドミグラは、含み笑いを響かせながら何処かへ消えるのだった。




〇戦闘力推移

・亀仙人:9800→1万9千 修行の結果、サイヤ人襲来編時の原作ベジータを超える強さに到達した。宴会でナッパと肩を組んでいる時は、劇場版『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』で酔っ払っていた時と同じ状態。
・鶴仙人:7600→16250 レッドリボン旅団の新たな弟子達にどどん波や残像拳を教えている。

・桃白白:9900→2万3千 修行の結果、原作ザーボン(変身前)と並ぶ強さになったヒーロー。主演映画第五作も好調。

・アックマン:7130→1万5200 地獄一武道会にも出場した正義の悪魔。サイヤ人達が地獄をエンジョイしすぎな件について、「地獄とはいったい?」、と考えている。
・チャパ王:6024→1万6百 まだまだ悟空より強いチャパ王。

・牛魔王:9310→2万1千 ドドリアに匹敵するほど強くなった牛魔王。ドドリアがナメック星編と同じく実戦から離れて勘が鈍っている状態ならまず勝てる。
・チューボ:3310→6430 原作ナッパよりだいぶ強いが、悟空に若干だが追い越されてしまった。

・ナム:1243→2420 サイヤ人襲来編で激高した悟飯と同じくらい強い。
・パンプット:212→1191 サイバイマンに匹敵するほど強くなった、アクションスター。しかしクリリンに抜かされてしまった。

・ギラン:290→1039 平均的な惑星の種族で最強の戦士と同じくらい強くなった。最近の組手相手にはグルグルガムが通用しなくなったので、吐く機会が無くなった。
・シルバー大佐:80→665 レッドリボン軍編の約8倍の強さになった。もうすぐ改造が始まり半年以上眠る事になるので、先輩人造人間のトーマに話を聞いたが、あまり参考にならなかった。

・バイオレット大佐:70→581 人造人間への改造を待ちながら、どどん波や残像拳を習得した。
・オレンジ大佐:80→430 精神と時の部屋での修行などを熟しながら、地球に迫る宇宙の脅威を監視する王立国防軍の大佐。

・イエロー大佐:70→365 強くなったイエロー大佐。
・ムラサキ曹長:80→430 残像拳を習得して、忍者戦士への道を進みつつある。ちなみに、五つ子全員同じ実力。



〇ピッコロ大魔王

 コーチンの改造と研究所内で出来る地道なトレーニングによって、戦闘力が2万3千から23万にまで上昇した。
 しかし、23万ではゲロ本人はともかく、彼の人造人間と仲間には勝てないので、コーチンから今年も待ったをかけられてしまった。

 なお、コーチンが復讐を諦めて地球を滅ぼさないよう彼のメンタルケアもしている。ある意味、地球の平和を守っている一人。



〇狂暴魔族戦士ピアノ

 復活したピッコロ大魔王が、コーチンに依頼されて生み出した魔族。普段は戦闘に向いているとは思えない小柄な姿だが、戦闘形態に変化すると二メートル強の筋骨隆々とした体つきの大男に変化する。
 その体にはコーチンによる改造が施されており、魔族であると同時に狂暴戦士でもある。現時点でドクター・ウィロー(戦闘力3万8千相当)よりも強いらしい。

 原作ではピッコロ大魔王がピラフ大王に封印を解かれた後、側近として生み出された最初の魔族。
 見た目通り戦闘には向かず、原作では戦う事はなかった。しかし、アニメではピッコロ大魔王がキングキャッスルを占拠する際、銃弾の雨を浴びても無傷のまま痛がる様子もなく平気で立っていた場面や、ヘルメットを被った兵士の頭を齧り取るような描写があった。

 ただその死に方は、悟空に吹っ飛ばされたピッコロ大魔王に押しつぶされるというあっさりしたものだった。
 そのため、一般人よりは遥かに強いと思われるが、弟にあたるタンバリンやシンバルには遠く及ばないものだったと思われる。

 原作初期の悟空(戦闘力10)でもブルマに拳銃で撃たれた時には痛がっているので、戦闘力は10以上だが、20から30ぐらいだったのではないかと推測しています。

 アニメではキングキャッスルの選挙後、料理人達を集めて彼らの料理を味見した後皿を落とし、ピッコロ大魔王のためにゲテモノ料理を作るよう命じている。

 なお、魔族と呼ばれていているが魔凶星由来の魔族ではなく、悪の心を持つピッコロ大魔王から生まれたナメック星人の亜種であるため、日光は弱点ではない。



 ヨッシー7w76kxZ様、ふふふ様、 佐藤東沙様、PY様、ヴァイト様、麦茶太郎様、太陽のガリ茶様、NoSTRa! (ノズトラッ!)様、たぬき様、壬生谷様、mnsk様、mnsk様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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