ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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117話 事後処理と根菜一家の第三子、ラニ誕生

 クラッシャー軍団とターレスダークとの戦いが終わった翌日、リアルタイム通信によるフリーザ軍への報告が行われた。

『お久しぶりですね、ベジータさん、ゲロさん。それにアボさんにカドさん』

 なんと、スクリーンに映ったのは地球の最寄り基地、惑星フリーザNo.79の基地の司令官ではなく、フリーザ本人だった。

 

「お、お久しぶりです、フリーザ様」

「再びお会いできて光栄です」

 儂等は慌てて一礼した。なお、大型スクリーンの前にいるのは儂とベジータ王子の他にはアボとカドだけだ。

 

『私もあなた達の無事な姿を見られてうれしいですよ。せっかく星をあげたばかりなのに、その星ごと滅ぼされてしまっては気の毒ですからね。

 それで、何者かの襲撃を受けたそうですね?』

 

「はっ! フリーザ様に派遣していただいたクラッシャー軍団が到着する寸前に、攻撃を仕掛けてきました。ご覧ください」

 儂が機械を操作して、枯死した神精樹の映像を映す。すると、フリーザやその後ろに控えているザーボンが息を飲んだ。

 

『これは……ザーボンさん、征服するはずだった星にあったのと同じ樹ですね』

『はい、間違いありません。ベジータ、ゲロ、この樹の正体は分かっているのか?』

「ああ、それならアボとカドが知ってたぜ。なあ?」

『なんだと? クラッシャー軍団が?』

 

 意外そうに聞き返すザーボンに、アボとカドはやや緊張した様子で答えた。

「お、おう。とはいっても、見た事はなかった」

「俺達が今使っている宇宙船は、地球に来る前に鹵獲した物だが、そのコンピューターの中にそれらしい情報があったんだ」

「神精樹と言う、神が力を手にするために使う植物らしい。根付いた惑星の滋養を全て吸い取って成長し、実をつけるんだとか」

 

「それで、その実を食べると強くなれるらしい。地球に来るまでは御伽噺だと思って本気にしていなかったから驚いたぜ」

 神精樹について儂等が知った経緯は、アボとカドが語った通りと言う事にした。

 

 なお、皆には儂が神精樹について知っている事については、「時の界王神様達から聞いた」と説明している。

 

『根付いた惑星全ての滋養を吸い取る、ですか。なるほど、侵略する予定だった星がことごとく赤茶けた砂と岩だけの星になっていたのも頷けますね。

 それで、その神精樹の実とやらを食べるとどれくらい強くなれるか分かっているのですか?』

 

「申し訳ありません、フリーザ様。地球に根付いた神精樹は実をつける前に、敵を始末する際に穴をあけて枯らしてしまいました」

「実物が無いので分析や検証が出来ていないのですが、ベジータ王子達が倒した敵の戦闘力を考えると、並みの兵士ならともかく、ザーボン様のような上級兵士なら問題なく戦えるかと」

 

 神精樹の実の効果をフリーザ軍に正確に伝えるのは危険だ。フリーザ本人は、最終形態の強さから想定すると食べてもそれほど強くならないはずだが、ギニュー特戦隊やザーボンやドドリア等の配下が一気に強くなってしまう。

 そして、そうするためにいくつもの星が神精樹の苗床にされてしまうかもしれない。

 

 ……確かに、考えてみればフリーザ軍は普段からいくつもの星を征服しているし、価値がないとみなした星は原住民の存在に構わず破壊する事も多い。被害者から見れば、皆殺しにされて星を侵略されたり、星ごと木っ端微塵にされたりする事と、神精樹の苗床にされるのとでは大した違いはないかもしれん。

 

 しかし、主観的には大きな差がある。儂等が情報を渡した事がきっかけで、フリーザ軍が神精樹の種を手に入れ、星を苗床にしようとしたら、寝覚めが悪い。

 それに、神精樹の実を手に入れるために普段以上のペースで他星を侵略する可能性を未然に防げる。

 

『なるほど。それで、地球の状態はどうなのです?』

「はい、解析した結果神精樹が根付いた荒野以外の影響は軽微で、長命薬の生産等に影響はないという結果が出ています」

 

 一方、この報告は事実だ。レッド将軍率いる王立国防軍やGCG、サイヤ人達の奮戦によって根の浸食を防いで荒野に押し止めてくれたおかげだ。

 もっとも、本来なら地球は大きなダメージを受ける事を避けられなかったはずだった。何故なら種から発芽して巨木へと成長する過程で神精樹が地中深くに根を張り、滋養を吸い上げるからだ。

 

 しかし、あの神精樹は種から育ったのではなく、ドミグラによって他の歴史から既に山より巨大な巨木にまで成長した状態で運ばれてきたものだ。おかげで根は地中深くに及んでおらず、この歴史の地球は急成長に必要な滋養を奪われずに済んだのだ。

 

『ほう、それは朗報ですね』

「はい。全てはクラッシャー軍団を派遣してくださったフリーザ様の采配のお陰です」

『おや? 敵はクラッシャー軍団が到着する前に地球に来たのではなかったのですか?』

「そうです。ですが、クラッシャー軍団もすぐに駆け付けてくださりました」

 

 昨日の戦いの経緯は……まず謎の敵がクラッシャー軍団より早く地球に襲来。神精樹の種を荒野に植えられてしまった。

 異常事態に気が付きベジータ王子達が応戦している最中に、クラッシャー軍団が到着。戦闘に加わる。

 神精樹を一刻も早く駆除するためにベジータ王子が大猿化。その状態を維持するために必要な人工の月を、アボとカドが敵から防衛。

 そして、戦闘力を十倍にしたベジータ王子が放った気功波で、神精樹に穴を空けて枯死させる事に成功した。

 

 そう偽っている。もちろん、擬装内容に沿って改竄した証拠も用意している。

 

「「敵が襲撃する前に地球へ到着できず、申し訳ありませんでした!」」

『まあ、その事はいいでしょう。防衛に成功しただけでもなかなかの手柄ですよ』

 しかし、フリーザは特に疑わずに信じた。実際に地球以外にも神精樹の被害に遭った星がいくつか発見されているから、疑う理由が無かったのだろう。

 

『それで、敵についてですが全員始末したのですか?』

「はい。地球に来た連中は全員始末しました。ですが、奴らは何者かの手下に過ぎないと思われます」

『でしょうね。ただの宇宙海賊の仕業にしては、被害に遭っている星が多すぎます。それで、その何者かとやらの目星はついているんでしょうね?』

 

「おそらく、スラッグの一味かと。敵から採取した細胞を解析した結果、去年ベジータ王子が倒したスラッグ一味の幹部達と、共通点がありました」

 この推測も、後半の共通点については嘘だが本当だ。今の宇宙で、フリーザ軍の縄張り内や隣接する宙域の星を荒らす度胸と、それでいて捕捉されない機動力を持つ集団は、スラッグ一味ぐらいしかいない。

 

 フリーザ軍の情報網には原作には登場していない宇宙海賊の情報もあるが、どれも規模が小さすぎる。

 また、ドラゴンボール超に登場したモロの手下になった犯罪者達は、銀河パトロールの縄張り内で活動していた者達だ。距離が離れ過ぎている。

 

 そして何より……クラッシャー軍団が神精樹の種を手に入れた不自然な経緯や、事件が起きたタイミングから考えると、歴史改変者……ドミグラ一味が裏で糸を引いているのは間違いない。

 彼らが原作に登場しない、名もなき悪党を利用するとは考えにくい。なので、儂はドミグラ達が何かを企んでおり、そのためにスラッグ一味に神精樹の実を与え、宇宙を荒らさせていると推測した。

 

 ……もし推測が外れた時は、スラッグ一味を倒した後濡れ衣を着てもらう予定だ。それをフリーザに見抜かれたら、その時は対フリーザ戦の始まりだ。彼らが地球に来る前に、改装が終わった精神と時の部屋をフル活用して戦力を整える事になるだろう。

 

『たしかに、今の宇宙で我が軍にたてつくお馬鹿さんは連中ぐらいでしょうね。クウラ兄さんがそんな物に頼るとも思えませんし』

 そして、フリーザにとってもスラッグ一味が犯人だというのは、説得力を感じさせる説だったようだ。

 

『しかし、哀れなものですね。かつてはパパと宇宙の覇権を競ったライバルが、今は必死になって健康食品に頼り切りとは……短い余生が終わるまで待ってあげるつもりでしたが、いい加減目障りです。

 ザーボンさん、ギニュー特戦隊に連中の捜索を命じなさい』

 

『ギニュー特戦隊にですか? 彼らは今、フリーザ様が命じた星を侵略中ですが……』

『そんな事はドドリアさんとキュイさんにやらせておきなさい。ギニュー特戦隊程仕事は早くないでしょうが、ドドリアさん達ならできない事も無いでしょう』

『分かりました。そのように伝えておきます』

 

 どうやら、フリーザはスラッグ一味に対して本腰を入れて始末する事にしたらしい。侵略対象の星は逃げないし、フリーザ軍の基地や他の侵略対象の星に被害を及ぼす事はないから、正しい判断だろう。

 ……それと、これはフリーザ軍のコンピューターから得た情報だが、どうやら儂が献上した長命薬が取引相手の金持ちに高値で売れた事も関係していると思われる。

 

 若返りと寿命が延びる薬を求めて、宇宙の金持ち達が惑星よりも高値を付けて買い求めている。そのため、今のフリーザ軍には本業の地上げよりもスラッグの討伐を優先させる余裕があるのだろう。

 

『ああ、それとギニュー特戦隊の皆さんにも、スラッグ一味の幹部までならともかく、スラッグ本人とは戦わないようにと伝えておきなさい。あの老人に引導を渡せるのは、私ぐらいですからね。

 さて……話を戻しますが、クラッシャー軍団の皆さんはそのまま地球の防衛を続けてください。手下を撃退されたスラッグが、報復のために再び地球を狙うかもしれませんからね』

 

「お任せください、フリーザ様!」

「腕が鈍らないよう、ベジータ達とトレーニングをしながら励ませていただきます!」

『結構。それでゲロさん、例の長命薬ですが、どれぐらい出来ていますか?』

「はい、今の段階で六錠出来ています。惑星フリーザNo.79にお送りいたしましょうか?」

『いえ、それには及びません。貴重なものですからね、適切な時期に此方から部下を派遣しましょう』

 

 こうして、ひとまずフリーザに疑われる事無く誤魔化し、濡れ衣をスラッグ一味に着せる事に成功した。これでもしスラッグ一味とフリーザ軍がぶつかって潰し合うような事に成ったら都合が良いが……歴史改変者がいる限り、そうはならんだろうな。

 

「ふうっ、緊張したぜ」

「あのフリーザ様を騙そうなんて、とんでもねぇ奴等だな」

 そう口々に語るアボとカドに、ベジータ王子は鼻を鳴らした。

「フン、昨日まで倒してとって代わるつもりだった貴様等がよく言うぜ」

 

「そ、それは言わないでくれよ、ベジータ」

「まさかフリーザの戦闘力が本当に6千万だなんて思わなかったんだよ」

「まあ、その辺りでいいじゃろう。試食会まで時間が無い事だし」

 そして通信機の前から、試食会の会場に移動した。

 

「では、神精樹の実を食べるとしよう」

 そして、試食するのは神精樹の実だ。これは神精樹の実を食べてその後に起こる変化を計測して記録する実験を兼ねたパワーアップイベントである。

 

「あの巨大な根っこの主が付けた木の実か」

「そう思うと、全く食欲を感じねぇな。見た目も悪いしよ」

「なんだか、穴が空いているがこれは……まさか虫食い?」

「いや、それは俺が指で突いた痕だ。スピリットパワーの強制分離のために」

 

 実験に参加するのはレッドリボン旅団や、GCG、サイヤ人達。もちろん、悟空達もいる。

「ゲロ……確かに食べても構わんと言ったが、ここまで人を集める必要があるのか?」

 試食会に集まった人数の多さに、地球の神様も苦笑いを浮かべている。

 

「勿論です。今回の事件で被害を抑えられたのは、ひとえに地球に住む人々が力を合わせて立ち向かったからこそ。故に、今後一層激しくなる戦いを勝ち抜くためには、たった一人の超人ではなく、大勢の戦士を鍛え上げる必要があるのです」

 

「確かに、昨日の出来事は地球人が力を一つにした初めての出来事だったかもしれん。

 皆よ、昨日の内に閻魔大王様には儂が確認を取った。この神精樹の実を食べても、罪に問われる事もない。安心して食してほしい」

 納得してくれたのか、地球の神様はそう説明した。

 

「しかし、私達まで食していい物でしょうか?」

 そう迷う最長老様にも、地球の神様が説得する。

「この神精樹の実を元の歴史に戻す事は出来ないそうです。このまま無駄にしてしまうよりは、役立てた方が神精樹も浮かばれるでしょう」

 

「そうかもしれませんね。分かりました、ありがたくいただきましょう」

 そしてみんなで、順番に食べる事になった。まずは、一同の中で最も高い戦闘力を持つバーダックが口をつけたが……何も起こらなかった。

 

「仙豆を食った後に似た感じはするが……特にパワーアップしたようには感じねぇな」

「なんだと!? そんな馬鹿な、神精樹の実だぞ!」

「計測結果も変化なしじゃな。栄養補給や疲労回復には仙豆並みの効果が出ているが、戦闘力は変わっていない」

「マジか!? 機械の故障じゃないだろうな!?」

 

「うるせぇな。そんなに信じられねぇなら、テメェ等で試してみるか?」

「「止めろ、殺す気か!」」

 バーダックが拳を握ってみせると、アボとカドは慌てて首を横に振った。

 

「まあ、想定内の結果ではある。バーダックの戦闘力は、素の状態で億単位に達している。神精樹の実でパワーアップできる段階を越えているのだろう」

 神精樹は本来、未熟な神がまだ得ていない力を手に入れるための物。戦闘力7億9千万のバーダックの力を上げる事は、キリや魔力で強化されていない神精樹の実にはできないのだろう。

 

「っ! こいつはスゲェ! 戦闘力が十数倍にも高まったのを感じるぜ!」

「ああ、全身に力が漲っている。しかし……この感覚は危険だな。繰り返し食べると知らぬ間に増長し、溺れてしまうかもしれん」

 

 続いて食べたパンブーキンやネイルは、食べた直後は戦闘力が約十五倍に上がった。そして、ネイルが興味深い意見を口にした。

「ほう、確かに精神的に大きな影響を受けそうじゃな。そうした成分は神精樹に含まれていないが」

 

「食べただけで何倍も強くなるんだろう? 儂だったら辛いトレーニングなんかやめてしまうだろうな」

「潜在能力の解放と違って、神精樹を植え続ければ何度でも出来るからね。フリーザ軍は強さが全てだそうだから、夢中になって求めるようになってもおかしくないんじゃないかな」

 ピラフ大王とブリーフも計測結果を見ながら、ネイルの意見に頷く。

 

 たしかに、潜在能力の解放のように自身の才能に関係なく、そして超神水のように何の苦しみも無く、食べた直後は絶大なパワーが手に入る神精樹の実は、強さを追い求める者達にとって麻薬のようなものかもしれない。

 フリーザ軍の兵士のように普段から星を侵略している者達にとっては、実を手に入れるために星を犠牲にする事は歯止めにならんだろうし。

 

「フンッ、溺れるか。おい、ゲロ、この神精樹の実を使ってのパワーアップはこれっきりにしろよ」

「言われんでもそうするつもりだ」

「どうだかな。貴様の事だ。適当な星の環境をテラフォーミングとやらで整えて、神精樹を新たに植えるつもりじゃないのか?」

 

「な、なんだとっ!? 見損なったぞ、ゲロ! 貴様には自身が開発した科学技術に対する愛着はないのか!?」

「ピラフ大王、ベジータ王子の言葉を真に受けんでくれ。確かに、自分でもやりかねないと思ったが」

 一度神精樹の実を収穫した後で、枯れ果てた星に再びテラフォーミングを行えば、何度でも神精樹の実を収穫する事が出来る。その星の全ての滋養を吸収してしまうから、連作障害が発生する余地もないじゃろうし。

 

 しかし、流石にそれは問題があると儂でも思う。人は家畜を食するために育てるが、星を家畜扱いするのは一線を越えている。

「もっとも、地球や親しい惑星、そしてこの宇宙全体の存亡が関わってくるような事態になれば、そうも言っていられんだろう?」

 

「ですが、その場合でもあなたなら星の環境を変えるのではなく、神精樹の方を変えてしまいそうですけどね」

「……確かに。そうするのが効率的ですな」

 神精樹の問題は、根付いた惑星全ての滋養を吸いつくしてしまう事だ。成長を抑制して、滋養を吸収する範囲を狭められれば……いや、そもそも星に根付かなくても実をつけられるようにすれば、ただの便利なパワーアップアイテムだ。

 

 やってみる価値はあるかもしれん。

 

「とはいえ、クラッシャー軍団の細胞の解析と、バイオレット大佐の改造手術が優先だが……コリー博士、ピラフ大王、ちょっと手を貸してくれるかね?」

「最長老様……」

「おっと、失言だったかもしれませんね。フフフ」

 

 それはともかく、神精樹の実のパワーアップ効果はバーダックのように戦闘力が億に達している者には効果が無く、千万に達している者には一割増し、百万以上の者には三割増し、百万以下百以上の者には五割増し。そして……。

 

「ピ、ピラフ様っ、私は究極のパワーを手に入れてしまったのではないでしょうか!?」

「おお、凄いぞ、マイ! 戦闘力が倍……いや、三倍に上がっている! よし、なら儂も……ギヤアアアア!?」

「ギヤアアアア!? ぴ、ピラフ様、全身が、全身が痛いです!」

「ピラフ様、シュウ~っ!?」

 

 戦闘力が百未満の者は、食べると戦闘力が数倍に上がるが、異常なパワーアップに耐え切れず骨折してしまうようだ。サイヤ人ハーフになっているマイは体が頑丈になっているため耐えられたが、調子に乗って口にしたピラフ大王とシュウは、再生ポッド送りになったのだった。

 

「実は王立国防軍やレッドリボン旅団の兵士に食べさせることも考えていたのだが……これは止めておいた方がいいな」

「王立国防軍はともかく、レッドリボンの連中は良いんじゃねぇか? もう少しトレーニングすれば戦闘力が百を超える奴等がちらほらいるぜ」

 

 レッドリボン旅団の兵士達がGCGの使っているトレーニング機器を使い、鶴亀仙流の指導を受けてから約二年が経過している。元々戦闘力10の地球人基準では超人の域に達していた精鋭のブルー隊を始めとして、戦闘力100の領域に手が伸びそうな者達が続々と現れている。

 彼らの強さは、GCGの新人隊員を軽く超えている。その内、ベテラン隊員と同じように戦闘力が100を超える日も近いだろう。

 

「残念だがパンブーキン、この神精樹の実の効果は明後日には格段に落ちてしまう。彼らの努力は認めるが、流石に間に合わん」

 パワーアップ効果を得るのに必要な神精樹の実の量は、たったの一口なので、必要な量自体はあるのだが。

「薬かなんかに加工して効果を長持ちさせられないの?」

 

「タイツの姉さんよ、それは俺達がもうやったぜ」

「だが、無理だった。エキスを抽出しようが、錠剤にしようが、急速冷凍しようがな」

 タイツの言葉に、レズンとラカセイがそう答えた。しかし、タイツは続けた。

 

「あんた達だけだったら無理かもしれないけど、パパやお爺ちゃんが協力すればできるかもしれないじゃない」

「そうだな、だいぶあまりそうだし、保管方法についてちょっと調べてみるか」

「結果はどうあれ、明日までで終わるしな。レズン、ラカセイ、先ほど言った神精樹の実を加工した時のデータは残っているかね?」

 

「じゃあ、あたしも手伝うわ。ほら、さっさとデータを出しなさいよ」

「別に隠しやしねぇよっ! 俺達が乗って来た宇宙船のコンピューターにあるから、すぐに送ってやる!」

「遠隔操作で送れるようにしてないの? 遅れてるわね」

「遠隔操作するのに必要なリモコン代わりのスカウターが、お前らの戦闘力を測ろうとしたときにぶっ壊れたから出来ねぇんだよ!」

 

 どうやらレズンとラカセイは、ブルマやタイツに頭が上がらないらしい。直接戦って一度勝っているブルマはともかく、タイツは何故なのか……まあ、昨日から今日にかけて構築された人間関係の結果だろう。

 

「確かに、凄まじい力が漲っているのを感じる。神力増幅装置を装着している時以上だ」

「ええ、まるで若返ったようです」

 そして、神精樹の実を食べた地球の神様と最長老様の身に起きた効果は、絶大だった。戦闘力の上昇は他の者と同様だったが、神力が大幅に上昇している。

 

 これは神精樹の実の本来の用途に、地球の神様と最長老様が合致したためだろう。

 そうなると、スラッグが神精樹の実を悪用しているという推測が当たっていたら、拙いかもしれん。スラッグは元々、スラッグ星の神に成るためにナメック星から送られたナメック星人だったはず。それに、映画のパンフレットか何かで、「スラッグ星の神」と紹介されていたような覚えがある。

 

 悪の神として想定以上の脅威となっているかもしれん。

 

「やれやれ、今なら精神と時の部屋の改装も楽に出来たかもしれんな。とはいえ、今回の事件では役に立たなかっただろうが」

 そう言う地球の神様が精神と時の部屋の改装によって新たに追加されたのは、一言でいうと身代わり機能だ。

 

 もし地球に大きなダメージ……宇宙から強力なエネルギー弾を撃たれて奇麗な花火にされそうになった場合や、地表から星の核を狙って攻撃されたりした場合、地球の代わりに精神と時の部屋がダメージを受ける事で地球を守る事が出来るという防衛機能である。

 

 ただ、身代わり機能が発揮されるのは、地球が惑星としての状態を維持できない程のダメージを受ける時だけだ。原作で例を挙げると、亀仙人がフライパン山を吹き飛ばした時や、天津飯が天下一武道会のリングを気功砲で吹き飛ばした程度では発動しない。

 発動する条件を緩くし過ぎると、土木工事も出来なくなるからな。

 

 また、主に被害を受けるのが地表の人工物である場合も発動しない。原作で例えると、サイヤ人襲来編でナッパが東の都を吹き飛ばした時などだな。

 そして、昨日のように神精樹が滋養を吸おうとしている場合も同様だ。神精樹はただ植物として成長しようとしているだけで、攻撃をしているわけでは無いからだ。

 

 ちなみに、身代わり機能が発動した時点で部屋を使用中の者は、自動的に部屋の外にはじき出される安全措置が組み込まれている。そのため、精神と時の部屋を使用している誰かを亡きものにするために、地球に向かって攻撃を仕掛けても無駄だ。

 

「まあ、万能無敵とはいかんでしょう。しかし、お陰で地球上でも安心して戦えるようになったのは助かります」

「それなら儂も骨を折った甲斐があるというものだが、出来るだけ壊さんようにな」

 

 そしてこれらの改装による副作用は、精神と時の部屋を修復するために必要な時間と労力が原作よりも増した事だろう。

 平均的な一戸建て住宅を建て直すより、改築を繰り返して屋敷のように大きくなった住宅を建て直す方が大変なように、原作よりも居住性が増し多機能となった精神と時の部屋は、すぐに直せない施設になっている。

 

 ドラゴンボール超で原作ベジータがしていたように、使用する度に壊していたらとても修理が追い付かなくなってしまうだろう。

 ……部屋の強度自体も増しているから、簡単には壊せなくなっているはずだが。

 

 ちなみに、ヤードラット星から出られないビバラ様には儂が瞬間移動で届けている。

「えっ、ボクには必要ないんじゃない? 神様でもないし、別に戦う訳でもないし」

「ヤードラット星人が食べた時のデータが欲しいので、どうか協力していただけませんか?」

「そう言う事ならいいけど……パワーアップの副作用で全身骨折なんてしないだろうね?」

 

 幸い、ビバラ様はピラフ大王やシュウのように骨折する事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 試食会の後は、キングキャッスル前の大通りでパレードが行われた。沿道には、英雄たちの姿を一目見ようと人々が詰めかけ歓声を上げている。

 

「あれがバトルジャケットか。カッコいいな」

「見ろ、サイヤ人部隊だぞ! 大猿に変身して戦ったんだ!」

「あれは天下一武道会に出場していたサタンじゃないか? あ、人造人間に桃白白、ドクター・ゲロだ!」

「あれ? 後ろにいるのは誰だ? 新しい人造人間か?」

 

「知らないのか? 悪の宇宙人に洗脳されていた宇宙人だよ! 昨日の事件で解放されて、正気に戻ったんだ!」

「そうか、良かったなぁ」

 

 パレードにはバトルジャケット部隊やビーム戦車部隊の後に、バーダックチームやサタン達サイヤ人に、4号達人造人間や桃白白、亀仙人に鶴仙人、そしてクラッシャー軍団の面々も加わっていた。

『ほらほら、手を振りなさいよ。もっと愛想よくね』

「む、無茶言うぜ」

「いくら俺達が悪人でも、そこまで面の皮は厚くないぞ」

 

 巨大化した4号の手や肩の上に乗ったクラッシャー軍団の面々に、同じく巨大化したタイツが声をかける。

「フリーザの野郎相手に茶番を打つのに比べればなんて事はねぇだろ。ほれ、スマイルだ、スマイル」

 タイツの横を飛びながら、クラッシャー軍団の面々に見本を見せるターレス。

 

「むしろ、なんでそんなに慣れてるんでっせい。役者でもやってるのか?」

「ああ、こう見えても映画に何本か出てるぜ。お前らにも声がかかるかもしれないから、今から覚悟しておくんだな」

 

「……マジでっせい?」

「ンダ」

「カカオ、お前は楽そうでいいな。カメラの前でもンダって言ってりゃいいんだから」

 

 クラッシャー軍団は、公には「巨大な木を地球に持ち込んだ悪の宇宙人に操られ、先兵にされていた宇宙人」と言う事になっている。そして、洗脳から解放された事で味方になったと言う事で、このパレードに参加している。

 

「まあ、気にするなよ。実際に、あの神精樹を植えたのは歴史改変者であって、お前等じゃないんだしさ」

「ヤムチャ、俺もそこまで気にしてなかったでっせい。このパレードに参加させられるまでは」

「さ、流石にきついぜ」

 

「ベジータ、お前去年からこんな事をやってるのか?」

「馴れ馴れしいぞ、ぶっ殺されたいのか?」

「冷てぇっ! だが、今は逆に落ち着く!」

 

 そしてパレードでは国王様が国民を代表して事件解決に尽力した者達を労い、これからも彼らがいる限り地球の平和は守られると宣言して終わったのだった。

 

 尚、荒野で枯死している神精樹の残骸は、我が社の副社長が再利用するための企画を作成中だ。

 ターレスダークが吹き飛ばされた時に開いた穴より上の部分は切断し、材木に加工する。急速成長したため年輪の美しさは微妙だが、同じ厚さの鋼鉄以上の強度を誇りながらも重さは木なので、建材として使える。

 また、記念品として家具や木工品の材料にするのも面白いだろう。

 

 そして穴より下の部分は、内側を刳り抜いて都市にする予定らしい。大型ビルの数倍太い幹を使えば、大型ショッピングモールもホテルも、そしてマンションだっていくらでも作れる。問題点は固い神精樹の幹を刳り抜いて加工する技術の開発だ。

 

 しかし、それも副社長に「開発できないんですか?」と問われた儂が、思わず「出来るに決まっているじゃろう」と答えてしまったので、開発する事になってしまった。

 

 ちなみに、パレードが終わった後レズンとラカセイから受け取ったデータをもとに神精樹の実のパワーアップ効果を維持したまま保存する方法を開発するため、儂とブリーフとピラフ大王、そしてブルマにコリー博士にモロコにシトウ、ニオンのフルメンバーで議論を交わした。

 

 そして、仙豆からエキスを抽出する技術を応用して神精樹の実から抽出したエキスを、カプセルに素早く閉じ込める事で長期保存に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 そして初夏になった頃、新たな生命が誕生した。

「おめでとうございます、元気な女の子ですよ!」

 元気に産声を上げる赤ん坊と出産を終えたギネに、バーダックは歩み寄った。

 

「でかした、ギネ」

「へへ、皆のお陰でね。ドラゴンボールまで用意するのはどうかと思うけど」

「出産ってのは、命がけなんだろ? それぐらいさせておけ」

 さすがに消耗した様子だが、ギネも赤ん坊も容態は安定していた。仙豆に再生ポッド、そしてドラゴンボールを用意し、兎人参化も呼んで不測の事態に備えていたが、それらを使う事無く無事に出産を終えられてよかった。

 

「もう三人目だよ。何度も死にかけては戻って来たバーダック程じゃないさ。それより、抱いてあげてよ」

「ああ」

 ぎゃあぎゃあと泣く生まれたばかりの我が子を抱き上げ、バーダックの胸に改めて生きてきて、そして生きていてくれて良かったという温かな感情が溢れた。

 

「へっ、ギネに似たようだが、元気の良さはカカロット並みだな。サイヤ人らしい、強い女に育てよ、ラニ」

 バーダックとギネの第三子、ラディッツと悟空の妹、ラニはこうして生まれたのだった。




〇神精樹のパワーアップ効果

 本来の用途が、未熟な神が力を手に入れるための物、らしいので、その未熟な神とは「惑星の神」、もしくは「界王」までだろうなと推測したので、戦闘力が億単位にまで達している者は食べてもパワーアップしないとしました。

 また、地球の神様や最長老様の神力が上がったのは、二人が本来の用途で口にするべき神様達だったからです。



〇クラッシャー軍団の地球での立場

 ターレスや桃白白、ギネ達の活躍で悪の宇宙人の洗脳から解き放たれ、地球のために戦う事を決めた新たな仲間。そのように宣伝されており、フリーザ軍に所属していた事は伏せられている。



〇ラニ

 皆さんに協力していただいたアンケートの結果、女の子に決定した根菜一家の第三子。
 ギネ似の女の子で、無事に誕生。




 excite様、ダイ⑨様、PY様、佐藤東沙様、ぱっせる様、変わり者様、ユーズファー様、岩鋼玄武様、ヴァイト様、ずわい様、リースティア様、excite様、麦茶太郎様、太陽のガリ茶様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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