ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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12話 GとC、復活のフュージョン!

 さて、この天才科学者であるこの儂、ドクターゲロは我が社の経営する病院の集中治療室の前で身長4メートル程の大男に肩をがっしりと掴まれていた。……キリンの獣人でも問題ないよう天井を高く設計した建築家は、素晴らしい仕事をしてくれたようだ。

 

「お願いだよ、先生! オラのかかぁを、サンを助けてけれ! 金なら城のお宝を全部やっても構わねぇ!」

 頭が天井にぶつかりそうなこの大男の名は、牛魔王。亀仙人こと武天老師の二番目の弟子であり、孫悟空の妻となるチチの父親である。

 

 なお、そのチチは牛魔王に背負われており、わんわんと泣いている。父親が大声を出しているからか、あるいは母親の危篤を感じ取っているのかもしてない。

 そして、牛魔王が助けてほしいと言っている彼の妻は、当然集中治療室の中だ。

 

 原作では牛魔王の妻はチチを出産した数か月後に病気で死亡している。だが、牛魔王に背負われているチチは、生まれて数か月の赤ん坊ではなく一歳から二歳ぐらいに見える。

 

 何故こうなったのか、桃白白と話していた部屋からここに来るまでの間に把握した経緯を説明すると……牛魔王は病に倒れた妻を、急いで我が社が経営する病院に担ぎ込んだ。

 ナメック星人の再生メカニズムやドクターウィローのバイオテクノロジーを応用した我が社の医科学は、現在地球一。それらの多くはけがの治療だが、当然病気の治療技術も進んでいる。……ブリーフが、儂が宇宙から持ち帰ったサイヤ人の宇宙船やスカウターの中にあったデータを参考に、メディカルポッドの再現を試みているから地球で二番目になる日も近いかもしれんが。

 

 それはともかく、我が社の医療技術の高さを知っていた牛魔王は担当者の頬を金の延べ棒でぶん殴る勢いで金を積んで妻を入院させ、最新の治療を受けさせた。その甲斐あって彼の妻は一年以上持ちこたえていたのだが、完治させることはできず、ついに意識を失い危篤状態に陥ってしまった。

 

 そこで焦った牛魔王は、丁度本社にいた儂を職員に呼ばせたのだった。

 ちなみに、儂はこうして呼ばれるまで我が社の病院に牛魔王の妻……名前はサンというそうだ。多分、名前の由来はサーロインからではないだろうか?……が入院している事を知らなかった。

 

 今は彼らが住んでいる涼景山が炎に包まれてフライパン山と呼ばれ、財宝目当てに近づく者を殺して回り恐れられる前だが、牛魔王はちょっとした有名人であるし……こんな個性的な姿と名前を聞いたら気が付くのは当たり前だ。だが、知っての通り儂は宇宙に行ったり、帰ったら研究所に籠ったり、そもそも経営は副社長に丸投げしているので、病院に自ら足を運ぶ事はまずない。

 

 儂が病院にいなくても問題が無いよう、医療機器を操作するためのマニュアルを作成したのだから。

 ただ、人造人間の素材になり得る者が入院しており、その患者の容態が我が社の提供する医療でもどうにもならない時は報告するよう病院のお手伝いロボットにはプログラムしてはいた。彼らはロボットなので、儂の意図を勝手に深読みして該当する患者の治療に手を抜くなどして故意に、「どうにもならない時」にしないので安心できる。

 

 だが、今回はロボット故に儂に報告しなかったようだ。牛魔王の妻のサンは、武闘家ではないし、ここ一年は小康状態を維持していたから儂が指示した条件に当てはまらなかったのだ。

 

「落ち着いてください、牛魔王さん。医師もスタッフも、奥さんのために最善を尽くしています。ですが、このままでは奥さんの命は長くても数日でしょう」

 ここに来るまでの間に目を通したカルテ、各種検査の結果、そして感知した彼女の気から診断すると、彼女は助からない。

 むしろ、昨日までよく小康状態を維持出来たものだと医療スタッフを褒めたいぐらいだ。

 

「そ、そんな……」

 妻の余命宣告を受け、失意のあまり崩れ落ちそうになる牛魔王。だが、儂は彼の腕を掴み返して続けた。

「しかし、儂には奥さんの命を助ける手段が二つあります」

 

「ほ、本当だか!?」

「もちろんです」

 原作では牛魔王の妻は病死しているが、儂には原作を厳守するつもりはもうない。そのつもりなら、そもそも原作に存在しない会社を興さない。

 

 牛魔王の妻が生きていたとしても、原作が崩壊するような致命的な事態は起こらんだろう。チチとの出会いや、アニメオリジナルのエピソード……天下一武道会後にレッドリボン軍編に入る前の悟空とチチが再会してナムの村を救い、ピッコロ大魔王を悟空なら倒してくれるとチチが信じ、倒されたと知ると悟空が倒したのだと確信する……が、少々変わるぐらいだろう。

 

 だから、助けない理由がない。そして、助けない理由がない者を見殺しにするのは、無能無力な者ならともかく自他共に認める天才科学者である儂にとっては悪行だ。

 

 ……それに、何のかんの言っても人造人間研究を進めるための素体になるからの。地球人で儂の妻であるアルマと同じ二十代の女性で、武術の心得も無し。うむ、実験台として申し分ない。

 

 むろん、それ以外にも妻を助けたいと必死になっている牛魔王に心情的に共感したから、と言う理由もある。モチベーションが刺激された事で、良い仕事が出来るだろう。

 

「まず、一つ目の手段は……古の伝説に七つ集める事で龍の神を呼び出し、どんな願いでも一つだけ叶える事が出来るというドラゴン――」

 しかし、いきなり人造人間への改造手術を提案したりはしない。後々になって他にも手段があったと知られた時、信頼関係にひびが入るかもしれんからな。

 

 そして地球のドラゴンボールを使うと、原作が開始された時にドラゴンボールの位置が変わってしまい展開が変わってしまう。しかし、ナメック星のドラゴンボールなら問題ない。今から急いで瞬間移動してナメック星の長老たちと知恵比べをして、儂が勝てば「病気を治してくれ」と願う事が出来るかもしれん。

 

「ゲロさん……」

 しかし、儂の説明は目を炯々と光らせた牛魔王に遮られてしまった。

「オラぁ、真面目に話してるんだべ。頼むから、真剣に聞いてくんろ」

 どうやら、儂のドラゴンボールを使うという提案は質の悪い冗談として解釈されてしまったようだ。

 

 

 まあ、そうだな。原作では何度もドラゴンボールで願いが叶えられているが、原作開始前はただの言い伝えやおとぎ話と認識されていたそうだし……妻が意識不明で余命宣告をした張本人からそんな事を言われたら、冷静に受け止められなくても仕方がない。

 

「う、うむ。ではもう一つの手段だが、儂は人造人間……人間を改造する技術を研究しておる」

「人造人間!? サンを改造するだか!? そんで、改造すればサンは助かるだか!?」

「うむ、保証しよう」

 どれくらい強く出来るかは分からんが、少なくとも健康体には出来る。

 

「もっとも、これはまだ開発途中の技術じゃ。前例はない」

 1号から3号は機械ベースで、4号は人間ベースだがナメック星人とヤードラット星人の細胞から作った人工生命体だ。既存の人間を生きたまま改造して人造人間を作った事は、実はまだない。

 

「記憶の欠落等の副作用が考えられるし、改造が終わるまで年単位の時間がかかる。それでも良ければ、奥さんを人造人間に改造しよう。

 頷いてくれれば儂の持てる全ての科学技術の粋を結集して、誠心誠意打ち込む事を誓おう。また、この提案を断っても治療には全力を尽くすと約束する」

 

 そう言って提案を促すが、牛魔王は小さくうめきながら考え込んでいて、すぐには答えを出せない様子だ。無理もない。儂が彼の立場でも即決はできないだろう。せめて成功例を示せれば彼の判断材料になるのだろうが……。

「とりあえず、奥さんと話し合って決めるかね?」

 

「えっ、サンと話せるだか!? サンの意識はもう戻らねぇって主治医の先生が言ってただけんど!?」

「ああ、意識を戻すことは出来んが、精神に直接話しかける事は可能じゃ。そのまま儂の肩に手を触れていてくれるかね」

 

 儂はそう言って、牛魔王の妻サンの精神にテレパシーで呼びかけた。

『もしもし、聞こえるかね?』

『だれの声だべ? オラはどうなったんだべ?』

 

『儂は――』

『サンっ! オラだ、牛魔王だ!』

『お、おっとう!? ダメだ、おっとうまでこっちに来ちゃなんねぇ! おっとうまでこっちに来ちまったら、チチはどうなるだ!』

 

 再び儂の声は牛魔王に遮られた。気持ちはわかるので、落ち着くまでしばし待つとしよう。

『おっかあ! おらはここだべ!』

 そう思っていたら、牛魔王に背負われていたチチが彼の体をよじ登って儂の頭に手を置いてテレパシーに加わった。

 

『チチっ!? チチまでこっちに来ちまったべか!? なしてだー!? こんなのあんまりだべ~!?』

『そうじゃねぇ、オラ達の話を聞いてけれ!』

『おっかあ、死んじゃいやだべ! 生きてけろ!』

 あ、ダメじゃこれ。放置したらいつまでたっても終わらん。

 

『ゴホン! 大変心苦しいが、話を聞いてもらえんかね?』

 テレパシーでしなくてもいい咳払いをして、牛魔王一家が驚いて黙った間に儂は人造人間に改造して病気を治療する案を説明した。

 

 人造人間に改造する事で健康な体を得られること。それだけではなく、改造手術が成功すれば強大なパワーと高い再生能力と生命力、宇宙でも生身のままで活動出来る力に、超能力まで得られる可能性がある。

 しかし、改造手術に取り掛かるための準備期間、そして手術自体も時間がかかるため、仮死状態になって年単位の時間眠ってもらう事になる。

 

 そして、副作用として記憶の欠落や嗜好の変化、外見の変化、そして肉眼で満月を見る事が出来なくなる可能性を告げた。

 

『オラ、そんな化け物みたいな姿になってまで生き返りたくねぇだ! おっとうとチチに迷惑かけちまうべ!』

 しかし、どうやら彼女に『外見の変化』について過剰に解釈されてしまったようだ。儂としては、せいぜい額に触角や角が生えるとか、肌が緑や白になるとか、尻尾が生える程度の事を言いたかったのだが。

 

『オラはおっかあの頭にでっけぇネジが生えても、めいわくだなんて思わねぇべ!』

『そうだ、オラもサンの手がドリルになっても構わねぇ! 生きていてけれ!』

『分かっただ……オラ、どんな醜い姿になっても構わねぇ! 先生、オラを人造人間にしてけろ!』

 

 ……感動的なシーンのはずなのだが、儂の科学技術が遠回しにディスられている気がするのは何故じゃろう? いや、緊急事態とはいえ分かり易い改造プランを提示し、改造後の見本を見せられなかった儂のプレゼンに落ち度があるのだ。

 

『うむ、任せてもらおう』

 徹底的に研究し、生体パーツで作った永久エネルギー炉も搭載し、体も精神も安全性抜群の人造人間にしてくれよう。

 

 

 

 

 

 

 その後、牛魔王一家のしばしの別れをテレパシーで中継し、それからサンを仮死状態にして秘密研究所に運び、改めて各種検査をしてから保存するためのポッドに入れた。彼女は仮死状態とはいえ生きているので、妻達と違い呼吸するためのマスクを装着している。

 

 その姿でポッドの中に満ちた液体に浮かんでいる彼女を、儂は改めて見つめた。

「特に宇宙人の血が入っている訳ではない地球人の成人女性。しかし……改めてみても原作チチの生き写しじゃな」

 

 牛魔王の妻でチチの母親であるサンは、成人したチチにそっくりだった。親子なのだから似て当たり前だが、まさに生き写しと言っていい。前世の儂が見たら、チチ本人だとしか思わなかっただろう。

 一年以上闘病生活が続いていたためやつれている事と、髪形ぐらいしか違いがない。

 

 儂の記憶によれば、原作では彼女の存在はたしか殆ど触れられていなかった。アニメでは幼少期のチチを膝に乗せた肖像画が映された事があるが、それも顔までは映らなかった。そして、名前も不明のままだ。

 

 そのサンを人造人間に改造するにあたって、牛魔王には二つの条件を飲んでもらった。

 一つ、彼女を人造人間に改造する事は治験に参加してもらうようなものなので、医療費は請求しない。代わりに手術後もデータ収集や実験に付き合ってもらう事。牛魔王本人も含めて。

 二つ、殺生等の悪行は止める事。

 

 一つ目の条件は人造人間に改造するサンは当然だが、牛魔王本人も優れた武闘家であり、桃白白と同様に地球人なのに常識を超えた長寿を誇る人物だからだ。……それに、身長四メートルほどの巨体とそれを支える強靭な骨格と筋肉を持つ彼は、先祖に宇宙人が混じっている可能性がある。

 

 二つ目は、彼が財宝を集めるために悪事に手を染めていた事と、これから西の都まで悪名が轟くほどになるからだ。過去の事はとやかく言うつもりはないが、これからの悪事は止められるなら止めるべきだろう。

 

「ドクター、彼女にもフリーザやサイヤ人、ナメック星人の細胞を移植するのですか?」

「それだけではないぞ、4号。ヤードラット星人の細胞も移植する。後、出来れば永久エネルギー炉も組み込みたい」

 

 ベースとなる地球人の細胞を強化して移植する細胞とのバランスを調整し、更にナメック星人が体内に持つ核を脳と胴体に作り、永久エネルギー炉を内蔵させる。天才科学者である儂にとっても難しい仕事じゃ。

 

 だが気を感知するエネルギーセンサーや、空を飛ぶ反重力装置は、自前で気の感知と舞空術を習得してもらう事で省けるので、スペースに若干の余裕が出来るからどうにか出来るだろう。

 まずは、フリーザ細胞の邪悪さの分離と生体パーツで組み上げた永久エネルギー炉の小型化に目途を付けたいところだな。

 

「……出来るだけ早くご家族の元に返すべきだと思いますが? 娘さんもまだ小さいのですから」

「分かっておる。あまりにも時間がかかるようなら、ナメック星のドラゴンボールを使わせてくれるよう知恵比べに行くわい。

 とりあえずは、ギネと同時進行で進めるが」

 

 年単位の時間がかかると言ってはあるが、幼い子供の母親だ。儂の研究ばかり優先して人造人間化を先延ばしにするのは悪い。

 

「それを聞いて安心しました。ところでドクター、桃白白さんの後任を牛魔王さんに頼まなかったのですか?」

「……おお、すっかり忘れとった」

 牛魔王とチチ、そしてサンとの予期せぬ遭遇で、桃白白から後任の警備部顧問に鶴仙人を推薦されていた事を忘れていた。

 

 牛魔王は武天老師こと亀仙人の二番弟子で、当人の実力だけではなく、原作でチチに亀仙流を教え天下一武闘会本戦に出場できるまでにしたのが彼である事を推測すると、指導力もなかなかのものだ。

 警備部の社員達を指導する人物として申し分ないと言える。

 

「いや、自宅から距離がある。西の都に移住してもらう訳にはいかんから、頼めても月に一度か二度通ってもらう程度じゃろう」

 儂と4号が超能力を使える事は、秘密にしておきたい。テレパシーは、儂自身が課したルールをクリアするためにも使ったにすぎん。だから牛魔王を瞬間移動で送り迎えするのはなしだ。

 

「原作とは違って、住んでいる涼景山が炎に包まれてフライパン山になっていないようじゃし。……この後原作通りに彼の住処がフライパン山になったら、話してみよう」

 ドラゴンボールが牛魔王の城の宝物庫かどこかにあるなら、牛魔王とチチが西の都に移住しても問題あるまい。妻のサンを人造人間にする以上、タイツやブルマと牛魔王とチチが知り合う可能性は高い。その繋がりで、悟空とも会えるだろう。

 

 ……いや、いっそもう原作開始前にチチと孫悟空を会わせておくか。原作と同じ形で物語が始まる事はもう期待できないのだから、手を打っておくべきだろう。親(この場合は孫悟飯)が兄弟弟子だから、会わせる口実には困らないはずだ。

 

 まあ、全ては今後の展開次第だが。

 

「では、やはり鶴仙人を顧問に?」

「相手を必ず殺す、という主義を改めてもらえるか次第じゃな。彼の指導力は確かだ」

 鶴仙人は、桃白白や天津飯、そしてチャオズ……超ではあと一人女の子の弟子がいた……と言った弟子を育てた人物だ。

 

 そのため指導力は高いはずだが……。

「まあ、桃白白も妙な手出しをしないよう一度話す必要があると言っていたし、その際に話してみて無理なら他の顧問を探そう。アックマンは無理でも、チャパ王を含めて何人か心当たりがある」

 

 そんな事を話した半年後、孫悟空が地球に飛来して一年が経った頃に大事件が起きた。なんと儂の会社とブリーフの会社が合併したのである。

 

 

 

 

 

 

 大勢の記者に大量のカメラ。それらを前にして、ゲロは緊張しているようだった。……怒ったような顔つきでじっと前を睨みつけているように見えるけど、あれは緊張で表情が固まっているだけと彼をちょっとでも知る人には分かる。

 

「今回のゲロ・コーポレーションとカプセルコーポレーションの合併は突然の事でしたが、高度な企業戦略によるものでしょうか? ブリーフ社長」

「いやいや、わしも前日まで知らなかったんだよ。本当に寝耳に水で驚いた。そういう事は副社長達に聞いてちょうだい」

 

 これは本当なんだよね。わしもゲロもそれぞれの研究室に籠っていたから。

 わしの方はゲロが持って帰ってきた戦闘服から、トレーニング用のギプススーツ作りを始めたんだけど、それが大詰めだったんだよ。

 

 あの伸縮自在で軽い戦闘服を、肌着の上に着るボディースーツ状のギプスにして、体を動かそうとすると負荷がかかるようにしたんだ。その上からゲロの警備部で使っている重りを装着すれば、よりトレーニングが捗ると思って。

 あれ以上重くすると、重りが大きくなりすぎて不自由だろうからね。それに、重りを使わなくてもこのギプスを着て生活するだけで姿勢も矯正されるし。

 

 それに女の子が着るとスタイルが良い感じに……でも、負荷がかかり過ぎるせいで、今は着られるのは桃白白君かゲロかヨン君、そしてナメック星人の人達くらいなんだけど。最も負荷がかかるスーツは、ネイル君以外が着ると気を付けの姿勢のまま動けなくなってしまうし。

 

「ズバリ、合併の理由は?」

 おっと、インタビューがまだ続いていたようだ。

「それはね、ゲロが宇宙に行った時に持ち帰ったサンプルをわしにも見せてくれるんだけど、そうしていると別々の会社の社長をやっているのが面倒になって来たんだよね」

 

 守秘義務がどうのとか、協力して研究する時に色々手続きがどうのとか、本当に面倒だった。それで前、いっそ合併しようかって話したんだけど、あの時はお互いにどちらに社長を押し付けるかで揉めて結局決まらなかった。

 ただ、その話が副社長達の耳に入ったらしくて、今日に至るわけだけど。

 

「では、ご自身が社長に就任した事についてどう思われますか?」

「ちょっと残念だね。わしとしてはゲロに社長になって欲しかったけど、副社長達の意見ももっともだし」

 しかしこのレポーターさん……美人だな。うーむ、ちょっとくらい透視能力で服を透視していいだろうか? でもな~、流石に悪いかな~? いや、しかしあんなに胸の谷間を強調しているぐらいだし、ブラジャーの色を見るぐらいなら許されるのでは?

 

「ありがとうございました。では、会長にもご意見を伺いましょう。ゲロ会長、会長就任おめでとうございます。今日も素敵なピアスですね」

「ああ、ありがとう。ちなみに、会長職に就任する事に不満は全くない。儂としては第三研究部部長とか、そんなポジションで充分だったのじゃが……副社長に『あんたを中間管理職にすると、管理する上司を置かなきゃならなくなるでしょ』と言われてしまってね」

 

 そう、ゲロはGCコーポレーションの会長に就任する事になった。彼は今後も人造人間の研究開発を行う為に、会社から姿を消す事が度々あるはずだ。だから、社長よりもしなければならない業務が少ない会長には彼がなるべきだと副社長達に説得されたんだよ。

 

「今後の経営方針について、何か変化はあるのでしょうか?」

「は、は、は。経営については副社長に聞いた方が良いでしょうな。しかし、我が社の方針は今までと何も変わりません。研究開発を行い、安全な技術で社会に貢献する。それのみです」

 

「警備部の総戦力が過剰なのではないかと言う意見もありますが、世界征服をお考えですか?」

「は、は、は、は。警備部は警備部、お客様と我が社を守るのが仕事です。世界征服とは何の関係もありませんぞ」

 

「養子をとられたそうですが、彼が未来の天才科学者でしょうか?」

「は、は、は、は、は。彼は儂の息子で、まだ幼い少年です。それ以上でもそれ以下でもありません。儂は親になった者として、彼がやりたい事を応援するだけです」

 

「インタビューはここまでとさせていただきます。では、次に副社長から発表がございます。我が社は桃白白氏の主演映画二作目のメインスポンサーになる事を決定いたしました」

 ゲロの乾いた笑い声になっていない声を聴いて、そろそろ彼の限界が近いと見た広報部が、予定を切り上げてスケジュールを先に進めた。うん、作り笑いにしても乾き過ぎていたから、良い判断だと思う。

 

 これからも色々あると思うけれど、未来は希望の光に満ちていると、わしは一人の科学者としてそう思う。あ、これは美人レポーターさんのブラジャーが白かったから言っている訳ではないよ。黒かったし。




・牛魔王

 武天老師こと亀仙人の二番弟子。身長四メートルの巨体を誇る、パワー重視の武道家。その分細かい技が苦手で、また実力も孫悟飯より下であるため、かめはめ波は撃てないらしい。
 ただ原作アニメではレッドリボン軍が放った砲弾が直撃したときもほぼ無傷で、戦車を素手で叩き潰すなどの活躍を見せた。

 ……地味に純粋な地球人か怪しい人物。長寿は師匠である亀仙人と暮らしている不死鳥のお陰とも考えられるが。もしかしたら、彼の先祖に宇宙人か宇宙人の血が混じった人物がいるのかもしれない。

 原作開始前の世界では、武天老師、桃白白、鶴仙人、孫悟飯と並んで世界に名を轟かせた強者の一人。そして、この時点で略奪などを行っており城に財宝を蓄えている。
 原作では妻に先立たれ男手一つで娘のチチを育てたが、妻の治療のために必死になる姿に共感したゲロによって、人造人間への改造手術が行われる事になった。妻の命は助かりそうである。



・チチ

 この話の時点では二歳と数カ月。両親大好きなおてんば娘。人造人間とフランケンシュタインの怪物を勘違いしている。



・サン

 牛魔王の妻。原作では触れられておらず、アニメでもチチを膝に乗せた肖像画が映されたのみ。その際も顔は映らなかった。
 また、アニメでは亀仙人や占い婆と面識があったらしいことが描写されている。

 なお、頭にネジを生やされ腕がドリルになる予定はない。

 この作品の世界線ではチチによく似た二十代の女性。名前は当初ランプ肉からランと設定するつもりだったが、ランチやランファンと途中まで被るので、サーロイン肉をもじってサンにした。物の怪の姫ではありません。



・ゲロ

 孫悟空に会う前に彼以外の原作キャラをコンプリートしそうな勢いで会っている、この作品の主人公。
 サンを人造人間に改造するのは、色々理由を付けたが主な理由は牛魔王の姿が過去の己と重なり、助けたくなったから、と言うもの。サンを助けなければならない論理的な理由はなく、また彼女でなければならない理由はない。

 ギネに続いて人妻に(改造手術的な意味で)手を出しているが、特に人妻に拘りを持っている訳ではない。

 そうして研究に打ち込んでいる間に、副社長が動いて自分の会社とカプセルコーポレーションが合併して、会長にされてしまう。



・GCコーポレーション

 世界で一二を争っていた大企業、カプセルコーポレーションとゲロ・コーポレーションが合併してできた世界的超企業。
 家電、ロボット、美容、医療、宇宙開発、観光、警備、トレーニング機器、農業等様々な業界をリードしている。

 また、天下一武道会や桃白白氏の主演映画のスポンサーになるなど、エンターテイメント業界にも力を入れている。
 その経営は実はゲロ・コーポレーションとカプセルコーポレーションの元副社長達が牛耳っており、陰の社長達と呼ばれているらしい。

 雑用は全てロボットが担っており、社員は残業ゼロ、有給消化、ボーナス年二回等、福利厚生も手厚い。また、社員専用の保養所もある。
 ただし、産業スパイには一人一人が戦車より強いと評判の警備部が追ってくるのでお勧めしない。


楓流様、CONPACU203様、変わり者様、ryuto様、路徳様、ヒロシの腹様、車道様、カド=フックベルグ様、たまごん様、六四様、勇(気無い)者様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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