ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
地球はGCコーポレーションの台頭とその警備部門であるGCGの事業規模の拡大によって、大きく変わった。歴史を語る時、GCコーポレーションの会長であるドクター・ゲロと社長であるブリーフ博士が偉業を為す前と後で分けられるほどだ。
それは一般社会だけではなく、悪人達の社会でも同様だ。以前の地球の犯罪組織で幅を利かせていた暴力的な犯罪……マシンガンやバズーカで武装して組織的に辺境の町や村を襲って支配したり、銀行を襲ったり、金持ちの子弟を誘拐して身代金を要求したり、飛行機や船をハイジャックする等の犯罪は、ほぼ成功しなくなった。
何せGCGが派遣する警備員達は、マシンガンで撃たれようが、戦車砲の直撃を受けようが、ミサイルが至近距離で爆発しようが死ぬどころか平然としている。しかも、彼らは車より速く走る事が出来る。空だって、適当な大きさの柱や丸太、岩があれば飛んでいく事が可能だ。
そして、手からビーム……気功波を放ってくる。本気で撃てば装甲車だって木っ端みじんになる威力の。
他にも武者修行や新しい弟子探し、お使いやテレビのロケ、もしくはただの散歩中の武闘家が都会から離れた辺境に巣くっていた悪党をついでに退治していく事も珍しくない。
武装を整える事で武闘家やGCGに対抗できるなら、資金力のある悪党はそうしただろう。しかし、いくら金を積んでも対抗できる武装は手に入らない。存在しない物は買えない。
GCGの隊員が装着するボディースーツや、王立防衛軍やレッドリボン軍で使用されているバトルジャケットが手に入ればある程度対抗は出来る。しかし厳重に管理されているし、万が一手に入れられたとしても、それを察知したゲロが責任を感じて直接殴り込んで来るだろうから、酷い目に遭うだけだ。
そして何より、ここ最近繰り返される地球の危機。一般人は去年の『地球丸ごと超決戦』事件以外は映画として知る訳だが、それが武闘派の悪党達の心を折った。あんな強い連中に敵うはずがない。そう悟ってしまったのだ。
もちろん、だからと言って犯罪は無くならない。一時の感情や欲望を抑えられず、発作的に罪を犯してしまう者もいるからだ。他にも、窃盗やスリ等も起こる。
何より組織的な詐欺や薬物の売買などいわゆる知能犯相手には、GCGはあまり有効ではなかった。それまで犯罪組織の一部門でしかなかった詐欺や薬物犯罪が、犯罪者達の主な飯の種となった。
しかし、だからと言って知能犯達がこの世の春を謳歌しているという訳でもない。
それは地球の科学文明が進んでいるせいだ。
警察官や警備員が使用しているスカウターが、犯罪者の肩身を狭くしている。どんなに隠れ潜んでいたとしても、「戦闘力」とやらを感知して位置を探り出してしまう。しかも、最近では個人を識別する事まで可能らしい。
他にもDNAの解析技術の進歩、防犯カメラの普及……知能犯達も武闘派と同じく心を折られるのも、遠い未来ではないかもしれない。
(真面目に働くのが一番だって事は、頭では分かってるんだよ。だが、頭で分かっている通りに生きられるかは、別だ)
ハスキーはそう思った。二十代の金髪美女の彼女は、十代の頃は腕利きの闇の便利屋……金さえ貰えば情報の売買から盗み、誘拐、詐欺、爆弾の製造までなんでも手広く行う犯罪者だった。
しかし、徐々に大きな仕事が減って稼げなくなり、気が付けば悪党時代の彼女からするとぬるい仕事をして稼ぐようになっていた。
フリージャーナリストを名乗って有名人のゴシップを探し出して、その有名人に買わないかと取引を持ち掛けたり、山賊や海賊が隠したお宝を探すトレジャーハンターの真似事をしたり、色々やった。
(それでしばらくは占い師に扮して、客に二束三文のガラクタをお守りと評して売っていた訳だけど、まさかそれでヤキが回るとはね)
「おいっ! 俺の話を聞いてるのか!?」
ハスキーがヤキだと思っているのは、カモにした客が見た目より危険な奴だと気が付かなかった事だ。一見すると大人しそうに見える容姿のこの青年が最初に客としてやってきたのは、去年の秋の事だった。
前の彼女に振られてからなかなか新しい出会いが無いと恋愛運を占いに来た青年の話を聞いてやったハスキーは、ラッキーカラーがどうとか職場から三番目に離れたカフェで出会いがあるとか、適当な事を言って、パワーストーンだと安い水晶を売りつけ料金を受け取った。
青年はそれから毎週のようにやって来た。また恋愛運、失せ物、健康運、来る度に占って欲しい事は変わっていたが、自分が目当てなのは疑いようがなかった。ハスキーは自分が美人である事も自覚していた。
そして、青年は今日もやって来た。狩猟用の散弾銃を持って。
「もちろん聞いているわ。落ち着いて、悩みがあるなら聞かせてちょうだい」
自分に銃口を向ける青年に、ハスキーは出来るだけ落ち着いた口調で語りかける。
「うるさいっ! どうせ俺の金目当てなんだろう!? ただ話を聞くだけで高い金を要求しやがって!」
しかし、興奮している様子の青年は銃口をハスキーに向けたまま怒鳴り返した。青年の指が引き金を引きやしないかと彼女は気が気ではなかった。
(煩いのはお前だ! ここをどこだと思ってるんだ、占いの館だよ!? 占い一回につき料金を頂きますって、入り口に書いてあるのが見えないのか!?)
だが、内心ではそう怒鳴り返していた。ヤキが回ったと思っているハスキーだが、実はこの青年に対してはそれほど悪どい事はしていない。
青年が来る度に規定通りの料金を請求し、売りつけたパワーストーンやお守りの値段も他の占い師が売っている値段とそう変わらない。
それに、青年が自分に貢ぐよう故意に誘導してもいない。「またのお越しをお待ちしております」と言ったぐらいだ。
何故ならハスキーにとってこの占い稼業は、次の儲け話が見つかるまでのツナギに過ぎなかったからだ。都会で儲け話に繋がる情報を掴むまでの間、生活費を稼げればそれで十分だったのだ。
「そうだ、お前は俺の金だけが目当てだったんだ……何度来てやっても、口では優しい言葉をかけて親身に相談に乗るふりをするくせに、俺にいつまでたってもなびこうとしない!」
(だから、ここは占いの館なんだって! 客の悩みも聞くし、相談にだって乗る! それで料金を頂く商売だ! いちいち客になびく訳がないだろう!? ここをお見合い会場だと勘違いしているんじゃないだろうね!?)
そう胸の内では怒鳴り返しているハスキーだったが、大人しい口調で自分に非がある事を認めて彼を落ち着かせようとしていた。
青年に散弾銃の銃口を降ろさせさえすれば、隠し持ったナイフで瞬く間に彼を始末して窮地を脱する事が出来る。後々面倒だが、向こうは散弾銃でこっちはナイフだ。どうとでも言い訳できるはずだとハスキーは踏んでいた。
(まあ、それよりも警察がこいつを逮捕してあたしを助けてくれるってのが一番面倒が無くていいんだけどね。クソッ、あたしの仕事は邪魔する癖にいつまでこんな危ない奴を野放しにしてるんだ!)
そう助けに来ない警察を罵るハスキーだが、実はそれこそが彼女に回って来た「ヤキ」だった。
ハスキーは、占い師の仕事をする時警察がよく見回るような街の中心部や表通りではなく、郊外の裏通りを選んだ。そのため、店の前を通りがかった人が異変に気が付いて警察に通報してくれるような望みはほぼない。
そして店にもスイッチ一つで警察に通報できるような防犯設備は設置していない。
これまで後ろ暗い人生を歩んでいたので、警察を遠ざけ過ぎてしまった。そのせいでハスキー自身も警察に頼れない状況を作ってしまったのだ。
「失礼するでっせい」
だが、予約なしで客が入って来た。ややこしい事になったと、ハスキーは胸の内で舌打ちをした。
「な、なんだ、お前!?」
「先客でっせい? だったら俺は待たせてもらうでっせい」
ハスキーからはその客の姿は見えなかったが、その客は声を荒げる青年に構わず呑気に待合室の椅子に座り込んだようだ。
「待つんじゃないっ、出ていけ! この銃が見えないのか!?」
客の態度に苛立った青年が、ハスキーから客がいるらしい方に散弾銃の銃口を動かした。今だと、ハスキーは動き出した。隠し持ったナイフを抜いて、青年の急所を一刺しにする。
「おっと、それは拙いでっせい」
一刺しにするはずだったのだが、目にも留まらぬ速さで現れた客の男に手首を掴まれて止められていた。
「な、なんで止めるのさ!?」
驚いて思わず素の口調で叫ぶハスキーに客の男……アモンドが答える前に、事態に気が付いた青年が再び彼女に散弾銃を向けようとした。
「お、おまえっ、俺を殺そうと……チクショウ! お前を殺して俺も――あれ?」
しかし、その散弾銃の銃口はアモンドによって握りつぶされ弾が出ないようにされていた。
「お前も頭を冷やすでっせい」
そして、アモンドは青年の首筋を軽く叩いた。それで青年は「ほげっ!?」と間抜けな声を出し、失神してしまう。
「悪いが、殺しは禁止されてるんでっせい。他人同士の殺しも、目の前で行われてるのを見て見ぬふりをしたら文句を言われそうだから、止めさせてもらったでっせい」
「そ、そうなの。それであんた……もしかして宇宙人?」
「そうでっせい。それで、占って欲しい事があるんでっせい。知り合いの占い師は料金が高いし、試合もアックマンが帰ってくるまでやってないんでっせい」
「そ、そうなの。宇宙人でも、占って欲しい事があるのね。それで、何を占って欲しいの?」
「新しい上司との関係と、将来について悩んでるんでっせい」
「……宇宙人も大変なんだね」
倒れて気絶したままの青年を店の外に放り出した後、ハスキーはアモンドに占いと言う形式で彼の相談に乗ったのだった。
四月に入り、天下一武道会の開催が迫ってきた頃になって、調査していた人物の情報が入って来た。原作アニメのオリジナルキャラクターであるコンキチとハスキーの二人だ。
歴史改変者に利用されないか警戒するためだったが、所在を把握するのは大変だった。
コンキチは悟空が二度目の天下一武道会に出場する前に出会った人物で、悟空を兄貴と慕うスリの少年だったが、この歴史では普通に働いていた。昔はストリートチルドレンとして悪さもしていたようだが、補導されて施設で育ち、そこで教育を受けて更生したようだ。
彼を探すのに手間取ったのも、狐の獣人型地球人の少年であるという事以外特徴が無かったためだ。
彼は歴史改変者に利用される事はなさそうなのでこのまま放っておいて構わないだろう。
一方、ハスキーは未成年だった頃に何度か軽犯罪で逮捕された記録があるだけで、現在の所在はなかなか掴めなかった。
鶴仙人は噂で聞いたことがあり、ブラック補佐は彼女に何度か依頼をした事があった。彼らによると、ハスキーはこの歴史でも賞金稼ぎから情報の売買、暗殺まで手広くこなしていたらしい。
しかし、この歴史では儂の起こした影響で地球の治安が向上したため裏稼業を続けるのは苦しくなったらしい。この歴史では、レッドリボン軍からドラゴンボールの奪取と悟空の暗殺依頼もされなかったようだし。……この歴史の悟空は、その当時すでに爆弾やミサイルでは傷一つつかない強さになっている事を、レッド総帥達も知っていたから、彼女に依頼する事を思いつかなかったのだろう。
所在が掴めないのなら仕方ない。歴史改変者に利用されていないなら構わないかと思っていたが、なんとアモンドが通っている占い師がハスキーだった事が判明した。
なんでも、アモンドは生活環境の変化にストレスを覚え、新しい上司(?)のターレスや儂との関係でいろいろ悩んでいたそうだ。そうした悩みを打ち明ける、愚痴を吐ける場所としてアモンドが目をつけたのが占い師だった。おそらく、地球に来てから読んだ雑誌か見たテレビ番組か何かで「地球人はこういう時占い師を頼る」と微妙に正確ではない情報を得たのだろう。
もしかしたら、儂等と関わりのない相手に悩みを聞いてほしかったのかもしれない。
それで、去年の事件でそれなりに顔が知られているアモンドは、郊外の裏通りに店がある占い師を探し、ハスキーの店に辿り着いた、と言う経緯で知り合ったらしい。
そしてアモンドはハスキーと「不思議とウマが合う」らしく、彼女の下に通うようになったそうだ。
アモンドは、フリーザ軍に入る前からナッツ星に存在した宇宙警察機構の刑務所に収監されていた犯罪者だ。生活環境の変化と言うより、自分と周囲の価値観の違いに戸惑っているのだろう。
そんな彼と本来は犯罪者だが社会状況が変化したため堅気寄りの生活をしているハスキーは、話が合ってもおかしくはない。
しかし、これはいい傾向だ。提供した居住地から抜け出して、やったのが悪さでも殺しでもなく話し相手を探す事。しかも、その過程で目の前で殺し合いが起きそうになっても、「自分にはかかわりのない事」と見過ごさず止めている。
彼らの行動に注意する必要が無くなる日も近いかもしれない。
それ以外の出来事としては、まず悟空達が北の界王様の修行を終えて帰って来た。もちろん、蛇の道の途中にある蛇姫の宮殿には全員引っかからなかった。
元気玉は悟空しか習得できなかったが、界王拳は全員習得する事に成功した。これで若い世代の戦力も向上する事が出来た。
……何より、悟空が無事界王拳を習得できたのは大きい。習得しないままだったら、数十年後スーパーサイヤ人ブルーになったときに界王拳でさらにパワーアップする事が出来なくなるからな。
次にターレスの身長がバーダックと並んだ。
「こうして並ぶと親父と見分けがつかないな」
「後ろ姿だけならあたしでも間違えるかも」
「はははっ、黒くなった父ちゃんみてぇだ!」
「おいおい、俺はこんなに目つきが悪くねぇだろう?」
「そう? どちらかって言うとターレスの方が皮肉っぽく見えるわよ」
バーダックとターレスが並んで立っているのを見て、ラディッツやギネ、悟空やタイツがそれぞれ感想を述べる。それを聞いてバーダックは顔を顰めた。
「チッ、好き勝手言いやがってガキ共が。カカロット、後二年もすればお前も俺達と同じぐらい背が伸びるんだ、覚えとけよ」
「オラもかぁ……言われても実感がわかねぇ。手足の長さが変わり過ぎて、戦う時困らねぇかなぁ?」
「それはあったが、それよりも服だな。毎日手足の長さや目線の高さが変わるから、タイツに引っ張られて何件服屋を巡ったか覚えてねぇ」
「下からの蹴りにも弱くなったわよね。背が伸びて、下が死角になったから。これからはより気をつけるようにって、桃白白や鶴仙人のお爺ちゃんに言われてたじゃない」
「よし、天下一武道会開催前に稽古でもつけてやろうか」
「それはもうベジータ王子や爺相手の組手で克服したからいいんだよ」
メディアに対する露出も多いターレスの急成長は世間も注目しており、雑誌やテレビでも取り上げられるほどだった。映画プロデューサーは、「今後はカンフーキッドじゃなくて他の役名をつけた方がいいかな?」と悩んでいるようだ。
また、ラズリとラピス、そしてブルー大佐に人造人間への改造プランの説明も行った。
「別に約一年後回しになる事に異論はないけど、なんで私が15号で、ラピスちゃんが17号、ラズリが18号なのよ?」
「順番的には、あたしが15号、ラピスが16号だろ?」
「二人の疑問は当然だが、人造人間のナンバリングは完成した順ではなくプランを練った順で決めているのだ。15号のプランを最も早く練り、16号の開発をある程度進めた後、17号と18号への改造手術を早める事になったというのが経緯だ」
実際には、原作と番号が異なるとややこしくなるから、と言うメタな理由だ。原作の事を思い出しながら考える時、面倒じゃしな。
「17って数字は嫌いじゃないからいいぜ」
「そう言えば、あたしの方が姉なんだからあたしが17号で、ラピスが18号なんじゃないのか?」
「双子は先に生まれた方が弟妹で、後に生まれた方が兄か姉だろ? なら、順番どおりでいいじゃないか」
「そうだったっけ? まあ、どっちでもいいか」
幸い、ラズリ達は数字に対して強い拘りはないようで儂が割り振った数字に納得してくれた。
「それより、人造人間になった後にどんな姿になるのかが気になるね。着られる服の種類が変わるかもしれないし」
「そうね、番号より外見がどうなるのかの方が重要だわ」
「バイオレット大佐みたいに変身できると面白そうだな」
「うむ、期待に応えられるよう全力を尽くそう」
シュラ達から提供してもらった細胞を解析した事で、同じ種族のトワの細胞の解析も進んだ。ラズリ達の改造に活かせる事だろう。
また、魔術を発動させる機械についても開発が進んでいる。以前トワの魔術を妨害した時よりもエネルギーから魔力への変換効率が良くなったし、妨害以外の魔術も一種類だが使えるようになった。
しかし、その使えるようになったのは結界なので使える状況は限られてしまうが。
攻撃を防ぐバリヤーとしてなら、気でフォトンシールドを張ればいいし……何ならカッチン鋼製ドローン本体を盾にした方が強固だ。
歴史改変者から隠れるための目くらましとしても、魔術の完成度自体は低いと思われるのでおそらく通用しない。それどころか魔力を感知される可能性があるので、機械式の光学迷彩だけのときより逆に目立ってしまうかもしれない。
逆に、魔力を検知できない機械には絶対探知できないので、クウラ軍やスラッグ一味には有効だ。……フリーザ軍にトワが加わっていなければ、もっと有効だったのだが。
それと、トワの細胞を移植したバイオレット大佐は気と同様に魔力を感知する事は出来るが、扱う方法は分からないようだ。気功波と同じように収束して打ち出して攻撃に使ったり、自分にかけられた魔術に抵抗したりする事は出来そうだが、複雑な術はどうすれば出来るのかまだよくわからないようだ。
そう言えば老界王神様はポタラで魔女と合体して今の姿になったそうだが……魔術に関して質問したら答えてくれるだろうか? 今度また手土産を持って聞いてみるとしよう。
まあ、魔術研究も、人造人間研究と同じでまだまだ発展途上と言う事だ。
ちなみに、この歴史の人食い瓢箪はまだ見つかっていない。原作アニメで金角が持っていた不思議な瓢箪だが、この歴史の金角が持っていたのはミラが渡した他の歴史の人食い瓢箪だったので、金角にありかを聞くわけにもいかない。
危険物であるし、何よりも研究対象として興味があるので手に入れたいが、まだ調査中だ。今年の天下一武道会が終わった後に予約した順番が回ってくるズノー様への質問できる回数に余裕があれば、何処にあるのか聞いてみるのもいいだろう。
後、星を苗床にしない神精樹の栽培方法にも成功した。考えてみれば簡単な事だったのだ。星を使い潰さず神精樹を育てたいなら、神精樹を星で育てなければいいのだ。
ナメック星と地球の間にある広大な宇宙空間に浮かべた人工衛星、そのうち一つで栽培を始めた。滋養は、儂の細胞を培養して作った生体部品で組み上げた永久エネルギー炉が供給している。
「神精樹は星の滋養をすべて吸い取り、死の星にしてしまう。考えてみればこれがおかしかったのだ」
本来なら、その惑星の土壌に含まれた水分や栄養を神精樹が全て吸ってしまったとしても、その惑星は死の惑星にはならないはずだ。何故なら、滋養をすべて吸い取った神精樹そのものが残るからだ。
滋養の大半は実を作るのに使うとしても、巨大な幹や枝、葉には水分や栄養が含まれているはずだ。生き残った僅かな動物はそれを食料にする事が出来る。そして動物の糞や朽ちた神精樹そのものを肥料にして新たな植物や菌類やカビが育つはずだ。
甚大な被害を受けるが、完全な死の惑星になるほどではない。
では、何故神精樹が育った星は滅ぶのかと言うと、惑星の核……マントルの熱エネルギーまで神精樹が吸収してしまうからだ。
マントルが熱を奪われ冷えて固まった星では地熱は失われ、地磁気が発生しなくなった事でバンアレン帯を維持できなくなる。そして神精樹の成長中も生き残った僅かな生命も、極一部の細菌やバクテリア以外生存不可能になってしまうのだ。バトルジャケット一機の熱線では根を焼ききれなかったはずだ。
ただ、永久エネルギー炉は一定の出力で永遠にエネルギーを発し続けるため、神精樹が実をつけるまで十分なエネルギーを供給する事が出来る。
「果実の栄養素は、地球で育てた場合の実の三割以下か。やはり、永久エネルギー炉だけでは栄養バランスが偏るようじゃな」
「エネルギー炉の出力が足りないかもしれません。機械式の方を試してはどうですか?」
「それがな、機械式の方は神精樹の根がエネルギーに耐えきれず吸収する前に焼き切れてしまうのだ」
「なるほど。やはり、神精樹の品種改良に取り掛かるしかないのでは?」
「そうじゃな。ラズリとラピスの改造手術が落ち着いたらコリー博士に相談してみるか」
そう4号と人工衛星の屋内にある神精樹の根元で相談する儂。
そして、天下一武道会開催の日がやって来た。
髪と口髭を整えた実況アナウンサーは、三年に一度の晴れ舞台に胸を高鳴らせながらマイクを取った。
『至高の戦いを目にしようと集まった紳士淑女の皆さん、お待たせしました! これより強者達が集う地球一の武の祭典、第26回天下一武道会を開催いたします!』
広い会場に大歓声が響き渡る。この歴史の天下一武道会は、地球をあげての大イベントとなっていた。
テレビや雑誌では開催前から特集番組や特集記事が組まれ、優勝者や準優勝者が誰になるのかのギャンブルも盛んに行われている。
会場があるパパイヤ島では、前日には本戦参加出場経験者や有力選手のパレードが行われ、その熱が開催日まで続いている。
『本大会は四日にかけて行われます! 本日、一日目は――』
大会の進行プログラムやルールは、前回から大きな変化はない。一日目は予選で、AからHまではトーナメント形式、そしてIからPまではバトルロイヤル形式で行われる。変更したのは、トーナメント形式の予選の試合の制限時間を1分から5分に延長したぐらいだ。
なお、人工の満月を作り出すパワーボールはバリヤー発生装置を飛び越えてしまうため、禁止である。
『では、Aグループの予選から行いましょう! 地球中……いえ、宇宙中から集まった戦士達の戦いをお楽しみください!』
そして始まったAグループでは、前回大会と比べて大きく成長した人物が出場していた。
「予選とはいえ、桃白白殿と当たるとは、私のくじ運も捨てたものではないようだ」
「獅子牙流のヤシシか。この私を前にしても臆さぬとは、大きく腕を上げたようだな」
予選準決勝で世界一のヒーローを自称する桃白白に当たったのは、前々回では本戦一回戦でチチと当たって敗退し、前回は予選敗退のヤシシだった。
「聖地カリンで修行し、カリン塔を守護者のボラ殿と共に登りカリン様に師事した。あなたとは兄弟弟子と言う事になりますな」
なんと、ヤシシはこの三年でカリン塔を登ってカリン様の修行を終えて地上に戻るまでに腕を上げていた。
「いいだろう。稽古をつけてやる、かかってこい!」
「参るっ! てやーっ!」
桃白白に挑むその踏み込みの速さも、拳の鋭さと力強さも、三年前とは段違いだ。戦闘力にして150と言ったところだろう。
「悪くない。だが、未熟っ!」
しかし、もちろん桃白白に勝てるはずが無い。数合打ち合うと桃白白は足払いを仕掛け、バランスを崩したヤシシを場外に向かって放り投げた。
「ま、まだだ!」
投げられたヤシシは、場外に落ちずに空中で踏みとどまっていた。なんと、彼は見様見真似で舞空術を習得していたのだ。
「甘いっ!」
だが、桃白白はヤシシに向かって弱い気弾を放って彼を打ち落として勝利した。見様見真似の舞空術では浮いているだけで精いっぱいで、気弾を避けるような機動力は無かったのだ。
そしてもう一方の準決勝では、天津飯と孫悟飯が激しい戦いを繰り広げていた。
「界王様の修行の成果を見せねば、儂には勝てんぞ」
「くっ、流石は孫悟飯殿だ」
北の界王の修行を受けた天津飯の戦闘力は、約5万8千。ギニュー特戦隊の隊員と並ぶ、宇宙全体を見回してもそうそういない実力に至っている。
だが、孫悟飯の戦闘力は天津飯を超える7万8百。さらに、天津飯の何倍も長い武闘家としての経験値が隙の無い攻防を可能にしている。
「確かに、桃白白様と当たるのに備えて体力の温存を考えている余裕はない。界王拳!」
だが、天津飯の姿が赤いオーラに包まれると同時に気が膨れ上がり、戦闘力は1・5倍の8万7千にまで高まった。
「むっ、これはいかんっ、ぬおっ!?」
途端に鋭さを増した天津飯との拳と蹴りの応酬に競り負け、拳を受けた孫悟飯は呻き声を上げる。しかし、その衝撃に身を任せて後ろに距離を取ると、素早く掌を突き出した。
「ライオットジャベリン!」
溜めにかける時間が少ない、ギネ直伝のライオットジャベリンで天津飯に気を収束する時間を与えず攻撃を仕掛ける。しかし、天津飯は既に気を収束させていた。
「魔口砲っ!」
天津飯が口を開くと、そこから強力な気功波が放たれた。それは孫悟飯のライオットジャベリンを蹴散らし、彼を舞台上から吹き飛ばす事に成功した。
「イタタ……界王拳を発動した直後から口の中に気を溜めていたのか」
「ええ、ランチから教わりました」
勝利した天津飯は悟飯に手を貸し、一旦舞台から退場した。しかし、強敵を倒しても本戦への出場権はまだ彼の手の中には無い。
「まさか予選で当たるとは思わなかったが、これも運だ」
「力を尽くしてこそ、開ける道もあるというもの。全力で参ります、桃白白様」
予選Aグループ決勝。去年の『地球丸ごと超決戦』事件でともに地球を守るために戦った英雄、世界一のヒーロー桃白白と、その弟弟子天津飯が予選でぶつかり合う。観客達は「この対決は本戦で見たかった!」と思いながらも、「予選からこんなレベルの高い試合が見られるなんて」と興奮を抑えきれない。
『予選Aグループ決勝戦、始め!』
「十倍界王拳!」
「ならば、私は五倍だ!」
赤いオーラに包まれ、サイレンのような独特の音を響かせながらぶつかり合う両者。天津飯が約56万、桃白白が約73万。どちらも宇宙の帝王フリーザの第一形態の強さを上回る、ハイレベルな戦いが繰り広げられる。
「界王拳を短期間で十倍まで使いこなすとは流石だな、天津飯! 界王様の修行を受けた順が逆だったら私でも勝てなかったかもしれん!」
天津飯の防御を掻い潜って拳を当て、蹴りを浴びせる桃白白。同じ界王拳を使っていても、五倍で肉体にかかる負荷を抑えながらも優位に立つ彼と、十倍で肉体に負荷を掛けながらも防戦を強いられる天津飯。どちらに勝ち目があるのかは、観客の目にも明らかだった。
「まだ負けたわけでは無い! 太陽――」
「隙ありだ!」
攻防の最中、桃白白の視覚を奪うために太陽拳を仕掛けようとした天津飯。だが、桃白白は技を発動させる一瞬の隙を見逃さず、天津飯に回し蹴りを放った。
「なにっ!?」
だが、桃白白の蹴りは天津飯に僅かに届かなかった。まさか間合いを見誤ったのか!? そう驚愕するあまり、桃白白は目を閉じるのが遅れてしまった。
「――拳!」
「ぐっ! しまったっ、だが気を読めば目を閉じていても……ぐおっ!?」
気を読めば目が見えなくても戦える。そう桃白白が言い切る前に天津飯の拳が彼の頬を打った。
(天津飯の気は動いていない。だというのに、私の蹴りが届かなかったのに奴の拳が届いただと!? まさか私の脚が縮んだ……いやっ、違う!)
一撃を加えた後も続く天津飯の、四方八方から来る拳の連続攻撃に対して防御を固めて受け切った桃白白は、離れた位置にある天津飯の気に向かって気弾を連射した。
「かあっ!」
気合で桃白白の気弾を霧散させる天津飯。
「そこだ!」
その声から天津飯の正確な位置を読んだ桃白白が、まだ見えない目からナメック星人達から学んだ怪光線を放った。
「ぐわっ!?」
天津飯は太陽拳を放った場所から大きく動いていなかった。そして、桃白白の脚が短くなったのでもなかった。四妖拳で生やした第三と第四の腕をナメック星人のように伸ばし、舞台を掴んで桃白白から僅かに離れて蹴りを回避し、その後は伸ばした腕で攻撃していたのだ。
「見抜かれたか。だが、時間は十分稼げた。かめはめ波っ!」
元々あった自身の腕からかめはめ波を放つ天津飯。
「スーパーどどん波!」
しかし、桃白白もスーパーどどん波を放った。正面からぶつかり合って気功波は一瞬拮抗した後、桃白白のスーパーどどん波が押し切っていく。
「かはっ……」
爆発に飲まれ、煙が晴れた後、体力を使い果たした天津飯は崩れ落ちるように気絶したのだった。
まるで本戦の決勝戦の勝敗が決まったように歓声を上げ、両選手の健闘を讃える観客達。しかし、まだ天下一武道会は始まったばかりだった。
〇キャラクター年齢
・21歳
ヤムチャ、ラディッツ、ベジータ
・20歳
タイツ 天津飯
・18歳
ターレス、ラズリ ラピス
・17歳
クリリン、サタン(マーク)、ジャガー
・16歳
孫悟空、チチ、ブルマ
・15歳
チャオズ
・6歳
ユーリン
・4歳
スイ、モウ
・1歳
ラニ
〇コンキチ
アニメオリジナルエピソードに登場した狐の獣人型キャラクター。天下一武道会が開かれるパパイヤ島へ行こうとして、パパイヤ島から見て地球のちょうど反対側にある街に来てしまった悟空と偶然出会い、兄貴と慕い付いて行こうとした。
そのための船に乗るチケットを手に入れるためスリを働くが失敗。金を借りていたトラ、ライオン、ゴリラの獣人型地球人の三人組に銀行強盗の濡れ衣を着るよう脅迫され、警察に捕まりそうになった。
そこを悟空に助けられ、改心する事を誓った。
スリ以外は極普通の狐の獣人型地球人の少年なので、戦闘力は3から4ぐらいだと思われる。
この作品では、数年前に軽犯罪で補導されて施設に入れられ、そこで更生して今は真面目に暮らしている。危険な所からの借金もしていない。
〇ハスキー
レッドリボン軍編に登場するアニメオリジナルキャラクター。ドラゴンボールを奪取すれば百万ゼニー、悟空を始末すればさらに百万ゼニー、と言う約束でレッドリボン軍に雇われた。
桃白白と比べればだいぶリーズナブルだが、原作アニメでは宝石や札束、あらゆるものを影一つ残さず盗み出し頭脳とテクニックで狙った目標の命まで奪う殺し屋としても働いており、この世に奪えぬものはないと言われていた。
原作アニメでは西の都を拠点に活動しており、悟空から金を強請ろうとした街のチンピラ二人を利用し、占い師に化けてヤムチャを誘惑してドラゴンボールを奪い、悟空を彼が訪れていた空中遊園地ごと爆弾で始末しようとした。しかし、悟空によって失敗してしまった。
ドラゴンボールを奪う際はヤムチャを抑え込むなどしている事から、頭脳とテクニック以外も常人としてはかなり鍛えられていると考えられるため、戦闘力は地球人の平均的な女性を1・5倍上回る6ぐらいだと思われる。
この作品ではレッドリボン軍がハスキーに悟空の暗殺やドラゴンボールの奪取を依頼する事も無く、治安も改善していたため裏家業では稼げなくなり、トレジャーハンターの真似事をするなどして稼いでいた。
そして次の儲け話を探すまでの間占い師として店を開いていたら、偶然アモンドと遭遇する事になった。
ナイフの扱いや格闘術等を習得しているが、武道家として本格的に鍛えているわけでは無いので、戦闘力は原作アニメのハスキーと同じくらい。
〇戦闘力推移
・ヤシシ:30 → 150 ボラや時折物々交換に来る野生児と組手をして鍛え、カリン塔に登ってカリン様の修行を受けて大きく成長した。
・桃白白10万9600 → 14万5700 クウラ機甲戦隊並みに強くなった世界一のヒーロー。界王拳も体力を消費するが20倍まで使える。
・天津飯:2万9千 → 5万6200 北の界王様の修行で界王拳を習得し、ギニュー特戦隊隊員並みに強くなった。ランチとの修行で魔口砲や、四妖拳で生やした腕を伸ばす戦い方を習得。
・孫悟飯:5万8600 → 7万8百 順当に強くなっているが、界王拳未収得であるため天津飯に敗退した。
名無しの過負荷様、ぱっせる様、泡銭様、PY様、車椅子ニート(レモン)様、h995様、変わり者様、Paradisaea様、kuro様、社畜戦士様、ヴァイト様、佐藤東沙様、汁ダーク様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。