ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
テレビ中継されているゲロ・コーポレーションとカプセルコーポレーションが合併し、GCコーポレーションとなった事を発表する記者会見を、怒りが込められた瞳で見つめる男がいた。
赤毛を整髪剤で逆立て、右目に眼帯を付けた強面な男だったが……その身長は低かった。今は椅子に座っているので目につかないが、はっきり言ってチビだ。
「ええい、不愉快だ! 社会に貢献だと!? 今まで以上にか!? そんな事をされたら我が軍の仕事がますます奪われるじゃないか!」
「落ち着いてください、レッド総帥!」
「これが落ち着いていられるか、ブラック!」
そう、男の正体はレッドリボン軍総帥レッド、そして横にいるスキンヘッドで背が高く肌の黒い男がブラック補佐である。
彼等、レッドリボン軍は思うように規模を拡大出来ずにいた。その原因はゲロがメンバーに加わっておらず、彼が開発した武器が手に入らないため……だとゲロ本人は以前推測していた。
しかし、レッドリボン軍の勢力増強が阻まれているのには他にも大きな理由があった。それがゲロ・コーポレーションの警備部、通称GCG。そして桃白白、ドクターフラッペである。
今はGCコーポレーションとなったが、そのGCGや桃白白が都以外でも武装した強盗団や山賊の類を退治し、地方の有力者が悪事に走れば警察と協力して鎮圧している。
そしてドクターフラッペもまた、犯罪組織を襲撃して活動資金やアリバイ工作に使うための武器や、ロボットを作るための部品になる車や戦車、戦闘機などを略奪している。
結果的にどちらも世界を平和にして、レッドリボン軍の仕事を奪っているのだ。
そもそもレッドリボン軍とは何なのか? 名称に軍とついていても、当然だが地球の国王が有する公的な軍ではない。そのため、社会的には傭兵団の類とされる。
そして傭兵の仕事とは、軍が戦力を補充するために雇う事や、地方の有力者や金持ちの私兵、ボディガードとして雇う事……つまり、世界に争いがなく平和だと無くなってしまうものばかりだ。
特にレッドリボン軍はならず者の集まりと言うイメージが(実際そうだから当たり前だが)あるため、王立防衛軍に雇われる事はない。
だから地方での小競り合いに加わったり、金持ち個人やグルメス王国等の自治領に雇われてその私兵として部下を派遣したりするのだが……。
だが、「世界的大企業とは言え、企業が曲がりなりにも軍と名乗る大規模な傭兵団の仕事を奪い続けられるのか?」と疑問に思う者もいるかもしれない。実際、GCGは総勢百人もいない。レッドリボン軍の十分の一未満だ。
しかし、そのGCGの隊員は小口径の銃なら頭に当たっても、額がちょっと赤くなるだけで済んでしまう頑健な肉体を持ち、走れば車並みの速さ、そして素手で鉄板に穴を開ける。戦車だって三人いれば制圧できるのだから、もう警備員ではなく化け物の類だ。
しかも、契約料金が安い。……正確に言えば、GCGと契約して警備員を派遣してもらうには、警備会社の中では群を抜いた高額の料金を支払う必要がある。だがしかし、戦車一台をリースし、弾薬や燃料費を払い、運用と整備をするための兵士を雇うのに必要な総額と比べれば、圧倒的に安く済む。
せめてもの幸いなのは、GCGが警備員であるため基本的には守り側の存在である事だ。雇っても攻撃側の手段としては使えないため、仕事を完全に取られずに済んでいる。
それに戦闘機のように飛べないし、遠距離攻撃の手段も限られている。警備員だから当然だが。
そして次に桃白白。彼はレッドリボン軍にとってGCGよりも厄介だ。正義のヒーロー気取りで、報酬が安くても動く時があるし、投擲した柱に乗って空を飛ぶし、貫通力に優れたビームのような遠距離攻撃手段を持っている。
そして何より強い。ビーム(どどん波)の射程距離はミサイルよりも短いが、桃白白に間合いを詰められたらその時点で勝負は決まってしまう。
せめてもの幸いは、汚い仕事には手を出さない事だろう。
そして、桃白白はGCコーポレーションとは関係なかったが、一年と数カ月前からGCGの顧問をしており、GCGの質と数の向上に一役買っているらしい。レッド総帥にとって忌々しい事この上ない。
そして最後にドクターフラッペだが……彼は悪の天才科学者だが、活動資金を得るためか地方の犯罪組織を次々に潰していた。そのくせ企んでいる犯罪は全て警察と桃白白、そしてGCGによって防がれているので、結果的に地方の治安が回復し、やはりレッドリボン軍が雇われる機会を減らしている。
そしてレッド総帥達も知らないが、その正体はドクターゲロだ。
「GCコーポレーションの奴らは農業事業にも進出している! しかも、砂漠の村の緑化活動にも成功したそうだぞ! これで我々の飯の種がさらに減るのだぞ!?」
人々の争いの種がレッドリボン軍の飯の種なので、レッド総帥は気が気ではなかった。
仕事がないから金がない。金がないから軍備を増強できず、人材も増えない。軍備と人材が豊かでないから、大きく稼げない。そんな悪循環にはまっている。
「ですが、我々にはどうしようもありません。ここは雌伏の時を耐えるしか……」
「クソ、いっそ殺し屋でも雇ってGCコーポレーションの奴らを殺させるか?」
「やめておいた方が良いでしょう。世界で一、二を争う殺し屋のどちらもが既に失敗したという情報が入っています」
それはゲロが気にも留めていなかった事だが、ある汚職政治家に雇われた世界で一、二を争う殺し屋の内一人がゲロを暗殺しようと試みたが……察知した人造人間2号にボコボコにされて警察に引き渡されている。
また、もう一人はブリーフ博士の方を狙った結果人造人間3号にボコボコにされている。
なお、この世界線では桃白白が殺し屋にならなかったので、雇われたのは原作だと世界で二番目と三番目の殺し屋に相当する。
つまり、桃白白よりもずっと弱いので、2号と3号の敵ではなかったため、ゲロも「不審者を鎮圧して警察に引き渡した」という報告しか聞いていなかったので記憶に留めていなかったのだ。
「それに、会長のゲロ自身かなりの手練れだそうです。天下一武道会の優勝経験者ですし……噂では狙撃しようとしたライフルの銃弾を掴み取ったとか、斧を振り下ろしたら斧の方が砕け散ったという話があり、それは事実である事が判明しました。殺し屋を雇うだけ金の無駄ですよ」
「……あの会社には化け物しかいないのか?」
「……直接手を出すのは、得策ではありません」
「……そうだな」
短気なレッド総帥ですら衝突を避ける事を選ぶほど、レッドリボン軍とGCコーポレーションの差は圧倒的だった。
その後、扉がノックされた。
「入れ!」
ブラック補佐が入室を許可すると、強張った顔の兵士が入って来て敬礼をした。
「報告します! グリーン大尉の部隊が敵組織の襲撃を受け撤退中です! 通信で援軍を求めております!」
「なんだと!? あの間抜けが!」
グリーン大尉の部隊は、ある強盗団の縄張りを奪う為に派遣されていた。しかし、ゲリラ戦の経験豊かな強盗団の待ち伏せに遭ってしまったようだ。
「そのまま死ね! いや、戻ってこい! 処刑して見せしめ――」
「総帥!」
激高するレッド総帥に、ブラック補佐が左右の手を交差させて首を左右に振って見せる。
「ぬぎぃぃぃ! ぞ、増援を送ってグリーンの部隊の撤退を援護しろ! 増援部隊の指揮は、ホワイト大佐に任せる!」
青筋を立てて奇声を上げたレッド総帥は、前言を撤回した。本来なら、部下が一度でも失態を犯したら処刑する男だが、今のレッドリボン軍はそれが出来ない程人材不足に陥っていたのだ。
「グリーンに伝えろっ! レッドリボン軍の軍規によれば貴様は処刑だが、わ、私は寛大な男だ。失態を挽回するチャンスを与えてやるとな!」
だが、それで兵士たちの気が緩むという事はなかった。何故なら、そういう時のレッド総帥は明らかに理性が千切れ飛ぶ寸前であり、ちょっとでも怒りが上回ったら後先考えず部下を処刑してしまうだろうという事が、見ただけで分かるからだ。
「は、はいっ! 了解しました!」
報告を伝えに来た兵も、真っ青になって戻っていった。それを見送ってから、怒りで荒くなった呼吸を鎮めようとしているレッド総帥にブラック補佐は問いかけた。
「……やはり、ドクターフラッペからの誘いを受けますか?」
ドクターフラッペもまた、結果的にレッドリボン軍を苦しめている原因の一つだが、彼が持ち掛けてきた取引に対する返事を、レッド総帥は保留にしていた。
その取引とは、資金援助と引き換えにした戦力の提供……つまり、フラッペが開発した兵器を買わないか、と言う誘いだった。フラッペの正体であるゲロの思惑、その第一歩である。
「……それよりも先に、ギョーサン・マネーとの契約を結ぶ。まずは金と兵が無くては、足元を見られる」
ギョーサン・マネーとは、世界一の金持ちとして知られる大富豪だ。
会社としての規模と総資産なら、今やGCコーポレーションに敵う企業は存在しない。だが、個人が所有する資産額はゲロやブリーフではなく、ギョーサン・マネーが上回っている。
「ホワイト大佐の部隊が出向しているグルメス王国からの金だけではまだ足りん。我がレッドリボン軍の世界征服の野望を実現させるためには、ギョーサン・マネーの金も必要だ」
そのギョーサン・マネーが、レッドリボン軍を雇いたいと契約を打診してきていた。その狙いが何なのか、彼は明かさなかったが、レッド総帥とブラック補佐はレッドリボン軍の苦境を救うには彼の莫大な富が必要だという認識では一致していた。
「グルメス国とギョーサン・マネーの金、そしてドクターフラッペの科学力。これを手に入れ、我がレッドリボン軍は大きく躍進する! そしていずれ、世界を手に入れるのだ!」
「はっ! お供します、総帥!」
二人の目には野望の炎が燃え盛っていた。レッドリボン軍の栄華はこれから始まるのだ!
諸君、ごきげんよう。GCコーポレーション会長に就任したゲロだ。
会長にされてしまったこの儂だが、天才科学者としての研究開発は継続しておる。
まず、永久エネルギー炉の開発とフリーザ細胞から邪悪さを分離する研究が成果を出せないでいるが、同時進行で進めていた異星人の細胞を融合させる処置では新しい発見があった。
まずギネ達サイヤ人にそれ以外の宇宙人、ナメック星人やヤードラット星人、フリーザ一族やジャコの細胞を注入し融合させるのには、何年もの時間がかかる事が分かった。
特に、戦闘タイプのサイヤ人であるセリパとトーマの細胞は異星人の細胞との融合が進みにくい。この分ではギネは開始から五年、セリパとトーマはその倍の十年はかかるだろう。
だが、朗報もあった。
牛魔王の妻のサンから採取した、地球人の細胞。それが異星人との融合に対して凄まじい効果を発揮したのだ。外見が近いサイヤ人はもちろん、生態が全く異なるナメック星人やフリーザ一族の細胞ともずっと簡単に融合する。
全身を作り変える必要があるため多少の時間はかかるが、サイヤ人をベースにするよりも何倍も速い。
これには儂も驚いた。どうやら、地球人の特性はこの融合……いや、異星人との交配にあるようだ。
サイヤ人との交配で孫悟飯や孫悟天、トランクスといった潜在能力の高いハーフを生み出し、三つ目族との交配で天津飯と言う先祖返りの優秀な武闘家を世に生み出した。
過去に遡れば、他にもまだ原作で語られていない例があるかもしれない。
地球人単体では意味のない特性だが、異星人と交配する事でその特質を強化すると同時に吸収して広め、種族全体を強化する。
原作では地球に移住して子孫を残したサイヤ人は孫悟空とベジータだけだったので、大した変化はなかった。だが、もし数十人、数百人のサイヤ人が地球に移住して地球人と交配していたら、原作の百年後には地球人の多くがスーパーサイヤ人になる事が出来る超戦闘民族となっていたかもしれない。
ほぼ第六宇宙のサイヤ人だな。
まあ、これはまだ儂の推論に過ぎず、相性が良いと確証を得たのもこの広い宇宙に存在する多種多様な種族の内、五種族のみ。まだはっきりとはしていない。
儂にとっては地球人の細胞が有効であると分かっただけで充分だ。
地球人から採取した細胞をギネ達サイヤ人ベースの人造人間と異星人の細胞を融合させる媒体……料理で言うところの『つなぎ』に使う。
これで細胞融合の完成が早まり、それだけではなくサイヤ人と地球人のハーフのように高い潜在能力を獲得できる可能性まで生まれる。
それと、儂自身の改造準備も進めておこう。まだ十数年は平気だろうが、研究が実を結ぶ前に寿命でポックリ逝ってしまう可能性がそろそろ見えてきた。
ブリーフやパンチー夫人、桃白白を基準に考えていると、ついつい自分も不老のように考えてしまうが、儂はただ天才科学者であるだけの地球人じゃからな。この我が身を使った人体実験が上手く行ったら、将来ヤムチャやクリリン、タイツやブルマ、チチに同様の処置をしてみてもいいかもしれん。
修業の方では、ようやく十倍の重力下でも動けるようになってきた。
「ちったぁ動けるようになったじゃないか、爺!」
「いい加減転ばされるのに飽きたからなっ」
十倍の重力下でも普通の子供のように活発に動き回るターレスに、これまでは翻弄されっぱなしじゃったが、今は彼の足払いを軽快に回避する事が出来る。
「では、私と二対一の稽古をしましょうか。レギュレーションはいつも通りで」
しかし、4号には敵わん。
「……やるぞ、爺」
「うむ、捕まえられるなよ、ターレス」
重力トレーニング室で行う4号との稽古では、気功波及び超能力の使用は禁止。そして儂が正面から立ち向かい、ターレスがかく乱を狙うのがセオリーだ。儂だけでは4号に完封されるし、ターレスは子供特有の身の軽さぐらいしか4号に対する武器がないためだ。
その4号もナメック星ではツムーリ達から子供扱いを受けているので、まだまだ最強への道は遠い。
ちなみに、タイツは引き続き重力トレーニング室の外で桃白白やGCGの隊員達と修行している。まだ重りやトレーニングスーツはつけていないが、身体能力は同じ年頃の子供と比べるとずっと高い。計測したところ、戦闘力は四になっていた。
その桃白白は主演映画二作目、『黄昏の桃白白、ミッドナイトモーニング』の撮影も無事終わり、鶴仙人が来るのをGCGの隊員と同じようにトレーニングをしながら待っている。ブリーフが開発したトレーニングスーツを着た上に、隊員達より重い重りを付けているそうだ。……天津飯が彼を超える難易度が、加速度的に高まっている気がするが、若人には頑張ってもらおう。
そしてサンの人造人間化を涼景山で待っているはずの牛魔王は、なんと天下一武闘会に出場して優勝をもぎ取った。
どうやら、暮らしている涼景山が原作通りに炎に包まれフライパン山になったので、貯め込んでいた財宝に触れる事が出来なくなってしまったらしい。それで当座の生活費のために五百万ゼニー(会社が合併したので増額した)の優勝賞金が欲しかったそうだ。
原作では悪事を働いたが、儂との約束のためそれが出来なくなったので、まっとうな方法で稼ごうとしたのだろう。
その話を聞いた後、以前に考えていた通り、「とりあえずサンの人造人間化が終わるまで西の都に移住し、我が社の警備部で働かないか?」と打診してみたが、遠慮されてしまった。まだ幼いチチを育てなければならないので危険な仕事はできないそうだ。……うむ、確かにこの世界の強盗は簡単に銃やマシンガンの引き金を引くから、警備員も危険な仕事だ。原作で戦車砲の直撃を受けても平気だった彼に言われるとは思わなかったが。
それを聞いていたブリーフが、じゃあフライパン山の近くで農業でも始めないかと言い出した。
「だども、昔の涼景山ならともかく、フライパン山って呼ばれるようになった今じゃぁ見渡す限り荒野ばかりで、畑なんてとても……」
「それはちょうどいい。この改良したアジッサの木を試すのにうってつけだ」
ナメック星産のアジッサの木をブリーフは改良して、環境を戻す力を高めた品種を作り出していた。
それならと、牛魔王は我が社の農業部に就職し、フライパン山の周りでアジッサの木の苗を植えて畑を開墾し農作業を始める事になった。
ブリーフから聞いた話によると、「武天老師様の修行を思い出すだ!」と重りを背負ってトレーニングスーツまで着て元気に畑を手で耕しているらしい。
そして、いよいよ鶴仙人がやって来た。
GCコーポレーションに一人で現れた鶴仙人は、原作通りの姿だった。
「よく来てくれた、兄者」
「お前に、ああ何度も誘われてはな」
そう短く再会の挨拶を交わす兄弟。儂はそれが終わるのを待って、一礼した。
「始めまして、鶴仙人殿。お会いできて光栄です。儂は当社の会長をしております、天才科学者のドクターゲロと申します」
「ほほう、自ら天才と名乗るとは大きく出たな。だが、儂が来たのはあくまで弟の顔を立てるため、まだ話を受けたわけではないぞ」
「分かっておりますとも」
想像通り、気難しそうだ。これはどう転ぶか分からんな。……実は今に至っても、儂は鶴仙人に顧問になってもらうべきか否か、判断を付けかねていた。
既に桃白白が殺し屋に成る事はなさそうなので、原作云々の問題ではない。判断基準は、鶴仙人に我が社の警備部の顧問が務まるかどうかだ。
暗殺拳の師匠のままでは、ダメだ。鶴仙人が己の信条を変えてまで我が社の顧問になる事を選ぶか、それが重要な判断基準となる。
「とりあえず、警備部へご案内しましょう。こちらです」
そして警備部を一通り案内した。GCGの隊員達の訓練風景や、使っているトレーニング機器や装備を見せ解説する。だが、彼が最も驚いていたのは隊員に混じってトレーニングをしているタイツとターレスの姿だったが。
そして二人がそれぞれブリーフの長女と儂の養子である事を聞き、さらに驚いていた。
その後、鶴仙人は長く考え込み、儂に問いかけた。
「貴様、何を考えている? これほどの武を集めておいて警備員の枠に収まるはずはない。まさか、世界征服を!?」
……彼の頭の中で、何がどうなってその結論に行きついてしまったのだろうか? このGCGを創設したのは、儂ではなく副社長なんじゃが?
「はっはっは、鶴仙人殿はジョークのセンスも鋭いですな」
「冗談を言ったつもりはない。この警備部と評する者達の数、自分や部下(ブリーフ社長)の子弟までも才能があれば鍛え上げる徹底ぶり、そして強力な武装……最強の戦闘集団を作り上げようとしているようにしか見えん!」
とりあえずジョークという事にしてお茶を濁そうとしたら、真剣な顔つきのままさらに突っ込んで来たので困った。
いやまあ、儂も警備部としてはやり過ぎているのは自覚していた。していたが、諸々の経緯があるので今更育成方針を改める気にならなかったのだ。それに、こうして鍛え上げた隊員達が地球を守る助けになるだろうとか、将来Z戦士を支える一助になるのではないかと考えている。
「さらに言えば、天下一武闘会のスポンサーになり在野の武闘家が挑戦する目標を高め、実力を高めようとしている。ここまでしておいて儂が何も気が付かんと思うのか!?」
いや、それは穿ち過ぎだと思うが……。
「兄者、会長にはそのような考えはない」
「ええい、黙っておれ、桃白白!」
弟の桃白白が諌めても、考えを改めるつもりはなさそうだ。これは自分が納得するまで、落ち着いてくれそうにない。
「力を集める理由、ですか」
だが、鶴仙人に未来に起こり得る事を話せる程、彼との間に信頼関係は無い。ここは儂個人の目的について話すとしよう。
「鶴仙人殿、儂は科学者です。そして、儂は妻を最強の人造人間に改造して復活させることを目標にしております」
「な、何の話じゃ?」
儂が突然脈絡もない事を言い出したように感じたのか、鶴仙人の顔と声に困惑が浮かぶ。
「そのための研究の一環として、儂自身も武闘を学び、多くの戦士を育てております。研究に必要なデータと、研究資金を得るため必要な会社の利益のために……などと説明すれば、納得していただけますかな?」
儂の半生を驚いた様子で聞いていた鶴仙人と桃白白の肩が、最後の言葉でガクリと落ちた。
「「嘘か!?」」
「いやいや、儂の人生の目標は事実ですとも。警備部の運営が、その一助になっているのも本当です。ただ、それだけではないというだけの話で」
一つの物事に対して、一つの意味や目的しか持たせてはいけないという事はない。普通は、一つの物事に複数の意味や目的が込められている。
例えば食事は、腹を満たすためであると同時に、料理の味を楽しむためでもある。家族や友人とコミュニケーションを取り、人間関係を円滑にするという意味もあるだろう。
「儂は研究開発が楽しいから行っています。そして武道もまた儂にとっては研究なのです。自分が、作り上げた人造人間が、ターレスやタイツが、GCGの隊員達が、どれほど強くなるのか楽しんでいるのです」
原作で起こる脅威に備えるためと言う理由もあるが、儂自身が設立した訳でもない警備部にここまで力を入れてしまうのは、やはり「楽しいから」だろう。
「楽しいからじゃと? そんな事で儂が納得するとでも――」
「楽しいと思えませんかな? 世界一の企業である我が社の警備部は、まだまだ大きく、そして何より強くなります。その隊員達に、鶴仙流を教えるのはやり甲斐のある仕事だと思いますが」
儂が鶴仙人の言葉を遮ってそう尋ねると、彼は何も答えず押し黙った。
「もちろん、我が社の顧問になる以上、色々と改めてもらう事になると思いますが。隊員たちは殺し屋ではなく、警備員なので」
さらにそう釘を刺すと、彼は黙ったまま儂から顔を逸らした。そして桃白白と暫く話し込んだ後、「しばし、考えさせてもらう」と返事を保留にして帰っていった。
後は鶴仙人の決断しだいだ。
・レッド総帥
原作では失態を犯した部下は大佐だろうが将軍だろうが構わず処刑していた、残忍な性格の総帥。チビなのを気にしている。
だが、この作品では資金難と人材不足の二重苦に苦しめられているため、失態を犯した部下を処刑する事が出来ず、「挽回のチャンスを与える」という名目で許している。
・グリーン大尉
レッドリボン軍のドジっ子(中年)大尉。よくやらかしてレッド総帥の理性を試しているが、その後に与えられる名誉挽回のチャンスには常に応えるため生き延びてきた。
原作にはもちろん登場していないこの作品のオリジナルキャラクター。今後登場するかは謎。
・ホワイト大佐
原作では将軍。この作品ではレッドリボン軍の規模が原作より小さく、更に原作で彼が登場する約十年前なので、階級を下げました。多分これから出世する。
・ギョーサン・マネー
劇場版『銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴』に登場する、世界一の金持ち。……だが、何をして稼いでいるのかは全く不明。劇場版では天下一武闘会のスポンサーになっていたが、この作品ではGCコーポレーションが既にスポンサーになっている。
また、「世界一の金持ち」というのは、個人資産世界一とか、そういう意味であると思われる。
レッドリボン軍のスポンサーになって、何かを狙っているらしい。
・ゲロ
現在戦闘力九百。ようやく新ブロリーが、小惑星バンパでパラガスに発見された頃に追い付いてきた。非戦闘タイプのサイヤ人ビーンズより若干強いかもしれない。
なお4号の戦闘力は千六百、ターレスは百 タイツは四である。
・牛魔王
サンの復活を待っている間に住処の山がどこからか発生した炎に包まれ、フライパン山となってしまったせいでため込んだ財宝を取りに行けなくなってしまった。そして生活費に困ったが、ゲロとの約束で犯罪には手を染められなかったので、天下一武闘会に出場し、優勝した。
なお、天下一武闘会の優勝者の順はゲロ、桃白白、アックマン、チャパ王、GCG部長、そして牛魔王である。
その後、ブリーフが開発したアジッサの木の新品種の効果を試すため、という名目で農業部に就職して住処の周りで植林と農作業をしてまっとうに暮らしている。
・鶴仙人
情報収集のために送り出した弟が、調査対象に完敗した挙句自分の後任にならないかと誘ってくるという、想定外の事態に見舞われた。この時点で約三百歳の地球人。実の弟の桃白白と三十歳近い年の差があるのだが……二人の母親がどんな人物なのかも気になるところである。
果たして彼はGCコーポレーション警備部、通称GCGに就職するのか否か……。
酒井悠人様、ヒロシの腹様、たまごん様、路徳様、SERIO様、 是非様、佐藤浩様、誤字報告ありがとうございます。