ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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14話 天才科学者と天才武闘家達

 普段背負っている甲羅よりもずっと重いこの服も、いつの間にか軽やかに着こなせるようになっていた。その事に、改めて驚きを覚える。二百年以上……もうすぐ三百年以上生きるこの身で、まだまだ成長する事が出来るとは。やはり長生きはするものだとしみじみと思う。

 

「行くのか、武天老師よ」

「はい。儂のような老いぼれに指導していただき、ありがとうございました、神様」

 声をかけてきた亀仙人にとって三人目の師である、地球の神に深く頭を下げる。彼は今日、約三年の間修行したこの神の神殿から家であるカメハウスに帰る事になっていた。

 

「それに……そろそろピチピチギャルが見たくなりましてな!」

 ハハハ! と笑う武天老師に神様はやれやれとため息を吐いた。

「それさえなければ儂の後継者にならんかと、尋ねても良かったのだが……」

 

「いやいや、無理ですわい。三百年近くスケベで通してきましたからな。これは死んでも治らんでしょう」

「それもそうか」

 今はこうして落ち着いて話しているが、亀仙人も地球の神にこの神殿に招かれて初めてその姿を見た時は、顎が外れるほど驚いた。何故なら、地球の神がピッコロ大魔王そっくり――彼の記憶にある姿より年老いていたが――だったからである。

 

 それも地球の神からピッコロ大魔王の正体と、彼が遥かな過去にナメック星と言う星から来たナメック星人だったことを知り、納得した。

 

「それに、後継者候補ならヨン・ゴーという者がおるのでは? 話に聞いたところ、立派な若者なのでしょう?」

 また、地球の神に師事する日々の中でゲロとヨン・ゴーについて、そして彼等が訴える宇宙に君臨する悪の帝王についても聞く事が出来た。

 

 まさかピッコロ大魔王以上の巨悪が存在するとは思わなかったが、地球の神様自身が宇宙人だったのだから納得するしかない。

「ヨン・ゴーには既に断られている。自分はゲロを慕い過ぎている、地球の神として生きとし生ける全ての者に対して公平に接する事は出来ない、とな」

 

「それはまた……真面目ですな」

 亀仙人はゲロにも4号にも直接の面識はない。しかし、4号が人造人間である事は神様から聞いている。親を慕うのは自然な事ではないかとも思うが……。

 

「ヨン・ゴーはまだ若い、ナメック星人の尺度ではまだ少年と言っていい年月しか生きていないそうだ。今は経験を積むのを見守る時期なのだろう。

 儂も見ての通り老いているが、有望な者が育つまで待つつもりだ」

 

「でしたら、儂は後継者には最初からふさわしくありませんな。この通り爺ですし」

「なに、まだ儂の三分の二も生きていないだろう。十分若い。若すぎて煩悩を捨てられんのが短所だが」

「いやいや、それが長生きの秘訣ですわい」

 そう和やかに話し合った後、改めて神様は尋ねた。

 

「これからどうする?」

「そうですな……やはり修行を続けようと思いますが、一度家に帰ってからかつての弟子達を訪ね、それから新たな弟子を取り、教えながら自らの修行を顧みようと思います」

 

 この神殿での修行で、亀仙人は己の力が修行を受ける前よりも格段に上がった事を実感していた。彼は気をスカウターで測った事は無いし、スカウターの存在自体も知らないが、数値で表すと以前は百三十九。そして、今はなんと二百七十。若返ったピッコロ大魔王よりも確実に強い。

 

 これならピッコロ大魔王に魔封波をかけても、死亡するほど体力を消費する事はないだろう。……もしゲロがこの亀仙人の大幅なパワーアップを知れば、原作で彼がフライパン山の火をかめはめ波で消す時に、ドラゴンボールも消し飛ばしてしまうかもしれないと考えて顔を青くする事だろう。

 

「そうか。では、その途中で一度ゲロを訪ねるといいだろう」

「そうですな。直接会った事はありませんが、兄弟弟子になった事ですし」

 亀仙人は一度ゲロに付いて調べた事もあったが、直接会った事はまだなかった。そしてゲロは今の亀仙人にとってはカリン様に師事した弟弟子で、神様に師事した兄弟子。以前よりも興味は沸いていた。

 

「それでは名残惜しいですが失礼いたします。筋斗雲よ~い!」

 亀仙人は筋斗雲を呼ぶと、空の彼方から飛んで来た金色の雲に颯爽と飛び乗ろうとして……すり抜けた。

 

「のわっ!?」

「お、おいっ!? 武天老師!」

 とっさに神殿の縁を掴んで地上への落下を免れる亀仙人と、慌てて彼を助ける地球の神様。

 

「あ、危なかった。危うく弟子ではなく武泰斗様に会いに行くところじゃった」

「き、気を付けるのだぞ。ポポ、武天老師を家まで送ってくるのだ」

 こうして亀仙人はミスター・ポポの魔法の絨毯でカメハウスまで帰ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 桃白白から繰り返し手紙で説得された鶴仙人は、内心複雑な思いでGCコーポレーションを訪れた。

(何故儂がこんなところに……こんなはずではなかったのだが)

 自分以上の達人に育った弟に情報収集を頼んだら、何故か顧問に推薦された。鶴仙人には訳が分からなかった。どうなるはずだったのかは、彼にも分からない。何故なら、それを判断するための情報収集だったのだから。

 

 このまま弟からの手紙を無視して雲隠れするのはいくら何でも意味がないので、一度話を聞いてみよう。そう観念して「話を聞きに行く」と返事を出したら、予定の日に迎えの車が来た。

 まだ幼いが真面目な弟子に、もう少し育ったら弟子として育てるつもりである幼子の世話と留守番を任せて、チャーターされたジェット機に乗って西の都まで行き、そこからリムジンに乗り換えてここまで来た。

 

「初めまして、鶴仙人様。お会い出来て光栄です。儂は当社の会長をしております、天才科学者のドクターゲロと申します」

 そして大企業の会長であるというのに直接出迎えたゲロに、鶴仙人は内心感嘆した。それは自分に敬意を払ったからでも、真顔のまま自己紹介で自分の事を天才科学者と評したからでもない。弟の手紙に書かれていた通り、彼が達人である事が分かったからだ。

 

(こうして背後をとっても、全く隙が無い。今ここで儂が仕掛けても、避けられる気がするわい)

 それから受けた案内と説明で知ったGCGの戦力は、前もって情報を調べていた鶴仙人も大いに驚かされた。

 情報屋を雇って調べた時よりも、数も練度も上がっている隊員達。自分が相手をしたとしても、簡単には倒せないだろう警備部部長。それ以外の隊員達も、かなりの練度だ。

 

 武闘家としてなら、鶴仙人の目にはまだまだ甘く映る。だが、それが数十人……仕事で留守にしている者を含めると約百人。この西の都ならすぐにでも、綿密な作戦があれば世界だって手に入る戦力だ。さらには新開発されたボディーアーマー……あれを着ればバズーカ砲が直撃しても掠り傷で済むという。

 

 都の治安は悪いと聞くし、実際に強盗がマシンガンで武装している事も珍しくない事は彼も知っていた。だが、このGCGなら戦車に乗った強盗団でも容易く鎮圧してしまいそうだ。彼らの手に負えない事態は、それこそピッコロ大魔王でも復活するか、鶴仙人自身と桃白白が協力して暴れまわった場合ぐらいだろう。

 

 さらに驚いたのは、自分の弟子と同じような年頃の子供が二人修行に混じっている事だった。子供が修行をしている事自体は、驚くに値しない。鶴仙人が驚いたのは子供達……警備部部長のチューボと互角以上の勝負をして見せるターレス、そしてタイツが社長であるブリーフの長女である事だ。

 

「貴様、何を考えている? これほどの武を集めておいて警備員の枠に収まるはずはない。まさか、世界征服を!?」

 ここまで徹底的に戦力を集める理由は何か。それを考えた鶴仙人の脳裏には、世界征服の四文字が浮かんでいた。既に経済で世界をリードするGCコーポレーションが、これほどの戦力を抱えているのだ。あり得ない話ではないと思った。

 

「はっはっは、鶴仙人殿はジョークのセンスも鋭いですな」

 だが、ゲロはそう笑って取り合おうとしない。

「冗談を言ったつもりはない。この警備部と評する者達の数、自分や部下(ブリーフ社長)の子弟までも才能があれば鍛え上げる徹底ぶり、そして強力な武装……最強の戦闘集団を作り上げようとしているようにしか見えん!」

 そう力説する鶴仙人だったが、ゲロには本当にそのつもりがないようだ。

 

 鶴仙人は納得できずさらにゲロを問い詰めたが、帰ってくるのは納得出来るような、出来ないような微妙な答えばかり。分かったのは、ゲロが本音を話していないという事だけだった。

 だが、「楽しいからやっている」と口にした時は心の内を話していると感じた。

 

「楽しいと思えませんかな? 世界一の企業である我が社の警備部は、まだまだ大きく、そして何より強くなります。その隊員達に、鶴仙流を教えるのは、やり甲斐のある仕事だと思いますが」

 そして、続くこの言葉で鶴仙人はゲロの本音などどうでもよくなってしまった。

 

(儂の鶴仙流を、この者達に……!)

 瞬間、鶴仙人の脳裏にはGCGの才能ある若者達を指導する自分の姿が、世界的大企業の警備部門としてだけではなく世界の治安を守る組織となるだろうGCGの隊員達を育てた達人として、称えられる姿が脳裏に浮かんだ。

 そして行く行くは、あのハゲではなく自らが武術の神として生ける伝説に……!

 

 ゲロの真意が何処にあろうと、もはや関係がない。鶴仙人はそれとは関係なく、甘美な野望を見てしまったのだから。

 

「もちろん、我が社の顧問になる以上、色々と改めてもらう事になると思いますが。隊員たちは殺し屋ではなく、警備員なので」

(儂に釘を刺したつもりか? そんな事は言われんでも分かっている!)

 

 鶴仙人とて馬鹿ではない。ゲロに言われるまでもなく、彼の誘いに乗りGCコーポレーションの警備部顧問……指導者になるという事は、彼が百年以上続け、弟子たちに教えてきた信条を曲げる必要がある事を理解していた。

 彼はまだ若い頃、師である武泰斗がピッコロ大魔王を封印するも命を落とし相打ちになった事で、「勝たなければ意味が無い」「勝つためなら何をしてもいい」と言う武道家としての道から外れた信念を抱いた。

 

 それから兄弟弟子である亀仙人と袂を別ち、鶴仙人と名乗りその信条を実践してきた。だが、それが許されるのは弱肉強食の無法地帯か、武をもって覇を唱える事が出来る群雄割拠の時代、そして犯罪者が幅を利かせる裏社会だけだ。

 表社会で栄光を手に入れるには、信条を捨てなければならない。

 

「兄者よ、考えてみてはくれないか?」

「ふん。桃白白、貴様が儂にしつこく手紙を送ってきた狙いはこれか」

 そう、桃白白の狙いは鶴仙人を改心させることだったのだ。

 

「お節介が過ぎるぞ。表で脚光を浴びたければ、一人で浴びればいいものを……」

「そう言うな、兄者。私はただ、鶴仙流の未来を憂いただけだ」

「それこそ貴様がする事ではないが……チッ、今となっては否定出来ん」

 

 ゲロの誘い文句によって、あり得るかもしれない未来に魅せられた鶴仙人は、桃白白が敢えて言わなかった事も察していた。

 このまま鶴仙人が信条を保ち続けたとしても、それで君臨出来るのは暗い裏社会のみ。それでも多くの者からの恐れと、大金を手に入れる事は出来るだろう。

 

 だが、かつての兄弟弟子である亀仙人のように尊敬を得る事は出来ない。実際、知名度では俗世間から距離を置いているはずの亀仙人の方が、鶴仙人よりも高い。

 弟子にしても、桃白白が世に出る前は世に名の知れた者は鶴仙人にはいなかった。

 

 しかし、ゲロの誘いに乗ればそれらの状況は一変する。それだけの力が、GCコーポレーションにはあるのだ。

 ただ、信条を変えるだけで。

「それに兄者よ、噂では新しい弟子を取ったそうではないか。まだ幼い彼らを裏社会へ導くのは、気が引ける」

 

「いや、それは奴本人も望んでいた事だ。だが……むむっ……」

「それに、確かに表に出れば懐に入れられる札束の数は裏よりも減る。だが、その分得られる名声は上だ。私なんて二本目の主演映画もヒット間違いなし、街を歩けばギャルにサインや記念撮影を強請られ、変装しなければ外出もままならない生活をおくっている」

 

「よかろう、GCコーポレーションの理念に胸を打たれた。儂も己の信条を曲げて、世のため人のために協力しようではないか」

 鶴仙人は、自分の信条が間違っていたとは思っていない。世の中には、勝たなければ意味のない事も多くある。だが、今の鶴仙流は勝っていると言えるのか? 歴史の、世の、そして亀仙人に対して勝者だと言えるのか?

 認めがたいが、否だと鶴仙人は考えた。

 

 ならば、勝つためにあらゆる手を使うのが鶴仙流。真剣勝負には騙し討ちを、試合では反則を、そして今は己の信条を曲げる事も厭わない。

 これは自己否定でもなければ、自分が間違っていたことを認める訳でもない。己の信条に従って己の信条を、ほんのちょびっと変えただけだ。

 

 鶴仙人はそう自分に言い訳をして、己の信条と折り合いをつけて手の平をひっくり返したのだった。

 

「だが、すぐにとはいかん。弟子に説明せねばならんし、引っ越しも必要だからな。それに、すぐに頷くのも癪じゃ」

「分かった。会長には私から言っておこう。だが、あまりじらすなよ」

「分かっておる。帰ったら手紙で返事をするから、十日もかからず届くじゃろう」

 

 そして鶴仙人は、表向き返事を保留にしたまま西の都から弟子の待つ庵に戻った。

「おかえりなさいませ、鶴仙人様!」

 背中に幼子を背負った弟子の天津飯が、相変わらず生真面目そうな様子で出迎える。

 

「うむ」

 そう返事をしながら、確かにこの生真面目な弟子には殺し屋は向かないかもしれないと、鶴仙人は今更だがそう思った。

 

 信条を曲げると決めた影響が早くも出ているのかもしれない。そう考えると、自分の五分の一程しか生きていない若造の掌で転がされているようで悔しいが、これからは奴が上司だ。慣れておかなければと、意識を己の内面から弟子に向ける。

 

「天津飯よ、重大な話がある」

「は、はい!」

 まだ七つの天津飯は、第三の目を生まれ持った事で両親や親類に疎まれ、捨てられたところを鶴仙人に拾われた少年だ。

 

 地球には鶴仙人や桃白白のような人型、国王のような獣人型、そしてピラフ大王のようなモンスター型の地球人が存在する。ただ、モンスター型の地球人は非常に珍しく滅多にみられない。

 おそらく、天津飯の両親のどちらか、もしくは両方の先祖にそのモンスター型地球人の血が混じっており、彼は先祖返りだろうと鶴仙人は考えていた。

 

 ……実際には、天津飯自身も知らないが遥かな過去に地球へ移住し混血が進んだ結果地球人類と一体化した、三つ目族の先祖返りである。ただ、何も知らない地球人にとってはモンスター型地球人と大差ないかもしれない。

 

 その経緯と迫害の記憶から、一流の殺し屋に成ってやると厳しい修行に取り組む有望な弟子だが……GCコーポレーションで上手くやっていく事が出来るだろうか?

(まあ、意外とどうにかなるじゃろう。ゲロが養子に取ったターレスと言う小僧とも、気が合うかもしれん)

 ……鶴仙人は尻尾が生えているターレスを、天津飯と同じような生まれの少年だと思い込んでいた。

 

「天津飯よ、我が鶴仙流は裏社会と決別し、表で栄光を掴むことにした。つまり、お前を一流の殺し屋にする事はもう出来んという事だ」

「そ、そんな! それでは私とチャオズは破門されるのですか!?」

 

「いいや、大事な弟子であるお前を破門になどするものか。天津飯よ、お前が殺し屋に成る野望を捨てても儂に付いてくるというのなら、新たな地へ連れて行こう」

 自分が捨てられるかのように誤解させてから、優しそうな声で安心させる。天津飯は鶴仙人にとって、手放すには惜しい逸材だった。

 

「本当ですか!? ならばこの天津飯、鶴仙人様にどこまでもついて行きます!」

 そして両親や親類縁者に疎まれてここに来た天津飯にとって、鶴仙人は親も同然。彼に捨てられるぐらいなら、幼い野望を諦めるのに躊躇いは無かった。

 

「おお、ついて来てくれるか! よく言った天津飯! これからもチャオズと共に我が鶴仙流を頼むぞ。

 それに新しい地には尻尾の生えた子供もいる。きっとお前と気が合うだろう」

 そして鶴仙人は思惑通りに付いてくる事になった天津飯とチャオズを連れて、諸々の準備を済ませた後再び西の都に舞い戻りGCGの指導者となるのだった。

 

 

 

 

 

 

 鶴仙人が顧問に就任する旨を記した手紙が届いた次の日には、桃白白は聖地カリンへと旅立っていた。

 あまり長くいると次の映画やテレビ出演の話が来て、旅立つタイミングを逸するかもしれないと思ったからだ。

 

「ぬぉぉぉぉ!」

「どうやら動かせないようだな」

「っ!? な、なに!?」

 汗だくのボラに、突然背後から声がかかった。

 

「どれ、手伝ってやろう。はっ!」

 桃白白はボラが抱えていた大木を、小枝のように軽々と蹴り上げた。

「ほっ!」

 そして自らも飛び上がると大木を指先とつま先で何度も突く。それは軽く触れただけのようにしか見えなかったが、なんと大木は落下する前にいくつもの棒に切り分けられていた。

 

「なんと、凄まじい技だ」

「失礼。出しゃばった真似をしてしまったかな?」

「いや、助かった。老木が突然倒れかかってきて、とっさに受け止める事は出来たが、動けなくなっていたのだ」

 

「あなたが聖地を守る一族の代表、ボラか。私は桃白白、カリン塔の上に住むカリン様に修行を付けてもらいに来た」

「歓迎する、桃白白。だが、生半可な実力ではこの塔を登りきる事は出来ない。さっき助けてもらっておいて、言える事じゃないが。

 もしお前が映画通りの実力なら、心配はいらないのだが」

 

 桃白白とボラは、友好的に出会い自己紹介をして握手を交わした。二人に争う理由は無いので、当たり前の事なのだが。

「ほう、私の映画を見た事があるのか? とても近所に映画館があるとは思えないが?」

「フ、ここにも衛星放送は届いている。友人が結婚祝いにとくれたのだ」

 なんと、聖地カリンにも文明の波は来ていた。主に、ゲロによって。

 

「そうか。なら、問題ない。映画で私のアクションはノースタントで撮影しているからな。

 それと、会長から手紙と祝いの品を託されているのを思い出した」

「会長? ゲロからか!」

 

 桃白白から手紙を受け取ったボラは、そこに書かれていた桃白白ならカリン塔に登れるだろうという言葉を確認し、彼の挑戦に納得した。

 また、桃白白が持って来た祝いの品は、ボラの息子であるウパの誕生記念である。しかし、この時ウパは山菜を取りに出かけた母親の背に背負われていたので会う事は出来なかった。

 

「ではな。何年後になるか分からんが、この塔を降りてきたときには息子さんを紹介してくれ」

「ああ、もちろんだ」

 そして桃白白はカリン塔をすさまじい速さで駆け上り、数時間で頂上に到着した。

 

「失礼! カリン様と言う方はおられるか!?」

「おるぞー。上がってこい」

 そして対面したカリンの姿が想像と大きく異なったため驚いた桃白白だったが、ゲロからの手紙を渡し忘れるほどではなかった。

 

(ふーむ、ゲロの奴、何とも微妙な者を寄越したの)

 手紙を読むと同時に、カリンは桃白白を観察していた。その内面は、悪人ではないが心が清いとは言えず、善性が無いわけではないがまだまだ善人とは言い切れない。

 何かあれば、再び悪の道に進んでしまう事も十分考えられる。

 

 そうでありながら実力は高く、この塔を始めて登り切った頃の武天老師や4号よりも強い。

「カリン様、私は武闘家として己を見つめなおすために参りました。どうか、私に教えを授けください」

 だが、本人に学ぶ姿勢があり、まっとうな武道家になりたいという意思もある。

 

(まあ、よかろう。弟子に頼られるのも師の在り方じゃ)

「よかろう、では修行を始める。しかし……その服の下に着ているのはなんじゃ?」

「お見通しでしたか。これは私が働いている会社で開発されたトレーニングスーツです」

 

 桃白白はなんと、ブリーフ博士が開発したトレーニングスーツを着用したままカリン塔を登っていた。もちろんネイルが着ているのと比べるとかかる負荷は弱い物を着ているが、並みの地球人なら関節を伸ばすこともままならなくなる代物である。

 

「やれやれ、わしの修行は厳しいぞ。それを着たままで耐えられるかの?」

「無論、やり遂げる覚悟は済んでおります」

 こうしてカリン塔での修行が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 その様子を地球の神様は神殿から見ていた。

「なるほど、あの男が宇宙に君臨する悪の帝王と戦うためにゲロが選んだ、最初の戦士という事か」

 武天老師よりも邪心があり、めぐりあわせ次第では悪党になっていただろう事が見て取れるが、今の彼は悪と善の狭間で揺れている。

 

 そんな才能ある武道家を善の道に引き戻し、導くのも神の役目か……。

「今はカリン塔で修行をしているようだが、あの様子なら一か月とかかるまい。その後は、この神殿で儂が教えるとしよう。ポポ、使いを頼むぞ」

「わかった、神様」

 

 この時、念のためにゲロに確認をとろうとは神様もミスター・ポポも、思いつかなかったのだった。

 こうして桃白白はカリン様だけではなく、神様にも師事する事になったのだった。

 




・亀仙人

 神様の下で約三年修業をし、戦闘力が百三十九から二百七十に。神様に作ってもらった重い服も軽やかに着こなして、ピッコロ大魔王が復活して若返っても、人質を取られない限り勝てる。

 ……フライパン山だけではなくドラゴンボールも消し飛ばしてしまう、もしくは遥か遠くへ吹っ飛ばしてしまう可能性が代わりに発生したが。
 あと、天下一武闘会で天津飯を普通に瞬殺してしまうかもしれない。

 原作と違い手紙のやり取りだけではなく、かつての弟子たちに直接会いに行き、新しい弟子も積極的に探す模様。
 なお、カリン塔の根元にあるボラ達の住処を経由しなかったため、桃白白とニアミスした事には気がついていない。

 神様もゲロが何をしているのか、そして彼の周りで何が起きているのかを逐一観察して亀仙人に話すようなことはしていないので、GCコーポレーションと鶴仙流一派の関係についてはまだ知らない。



・鶴仙人

 ゲロの誘い文句に即落ちし、信条を曲げて善堕ちする事を選んだ鶴仙流開祖。
 世界的大企業の会長には勝てなかったよ……。

 実力は原作通り。数字にすると120。袂を別った亀仙人が自分よりもずっと強くなっている事は、まだ知らない。



・天津飯

 鶴仙人の弟子。この時点では原作ブルマ、この作品ではタイツと同じ七歳。背中に背負っているチャオズは、悟空より一つ下の二歳である。
 なお、彼が鶴仙人の弟子になった経緯は、この作品独自の設定です。



・桃白白

 兄である鶴仙人がGCG顧問になる事を了承したため、さっそく聖地カリンに旅立った。ボラと平和的に出会い、カリン塔を登り、修行を始めるが……何故か宇宙に君臨する悪の帝王と戦うための戦士に選ばれたと誤解され、神様にも修行を付けてもらうフラグが立ってしまう。

 ちなみに、劇場版でもカリン塔を登っている。



・GCG警備部

 チューボ部長(戦闘力100)を頂点に、サボス部長補佐(戦闘力70)、モサ、ザモ、サスの三課長(戦闘力80)、そして十人程の係長(平均的な戦闘力50)、社員(戦闘力30から40)で構成されている、多分王立防衛軍より強い最強の警備員集団。総勢百名ぐらい。
 軍隊で例えると、チューボが総指揮官、サボスが参謀、モザ、ザモ。サスが中隊長、係長が小隊長。

 並のテロリストなら素手で鎮圧できるため、アクション映画だと主役が巻き込まれる前に事件が解決してしまう。
 まだ重力トレーニングは導入されておらず、ブリーフ博士が開発したギプススーツは導入されたばかりだが、チューボ部長がやっと一番弱いスーツを着る事が出来るぐらい。そして気功波や舞空術の使い手はいないので、遠距離攻撃手段や機動力の面では軍隊に譲っている。

 しかし、鶴仙人が顧問になった事でさらなる質の向上が見込まれ、更に素質のある者には鶴仙流の技を仕込まれる事が考えられる。

 なお、隊員達と混じってトレーニングする事もあるゲロと4号は慕われており、既にチューボ部長より強いターレスは「若」と呼ばれている。
 また、タイツとブルマも人気である。……将来、もし原作通りヤムチャがブルマと付き合い、浮気しようものならGCG警備部百人組手が開催される模様。頑張れ、ヤムチャ!

 ちなみに、部長たちの名前は中ボスやサブボス、猛ザコ(強いザコ……ボスではなく通常エンカウントする敵)から。



・モンスター型地球人

 ピラフ大王等。時々ガーリックのように異星人が地球人を名乗っている場合や、暗黒魔界の住人である場合もある。おそらく、多くの人はピッコロ大魔王もこのモンスター型だと思っているのではないだろうか?
 多分、ルーツは過去に地球へ移住した宇宙人や、暗黒魔界の住人だと思われるが、定かではない。


路徳様、黄金拍車様、酒井悠人様、カド=フックベルグ様、楓流様、kuro様、竜人機様、アドメラレク(゜.゜)様、 あんころ(餅)様、六四様、勇(気無い)者)様、ゆーの助様、gsころりん様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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