ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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140話 第二次ピッコロ超魔王侵攻

 神殿で神精樹の実エキス入りのカプセルを悟空達に配り、用法を説明したがベジータ王子は渋い顔をしていた。

「ピッコロ大魔王に神精樹の実頼りかと啖呵を切った手前、使いにくいかね?」

「当たり前だ。気に食わないが、奴らが神精樹の実であれ以上強くなるなら……とりあえず受け取っておいてやる」

 そう言って、仙豆が入っている布袋にカプセルを入れるベジータ王子。あれは本当にピンチになるまで使わない気じゃな。

 

「ですが師匠、本当にこれで勝てるのか?」

 次にジャガーがそう尋ねて来た。彼は、ベジータ王子とは違う意味でカプセルを使う事に躊躇いがあるらしい。

「説明だと、去年地球に現れた魔神精樹のゴマ味噌一番ぐらいの栄養しかなかったんなら、ピッコロ大魔王が持っている実の効果を下回るんじゃ?」

 

「ジャガー、ゴマ味噌一番じゃなくて五分の一な」

「オラ、なんか腹減って来たな……」

「そう言えば、魔族と戦った後何も食ってないからな。クリリンもあの世で元気にしているみたいだし、安心したら俺も腹が減ってきたぜ」

 

「……ポポ、頑張る」

「いやいや、食料なら持参してきたので心配いりませんぞ」

 空腹を訴える悟空達を見て、悲壮な覚悟を決めた様子のミスター・ポポに、儂はケースから二つ目のホイポイカプセルを取り出した。

 

「中身は手料理ではなくインスタントやレトルト食品、缶詰に栄養補助食品だが。

 それでジャガー、この神精樹の実エキスのカプセルの効果だが、原材料のエキスを凝縮してある。それでも地球で育った神精樹の実の効果には及ばないが、奥の手としては十分使えるだろう」

 

 もっとも、界王拳やサイヤ人の大猿化やスーパーサイヤ人化を活用すれば、だが。

 

「だが、このカプセルを服用後に界王拳を発動、またはスーパーサイヤ人になるとエネルギーの消費に歯止めが利かなくなる可能性が高い。体力を使い切って即死するほどではないが、技や変身を解いた後動けなくなる、もしくは意識を失う可能性が高い。注意するように」

 

 一時的に気や体力が増えるため、自分自身の本来の限界を誤認して危険な領域まで消耗してしまう。これは改良できなかった。

 

「つまり、どうすりゃいいんだ?」

「スーパーサイヤ人にならない……というのは無理じゃろうし、無茶をしないと乗り越えられない死線もある。儂から言えるのは、仙豆を一個以上確保しておくか、近くに仲間がいる状態で変身するように、と言う事だな」

 

 無茶無理はしないのが一番だが、やらないと生き残れない局面はあるので難しいところだ。……個人的には、悟空のような未成年者やジャガーのような若い弟子にそれをさせる自分の未熟さに思うところが無いわけでは無いが、仕方ないのだろう。

 

「そう言えばお爺ちゃん、スピリットパワーの強制分離でピッコロ大魔王とスラッグってナメック星人を分離できないの?」

「そんな事が……? いや、確かにキリも分離できたあの技なら可能性は十分ある」

 

「ブルマ、ネイル、確かにスピリットパワーの強制分離で、ピッコロ大魔王とスラッグを分離させる事は可能だろう。しかし、問題は……」

「その技を習得している者達では、今のピッコロ大魔王にダメージを与える事が出来ないだろう。界王拳の倍率を限界以上にあげたとしてもだ」

 

 スピリットパワーの強制分離を発動するには、桃白白が言うように対象にダメージを与えなければならない。しかし、現在強制分離を習得しているのは天津飯、ブルマ、そしてチャオズの三人。戦闘力はそれぞれ天津飯が5万6200、ブルマが4万1千、チャオズが6050。

 

 対して、スラッグと合体したピッコロ大……超魔王の戦闘力は1億4300万。天津飯とブルマが神精樹の実カプセルを服用し、界王拳の倍率を限界以上にあげても彼にダメージを与える事は至難の業になるはずだ。

 

「面目ない。修行をつけていただいたビバラ様にも申し訳が立たん」

「あたしもスーパーサイヤ人に変身出来るようになっていたら、ちょっとは可能性があったかもね」

「そんなに気にすんなよ、その分オレ達が戦うからさ」

「その女の言う通りだ、気にする必要はないぞ」

 

 落ち込む天津飯と肩を落とすブルマ。二人を励ますランチに続いたのは、なんとベジータ王子だった。

「奴を倒すのはこの俺だからな。試合に水を差しやがった落とし前は必ずつけてやる。お前達は余計な手出しはするなよ」

 ただ、励ましというよりは自分の戦いの邪魔をするなと釘を刺したかったのかもしれない。

 

「それって、ブルマちゃんに『俺が守ってやるからお前は危ない事はするな』って事? キャ~ッ、カッコいい~!」

 そこにマロンが茶々を入れ、ベジータ王子が「なんだと!?」と聞き返した。

 

「え? そうなの? なんだ、良い所あるじゃない、あんた」

「な、何を勘違いしている!?」

「でも素直じゃないわね~、捻くれてると女の子にモテないわよ」

「余計なお世話だ!」

 そして、真に受けたらしいブルマと掛け合い漫才っぽいやり取りを始める。……その様子を見ると、マロンの推測も完全に外れだった訳ではないらしい。まあ、九割以上は自分が戦いたかっただけだろうが。

 

「あの二人、いつの間に仲良くなったんだ?」

「ビックリだべ」

「そう? あたしはそんなに意外だとは思わないけど」

「男と女の仲は何がきっかけで進展するか分からないもんだからな」

 

 ぽかんとする悟空とチチ。タイツは余り驚いておらず、ヤムチャは訳知り顔で頷いている。

 

「だが、スピリットパワーの強制分離の事を気にしなくていいのは本当だぜ。俺も、バーダックが持って行った人工満月さえありゃあ――」

「悪いな、トーマ。あれはスラッグ星の近くで使った後、そのまま置いてきちまった」

「マジかよ、バーダック!? ここからリモコンで呼び戻したり出来ねぇのか!?」

 

 大猿化すれば戦闘力を十倍の2億570万にできるトーマがピッコロ超魔王戦に名乗りを上げるが、肝心の人工満月をバーダックが回収していなかった事が判明して頭を抱える事になった。

「そうだ! 人工満月を発明した奴ならなんとかならないか?」

「ピラフ大王ならパパ達と一緒にキングキャッスルに置いて来たから、ここにはいないわよ」

 

「キングキャッスルだな? よし、ちょっと行ってくる!」

「ちょっとは落ち着けよ、トーマ。とりあえずスカウターで予備があるかどうか聞いてみたらどうだ?」

 その時、儂のスカウターに通信が入った。話題に出ているピラフ大王か天下一武道会会場に残して来たチューボからかと思ったが、なんと彼からだった。

 

『おい、聞こえているか? 私だ、カクージャだ』

「君か。無事で何よりだが、事態がやや複雑になってしまってな。今すぐ迎えに行く事は出来そうにない」

『そこまでは期待していない。後、私が誘いを受ける前提で話を進めるな。……受けるんだが』

 

 そして、カクージャはスラッグ星で起きた出来事についての情報を話し出した。

「ドラゴンボールで死んだ手下を生き返らせて、神精樹の実に潜在能力解放でパワーアップか。厄介な事を考えるもんだぜ」

「歴史改変者が入れ知恵しやがったな。奴らの気が分からないのも、あのドミグラって野郎の仕業だろう」

 

 それを聞いたターレスとベジータ王子が顔つきを厳しくする。彼らの言う通り、ピッコロ超魔王は短期間で戦力を上げる方法を連続で行っているので、確かに厄介だ。

 おそらく、自分自身の潜在能力も解放しているだろうから戦闘力も2億近くになっているだろう。

 

『それで、我々の受け入れの話だが……本当に信じていいか? かなり人数が増えたが』

 しかし、カクージャはそのピッコロ超魔王一味に我々が勝つと見込んでくれているようだ。実際、いざとなったらスーパーサイヤ人ゴッドを誕生させるか、ネイルクローン作戦を発動するか、眠り姫砲を打ち込むかしてでも勝つつもりだが。

 

「ああ、大歓迎だ。十人でも二十人でも、百人でも喜んで受け入れよう」

 優秀な技術者が大勢転職してくれるのだから会社としても大助かりだ。……スカウトする人数の桁が増えた事について、副社長には別の意見があるかもしれんが事業を拡大する計画もあるので、なんとかできるだろう。

 

「それと、生き返ったスラッグの手下の中に、ドロメと言う人物がいないか? もしいるのなら、それとなくコンタクトを取ってみてくれ。彼は地獄でベジータ王……サイヤ人の王の配下になっていたので、協力してくれるだろう」

 

 ピッコロ超魔王が自分の配下だけではなくスラッグの部下達も生き返らせるとは驚いたが、結果的に内部に儂等の協力者が出来たのは都合が良い。スラッグとの融合によって強大なパワーを得た彼だが、スラッグの人徳の無さによって足を引っ張られる事になった。日頃の行いは大切だと言う事だな。儂も気をつけよう。

 

 まあ、人徳があってもベジータ王は優秀な部下がいきなり消えてしまったので、今頃苦笑いを浮かべていると思うが。しかし、生き返ってしまったものは仕方ないと諦めてもらうしかないだろう。

 

「何よりの収穫はピッコロ超魔王が短期決戦を挑んで来る事が確実になった事ですね」

「ああ、この神力増幅装置を何年も着続けなくて済みそうだな」

 そして地球の神代理の4号と神様が言うように、ピッコロ超魔王が長期戦をせず勝負を決めるつもりである事が分かっただけで、地球側にとっては大収穫だ。

 

「想定していたより規模が大きな戦いになりそうだ。これは神精樹の実エキスのカプセルを増産せねばならんな」

 

 

 

 

 

 

 天下一武道会の決勝戦が行われていたパパイヤ島にピッコロ大魔王が現れ人々を襲った。そのニュースは大会がテレビ中継されていたため、その衝撃と恐怖は全世界に広まった。

 しかし、同時にピッコロ大魔王に対して奮戦するベジータ王子や、大魔王の手下と思われる魔族を協力して打ち倒した桃白白や孫悟空達の雄姿も放送されたため、パニックに陥る者はごく少数だった。

 

 そして、その日の内にパパイヤ島の避難は解除され、国王による記者会見が行われた。

『国民の皆さん、本日現れたピッコロ大魔王一味はベジータ王子や桃白白氏、そしてGCGと王立国防軍の奮戦によって退ける事に成功しました。しかし、残念ながら倒すには至りませんでした』

 国王の発表に人々は安堵すると同時に、またどこかの町がピッコロ大魔王一味に襲われるかもしれないという不安を抱いた。

 

 記者達は質疑応答の時間を待たず、桃白白主演映画の内容と本物のピッコロ大魔王の関連性や、予想される被害規模、そして何より今後の対策についての質問を飛ばした。

 しかし、国王は個別の質問には答えず記者達の質問の勢いが収まるまで待って口を開いた。

 

『この放送をピッコロ大魔王も見ている可能性があるため、今後の対策について詳細を語る事は出来ません。しかし、我々はレッド将軍とドクター・ゲロと共に総力を結集して――』

 だが、国王が話し終わる前に映像と音声が乱れだした。人々が困惑し、テレビやラジオの調子を確かめようとした時、映像と音声が回復した。

 

『記者会見の途中だが、邪魔をするぞ』

 しかし、映っているのは国王ではなく緑色の肌のナメック星人と邪悪そうな白衣姿の老人だった。

 

『儂が誰か知っている者も多いだろうが、改めて名乗ろう。ピッコロ大魔王改め、ピッコロ超魔王だ。

 そして我が右腕にして頭脳、悪魔の科学者コーチン!』

『ふぇっふぇっふぇっふぇ! 魔族の王と悪魔の科学者が手を組むとは、事実は小説より……いや、映画より奇なりといったところかの』

 

 放送がジャックされ流れ出したピッコロ超魔王一味の映像に、人々は驚いて注目した。

『さて、ではさっそく我々の要求について話そう。儂の要求はもちろん地球の支配権だ。キングキャッスルと王位を明け渡し、全面的に降伏しろ。そうすれば地球人類を生かしておいてやろう。

 ん? どうした? 魔王を名乗る者にしては穏当な要求だと拍子抜けさせてしまったかな?』

 

 決してそんな事は無いだろうが、ピッコロ超魔王は画面の向こうに語り掛け続けた。

 

『封印されてから二百年以上たって、儂も考え方が変わったのだ。当時は人間を食料やなぶり殺しにして楽しむ玩具程度にしか考えていなかったが、人間には価値があるとこのコーチンに教えられた。

 儂の統治では、このコーチンに人間達の扱いを任せるつもりだ』

 

『そうとも。まず、人間を役に立つ者と役立たずに選別する! 役に立つ者は儂が狂暴魔族戦士へと改造し、ピッコロ超魔王の配下に加えてやろう。役に立たない者も、殺すわけでは無い。労働力や食料としてしばらくは生かしておいてやろう。運が良ければ老衰で死ぬ事も夢ではないぞ』

 一応は同じ人間のはずのコーチンから、血も涙も無い未来を聞かされた人々は、やはり魔族は魔族、悪魔の科学者は悪魔なのだと再認識させられた。

 

『しかし、儂等は貴様等人間を不当に縛ろうとは思っておらん。お前達を縛る法律、軍、警察、そしてGCGとかいう警備会社は廃止する!

 あらゆる悪と暴力を肯定しよう! 弱肉強食と言うシンプルで絶対の真理の下にな!

 それと妙な事はするなよ。儂は貴様等と同じ事が出来る力があるのだからな』

 

 秩序と善を否定する宣言に付け加えた言葉は、人々ではなくゲロや自身の半身に釘を刺すための物だった。ドラゴンボールで地球人を遠く離れた惑星に逃がすような事をしても、自分達もドラゴンボールを持っているのだから無駄だぞと言っているのだ。

 

『儂に忠誠を誓い、魔族に生まれ変わりたい者は今すぐ準備するがいい。功績があれば強大な力を与え、弱者を蹂躙する悦楽を味合わせてやろう。

 こいつらのようにな!』

 

 そして映像の向きが変わり、無数の魔族達が映った。

『ピッコロ超魔王万歳! ピッコロ超魔王万歳!』

 ピアノやタンバリンだけではなく、ゼエウンやアンギラ達元スラッグの部下達の姿もある。その迫力は、気を感じる事が出来ない一般人にも伝わった。

 

 そして、再び映像が乱れたかと思うと国王の記者会見の映像に戻った。

『国民の皆さん。落ち着いてください。我々も先ほどのピッコロ超魔王の宣戦布告は見ていました。ですが、何も変わりません。

 総力を以ってピッコロ超魔王とその配下を討伐し、平和を守る。どうか我々を、そして戦士達を信じてください』

 

 そして記者会見は質疑応答の時間になり、国王やレッド将軍、ゲロが答えられる質問には答えていく。

「どえれぇ事になっちまってるがね」

 留守番を任せられたテントの中でそれを見ていたヤジロベーは、そう呟いた。

 

 聖地カリンの近くの森で暮らしている野生児である彼は、ふとしたきっかけでボラ一家や度々修行に来るヤシシ達と知り合い、交流するようになった。獲物を他の食料や生活必需品と交換したり、報酬と引きかえに組手の相手をするなど、ヤジロベーにとってはビジネスライクな付き合いをしている。

 

 しかし、ボラの方はヤジロベーを信頼しているのか、天下一武道会に出場するため聖地の留守を彼に頼んだ。聖地の守護に誇りを持っている彼にとって、最大級の信頼の証である。

 それをヤジロベーが受けた理由は、もちろん留守番中ボラが保存してある食料を好きにしていいという約束と、報酬のスナック菓子(ヤジロベー基準で)一年分につられたからだ。

 

「あいつら、無事に帰ってくるんだろうな? オレは一生ここで留守番なんて御免だがね」

 だが、それほど信頼されていても何も感じない程ヤジロベーも薄情ではない。ボラ達の身を案じ、心配になった。しかし、駆け付けようとは思わなかった。何故なら……。

 

「オレ、あいつらみたいに飛べねぇからな」

 この歴史のヤジロベーも、舞空術や気功波を習得していなかった。カリン塔には登った事はあるが、登ってカリン様に修行をつけてもらっていたヤシシやボラに家族からの伝言を届けに行っただけで、自分は修行を受けていない。

 

 それでもボラやヤシシと組手を行っているため、弱い訳ではない。しかし、本人に強くなる意欲が薄いため戦闘力も300程度だった。

「まあ、向こうには強い連中もいるらしいし、なんとかなんでしょー」

 ヤジロベーはそう言いながらテレビのスイッチを切ると、聖地の見回りに向かうためテントを出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 夜明け前、軽く仮眠や食事をとって体を休めた魔族達が地球へ出撃するために集まっていた。

「やれやれ、ここ数年で最も働いた気がする」

「まったくだ。もっとも、儂は助手が増えたから楽だったがな」

 地球のテレビやラジオの放送をジャックしたピッコロ超魔王とコーチンは、配下の魔族達の潜在能力を解放し、選んだ魔族を改造していた。

 

 ピッコロ超魔王の方は頭に触れるだけで、時間も体力も使わないが……さすがに人数が多く、更に自分自身の力を把握する時間も必要だったため、全員の潜在能力を解放する事は出来なかった。

「侵攻するのはてっきり真夜中か、逆に真昼間だと思っていたのだがな」

 対してドミグラはただスラッグ星にいただけだ。実際には結界を張って瞬間移動での奇襲や地球から気を探っての情報収集を妨害していたので、ある意味もっとも役に立っているのだが。

 

「ある映画で、人間達の集中力が最も途切れやすいのは夜明けの時間だと語られていたのでな」

 そうドミグラに短く答えると、ピッコロ超魔王は集まっている魔族達を鼓舞するための演説を始めた。

「さあ、魔族の精鋭達よ! 今の貴様等はこの宇宙で最強の軍団だ! 死を恐れるな! この儂がいる限り、貴様等を何度でもドラゴンボールで生き返らせてやろう!

 恐れ知らずの強者どもよ、命を懸けて勝利をもぎ取って来い!」

 

 神精樹によって再び荒廃したスラッグ星に、ピッコロ超魔王を讃える魔族達の声が響き渡った。一度死んだ直後だが、ドラゴンボールによる復活と潜在能力解放によって力が増した事で覚えた全能感によって、恐怖心が麻痺しているのだ。

 

「ドミグラ、貴様はどうする? まさかついてきてサイヤ人達と戦ってくれる訳ではあるまい? それともこれから儂等の敵に回るか?」

「フッ、私は私の目的のために動くだけだ。だが、今回の一件でゲロ達の味方をするつもりはないとだけ言っておこうか」

 

「含みのある言い方をしおって。気に食わんが、役に立った褒美に見逃してやろう。

 では、出撃だ! 神龍よ、儂等を地球に瞬間移動させろ! 目的地は各々が思い浮かべている場所だ!」

 ピッコロ超魔王は、地球への襲撃もドラゴンボールを利用した。

 

 魔族達は復活したドロメ達を含めて改めて神龍に願い、宇宙空間でも活動可能な体質になっているが、流石に自力で飛んで行くには距離がある。そして、宇宙船で向かうとゲロ達に狙い撃ちにされる危険性があった。

 そのため、ドラゴンボールで直接乗り込むことにしたのだ。向かう場所を事前に指示して。

 

『容易い願いだ』

 神龍の目が光り、ピッコロ超魔王と魔族、そしてコーチンの姿がスラッグ星から消える。残ったのは宇宙船と留守を任されたカクージャ達技術者魔族と、数名の護衛。そしてドミグラだけだ。

 

「では、行きがけの駄賃にマイナスエネルギーを頂いて行こうか」

 そしてドミグラは技術者魔族達が回収したスラッグ星のドラゴンボールから、溜まりに溜まったマイナスエネルギーを抜き取った。

 

 実は、彼等がスラッグにドラゴンボールを作らせたのは彼等に願いを乱発させマイナスエネルギーを溜めさせ、それを手に入れる為でもあった。

 この歴史では、ゲロが地球やナメック星のドラゴンボールに溜まるマイナスエネルギーを精神と時の部屋を利用して浄化しているため、邪悪龍は生まれないと考えたためだ。

 

「このマイナスエネルギーを地球のドラゴンボールに宿らせれば邪悪龍を発生させる事も出来るだろう。クックック、ピッコロ超魔王、お前達は本当に我々の役に立ってくれた」

 そう言い残すと、ドミグラもスラッグ星から消え去ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「ほう、態々出迎えるとはいい心がけではないか」

 地球に配下と共に瞬間移動したピッコロ超魔王は、キングキャッスルの前で待ち受けていたベジータ王子達に向かってニヤリと笑った。

 

「抜かせ。今度こそ貴様を叩きのめしてやる」

 カクージャからの情報提供によって、ピッコロ超魔王達が何時仕掛けて来るのか判明していたので待ち受けるのは簡単だった。実はカクージャの裏切りがばれていた場合や、ドミグラが入れ知恵をした場合が考えられるため、他の時間帯や場所に襲撃を仕掛けて来る可能性を警戒していなかったわけではないが。

 

「……っ。はぁ!」

 スーパーサイヤ人に変身するベジータ王子に続く戦士達。

「行くぞっ! 貴様等は奴の手下を地獄に送り返してやれ!」

「奴の相手は儂がする。他の連中は任せたぞ」

 

 この歴史のキングキャッスルをピッコロ超魔王に占拠させないための戦いが始まったのだった。

 

 

 

 しかし、魔族が現れたのはキングキャッスルだけではない。ピッコロ超魔王は陽動や地球側の戦力を分散させるために、思いついた場所に手下を送り込んでいた。

 本来なら戦力を集中させるのがセオリーだが……。

 

「武器を捨て降伏し、ピッコロ超魔王様に忠誠を誓え!」

「さもなくば皆殺しだ! 一切の抵抗は許さん!」

 集中させてもベジータ王子達に対しては肉の壁にもならない者達、つまり元スラッグ一味の兵士達や、スラッグが神精樹を手に入れる前に死んだ幹部達がその任に当てられていた。

 

 ベジータ王子達に対しては戦力にならなくても、兵士達の戦闘力は低い者でも100。そして幹部達の戦闘力は数万以上、その気になれば地球を吹き飛ばせる戦闘力の持ち主だ。危険すぎるため地球のどこに現れたとしても放置する事は出来ない。

 

「来たぞ、総員戦闘開始!」

「五人一組になって戦えっ! 絶対に一人で相手しようとするな!」

 そのため、儂はレッド将軍に相談し、王立防衛軍とGCGの戦力を各地に配置していた。

 

 元レッドリボン軍兵は約三年、そして王立防衛軍の兵士達はそれ以上の時間亀仙流の修行を元にしたGCGの訓練を受けており、その多くが戦闘力30以上に達し、腕利きは70以上……原作で亀仙人の修行を受けた直後のクリリン並みに達している。さらにフリーザ軍の戦闘服をブリーフ博士が改良した全身プロテクターに、光線銃を装備していた。

 

「こ、こいつら戦闘力は低いくせに侮れないぞ!」

 プロテクターを装備した地球人兵士は、元スラッグ一味の兵士が放つエネルギー弾が直撃しても「まだまだぁ!」だの「この程度でぇっ!」だのと叫びながら立ち上がってくる。対して、地球人兵士の中から放たれる光線が直撃した元スラッグ一味の兵士は、即死はしないものの重傷を負い戦闘どころではなくなってしまう。

 

「チッ、温存している場合じゃない、全員魔神精樹の実を食えっ!」

 そのため、スラッグ一味の兵士達はピッコロ超魔王から授けられた魔神精樹の実の欠片を口に放り込む。その瞬間、音を立てて筋肉が膨張し体力が回復する。

 

「蹴散らしてやるぞ、地球人!」

 倒れていた兵士達も起き上がり、パワーアップによって戦意を高揚させてより激しい攻勢を仕掛ける元スラッグ一味の兵士達。

 

「敵の戦闘力が上がったぞ! カプセルの使用を許可する!」

「そこで俺の出番と言う事だな!」

「ウースラ大尉!」

 その時、一際大柄な兵士が前線に現れた。他の兵士よりもうすらでかい巨体と漲る気迫に、元スラッグ一味の兵士達は驚くが、すぐに攻撃を再開する。

 

「効かぬわーっ!」

 しかし、ウースラ大尉と呼ばれた兵士は全身に気を張り巡らし、向かってくるエネルギー弾を弾きそのまま敵に突っ込んだ。

 

「ぐわーっ!?」

「な、なんだこいつっ!? 急に強くなったぞ!」

 吹き飛ばされた元スラッグ一味の兵士達が悲鳴を上げ、残った者がスカウターを操作して驚愕の声を上げる。

 

「神精樹の実を利用しているのが貴様等だけだと思ったか? 我が軍ではとっくに神精樹の実を利用しているのだーっ!」

 そう、ゲロは悟空達に神精樹の実エキス入りのカプセルを配った後、残りをGCGやレッドリボン旅団、そして王立国防軍の兵士達にも配布したのだ。

 

 去年別の歴史から現れた地球産神精樹の実は、戦闘力が100未満の者が摂取すると膨張する筋肉に骨が耐えられず骨折してしまっていた。しかし、ゲロが永久エネルギー炉のエネルギーだけで育てた神精樹の実の栄養価は、地球産神精樹の実の五分の一程度。エキスを凝縮しても、半分程でしかない。

 

 そのため、戦闘力100未満の者でも安全に摂取する事が可能だったのだ。

「連携を乱すな! いくら俺達が強くなっても、一人では容易くやられてしまうぞ!」

 そしてカプセルを摂取した地球側の兵士達の戦闘力は300から700に跳ねあがった。しかし、それでも一人では元スラッグ一味の兵士に敵わないので、五人一組のチームで連携を崩さず応戦し続けている。

 

「吹き飛ばしてやるっ! どどん波ーっ!」

 そしてウースラ大尉の戦闘力は300から3千にまで上昇し、この戦場の地球側の要として敵を蹴散らしていた。

 




〇戦闘力推移

・スラッグ一味の一般兵:100から200 → スラッグ星の神精樹の実 運が良い者は潜在能力解放→ 150から400 → 魔神精樹の実 → 1500から4千

 ピッコロ超魔王によって復活後、パワーアップした一般兵。魔神精樹の実を食べる事で、一時的にフリーザ軍の兵士と互角の力を手に入れる事が出来る。

・王立国防軍 レッドリボン旅団 :30~70以上 神精樹の実エキス → 300から700以上



〇ヤジロベー

 謎の野生児。クリリンと同じ声で、大猿化したベジータの尻尾も切断できる刀と腕前の持ち主。
 修業に耐えるストイックさは無いが、初登場したピッコロ大魔王編ではシンバルの胴体を刀で一刀両断し、ピッコロ大魔王に敗れて動けない悟空を背負ってカリン塔を登っていた事から、当時すでに桃白白に近い、もしくはそれ以上の実力を持っていたと思われる。

 その後も天下一武道会に覆面を被って出場したり、劇場版で悟空に仙豆を届けたり、何故か新ナメック星にまで付いて行っている。また、未来トランクスのいる絶望の未来でも生き延びており、ドラゴンボール超では悟空達を助けている。

 性格は自分本位で食い意地が張っている面があるが、何度も悟空達を助け、劇場版でカリン塔を途中から昇ってカリン様に説教されている悟飯に仙豆が入った袋を渡すなど、「そうしないと最終的に自分も生命の危機に陥る」という点はあるが間違いなく善人寄りの人物。

 ただ初めてカリン塔を登った際に仙豆を爆食いし、その後はカリン塔に住み着いた事で原作における仙豆減少問題の犯人として有力視されている。……個人的には、劇場版で仙豆が入った袋をエネルギー弾で焼いたクウラ機甲戦隊のサウザーも、有力な容疑者だと思う。

 この作品ではカリン塔周辺の森にすみつき、ボラ一家や時折修行に訪れていたヤシシと交流があり、食料や生活必需品と引き換えに組手の相手等をしている。また、ボラが天下一武道会に出場している間守護者代理としてカリン塔で留守番をしていた。



〇うすらでかい兵士(ウースラ)

 王立防衛軍でうすらでかい……大柄な肉体を誇る軍人。
 牛魔王やアントン・ザグレート並みの巨体で、身長はピッコロ大魔王と同じくらいで、原作ではキングキャッスルに攻め込んだピッコロ大魔王の前に立ちはだかり、「うすらでかい」と評される。そして自信満々で登場したが、ピッコロ大魔王には手も足も出ず本名も不明のまま殺されてしまった。

 銃が効かないピッコロ大魔王に対して「そこで俺の出番という訳だ」と言って挑んだので、多分銃火器より強力な拳や蹴りを放つ事が出来たと思われる。そのため、戦闘力はアントン・ザグレート並かそれ以上の30から40ぐらいではないかと想定します。

 この作品ではGCGの訓練を何年も受け、更に潜在能力を4号に開放してもらい、重力トレーニング室でのトレーニングも受けた事で、戦闘力が300まで上昇。さらに、神精樹の実エキスの効果で一時的に3千まで上昇。

 ウースラと言う名前は独自の設定になります。




 林翔様、ぱっせる様、ノーデンス様、ダイ⑨様、PY様、佐藤東沙様、ヴァイト様、gsころりん様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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