ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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私事ですがユーザーネームを変更しました。改めてよろしくお願いします。


143話 無事、未決着!

「貴様もあのクリリンと言う子供の後を追うがいいっ!」

「いらん世話だ!」

 ピッコロ超魔王がコーチンによって封印を解かれた後、最初に産んだ魔族であるピアノはシルバー大佐を追い詰めていた。

 

「どどん波っ!」

「効かぬっ!」

 カプセルを摂取したシルバー大佐の戦闘力は1188万。しかし、ピアノは魔神精樹の実によって戦闘力を1570万にまでひきあげている。シルバー大佐が放ったどどん波も、腕の一振りで弾かれてしまった。

 

「なら、ベジータ王子に先んじてピッコロ超魔王様の僕にしてやろう!」

 ピアノはシルバー大尉を逃がさず、彼を常に視界に捉えていた。何故なら、完全な永久エネルギー炉搭載型のシルバー大佐には、気が無いからだ。視覚や聴覚、そして殺気等の気配でしか彼の存在を感知する事は出来ない。

 

 気の感知能力を持たない者にとっては、それが普通だ。しかし、気の感知能力を持ちそれに慣れ過ぎた者にはそれが若干難しくなる。

 特に、周囲で激しい肉弾戦や気弾の打ち合いが展開している今の状況で気配を感知するのは武道の達人でも簡単な事ではないだろう。

 

(見失った隙に気円斬を放たれたら厄介だ。目を離さず、確実に息の根を止めねばならん。だが……)

「貴様がしぶといのはサイヤ人の細胞のせいか? それとも人造人間だからか!?」

 そう言いながらピアノが放った拳がシルバー大佐の頬を打つ。だが、彼は血の混じった唾を吐き出すと凄みのある笑みを浮かべた。

 

「さあな、貴様の拳がぬるいからじゃないのか?」

 実力に差があっても、ピアノがシルバー大佐を倒しきれないのは彼が人造人間故に疲労によって消耗しないから。さらに、移植された細胞によって肉体そのものが頑強になり、高い再生能力まで持っている。

 その上頭部と心臓を同時に破壊しなければ、ピアノが考えているように「確実に息の根を止める」事は出来ない。

 

 もちろん人造人間も痛みは感じるし、死の恐怖を覚えない訳でもない。しかし、シルバー大尉の戦意は全く衰えなかった。

(天下一武道会のようなルールのある試合だけではなく、格上との殺し合いでも楽しんでしまうとは。これが戦闘民族サイヤ人の細胞か)

 どうすればピアノに拳を叩き込めるのか考えるだけで胸が高鳴り、攻撃を受け痛みと衝撃を受ける度に反骨精神が刺激され、殺されるかもしれないという恐怖は背筋を震わせるスリルに変わる。

 

 元ボクサーで鍛え抜かれた軍人であるシルバー大佐には、元々戦闘を楽しむ気質があった。多少の逆境では萎えない精神力も訓練で培ってきたつもりだ。

 しかし、サイヤ人の細胞を移植した影響はそれらを大きく超えていた。

 

(振り回されないようにするのが大変だぜ、まったく)

「太陽――」

「させんぞっ!」

 太陽拳を放とうとしたシルバー大佐だったが、両腕をピアノに捕まれ腹に膝蹴りを叩き込まれた。腹筋にめり込み内臓を圧迫される。

 

 防いだ。そう確信したピアノに、シルバー大佐の尻尾の先端が付きつけられる。

「拳っ!」

 尻尾の先端から眩い閃光が放たれ、ピアノの視界を白く塗りつぶした。

 

「くわぁーっ!?」

 悲鳴を上げて瞼を強く閉じるピアノだったが、彼は掴んだシルバー大佐の両腕を放さなかった。視覚を潰されても、動きを封じていれば恐れるに足らないと思ったからだ。

 シルバー大佐が力を漲らせているのが、腕から伝わってくる。何とか振りほどこうとしているのだろうが、力はピアノの方が上だ。このまま魔口砲を正面からくらわせてやろうと、嘴を開いた。

 

(ピアノっ! 奴から離れろ!)

 その時、コーチンの声がピアノの脳裏に響いた。だが、シルバー大佐の両腕を握り締めていたピアノは、その声に即座に従う事が出来なかった。

 

「気円斬っ!」

 そのため、シルバー大佐が背中に生やした第三と第四の腕から放った気円斬を回避する事が出来なかった。

「しま――」

「――った」

 右半身と左半身に分かれて地面に落下していくピアノ。それを見降ろしながら、一夜がけで何とか習得した四妖拳を発動したシルバー大佐は自由になった腕で額の汗を拭った。

 

「悪いな。最近の地球人は腕が二本だけとは限らないのさ」

 

 

 

 

 

「今度こそ殺してやる!」

「今度もやっつけてあげるわよ!」

 スーパーサイヤ人に変身したタイツは、シンバルと激しい戦いを展開していた。

 

 天下一武道会の会場で襲撃を受けた際は、タイツがスーパーサイヤ人に覚醒した事で一方的にやられてしまったシンバルだが今は違う。その実力や潜在能力解放等によって、1880万にまで高まっている。

 一方、タイツの戦闘力は33万5千。スーパーサイヤ人になっても1675万。

 

「ピッコロ超魔王様によって、俺の力はもうお前を越えたのさ!」

 必勝を確信しているシンバルの言葉通り、拳と蹴りの応酬に競り勝ったのは彼だった。短い悲鳴を上げて後ろに下がったタイツに向かって、必殺の雷を放つ。

 

 しかし、雷が直撃する寸前でタイツの姿が消えた。

「瞬間移動か!」

 シンバルはタイツが雷を回避した方法を瞬時に理解し、とっさに身を翻した。しかし、タイツが移動したのは彼の背後ではなかった。

 

「残念っ! 正解は正面よ!」

 シンバルの正面に瞬間移動したタイツは、身を翻したシンバルの無防備な後頭部に膝蹴りを放った。

「がぁ~っ!? うぉぉぉっ!?」

 シンバルは悲鳴を上げながらも咄嗟に尻尾を振り回してタイツを牽制しようとするが、彼女には通じない、それどころか、逆に尻尾を掴まれて振り回されてしまった。

 

「せいっ! どどん波!」

 そしてシンバルを投げ飛ばしたタイツは、彼が体勢を立て直さない内にどどん波を放った。

「ぐおおおおっ! よくもやりやがったな!」

 どどん波の爆発に飲まれるシンバルだが、まだ致命傷には程遠い。煙を割くようにして飛び出すと、怒りで血走った眼でタイツを睨み、猛然と殴りかかる。

 

 しかし、タイツはまたも姿を消した。

「くっ、また瞬間移動か!」

 今度こそ後ろか!? それとも下か、真上か!? 警戒して防御を固めるシンバルだったが、タイツは動いていなかった。彼女はミクロバンドで小さくなっていたのだ。

 

「だだだだだっ! バスターウェイブ!」

 そして、小さくなったままシンバルの胴体に気弾を連射し、止めと言わんばかりに気を収束した両手を交差させてバスターウェイブを放った。

 

「ピ、ピッコロ超魔王様っ! 申し訳――っ!」

 至近距離から気弾の連射と必殺技を受けたシンバルは、末期の言葉を言い終える前に光の中に掻き消えた。

「勝負は戦闘力だけで決まる訳じゃないのよ。特に、実戦ではね」

 元の大きさに戻ったタイツは、そう言うと神精樹も実カプセルを飲み込み体力の回復とパワーアップを済ませると、ピッコロ超魔王との戦いに加わった。

 

 

 

「このままではジリ損か」

 ピアノに続きシンバルを失ったコーチンは光学迷彩で隠れ潜み、地球側への情報攪乱を続けながら冷静に戦況を分析していた。

 

 ここからでもピッコロ超魔王が逆転する可能性はある。だが、このままタンバリン、ドラム、そして他の魔族達も倒されて行き、最後は圧倒的な数の差でピッコロ超魔王が押しつ潰される可能性の方が高い。

 そう見て取ったコーチンは、ゲロ達に情報が漏れないようテレパシーでピッコロ超魔王に献策した。

 

(ピッコロ超魔王、今すぐ宇宙へ撤退するのだ!)

 天下一武道会会場の時のような地球を巻き込んだ自爆ではなく、撤退を。

(なんだと!? コーチン、貴様正気か!? 地球人に対する復讐を忘れたのか!?)

(あの時とは状況が違うのだ、ピッコロ超魔王!)

 

 ベジータ王子やトーマ、そして新しく加わったタイツからの攻撃を捌きながらテレパシーで怒鳴り返してくるピッコロ超魔王に、コーチンは説得を続けた。

 先日、もう勝てないと観念して地球を巻き込んだ自爆をピッコロ超魔王が試みた時は、彼は宇宙空間に適応していなかった。しかし、今はスラッグとの融合によって宇宙空間でも活動可能な肉体へと変化している。

 

 さらに、魔神精樹の実を食べなくても億単位の戦闘力を手に入れた。ゲロ達は時が経てば経つほど驚くべき速さで強くなるが、今のピッコロ超魔王なら奴らの成長速度を追い抜く事が可能かもしれない。

 

(それに、宇宙になら瞬間移動を使う奴等でもお前を直ぐに追う事は出来ん。人造人間共も満月さえなければ今のお前なら恐れるに足らん! 宇宙へ撤退し、可能なら魔神精樹の樹を回収して何処かの星に潜んで力を蓄えるのだ!)

 

 コーチンの思考を読み取ったピッコロ超魔王は、しばらく無言だった。コーチン自身はテレパシーを使えない。それでも思念で意思疎通が可能なのは、ピッコロ超魔王やタンバリン達がコーチンから思念で呼びかけてきたらいつでも読み取れるように、心を開いているからだ。

 

(だがドクター、あんたはどうするつもりだ!? サイボーグとはいえ宇宙空間には適応していないだろう!?)

(儂は地球に残る。置いていけ)

(なっ!?)

 自分の身を案じるタンバリンに、コーチンは即座に自分を見捨てるよう指示した。

 

(儂は残って奴らの通信システムや監視衛星を少しでも妨害する。既に儂が出来る事は全てやりつくした、後はスラッグのように技術者担当の魔族を産みだし、そいつらにやらせるがいい)

(……コーチン、確かに貴様の言う通り撤退するべきかもしれん)

 「我が頭脳」と評するまで信頼する同盟者の意見を聞き、ピッコロ超魔王も心を動かされた。

 

(おおっ、分かってくれたか!)

(だが、もっと良い策を思いついた。それは――)

「邪魔だっ!」

 ピッコロ超魔王はベジータ王子の蹴りを両腕で弾き返すと、瞬間移動でヒット&アウェイ戦法を繰り返すタイツとターレスに向かって、牽制の気弾を放つ。

 

 そして、突然あらぬ方向に向かって気弾を放った。

「っ!? ピ、ピッコロ超魔王、何をっ!?」

 すると、気弾が爆発したすぐ近くにコーチンが出現した。光学迷彩装置の機能が気弾の爆発によって生じた衝撃で乱れたのだ。

 

「あいつ、あんな所に隠れてたのね!」

 早速コーチンを捕まえようとするギネ達だったが、その前にピッコロ超魔王が動いていた。

「コーチン、貴様はもう用済みだ! 消え失せるがいいっ!」

 そう叫びながらコーチンに向かって気功波を放ったのだ。

 

「ピッコロ超魔王!?」

 悪魔の科学者と呼ばれた一人であるコーチンだったが、ウィローと違いその肉体は戦闘用ではない。彼を飲み込んだ気功波はそのまま空の彼方へと消えていった。

 

「あ、あいつ……味方を殺しやがった!」

「スラッグと融合して強さだけじゃなく、奴の残酷さまで手に入れたようね」

「フッ、どうした? 我々魔族の冷酷非道さに今更気がつき、恐れ戦いているのか?」

 

 ピッコロ超魔王がコーチンを吹き飛ばした事に動揺を露わにするヤムチャや、気に食わなさそうに吐き捨てるギネに、不敵に笑い返すピッコロ超魔王。

「お、おうっ! 役立たずを生かしておく価値はねぇからな!」

「そう言う事だぜ!」

 ドラムとタンバリンも、動揺したのは一瞬だけで、すぐにピッコロ超魔王に同調する。

 

「さあ、仕切り直しだ!」

 ピッコロ超魔王は視覚から攻撃してきたバイオレット大佐を裏拳で迎撃し、シルバー大佐が連射したどどん波を最小限の動きで回避し、ベジータ王子に向かって突進した。

 

 

 

 

 

「奴は貴様等の頭脳ではなかったのか!?」

「その通りだっ! だが、それがどうした!?」

 ラディッツはピッコロ超魔王がコーチンを吹き飛ばした事に覚えた苛立ちを、ドラムにぶつけていた。

 

「テメェには関係ねぇだろう!? 波―っ!」

「確かに、なっ!」

 ドラムが放った魔口砲を気功波で迎撃しながら、ラディッツは舌打ちをした。

 

(敵が仲間を始末した事が気に食わなくて苛立つとはな。戦闘民族サイヤ人らしくない甘さ……いや、今は甘い奴等の方が多数派か)

 だが、すぐに今の環境と仲間達を思い出して納得する。そして自分は甘くなったのではない、新しい環境と価値観に適応したのだと納得した。

 同時に魔口砲と気功波が拮抗して彼とドラムの中間点で爆発する。

 

「くっ、俺の魔口砲を押し切るとはっ! 妙な薬を飲んでパワーアップしていないのに……つくづく貴様等サイヤ人は俺達魔族以上の化け物だぜ!」

「ほう、気がついていたか」

 

 ドラムが吐き捨てるように言った通り、ラディッツは神精樹の実カプセルを飲まずに彼と戦っていた。その理由はヤムチャと同様だ。

 ドラムの戦闘力は2800万にまで上昇していたが、ラディッツの素の戦闘力は74万5千。スーパーサイヤ人化すれば3725万でドラムを軽く上回っているのだ。

 

「どうした、プライドが傷ついたか?」

「フンッ、俺は貴様の油断を利用するだけだ! 薬を飲まなかった事をあの世で後悔するがいいぜ!」

 ドラムはそう言うと、両手で自分の首を掴んだ。まるで自分で自分の首を絞めるような奇妙な体勢のまま、大きく口を開く。

 

「っ! 奥の手か」

 それを見たラディッツも身構えるが、先制攻撃でドラムが奥の手を出すのを妨害しようとはしない。戦闘を楽しむサイヤ人の性だ。

 

「くらえっ! 俺が編み出した新必殺技、超魔口砲!」

 そしてドラムの口から、今までの魔口砲を遥かに上回る威力の魔口砲が放たれた。

 首に両手を当て口内により大量の気を収束させる事で、技を放つまでに大きな隙が生まれるのと引き換えに従来の魔口砲を遥かに上回る威力を出す事に成功した大技だ。

 

「なら、俺も全力の技を見せてやろうっ! くらえっ、ギャリック砲!」

 だが、ラディッツもただ悠長に構えていたわけではない。両手に収束した全力の気で、ギャリック砲を放つ。

 眩い金色と暗い紫の気がぶつかり合い、超魔口砲がギャリック砲を貫くかに見えた。

 

「クッ、クソッタレがーっ!」

 だが、それは一瞬だった。ドラムの超魔口砲を飲み込んだラディッツのギャリック砲が、彼にまで到達し、跡形もなく吹き飛ばした。

 

「はぁっ、はぁっ、なかなかの威力の技だったぜ。俺がスーパーサイヤ人に目覚めていなければ、相手にすらならなかっただろう」

 ラディッツは肩で息をしながらそう言うと、今度こそカプセルを飲み、ピッコロ超魔王と戦うベジータ王子と合流するために地を蹴った。

 

「カカロットっ、先に行くぞ! 貴様もさっさとそいつをぶちのめしてしまえ!」

 

 

 

「おうっ! 任せとけ、兄ちゃんっ!」

「チィッ、調子に乗るなよっ!」

 ラディッツの声に応える悟空は、タンバリンと空を飛んで戦っていた。ラディッツと違い、カプセルを飲んでパワーアップした状態でスーパーサイヤ人に変身している。

 

「兄貴に泣きつかなかった事を後悔する事になるぜ! あの時とは違うんだからなぁ!」

 タンバリンの言うように、今悟空は一人で彼と戦っている。そしてタンバリン自身の戦闘力は、2350万にまで上昇している。

 

「それはこっちのセリフだっ! 今度はオラ一人で勝ってやる!」

 だが、それは悟空も同じだ。神精樹の実エキスのカプセルによってその戦闘力は53万2千に上昇し、スーパーサイヤ人となった今では2660万にまで到達し、なんとタンバリンを圧倒的という程ではないが越えている。

 

 しかし、その差はパワーやスピードに現れていた。タンバリンが一撃悟空に当てる間に、悟空は二撃タンバリンに攻撃を当て、タンバリンに無視できないダメージを与える。

「チィっ! くらえっ、爆裂魔波!」

 このままでは自分が先に力尽きると察したタンバリンが、右手から気功波を放った。

 

「そんなもん、効くかっ!」

 だが、悟空は自分に向かって放たれた気功波を何と蹴りで弾き飛ばしてしまった。

「死ねぇっ!」

 その悟空が見たのは、タンバリンが放った気円斬だった。気を殆ど溜めていない気功波は囮で、本命は左手から放った気円斬だったのだ。

 

 悟空の体が真っ二つに両断されるかに見えたが、彼は危ないところで如意棒を振るいタンバリンの気円斬を叩き落とす事に成功した。

「ふぅ、危なぇとこだった。でも結局如意棒を使っちまったな。オラもまだまだだ」

「チッ、縮めて隠し持っていたのか」

「ああ、出来れば使わずに勝ちたかったんだけどな!」

 

 カッチン鋼で両端が強化された如意棒を、スーパーサイヤ人の力で素早く振るう悟空。タンバリンは先端を避けて防御し、ダメージを最小限に防ぎながら反撃の機会を辛抱強く待った。

 その時、悟空が如意棒を上段から振り下ろそうとした。

 

「馬鹿めっ、勝負を焦ったな!」

 タンバリンはその隙を逃さず、がら空きになった悟空の胴体に必殺の抜き手を放った。まともに当たれば、いくらスーパーサイヤ人の体が頑丈でも、悟空の腹に風穴があいていただろう。

 

 だが、タンバリンの抜き手は悟空の体をすり抜けた。

「勝負を焦ったのはおめぇだっ!」

 下から聞こえた悟空の声と、消えていく目の前の悟空の姿に、タンバリンは残像拳に引っかけられたのだと悟った。

 

「くっ――」

「かめはめ波―っ!」

 とっさに翼をはためかせ離脱しようとしたタンバリンだったが、悟空が放ったかめはめ波から逃れる事は出来ず飲み込まれ、断末魔の悲鳴を上げる間もなく二度目の死を迎えた。

 

 

 

 

 

 悟空がタンバリンを倒したその時、ネイルの元気玉が完成した。

「下がれ!」

 天才科学者である儂、ドクター・ゲロはベジータ王子達に叫んで合図をすると同時に、シールド発生装置を操作してネイルの前のシールドを消す。

 

「チッ!」

 自力で決着をつけるのが間に合わなかったベジータ王子は忌々し気に舌打ちをしたが、ターレスやラディッツに遅れずにピッコロ超魔王から離れた。実際に戦って、自分一人では勝てないと納得してくれたようだ。

 

「悪のナメック星人よっ! 今度こそ最期だ!」

 そしてネイルがピッコロ超魔王に向かって完成した元気玉を放とうとした瞬間、彼はニヤリと笑った。

「馬鹿めっ! この儂が気づいていないと思ったか!?」

 叫ぶと同時に放った細い気功波が、目にも止まらぬスピードでネイルの胸板を撃ち抜いた。

 

「カッ……」

 ぐらりとネイルがよろめく。しまった、ピッコロ超魔王にネイルが元気玉を放とうとしている事がばれていたとは……! 胸を撃ち抜かれてもナメック星人であり体力も十分にあるネイルは即死しないが、重傷である事に変わりはなく、彼の手に集まった元気玉は拡散し始めている。

 

 こうなったら眠り姫砲を起動させ、ネイルを仙豆で回復させネイルクローン計画を始動するしかないか。

「ご、悟空っ! 私の代わりに、頼むっ!」

 儂がそう思った時、ネイルは気力を振り絞って元気玉の拡散を止めると、なんとそれを空にいる飛悟空に向かって放ったのだ。

 

「馬鹿めっ、気でも狂ったか!」

「い、いかんっ! 避けろっ、悟空!」

 ピッコロ大魔王の嘲笑を無視して、儂は悟空に向かって叫んだ。ネイルの意図は分かる。同じ技を習得している悟空に元気球を渡し、自分の代わりにピッコロ超魔王を打たせようというのだろう。

 

 しかし、今の悟空はスーパーサイヤ人化している。普段は悪の心を持たない悟空でも、スーパーサイヤ人になるとその激しい闘争本能の影響で僅かだが悪の心を持ってしまう。

 元気球を受け取って代わりに放つどころか、下手をすると悟空が元気玉で消し飛ばされてしまうかもしれん。

 

「くっ!」

 だが、悟空は逃げずに自身に迫る元気玉に向かって両手を前に突き出した。そして、元気玉は彼を飲み込むことなく、その両手の中に留まった。

「これは……暖けぇ……感じる、皆の気を」

 しかし、やはりスーパーサイヤ人のまま元気球を保持する事は出来ないようだ。悟空の両手に納まった元気玉の拡散が再び始まった。

 

 だが、悟空が死ぬという最悪の展開は避けられた。元気玉の不発は痛いが、眠り姫砲とネイルクローン計画という切り札がある以上、挽回できる。儂はそう思いながらネイルの口に仙豆を突っ込んだ。

 

「皆……オラに力を貸してくれ!」

 しかし、その時奇跡が起きた。何と、悟空が拡散しつつあった元気玉を吸収。爆発的に気を高めたのだ。

「な、なんだとっ!? あの小僧の気が十倍以上膨れ上がっただと!?」

「行くぞ、ピッコロ超魔王っ! オラ達と勝負だっ!」

 外に放てば拡散してしまう元気玉のエネルギーを内に留めたまま攻撃するためだろう、悟空は猛烈な勢いでピッコロ超魔王に向かって突っ込んでいった。

 

「チィッ! 捻り潰してくれる!」

 避け切れん。そう判断したピッコロ超魔王は両手で悟空を受け止めようとした。

「「うおおおおおおっ!」」

 悟空が放つ黄金の気と、ピッコロ超魔王の発する青黒い気がぶつかり、二人の雄叫びが合わさって、弾けた。

 

「オラの、勝ちだ!」

 押し勝ったのは悟空だった。

「悟空の奴、やりやがった!」

「チッ、ラディッツの弟のだけだって生意気な奴だ」

「ああ、俺の自慢の弟だ!」

「さすがはおらの悟空さだべっ!」

 

「まったくだ」

 地上から悟空の勝利を見て、歓声を上げるヤムチャやチチ。儂もほっと安堵のため息を吐いた。

 まさかここで原作通りになるとは思わなかった。そして、悟空達は気がついていないがピッコロ超魔王はまだ死んではいなかった。

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、おぉぉっ!」

 ピッコロ超魔王は自身の体に大穴を空けた悟空を振り返る余裕はなかった。さらに、ベジータ王子達相手に一人で戦った事で体力を消耗しており、傷を再生するのに十分なエネルギーは残っていない。

 

(良い読みだ。儂が、『我が頭脳』と認めただけの事はある)

 そう思いながら、ピッコロ超魔王はある方向に顔を向けると、自身の最期の力を込めて卵を吐き出した。

「我が息子を、託す。頼んだぞ」

 目にも止まらぬ速さで飛んで行く卵を見送りながらそう呟いたピッコロ超魔王は、ふと苦笑いを浮かべた。

 

「フッ、託すか。こ、このピッコロ超魔王が、サイボーグとはいえ人間に、息子を託すとはな。あ、甘さなど移りようもない奴だというのに。

 だが、儂ら魔族と肩を並べた人間は貴様ぐらいだ。貴様と過ごしたこの数年……悪くは……なかったぞ」

 

 そして、ピッコロ超魔王は残った僅かな気を自らに放ち、爆発したのだった。

 

 

 

 

 

 

「あっ! ピッコロ超魔王を倒しちまったって事は、神様が死んじまったっんじゃないのか!?」

「ちょっと孫君、ヨン兄さんが帰ってこれないじゃない! どうしてくれるのよ!?」

「や、やべぇ!? 神様だけドラゴンボールで生き返すってのはやっぱ無理か?」

 

 空でピッコロ超魔王が爆発して果てた後、彼が地球の神様と命を共有している事を思い出した悟空達が「やってしまった」と騒ぎ出す。しかし、色々な意味で心配は要らない。

(皆よ、よくやってくれた)

「その声は神様っ!? すまねぇっ、オラ神様も殺しちまったっ!」

(……落ち着け、儂は死んではいない)

 

「馬鹿な。奴は倒したはずだ。気も、完全に消えている」

 そう驚くベジータ王子に、地球の神様は答えた。

(どうやら、ピッコロ超魔王は死ぬ前に自らの分身ともいえる息子を産み、何処かへ飛ばしたようだ。残念だが、奴との戦いはまだ終わっていない)

 

 どうやらピッコロは無事に生まれたようだ。驚く悟空達に混じって儂が吐いたため息は、もちろん安堵によるものだった。

 




〇戦闘力推移

・ピアノ:100万 → 潜在能力解放や魔神精樹の実の摂取 → 157万 → 魔神精樹の実 → 1570万
・シンバル:120万 → 潜在能力解放や魔神精樹の実の摂取 → 188万 → 魔神精樹の実 → 1880万
・タンバリン:150万 → 潜在能力解放や魔神精樹の実の摂取 → 235万 → 魔神精樹の実 →2350万
・ドラム:180万 → 潜在能力解放や魔神精樹の実の摂取 → 280万 → 魔神精樹の実 → 2800万
 スラッグ星のドラゴンボールで復活後、原作スラッグを超える力を手に入れたピッコロ超魔王の息子達。

・シルバー大佐:594万 → 神精樹の実エキスのカプセル → 1188万 四妖拳を習得。

・タイツ:33万5千(スーパーサイヤ人時1675万) → 神精樹の実エキスのカプセル → 167万5千 スーパーサイヤ人時8375万 

・ラディッツ:74万5千 → スーパーサイヤ人化 →3725万(対ドラム戦) → 神精樹の実エキスカプセル → 372万5千 → スーパーサイヤ人化 → 1憶8625万 ドーピングする事でナメック星編時のフリーザと戦った悟空に匹敵する強さに達した。

・悟空:10万6400 → 神精樹の実エキスカプセル → 53万2000 → スーパーサイヤ人化 → 2660万



〇元気玉の気を吸収

 『極限バトル!!三大超サイヤ人』で悟空が無意識に行ったのと同じ事を、意識的に行ったものです。……当初は普通にネイルから受け取った元気球を悟空が放つ予定でしたが、書いている途中で「あ、悟空って今スーパーサイヤ人になっているんだった」と気がついてこの展開になりました(汗



 ダイ⑨様、佐藤東沙様、クロスオーバー大好き侍様、トリアーエズBRT2様、ノーデンス様、リースディア様、KJA様、MMZK様、NoSTRa! (ノズトラッ!)様、空きっ腹に蜂様、PY様、Acoknight様、加我青磁様、爺飴様、神城陣代様、け~か様、ダイ⑨様、みおっち様、みそかつ様、都庵様、ヴァイト様、紅鎖様、adforce様、敗走ですか様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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どうしてこうなった?(作者:とんぱ)(原作:HUNTER×HUNTER)

 オリ主がHUNTER×HUNTERの世界にトリップして四苦八苦しつつも楽しく過ごすお話です。基本はギャグですが、たまにダークな表現やシリアスもあります。▼ この小説はArcadia様にも投稿しています。題名をほんの少し変えただけで内容に変化はありません。各話の見直しが終わり次第投稿していきたいと思います。▼ 挿絵が入りました。※が付いている話のあとがきにあ…


総合評価:43009/評価:8.7/完結:86話/更新日時:2015年11月08日(日) 20:00 小説情報


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