ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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17話 地球育ちのサイヤ人ズ

「ご、極楽じゃ。長生きはするもんじゃわい」

 不死鳥によってゲロを不老長生にした後、亀仙人はトレーニングスーツをブリーフ博士から無料で受け取った。そのお礼としてブリーフ博士、そしてパンチー夫人にも不死鳥の力で不老長生を分け与えた。

 

「そうですか。私は仙人様が大量の鼻血を出したもんだから、本当に極楽へ行くんじゃないかと思いましたけどね」

 そう不死鳥が言うように、亀仙人は鼻をティッシュで塞ぎ、上を向いたまま足元がおぼつかない様子でフラフラしていた。

 感激したパンチー夫人の熱烈なハグとキスによって迸った大量の鼻血によるものである。

 

 なお、ターレスやタイツも不老長生に興味があったようだが、不死鳥が「坊ちゃんとお嬢さん、大人になるまでにかかる時間も長くなっちゃうかもしれませんよ」と言ったため、それならいいやと引き下がっている。

 そしてゲロは必要な人物として副社長に声をかけてみたが、「あと何百年現役を続けさせるつもりですか!? 定年で退職させろ! 後継者はちゃんと育てているから!」と言われて拒否されてしまっていた。

 

「とと、肝心な事を言い忘れるところじゃった。おい、鶴の」

「なんじゃ、亀の? 社長夫人にパフパフされた感想じゃったら聞きたくないぞ」

「そりゃあもうムッチムチのプリンプリンで……ではなくじゃ。先達として一言言っておこうと思っての」

「フン! 儂が表の道を歩き始めた途端に先輩気取りか。気に食わんが、言うだけ言ってみろ。聞くかどうかは儂の気分次第じゃがな」

 

 そう鶴仙人が言い終わるころには、亀仙人は色ボケに緩んだ顔ではなく真面目な、武術の神様と讃えられる武天老師の顔になっていた。……頭にキスマークは残ったままなので、空気は締まらなかったが。

 

「鶴の、お前がこれから進む道は艱難辛苦の道じゃ。悪の道を歩いていた時の何倍も険しく、果てしない。その上、お主が思ったほど褒められんし、讃えられないかもしれん。おまけに過去の事をいつまでも穿り返されるかもしれん。

 だが、歩み続けたその先で必ずお主が望んだ景色が見られるはずじゃ」

 

 鶴仙人はほんの少し前まで悪の道を歩んでいた。その過去を消す事はできない。そして、悪は一見すると善よりも楽なのだ。

 そのため亀仙人は鶴仙人が悪の道に戻ってしまう事を危惧していた。

 

「……その程度の事は言われんでも分かっておるわ。修行と同じとでも言いたいのだろう? 言っておくが亀の、儂は神から修行を受けた貴様の事を羨んではおらんからな! 儂はそんなことせんでも、貴様に追い付いてやるわい!」

 

 そして鶴仙人も、亀仙人が地球の神直々に招かれて修行を受けたのに対し、自分にそれが無かった事から過去に悪事をしていたか否かの違いを痛感していた。

 実際には、地球の神様がカリン塔に登った事もない鶴仙人の事を意識していなかっただけだが、カリンの修行を卒業した事まで考慮するなら、確かに鶴仙人が思った通りだ。

 

 過去に鶴仙人がカリン塔を登ったとしても、悪人だった当時の彼にカリンが修行をつけるはずがない。

 

「そうか。分かっているなら良い」

「儂はてっきり、武道を私利私欲に使うなと、頭の固い事を言い出すのではないかと思っていたがな」

「ん? ああ、あれか」

 

 亀仙流の教えでは、武道を私利私欲のために使ってはならんと定めている。鶴仙人は亀仙人が言いたい事はそれに関する事だと思っていたのだが、そうではなかった。

 

「別に構わんじゃろ、武道家が警備員をして給料をもらうぐらい。いや、警備員が武道をしておるのか」

「いいのか? かなりの高給じゃぞ、ここの警備部は」

「人は霞を食って生きるにあらずじゃ」

 

 私利私欲、ギャルにモテモテになるためや、金を稼ぐために武術を使用する事を禁じている亀仙人だが、その教えを杓子定規に考えてはいなかった。

 

「儂が禁じたのは、かつての牛魔王のように武道で鍛えた力で略奪を働き、ピチピチギャルを攫って無理やり侍らせるような事じゃ。そうでないなら構わん」

「なんじゃ、存外緩い教えじゃな」

「当たり前じゃ、厳しくしたら、畑仕事も禁じなければならんだろうが」

 

 原作では悟空が畑仕事で収穫した野菜を売ったり、クリリンが警察官になったり、ヤムチャが野球選手として働いても、亀仙人が叱った様子はなかった。

 そのため、彼が禁じる「私利私欲」には武道で培った身体能力を使ってまっとうな職について給料を得る事は含まれていないのだろう。

 

 「武道を私利私欲のために使う事を禁ず」とは、心構えを諭すための教えなのだ。

 

 ちなみに、桃白白に関しては鶴仙流でしかも鶴仙人の実弟なので、改心している内はよっぽど贅沢が過ぎる場合でもなければ自分が口を出す事ではないと考えている。

 

「それもそうか。まあ、別に貴様の許しなんぞ必要ではないのだがな」

「せいぜい、金で身を崩さんよう気を付けるんじゃな、中途半端ハゲ」

「助言の礼に初任給で育毛剤でも買ってやろうか、このハゲめ」

 

 こうして分かたれたはずの袂が何の因果か再び近づいた二人は、以前よりは多少穏やかに憎まれ口を叩き合っていた。

 

 

 

 

 

 

 さて、思わぬところで不死鳥によって不老長生を手に入れたこの儂、天才科学者のゲロは改めて不死鳥の力に感嘆していた。

 亀仙人や鶴仙人、そして占い婆が何百年も生き続けているのがこの不死鳥の力とは限らないが……触れるだけで不老長生を与える力は凄まじい。

 

 不死鳥本人に許可をもらって、口の粘膜から細胞を分けてもらい、更に彼から不老長生を得た人間のサンプルを増やそうとしてみたが、副社長には断られてしまったので、上手くいったのはブリーフとパンチー夫人の二人だけだった。

 

 もちろん、不老長生を得る事を勧めたのは、副社長やブリーフ、そしてパンチー夫人がかけがえのない友人であるから、と言う理由の方が大きいが。

 副社長には拒否されてしまったが、もし不老長生薬を造る事が出来たら改めて勧めてみよう。

 

 とりあえず、不死鳥には彼が亀ハウスに帰る前に胃腸薬が入った薬箱をお礼として渡しておいた。彼は亀仙人用だと思ったようだったが……彼の気が弱まったら瞬間移動で駆けつけて我が社の病院へ連れて行こう。

 

 それから十日ほど、亀仙人は西の都に逗留した。GCGの隊員用に作った、広いが最大でも十倍までしか負荷がかけられない重力トレーニング室を試し、儂や4号、ターレスと組手を行う等をして充実した滞在になったはずだ。

 

 儂の修行も進み、太陽拳とどどん波を習得する事に成功した。さらに、何度も滞在しているなどよく知っている場所には気で位置を探らなくても、瞬間移動で移動出来るようになった。これで修行したカリン様の所や地球の神様の神殿、ヤードラット星、そして何度も足を運んでいるナメック星には気を感知しなくても行く事が出来る。

 当然、秘密研究所やGCコーポレーションの自社ビルもだ。

 

 そして4号は太陽拳の習得以外にも、超能力というよりも龍族としての能力のようだが、原作のデンデのようにヒーリングを習得する事に成功した。

 仙豆は丸呑みにするだけで、胴体に開いた穴も瞬時にふさがる素晴らしい回復アイテムだ。しかし、仙豆にも欠点はある。物品なので持ち歩かなければならないし、仙豆を携帯するのを忘れたり、敵に奪われたり破壊される可能性もある。

 

 そして何より、安定的に栽培する事には成功したが大量生産にはいまだ成功していない。

 だからこそ、回復手段が増えたのは大きい。

 

 そしてブルマも超能力に目覚めた。チャオズと同じサイコキネシスと、ブリーフ譲りの透視が出来るが、後々出来る事が増えるかもしれん。

 

 そして次の満月の前に儂と4号、そして亀仙人とターレスとタイツは、途中で牛魔王とチチを乗せてパオズ山に向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 垂直離陸も可能な飛行機という地味に高性能な機体でパオズ山に降り立つと、さっそく孫悟飯と孫悟空が現れた。

「なっ、でっかい変な鳥がいるって言っただろ、じっちゃん! うわっ! 鳥の中から亀仙人のじっちゃんが妖怪を引き連れて出てきた!」

「武天老師様、それに牛魔王か? いったいどうしました、忘れものですかな? それに後ろの方々はいったい?」

 

 亀仙人は西の都の儂の会社に訪れる前に孫悟飯を訪ねているので、孫悟空は彼と既に面識がある。この時点でも、原作が改変されている。

「突然押しかけてすまんな、悟飯。ちょっとお主に話があってな」

「お久しぶりだべ、悟飯さん。こっちはオラの娘のチチ、それに世話になってるGCコーポレーションの会長さんと、秘書のヨン・ゴーさん。タイツちゃんとターレス君だべ」

 

「ああ、武天老師様が会いに行った方ですな。牛魔王を改心させていただき、感謝しますぞ」

「初めまして、孫悟飯殿。牛魔王殿には我が社の農業事業に多大な貢献をしていただいております」

 などと挨拶をしながら、儂は孫悟飯と握手を交わした。

 

 原作コミックでは占い婆編で一度、アニメではアンニンの世話役としてもう一度、登場した人物だが、生前の姿は『たった一人の最終決戦』の終わりの方で出ただけだ。

 その彼と握手していると思うと、感慨深いものがある。

 

「それで、お話と言うのは?」

「ええ、実はお宅の孫悟空君の事ですが……実は彼は地球人ではなくサイヤ人と呼ばれる宇宙人なのです」

 儂がそう告げると、孫悟飯は「なんですと!?」と驚きを露わにした。

 

「悟飯よ、信じ難いと思うがこの男が言っている事は本当じゃ。ほれ、あそこに悟空にそっくりな、尻尾が生えている子供がいるじゃろう?」

 亀仙人が指さした方では、好奇心旺盛な悟空が初めて見る自分と同じような年頃の子供達、その中でも自分とそっくりなターレスと何やら騒いでいる。さっそく仲良くなったようで、感心感心。

 

「おおっ、まるで双子のようじゃ。では、彼は悟空の生き別れの……?」

「いや、ターレスには兄弟はいないそうなので、ただ似ているだけじゃ」

 まあ、実は二人が親戚である可能性はあるが。サイヤ人は確か一万人もいなかったそうじゃし、多くの者が家族の絆が希薄で血縁に拘りがなかったそうじゃから、自分の親戚関係を把握している者は少ないだろう。兄弟姉妹までならともかく、従兄弟だとお互いに顔も名前も知らない可能性は高い。

 

 ターレスの父親か母親が、実はバーダックの従兄妹だったとしても、不思議はない。……まあ、その辺りを調べる気はあまりないが。

 

 そしてサイヤ人がどんな種族なのか、そして彼らが暮らしていた惑星が破壊された事を話した。

「なるほど。悟空が大猿になったり、頭を打った後急に良い子になったのはそんな理由だったのですか。ですが、あの子はもはや実の孫同然なのです」

 

「じっちゃん! オラ、ターレス達と今日の飯捕ってくる!」

 孫悟飯の言葉を裏付けるように、悟空がターレスを連れて元気に森へ向かっていく。話の流れで獲物を捕る競争でもする事になったのだろう。

 4号もついて行ったので、心配ないだろう。

 

「悟飯、そう慌てるでない。儂等は悟空を連れていくために来たのではない。ほれ、あれを渡してやれ」

「悟飯殿、これを」

 亀仙人に促された儂は、用意してきたブルーツ波遮断ゴーグルと衛星電話を差し出した。

 

「これは……?」

「このゴーグルをかけると、満月を見ても大猿に変化しません。頑丈に作ってあるので壊れる事はまずないでしょう。

 こっちはバッテリー内蔵型の衛星電話です。緊急時に直ぐ連絡を取る事が出来ます」

 

「これはありがたい。悟空には満月の夜は化け物が出ると教えておりますが、どうしても外に出なければならない時はこれを付けるよう言って聞かせましょう」

 こうして、孫悟飯の死亡フラグはおそらく折れた……はず。確実に折るなら、悟空の尻尾を前もって切断しなければならないが、それはターレスの尻尾を残しているのと同じ理由でやりたくない。

 

 もし孫悟空が大猿になってしまったとしても、こうして直接会って気を感知したので、満月の夜に注意していれば離れていてもそれを感知できるはずだ。その時は、4号と駆けつけよう。悟空が原作よりも早期に強くなったとしても、儂らが駆け付ければ尻尾を切らずにどうにかできる。

 

 魔封波で大猿になった悟空を朝になるまで封印する、とか。朝になったら封印を解けば、大猿化もすぐに解けるだろう。

 

 

 

 

 

 

 時間は少し遡り――ターレスは4号と話している孫悟空……久しぶりに見た同族を、妙な奴だと思いながら見ていた。

「おめぇ、でぇじょぶか? 滅茶苦茶顔色悪ぃぞ。寝た方が良いんじゃねぇか?」

「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫です。私の顔色は元々こうですから」

「そうなんか!? (みやこ)の奴は緑なのか?」

「ちょっと、とんでもない事言わないでよ」

 

 ターレスが久しぶりに見た同族の少年は、亀仙人が言ったように自分そっくりだった。だが、見た目だけで中身は全く違うのが見ただけでわかる。

(こいつ、本当に俺と同じサイヤ人か? 頭を打ったにしても、変わり過ぎだろう)

 

「おめぇは緑色じゃないんか?」

「そうよ。ヨン兄さんが特別なの。それとあたしはおめぇじゃないわ、タイツよ」

「オッス。オラ、悟空だ。タイツ、おめぇ変なしゃべり方だな。髪もしょんべんみてぇな色だ」

「しょっ!? 金髪って言いなさいよね! あと、あたしは女の子なんだからしゃべり方があんたと違うのは当然なの」

 

「女の子? 女の子ってなんだ? 食いもんか?」

 原作ではブルマの体付きが自分と違う事を怪しんでいた悟空だが、タイツはまだ八歳。体つきに性差が現れる年頃ではないので、言われるまで自分との違いは髪の色と口調ぐらいしか気づかなかったようだ。

 

「食いもんじゃないわよ。人間よ、人間。ねえ、チチちゃん」

「オラ、食いもんじゃねぇべ」

「おめぇも女の子なんか」

 

「この子はオラの娘でチチっちゅうだ。仲良くしてくんろ」

「ひゃーっ、おっちゃん、でけぇな!」

「オラは牛魔王っていうだ。悟飯さんの弟弟子だよ」

「おっちゃんも亀仙人のじっちゃんの弟子なんか。修行したからそんなにでっかくなったんか?」

「いやぁ、オラがデカいのは修行する前からだったべ」

 

 パオズ山にはいない自分と同じ年頃の子供に女の子に身長約四メートルの巨人に、緑色の肌の男。悟空にとって今日は驚きの連続だっただろう。

 ただ、そこまで悟空の境遇を想像出来ないターレスは悟空が本当に自分と同じサイヤ人なのか、ますます怪しく思っていた。

 

「おい、お前、その尻尾は本物か?」

「ん……うわっ! お、オラがもう一人いる!?」

 声をかけるまで悟空はターレスに気が付かなかったようだ。彼が悟空を眺めている間に、4号や牛魔王が彼の前に出たからだろう。

 

「妖怪め! オラに化けたな!」

「誰が妖怪だ。俺はターレス。お前と同じサイヤ人だ」

「それに、見慣れるとそんなに似てないわよね」

「んだ。ターレスさんは目つきが鋭くてちょっと怖ぇべ」

「悟空君は素直ないい子っぽいわよね」

 

「おい、聞こえてるぜ」

 後ろでそう話し合うタイツとチチに声をかけながら、ターレスは自分の周りをグルグルと回って妖怪ではないか確かめようとしている悟空を、見つめ返した。

 

(特徴はサイヤ人だが、気はタイツよりずっと低いな。飛ばし子にされるぐらいだから弱いのは当然だろうが……にしても、頭を打って記憶を失うとこうなるのか?)

 サイヤ人は保育器の中で知識を刷り込まれて育ち、戦闘力が低い子供以外はすぐ戦闘員として働くのが普通だ。それはターレスも例外ではない。

 

 だからターレスは自分と同じ顔をしているのに言動が幼い悟空に、違和感を覚えていた。

「野菜? オラ、野菜は好きだ」

「野菜じゃなくてサイヤ人だ。いいか、サイヤ人ってのは――」

 だからサイヤ人について教えてやろうとしたが、不意にそれが面倒になった。

 

(ほとんど滅んだサイヤ人らしさなんて、教えて意味があるのか? この星で生きていくのに邪魔になる事ばかりじゃねぇか)

 他の星を侵略して回っていた。冷酷で狂暴な戦闘種族。宇宙中で恐れられている。気に食わなければ同族でも、親兄弟でも殺し合う。子が親を殺す。

 

 それらがターレスの中に刷り込まれた「サイヤ人らしさ」だが、惑星ベジータは破壊され、ベジータ王も他のサイヤ人も死んでいる。

 この地球でサイヤ人らしい生き方をしようとすれば、まともな道は歩めない。

 

(それに、考えてみれば俺もサイヤ人らしくないサイヤ人だ。非戦闘タイプでもねぇのに、この年になって誰も殺したことがないんだからな)

 非戦闘タイプでない限り、サイヤ人はターレスの歳……五歳から六歳になる頃には、戦闘員として他のサイヤ人のチームに加わり他星を侵略しに向かう。

 それを考えれば、もし「普通の」サイヤ人がこの場にいたとしたら、飛ばし子にされた悟空よりもターレスの方が変わり者に見えただろう。

 

「おめぇ、どうしたんだ? 腹でも減ったのか?」

「なんでもねえよ。いいか、サイヤ人ってのはな――」

 急に黙ったターレスを心配そうにのぞき込んでくる悟空に告げた。

 

「この宇宙で最も強い戦闘民族だ。だからお前もこれから強くなるぜ」

 そうターレスが言うと、悟空の顔は分かり易く輝きだした。

「オラ、強いぞ! じっちゃんの孫だからな! でも、セントウってなんだ?」

 

「勝負って事だ」

「勝負か! オラ、勝負も好きだ!」

 その言葉にやっと悟空のサイヤ人らしい一面を見たと、ターレスはニヤリと笑った。そして、続いて悟空の腹が大きく鳴ったのを聞いて笑い声をあげた。

 

「そうだ! サイヤ人は大飯ぐらいだからな!」

「確かに、ターレスってチビなのによく食べるもんね」

「チビは余計だ。それに、後十何年かでヨンよりでかくなるさ」

 

「う~、腹減った……」

「なら、狩りで勝負でもするか。どっちが大きな獲物を捕れるか勝負だ」

「おうっ!

 じっちゃん! オラ、ターレス達と今日の飯捕ってくる!」

 

 悟空がそう悟飯達に言った次の瞬間には、ターレスは空を飛んでいた。

「うわっ! ターレス、おめぇ空を飛べるんか!?」

「なんだ、悟空。お前は飛べないのか? だったら俺も飛ぶのは無しにしてやってもいいぜ?」

「オラ、おめぇが空を飛んでも負けねぇ!」

 

 ターレスが思った通り、悟空はまだ飛ぶ事が出来なかった。そして、やはり負けず嫌いだった。

 

「ちょっとターレス、それじゃあ勝負にならないじゃない!」

「タイツ、チチ、お前らは悟空に付いてやれ。だがヨンはダメだぞ、お前が付いた方が勝つからな!」

「はいはい。行くわよ、悟空君、チチちゃん」

 そう言うと、タイツはサイコキネシスで自分だけではなく、悟空とチチも持ち上げて空に浮かべる。

 

「うわっ、オラ飛んでる!? 都会の奴らはこんな事も出来るのか!?」

「オ、オラはできないべ! タイツさん、大丈夫だか!? オラ達を落としたりしねぇだか!?」

「大丈夫よ、任せて。ヨン兄さん、審判よろしくね~」

「やれやれ。ドクター、行ってきます」

 

 そうして始まった狩り対決。ターレスは自分も地球にずいぶん馴染んだもんだと思って、気が付いた。

「そう言えば、そろそろ惑星ベジータより地球で過ごした時間の方が長くなる頃だったな。そりゃあ、馴染むわけだぜ」

 

 三歳の時に惑星ベジータからゲロに地球へ連れて来られたターレスも、六歳になった。彼は自覚していないが、惑星ベジータにいた頃は殆ど保育器に入っていた。そのため刷り込みによる知識ではなく、自分の目と耳、そして手足で体験し経験を積むようになったのは殆ど地球に来てからになる。

 

 孫悟空だけではなく、ターレスもまた地球育ちのサイヤ人なのである。

 

 

 

 なお、狩り勝負はターレスが一人で牛のように大きな猪を捕まえたが、タイツチームは悟空とチチと協力して車程も大きな巨大肉食魚を二匹捕まえた。勝負が獲物の重さではなく大きさ勝負だったため、タイツチームの勝ちとなったのだった。

 

 その後の食事で、ゲロは悟空にブルマよりもずっと先に「変な名前だな」と笑われたり、4号がパオズ山の湧水を美味いと絶賛し、亀仙人が将来悟空を弟子にする事を宣言するなど、賑やかな一日になったのだった。

 




・亀仙人

 鶴仙人の更生を応援しつつ、将来の弟子をゲット。チチもどうじゃ? と誘っているが、牛魔王が「まだチチには早いですだ、武天老師様」と言うので保留中。
 GCGでブリーフ博士からトレーニングスーツを受け取り、重力トレーニング室も経験して更に強くなるフラグが立つ。

 亀仙流の教えである「武道を私利私欲のために使ってはならない」の解釈は、作者独自のものです。ですが、厳密に守っているとしたら亀仙人自身天下一武闘会の優勝賞金を使ってはいけない事になるし、ヤムチャが野球選手のバイトをしたり、クリリンが警察官になるのを厳しく止めないといけないので、実態はこんな感じではないかなと思います。

 なお、不死鳥は亀ハウスに帰った。その際、ゲロから胃腸薬などが入った救急箱を渡されている。彼の死亡フラグも折れた模様。



・鶴仙人

 亀仙人から薫陶を受けたが、素直に受け取らず憎まれ口を叩いている。しかし、亀仙人に追いつくことを目標に、自身の修行もやり直している。



・孫悟飯

 突然訪ねてきた師匠と弟弟子と世界的超企業の会長に、拾って育てていた義理の孫が宇宙人だったことを告げられる。悟空そっくりで尻尾もあるターレスがいたためすぐに信じたが、そうでもなければ暫く疑っていたかもしれない。

 また、ゲロたちの目的が「大猿化しないゴーグルを渡す」だった事も幸いした。
 この後、彼の庵には十年以上(少なくとも原作が開始後数年は)バッテリーがもつ衛星電話が設置される。



・孫悟空

 現在四歳の原作主人公。頭を打っていい子になってから一年経っていない。
 ターレスから自分がサイヤ人である事を教えられるが、彼も詳しく説明しなかったし、悟空の理解力は四歳児並みなので、「サイヤ人には尻尾がある」事と、「強くなる」事以外はあまり理解していない。

 4号の素顔も見ているし、悟飯に女の子に会ったら優しくしてやれと言われる前にタイツとチチに会ったが、まだ知り会ったばかりなので「都会には色々変な奴がいるんだな」と言う認識。
 彼の中の都会は、だいたいの人が超能力者で、時々サイヤ人がいて、ヨン・ゴーがいる。そんな場所である。

 また、今の彼にとっての男女の差は、口調の違い程度でしかない。

 彼の中での各人の印象は……。
 ターレス:自分より強くて同じ「サイヤ人」ってやつらしい。すげえ奴だけど、狩り勝負じゃ勝ったもんねー!
 タイツ:自分より強い「女の子」。空も飛べて、物も持ち上げられて、すげぇ奴。巨大肉食魚を捕まられたのもこいつのお陰。
 チチ:自分と同じ田舎者の「女の子」。飛べねぇし強くもねぇけど良い奴。牛魔王のおっちゃんみたいに、デカくなるんかな?
 牛魔王:じっちゃんの弟弟子で、メチャクチャでっけぇ! チチの父ちゃん。

 4号:顔色が悪そうだけど、多分すげぇ奴。パオズ山の湧水をすごく美味そうに飲んでた。水、そんなに好きなんかな?
 ゲロ:つけていると満月の夜でも化け物に会わなくなるお守り(ゴーグル)をくれた爺ちゃん。変な名前だけど良い奴で、亀仙人のじっちゃんの兄弟弟子。やっぱり強えんかな?

 現在の戦闘力は2。四歳児としては驚異的な身体能力だが、まだ修行等をしていないため。



・チチ

 ゲロに誘われて牛魔王と一緒について行き、悟空と現作よりも八年程早く遭遇した。この時は「この人のお嫁になるしかない」とは考えていないが、牛魔王の兄弟子の子なので親近感を抱き、友達だと思っている。
 また、実はこの日初めて会ったターレスは悟空と違って不良っぽいと思っている。



・ターレス

 ほぼ初めて自分と同じサイヤ人の子供である悟空と遭遇した事で、征服者としてのサイヤ人らしさに拘る事に意味がない事と、自分が思っている以上に地球に馴染んでいる事を自覚した。
 悟空の事は「まだまだ弱っちいな」と思いつつも、「しかたねぇ、同じサイヤ人として俺が色々面倒を見てやらなきゃな」と思っている。

 なお、狩り勝負では負けたが、それは彼が獲物の大きさを基準に指定したからで、獲物の重さだったら彼が勝った巨大猪は巨大肉食魚二匹に勝っていた。
 内心では結構悔しかったが、「へっ、花を持たせてやったのさ」と口では強がっている。



・トレーニングスーツ

 ブリーフ博士がサイヤ人の着ていた戦闘服を応用して作った特殊スーツ。防具と言うより拘束具に近く、驚くほど軽いが関節を曲げようとすると大きな負荷がかかる。
 戦闘服同様軽いため、重力トレーニング室でも併用できる。

 最大の難点は、最も負荷が軽い物でも地球人にはきつすぎる事。最低でも戦闘力百以上でなければ、このスーツを着ての修行は厳しい。
 対象戦闘力が百刻みで負荷が上がっていき、現時点での最大は戦闘力10万以上用。現在は戦士タイプのナメック星人のネイルしか使えない。


ヒロシの腹様、路徳様、たまごん様、にしやまな様、六四様、カド=フックベルグ様、クロスオーバー大好き侍様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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