ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
「ぴ、ピッコロ大魔王がいっぱいおる……右も左もピッコロだらけじゃ……」
「す、凄まじい気の持ち主ばかりじゃ……まるで自分がネズミにでもなったような気分じゃわい」
初めて見るナメック星人達の姿に、鶴仙人と亀仙人は度肝を抜かれていた。
「ここがナメック星……確かに、ヨンさんに似ている人達ばかりだ」
「天、空も海も緑」
「そうなのよ、地球と違って面白いでしょ。あ、水も緑色に見えるけど汚れている訳じゃないのよ」
「でも、水の中には大きな魚やカニがいるから入っちゃダメなのよ」
初めてナメック星に来たタイツとブルマ以外の子供達は興味津々と言った様子で周りを見回している。
「魚!? オラんちの近くの川にいる魚とどっちが美味いか、食ってみてぇなぁ」
「ちょっと孫君、勝手に入っちゃダメなのって言ったばかりでしょ」
「悟空さ、危ねぇだよ」
うむ、好奇心旺盛な分、年少組の方が順応しやすいようじゃな。
儂はギネの人造人間化のための手術……核の作成や永久エネルギー炉の移植を終え、後はB細胞の融合措置が完了するまで待つだけの状態にした後、ナメック星に来ていた。
いつもならナメック星を訪れるのは儂等とブリーフ一家ぐらいじゃが、今回は人造人間5号ことサンの修行も兼ねているので、当然牛魔王一家も連れていく事になる。すると、もう少し人数が増えても良かろうと思うようになり、孫悟飯と孫悟空、神様の所で修行している桃白白を除いた鶴仙流一門、亀仙人も連れてきている。
「随分と体が大きいですな」
「もしや、地球人も戦士タイプのナメック星人と同じく巨大化できるのですかな?」
「ええっ!? あんた達、でっかくなるだか!?」
なお、体格からして地球人とは思えない牛魔王が一番目立っていた。二番目が4号の義理の妹になったサンである。
「ほぅ、あなたがヨンの。ようこそ、ナメック星へ。わしはメージと申します」
「この通り何もない場所だが、歓迎いたしますぞ。私はナクーです」
「あ、ありがとうございますだべ。ええっと、メージさんにナクーさん」
地球人とはだいぶ特徴が異なるナメック星人の顔と名前を一致させるのに、サンは苦労しているようだ。見慣れるか気の感知が出来るようになれば簡単に見分けられるのだが、初めてナメック星に来たばかりなのだから仕方ないだろう。
「さて、ではまず最長老様に挨拶に行くとしよう」
「ゲロのじっちゃん、修行するんじゃねぇんか?」
「悟空、その修行に協力してくださる方の所に行くのが先じゃ」
そして飛べない者は儂と4号のサイコキネシスで浮かべて運び、最長老様の元へ向かう。瞬間移動で行くと、いきなり室内に出現してしまうので、失礼に当たるからの。緊急時にはそんな事も言っていられんが、今はそうではないのだから、時間をかけるべきだろう。
「ようこそ、地球の方々。初めての方も、既知の方も、ナメック星を代表して歓迎いたします」
そしてどのナメック星人よりも大柄な、しかし同時に最も老いた姿に初対面の者達は圧倒された。
「ありがとうございます、最長老様。こちらは地球のパオズ山という土地の湧き水です。では、さっそくで申し訳ありませんが……」
「ええ、順番に私の近くに。まずはヨン・ゴーから」
4号の頭に最長老が手を置き、何かを見るような仕草をした後呟いた。
「まだまだ力の大きさは未熟ですが、使い方は素晴らしい。地球の方から気のコントロールを学んでいるお陰ですね。では、潜在能力を起こしましょう」
その瞬間、4号の気が膨れ上がったように感じた。
「な、何が起きたのじゃ!? ヨンの気が倍近く大きくなったぞ!」
「最長老様がヨンの潜在能力……眠っている力を起こしたのだ」
「潜在能力を……それであれほどまでパワーアップするとは、さすがヨンと言ったところか」
「何を言っている? お前達も最長老様に潜在能力を起こして貰いに来たのだろう?」
「何っ!?」
「儂等もか!?」
ネイルの説明を聞いて、初耳だと言わんばかりに儂を振り返る亀仙人と鶴仙人。儂はやれやれと肩をすくめて答えた。
「ちゃんと旅の栞に書いてあったじゃろう」
口頭では説明していなかったが、事前に配った旅の栞には書いておいたので、読み書きがまだできない悟空やチャオズ以外は読んだと思っていたが、そうでもなかったようだ。
言われた二人の仙人は慌てて冊子を開いて確認している。その間にターレスやタイツが前に出るが、最長老は今年も二人はまだ早いと首を横に振った。
「チッ、これでも去年よりは強くなってるんだぜ?」
「ええ、よく頑張りましたね。あなたの努力はこうしているだけで伝わってきます。ですが、あなたの中に眠っている潜在能力は、今のあなた自身でも使いこなせない程強大です。もう少し、自分をゆっくり育てましょう」
最長老様がターレスやタイツの潜在能力を起こさないのは、まだ体が潜在能力に耐えきれないと判断したからだった。
年齢的な事なら、原作悟飯が今のターレスよりも年下の時期に潜在能力を覚醒してもらっている。
しかし、当時の悟飯の戦闘力は数千。そして今のターレスの戦闘力は百数十。条件が同じとするには、数字が離れすぎている。
それに大幅に戦闘力が増えれば、気のコントロールが追い付かなくなるかもしれない。そして何より、差し迫った危機はないので、安全を優先しようという訳だ。
もちろん、気のコントロールを未習得のサンも今回は見学だけだ。
そして当然ブルマやチャオズ、悟空とチチも対象外。しかし、潜在能力の覚醒とは別に得難い情報を得た者もいる。
「おや、あなたのその姿は……三つ目族ではありませんか。遥か昔に滅びたと聞きましたが、地球で生き延びていたのですね」
「三つ目族? 俺が……?」
それは天津飯である。
「へぇ、お前も一族の末裔だった訳か」
サイヤ人であるターレスは、惑星ベジータにいた頃は保育器から出たばかりだったので、サイヤ人にとって基本的な知識しか知らない。
遥か昔に滅びたとされる宇宙人の事は、その中に含まれていなかった。
そしてナメック星人達は、最長老以外はナメック星に大規模な異常気象が起き、高度な科学技術が失われ、他の宇宙人との交流が絶たれた後に最長老自身が産んだ者達だ。その最長老が「遥か昔」と評すほど昔に滅びた宇宙人の情報は、あまり伝達されていなかったのだろう。
「おそらく、三つ目族は何百年も昔に地球へ移り住み、地球人と交流して地球人の一部となったのでしょう。あなたはその先祖返りだと思います」
「そうだったのか。最長老様、ありがとうございます」
自分のルーツを知る事が出来た天津飯は、すっきりした顔付きで最長老に礼を述べた。……こればかりは『未来予知』と言う名目で伝えられないため、儂も助かった。
「では、そちらの方々もどうぞ」
「えっ? 儂? 儂にまだ潜在能力があるんですかいの?」
「ないかもしれませんが、物は試しというではありませんか」
「ですが、お疲れになるのではありませんかな?」
「御心配には及びません。潜在能力を起こすのは、体力を消費しませんから」
「では、有難く……」
そして亀仙人達も潜在能力を起こしてもらう事になった。頭に手を置き、言葉を交わしてから潜在能力を起こしていく。
「ち、力が漲ってくる! これが儂の眠っていた力……!」
「ええい、まだ亀には及ばんか! ……いかんいかん、目先の勝ち負けに囚われず、視野を広く持てと言われたばかりではないか」
鶴仙人にも、滅多にいない自分より年上の人格者からの助言は心に深く響いたようだ。さすが最長老様だ。
「急に体が軽くなったようじゃわい」
「力が漲ってくるべ!」
孫悟飯と牛魔王も多少だが気が大きくなっている。二人とも潜在能力を覚醒する前の鶴仙人に近いな。
「じっちゃん達、強くなったんか?」
「ど、どうやらそうらしい」
「よく分かんねぇだよ」
「亀のお爺ちゃんは三割増し、鶴のお爺ちゃんは五割増し、孫君とチチちゃんのお父さん達は四割増しって感じよ」
悟空や天津飯、チチ達まだ気を読むことができない者は彼らの変化を実感できていないため、ブルマにどれくらい気が増えたのか教えてもらっている。
「爺さん達が随分強くなったな。だが、またすぐに追いついてやるさ」
「ようやくちょっとは近づけたかと思ったのに」
一方、ターレスは相変わらず不敵な笑みを浮かべ、タイツはやや悔しそうだった。
「さて、では最長老様、ネイルをお借りしますぞ」
「ええ、実験の成功を祈っています」
そして潜在能力解放が終わったら、外に出て事前に目を付けていた広く平らな地面が広がる島に移動して実験を行う。
「新しい天下一武闘会の武舞台の長さに場外を加えて……ここと、ここか」
儂がそれぞれの地点にホイポイカプセルを投げると、そこに牛魔王と同じくらいの大きさのワイン樽に似た形の装置がそれぞれ出現した。
「しゃちょっ……会長さん、あれはなんだべか?」
「永久エネルギー炉じゃ」
「永久エネルギー炉!? あれがだか!?」
「なんと、あれがサンの中に入っているとは信じられん。サンのここに――ほげっ!」
サンの胸元に手を伸ばそうとした亀仙人が、彼女が払った手に吹っ飛ばされて飛んでいき、隣の島の山に衝突してしまった。
「いたたたっ。あのサンがこんなに元気になって、儂は嬉しいわい」
「武天老師様は、少し大人しくなって欲しいだ!」
弟子の妻にも手を緩めぬとは、原作通りじゃなと儂は思った。牛魔王の方も「武天老師様は相変わらずだべな」と呆れる一方、「今のサンにどつかれても平気なんて、さすが武天老師様だべ」と感心もしている。
「チチ、おめぇの母ちゃんすげえな。オラ、勝負してみてぇぞ」
「そうだべ、おっかあは凄いんだべ」
そんな子供の心温まる交流を聞きながら、儂は「旅のしおりにこれも書いたはずじゃが」と思いつつ説明した。
「サンの中に移植したのは、生体部品で作った小型永久エネルギー炉。これは機械部品で作った、頑丈さとコストカットを両立させた発電用の量産型永久エネルギー炉じゃ。
これ一つで、西の都のエネルギーを全て賄う事が可能じゃ」
自分で作って発電事業に利用してみて改めて気が付いたが、永久エネルギー炉は凄い。名前の通り永久機関じゃし、エネルギー量も凄まじい。
「そんなもんをここに設置してどうするつもりじゃ? この星を開発でもするのか?」
「いやいや、これを動力に使ったある装置を今度の天下一武道会に使う予定なのじゃよ」
次の天下一武道会は以前よりも大会の規模を大きくする事を公に発表している。会場になるパパイヤ島のリゾート開発も一段落したし、会社もGCコーポレーションに合併したしの。
特にこの世界は儂の前世が生きていた『地球』よりも格闘技が世界的な娯楽となっている。前回牛魔王が優勝した大会では世界中の富裕層がパパイヤ島に集まり、テレビ局は放映権料を払い、グッズ販売も盛んにおこなわれている。
その収益の一部を使い、天下一武道会会場をさらに開発する事にした。本戦への出場選手は八名から倍の十六名に増やし、武舞台も倍以上の広さに。観客席にはボックス席なども設ける予定だ。
「なので、出場選手には観客を楽しませてほしいが、以前の環境では全力で戦うのは難しい」
格闘技ならともかく、気功波は流れ弾が観客席に当たる可能性があるため、当然だが放つ時に注意しなければならなかった。
「そこで、ブリーフや副社長と話し合った結果、儂等が空いた時間で開発したのがこれじゃ。ブリーフ、スイッチを」
「うむ、ポチっとな」
ブリーフがリモコンのスイッチを入れた瞬間、二基の永久エネルギー炉の間に高さ百メートル程のバリアが張り巡らされた。
「名付けてシールド発生装置。まあ、機械式のフォトンシールドじゃな。武舞台と観客席との間、四辺全てをこのシールドを二重に立てて隔て、気功波の流れ弾や、勢い余って選手が突っ込んでも観客に被害が出ないようにする予定じゃ」
武舞台を中心にして東西南北に二重にシールドを立てる。二重なのは、もし何らかの要因で永久エネルギー炉やシールド発生装置に不具合が生じた場合に備えてだ。
構造をシンプルにして耐久力を高めた事で、永久エネルギー炉やシールド発生装置の耐久力は発生させるシールドよりも上なので、まず大丈夫だと思うが。
「それで、実験と言うのは?」
「うむ、このシールドに向かって気功波を撃ってみてくれ。様々な性質の気功波を受けた時の実証データが欲しいのじゃよ」
地球では実験できなかったからの。ネイルを地球に呼んで試したら、大騒ぎになっていたじゃろし。
「データ収集のため、気功波を撃つ人の気をこのスカウターで計測し、数値化させてもらう。これも実験なので協力してほしい」
ブリーフがGC製の最新スカウターを付けてそう言う。これも、理論上は一千万以上計測可能だが地球には当時1800だった4号以上の気の持ち主がいなかったので、この機会にシールド発生器と一緒にデータを取る予定なのである。
そうこうしていると、ネイル以外のナメック星人達も約束通り集まって来てくれた。彼らも興味津々な様子でこちらを見ている。
「ほほーっ、それは豪快じゃな」
「良し、やってやるとするか。まずは……」
「では、まずは私が」
鶴仙人と亀仙人の後ろから前に出たのは、なんと孫悟飯だった。
「なんか知らねぇけど、頑張れ、じっちゃん!」
孫の声援を受けた孫悟飯が気を高め、前世の儂が何度も真似た構えを取り……放った。
「かめはめ波ーっ!」
孫悟飯の両手から、エネルギーの奔流が迸る。ナメック星人達が「おおっ」と感嘆の声をあげ、悟空が「すげえ!」と歓声を上げる。
そしてシールド発生装置のシールドに衝突。しかし、シールドを揺るがすことなく消えていった。
「悟飯、見ぬ間に腕を上げたようじゃな」
「いえ、武天老師様。先ほど最長老様に潜在能力を解放してもらったお陰ですじゃ。それにシールドを揺るがす事もできませんでしたし」
そう謙遜する孫悟飯じゃったが……揺るがされたら次の天下一武道会で困るんじゃがな。
「じっちゃん、すげぇな! 今のが、きこーは、ちゅうんか?」
「悟空、気功波じゃ。どれ、次は儂が――」
そう言って前に出ようとする亀仙人よりも先に動いた人物がいた。
「今なら……今のオラなら出来る気がするべ! 見ててけろ、武天老師様、サン、チチ!」
それはなんと牛魔王だった。彼は武天老師の二番弟子でありながら、今までかめはめ波を撃つことはできなかったはずだ。しかし、彼の巨体の中で荒々しい気が高ぶっている。
「かぁぁめぇぇ……はぁぁぁめぇぇぇ………波!!」
牛魔王の巨大な手の中から、孫悟飯よりも太いかめはめ波が放たれた! そしてやはりシールドに衝突して防がれたが、牛魔王は嬉しそうに歓声を上げた。
「やっただ! オラにも出せただ!」
「おっとうっ、凄いべっ!」
「うむ、まだ気は荒いが正真正銘かめはめ波じゃ。牛魔王よ、よくぞここまで技を磨いた。儂もうれしいぞ」
「武天老師様~、勿体ねぇお言葉ですだ~」
おいおいと感動に涙する牛魔王と、もらい泣きするナメック星人の村長衆。
「よーし、オラもやっちゃうもんね!」
そして、孫悟飯と牛魔王に触発された悟空がさっそく真似を始める。
「か~め~か~め~」
儂はそれを聞いて、原作の魔人ブウ編で、少年の部に出場した悟天がトランクスに向かって放とうとした、かめはめ波を思い出した。
「これこれ悟空、かめはめ波じゃ。それにこの技を放つには長い修行が必よ――」
「波っ!」
亀仙人が止める前に、悟空が両手を突き出す。すると、細いが気功波が放たれ、シールドにぶつかり軽い音を立てて弾け散った。
「出せたーっ!」
「だ、出せちゃった……?」
「ば、馬鹿なっ!」
「凄いべ、悟空さ!」
飛び跳ねて喜ぶ悟空と、目を丸くして驚く亀仙人達。まだ気功波を出せない天津飯も、三つの眼全てを丸くして驚愕している。チチは無邪気に誉めているが。
「孫君もやるじゃない」
「オイオイ、あいつも俺と同じサイヤ人だぞ。撃てて当たり前だろうが」
「そう言えば、あんたは前から撃ってたわね。じゃあ、あんたもやってきたら?」
感心するブルマに、褒めるほどじゃないというターレス。そう言うなら自分もやってみろと、タイツに促されて彼も前に出た。
「どうせあのシールドに防がれるだろうが……フォトンウェイブ!」
貫通力ではかめはめ波を超えるターレスのフォトンウェイブだが、彼の戦闘力は牛魔王達より少々高い程度であるため、やはりシールドは揺るぎもしない。
だが、初めてターレスが本気で放ったフォトンウェイブを見た悟空や天津飯が尊敬の眼差しを向けたため、彼のプライドは傷つかなかったようだ。
次にタイツがどどん波を撃って見せた。威力は牛魔王達のかめはめ波よりだいぶ低かったため、本人は撃たない方がよかったかもと言ったが、鶴仙人は鼻高々で亀仙人に威張っている。
「ふははは! 亀の、新しい世代が育っているのは貴様の亀仙流だけではないぞ!」
どうやら、鶴仙人は悟空がかめはめ波を撃てた事に衝撃を覚えたと同時に、タイツがどどん波を撃てた事がうれしくて仕方ないらしい。
「うむ、確かに。幼いのによく鍛えておる。色々な意味で十年後が楽しみじゃわい」
「なんじゃ、妙に素直じゃな」
「儂等は和解したんじゃろうが。弟子の評価で争ってどうする」
「和解なんぞしとらん! 貴様ら亀仙流は我が鶴仙流のライバルである事に変わりはない!」
どうやら、認識に食い違いがあるようだ。
「そこまで言うなら貴様もやってみろ!」
「良いじゃろう! しっかり見ておれ! どどん波!」
潜在能力が覚醒した事で気が以前より増えているにもかかわらず、鶴仙人は見事なコントロールでどどん波を放った。その弾速は牛魔王達のかめはめ波を超え、もし試合で格闘戦の最中に撃たれたら対処するのは難しいだろう。
「ほっほっほ、相変わらず中々の技じゃ。なら、次は儂のフルパワーを見せてやろう。はぁ!」
背中に背負っていた甲羅と神様に作ってもらった重い服を脱ぎ捨てた亀仙人の体が、鋼のような筋肉で一気に膨れ上がる。
もちろん、膨らんだのは彼の肉体の体積だけではない。気も爆発的に高まっている。そして、弟子達とは格の違うかめはめ波を放った。
「ふぃ~、いやいや、大したもんじゃ。これでも揺らぎもせんとは、儂もまだまだじゃな」
「さて、次は儂じゃな。……フォトンウェイブ!」
そして、次は儂がターレスに隠れて開発したフォトンウェイブを放った。儂の努力が実り、ターレスのフォトンウェイブと比べても遜色ない威力と貫通力を実現する事が出来た。
「では、私が地球人組で最後ですね。フォトンウェイブ!」
そして4号も儂に続いてフォトンウェイブを放った。戦闘力3千になった4号の気は、鶴仙人や亀仙人達を驚愕させ、見物しているツムーリ達も「あいつも強くなったな」とほほえましいものを見る目をして頷いている。
なお、サンはまだ気功波を撃つ事が出来ないので見学である。
「会長や4号でも揺るがせんとは、このシールドは無敵か?」
そう呟く鶴仙人だが、実は実験はまだまだこれからが本番なのだ。
「では、ナメック星人の方! よろしく頼みますぞ!」
「任せろ、ゲロ! 行くぞ、皆!」
ツムーリを先頭にしたナメック星人達が、「おお!」と声を出して気功波を放ち始める。彼らの戦闘力は、一番高いツムーリが1万5千。低くても1万。
「こ、この世の終わりか?」
「これでも勝てんのか、悪の帝王には?」
「皆すげぇな! オラもナメック星の皆みてぇに強くなれっかな?」
鶴仙人と亀仙人は顎が外れそうになりながら小刻みに震え、悟空は大はしゃぎしている。
そして、戦闘力が13万になったネイルが全力で気功波を放った時には、二人の仙人は立ったまま失神していた。
だが、シールド発生装置によって作られたシールドはやはり揺るぎもせず耐えきり、実験は貴重なデータを得る事が出来て大成功を収めたのだった。
実験の後、失神から目を覚ました亀仙人は意気消沈していた。自分達とナメック星人達の圧倒的な差を見せつけられたからだ。
やはり、ピッコロ大魔王や地球の神と同じ種族と言うべきか、地球人には限界があると諦めるべきなのか。
4号とサンがナメック星人達に稽古をつけられている様子を見てそう思った。彼にとって圧倒的強者である4号も、ナメック星人達にとってはまだまだ半人前である事に、自分達とは次元が違うのではないかと言う思いが拭えないでいた。
(はてさて、儂等地球人が戦う意味は果たしてあるのか。あるとして、戦うのなら人造人間にでもならなければ力になれないのではないか?)
普段なら抱かない思いを抱いていると、ナメック星人達に話しかけられた。
「亀仙人、だったな? 頼みがある」
「俺達にあの気のコントロールを教えてはくれないか?」
「なんじゃと? 気の制御なら、お前さん達もやっておったじゃろう?」
自分の何十倍もの力量を持つナメック星人達に教えを請われて戸惑う亀仙人だったが、ナメック星人達は本気で彼の技術を欲していた。
「確かに俺達も気のコントロールは習得している。だが、あなたほど緻密ではない」
「あの気を解放した時の爆発的な勢いは、今の我々では再現できないのだ」
そう言われて、亀仙人は思い出した。自分がかめはめ波を撃った時や、その前に鶴仙人がどどん波を放った時、ナメック星人達が感嘆の声をあげていたのを。
「儂等の技は、お前さん達にとって意味があるものなのじゃろうか?」
「ん? もちろんだ、亀仙人。地球人の技術力は、科学でも武でも素晴らしい」
ナメック星人……ツムーリは正直に答えた。
「だが、儂等地球人はお前さん達ナメック星人に比べればずっと弱いと思うが……?」
「確かに、今は我々とお前達地球人では圧倒的な差がある。だが、それは地球人が他の宇宙の星々と交流していなかったから、そして平和だったからだと思う」
種族的にナメック星人の方が地球人より勝るのではないかと思い込みかけている亀仙人だったが、ゲロの瞬間移動によって地球を何度か訪れた事があるツムーリの意見は違った。
彼はナメック星人と地球人には、それほど優劣の差はないと考えていたのだ。差があるとすれば、種族が培ってきた経験と置かれた環境の差だ。
ナメック星人はかつて他の惑星とも交流していたから、危険な異星人や宇宙海賊の存在を今も最長老が記憶している。そして、その記憶は子である彼らにも受け継がれている。だから各村に数人ずつツムーリのような者が、ネイルのような戦士タイプには遠く及ばないものの体を鍛え村の守りとして備えてきた。
それに対して地球人は、大多数の者は宇宙人が存在するのはオカルトやSFの中のみだと思っている。脅威に対する備えも、同じ地球人の犯罪者や妖怪変化に対してぐらいで、ナメック星人達が想定している脅威と比べると雲泥の差がある。
「なるほど……うむ、確かにそうかもしれん」
亀仙人はツムーリの持論に大いに納得し、折れかけていた心が再び活力を取り戻すのを感じた。
言われてみれば確かに、ナメック星人である地球の神様も力量ではネイルはもちろんだが、ツムーリ達にも遠く及ばない。自分も、「宇宙に君臨する悪の帝王を倒す」という目標が無ければ、今のように修行を再開してより強くなろうとは思わなかった。
まだまだ自分は、そして地球人は未熟。そして未熟という事は、これから幾らでも強くなれるという事だ。
「よし、儂は滅多な事では弟子はとらんが、特別に教えてやろう!」
こうして立ち直った亀仙人は、ツムーリ達に亀仙流の気の制御を伝えたのだった。
なお、鶴仙人は彼が意気消沈している間も元気に修行に励んでいた。
「ちっ、もう立ち直りおったか。今のうちに差を縮めてやるつもりだったというのに」
「せこいと言うべきか、めげない強さを褒めるべきか」
「ふんっ、儂はもう会長と4号で慣れておるからな!」
こうして地球人達のナメック星修行は始まったのだった。
・シールド発生装置
永久エネルギー炉を動力源に使用した場合、現時点での技術力で戦闘力20万の気功波まで防ぐことができる。
事前に準備して設置すれば、大猿ベジータを閉じ込める事も可能だが、多分地面を掘られて脱出されてしまう。
ただ、機械であるため当然だが気を発しないため、気を感知する事が出来るスカウターでも察知する事が出来ない。
ゲロとブリーフが、空いた時間で開発した天下一武道会の試合で気功波を使うための装置。このままシールドの防御力を上げる事が出来れば、魔人ブウ編でベジータが観客を殺害するような凶行を防げるかもしれない。
現時点で戦闘に使う事は考えていないが、将来的にはさまざまな改良が施される予定。
・ネイル
現在の戦闘力13万。4万2千から十年以上重力トレーニングとトレーニングスーツを併用した修行で、戦闘力を三倍以上に高める事に成功した。
ネイルVSネイル以外のナメック星人全員で戦っても圧勝できる力を持っている。
ギニュー特戦隊相手でも、ギニューのチェンジさえ気をつければ十分勝ち目はある。しかし、実は最近伸び悩んでいる。
・ツムーリ、マイーマ 他のナメック星人戦士
平均的な戦闘力は1万2千。下は1万、上はツムーリが1万5千。最長老に潜在能力を覚醒してもらったのち、重力トレーニング室とトレーニングスーツの併用した修行を十年以上続けた結果、非戦士タイプの龍族でありながら、戦闘力1万越えを果たす。
これならドドリアも簡単には倒せない。ナメック星人の意地を見せられるのは確実である。
ただ、実は自分達以外の相手と試合をした経験が少ないため、戦闘経験の豊富さではドドリアの方が上……かもしれない。
地球人組と比べると圧倒的な力を持っているが、地球人の優れた気のコントロール力と技の創造性に驚嘆している。特に地球の街を見た事があるツムーリは、地球人は戦闘に向いている種族でもないのに、何故これほど気の制御が巧みになり、様々な技を編み出すことが出来たのだろうと感心している。
・潜在能力覚醒による戦闘力の変化
4号:1800→3000
亀仙人:295→354
鶴仙人:140→210
孫悟飯(老):105→145
牛魔王:100→140
V・X・T様、壬生谷様、お食事処様、ヨッシー7w76kxZ様、雪凪ハーメルン様、匿名鬼謀様、ユウれい様、そばもやし様、しゃーとん様、鶏肉500g様、対艦ヘリ骸龍様、nicom@n@様、CURURU様、変わり者様、佐藤浩様、たえたえ様、アクルカ様、ステルス兄貴様、キンググリッソム様、ばちばち様、 妖怪首置いてけ様、ヒロシの腹様、酒井悠人様、にぼし蔵様、車椅子ニート(レモン)様、RPG大好き様、黄金拍車様、L-Nest様、どてら様、劉魔様、くるま様、よんて様、太陽のガリ茶様、タクサン様、あんころ(餅)様、誤字報告ありがとうございます。