ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
色々な意味で白熱した戦いになった第六試合が終わり、第七試合が始まった。
『それでは一回戦第七試合を始めますので、ターレス選手とサン選手、武舞台へ!』
「次はターレス兄ちゃんとチチの母ちゃんの番か。どんな試合になんのか、オラ、ワクワクして飯食ってる暇がねぇぞ!」
「今のうちにお代わりを用意しておいてね。試合が終わったら、きっと悟空ちゃんはまた食べ始めるわ」
悟空が武舞台に上がるターレスとサンにキラキラと輝く瞳を向けている後ろで、パンチー夫人が料理のお替りを手配する。コック達の戦いは、まだ始まったばかりだ。
夫のブリーフは、ゲロから頼まれたデータの解析に勤しんでいる。
「おっかあ、頑張れーっ!」
「まあ、サンさんの方が圧倒的だもんね。ターレス兄さんは諦めないと思うけど」
母を応援する横で、ブルマは冷静に二人の実力差を測っていた。そして、彼女の見立て通り、ターレスとサンの気の大きさには、圧倒的な差があった。
「やれやれ、我ながらクジ運が悪いぜ」
ターレスの今の戦闘力は300。ナメック星に行く前の鶴仙人はもちろん、亀仙人にも負けない数字だ。
「手加減はしても、油断はしねぇだぞ」
だが、そう言って構えるサンの戦闘力は7千。ターレスの二十倍以上の数字だ。まだツムーリのように修行した龍族のナメック星人には及ばないが、戦士タイプのナメック星人の子供達とは互角以上に戦えるようになっている。
「へっ、せいぜい足を掬ってやるさ」
だが、ターレスはサンに勝つ事を諦めていなかった。これが殺し合いで、相手が歴戦の戦士だったらターレスも諦めただろうが……これはルールのある試合だ。
(しかも、相手は武道を始めて一年足らずで、有難い事に手加減してくれる。勝ち目が全くないわけじゃねぇ)
『試合開始!』
「行くぜっ!」
試合が始まると同時に、ターレスは武舞台を跳ねまわり、多重残像拳を展開。無数のターレスがサンを二重三重に取り囲む。
「むっ、オラだって気の感知はちゃんと身に付けてるだ。残像になんか惑わされねぇべ」
サンはそう言って目を閉じ、気の感知に集中する。実は、彼女の気の感知の完成度は自分の言った程には高くない。ゲロや4号、亀仙人や鶴仙人なら激しい動きをしながらでも可能だったが、彼女にはまだできない。
「……そこだべ! えっ?」
僅かな気を感じ、それに向かって踏み込み拳を突き出す。だが、それは残像だった。しかも、消えた残像のすぐ後ろには、指先程の小さな気弾が浮かんでいた。
サンの拳に触れ、爆発する気弾。当然、そんな小さな気弾が当たったところで、彼女には僅かなダメージもない。
だが、注意を逸らすには十分だ。
「言ったはずだぜ、掬ってやるってな!」
気を消して残像の中に隠れていたターレスは、サンの足元に滑り込むと尻尾で彼女の脚を薙ぎ払った。
「んきゃっ!?」
「フォトンシールドっ! はぁ!」
そして、バランスを崩して転倒しかけたサンに向かってフォトンシールドを展開し、気功波を発射。彼女をフォトンシールドごと場外へ吹き飛ばそうとした。
これがターレスの考え付いた唯一の勝ち筋だった。
サンからも、そして念のために観客席からも気弾を隠すために多重残像拳で無数の残像を作りだし、自分は気を消して潜み、囮の気弾に引っかかった彼女の脚を払って場外に落とす。
サンの気の感知力の未熟さと、戦闘経験の浅さをついた作戦だった。しかし……。
「はぁ!」
サンは場外に堕ちる前に武舞台に踏み留まり、ターレスのフォトンシールドを拳で叩き割ってしまった。
「チッ、やっぱりダメか」
「ターレスちゃん、今のは危ないところだっただ。でも、もう通用しねぇぞ!」
「へっ、やってみろ!」
その後、ターレスは身の軽さを活かして逃げ回りながら機を狙うが、一度負けかけた事で火が付いたサンに彼の付け入る隙は無い。最後はサンのフォトンシールドとかめはめ波の合わせ技で場外のシールドに叩きつけられて敗北したのだった。
『いやはや、第七試合も白熱したいい試合になりましたね。武道にも女性の時代が到来しようとしているのかもしれません。
一回戦最終試合は、そんな女性選手の三人目タイツ選手と、本大会のメインスポンサーであるGCコーポレーション会長のゲロ選手の対戦です!』
「お爺ちゃん、手加減してね!」
「ははっ。もちろん手加減はするが、油断はせんぞ」
『始め!』
サンとほぼ同じセリフだが、ゲロも伊達に二十年以上武道を嗜んでいない。サンと違い気の感知の完成度は高く、殺し合いの経験はないが、実戦形式の組手はタイツが生まれる前からしている。
そして二人の力の差も、ターレスとサン並みに大きい。タイツの今の戦闘力は180。そしてゲロの戦闘力は4千。二十倍以上だ。
「行くぞっ!」
だからこそ、ゲロにはサン以上に余裕があった。気をタイツより多少大きい程度に加減して、彼女に普段よりやや厳しい稽古をつけるつもりで立ちはだかる。
「やあっ!」
そんなゲロに対してタイツがまず挑んだのは、立ち技の応酬だった。ゲロが手加減しているので拳や蹴りの応酬になっても、耐えられる。
しかし、ゲロが手加減しているのに対してタイツは全力で当たらなければならない。このまま続けても、先に体力が尽きるのは圧倒的にタイツの方が早い。
どうするのかとゲロが考えていると、タイツの姿が彼の視界から掻き消えた。
「どどん波!」
「瞬間移動か」
次の瞬間、背後に生じたタイツの気配を感知したゲロは、彼女の声を聞くよりも先に左に大きく避けた。自分の胴体があった場所を気功波が貫くのを認めながら、振り向きざまに足払いを放つ。
「っ!?」
すると人差し指を伸ばしたタイツが、とっさに飛んで足払いを避けた姿がゲロの視界に映った。彼女は瞬間移動でゲロの背後を取ると同時に、どどん波を放ったのだ。
そのまま舞空術で上空に逃れようとする彼女を追って、ゲロも空中に飛ぶ。だが、再び彼の背後に気が迫っていた。
(戻ってきて、サイコどどん波!)
なんと、タイツは超能力で自身が放ったどどん波の軌道を操っていたのだ。
最初の瞬間移動による不意打ちが避けられるのは、織り込み済み。本命は、軌道を操ったどどん波による再攻撃だった。
だが、サイコどどん波がゲロの背中に当たる。その直前、ゲロの姿が掻き消えた。
「えっ?」
残ったのは、自分に向かってくるサイコどどん波のみ。
「えええっ!? ちょ、ちょっと待って!」
とっさに超能力で軌道を逸らそうとするが、時間が足りない。このままでは自分の放ったサイコどどん波が、自分に直撃する。
「フォトンシールド」
だが、タイツのサイコどどん波は彼女の前に発生したシールドによって防がれた。だが、それを為したゲロが手刀で彼女の意識を刈り取る。
「いや、惜しかった。観客が居なければ、まんまと策にはまっていたじゃろう」
ゲロは観客の反応からタイツがどどん波の軌道を操っている事に気が付き、瞬間移動で彼女の背後に回ったのだ。
そして気を失ったタイツをサイコキネシスでゆっくり武舞台に降ろし、実況がカウントを取って試合終了。ゲロの勝利となった。
第七と第八試合を見ないまま、トワはミラを連れて観客席から立ち去っていた。実験の結果は十分。やはり、自分達以外の歴史改変者が存在し、この歴史に何かを仕組んでいるとしか考えられない。
「なら、そいつらも俺が倒す」
「慌てないで、ミラ。何も私達が戦う事はないわ。そいつらの始末は、タイムパトロールに任せましょう」
しかし、トワは自ら積極的に動いて自分以外の歴史改変者を排除するつもりはなかった。
「もちろん連中が私達の目的の障害になる場合や、私達を排除しようとしてきた時は別よ。でも、そうでないならそれはタイムパトロールの仕事。連中を手伝ってやる義理はないわ」
むしろ、他の歴史改変者がタイムパトロールを引き付けてくれている間に、十分なキリを集めて自分達の目的を達成できるかもしれない。
もちろん、現実はそう上手くはいかないだろうし、別の歴史改変者も自分達に対して同じことを考えているかもしれない。それを承知の上で、トワは自分達からは手出ししないと決めた。兄であるダーブラを取り戻した後ならともかく、自分とミラだけでは、タイムパトロールと他の歴史改変者を同時に敵に回すには戦力が足りないと判断したのだ。
「それにミラ、あなたがどれだけ強くても一人だもの。他の歴史改変者とタイムパトロールと同時に戦う事に成ったら、手が足りないわ。
手が足りない……そうね、この際だから誰か適当な奴を手下にしましょう。ダーブラお兄様を取り戻すまでの間は、それで間に合わせればいい」
「……分かった」
そして、ミラとトワはこの時代からも姿を消した。
一回戦を終えた儂等は、滞在先のホテルに戻っていた。
一回戦では幸いにしてメディカルポッドを使う程負傷する者はおらず、桃白白やターレスも4号が治療するだけで済んでいた。しかし、それとは別の出来事があった。
「私を弟子にしていただきたい!」
「いや、お前さんは自身の流派を持っているじゃろう? 弟子も何人もいるようじゃし」
「弟子達には既に話をしてあります。私も、王の名は捨てる覚悟! どうか、このチャパに教えをお授けください!」
アックマンに敗れたチャパ王が、桃白白に勝った亀仙人に弟子入りを志願しているのだ。
自分以外の選手が気功波を当たり前のように(ギランとランファンは強化された結果、出来るようになっただけだが)放つのを見て、今以上に強くなりたければ他者に頭を下げて教えを受ける必要があると痛感したそうだ。
原作ではなかった展開だが……原作では亀仙人が武天老師である事を明らかにして大会に出場していなかったし、今はチャパ王が原作初登場する約九年前だ。彼の心境も原作とは異なるのだろう。
……トワだかドミグラだか知らんが、歴史改変者がいるらしいことが分かったのに、歴史改変者が手を出していないところでどんどん歴史が改変されていくのは何故なのか?
歴史改変者がギランやランファンを強化するだけで引いたのは、自分達が手を出さなくても勝手に歴史が改変されていく事に気が付いたからかもしれない。
いや、改変されているのは歴史や未来ではない。儂は『原作』を知っているだけの現在を生きる一人の人間なのじゃからな。(と、ゲロは思っている)
「いいのではないですかな、武天老師様。彼はかなりの才の持ち主ですし、覚悟もあるようです」
「武天老師様も、新しい弟子を探していたところじゃねえですか。丁度いいべ」
「儂はランファンちゃんに声をかけるつもりじゃったんじゃが……まあ、よかろう。しかしチャパよ、儂の修行を受けるにはまずピチピチギャルを――」
「いや、亀よ、いくらなんでもそれは無かろう? 一流派を率いる者がその立場を投げ打つ覚悟で頭を下げておるのじゃ」
二人の弟子の勧めと鶴仙人の常識的な苦言によって、チャパ王改めチャパは亀仙人の三人目の正式な弟子となり、ピチピチギャルを連れて来る試練も先延ばしになったのだった。
「延期……止めはせんのですな」
「我が亀仙流の伝統じゃからな。それよりゲロよ、ランファンちゃんと悟飯の試合を録画していたようじゃが?」
「ええ、ブリーフとの解析が上手くいきまして、ギランとランファンの両名に何が起きたのかだいたい判明しました」
ギランの時は一応用意していただけの計測機器だけだったが、ランファンと孫悟飯の試合には本社から取り寄せた計測機器が間に合った。そのお陰で、おそらくこれがキリではないかと推測されるエネルギーを特定する事に至った。
特定したと言っても検知しただけで、儂等がキリを利用する事は出来んが。……出来たら、儂等までタイムパトロールに成敗されてしまいそうなので、出来なくて幸いかもしれん。
さらに言えば、儂等からキリによる干渉を防ぐことも出来ん。せいぜい、気を強く持つとか、心を乱さないとか、そうした精神論に頼る方法しかないな。
……とはいえ、ゲームではトワやドミグラは悟空達ではなくサイヤ人襲来編のラディッツやナメック星編のフリーザ等の原作のボス、劇場版の敵などを強化する事が圧倒的に多かった気がする。防ぐ事が出来る装備を開発できたとして、どうやって彼らに身に付けさせるのかと言う問題が立ちはだかるのだが。
「それで、そのキリとやらを使って試合に手出しをした連中の目的は何なのだ? 会長は何かを知っているようだが」
「うむ、桃白白の言う通りじゃ。かつて解析した古文書に記されていた情報じゃが……暗黒魔界という世界の手の者だと思われる」
この先のトワやドミグラの行動が予想できないので、仙豆や超神水、魔封波と同じように未来予知ではなく古文書から情報を得た事にする。
「暗黒魔界とは……そんな世界が存在するのか」
「して、奴らの目的は?」
「さて、そこまでは。儂も今日まで暗黒魔界の存在については半信半疑でしたからな。その古文書の記述によると暗黒魔界は既に滅んでおり、その復活のために必要な力を求めているとも、界王様のさらに上におられる界王神様の地位と秘宝を狙っているのだとも書かれていましたが、何分古文書の記述ですからな。真実とは限りません」
トワやドミグラ、そしてメチカブラは暗黒魔界出身なので、嘘でない。まあ、真実でもないが……この時点で原作ゲームの彼女達の情報を全て話しても出来る事は少ない。そもそも、儂がトワ達について知っている事は少ない。前世の儂は、コミックは読んだがゲームはしていなかったからの。
「ふむ……とりあえず、今の内はどうにもできんか?」
「難しいですな。なんらかのエネルギーを計測は出来たので、彼らが干渉したらそれを察知する事は出来ますが」
下手に手を出しても、今の儂等では一方的に蹂躙されるだけじゃからな。連中、最終形態のフリーザよりはるかに強いし。
せめてこちらの戦闘力が数十億単位にならんと、どうにもできん。
それに、相手がトワとミラだけなのか、ドミグラもいるのか、更にメチカブラまでいるのかも分からん。メチカブラが動いているのなら、ドミグラはこちらに利用価値がある事を示せれば共闘できそうだが、だとしてもそれはタイムパトロールの役目じゃろうし。
なお、フューやらハーツやらは考えんでおく。
フューは色々と分からない事が多すぎるし、ハーツの方は確か歴史は改変していなかった……と思う。直接的な危険度はハーツの方がかなり高いが。
「ならば、どうしようもないな。儂等にできるのは心身を鍛え、奴らが何かを仕掛けてきたとしても、倒せるようにするだけじゃ。
各々、気を引き締め一層修行に打ち込むのじゃ」
歴史改変者に対しては、亀仙人がそう纏めた事で儂等は今出来る唯一の対抗策である「修行」により打ち込むことになった。
なお、その歴史改変者の介入の兆しにいち早く気が付くためにと言う名目で、鶴亀両仙人や桃白白、孫悟飯がブリーフからランファン対孫悟飯の試合の映像データを分けてもらっていた。
「皆強かったな~、オラ、ワクワクしすぎて飯を食うのも忘れちまったぞ」
「悟空、試合の合間に豚の丸焼き平らげてた」
「おう! 試合が終わった後で飯を食うのを思い出した!」
「ターレスやタイツさんは凄いな。それに比べて俺はまだまだだ」
「手加減してもらった、ってんなら俺もタイツも同じだぜ、天津飯」
「天、天のどどん波凄かった。天は凄い!」
「桃白白様も格好良かったけど、かめはめ波で逆転した亀のお爺ちゃんもなかなかよね。あたし、かめはめ波も教えてもらおうかな~」
「会長さんも悟飯さんもすごかったべ。ああいうのが、紳士的っていうんだべな」
年少組は儂等が時間改変者について話している間に、ワイワイと今日の試合について楽しげに話し合っていた。
あくる日、今日は天下一武道会の二回戦と準決勝が行われる。
二回戦第一試合は4号対チューボの試合だったが、これは順当に4号が勝利した。天津飯と同じように実戦形式の稽古をつける感覚で手加減し、チューボが全力を出し切るまで付き合い、最後は蹴り技で場外に弾き出して試合は終わった。
『二回戦第二試合、アックマン対鶴仙人選手! 正義の悪魔と正義のヒーローの兄兼師匠の対決です!』
「桃白白ではなく、その師と戦う事になるとはな」
「フッ、アックマンとやら。お主の力をこの鶴仙人が見てやろう」
アックマンは一回戦の牛魔王と鶴仙人の試合を見ていたので、彼を格上の相手と認識して最初から空を飛び、尻尾も使って盛んに攻撃を仕掛ける。
だが、アックマンの攻撃は全く通用しなかった。
「貴様以上に尻尾癖の悪い小僧と組手をしておるからな、その程度では掠りもせんぞ!」
「チィ! ならば……アックショット!」
「フッ、どどん波!」
立ち技の応酬では勝ち目はないと判断したアックマンは、アックショットを連射し始めるが、それも鶴仙人のどどん波の連射で撃ち落とされてしまう。
このままアックマンは押し負けるのか。そう思った瞬間、アックマンは手を背中に回して組み、上段から振り下ろしながら特大の気弾を放った。
「アックバスター!!」
なんと、アックマンはアックショットだけではなくアックバスターという必殺技も編み出していたのだ。アックショットが拳銃なら、アックバスターはバズーカ砲といったところだろうか。
「どどん波!」
だが、鶴仙人が気を込めたどどん波に貫かれて砕け散り、その向こうにいたアックマンは避ける事も出来ずに撃ち落とされて場外に墜落したのだった。
『場外! 鶴仙人選手の勝利です!』
「儂に負けたとはいえ、独自に技を編み出すとは見事なセンスじゃ。どうじゃ、我が鶴仙流の弟子にならんか?」
「フン! 桃白白の兄弟弟子になるなんぞお断りだ! 次に占い婆様の宮殿に来た時は、今以上に強くなって貴様らの前に立ちはだかってやる!」
こうして正義の悪魔、アックマンはベスト4に残る事なく敗退したのだった。
二回戦第三試合は亀仙人対孫悟飯
「さて、久しぶりに稽古と行くかの」
「全力で行きますぞ、武天老師様」
亀仙人と孫悟飯の戦いは、武術の達人同士の技と力のぶつかり合いになった。
「なんじゃ、舞空術は使わんのか?」
「武天老師様なら、実は浮くのがせいぜいだと見抜いておいでだと思いましたが?」
「にわか仕込みの技で得意げにはならんか。浮かんだら撃ち落としてやろうと思っておったのに」
戦闘力では亀仙人の方が悟飯の倍近い。しかし、悟飯は長年の勘で亀仙人の動きを予想し、中々決定打を入れさせない。
「ジャンケン、チョキ!」
「ぬう、チョキと言いながらグーを出すとは、卑怯じゃぞ、悟飯!」
「なに、これも勝負の厳しさですわい! かめはめ……波!」
「かめはめ波ぁ!」
「ぬっ、くっ、ぬおおおおっ!?」
そして奥義の打ち合いによる勝負は、孫悟飯が耐えきれずに観客席前のシールドまで吹き飛ばされて、亀仙人の勝利に終わった。
そして二回戦第四試合、サン対この儂、ドクターゲロ。
「会長さん、手加減はしねえだぞ」
「無論じゃ。儂も伊達で二十年武道をやっている訳ではない」
『二回戦最終試合、始め!』
試合が始まると、サンは儂から距離を取って気弾を放つ遠距離戦を展開しようとした。確かに、気の大きさは彼女の方が上で、しかも永久エネルギー炉をサブシステムとして組み込んである。天下一武道会のルールに則った試合で、儂が彼女に持久力で勝つことは、絶対にない。
「させんぞ!」
だからこそ、儂はサンに遠距離戦を展開させるわけにはいかん。仕掛けを施しながら、瞬間移動でサンの背後に移動する。
「っ! そこだべっ!」
だが、それを読んでいたサンは儂が瞬間移動すると同時に背後に向かって裏拳を放った。
「良い反応じゃ、だがまだ行くぞ!」
そして儂は拳で彼女の裏拳を受け止め、その場に留まって彼女に格闘戦を挑む。
裏拳を受け止め、脇を狙ってジャブを放って命中させるが、決定打には至らない。顔を顰めたサンが振り返りざまに回し蹴りを放ち、それを受け止めるのに儂は両腕を使わなければならなかった。
「っ!? だ!」
儂が蹴りを回避ではなく防御して持ち堪えたのが、予想外だったのだろう。驚いた様子のサンが、とっさに儂に向かって気弾を連射する。
できればこのまま不安定な姿勢の彼女の脚か胴体を攻撃したかったが、とっさに放った……いわゆるグミ撃ち気弾でも、儂では無視できないダメージを受けてしまう。原作ナッパと戦闘力は同じでも、儂は彼ほどタフではないのだ。
彼女の脚から両腕を放し、気弾を防御する。
「っ! シールド!?」
そう、儂はバックラー……拳より一回り大きい程度のフォトンシールドを両手に張り続けながらサンの攻撃を受けていたのだ。
「そんな事、出来たんだべか!?」
「小型化と省エネは世の常じゃからな!」
このフォトンシールドのお陰で、儂はサンの攻撃を受け止める事が出来ている。これが無ければ、防御しても耐えきれずに蹴り飛ばされているところだ。
「だども、なんでオラの動きが分かるんだべ!?」
そう言いながらも、大技では隙を突かれてカウンターを受ける危険があると学んだサンは、ジャブを連続で繰り出しながら合間にローキックを織り交ぜる手数で押す作戦にでた。
しかし、儂はそれらを全て両手の盾で受け、足払いは舞空術で回避する。力だけではなく速さもサンの方が上だ。だが、儂は彼女を改造した天才科学者である!
「それはサン、儂がお前さんの戦闘データを知り尽くしているからだ!」
儂の目では、サンの速さは見切れない。しかし、儂の頭脳はサンの動きを知り尽くしている。拳や蹴りの重さ、速さ、動きの癖まで。ルールに縛られた天下一武道会の試合で、対戦相手がサンなら、儂は本当に未来予知が出来るのに等しい。
……戦闘をしながらデータ解析と予想なんて事が生身で出来るのは、かつて最長老様に潜在能力を起こしてもらったからじゃがな。
「くっ、だども、計算だけで勝負は決まらねぇべ!」
「その通りじゃ、儂が解析しているのは過去のサンのデータじゃからな。だが、具体的にはどうする!?」
「こうするだ!」
儂が煽るように尋ねると、サンはその返事を大ぶりの右ストレートで返してきた。
「ぬぅっ!」
サンはそのまま、連続突き蹴り、気をしっかり溜めた気弾、回し蹴り、アッパー等、パワーが乗った動きの大きな攻撃を繰り返してきた。
儂はそれを全力で防御しながら、隙を突いて気弾やどどん波、コンパクトなジャブや蹴りで反撃する。
「てやぁーっ!」
しかし、サンの猛攻は衰えない。儂はこのままでは負けると判断した。
普通なら、ダメージの蓄積と体力の消耗でサンの方が先に負けるだろう。しかし、彼女はこの天才科学者が改造した人造人間! 永久エネルギー炉によって体力が常に回復し続けているため、儂の計算では彼女のスタミナが尽きるのはまだずっと先だ。
そして儂の細々とした反撃は戦闘力の差が大きいため、実は見た目ほど彼女にダメージを与えていない。痛みも、戦いの興奮でほとんど感じていないだろう。
もし仮に大ダメージを受けても、サンにはナメック星人の細胞も組み込んである。地球人なら戦闘不能になる傷を負っても、意識と十分な体力が残っていれば、数秒集中するだけで回復できる。
逆に、儂はサンの全力の攻撃を一度でも防御するのに失敗すれば大ダメージを受けてしまい、しかも回復する手段はない。
だから、サンの戦法は間違ってはいない。……これがルールのある試合でなければ。
「太陽拳!」
「くうっ!」
儂はサンの視覚を太陽拳で潰し、儂を残して彼女の背後に回り気を消した。
「こんな近くで太陽拳さ使っても、意味がねぇだぞ!」
「ぐおっ!」
そして、サンはそのまま彼女の前にいる方の儂を殴りつける。防御も間に合わず、まともに彼女の拳を受けるもう一人の儂。
「だだだっ、だぁ! かめはめ波ぁ!」
さらに拳のラッシュの後、蹴り上げてからのかめはめ波でもう一人の儂を吹き飛ばすサン。あまりの容赦のなさに耐えきれず、もう一人の儂は計算通り掻き消える。
「き、消えちまった!?」
「フォトンウェイブ!」
「えっ、なんで後ろにいるんだべぇぇぇ!?」
そして、儂は背後から全力のフォトンウェイブで彼女を場外へ吹き飛ばしたのだった。
「ふう、危ないところじゃったわい。……四身の拳を不完全ながら習得しておいて助かった」
太陽拳を使った後、儂は鶴仙流の技である四身の拳……まだ二人にしか分身出来ないので、二身の拳と言うべきかもしれん……を使った。分身をサンの前に残し、本体の儂は瞬間移動で彼女の背後に移動して気を隠して隙を伺っていたのだ。
気が半分になった分身の方の儂は、サンの攻撃に耐えきれず消えるから場外に落ちる事もない。そして、儂を倒したと思って隙だらけになったサンの背後から本物の儂がフォトンウェイブを放って、彼女を逆に場外に落としたのだ。
(儂の目的は妻を最強の人造人間にして復活させる事。儂自身が最強になる必要はない。だがまあ、仮にも生みの親になった以上簡単に負けるのも面白くない。
それに、研究も武道も本気でやるから面白いのじゃ)
『場外! サン選手、ゲロ選手の残像に惑わされ背後を取られて場外に落とされてしまいました! ゲロ選手の勝利です!』
どうやら、実況と観客は儂の四身の拳を残像拳と勘違いしているようだ。まあ、そう思わせておいた方が後々やりやすいので、このままにしておこう。
〇戦闘力の変化+阿井 上夫様から頂いたソロイラスト
・ターレス:120→300 現在八歳。サイヤ人として順調に成長中。ようやくナメック星人の一般人と互角レベルに至った。
【挿絵表示】
・サン:1000→7000 ナメック星での修行で、メキメキと急成長。人工的にサイヤ人と地球人の混血になったため、潜在能力が上がった模様。また、基本的には亀仙流の修行を受けているが、ゲロが創った人造人間でもあるためかめはめ波とフォトンシールドを習得している。
【挿絵表示】
・ゲロ:1000→4000 ナメック星での修行で、それなりに成長。某名門出のエリートと総合的には互角ぐらい。また、四身の拳を不完全だが習得している。
【挿絵表示】
・タイツ:180 現在十歳。トレーニングスーツや重力トレーニング室を使っての修行にも耐えられるようになった。また、超能力とどどん波の合わせ技であるサイコどどん波と言う技を開発した。
{IMG72665}
{IMG72965} (修正版) 現在何らかの不具合で閲覧できなくなっております。お手間をおかけしますが、阿井 上夫様のページで閲覧していただければ幸いです。
・トワ&ミラ
十分な実験結果から、自分達以外の歴史改変者の存在を確信。戦力にするための手下を別の時代から調達する模様。
・チャパ王
チャパと名を改め、亀仙流の三番弟子に。原作にはない決断だったが、その理由は本分にある通り、1:亀仙人が武天老師である事を明かしている状態で大会に出場しており、チャパが接触可能だった。 2:チャパが本戦に出場するも、彼以外の選手がことごとく気功波を放った事で、気功波を撃てない事に危機感を抱いたため。
めでたく悟空やクリリンの兄弟子になった。
・アックバスター
アックマンが打倒桃白白のために編み出した必殺技。特大の気弾を打ち出す技で、放つ時の動作は大きいが必要な時間は短い。
・プロット1号
プロット1号では、もう原作が始まっているはずでした(汗 その代わり、鶴仙人や亀仙人とゲロはまだ出会っておらず、サンは未登場で桃白白やネイルも今ほど活躍しないはずでしたが。
今の時点で「おい! 汚いからかたづけておけよ、そのボロクズを」状態です。まあ、現在書いていている方が楽しいので全く問題はありません。……2号も限界を迎えましたが。
現在はプロット3号が引き継いでおります。
・四身の拳
天津飯が使う技だが、拙作では鶴仙流の高度な技と解釈しています。
天津飯が三つ目族だから出来る技かもしれないが、原作アニメではピッコロとクリリンが三人に増えてナッパと戦っている。なので、多分地球人も使える……と思う。
鶴仙人や桃白白が使用しなかったのは、「増えた分、一人一人が弱くなってしまう」という欠点を知っており、そのデメリットを被ってまで使う意味のあるシチュエーションではなかったからだと思われる。
なお、ゲロは現時点では二人にしか増えられない。
ヨシユキ様、みそかつ様、路徳様、コダマ様、酒井悠人様、にぼし蔵様、カド=フックベルグ様、寒河江椛様、たまごん様、あんころ(餅)様、ヒロシの腹様、竜人機様、gsころりん様、クラスター・ジャドウ様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。