ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

34 / 143
34話 第24回天下一武道会、三つ目の戦士VS正義のヒーロー、サイヤ人VSサイヤ人!

 激戦で幕を閉じたターレス対チャパ王の一回戦第五試合に続き、第六試合が始まった。

『チャオズ選手は鶴仙流の高弟の一人で、なんと天津飯選手の弟弟子にあたります! 試合に対する意気込みをどうぞ』

 

「ぼ、ボク、頑張る!」

 緊張した様子で発せられたチャオズの一言に、観客達は三度微笑ましい気分になった。

 しかし、チャオズ本人に取ってはそれどころではない。対戦相手は、彼にとってあまりにも強大だ。

 

『対するギネ選手は今回初出場ですが、なんと前回大会で五位決定戦まで進んだ孫悟飯選手の義理の娘さんです!』

 なんと、チャオズの相手はギネだった。ムデンに当たったブルマよりも彼のくじ運は悪いと言えるだろう。

 

『これは鶴仙流と亀仙流の弟子対決と言えるのでしょうか?』

「どうかな? あたしが亀仙流を教えてもらい始めたのはだいたい三年前で、チャオズ君の方が武道を始めたのはずっと先だからね。この通り胴着は着ているけど」

 ギネは戦闘服ではなく、亀仙流の山吹色の胴着を着ていた。戦闘服は今の地球では防御力が高すぎるからだ。

 

『ところで、ターレス選手とご子息の悟空選手が似ていますが……?』

「あー、それはえーと、民族性ってやつだったかな? あたし達の民族は似た顔が多いんだよ」

 まだサイヤ人の事は公にしていないので、ギネやターレスは尻尾のある民族出身、という事になっている。ナメック星人という宇宙人の存在を認識した地球人だったが、ここはギランのような怪獣も地球人と認識される文化の星だ。

 

 大猿に変身するところを見られでもしない限り、尻尾があること以外地球人と外見の特徴が似ているサイヤ人が宇宙人だと気が付くのは難しいだろう。

 圧倒的過ぎる強さに関しても――。

 

「あたしも人造人間に改造してもらったから、会長の爺さんの所に顔を出す機会は多いし、ターレスはもう一人の息子みたいなもんだから、疑う人が出るのも分かるけどね」

 前回大会で4号が優勝し、5号のサンも五位に入賞した事で、「人造人間なら強くて当たり前か」と納得する人間が圧倒的に多い。

 

『なるほど、確かに世界には同じ顔が三人はいると言いますし、民族性なら仕方ないですね。では、両選手前へお願いします!

 ……試合、開始!』

 

「行くぞ!」

 そして始まった第六試合は、チャオズの連続瞬間移動で始まった。

 チャオズの戦闘力は35と、三年前と比べると圧倒的に上がり、瞬間移動を習得するに至っている。

 

「ブルマちゃんだけじゃなくてチャオズ君も凄いな……ヤードラット星人の細胞を移植されているはずなのに、念動力もまだ使えないあたしやサンとはえらい違いだよ」

 だが、ギネの戦闘力は3万4千。その差は約一千倍である。チャオズが彼女相手に勝ちを狙うには、主に超能力を使用して彼女を場外に何らかの形で落とすしかない。

 

「でも……よっ!」

 だが、同じ戦法でブルマが勝利したのを見ていたギネは、油断する事なく、離れた場所に現れたチャオズに向かって拳を放った。

 

「わっ、わーっ!?」

 それによって巻き起こされた風だけで、チャオズはシールドまで吹き飛ばされてしまった。念動力で体勢を立て直し、瞬間移動で舞台の上に戻る暇も無い。

 

『ちゃ、チャオズ選手場外! ギネ選手の勝利です!』

 チャオズの試合がブルマの前ならまだ瞬間移動戦法が通じたかもしれないが……やはりこの大会のチャオズはくじ運が悪かったようだ。

 

 

 

『第七試合は天津飯選手対桃白白選手です! 奇しくも同門、兄弟弟子対決となりました!』

「天津飯、修行の成果を見せてもらうぞ」

「はい、桃白白様!」

 

 地球の神様の神殿での修行はまだ半ばだが、ナメック星で潜在能力解放を受けた天津飯は前回大会と比べて大きく成長していた。

 十三歳になって背が伸び、手足には逞しい筋肉が付いた。まだ少年らしい幼さは抜けきっていないが、ただの子供にはだせない迫力が漲っている。もちろん変化は外見だけではなく、実力も高まっていた。その戦闘力は330。

 

 しかし、桃白白は三年前の段階で天津飯の倍ほども強く、今はさらに力を上げ戦闘力は1800にまで至っている。その力の差は、気の感知を習得している彼も理解している。

 

『試合開始!』

「おおおおっ! 四妖拳!」

 試合開始と同時に、天津飯は修行で身に付けた新技を使った。なんと腕を四本に増やして見せたのだ。

 

「何っ!?」

 観客と実況の青年だけではなく、桃白白も弟弟子の変化に思わず驚愕する。

「参ります! はあああ!」

 その桃白白に天津飯は猛烈な勢いで間合いを詰めると、四本の腕を操ってマシンガンのような突きを放つ。

 

「むうっ!」

 だが、桃白白も同じくマシンガンのような連続突きで迎え撃った。腕が四本になっている分、天津飯が瞬間的に放てる突きの数は倍になっている。しかし、それでも桃白白の二本腕から放たれる突きの方が鋭く速い。

 

「面白い技……技か? 技だが、それで私には勝てんぞ、天津飯」

「承知の上っ! カッ!」

 額の第三の目から放たれた光線を手で弾く桃白白だが、その一秒にも満たない時間で天津飯には十分だった。

 

「どどん波!」

 なんと、天津飯は右足の親指からどどん波を放ったのだ。

「っ!?」

 桃白白は天津飯が靴に包まれた足の指から放った不意打ちに驚きながらも、身をよじって回避した。だが攻撃の勢いが弱まる事は避けられなかった。

 

 その隙に天津飯は、四本の腕でそれぞれの技を打ち出した。

「ダブル、かめはめ波ぁ!」

 なんと、天津飯は地球の神様の神殿での修行でかめはめ波を習得していたのだ。それを四妖拳で増やした腕を使い、一度に二つ放った。

 

(これで威力は倍のはず! 桃白白様でも――何っ!?)

「はあっ!」

 勝利を確信した天津飯だったが、なんと桃白白は彼の連続かめはめ波を気合で弾き飛ばしてしまった。

 

「どどん波!」

 そして、桃白白のどどん波によって天津飯は倒れたのだった。実況がカウントを終え、勝利を宣言してから彼は天津飯に肩を貸して立ち上がらせた。

 

「足からのどどん波に、二連続のかめはめ波。見事な技だったが、腕を殖やしても放つのがお前一人である以上総合的な威力は倍にならん。二百パーセントではなく、五十パーセントのかめはめ波を二つ撃っただけになってしまったな」

 

「も、申し訳ありません」

「謝る必要などないぞ。三年前の私なら負けていたかもしれん。この敗北を糧にして精進するのだぞ」

「……はいっ!」

 

 

 

『白熱した天下一武道会一回戦も、最終試合となりました! 第八試合、孫悟空選手対ナム選手!』

「へへっ、負けねえぞ!」

「私もです」

 

 いよいよ自分の番だとワクワクした様子の悟空に、原作と違い村のために水を買う必要がないナムは柔らかく応じた。

『悟空選手はギネ選手のお子さんで、孫悟飯選手の孫にあたります! 一方、ナム選手はGCGの若手の中で一番の使い手と評判の青年です!

 では、一回戦第八試合……始め!』

 

 試合開始と同時に間合いを詰めてくる悟空を、ナムは正面から迎え撃とうとするが……。

「太陽拳!」

「なんとっ!?」

 悟空がいきなり放った太陽拳から、腕で目を庇う。その隙に、悟空は尻尾で彼の脚を払おうとしたが、ナムはなんと勘だけを頼りに飛んで回避する。

 

「尻尾が生えている相手は君だけではない!」

 ナムはターレスが組手を行っているのを見て、サイヤ人が尻尾をどう使うのかを学んでいたのだ。

「ちぇっ、でもまだだ!」

 悟空は飛んだナムをかめはめ波を撃って撃墜しようとするが、空中殺法は彼の得意とするところだ。

 

「ふんっ!」

 かめはめ波をフォトンシールドで受け止め、さらにその反動を利用して空中で飛びのく。

「どどん波!」

 そして、かめはめ波を撃った直後の悟空を加減したどどん波で撃ち、勝利した。

 

 三年後の原作とは逆の結果になったが、今の悟空の戦闘力は50。それに対してナムの戦闘力は150。妥当な結果と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 一回戦の試合が終わり、ナメック星人達も泊まっているホテルのレストランで食事兼反省会を行う事になった。

「今回は歴史改変者も現れなかったようじゃな」

「うむ、キリと思われるエネルギーは検出出来ず、それらしい人物も出現した様子はなかった。……やはり、前回の大会に介入した目的は実験を行う事だけだったようだ」

 

 まだ二回戦以降の試合があるので、そう断定するのは早計かもしれないが……前回の大会もトワが介入したのは一回戦だけだった。

 彼女の目的が歴史改変によって暗黒魔界を復活させるためのキリを得る事なら、原作開始前のこの時期にキリで誰かを強化して暴れさせる意味は、薄いのかもしれない。

 

 だとすると、前回の大会でギランとランファンを強化して操ったのは、何らかの実験だったと考えるべきかもしれん。

「まあ、手出しをしてこないのであれば良いか。会長の顔つきから察すると、今の儂等では相手にならんようじゃしな」

 何時の間にか、鶴仙人と亀仙人には見抜かれていたようだ。

 

「ばれておりましたか」

「ああ、フリーザを倒す事よりも難しいだろうという事はな。話している時の様子でわかるわい」

「あの娘っ子、可愛い顔をしてなかなかやりよるようじゃしな。男の方も、映像で見た限りでは全く隙が無かった」

「確かにのう。あの二人、カップルじゃろうか?」

 

「……さて、どうですかな」

 歴史改変者が出てこないなら、話題の中心は一回戦を終えた選手達に移る。ちなみに、この場にいない本戦出場者は獅子牙流のヤシシだけだ。ギランは知り合いという事で声を掛けたら、遠慮せずに参加した。

 

「オラとチャオズは一回戦までか~。チチとブルマは凄えな」

「悟空さ、オラはくじ運が良かっただけだべ、凄えのはブルマさんだべ」

「そんなに褒めないでよ。照れるじゃない」

「ブルマ、凄くずる賢い」

 

「チャオズ、それは褒めてないでしょ!」

「褒めないでよって、言った!」

 年少組では二回戦進出を決めたチチと、特に格上のムデン相手に頭脳プレーで勝利したブルマが褒められていた。

 

「ええ、本当にしてやられました。新技を出す機会もありませんでしたよ」

 その年少組に混ざっているのがムデンだ。外見は大人なので違和感があるが、実は彼らの中では最も年下である。

「新技ってなんだ?」

「ツムーリさんに見せてもらったサイヤ人との戦いの映像で色々な技を見て考えたのですが、貫通力とスピードのある技があれば格上の相手にも通用するのではないかと思って、編み出した技です」

 

 ムデンによると、最初はどどん波を元にドリルのように回転する気功波を編み出そうとしたらしい。

「でも、どどん波を回転させるのは難しくて……回転させられてもまっすぐ飛ばなかったり、途中で弾けてしまったりで、とても使えませんでした。

 それで、気弾にしてみたら回転しながら飛ぶようになったので、スパイラルアタックと名付けました」

 

 どうやら、ムデンはどどん波から魔貫光殺砲に似たコンセプトの技を編み出そうとしたが行き詰まり、代わりに回転する気弾を技として完成させたようだ。

「ふーん、どんな技なの?」

「弾速が早くて、目標に命中してもすぐには爆発せずに突き抜ける感じの技です」

「そんな技ムデンに使われたら、あたし死んじゃうじゃない!」

「ええ、だからブルマ姉さんとの試合では使う気は最初からありませんでした」

 

 ムデンがスパイラルアタックを開発したのは、将来フリーザ軍と戦うためであり、今の時点で格上の4号やサン、ギネに試合で勝つためだった。元々ブルマやチチに使う気はなく、だから「機会はなかった」のだ。

 ある意味、彼もくじ運がなかったと言えるだろう。

 

「ムデンよ、そして皆も今日の試合で分かっただろう。戦いとは強ければ勝てるという訳ではない。むろん、実戦では場外負けはない。しかし、同時に我々を守ってくれるルールも無いのだ。

 皆、心しておくのだぞ」

 ムーリ長老がそう論じて、ムデンやツムーリ達ナメック星人以外の皆も真面目な顔になったが……。

 

「それじゃあ、あたしが悪い奴みたいじゃない」

「はっはっは、違いねぇ!」

「いやいや、鶴仙流の教えを良く受け継いでおる。勝負には勝った方が正しいのだ」

「ターレス兄さんも、鶴のお爺ちゃんもっ、フォローしなさいよ!」

「いや、儂はフォローしているつもりじゃが……」

 

 ブルマ達のお陰ですぐに楽しい夕食に空気は戻った。

 

 

 

 その頃、ゲロに出てこないと思われていたトワも実は天下一武道会の様子を観測していた。ただ、やはり干渉するつもりはなく、観測しているのも自分達の拠点としている空間から、魔術を使う方法でだが。

「トワ、そんな低レベルな戦いを見て意味があるのか?」

 ミラは不思議そうに尋ねる。彼からすれば今の悟空達の戦いは、低レベル過ぎて見どころの無いものだったからだ。

 

「ええ、戦いそのものは低レベルだけど、こいつらの動向やこの時点での強さを知っておく事には意味があるのよ」

 今、トワ達が介入しても得られるキリは多くない。むしろ、時の界王神に察知される可能性を増やすだけ。実験も、前回の天下一武道会で済んでいる。

 

 しかし、この歴史はトワ達が何もしなくても改変が多く起きるので、正史……いわゆる原作を知っているだけでは、これから何が起こるのか見失いかねない。それを防ぐためには、定期的に観測を行う必要がある。

 そして、天下一武道会は歴史を動かす人物たちが集まるため絶好の観測ポイントなのだ。

 

「……トワ、俺達が何もしなくてもキリが溜まっていくな」

 そう、本当に歴史の改変が多く起こっている。三年前にも考えた事だが、ミラは自分が役目を果たさなくてもトワの目的が達成されるのではないかと、再び考えるほどだ。

 

「そうだけれど、油断はできないわ。この歴史からキリを集めている私達以外の歴史改変者がいるのだから」

 トワ達以外の歴史改変者が何者だとしても、この歴史で自然発生するキリを集めるだけで満足するとは限らない。この歴史の存亡にかかわるような改変を行い、気が付いたらこの歴史が消えていたという可能性もありえる。

 

 それがなかったとしても、ゲロが改変を繰り返した結果、トワが何もしなくても時の界王神が察知して動き出すなんて可能性もあった。

 

「後二年と数か月で、正史が動くわ。何が起きても察知できるよう情報を集めておきたいのよ」

 

 

 

 その頃、トワ達と離れた空間で同じ光景を魔術によって見ている者がいた。

「相変わらず滅茶苦茶にやってくれるな」

 赤い髪を特徴的な形に逆立てて、いわゆるエルフのような長い耳をして杖を携えた男。彼はサークレットを嵌めた額に皴を寄せて、映像を眺めていた。

 

「本来よりも早く孫悟空を天下一武道会に出場させただけではなく、本来なら一生出場しないはずだったブルマという女を二回戦にまで……これでは時の界王神がこの歴史に気が付くのも時間の問題だな」

 彼の名はドミグラ。先代時の界王神に仕える魔術師メチカブラの配下であり、現時の界王神の座を手に入れようとして七千五百万年前に封印された男であり、そして今でもその座を手に入れようと悪事を巡らせている魔神である。

 

 このドミグラこそがトワが警戒する彼女達以外の時間改変者であり、この歴史に彼女より先に目を付け、キリを集めて吸収する仕掛けを施した張本人である。

「この私が直接歴史改変を仕掛けた事は、まだ一度もないというのに」

 しかし、彼は今のところ自然発生するキリを集めるだけで様子を見ていた。

 

 もちろん、この歴史のドミグラの目的も時の界王神となり、全ての歴史を思うがままに支配する事にある。そうである以上、このまま大人しくキリを貯め込むだけで済ませるつもりはない。

 時が来れば動き出し、タイムパトロールを誘き出し、現時の界王神クロノアから時の巻物やトキトキを奪って手に入れるつもりだ。

 

 しかし、まだその時ではないので、ゲロが起こす正史との乖離にやきもきさせられていた。

「いや、時の界王に察知される前にメチカブラが気づく方が厄介か。奴はこことは別の歴史で動いているはずだが……奴との差をますます広げられてしまう」

 かつての上司であり、今は競争相手である暗黒魔王メチカブラ。彼はドミグラよりも強大な力を持っており、部下の数も多い。

 

 七千五百万年間、封印されたまま修行して力を取り戻したドミグラだが、まだメチカブラと直接戦って勝てるとは思えなかった。

「こうなったら、メチカブラの配下ではないトワを探して仲間に引き入れるか? 暗黒魔界の復活と、暗黒魔王の座を譲る事を条件にすれば……いや、私が歴史を思いのままにしようとしていると知れば、暗黒魔王の座で満足せず、時の界王神の座を狙って私を裏切るかもしれん。

 やはり信用できるのは我が部下、そして利用する相手はタイムパトロールに限るか」

 

 

 

 

 

 

 天下一武道会三日目、今日は二回戦と準決勝が行われる。

『では天下一武道会もいよいよ大詰めの三日目! ベスト8が集まりました! 二回戦第一試合は、チチ選手対サン選手の親子対決です!』

 

「いくだぞ、おっ母!」

「かかってくるべ、チチ。今日はおっ母が稽古さつけてやる!」

 チチは一回戦では見せなかった残像拳などを使って、より高度な試合を見せた。ヤシシとの試合に勝利した事が、武闘家としての自信を彼女に与えたのだろう。

 

 しかし、サンとの差は大きく、チチは全力を出し切って敗北したのだった。

 

『二回戦第二試合も、家族同士の対戦となりました! ブルマ選手対タイツ選手の姉妹対決です!』

「超能力じゃ負けないわよ、姉さん」

「超能力以外じゃ、あたしが勝ってるけどね」

 

 チチとサン程ではないがやはり実力差のある対戦となったブルマとタイツの試合は、開始早々に瞬間移動を繰り返す目まぐるしい戦いになった。

「瞬間移動を使える者同士の戦いは、こうなるのか」

「瞬間移動をしてから現れるまでの間にどこかで……仮に亜空間とでも呼ぼうか。そこでいくつかの攻防を繰り広げているようじゃ」

 

 例えるなら、劇場版『激突!! 100億パワーの戦士たち』の、孫悟空とメタルクウラの攻防に当たる。とはいえ、ブルマとタイツの実力は孫悟空とメタルクウラ程近くないので、チャンスを待って逃げ続けるブルマと、彼女を追いかけるタイツという様子だが。

 

「捕まえた!」

 そして、舞台の外の空中に現れたブルマを、ついにタイツが捕まえた……かに思えた。

「や~いっ、引っかかった!」

 なんと、タイツが手を伸ばしたブルマは残像だったのだ。本物のブルマは瞬間移動でタイツの上に現れて、彼女を場外へ落そうとする。

 

「あんたがね!」

 しかし、なんとブルマが場外へ落そうとしたタイツも残像だった。彼女は妹の魂胆を読んでいたのだ。

「ぎゃんっ!?」

 そして、トンっと押されて地面に落ち、ブルマの場外負けとなったのだった。

 

「チチもブルマも負けちまったな」

「ああ、二人とも凄かった~。明日の五位決定戦も楽しみだぞ」

「あたしはお前らみたいに戦えるようになった自分が、想像できないよ」

 観客席では悟空がラピスとラズリに挟まれて、幼馴染達の試合を応援していた。

 

「ラズリとラピスは、まだ修行を始めたばかりだもんな。オラも昔はそうだったぞ」

「あんたが? ……やっぱり想像できないよ」

 修業を始めてから年月の浅いラズリには、まだ自分が悟空達のように強くなれるとは思えないようだ。だが、そう言う二人も同じ年頃の子供と比べれば圧倒的に強くなっている。

 

「悟空の言っている事は本当じゃよ。それに二人とも、既に大人と同じかそれ以上に強くなっている。次の大会には出場してみるか?」

「舞空術と気功波を習得出来たらな」

「あたしは止めて……いや、五位に入れば百万ゼニーか。くじ運が良ければ可能性はあるよな」

 次の天下一武道会も、参加選手の平均年齢は低くなりそうだ。

 

「お、母ちゃんとターレス兄ちゃんの試合が始まるぞ!」

 

 

 

『二回戦第三試合、ギネ選手対ターレス選手! 親子対決に姉妹対決ときて、今回は同一族対戦ですね!』

「まあ、あんたも息子みたいなもんだしね。さ、思いっきりどーんと向かってきな!」

「やれやれ、気楽に言ってくれるぜ」

 

 ターレスはそう苦笑いして、胸を叩いてみせるギネに向かって構えを取った。三年前よりも格段に強くなった彼だが、ギネとの差は圧倒的だ。

(もっとも、格上がゴロゴロしているのは出場した時から分かっていた事だがな)

 

『二回戦第三試合……始め!』

「プラズマブースト! お言葉に甘えて、思いっきりどーんと行かせてもらうぜ!」

 ターレスはいつの間にか習得していたプラズマブーストを発動して身体能力を倍増させ、ギネに正面から突っ込んだ。

 

「思い切りは良いけど、それじゃ勝てないよ!」

 相手が桃白白やタイツなら受け止められなかったかもしれないが、ギネにとってはターレスの身体能力が倍増していても誤差の範囲でしかない。

 

 そんなに力比べがしたいのならと、正面から受け止めようとする。

「かかったなっ!」

 だが、ターレスはギネに正面から組みつかず、彼女の腕を掴んで足を払い、投げ技を仕掛けた。

 

「なっ!? くっ!」

 これまで戦闘で投げ技を受けた経験がほぼなかったギネは意表を突かれたが、すぐにターレスの体に尻尾を巻きつけ、もう片方の腕で肩を掴んで投げられまいとする。

 

「受け止めてくれてありがとよ、もう一人の俺をな!」

「さて、俺と一緒に落ちてもらうぜ!」

 だが、その瞬間ターレスは二身の拳で、分身と別れた。そして分身はプラズマスパークを発動させたまま、自分ごとギネを投げ落とそうとする。それを本物のターレスが、どどん波を撃って援護した。

 

 自分同士の完璧な連携に、溜め無しで瞬時に二身の拳を発動させたのは素晴らしい進歩だ。

「はあっ!」

「ぐわ!」

 しかし、ギネは場外に落ちる前に空中で踏み留まり、分身のターレスを強引に振りほどいて弾き飛ばした。

 

「おいおい、もう一人の息子に容赦がなさすぎじゃないか?」

 自分の分身が舞台に落下するよりも早く消えたのを見る余裕もなく、思わず尋ねるターレス。

「分身なら手加減はいらないからね! 行くよっ」

 そして今度はギネがターレスに向かっていったが、分身を失って気を半分に減らしたターレスに勝ち目は残っておらず、短い攻防の後ギネの尻尾の一撃で場外へ吹き飛ばされたのだった。

 

 

 

『二回戦最終試合、桃白白選手対ナム選手! ちびっ子と女性選手の躍進が目覚ましい本大会に残った男と男の対戦です!』

 

「桃白白顧問、胸をお借りします!」

「うむ、全力でかかってこい」

 そして桃白白とナムの試合が始まった。ナムはフォトンシールドを足から出して空中で足場を作り、強靭な足腰でそこを飛び回って加速。

 

「真・天空×字拳!」

 シールド発生装置より高く飛んではいけないという、天下一武道会のルールによって出せなくなった天空×字拳を改良した必殺技を桃白白に仕掛けた。

 

「確かに速い! だが……小回りが利かないのが難点だな!」

 空中に作ったフォトンシールドを蹴る事を繰り返して加速しているナムは、彼が舞空術で出せる以上のスピードを出している。そのため、止まる事はもちろんだが曲がる事も出来ない。

 それを見抜いた桃白白はナムを受け流すようにして回避し、彼の横をすり抜けると同時に手刀を放って意識を刈り取り、勝利したのだった。

 




〇四妖拳

 腕を二本増やして合計四本腕になる技。正直、技? と思わなくもない。使用する時は苦しそうに唸りながら肩甲骨の辺りから腕を生やすが、解除する時はスッと増えた腕が幻のように消えて元通りになる。
 四身の拳は気で作った、スーパーゴーストカミカゼアタックのような人型気弾の系統とも考えられるが、四妖拳の場合も気なのかもしれない。腕だけの人型気弾を装着している……とか。
 技を解除する時に増えた腕がスッと消える事から考えても、本当に肉体が変形している訳ではないのかも。



〇戦闘力推移
・チャオズ(八歳):5→35 ヤードラット星での修行を経て大幅にパワーアップ。念動力に加えて瞬間移動も習得し、もう常人では相手にならないレベルに到達した。

・ギネ:2万6千→3万4千 技の完成度や巧みさ、気の感知と制御を中心に鍛えたため、占い婆の宮殿でバーダックチーム+αを相手にした後からあまりパワーアップはしていない。しかし、現時点で地球最強。
 また、実は潜在能力解放も受けていない。

・天津飯(十三歳):90→330 カリン様と地球の神様の元で修行し、ナメック星で潜在能力を覚醒させた事で、原作のピッコロ(マジュニア)編よりも強くなった。原作通りの展開だった場合、ピッコロ大魔王編でドラムを瞬殺して悟空が来る前にピッコロ大魔王も倒せるし、人質にされる事もない強さ。
 四妖拳を習得し、見様見真似だがかめはめ波も撃てる。

・桃白白:700→1800 サイヤ人襲来編でサイバイマンを退けた天津飯に匹敵、もしくはわずかに超える強さに。平均的な惑星の種族トップクラスの戦士を超える。フリーザ軍でも下級戦士相手ならだいたい勝てる。

・悟空:9→50 孫悟飯(老)の指導で、ついに常人の壁を突破。

・ナム:100→150 重力トレーニング室やトレーニングスーツで修行した。今の時点で、原作アニメの予選で原作天津飯と当たっても容易くは負けない強さに至っている。



〇スパイラルアタック

 お披露目の機会がなかったムデンの必殺技。本来は魔貫光殺砲の気弾バージョンになるはずだった。



〇ドミグラ

 歴史改変者で、その目的は歴史を司る時の界王の座を手に入れる事。元々は先代時の界王に仕える魔術師のメチカブラの部下で、現時の界王クロノアとも知り会い。
 時を司る鳥であるトキトキを奪おうとしたが、失敗して七千五百年前に時の狭間に封印されるが、封印されたまま修行して自力で封印を解くという努力家である。

 作品によってはトワの上司だったり、共通の敵と戦うためにタイムパトロールと共闘したりするが、この作品のドミグラはトワを従えてはいない。

 なお、メチカブラはかつての上司だが彼は同僚達と違って忠誠は誓っておらず、自分こそが時の界王に相応しいと以前から考えており、現在は敵対している。



〇真・天空×字拳

 この作品の天下一武道会の新ルール、シールド発生装置のシールドより高く飛んではいけない、に違反しないで威力を出すためにナムが編み出した新技。
 空中に作ったフォトンシールドを足場にして、繰り返し蹴る事で加速して目標にフライングボディアタックを繰り出す技。

 気の制御により、両手に気を纏う事が可能になっているため、全力で放つと戦車はもちろん要塞にも風穴を開ける事が出来る。


 酒井悠人様、クウヤ様、ずわい様、あんころ(餅)様、変わり者様、泡銭様、SERIO様、Paradisaea様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。