ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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じわじわと執筆したので4話目投稿です。


4話 眠れ我が妻アルマよ、目覚めよ人造人間4号よ

 儂は地球の永久凍土に閉ざされた地とドクターウィローについて調べながら、彼の研究所の位置を捜索した。

「映画版だと……この範囲じゃな」

 ウィローは映画版の存在で、サイヤ人襲来編のベジータとナッパが地球に来る前に亀仙人とブルマを誘拐したり、ピッコロを操ったり、いろいろしてくれた敵だ。

 

 その目的は最強の肉体を手に入れる事。部下のドクターコーチンを使い、バイオ戦士を創り出していた。

 戦闘力はウィローが一万八千、バイオ戦士たちが三千だっただろうか? なんと地球に初めてやって来た時のベジータと互角である。桃白白やピッコロ大魔王が束になっても、ウィローどころか配下のバイオ戦士にも敵わない。

 

 おそらく、地球上で今最も強いのはドクターウィローであろう。……最強の肉体を探す必要があるのだろうか? 巨大な脳みそが入ったロボットだから生身の体が欲しいのか? だとしても、バイオテクノロジーを活かして創ればいいだろうに。

 

 ……何か相応の理由があったのだろう。天然物の体がどうしても欲しかったとか、自身のバイオテクノロジーで作るバイオ戦士に実は限界を感じていたとか。もしかしたら、バイオ戦士には戦力として使う分には問題ないが自分の体として使うには致命的な……寿命が人間よりもずっと短いとか、そうした欠点があったのかもしれない。

 だが、それは奴の研究を奪ったあと、暇な時に考えればいい事だ。

 

 そうして放ったスパイロボットで、永久凍土に閉ざされたドクターウィローの研究所を発見。ドクターコーチンがいないのを慎重に確かめてから、早速侵入を開始する。

 圧倒的に強い相手の研究所に不法侵入するのは不安もあるが、奴らが目覚めるにはドクターコーチンがドラゴンボールを使う必要がある。

 

 儂は既にナメック星のドラゴンボールを見せてもらい、その際に計測した波長を探知するレーダーを製作しており、それで確かめたがドラゴンボールの反応はまだ集まっていなかった。原作でブルマが作った物と比べるとレーダー本体が大きく、精度も低いがそれぐらいは分かる。

 

 原作とは異なる儂の活動によるバタフライ効果で、ドクターウィローの復活が早まったという事は今のところないようだ。

 

「さて、では研究所からデータを頂くぞ!」

「ハイ、ドクター」

 3号を連れた儂は、ドクターウィロー研究所に侵入し、奴の研究資料やデータをコピーして入手し、痕跡をできるだけ消して退散した。

 ドクターコーチンに侵入を悟られたら面倒だからな。

 

 眠っているウィローやバイオ戦士には手出ししていない。下手なことをして目覚められたら、それで詰んでしまうからだ。まあ、監視用のスパイロボットはこっそり設置したが。

 

 ナメック星からネイルに来てもらえば、バイオ戦士もウィローもあっさり倒せるが……急いで対処しなければならないような緊急性の無い地球での案件を、ナメック星人のネイルに片づけてもらうのは何か違う気がする。

 

 奴らを倒すのは儂の人造人間が戦闘力一万八千以上の力をつけた時でいい。邪悪龍対策に、ドラゴンボールの使用回数は減らしておきたいから早めに実行する予定ではあるが、まだ十年以上後になるだろう。

 

 ちなみに、魔人ブウが封印されている場所も実は見つけてある。見つけてあるが……今のタイミングでは手出しできない。色々考えた挙句、スパイロボットで近づく者がいないか監視するだけに留めるのがベストと判断した。

 正直に言えば、妻を最強の人造人間にするためにも魔人ブウの細胞が欲しいので、彼には復活して欲しい。しかし、同時に魔人ブウはあまりにも強く危険なので復活させるべきではないとも思っている。

 

 ……今から悩んでも仕方あるまい。儂が何を思おうと、手出しできない事に変わりはないのだ。その時が来るまで待つとしよう。

 魔人ブウの細胞を手に入れる事が出来なかったら、代わりにボージャック達ヘラ一族、ダーブラ達魔族、そしてブロリーの細胞で我慢するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 ドクターウィローの研究所に不法侵入した後、儂は手に入れた奴の研究を分析してそれで4号の培養を促進させた。さらに、人造人間2号と3号の改修を行い、2号改と3号改としてパワーアップさせる事に成功する。

 そして、ナメック星人の細胞から分かった再生のメカニズムを薬剤や医療器具を使って地球人に応用する事にも成功した。流石に失った四肢を生やすのには時間と高額な医療費がかかるが、毛根や歯、歯茎、指等の再生はやや高いが平均的なサラリーマン家庭でも出せる医療費で可能になった。

 

 しかも、我が社の再生医療を利用すればクローン技術で臓器や部位を新たに創って移植するよりもはるかに早く、また後遺症や指を元通り動かすためのリハビリなども(指を失ったのが最近なら)必要ない。まあ、そもそもクローン技術を実用化した会社は我が社以外に存在しないのだが。

 

 これで我がゲロコーポレーションは、儂が何もしなくても安泰だろう。少なくとも、開発費で困ることはあるまい。

 ……儂はスキンヘッドもカッコいいと思うので、このまま自然に任せるが。

 

 そしてゲロコーポレーションとして公にはできない技術だが、遺体の保存カプセルや細胞の復元技術の開発にも成功した。

 有機物は冷凍保存したとしても、ゆっくりと状態が変化してしまう。微生物による腐敗は防げても、有機物内部の成分が変化してしまうからだ。

 

 食品に例えると、冷凍焼けがそうだ。

 

 儂が開発し、妻の遺体を保存している冷凍カプセルは数十年単位で遺体をそのままの状態で保存できるはずだが……実際に数十年たった時状態を維持できているか試したわけではない。

 これが他人の遺体なら、自信満々で「可能だ」と断言するが、最愛の妻の遺体では同じ事は言えない。

 

 それをこの保存カプセルを開発した事で解決できるのだ。

「似せたつもりはなかったが、メディカルポッドのようだな」

 保存カプセルの見た目と大きさは、フリーザ軍が使っていたメディカルポッドとほぼ同じだ。

 

 もしかしたら、妻が眠る場所を医療器具に……いずれ怪我を癒して出てくるメディカルポッドに似せたいと儂が無意識に考えていたのかもしれん。

 いや、いくら何でも感傷が過ぎるか。

 

「アルマよ、まだ眠っていておくれ。君を最強の人造人間として復活させる、その時まで」

 儂は妻の遺体をカプセルに横たえ、扉を閉める。すると、保存用の液体がポッド内に満ちて彼女の全身を包む。

 メディカルポッドと違うのは、呼吸用のマスクが無いぐらいだな。こうして見ると、まるで眠っているだけのようだ。

 

 ああ、そうだ。私の妻の名はアルマ。由来は、推測だがアルマンダイト、もしくはアルマンディンという宝石からだろう。

 17号と18号の人間だったときの名前の由来はラピスラズリだから、同じ宝石由来の名前で縁を感じさせる。

 

 アルマンダイトはガーネットの一種とされているので、赤毛の妻に良く似合うだろう。……もし息子が生まれていたら、名はダイトンかマディンとでも名付けていたかもしれない。

 

 ちなみに、ここはゲロコーポレーションの研究施設とは別に立てた儂個人の研究施設……とは全く別の場所にある儂が所有する島の地下に建設した秘密の研究所だ。万が一産業スパイが入り込んで儂の妻の遺体の保存状況に問題が発生したら事だから、隠蔽は念には念を入れた。

 この場所を知っているのは、今のところブリーフだけだ。研究が行き詰った時、助言をもらうためと……儂がやり過ぎそうなとき、忠告してもらうために。

 

「さて、ではアルマよ、儂は人造人間……儂の息子で君の兄弟達の開発に戻らねばならん。またな」

 そう言って、儂は妻の眠る保存カプセルの前から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、今後の人造人間開発の予定だが……まず、原作よりも機械タイプの数を減らし、人間タイプの人造人間を増やす予定だ。

 機械タイプは優れた面もある。バックアップがあれば体が破壊されても新しい体を作れば復活させることができるし、儂に従順だ。原作の17号や18号のように裏切ることはない。……まあ、あれは原作の儂の自業自得だと思うが。

 

 だが、改良や改造を繰り返すことでしか強くなれないし、それにも限界がある。経験を積み学習を重ねれば、技量は上がるだろう。しかし、ここはドラゴンボールの世界である。経験豊かな技巧派でも戦闘力が千程度の戦士は、技も何も知らない戦闘力十万の木偶の坊に瞬殺されてしまう。

 

 故に、永久エネルギー炉を組み込み、訓練によって戦闘力を向上することが可能な人間タイプの方が将来有望なのだ。

 それに、儂の目標は妻を最強の人造人間として復活させる事にある。つまり、人間ベースの人造人間を作る技術を高める事が優先されるのだ。

 

 ただ、孫悟空を万が一にも死なせないために人造人間8号は作るし、念のために16号も確実に作る。後、この二体はナンバリングもそのままにする予定だ。

 

 何を言いたいのかというと、今後の研究によってあのフランケンシュタインの怪物に似た外見の8号を作る前に、人造人間を六人しか作っていなくても、また逆に九人以上作っていたとしても、7号や10号のナンバリングをする事はせず、8号と呼称するという意味だ。

 これは儂が原作を思い出すとき名称が異なると非常にややこしいからである。

 

 そのため、儂が20号、そして妻が21号になるのも既に決まっている。

 17号と18号は……双子の不良を誘拐して改造する理由が儂にはないし、そもそもセルも作らん。よほどの事が無ければ、クリリンには他の嫁を探してもらう事になるだろう。

 19号は……別に作らんでもいいんじゃないかな?

 

「あとは人間タイプの人造人間を作るための素体となる人間だが……まあ、ある程度宛はある」

 

 レッドリボン軍の軍人達が主な候補だ。特に、地球人であるにも拘らず超能力が使えるブルー将軍が欲しい。積極的に殺すつもりはないが、桃白白に殺されるか逮捕されて死刑判決を受けて処刑された場合は遺体を頂くつもりだ。

 

 ただ、人造人間の素体として使う遺体を手に入れる際に、儂は自分にルールを課すことにした。

 生きている人間(種族問わず)を人造人間にする目的で殺すことは厳禁。例えば、仮にブルー将軍がレッドリボン軍に入らず真面目に働く善人になっていた場合は、いくら彼が素体として欲しくても殺さないし、攫わない。

 

 生きている人間をそのまま人造人間に改造する場合も、本人の了承を得る事を絶対とする。その際、人造人間になった場合どうなるのかを説明し、故意に被験者の判断を誘導する事がないように注意する。……儂が人造人間になる事にあまり問題を感じない価値観の持ち主じゃから、難しいかもしれんが。

 

 この二つのルールは儂が悪の科学者にならないために、重要な枷だ。手段を選ばなければ、事は成らないものなのだから。……現時点でもブリーフをはじめ、パンチー夫人や最長老、ネイルにツムーリ、ヤードラット星人たち、我がゲロコーポレーションの社員達……多くの人々に支えられてなんとかやってきているのだ。

 彼らに見放されても一人でやっていけるとは、儂には思えない。

 

 ただし、儂が自分や身の回りの大切な人々の身を守るため等、やむを得ない事情で殺した者や、既に死んでいる者の遺体を素体にするのは例外として問題なしとする。

 すまんが、これぐらいは許容してもらう。

 

 ちなみに、このルールはブリーフと最長老と相談して決めたものだ。その際、最長老からは「その例外は必要なものだと思います。ですが、例外に甘える事のないよう、今のあなたに対して誠意をもって取り組んでください」と釘を刺してもらった。

 

 そして研究以外にも、儂自身のトレーニングも継続している。ナメック星に行ったときに使用した、宇宙船の中で地球と同じように暮らすための人工重力発生装置。あれをブリーフ博士と協力して改造し、重力トレーニング室の開発に成功したのだ。

 ……今の儂は十倍どころか二倍の重力にも耐えきれんので、一・五倍でヒィヒィ言っている状態じゃがな。

 

 超能力の方は、特に変わりなし。サイコキネシスと瞬間移動だけだ。ヒーリングやテレパシーが出来ればもっと出来る事が広がると思うのだが。

 

 そしてウィローの研究を奪ってから約一年後、儂の額の生え際が後退し始めた頃に人造人間4号が完成した。

 

「始めまして、ドクターゲロ。私は人造人間4号です」

 4号の外見は、ナメック星人そのままだ。ベースがナメック星人の細胞で、そこにヤードラット星人の細胞をいくつか加えた程度なので、この姿となった。

 

 ……亀仙人や鶴仙人が見たら、ピッコロ大魔王と勘違いしそうだな。よく見ればピッコロ大魔王よりもずっと優しそうな顔立ちをしていると分かるはずだが、まず「よく見る」というのが二人にはハードルが高いだろうし。

 

 なお、永久エネルギー炉の開発にはまだ成功していないので、4号には組み込まれていない。そのため、4号は通常の生物と同じく気を発する、原作のセルと同じタイプの人造人間なのである。

 

 また、戦闘力も儂よりはずっと強いが、まだそれほどではない。数字にすれば、百くらいだろう。

 

 戦士タイプのナメック星人であるネイルの細胞を使ったのに弱すぎると感じるかもしれないが、4号にはネイル以外にもツムーリやマイーマ、ムーリ長老やツーノ長老等、非戦士タイプのナメック星人の細胞も多く使っている。さらには、ヤードラット星人の細胞も組み込まれている。

 

 それに、彼は異なる種族の細胞を合成する技術を確立するために設計した人造人間だ。戦闘力を第一目標に追求した訳ではないので、強さは成否に関係ないのだ。

 

「うむ、誕生おめでとう。4号よ。体に異常はないか?」

「ありがとうございます、ドクター。体も、刷り込んで頂いた知識……『原作』についても問題ありません」

 4号には日常生活に支障がない程度の知識と同時に、儂の正体と儂が知る『原作』についての知識も刷り込んでおいたが、問題はないようだ。

 

 これは今後4号に色々と手伝ってもらうのに、原作について知っていてもらわないと不都合があるからだ。惑星ベジータの滅亡とか、孫悟空が地球にやってくるとか。

 他の人造人間はともかく、4号は助手としても作ったので、彼に研究上の秘密を作ると儂の行動に影響が出てしまう。

 

「しかしドクター、私は何をすればいいのでしょうか? 頂いた知識には、私の目的が含まれていません」

「急いで果たさなければならない目的や目標は、お前には与えておらん。4号よ、儂がお前に期待しているのは成長だ。それも、これから何年も、何十年もかけて経験を積み、成長してもらう。それが儂の研究の糧となるのだ」

 

 戸惑う4号に儂がそう伝えると、彼は納得してくれたのか「分かりました」と頷いてくれた。

「そして、目的を果たした後は好きに生きるとよい」

 だが、そう告げると再び困惑を顔に浮かべた。

「それは……目的を果たしたら、投棄されるという事でしょうか?」

 

「いや、成長を果たした時、お前が望むようになった事を行えという意味だ。儂の元に居続けたければ歓迎するし、お前を培養するのに使った細胞の提供者であるナメック星人やヤードラット星人達と暮らしてみたくなったら、送り出そう。自分で会社を経営してみたいなら会社を興し、武道家として己を鍛え続けたければそれでもかまわん」

 

 4号は今までの人造人間と違い、生身。使ったのは宇宙人の細胞とはいえ、人間ベースの人造人間だ。いつまでも儂の助手やボディーガードを強制するのも酷だろう。無論、しばらくは力になってもらうが、永遠に儂の助手である事を強制するのは生みの親としてどうなのかと思うのだ。無責任に放り出すわけではないが……。

 

「だが、それは数十年以上先の話だ。今は気にしなくて構わん。さて、腹は減っているか? ヤードラット星人の細胞も組み合わせたから、少量だが食事も必要になったはずだ。

 それが済んだらトレーニングに付き合ってもらうぞ」

 

 戸惑い続ける4号を促して、軽い食事をさせ、体力の測定や超能力が使えるか実験を行う。

 その後は儂の組み手の相手をしてもらっている。2号改と3号改は、パワーアップさせすぎて、弱い儂では相手にならんのだ。二人には手加減モードを搭載するべきかもしれん。

 

 4号とブリーフ博士達との顔合わせも上手くいった。ナメック星を思い出すと……ほんの半年前に儂が連れて行ったばかりだろうに……懐かしみ、夫人は4号をネイルに似てイケメンだと誉めていた。

 

「しかし、ゲロ、君は科学者なのか武道家なのかどっちなんだね?」

「もちろん科学者だ。これも研究に役立てるためだよ」

 そうブリーフ博士に答えた儂の肉体は、だいぶマッシブになっていた。腹筋も割れておる。確かに、儂の体躯を見て科学者だと思う者は少ないかもしれない。

 

「ところで、今度天下一武道会に4号と一緒に出場する予定なのだが、夫人と一緒に観戦に来ないかね?」

「さっきと同じ質問をしていいかい? 応援には行くけど」

 出場する目的は様々な格闘家のデータを得るため。ついでに、4号に手加減を覚えさせるためだ。……まあ、原作を知る者として、大会自体に興味がないわけではないが。

 

 

 

 

 

 

 そうして参加した天下一武道会は、儂と4号以外は普通の選手ばかりだった。他の武道大会に比べればずっと質も高いのだろうが、孫悟空が出場する大会と比べるとどうしても普通に見える。

 それもあって、それなりに鍛えていた儂と、地球人より強靭なナメック星人をベースにした4号は楽々と予選を突破した。

 

 ちなみに、4号には覆面を被らせ「ヨンゴー」という名前で登録してある。素顔で出場して、もし亀仙人が魔封波しに来たら困るからな。

 

 本戦開始前の選手紹介から、儂と4号が目立っていた。4号は謎の覆面選手としてだが、儂は「何故ゲロコーポレーションの社長が武術大会に!?」という意味で驚かれたようだ。

 そして本戦だが、やはり予選よりは貴重なデータを取る事が出来たが。強敵というほど苦戦はしなかったが、簡単にあしらえる程弱くはない。そうした対戦相手を倒して勝ち上がり、4号との決勝戦になったわけだが……少々やりすぎた。

 

 対戦している間に熱が入ってしまい、つい気功波や舞空術を使ってしまったのだ。

 おかげで観客は盛り上がったが、儂は「空を飛ぶ博士」として名が知られてしまった。幸いなのは、この時代の天下一武道会はテレビ中継されていなかったことだろうか。

 

 そして結局優勝したのは儂だった。4号が舞空術を使わず、そのまま場外負けになったせいだが。

「私まで空を飛んで目立つのはまずいと思いました」

 ……既に儂よりしっかりしているな、4号よ。

 

 そうして優勝した後、ブリーフ博士達に祝ってもらい、大会で得たデータを分析し2号改と3号改に活かすなど、研究をつづけた。

 そして永久エネルギー炉の開発に成功したが、完成品は大きすぎてこのままでは人型サイズの人造人間に内蔵させられない。小型化が今後の課題になるだろう。

 

 そして、儂と4号の実力がそれなりになったと判断した頃、儂は次の目標をブリーフ博士に話した。

 

「済まんが、ちょっとカリン様という武術の神様に会ってくる。それで留守の間、2号と3号を預かってくれんかね?」

「それは構わないけど、今度こそ武道家になるのかい?」

「いや、いろいろ目的があってな」

 

 仙豆や超神水のサンプル、そしてある技の使い手に信用してもらうための紹介状が欲しい。それに、4号を神様に面通しさせておきたいのだよ。

 

 

 

 

 

 

 私は人造人間4号。

 ドクターゲロによって作られた人造人間。そして、私に課された使命は『成長』。

 この『成長』が指す意味が膨大で、私はいまだ把握しきれていない。

 

 ドクターによれば、私が強くなる事も、超能力を習得する事も、ブリーフ博士やパンチー夫人と談笑する事も、夫妻のペットと触れ合う事も、何もかも成長であるらしい。

「ドクター、『成長』とは何に対してですか?」

 考えても分からなかった私は、ドクターゲロにそう尋ねた。

 今までの学習から、私は『成長』とは目標に向かって行われるものだと考えるようになった。

 

 子供は大人に、素人は玄人に、半人前は一人前に。では、私は何に?

 

「4号、儂の目的は妻を最強の人造人間として復活させる事だ。お前はそのためのプロトタイプであり、実験台であり、儂のボディーガード兼助手、そして修行仲間として作った」

 ドクターはそう答えて……。

「だが、別に儂の目的に積極的に沿おうとする必要はない。ひとまず、『様々な経験を積み大人になる事』を目指すと良いじゃろう」

 ……いや、答えになっていない気がする。

 

「ドクター、私は大人です」

 ドクターが作ってくれた肉体は成人の物だ。子供ではない。

「自分は大人だと言っている内は、まだ子供の証拠じゃ」

「いえ、そういう意味ではないのですが」

 

「ふむ。たしかにお前は儂より冷静で、全体的にしっかりしているな。天下一武道会では、助かった」

「お役に立てて光栄です、ドクター」

 

「生みの親として『成長』に対する希望を敢えて言うなら……良き人になって欲しい。儂よりもブリーフ……いや、あいつはややスケベだったな。この前も、ヤードラット星で習得した透視能力を袋閉じの中身を見るのに使っていたし。

 やはり、見習うならツムーリやネイルにするといいだろう」

 

 そう言いながらドクターは私の肩を手で軽く叩いた。

 私はドクターを良い人だと思うが、ドクターは自分を良い人とは思っていないようだ。

 たしかに、瞬間移動で訪れたナメック星のツムーリさんやネイルさん達は良い人物だが……私はやはりドクターが喜ぶ顔を見たいと思ってしまう。

 

「分かりました、善処します」

 答えをもらえないという事は、自分で答えを見つける事もドクターの言う『成長』に含まれるのだろう。

 まだ生まれてから一年と少々しか過ぎていない私には想像するのも難しいが、これから何年、何十年とかけて『成長』し答えを見つけるのが私の目標のようだ。

 




・ドクターウィロー

 永久凍土の下で眠っている。まだ目覚める気配はない。研究を奪われ、将来ゲロが論文を発表する時に部下のドクターコーチンと共に名前を掲載される予定。

 なお、実際の戦闘力は3万9千。ゲロの前世は1万8千とまちがえて覚えていたもよう。



・ドクターコーチン

 ウィローの部下で、おそらく彼が作ったロボットかアンドロイドかサイボーグ。
 映画版では彼がドラゴンボールを使って永久凍土を溶かした事でウィローが復活する。そのため、彼だけは永久凍土に閉じ込められず活動しているとゲロは推測している。
 ただし、今回は幸いにも遭遇しなかった。



・人造人間4号

 見た目はネイルに似ているナメック星人。通常の生物と同じように気を発しており、疲労もするし長寿のナメック星人と同じように加齢もする。
 ナメック星人の善性と再生能力、ヤードラット星人の超能力(瞬間移動、サイコキネシス等)を併せ持つ。さらにゲロから彼の正体と原作について知らされた、現在ではたった一人の人造人間。
 現時点での戦闘能力は百五十程で、手加減も習得している。

 天下一武道会ではヨンゴーの名前で出場し、決勝戦ではゲロに接待プレイをして優勝を譲った。


・ゲロ

最近生え際が前線を維持できず後退をはじめ、遺憾ながらこれも運命なら仕方ないと考えている。


・ゲロコーポレーション

 世界一強い科学者が社長という妙な会社。しかし、地球の再生医療業界ではトップを爆走している。
 時々武術家が訪ねてくるが、弟子入り希望の場合は入社希望者として扱われ、ゲロに対する挑戦希望者の場合は2号改が相手をする。
 今のところ、2号改を倒した武道家はいない。



・アルマ

 ゲロの妻。21号になる人間。名前の由来はアルマダイトという宝石。
 作者が名前について悩みまくった挙句、宝石から引っ張る事にした。彼女の名前がこの作品を書く上で最大の障害だったと言っても過言ではない。
 なお、彼女は優秀だが大きな発見や発明をする前に病死してしまったので、彼女の名前と存在はこの作品の世界線ではほとんど知られていない。

 ブリーフも彼女が病死した後にゲロと知り合ったため、ゲロの話と写真でしか彼女の事を知らない。



・天下一武道大会

 悲報、科学者に優勝される。しかも、決勝戦は接待プレイだった。
 ただ、観客は空を飛び気功波を放つゲロと、ゲロ相手に(演技で)善戦した4号の戦いに白熱し、満足したらしい。なお、この時はまだテレビ中継はされていなかった。



・人造人間17号&18号

 よほどのことがない限り作らない予定らしい。そう、よほどのことがない限り……。そして世の中、予定通りになるとは限らない。




 黒帽子様、アシマ様、あんころ(餅)様、アドメラレク(゜.゜)様、ヒロシの腹様、ノム様、変わり者様 kuro様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。
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