ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
日付が変わるずっと前に、無力化されたタイツ達の大猿化は解けた。
トワが退いた時に結界が消えたので、パワーボールを破壊する事が可能になったためだ。今夜空に浮かんでいるのは、本物の月と星々だけだ。
しかし、ほっと一息ついている余裕はない。
「4号っ! タイツ達をホイポイカプセルの家に回収するぞ! ラズリ、手伝ってくれ!」
「ラピスと悟空、ターレスはヤムチャとサタン君をお願いします!」
「俺も爺さん達の方を手伝ってやろうか!?」
「よし、じゃあバスタオルに化けてヤムチャかサタンを包んでくれ」
「絶対嫌だ!」
タイツ達の服は大猿に変身する時に破けているので、このままでは裸の状態で戻る事になる。儂と4号は瞬間移動を駆使して元の姿に戻っていく彼女達を回収し、ホイポイカプセルから戻した家で横にさせる。
その後、大猿化した時ターレスに倒されたサタンは4号に治療され、ヤムチャと共にキャビンカーの部屋に寝かされた。
「しかし、大猿化が解けた時に気を失っていたタイツやサタンはともかく、意識があったはずのチチやヤムチャまで眠っていたのは何故じゃろう?」
回収作業が終わって一息ついた儂は、ふと気になった事を呟いた。
思い返してみると、原作で悟空や悟飯が大猿化した後戻ると意識を失っていた。それに対して、サイヤ人襲来編のベジータの大猿化が解けた時は、意識を保っていた。
それに、この世界でも地獄で大猿化したベジータ王がネイルに倒されて大猿化が解けた時も、彼は疲労していたが意識は保っていたと聞いている。
「この差はなんじゃろうな? 知っているか、ターレス?」
「知る訳ないだろ。保育器の刷り込みも、そこまで細かい知識をカバーしちゃいねぇよ」
「やはりか」
「だが、想像はつく。弱いと大猿化の反動に耐えられないんだろうよ。ある程度以上強ければ、大猿化から戻っても起きていられるだろう。さっき大猿化した中では、タイツぐらいだろうな」
「なるほど。確かに、それなら保育器が刷り込む知識に含まれていないのも納得じゃな」
他星を侵略する手段の一つに大猿化が含まれているサイヤ人だが、それを実行する戦士は下級であっても大猿化の反動に耐えられる以上の強さがある。耐えられない弱いサイヤ人の多くは非戦タイプか戦士としては未熟な子供であるため、惑星ベジータから出る機会が無いから大猿化する機会自体がない。
そして飛ばし子にされる弱い子は、大猿化が解けると反動で意識を失うとしても、大猿化しないと生き残れないので教えない方がいい。という事だろう。
「そうか? ヤムチャもチチも強いと思うけどなぁ?」
「悟空、俺が言ったのは戦闘民族サイヤ人としての基準だ。いくらテクニックがあっても、十倍の重力で満足に動けない程度じゃ、サイヤ人としては弱い部類なのさ」
「そっか。母ちゃんや父ちゃんの仲間も、ベジータ王のおっちゃんもメチャクチャ強えもんな。じゃあ、オラ達もまだまだだな!」
そう感心する悟空。実際、悟空達には将来的にもっと強くなって欲しいところだ。
「おい! 和んでいないで何が起きたのか説明しろ!」
「そうだ、そうだ! マイをどうするつもりだ!?」
悟空達と話していると、ピラフ大王とシュウが説明を要求してきた。サイヤ人や歴史改変者に関する知識が全く無い彼らにとって、何が起きたのか分からないのは当然だ。
「ん? まだいたのか、お前ら」
「おるわ! マイを置いて逃げられるか!」
「あのロボットが壊れたから、逃げられなくなっただけだろう」
「随分偉そうだな、使用人の癖に」
「あれは仮の姿だ! ワシはピラフ大王だぞ!」
ピラフ大王がターレスとラピスに弄られている。その間に、儂は現実逃避を止めてこれからどうするか考えた。
タイツ達がサイヤ人の特性を得てしまった。まだ厳密に検査した訳ではないが、おそらく孫悟飯やトランクスと同じサイヤ人と地球人のハーフのような生態になっているだろう。
正史とはかけ離れた展開であり、影響は今この瞬間だけにとどまらず、将来にわたる大きな改変になるだろう。結果的に時の界王神様の胃に大ダメージを与え、歴史改変者に巨大隕石並みの岩塩を贈ったに等しい。
だがまあ、タイツ達の気持ちも分からんでもない。ヤムチャとサタンは巻き込まれただけだが、当人達にとってもそう悪い事ではないだろう。
(そもそも、ブルマやタイツが超能力者で武道家としても強くなってきている段階で、将来にわたる歴史改変になるのは明らかじゃからな。今更じゃ)
なので、改変云々の事は考える必要はない。それよりもずっと優先度が高い問題もある。
「サタン君の保護者にどう説明したものか」
お宅の息子を宇宙人とのハーフにしてしまいました。うむ、訴訟待ったなし。
ブリーフとパンチー夫人はいい。娘のタイツとブルマの願いがかなった結果であるし、サイヤ人についても以前から知っている。せいぜい、夫人が「じゃあ、お洋服に尻尾を出すための穴を開けないといけないわね」と言うぐらいで、受け入れてくれるだろう。
サンと牛魔王も同様だ。サン自身が儂に改造された人造人間で、サイヤ人だけではなくナメック星人やフリーザ一族の細胞が移植されている。
それにチチの動機を考えれば、喜んで受け入れるだろう。……むしろ祝いそうだ。
そしてヤムチャは、彼の両親の事は知らないが独立しているから大丈夫だろう。
しかし、サタンの両親はどうだろうか? 亀仙人によると息子の夢を応援する、理解ある良い親御さんらしいが……後で相談するしかないな。
(儂がやった訳じゃないが……『ドラゴンボールで願いを叶えたせい』か、人造人間を作っている儂のせいか、どちらが真実っぽいかと考えると、後者の方じゃろうし)
「おいっ! 考え込むな! 何が起きたのか説明しろと言っているだろう!?」
っと、そうだった。ピラフ大王を放置したままだった。
「ああ、そうじゃったな。ええっと、シュウ博士の使用人のピラフと言ったか?」
「だから、それは仮の姿だと言っているだろう!」
しかし、儂が事前にピラフ大王の正体を知っていた事は秘密なので、一回はとぼけておきたい。
「では、ピラフ大王、とりあえずサイヤ人について説明しよう。それと、今日は泊っていくかね? 食事も用意するが?」
気が付けば、夕食の時間帯を過ぎている。ピラフ大王が作戦のために用意した屋敷は、タイツ達が大猿化した時に壊れて瓦礫の山になっているので、無事な食料を発掘するのは難しいだろう。
「た、頼む」
こうして、タイツ達に泊まる部屋と食事を用意すると言っていたピラフ大王達は、儂等が用意した部屋に泊まり、食事を食べる事になった。
なお、肝心の食事はチチを休ませるために儂と4号でケータリングを頼んだ。瞬間移動で今昼間や午前中の町の店に行き頼んだので、店に迷惑もかけて……いや、当日にサイヤ人の団体が腹いっぱい食える分の料理を注文するのは、十分迷惑か。
食事を始めてしばらく経った頃に、タイツ達は目を覚まし、着替えを済ませて部屋から出てきた。
目覚めた直後は戸惑っていた様子だったそうだが、タイツやブルマは自分達の身に何が起きたかすぐ分かったそうだ。
「見てないのよね? 本当に?」
「ああ、見てねえよ。駆けつけてきた爺さんとヨンに感謝するんだな」
「あたしにもね。女で大猿にならなかったのはあたしだけだったから、大変だったんだよ?」
「うん、お爺ちゃん達とラズリ、ありがとう。助かったわ」
目覚めたタイツ達は、やはりパワーボールによって作られた偽りの満月を見た直後から記憶がないらしい。暴れたタイツとブルマも、暴れなかったチチとヤムチャも大猿化しているあいだのことは覚えていなかった。
「やっぱり覚えてねぇんか? 去年の王様の方がデカかったけど、大猿になったチチ達の方が強そうだったぞ」
「数値では巨大化したグルメス王と大猿化したヤムチャは同じくらいだが、グルメス王は隙が大きかったからな。だから大猿化したチチとヤムチャが暴れ出していたら、儂と4号も様子を見るばかりではいられなかっただろう」
「さらにターレスと悟空まで大猿化していたら、何人か死にかけていたかもしれません。目薬を忘れずしてくれて助かりました」
ターレスが大猿化すると、その戦闘力は4万。儂を上回り、4号も気を抜けない相手になる。悟空は大猿化しても2000ぐらいだが、厄介なのは純粋なサイヤ人が大猿化した時に発揮される狂暴さだ。
二人が大猿化していたら、誰も死なせずに、更に尻尾を温存したまま事態を解決する事は出来なかっただろう。
「それでお爺ちゃん……怒ってる?」
「ん? ああ、大猿化している間の事なら、あれは儂のミスが原因じゃ」
儂が魔術の結界が張られている事に気が付かず、瞬間移動でタイツを月のない場所に連れ出そうとして失敗し、結界にぶつかってしまった。大猿化したタイツが暴れ出したのはそれが原因だ。儂が怒る理由はない。
「それに大猿化している間の事を咎めるつもりはそもそもない。歴史改変者の仕業じゃからな」
なんと言っても、理性が無いわけだからな。大猿に変身してしまった事自体を咎めるのも、違うだろう。咎めるべきは悪意を持って隙を突いた歴史改変者であって、タイツ達ではない。
「いや、そうじゃなくて、相談しないでサイヤ人になった事。悪いとは思ってなかったんだけど、大猿化して迷惑かけちゃったし」
「ああ、そっちか。ふむ……驚きはしたが、驚いただけじゃな。事前に相談されていれば……願いを叶える前と後で体質がどれほど変わったのか、検査する用意を事前にしていたと思うが」
歴史改変が云々とか色々考えたが、やはりそれはタイツ達の自由意志や選択を止める理由にはならない。
「ただ、ヤムチャとサタンには謝っておくべきじゃな」
「うん、ごめんね、二人とも」
「大猿に変身するのを防ぐ目薬は二人の分もちゃんと渡すわね」
「巻き込んじまって本当にすまねぇだよ」
そう謝る三人。ヤムチャとサタンは特に怒る様子もなく、謝罪を受け入れた。
「いや、まあ、なった時は驚いたが、目薬さえしていれば地球人とそう変わらないようだし、気にしないでくれ。尻尾って弱点が増えたが……」
「それも修行すれば克服できるそうだし、何なら前もって……滅茶苦茶痛そうなので怖いけど、尻尾を切っておくという手段もありますし。やっぱり、変化した時は驚きましたけど」
姿が大きく変わった訳ではない。また、尻尾についても切断すれば目薬も弱点を克服するための修行も必要ない、ので、ヤムチャとサタンはタイツ達を責めるつもりはないようだ。
「ちょっと待てっ! ちゃんとワシ等にも謝れ!」
「あと、目薬をください!」
「で、出来れば、普通の服も頂ければ……」
一方、ピラフ大王達は納得しかねているようだ。バニーガール姿のマイも含めて食事はとっているが。
「あ、ごめんね」
「いいって事よ……って、軽いっ!? もっと誠意を込めんか!」
「いや、だってあんた達も世界征服を叶えてもらおうとしたんだから、願いに他人を巻き込んだ事に関してはお互い様じゃない」
タイツ達はマイを巻き込んでサイヤ人とのハーフに変化させてしまったが、ピラフ大王達も世界征服の願いをもし神龍が叶えていたら、タイツ達もピラフ大王に支配されていただろうから、お互い様。そうタイツは考えているようだ。
「それに、あんた達があたし達を騙してドラゴンボールを盗んだから、姉さんが急いで願いを言わなきゃならなかったんじゃない。あんた達の自業自得よ」
「ま、被害者ぶるのは無理があるな」
ブルマとターレスにはそう切って捨てられた。ピラフ大王の態度が謙虚で同情を引くものだったら、彼女達の態度も違っただろうが……。
「むぐぐっ! 口の減らん奴らめ!」
改めるつもりはないようだ。
「マイさんの服は、ちょっとかわいそうだべな、オラので良ければ、貸しても構わねぇだぞ?」
ただ、マイの格好に関してチチは同情的だった。偽の屋敷が潰れ、城に帰るための移動手段であるピラフマシンも壊れてしまったため、大猿化した者の中で彼女だけ着替えが無かった。そこで、ウーロンがキャビンカーにあった服……バニーガールの衣装を笑顔で提供したのである。
なお、兎の尻尾の部分は外して、そこからサイヤ人の尻尾を通している。
「い、いえ、お気持ちだけで……」
「そうだか?」
しかし、服の提供を申し出たのがチチだったためか、マイは遠慮した。ビキニアーマーとバニーガールなら、後者の方がマシだと思ったのだろう。
……今にして思うと、瞬間移動で彼女の着替えを調達すればよかったのだろうが、色々あって忘れていた。
しかし、大猿化していたとはいえブルマが飲むことになった睡眠薬といい、ブルマではなくマイが着る事になったバニーガールの衣装といい、死蔵される事無く結局使われている。これが歴史の修正力というものだろうか? なるようになっただけのような気がするが。
「服はともかく……自分でも怖くなるぐらい食が進むのはいったい?」
「そう言えばマイ、お前我々の五倍は食べているぞ。まさか、胃袋だけ大猿になったままなんじゃないのか?」
「言われてみれば……あたしも全然お腹いっぱいにならない!」
マイやブルマが、空になった皿で山を作りながら、そう言い出した。
「サイヤ人とのハーフになったからだ。大猿に変身して体力も使ったはずだからな」
「ええっ!? こんなに食べて太らないかしら?」
「その分エネルギーを消費するから、太る事はないだろ」
地球人の数倍以上食べる大食いのサイヤ人だが、バーダックやベジータ王等筋肉質で引き締まった体付きの者が多い。非戦闘タイプでも、ギネやビーツのようにやせ型の者が多い。
惑星ベジータは重力が地球の十倍あるため、サイヤ人の細胞は日常的に地球人よりも多くのエネルギーを生み出すようにできているのだろう。
タイツがサイヤ人の大食いを短所ではなく長所だと解釈したのも、「たくさん食べても太らないなんて最高じゃない」と考えたからだろう。
「あのパンブーキンのおじさんは?」
しかし、絶対に太らない訳ではない。
「パンブーキンのオッサンは……脂肪の下は筋肉だから、デブってわけじゃないだろ」
「今まで通りトレーニングを続ければ、そう太る事も無いじゃろう。ブルマやチチは成長期じゃからな」
年頃の少女にとっては気になる問題だろうが、サイヤ人とのハーフになって変化した体質で無理なダイエットをしたら倒れかねない。しっかり止めておこう。
「トレーニングを!?」
しかし、マイには太らないよう独力でトレーニングをするのはきついかもしれん。
「それも踏まえてじゃが、ピラフ大王、君の頭脳を我が社で役立てるつもりはないかね?」
「な、なんだと!? ワシに貴様の下で働けというのか!?」
突然の提案に驚いた様子のピラフ大王だが、彼も天才科学者の一人。まだピッコロ大魔王を復活させてもいないし、スカウトするのを躊躇う理由はない。
……将来的に、そのピッコロ大魔王やマイとトランクスの関係がどうにかなってしまいそうだが、そもそも未来は分からないものだ。なるようになるだろう。
「世界征服の達成も、難しくなったようじゃし」
何より、ピラフ大王が本編のストーリーに関わり続けた理由である、ドラゴンボールを集めて神龍に世界征服の望みを叶えてもらう事が、この歴史では不可能だともう明らかになっている。
既に儂のスカウトが成功するかにかかわらず、ピラフ大王がこの先どう行動するか読めない状態にあるのだ。
「どうします、ピラフ様? 大企業へ就職するチャンスですよ」
「しかも、神様を超える力を持つ会長直々に!」
「ええいっ! 儂はピラフ大王だぞ! 世界征服を目指すこのワシが、サラリーマンになってどうする!?」
しかし、ピラフ大王の世界征服への情熱は儂が考えていたよりも強く、熱かったようだ。左右から部下にスカウトを受けるよう促されても、ピラフ大王は頷こうとしなかった。
「それはそうですけど、神龍でも世界征服は叶えられないんですよ?」
「いっそ、GCコーポレーションで出世する事を目指した方が、世界征服に近づくのでは?」
「いいや、儂にも考えはある! 世界征服は無理でも、『世界一の金持ちにしてくれ』とか、『この国の王様にしてくれ』なら、神龍に叶えてもらえるかもしれないだろ!」
それどころか、ピラフ大王は神龍が叶えられそうな願いで、世界征服の野望を達成する事を思いついたようだ。
圧倒的な経済力があれば、世界を手に入れたに等しい立場になる事も不可能ではない。
さらに、地球国国王への即位は神龍が叶えられそうな願いの中では、最も簡単に世界を手に入れる方法だろう。それで手に入る権力は現在の地球国国王と同じ程度だから、ピラフ大王が思い描くような世界の支配者とは実情は異なると思うが。
「「な、なるほど! さすがピラフ様!」」
これには儂のスカウトを受ける事を促していたシュウとマイも、掌を返してしまった。どうやら、失敗のようだ。
「爺さん。こいつら全く懲りてないぞ」
「パパ、今のうちに捕まえておいた方がいいんじゃないか?」
「いや、トップを目指すのは悪い事ではない。それに、考えるだけなら自由じゃからな」
世界であれ国であれ企業であれ、トップを目指す事は悪行ではない。目指すために非合法な手段をとる事が悪行なのだ。
しかし、念のために近い内にピッコロ大魔王の封印は別の場所に移しておくべきだろう。これまでは誰かが封印を解いてピッコロ大魔王が復活したとしても、すぐ対処すればいいと考えていた。しかし、歴史改変者が儂の想定よりも積極的になっている。
ただ敵をキリで強化するだけではなく、満月を作ってタイツ達を大猿化させるような搦手も使ってきている。ピッコロ大魔王を使って妙な手段に出ないとも限らないので、手を打っておくべきだろう。……手を打った結果、ピッコロが生まれないかもしれないが、そうなってしまったら諦めるしかないだろう。
「いいか、来年こそ儂がドラゴンボールを集めて願いを叶えてやるからな! 覚悟しておけ!」
「おうっ! オラ、負けねぇぞ!」
「えっ、お前らまたドラゴンボールを集めるのか……じゃあ、再来年にしようかな。ドラゴンボールを集めるの」
ただ、懲りないピラフ大王も悟空達と戦ったら勝てない事は忘れてはいないようだ。
次の日の朝、サイヤ人とのハーフに変化した者達に簡単な検査をして、戦闘能力を含めた運動力のテストを行った。
結果、タイツ達の体は今まで言ってきたように地球人とサイヤ人のハーフになっている事が確定した。神龍に「良い所取りにして」と願ったのに尻尾の弱点がそのままなのは、願ったタイツが「鍛錬で克服できるなら短所ではない」と思っているからだろう。
強靭な消化器官に、太りにくい体質、ナメック星人のように失った部位を再生できる程ではないが地球人の数倍に達する高い自然治癒力や、驚異的なスタミナと回復力による高い継戦能力も備わっている。だが、戦闘意欲は強くなったがほどほどで落ち着いているようだ。
「組手や試合が前より楽しく感じるようになった気がする」
「戦っていない時でも、どんな風に戦おうか考えるだけでちょっとワクワクするわね。ターレス兄さんや孫君の気持ちがちょっと分かったわ」
「疲れてもすぐ元気になるだよ。一日中動いてられそうだべ」
そう言うタイツ達だが、戦闘を楽しむあまり相手を傷つけるなどの無茶はしないし、周りを破壊するような攻撃はしないよう抑えている。
また、瀕死から回復する事でパワーアップする体質も受け継いでいる事がサタンとマイによって分かった。
「フハハハハ! 俺は強くなったぞー!」
「ピラフ様! どうしましょうっ、瓦を十枚も割ってしまいました!」
大猿化している間にターレスに叩きのめされたサタンと、ラズリとラピスに倒されたマイの戦闘力が上がっていたのだ。
「サタンの奴、調子に乗ってるようだがいいのか?」
「組手している間はああなるんだ。いつもの事さ」
「そう言えば、浜辺やダークドームでもそうだったな」
普段は周りにいるのが武道の先輩ばかりなので大人しい口調のサタンだが、戦っている時は尊大な態度で荒々しい口調になるようだ。
「おお、凄いぞ、マイ。……凄い、はずだよな?」
「マイ以外が凄すぎて、いまいち驚けませんね、ピラフ様」
一方、マイは元々平均的な地球人の女性よりは高い身体能力をしていたが、その数値は約5程度だっただろう。パワーアップした今は約6で、原作サタンに近い強さになっている。
しかし、周りと比べると戦闘力に差があり過ぎて、強くなった事が分かりにくいようだ。
その後、ピラフ大王達は壊れたピラフマシンから無事なパーツを集めて即席の車を作り、それに乗って帰っていった。もちろん、ブルマから予備も含めたブルーツ波遮断目薬を受け取って。
悟空が「送ってやろうか?」と申し出たが、「これ以上塩を受け取れるか!」と言って拒否していた。
彼らの城はこの砂漠にあるはずだから、帰りつけるだろう。
悟空とチチはサタンと三人で、筋斗雲に乗って亀仙人の元へ行くそうだ。二人は今年から亀仙人から本格的な修行を受ける予定だったので、元々パオズ山やフライパン山の麓に戻らずそのまま修行を受けに行く予定だったらしい。
ヤムチャとプーアルは彼らと別れ、儂が瞬間移動で地球の神様の神殿に連れて行った。カリン塔での修行を終えた彼は、次は神様に……より正確にはポポに修行をつけてもらうようだ。
なお、4号ではなく儂が二人を地球の神様の神殿へ送ったのは、昨夜の事を説明するためである。
「本当にヤムチャ達の尻尾を消さなくてもいいのだな?」
「もちろんです。昨夜のあれは歴史改変者のせいで起きた事故に過ぎません。また、そのような突発的なトラブルが起きても対処可能であると証明する機会でもありました」
「ううむ、確かに被害を出さずに事を収めたのは見事だったが……本当に大丈夫なのだな?」
「もちろんです」
地球の神様には何度も念を押されたが、度重なる説明とブルーツ波遮断薬噴霧装置の改良案をプレゼンする事で何とか納得してくれた。
その間に、タイツ達残りのメンバーは4号と共に西の都へ。瞬間移動で帰るのは味気ないので、ホイポイカプセルから出した飛行機に乗って帰路へ着いた。
ちなみに、ウーロンも西の都で生活する事になった。学校に通いながら儂やブリーフ博士の研究に協力してもらう予定だ。彼やプーアルの変身能力は大変興味深いからな。
こうして、悟空達の最初のドラゴンボール集めは終わったのだった。
その頃、南の海では頭を丸めた小柄な少年が、ボートを漕いでいた。
本来の歴史なら彼が海に出るのは、春ではなく夏のはずだった。しかし、この歴史では本来の歴史……原作より彼が入門した多林寺での修行がきつくなっていた。
GCGの元隊員や、入隊を諦めた新人等が各地のジムや道場に転職した影響で広まった、ゲロが亀仙流をマイルドにした修行の影響は多くの者が修行する多林寺にも及んでいたのだ。
マイルドにしたと言っても、それまでの多林寺の修行とは、比べ物にならないきつさだ。その分続けられれば効果は大きいが、それを実感して満足するまえにストレスに耐えられなくなる者も少なくない。
少年の先輩達もその一人であり、ストレスのはけ口として以前から行われていた少年へのいじめは激しくなり……結果、少年は原作より約三か月早く多林寺を脱走したのだ。
「まだ見えてこないな、武天老師様がいる島……」
「やられたな」
諸々の事を終えた儂は、ピッコロ大魔王が封印された電子ジャーが安置されている場所を訪ねた。
差し迫った危機感は覚えていなかった。周囲は以前から複数のスパイロボットで監視していたし、熱源も、気も、当然キリも感知させずに近づく者がいたとは考えていなかった。
だが、肝心の電子ジャーは無かった。驚いてスパイロボットの映像を巻き戻して確認したが、侵入者の姿は一瞬たりとも映っていない。
まさか、歴史改変者がスパイロボットのカメラに映らない程の超スピードで電子ジャーを持ち去ったのか? いや、違う。
「いくつか痕跡が残っているな。これは……ドクター・コーチンか」
スカウターでスキャンした結果、数か月以上前のものらしい足跡が残っていた。照合した結果、一年前ドクター・ウィローの研究所で発見したコーチンの足跡と一致した。
「とはいえ、コーチンが単独でやったとは考えにくいので、裏に歴史改変者がいるのは確実か」
コーチンなら、儂のスパイロボットをクラッキングして乗っ取り、映像を残さず電子ジャーを持ち出す事も不可能ではないだろう。
しかし、コーチンにはピッコロ大魔王を復活させる理由がない。ウィローの肉体の候補として考えていた可能性もあるが、だとしてもピッコロ大魔王が封印されている場所を彼が知っているはずがない。
それに、去年ウィローの研究所に歴史改変者がドラゴンボールを置いた事を考えると、コーチンの妙な行動に奴らが関わっていないとは考えにくい。
「とりあえず、関係者に報告じゃな」
少なくとも、ピッコロ大魔王をどうするか儂が悩む必要は無くなったようだ。
〇ブルーツ波遮断薬噴霧装置
ブルーツ波遮断目薬を噴霧する装置。歴史改変者(トワ)が放った気弾であっさり壊されてしまったため、カッチン鋼を使って耐久性を増す予定。
〇バニーガールの衣装
ウーロンのキャビンカーの二階のタンスに死蔵されていた衣装。原作ではブルマが着てヤムチャが縄張りにしていた砂漠から、フライパン山、そして兎人参家の縄張りの町で新たに服を買うまで着ていた。
この作品では、着替えの無かったマイにウーロンが喜んで提供した。
ゲロだけではなくタイツやブルマが瞬間移動して服を持ってくればよかったのだが、「そう言えばこの人、銃を向けてきたっけ。当たってもちょっと痛いだけだったろうけど。それに一応騙した側よね」と思い、そこまで親切にしないでもいいかと思ったのと、疲れていたしお腹も減っていたので食事を優先した。
別にいい気味だと思っている訳ではなく、これぐらいの罰ゲームを受けてもいいよね、という感覚。
なお、チチのビキニアーマーの方が露出度は高い。
〇ピラフ城
原作と違って無傷。ピラフ大王の財産は守られたのだ。
〇頭を丸めた小柄な少年
いったい何クリリンなんだ……。
Mr.ランターン様、カド=フックベルグ様、KJA様、変わり者様、匿名鬼謀様、Veno様、N2様、Paradisaea様、佐藤東沙様、gsころりん様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
牛魔王夫妻の第二子は?
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モウ(男の子)
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スイ(女の子)
-
まさかの双子!