ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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61話 ついに発見、ズノー様の星。ついに始まる眠り姫の目覚め

 世間話が一段落した後、あの世とこの世の交流戦最終日の試合が始まった。

 試合の形式は五対六の団体戦。

 この世チームのメンバーは、儂、4号、ギネ、そしてナメック星人の戦士タイプの若者で悟空達の幼馴染のムデンに、ナメック星の神龍に願って戦士タイプに生まれ変わったマイーマだ。

 

 そして、あの世チームがバーダックチームにベジータ王、そして龍族のまま修行を続けるツムーリだ。数の上ではあの世チームが有利だが、回復役でもあるツムーリは参加メンバーの中で最も戦闘力が低いので守らないと試合中の回復手段を失うという不利な点もある。

 

 それに、儂と4号が四身の拳で増えれば数の差はすぐ埋まる。

 

「行くぜっ、マッスルカタパルトォ!」

「させん!」

 試合開始とほぼ同時にパンブーキンが得意技で体当たりを仕掛ける。しかし、それを読んでいたマイーマがすかさず動いた。

 

 マイーマの戦闘力は7万2千。パンブーキンの戦闘力4万5千を軽く上回っている。気の感知でそれを察した彼は、彼のタックルを止められると確信していた。

「ぐはっ!? ば、馬鹿なっ!?」

 

「甘いぜ!」

 だが、パンブーキンは儂がコツを教えたプラズマブーストを使って、身体能力を倍増していた。プラズマブーストは筋力や神経の伝達速度を上げるが、界王拳やスピリットブーストと違って気の大きさ自体は変わらない。そのため、マイーマは彼の勢いを見誤ってしまったのだ。

 

「このまま突っ込むぞ!」

「させないよっ!」

「貴様の相手はこのベジータ王がしてやろう!」

 後方に弾き飛ばされたマイーマの穴に突っ込もうとするバーダックチームに、その前に立ちはだかるギネ。そして、彼女に勝負を挑むベジータ王。

 

 セリパは3万1千、トテッポは4万9千8百、トーマは5万4千と、バーダックチームは儂や4号だけではスピリットブーストを使わないと持ちこたえる事は出来ない。

 そしてギネの戦闘力は12万。しかし、ベジータ王の戦闘力も11万7千。その差は僅か3千。

 

 亀仙人やターレス達には3千は圧倒的な差だが、戦闘力が十万を超える二人にとってその差は僅か数パーセントでしかなく、少しの油断やミス、動揺でひっくり返る程度の差でしかない。

 

 そして戦いは白熱し……試合の結果はほぼ引き分け。たがいに全力でぶつかり合った結果、此方は儂、4号、ムデンが倒され、あの世チームはツムーリとセリパ、パンブーキンを倒された。

 そしてお互いに回復手段を失ったまま戦い続け、トーマとトテッポが倒れ、ギネとベジータ王が相打ちになり、ただ一人マイーマが立っていたためにこの世チームの勝利と判定されたが……彼も倒れる寸前だったのでまさに紙一重の勝利だった。

 

 ただ瀕死という程のダメージを負ったものはいなかったので、パワーアップは発生しなかったが。

「チッ、負けた上にパワーアップし損ねるとは、やられ損だぜ」

「別に瀕死になるのが目的じゃねぇだろ、パンブーキン」

「フンッ、そう何度も続けて瀕死から蘇っても、戦闘力は上がらんぞ。前に説明してやったはずだ」

 

 サイヤ人の死の淵から蘇る度に強くなる特性は、それまでのトレーニングや戦闘経験、そして生き延びようとする本能によるものだ。そのため、顔なじみ相手との死ぬ(あの世チームにとっては消滅)危険性が不慮の事故以外ではほぼない、しかも毎年行われる恒例の試合となった今では、本能への刺激が足りないらしい。

 

 タイツやターレス、タロやリークは自分の十倍以上の戦闘力の持ち主が複数いる状況での試合であるため、刺激は十分らしいが。

 

「端的に言えば、刺激不足で伸び悩んでいるという事か。マンネリは禁物、という訳じゃな」

「そう言う事だ。ゲロ。新しい顔ぶれでもいれば、気分も変わるというものだが……?」

 ベジータ王が言外に人造人間7号、ランチはいないのかと尋ねて来るが、まだ彼女は表に出せない。6号のランファンと同様に、来年まで待ってもらわなければならない。

 

 なお、セリパ達にはその事を話しており、今年の再会は離れたところにいるランチとはテレパシーで会話するだけに留めてもらっている。

「新しい人造人間や俺達と戦える奴がいないってんなら、仕方ねえか。マンネリって言っても十分楽しい試合だったし、別に瀕死になるためにやってるわけでもないしな」

 

「そうだね、バーダックじゃないんだし」

「ちょっと、バーダックだって死にかけたくて死にかけてた訳じゃないんだからね!」

 

 そうして話している間に、悟空対ヤムチャ、そしてチチ対ブルマの試合が行われた。地球人にとっては白熱する戦いだったし、ベジータ王達もサイヤ人の末裔である悟空と、最近サイヤ人ハーフになったヤムチャやチチ達の戦いを興味深そうに観戦していた。だが、やはり刺激不足だったらしい。

 

 悟空対ヤムチャの試合では、真・狼牙風々拳の猛攻に耐えきった悟空がかめはめ波でヤムチャを倒して紙一重の勝利を手にした。

 チチ対ブルマは素の力ではチチが勝っていたが、ブルマが超能力を使って彼女の尻尾を掴んで場外に落として何とか勝利していた。

 

 しかし、ベジータ王達の言うマンネリはベジータ王自身によって解消される事になった。

 儂がランファンに協力してもらった実験で得たデータから開発した、大猿への変身を抑制する補助装置を彼に渡し、実験を行う事になったからだ。

 

 もちろん、このためにベジータ王はブルーツ波遮断目薬をつけていない。

「これを被るだけでいいのか? 耐久力はどれほどだ?」

「装置本体はウィロー合金製なので、装置を直接狙われない限り壊れないはずじゃ」

 

 装置の形状はシンプルな冠型……西遊記の孫悟空が三蔵法師によって頭に嵌められた輪を想像して欲しい。素材は説明した通りウィロー合金製であるため、戦闘中の余波程度で壊れる事はまずない。

 もちろん、フリーザのような一億以上の戦闘力を持つ強敵と戦う場合はその限りではないが、これは防具ではなくあくまでも補助装置。フリーザと戦うまでには、補助装置が無くても制御できるようになってくれている事を期待したい。

 

「ウィロー合金か……この合金にウィローの名をつけたのは何故だ?」

 唐突に命名の動機を問われ、儂は若干驚いた。しかし、ウィロー本人が地獄でニオン達と働いていると聞いたのを思い出した。

 

「開発者に敬意を表そうと考えたからですな。ウィローの思想は共感できんし、殺したことに後悔は微塵も覚えていないが、それと彼とコーチンが開発した研究成果の有用性や評価は別の問題ですからな。

 それに、ウィローの名前を付ける事で儂も研究を盗む罪悪感を覚えずに済む」

 

 ウィロー合金を大量生産が可能なよう改良したのは儂だから、ただ盗んだわけではないが。

 

「殺した事には後悔が無いのに、研究を盗むのは罪悪感を覚えるのか。理解出来んな」

「想像して、『そんなものか』と納得してもらえれば十分だと思っている。こんな事を聞いたという事は、地獄でウィローが何か言っているのか?」

「フン、明日にでもニオンやシトウから聞いてみるがいい。では……始めるぞ、離れていろ!」

 

 儂が言われた通り離れると、ベジータ王は空に向かってパワーボールを放った。

「弾けて、混ざれ!」

 そして、空にパワーボールによって作られた偽りの満月が出現する。それを見た彼は、かっと目を見開く。

 

「ぬっ、お、おおっ! こ、これは……ぬおおおおっ!」

 そして、ベジータ王の気が大きく膨れ上がった。彼から発せられる圧力が増し、立ち上る気によって風が吹き、儂は思わず身構えていた。

 

「うわっ、うわわわっ!?」

「な、なんと強大な気じゃっ!」

「しかし、大猿に変身しておらんぞ! 制御に成功したのか!?」

「まさか、あれがスーパーサイヤ人なのか!?」

 

 衝撃を受けたのは儂だけではなかったようだ。気の感知を習得していないクリリンと、まだ甘いサタンやジャガーは狼狽えているだけだが、ブルマやチャオズはベジータ王のプレッシャーに耐えきれず半ば失神している。

 亀仙人も思わず目を見開き、桃白白は思わず身構え、トーマはスーパーサイヤ人になったのかと叫んでいる。

 

「フハハハハッ! 素晴らしいっ! この補助装置のお陰で、変身を制御するコツを覚えたぞ! 見事だ、ゲロ!」

 そしてベジータ王は大猿への変身を制御し、人の姿と大きさを維持したままパワーアップしていた。その戦闘力は117万。原作フリーザの第二形態を超え、ネイルと合体した原作ピッコロを僅かに超える程の力を手にしている。

 

 実験は大成功。これで終わってもいいのだが……。

 

「フッ、せっかくだ。ゲロ、ネイルを呼べ! この状態でどれだけ動けるのか、自分の力に慣れておきたい! 奴が来るまでの間は、貴様らに相手を申し付ける!」

 だが、ベジータ王はリングから降りようとせず、ネイルを呼ぶよう儂に要求したかと思うと、バーダックチームとギネを指さした。

 

「手加減の鍛錬も積んでおきたいのでな。感謝するがいい、このサイヤ人の王、ベジータ三世が遊んでやるのだからな!」

「チッ、気が大きくなった途端調子に乗りやがって……!」

「おい、爺さんっ! 俺達にもあの輪っかを貸してくれよ!」

 

「すまんが、あれは試作品なので一つしかない。予備があったとしても、お前達では大猿に変身しないだけで、理性は失うはずじゃ」

 ベジータ王が理性を保っているのは、サイヤ人の王族だからであって、補助装置とは関係ない。そのため、パンブーキン達が補助装置を装着したとしても、保てるのは姿形だけで、理性は結局失ってしまう。

 

「そうか、ならこのまま遊んでもらうしかねぇな!」

「怖気づいたと思われるのも癪だからね」

「フリーザは今のベジータ王よりずっと強いんだ。やってやるよ」

 

 そうして儂がネイルを呼ぶ間、ベジータ王と戦ったバーダックチームとギネだったが、巨大化せず戦闘力を十倍にしたベジータ王との差は圧倒的で、つけ入る隙も無かった。

 ギネが多少食い下がったぐらいで、ベジータ王の手加減した軽い攻撃で木の葉のように吹っ飛んでリングを囲うシールドにぶつかって動かなくなった。

 

 そしてネイルとの戦いでは、二倍界王拳を使用して力をほぼ互角に調整した彼とベジータ王は白熱した戦いを展開した。

 ベジータ王も体の大きさを維持出来たため、以前大猿化して戦った時よりも動いた際の隙と死角が少なくて戦いやすかったようだ。

 

 そして、ギネ達は試合とは言え圧倒的な強さのベジータ王と戦った事で本能に十分な刺激を受けて、瀕死から回復した時にはそれぞれパワーアップする事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 そして、次の日。悟空達は交流試合が終わったので占い婆の宮殿から去ってそれぞれの家や修行の場へ戻っているが、儂はまだ残っていた。

 

「一年と数か月ぶりね、あなた」

「ああ、久しぶりじゃな、アルマ」

 それは妻達と会うためである。

 

「お久しぶりです、宰相閣下。こちらが地獄で計測したデータと、我々が書いた論文のデータです」

「物は我々が地獄に帰ってしまうと消えてしまうそうなので、ここでデータのコピーをとってください」

「うむ、助かる」

 そして、モロコ、シトウ、ニオン達から彼らが地獄で行った研究データの提供を受ける。

 

「やっほー、初めまして。アルマちゃんにはお世話になってま~す」

「ああ、こうして君に会うのは初めてじゃな、マロン。」

 そしてマロンと握手を交わす。占い婆があの世から連れて来られる人数が一人空いていたので、天国で知り会ったらしいアルマを連れてきたそうだ。

 

 彼女とは占い婆を通じて話したり、彼女の遺体を改造したりしているが、会うのは初めてだ。こうしてみると、確かに大人になったブルマに似ている。

 

「タイツちゃん達がサイヤ人とのハーフになったそうだけど、大丈夫? 医療体制は整えた? 地球人がかからない病気になったり、地球人用の薬が効かなかったり、色々危険性も考えられるわ。サンさんの子供も夏には生まれるんでしょう?」

 

 早速アルマが科学者らしい心配をする。地球人よりも頑健な肉体を誇るサイヤ人だが、病気にならないわけではない。原作悟空が人造人間編でかかったウィルス性の心臓病以外にも、超でサイヤ人のクオーターであるパンがかかった普通の薬が効かない風邪(?)のような病気などの例がある。

 

 しかし、その点なら一先ず安心していい。

「その点はお任せください。我々が今渡したデータには、サイヤ人の医療データも含まれております」

「我々にはもう必要が無いデータですが、ベジータ王から未来のサイヤ人のためにゲロに渡すのだと命じられまして」

 

 なんと、儂が気づいて依頼する前にベジータ王がモロコ達に命じ、サイヤ人の医療データを復元させ、提供してくれたのだ。

「そうだったの? 天国で聞いていたイメージと違うわね。でも、モロコさん達もそうだし、やっぱり実際に会ってみないと分からない事も多いわね」

 

 アルマはベジータ王が率先して子供達のために動いた事と、天国で聞いた彼の評判や彼に対する評価との違いに驚きを覚えたようだ。

 

「まあ、ベジータ王やサイヤ人達の事を良く言う者は天国にはいないじゃろうしな。ただ……伝聞の印象と実物が異なっているというだけではないはずじゃ。

 ベジータ王本人も死んでから変わったようじゃからな」

 

 「人間はそう簡単に変わらない」という言葉は真実だが、「環境次第で人は変わる」という言葉も間違ってはいない。

 何せ、死んで地獄に落ちている。生者から死者への環境の変化は、かなり大きいはずだ。

 

「確かに、ベジータ王は亡くなってから変わりました」

「あ、それ分かる。あたしも、死んじゃってから色々変わった気がするもん」

「……正確に言うなら、地獄で起こした反乱が失敗に終わってからです。以前のような覇気がなくなり、だいぶ思い悩んでいたようでした」

 

「ですが、宰相閣下を迎えてからはまるで生き返ったように元気になられました! これも、サイヤ人再興の望みを宰相閣下が繋いでくださったお陰だと我々は感謝しています!」

 口を挟んだマロンをスルーして、モロコ達が口々にベジータ王は変わったと口々に語る。

 

 とはいえ、ベジータ王も完全に変わった訳ではないだろう。例えば、今回の事は地球にサイヤ人を根付かせたいベジータ王にとって、サイヤ人の次代が生物学的に生まれ育っていくために重要なポイントになる。

 惑星ベジータとは異なる環境の地球で、サイヤ人の血を引く子供達が大人まで育つ事が出来るか否か。これを乗り越えなければ、地球にサイヤ人の血が根付く事は出来ない。

 そのため出来る事をしただけ、とも考えられる。

 

 もちろん、ベジータ王にサンに新たに子が生まれる事や悟空やチチの婚約を喜び、純粋に祝う気持ちが全くないとまで言うつもりはない。

「なるほど……天国と地獄では情報の行き来が無いものね。

 ところで、ズノー様って人がいる惑星の場所を聞いて来たわよ。魔術師の方は見つからなかったけれど」

 

「素晴らしい! 助かったぞ、アルマ!」

 アルマが聞き出した座標からズノー様にいる惑星の位置を割り出し、さっそく宇宙船を向かわせる事にした。

 惑星の位置は予想していた通り比較的地球に近いが、太陽系とは別の銀河……儂とブリーフが設計した最新の宇宙船でも片道で半日ほどかかる。

 

 ジャコがブルマを連れて地球から往復した、銀河パトロールの宇宙船がどれほど高性能か分かるというものだ。……いずれ追い付いてみせるがな!

 

 ズノー様の居場所は分かったが、アルマ達を連れて行くと往復するだけでこの世にいられる時間が終わってしまう。なので、宇宙船だけ飛ばしておくことにした。

「では、行ってくる」

 その宇宙船を操縦するのは、もちろん儂の分身だ。自動操縦だと、不測の事態に対応出来んからな。

 

「これが四身の拳ね。凄い、質量もあるし質感も本物と同じ……この服って何で出来ているのかしら?」

「アルマ、放してくれないと宇宙船に乗れないのだが」

「分身ならもう一体作るから、その儂は放してやってくれ」

 

 そして、地球に残った儂本体とアルマ達は、マロンの「完成前の自分を見てみたい」という希望を叶えるため、儂の秘密研究所へ移動した。

 そしてマロンから直接希望を聞き、アルマやモロコ達と彼女をどう改造するか改めてディスカッションを行った。

 

 また、天国に善人の魔術師がいなかった理由も世間話の一環として説明してもらった。

 なんでも、善の魔術師の多くは界王神等の神に仕えているか、界王神が治める界王神界(星)で生活しているため、非常に長い年月を生きるため滅多に死なないらしい。そのため、天国にいなかったようだ。

 

 言われてみれば、前世の儂が覚えているドラゴンボールの原作に登場した善の魔術師らしいのは、老界王神とポタラ合体した老魔女ぐらい。合体前の老界王神と会えたという事は、彼女も界王神界に出入りが可能だったと考えるべきだろう。

 他に、メチカブラやドミグラも元々は先代時の界王神に仕えていた魔術師だ。だから、善の魔術師とは元々神に仕える存在なのかもしれない。

 

 そうなると、儂が善の魔術師に会うには界王様か、それとも時の界王神様に頼み込むしかないが……まあ、無理じゃろうな。

 地球の神様の神殿にある時の部屋で、過去の魔術師を観察という手もあるが……あの部屋はまかり間違うと歴史を改変してしまう可能性があるので、出来れば使いたくない。

 

「一先ず、魔術師に関してはモロコ、君達に頼んで良いかね? この試作機を今度供えるので、地獄で刑罰を受けている魔術師の魔力を計測出来ないか試してみて欲しい」

「お任せください! 科学でもって魔術を制する宰相閣下の試み、必ずや成果を出して見せます!」

「制するつもりまでは無いが……確かに、科学で魔術を再現出来れば便利ではあるが」

 

 バビディが魔人ブウ編でして見せたように、宇宙船の部屋を他の惑星と繋げられたら、ホイポイカプセルを使わなくても大量の物資を離れた場所に輸送する事が可能になるかもしれん。

 また、仮に重力トレーニング室の重力を倍増させる機能を維持したまま、部屋を広い無人の惑星に繋げられれば、一度に大勢の希望者がトレーニングを、しかも広大な空間を使って行う事が出来る。

 

 バビディと言えば、印象深いのは対象の悪の心を操って洗脳する魔術の方だが……あれは便利だが、再現出来るようになると超えてはならない一線を無自覚に超えそうじゃから手を出すべきではないだろう。

 

「そう言えば、あたし、天国で未来を見えるようにする事が出来る宇宙人の人とお友達になったんだけど、紹介する? えいってぶたれないといけないから、あたしは嫌だし、その人も気が進まないって言ってたけどぉ」

「その友達が魚に似た特徴のある宇宙人の人なら、止めておいた方が良いじゃろう」

 どうやら、とあるカナッサ星人は天国にいるらしい。

 

「そう言えば、地獄ではウィローがベジータ王の傘下に加わったようだが、どんな様子かね?」

 そう尋ねると、モロコとシトウが「ああ、彼ですか」と頷いた。

 

「最初に見た時はあの外見なので驚きましたが、科学者としてかなり有能です。宰相閣下が作った永久エネルギー炉等については、やはり理解出来ない様子でしたが、それ以外はだいぶ助かっています」

「手下の狂暴戦士という人工生命体を作った技術を転用して、サイバイマンの制御装置などを作って地獄の鬼達にも感謝されていました」

 

 サイバイマンは狂暴で、主人であるサイヤ人が弱い場合は歯向かう事があったそうだ。そんなサイバイマンに刑罰を科さなければならない地獄の鬼達は、以前から扱いに難儀していた。

 サイヤ人は殆ど滅亡したが、生き残ったベジータ四世達やその技術を得たフリーザ軍の兵士の一部が使い続けているので、未だにそれなりの数が地獄に来ているそうだ。

 

 そこで、ウィローがサイバイマンを大人しくさせる制御装置を開発して鬼達に渡したそうだ。

「意外ね。悪魔の科学者と呼ばれたウィローがそんな事をするなんて。やっぱり、死ぬと性格が変わるのかしら?」

「ふむ……そのウィローが、儂が彼のボディに使われていた金属を元に開発した合金に彼の名をつけた事に何か思うところがあるようだと聞いたのだが、知っているかね?」

 

「はい。確か……自分を殺した宰相閣下に自分の研究の成果物を利用されるのは気に喰わない。しかし、同時に優れた科学者である宰相閣下に評価されるのは、悪い気分ではない。というような事を言っているのを聞いた覚えがあります。

 後、命名については、『それで私を供養しているつもりか!?』と怒鳴っていました」

 

 そうニオンが教えてくれた。もっとも、ウィローはあまり世間話をする性格ではないそうで、彼の細かい胸の内までは分からないそうだ。

「何分、ウィロー殿の表情や視線を読むことが出来ませんから」

「分かる分かる、いるよね、そう言う男の子って」

「いや、マロン殿、そう言う問題では……もしかして、地球には時々ウィロー殿みたいな男性が他にも?」

「いや、儂が知る限り彼はオンリーワンじゃな」

 

 その後、夕食をとり終わった頃に宇宙船がズノー様の惑星についたと分身が知らせてきたので、予約が必要か確認するためにも行ってみる事にする。

「ここが宇宙? なんだか思ってたほど地球と違わないのね」

「凄く変わった形状の惑星だったけど、どんな成り立ちなのかしら?」

「すみませんが、土産物屋はありますかな?」

 観光気分で道を行く人に話を聞き、ズノー様への面会方法についても質問する。

 

 それによると、ズノー様への面会にはやはり予約が必要なようだ。おおよその待ち時間は、ズノー様の気分にもよるが約七年らしい。

 超ではたまたま悪党がズノー様の従者を人質にとったため恩を売るチャンスがあったが、そう都合よくはいかないので大人しく予約する事にする。

 

 今から七年後となると、原作だとマジュニアが出場した天下一武道会が終わったあたりか。

「何らかの事情で予約の日に不都合があった場合、何日か繰り下げていただく事は可能ですかな?」

「ええ、予定日の繰り上げは不可能ですが、繰り下げなら事前に連絡をしていただければ可能です」

「なるほど。ところで、この予約なのですが、名前を書くのは代表者一人で構わないので?」

「そうです。同行者の方は署名を頂かなくても構いません」

 

 予約システムについて詳しく質問すると、ズノー様の従者は「私も暇ではないのですが」と嫌そうな顔をしたが、儂が地球から持って来た菓子折りを渡すと快く答えてくれた。

「同行者の方は、予約をした時と異なっていても構いません。人数の上限は……正確には決めておりませんが、常識の範囲内でお願いします」

 

「常識か。星や種族によって異なりそうだが……平均的なヒューマノイドタイプの宇宙人なら、五人から六人、という程度ですかな?」

 なお、儂の言う「平均的なヒューマノイド」とは、平均的な地球人と同じくらいの体格の人間を指している。

 

「ええ、それぐらいですね。ただ、同行者の人数が多く全員が質問する場合、よほどズノー様の機嫌が良くなければ質問の回数を絞る事になるでしょう」

 だいたい合っているが、上限いっぱいで押しかけるとズノー様が面倒がるようだ。彼に質問出来る回数は、男性は一回、女性はズノー様の好みと気分によって変わるシステムなので、変に裏をかこうとしても逆効果だろう。

 

 質問の内容に注意し、会話のつもりで話しかけてそれを質問と取られたりしないよう気をつければ、全知に等しいズノー様から複数回答えを聞く事が出来る。質問できる回数を増やそうとするより、正確な質問が出来るよう事前に準備する方が重要だろう。

 四身の拳で分身を出して人数を増やすなどの裏技を考えるよりは……

 

「ああ、それとゲロさんでしたね? ズノー様からあなたが来たら、四身の拳等で分身を増やしても、質問に答える回数は本体だけで判断すると伝えるよう伝言を預かっています」

「ほお、……やはりズノー様は全知に等しいようだ」

 まだ会った事も無い儂が、四身の拳を使える事も、そして四身の拳の技の性質も、事前に読んだうえで従者に伝言を託すとは、誠に素晴らしい。

 

「しかし、一年後ぐらいに儂の関係者が別に予約する事や、その関係者と儂が事前に話し合ってズノー様にする質問を決める事は構いませんかな?」

「一年後ですか。それなら構いませんよ。長命な種族の方の中には、繰り返しお越しになる方もいますし」

 

 科学者として、ズノー様に頼り過ぎるのは忸怩たる思いがある。そのため、質問はどうしても聞かなければ分からない事に限りたい。しかし、ミスをして欲しい情報が手に入らなかった場合や、得た情報を元にしてさらに詳しい情報を得なければならない場合などが考えられる。

 

 もし質問が余った場合は、適当な質問をすればいいだけの話だ。

 

 そして儂等はズノー様の従者に礼を言い、お土産を購入して地上へ戻ったのだった。そしてマロンの次に人造人間に改造する予定のセリパとトーマの改造プランを話し合い、ブライベートな時間を過ごすなどして明日まで過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 アルマ達がそれぞれのあの世に帰ってからも、儂は当然研究をつづけた。ひとまず、サンプルの足りない魔力は諦め、神力……神の力から計測する事にした。

「神の力も機械で計測する時代か。危ういものを感じるが、本当に大丈夫なのだな?」

「もちろんです。治療や移動手段には利用するかもしれませんが、もし仮に神力を科学的に再現出来たとしても、勝手に惑星や月を創るつもりはありません」

 

 渋い顔をする地球の神様に、儂はそう繰り返し説得した。神力とは、文字通り神の力で気とは異なるエネルギーだ。スーパーサイヤ人ブルーの神の気よりも洗練された力で、『身勝手の極意』の発動にはこれが必要らしい。

 おそらく、月やドラゴンボール、惑星を作り、命を込めるのに使うエネルギーであり、界王神の治癒や瞬間移動を上回るテレポート能力、そして破壊神の破壊の力等もこの神力なのではないかと思われる。

 

「神力を解析する主な目的は、歴史改変者が使う魔術、その力の元である魔力の計測と解析なのだな?」

「もちろんです。神力を解析する事で、魔力を検知し、解析するのに役立つ可能性が高いと儂は予想しております」

 

 魔力と神力は、もしかしたら似た性質のエネルギーである可能性がある。似た性質のエネルギーでも、神が使うから神力で、神ならぬ存在が使うから魔力というように性質が変化してしまうのかもしれない。

「なら構わないが……」

 こうして地球の神様の協力のお陰で、儂は神力を計測する事に成功したのだった。

 

 それと並行してスパイロボットによる魔神城とその周辺の調査を行っていたのだが、七月になったあたりで驚くべき事が起こった。

 隕石が魔神城のある悪魔の手と呼ばれる山々の近くに落下したのだ。

 

 儂は地球の周りに人工衛星による監視網を張り巡らせているため、隕石自体には気が付いていたが、隕石が特別大きくなかったのと、落下予測地点が人里離れた場所だった事……魔神城にも落下の衝撃による被害は出ないだろうと予想されたため、放置した。

 

 だが、その直後魔神城の魔族達の気が一斉に、数倍にまで跳ね上がった。何事かと思って調査を続けていると、魔神城の魔族達は悪魔の指の近くに落下していた隕石を回収し、城の中央に祭壇を作って安置したのである。

 なんと、あの隕石は魔凶星の欠片だったようだ。

 

「ドクター、これはやはり歴史改変者の仕業でしょうか?」

「そう見て間違いないじゃろう。儂が色々やったことによるバタフライエフェクトにしては、ルシフェル達にとって都合が良すぎる」

 

 情報の解析をしている4号に、儂は苦い顔をして答えた。

 魔凶星も星なのだから、隕石とぶつかるか何かして欠片が飛び散り、それが隕石となって地球へ落ちてくる可能性もあるにはあるだろう。だがこのタイミングで……しかも、広い地球の中で魔神城の近くに落下するのは出来過ぎだ。

 

「キリは計測できなかったのは、スカウターの範囲外から隕石を投げつけたからだろう」

 儂のスカウターの計測範囲は、惑星一つ分じゃからな。人工衛星の監視網も、太陽系の周辺までが限界だ。それよりずっと離れた座標に歴史改変者が現れたとしたら、事前にその企みを察知するのはほぼ不可能だ。

 

 ナメック星やヤードラット星の周辺にも地球と同じ監視網を整備しつつあるが……それで監視できるのは広大な宇宙のほんの一部でしかない。

 

「狙いは、キリを使わず魔族を強化する事ですか。歴史改変者も搦手を使ってきましたね。どうします? 我々とランチで対処しますか?」

「……いや、隕石が小さかったからか、魔族達のパワーアップはそこまでではない。悟空達も原作と比べて強くなっている。この程度なら対応できるだろう」

 

 地球に魔凶星が近づけば近づくほど強くなる魔族だが、拳大の隕石が一つ地上に落ちた程度では儂等が警戒するほど強くはなっていない。

 むしろ、今の悟空達には丁度いい相手になるだろう。

 

 また、魔凶星の欠片が影響を及ぼせる範囲も魔神城がある悪魔の指周辺に留まっているようだ。他の地域で魔族の気が増大した様子はない。

 

 儂等が潜入して魔凶星の欠片だけを壊すという手もあるが……歴史改変者が魔凶星の欠片を再び地球に落としたり、魔術による空間移動で直接魔神城に持ってくる可能性がある。

 様子を見るだけに留めるのが最適だろう。

 

「ただ、タイムパトロールには連絡しておこう。キリは検知していないが、歴史改変者の仕業である事に違いはない」

 

 

 

 

 

 

 そして、七月になったある日、亀仙人は弟子達を集めてこう言った。

「今日は、お前達に魔神城から眠り姫を助けに行ってもらおうと思う」

 




〇戦闘力の推移

・パンブーキン:3万4千→4万5千→5万6千 原作ネイルを超えスラッグの手下(ドロダボやメダマッチャ)実力に。生前の十倍を超える数値に達した。さらに、プラズマブーストも習得している。
 さらにベジータ王に瀕死にされた事でギニュー特戦隊隊員並みにパワーアップ。

・トテッポ:3万7千5百→5万→6万2千5百 原作ネイルやスラッグの手下を超え、ギニュー特戦隊隊員に迫る実力。生前の十倍以上の数値。
 さらに、ベジータ王に瀕死にされた事でギニュー特戦隊隊員を超えた

・セリパ:2万3千→3万1千→3万8千 変身前のザーボン(2万3千)と互角だったが、変身後のザーボン(2万9千)を超え、原作劇場版の神精樹の実を食べる前のターレスと互角ぐらいの実力に。
 その後のベジータ王との戦闘で原作ネイルの実力に迫っている。

・トーマ:4万1千→5万4千→6万8千 ポージングとダンスを習得すればギニュー特戦隊に入れる実力に至った。
 さらにベジータ王に半殺しにされた事で、ギニュー特戦隊隊員を大きく超える戦闘力を手に入れた。

・ベジータ王:10万2千→11万7千→15万6千 地獄で刑罰とトレーニングの量率で伸び悩んでいたが、大猿へ変身せずに力のみを上昇させる事に成功。その後のネイルとの試合の結果、ギニュー隊長を超えた。
 また、大猿に変身せずに戦闘力を十倍にする事にも成功。その時の戦闘力は156万で、第二形態のフリーザを超える。

・ゲロ:2万8800→4万4千 原作ネイルや、スラッグの手下(ドロダボやメダマッチャ)とほぼ互角。ただし、普段は分身をフラッペに変装させているので、4万ぐらい。

・4号:4万4千100→5万8千 ギニュー特戦隊隊員と戦っても互角以上に戦える程に強くなった。

・ギネ:9万→12万→15万 クウラ機甲戦隊のネイズとほぼ互角。ギニュー隊長にも迫る実力者から、ベジータ王によって瀕死にさせられたことで、ギニュー隊長を超え、クウラ機甲戦隊のドーレに迫る実力にまでパワーアップした。

・ムデン:2万→3万9千 原作ネイルに近い実力。

・マイーマ:7万2千 戦士タイプに生まれ変わってから修行を続けて、ドドリアの三倍以上の戦闘力に至った。ナメック星人の誇りを見せる時間をたっぷり確保できる。



〇とあるカナッサ星人

 ト何さんなんだ……。バーダックに未来予知能力を与えた、特殊な技の持ち主。



〇ズノー様への質問のあれこれ

 ほぼ捏造ですが、多分こんな感じではないかなと。



〇神力

 最近、ドラゴンボール超コミック15巻で名称が出ていた力。神の力を意味するようで、界王神や界王、地球の神様のような各惑星の神にもある力だと思われる。

 気とは異なるパワーで、おそらく惑星等を新たに創る時等に使うエネルギーだと思われる。



 両生金魚様、クウヤ様、リースティア様、佐藤東沙様、N2様、so-tak様、 JtR0000様、ユウれい様、kubiwatuki様、太陽のガリ茶様、Mr.ランターン様、よんて様、gsころりん様、アマラ深界在住様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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