ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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67話 暗躍していた天才科学者と事件のその後

 チャオズのテレパシーに「あと五分」と答えた約五分後、亀仙人はやっと家にたどり着いた。

「ご、ご苦労、小ガメラ。うっぷっ!」

「大丈夫ですか、仙人様?」

「だ、大丈夫じゃ」

 

 悪魔の指からここまで回転する小ガメラの甲羅に乗っていた亀仙人は、乗り物酔いに苦しみながらよろよろと家に入る。

 

「亀仙人様、お帰りなさいませ。大丈夫ですか?」

「うむ、クリリン達は武道家として貴重な経験を積んだ」

「いえ、亀仙人様が」

「ちょっと酔っただけじゃい。それより首尾はどうじゃ?」

 

「食事の準備なら、ちゃんとサイヤサービスのゴールドプランを頼んでおきましたよ」

 普段は食事の準備はサタンとチチが主に行っているが、今日は二人とも魔神城に向かっていたので、食事の準備は必然的に亀仙人の仕事になるはずだった。

 

 しかし、彼も弟子達を見守りに行っていたので、当然料理している時間はない。そのため、亀仙人はウミガメにケータリングを頼むよう言っておいたのだ。

 GCコーポレーションの食の関連企業が行う特別サービス、通称サイヤサービス。頼まれれば二十四時間いつでも迅速にサイヤ人の胃袋も満足させる量の料理を用意してくれる。

 

 早い、沢山、それなりに美味いの三拍子揃ったサイヤ人と暮らす上で欠かせないサービスだ。なお、料理ではなく食材のデリバリーも可能であり、亀仙人は普段はそれを頼んでいた。

 

「うむ、良くやってくれた。とりあえず、悟空達には眠り姫様を歓迎するために頼んだ、とでも言っておこう」

「素直に、試練達成のお祝いとか、ご褒美だと言えば良いじゃないですか」

「まあ、それも兼ねてじゃ」

 

 なお、亀仙人も眠り姫の伝説が偽りで、太陽を破壊して人類を絶滅させる魔族の企みが進行中だったとまでは知らなかったので、内心驚いていた。

(まさか地球の危機を悟空達が救う事になるとは……こんな事なら、サービスのプランをゴールドではなくプラチナにしておくべきじゃったわい。どうせ料金はゲロ行きじゃし)

 

 そう考えながら、亀仙人は気を普段と同じ程度……最大値の三割ほどの大きさに戻した。すると、待ちわびていたらしいチャオズと悟空達が彼の前に現れる。

「亀仙人のじっちゃん、ただいま!」

「ただいま帰りました、武天老師様」

 

「ん? おお、瞬間移動で帰ったのか。ん? もうすっかり夜じゃな。ちょっと昼寝するつもりがすっかり寝過ごしてしまったわい」

 そしてちょっと前に目覚めたばかりだというように、欠伸をするふりをする。しかし、同時に見慣れぬ人物に目を見開いた。

 

「あの、眠り姫を連れて帰るという試練でしたが――」

「ところで、そちらのお嬢さんは……?」

「あ、はい。私は」

「そうか、眠り姫様じゃな!」

 

 亀仙人はランチが眠り姫ではない事を本当は知っている。しかし、魔神城が崩れ悟空達が全員無事に脱出したのを確認した直後に小ガメラに乗って帰路についたので、悟空達が彼女を連れて帰ってくる事は知らなかったのだ。

 そこで亀仙人は、とっさにランチを眠り姫だと勘違いする事にした。

 

(これでクリリンは試練を合格した事にできるし、丁度いい! よし、このまま勘違いした演技をしよう!)

 クリリン達が眠り姫を連れて来る事は出来なかったが、代わりにランチを連れてきましたと言うつもりだったとまでは思い至らなかったが、結果的にはあまり変わらない。

 

「えっ? 私は眠り姫ではないんですけれど……」

「いやいや、まさに伝説の眠り姫に相違ない美貌じゃ!」

「じゃ、じゃあ、私の試練はどうなるんでしょうか?」

「うむ、クリリン、そして皆よ、見事眠り姫を助け出し連れて来た。試練は合格じゃ、よくやった!」

 

「や、やったーっ!」

「良かったな、クリリン!」

「これで一安心だべ!」

「ところで、それはそれとして彼女が記憶喪失で行く当てがない事は言うべきじゃないか?」

「そういやそうだな。なあ、亀仙人のじっちゃん」

 

 合格は嬉しいが、いつまでもランチを眠り姫だと誤解させておくわけにはいかない。サタンに促された悟空が亀仙人に声をかけようとしたとき、家から漏れる灯りに誘われたのか小さな羽虫が寄ってきて、ランチの鼻を掠めた。

「へっ……へっくしゅんっ! あ゛? 何処だ、ここは?」

「へっ?」

 くしゃみをした瞬間、青から金へ髪の色が変わったのだ。

 

「あ! この気は……!」

「あの女魔族の気だべ!」

「体の大きさは違うが、間違いない!」

 そして、気を感じ取れる悟空達には、ランチが髪の色だけではなく気の大きさと性質も変わった事に気が付いた。だが、その気の気配と大きさは天津飯に倒されたはず(だと悟空達は思い込んでいた)の金髪の女魔族のものだった。

 

「あ゛ぁ? なんだテメェ? それにここは……?」

 一方、ランチも何が起こったのか分からず困惑していた。天津飯にやられた演技をしてやり過ごそうと思っていたはずなのに、気が付けば魔神城とは雰囲気が全く違う場所にいたので、状況がどう変化したのか分からない。

 

(青髪の方がゲロの爺さんから何か指示を受けたのか? こいつらの反応を見る限り、俺と青髪が同一人物だって事に気が付いてなかったらしいが……なるようにしかならねぇな)

「って、オイ、そこのガキ! 俺のサングラス返しやがれ! あれ高かったんだぞ!」

 その時、ランチは自分に対して身構えている少年達の中に、スカウターを奪ったチャオズがいる事に気が付いてそう要求した。もちろん、高かったというのは嘘だ。

 

「えっ? あ、あれは……ゴメン、失くした」

 チャオズはランチのスカウターを魔族の弱点である光を防ぐためのサングラスだと思い込み、瞬間移動を駆使して彼女からスカウターをスリ取ったままだった。

 しかし、いつの間にか失くしていた。おそらく、その後のルシフェルとの戦いで気絶した時に落としたのだろう。

 

「なんだと!? テメェ、よくも――」

 その時、羽虫が再びランチの鼻を掠めるように飛んでいった。

「は、はっくしょん! あら? 皆さん、どうしました?」

 再びくしゃみをして、ランチは青髪に戻った。今度は時間が短かったためか、入れ替わった事に気が付いていないようだ。

 

「い、いや何も……と、とりあえず、夕飯等どうですかな? 眠り姫様のために今日はご馳走を用意しましたぞ。

 クリリン、お前達の分もあるから入りなさい。チャオズはどうする?」

 

「は、はい!」

「ボク、南の都に戻る。……天にどう説明しよう」

「もしかして、魔族を連れて帰ってきちゃったんでしょうか?」

「サタン、とりあえず飯を食ってから考えようぜ! オラ、腹減っちまった」

「そうだべな。連れてきちまったもんは仕方ねぇし、青い髪の方のランチさんは良い人みてえだし」

 

 そして、天津飯にランチの事をどう伝えるべきか迷ったまま帰ったチャオズを見送り、悟空達は普段より豪華な夕食を食べてこの日の大冒険を終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 その頃、瞬間移動で『眠り姫』専用に用意した研究施設に移動したこの儂、天才科学者のドクターゲロはさっそく眠り姫の解析にかかった。

「ドクター、簡単なものですが食事を用意してあります。解析結果が出るまでの時間を利用して食べてください」

「うむ、ありがとう、4号。では、星でも見ながら食べるとしよう」

 儂は研究施設の窓から見える宇宙空間を眺めながら、4号が用意してくれたインスタント食品で夕食を手早く済ませる。

 

 さて、窓から宇宙空間が見える事から分かるように、ここは地球上ではない。ナメック星とヤードラット星の間にある別の銀河系の、人間どころか生物もいない惑星の衛星軌道上にある人工衛星だ。

 太陽破壊砲の動力源である『眠り姫』の解析を、地球上で行うのは危険だと判断したのだ。

 

 なお、この人工衛星は、地球上で設計して製造し、完成したらホイポイカプセルにして、宇宙服を着た儂や4号が瞬間移動で目標座標まで移動後、カプセルから戻して設置する方法で用意しているため、大変リーズナブルだ。

 

「歴史改変者の魔術に関するデータまで手に入れられた事、そしてバーダックの生存が確かめられたのは大きな成果ですね」

「うむ。その分、タイムパトロールの面々と悟空達には申し訳なくなるが、成果でもって報いよう」

 今回儂がしたのは、時が来るまでただひたすら隠れて待機する事だけじゃからな。

 

 しかし、歴史改変者……トワの魔術のデータを収集できたのは大きな成果だ。上手くすれば魔術の探知や妨害のための装置を作る事が出来るかもしれない。

 また、バーダックの生存がはっきりした事も大きい。まあ、トワに洗脳されていて戦力として使われている現状は喜ばしくないが、囚われているなら解放する事も可能なはずだ。

 

「ギネにはどう伝えますか?」

「儂の失態も含めて、事実をありのままに伝える。ギネがもし激高して突っかかろうとしても、歴史改変者相手ならどうしようもないじゃろうし。

 儂等が黙っていたら、トワに利用されるかもしれんし」

 

 トワがギネに自らバーダックの事を明かし、知っていながら黙っていた儂等に対して猜疑心を植え付けるとか、それを利用してギネを洗脳して仮面の女サイヤ人造人間にしようとする可能性が考えられる。

 儂に関しては……謝れば許してくれるじゃろう。

 

「トワが今の段階でギネに興味を持っているとは考えにくいので、その可能性は低いと思いますが、私も彼女に話すべきだと思います」

「そうじゃろう。あと、トワと言えば彼女達のお陰で手に入った貴重なサンプルがある」

「魔凶星の欠片ですね」

「うむ。あとルシフェル等の魔族の細胞じゃ」

 

 小石どころか塵のような量だが、魔凶星の欠片のサンプルを手に入れる事が出来た。これで、魔凶星が今現在何処にあるのか距離を測る探知機を開発する事が出来るだろう。

 ……今回はトワ達が地球に隕石にして落とした欠片が小さかったおかげで、ルシフェル達魔族の強化は最大でも五十倍程度で済んだ。しかし、魔凶星本体が地球に接近した時の強化率はそんなものではない。なんと、一千倍を軽く超えるスーパーサイヤ人もビックリなパワーアップを遂げるのだ。

 

 まあ、一千倍以上という数字の根拠は、例によって原作アニメなのだが。ドラゴンボールZのアニメオリジナルエピソード、『ナメック星編』と『人造人間編』の間に放送された『ガーリックJr.編』。これに劇場版『オラの悟飯を返せ!』で登場したガーリックJr.が、魔族四天王を引き連れて再登場する。

 

 そのエピソードでガーリックJr.は、ナメック星編で戦闘力100万を超えるまでに至ったピッコロでも簡単には倒せない程強くなっていた。

 劇場版でのガーリックJr.の戦闘力が原作ラディッツと同じぐらいとすると、信じ難いパワーアップだ。それが魔凶星の接近によるものだというのだから、驚くしかない。

 

 これを魔神城にいた魔族達に当てはめると……各戦闘力は最低でも下級魔族は5600、ガステルは1万5千、ルシフェルは2万5千となる。

 今の時期に魔凶星が地球に接近していたら、儂や人造人間、ナメック星人達に援軍を頼んでも、鎮圧までにはかなりの被害が出てしまうだろう。下級魔族の数が数じゃからな。

 

 ハチャメチャが押し寄せて来るとしか言えないパワーアップ。これを人造人間に活かせれば、フリーザどころか魔人ブウも敵ではない……かと思ったが、考えてみるとそうでもないかもしれん。

 

「母星に近づくとパワーアップするのか、母星から離れるとパワーダウンするのか。どちらなのかが重要ですね」

 4号が言うように、ルシフェル達魔族の通常時がどちらなのか調べねば彼らの生態を人造人間に取り入れるのは危険だ。

 

 例えば、本来の力が1万の魔族がいたとする。彼は魔凶星が近づいた時に戦闘力が千倍になって戦闘力1千万にパワーアップするのか、魔凶星から離れて地球に来た時に、千分の一にパワーダウンして戦闘力がたった10に落ちてしまうのか。

 前者なら役立つが、後者だと今はまだしも戦闘力が千を超える相手との戦いではかなり厳しい。……それこそ魔凶星を惑星クルーザーにでも改造しなければならなくなる。

 

「それで9号、ランチはどうします?」

「青髪の方にこのまま亀仙人の所にいるよう頼んでおいた。レッドリボン軍には、『武天老師一派にスパイとして潜入させた』と報告する予定じゃ」

 

 運が良いのか、それともこれが歴史の修正力という奴か、青髪ランチはすんなりと亀仙人の所でしばらく世話になる事になったようだった。

「亀仙人は、後で儂から伝えておこう。……儂が裏にいる事は、すぐ見抜くじゃろうし。後、レッドリボン軍への報告書も書いておくか」

 

「それは私がやっておきましょう。ブルー将軍に協力を求めるも太陽破壊砲の阻止を優先したため『眠り姫』は奪取失敗、サイボーグ2号はそのまま武天老師一派の元に無自覚なスパイとして潜入させた、でいいですね?」

「うむ。それで頼む」

 そうして作業に取り掛かろうとしたとき、儂のピアスがアラームを鳴らした。時の界王神様から通信が入ったようだ。

 

 4号が苦笑いを浮かべながら、計測機器の準備を始める。それを確認してから、儂は通信をとった。

『ちょっと、どういうつもりなの!? いくら分身だからって、歴史改変者とトランクス達が戦っている近くに忍び込むなんて! 何のために結界を張ってると思ってるのよ!?』

 その途端、時の界王神クロノアの怒鳴り声が響いた。

 

「いや、申し訳ない。儂としては終わるまで隠れているつもりだったのだが、この前壊された装置の意趣返しのチャンスが巡って来たので、つい……」

『そう言う事が言いたいんじゃないのよ! そもそも、あいつらの魔術を解析して何をするつもり!? 如何わしい事をするつもりなら、トランクスに言いつけるわよ!』

 

「如何わしい事ではなく、トワの結界や洗脳術を解く方法が見つかるかもしれないと考えまして。もっともデータの解析はこれから始めるので、確かな事はまだ言えないのですが――」

 その後、時の界王神様の説教は一時間ほどに及び、儂は4号が用意してくれた解析機のお陰で通信機の通話データを豊富に手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 レッドリボン軍では、フラッペに変装した儂がサイボーグ2号(ランチ)に仕込んでおいた小型カメラやマイクから得た情報を元にしたと偽って出した報告書をレッド総帥とブラック補佐に提出した。

 

 内容は4号が言った通りで、ブルー将軍達に関しては、「同時期に悪魔の指に接近している武天老師の弟子達だけでは、魔族の企みを防げるか不安だったため、援軍を要請した」という事にした。

 軍に大規模な応援を要請しなかったのは、「魔族が特殊な隕石の影響で力が数倍にパワーアップしており、ブルー将軍達のような少数精鋭でなければ、返り討ちに遭う可能性が高かったため」と説明した。

 

「なるほど。多少独断が過ぎるが、事態が事態だ。報告より対処を優先しても仕方あるまい。まさか、太陽の破壊とは……魔族も恐ろしい事を考えるものだ」

「しかし、それほどのエネルギーを溜めこんでいた眠り姫の奪取は失敗……惜しかったですね」

 

「いや、ブラック。流石に我が軍でもそれほどのエネルギーは扱いに困る。何かの事故で暴走して、地球が木っ端微塵になったらどうする」

「確かに、世界征服どころではありませんな」

 

 儂とブルー将軍の前でそう言ってブラック補佐と笑い合うレッド総帥は、視線を報告書から儂等に向けて「よくやった」と働きを労ってくれた。

 どうやら、独断専行は不問にしてくれるらしい。

 

「魔族の恐ろしい企みを調べ上げたフラッペ、そのフラッペの要請に応えて命がけで魔族の企みを挫いたブルー、両名ともよくやってくれた。

 また、魔神城の崩壊と指導的立場にあった魔族の討伐によって、悪魔の指周辺の魔族による被害を防ぎやすくなるだろう」

 

 レッドリボン軍と魔族は普通に敵対関係にある。王立国防軍の手が回っていないレッドリボン軍の縄張りでは、魔族から人々を守るのはレッドリボン軍の仕事だからだ。

 というか、今のレッドリボン軍の主な敵は山賊等の敵対組織に人を襲う大型恐竜やモンスター、そして魔族だ。

 

「後日、勲章と賞与を与える」

「身に余る光栄です、レッド総帥」

「感謝するっぺ、総帥」

 そう儂と並んで敬礼しつつも、ブルー将軍は内心「こいつ、何を考えてるの!? あたしを庇ったつもり!?」と疑心暗鬼に駆られているようだった。

 

「それで、サイボーグ2号を武天老師の所に潜入させたのだったな。フラッペ、奴らのトレーニング方法を盗み出し、それをブルー将軍、ボンゴ中尉、パスタ中尉、他数名の候補者を選別して受けさせるのだ」

「了解したッペ」

 

 どうやら、報告書に書いた魔族の脅威と、現在レッドリボン軍で二番目と三番目の実力者のボンゴとパスタが一時、瀕死の重傷を負った事に、レッド総帥は危機感を覚えたようだ。

 

「総帥! 武天老師やその弟子達がお邪魔でしたら、暗殺するという手もありますが?」

 ブルー将軍が、彼らしい冷酷さを瞳に湛えてそう提案するが、レッド総帥は頷かなかった。

「確かに、武天老師やその弟子達は邪魔になる可能性がある。しかし、今回のように魔族との戦いでは必要不可欠な戦力だ。

 可能性は低いだろうが、また隕石が降ってくる可能性もある。世界征服を成し遂げた後で、魔族に地球を奪われたのでは意味がないからな」

 

 レッド総帥が今回の件で魔族に対して覚えた危機感は相当なものだったらしい。

「それに、武天老師達だけではなくGCコーポレーションと全面戦争に成ったら事だ。当初の方針通り、本格的な衝突は避けねばならん。いいな、ブルー」

「了解いたしました」

 

 そして退室した後、案の定ブルー将軍から問い詰められたが、「互いにレッドリボン軍にとって必要不可欠な人材である私と将軍の間に確執があるのは、よろしくないからだっぺ」と答えておいた。

 おそらく内心はまだ納得してないだろうが、表面上は引き下がってくれた。

 

 一方、西の都では帰って来たブルマ達は普段通り過ごし、チャオズは天津飯にランチの事をどう話すか迷い続けた挙句、瞬間移動で再び亀仙人達の元に向かった。どうやら、金髪の方のランチから話を聞き出してからにしようと思ったようだ。

 

 そして亀仙人達の所では、青髪ランチがそのまま亀仙人の所でしばらく働く事に決まっていた。

 武道は健康や美容にも良い、という亀仙人の口車に乗ったような流れだが、もうじきサタンがカリン塔へ修行に行く事になっている。料理や家事を手伝う人員が足りなくなるはずだったので、ランチが来たのは渡りに船だったようだ。

 

 その話がまとまった後、瞬間移動で現れたチャオズが金髪ランチと話がしたいと、亀仙人に同席してもらって猫じゃらしで彼女の鼻を刺激してくしゃみさせ、金髪に変わってもらった。

「っ!? なんだ? 昼になってるって事は……」

 スパイカメラで成り行きを見守っていた儂は、このタイミングで彼女にテレパシーで潜入任務の依頼と、チャオズ達に話すカバーストーリーを伝えた。

 

「太陽の下でも平気……魔族じゃない」

「全然眩しがらねぇもんな。でも、だったら何で魔族のふりなんてしてたんだ?」

「そもそも、体の大きさが違いますよ」

 

 悟空達が不思議そうにしている間に、金髪ランチは儂の話に納得してくれたようだ。

『前の仕事の報酬はちゃんと口座には振り込んだだろうな?』

『もちろんじゃ。ボーナスも弾んでおいたので、後で口座を確認してくれ』

 

『ならいいけどよ、潜入任務たってどうすりゃいいんだ?』

『なにもせんでいい。正確には、潜入任務という名目で君を送り込んでいる間、レッドリボン軍から命令を受けずに済むようにしたいだけじゃ』

 

『なるほど。だがよ、ただのんびり過ごすだけじゃ腕が鈍っちまうぜ』

『暇なら亀仙人に修行をつけてもらうといい。スケベである事以外は、優れた指導者じゃ』

『おい、それって大問題なんじゃねぇか? まあ、オレはそんな純じゃねぇから構わねぇけどよ』

 

 そうして考え込むふりをしてテレパシーを終えたランチは、悟空達にカバーストーリー通りに自分の身の上を明かした。

「細かい事は分からねぇが、一応言っておいてやる。オレは魔族じゃねぇ。魔族に変装して、伝説の『眠り姫』ってお宝を狙ってたトレジャーハンターのランチってもんだ」

 

「トレジャーハンター? 魔族じゃない?」

「おう。魔神城で魔族のふりをしてたのは、隙を見て眠り姫を盗んでやろうと思ったからだよ」

「ふりって……変装とは思えませんでしたけど? 角とか、体の大きさとか」

「うるせえな、そっちは尻尾が生えてんじゃねぇか。だったらオレの頭に角が生えててもおかしくないだろ。体の大きさは……なんかしらねぇけど、生まれつきできるんだよ」

 

「ランチさんって、生まれつき大きくなったりできるんだべか?」

「おう、何なら見せてやろうか? この家よりずっとでかくなれるぜ」

「すまんがそれはまたの機会にしてくれ。家が壊れてしまうわい」

 

 このように、チャオズやサタン、チチを誤魔化し煙に巻いていくランチ。

 彼女が窓から差し込む日光を浴びても動揺しない事から、魔神城にいた魔族とは異なる事は明らか。そして、魔族のふりをしていたという主張も、トレジャーハンターを自称すれば説得力が生まれる。

 

 角と巨大化に関しては強引だが、生まれつきの特徴で押し通す。

 

「でも、そんなに強いのに今までランチさんの噂聞いた事ありませんけど? 知ってるか?」

「オラは知らねぇ。亀仙人のじっちゃん達はどうだ?」

「はて? 聞いたことが無いの。ランファンちゃんならしってるが」

「武天老師様、それは前の天下一武道会の出場選手じゃないですか。名前が似ているだけですよ、きっと」

 

 そして、賞金首になっていた「いただき」ランチの知名度は、あまり高くない。何年も前から行方不明になっているので、捜査に当たった警察官以外は覚えていないだろう。

 

「じゃあ、天と戦ったり、仲良くなったのはなんで?」

「戦ったのは、仕方なくだよ。天ってのは、あの三つ目の男だよな? オレ……あいつと仲良くなったのか? 髪が青くなっている間の事は覚えてねぇんだけど……仲良くなったのか。な、なら仕方ねぇな。青い方に悪いから、合わせてやるか」

 

「え? 別に合わせなくても……」

「あっ、ちゃんとお前からも天に言っとけよ。勘違いでまた戦うなんて御免だからな」

「天津飯も強い奴と戦えるなら、喜ぶと思うぞ?」

「いや、あいつ容赦がねえから。試合とか組手とか稽古ならともかく、本気の戦いはちょっとな」

 

「分かった。ボクから天に伝える」

 ランチの天津飯に対する言動について、彼女が何を考えているのかよく分からなかったチャオズだが、誤解が原因で殺し合いになるのを避けたいというのは理解できた。

 

「ところでランチさんや、青い髪の方のランチさんと話したんだが……」

「おう、どんな話になってんだ?」

 そして亀仙人と青髪ランチがした話を確認のために金髪ランチが聞いている間に、チャオズは瞬間移動で帰って行った。

 

 ちなみに、天津飯は青髪ランチが金髪と同一人物で、彼女が魔族のふりをして潜入していたトレジャーハンターだと知った時は驚いていた。しかし、時間がたって改めて考えるうちに覚えた違和感をそれで説明できたので、「そうだったのか」と納得したそうだ。

 次にランチと会う時、彼女に対してどんな態度をとるべきかについてはかなり悩んでいたようだが。

 

 そして、儂はその日の内に亀仙人に連絡を取ってランチが人造人間である事や、儂がレッドリボン軍でドクター・フラッペとして潜入している事を打ち明けたのだが……ランチに関しては既にばれていた。

 

『一日で見抜くとは、流石ですな』

『伊達に武天老師とは呼ばれておらん、一日も修行を見ればわかるわい』

 原作では亀仙流の道着(レオタードのような下着)を一度着せただけで修行は受けなかったランチだが、この世界の彼女は普通に修行を受けたようだ。

 

 あの道着(?)も、薄くて柔い道着を破らずに動く修行のためだと解釈したらしい。とはいえ、家事もするので悟空達と同じ修行内容を熟すわけにいかないため、主に瞑想等で気の制御力や精神を鍛える事にしたらしい。

 そのため亀仙人が体を動かしているランチの様子を見たのは、天津飯と渡り合った彼女に興味を持った悟空と一回組手をした時ぐらいだ。

 

『ピチピチでプリプリ……は、ともかく、動きにセリパちゃん達の癖と僅かだがナメック星人の癖があったからの。本気を出した天津飯相手にやられたふりが出来る実力があると知った時から気にはなっていたが、まさか人造人間だったとはな。

 ちなみに何号じゃ? ギネの次じゃから7号かの?』

 

『9号です。7号はランファン、8号はまだ目覚めさせておりません』

『なんと!? いったいどういういきさつでそうなったのかは後で聞くが……ゲロよ、お主、なんだってレッドリボン軍に潜入なんてしとるんだ? 桃白白がフラッペの正体を知ったら驚くぞ』

 

『桃白白なら、既に儂から打ち明けたのでもう知っております』

『……お主ら、マッチポンプとかしておらんだろうな?』

『それはしておりませんな。それで、レッドリボン軍に潜入している訳ですが……未来予知関係と人造人間に改造する候補者集めが主な理由でして』

 

『ふ~む……まあ、お主の事だから、相応の理由があったのじゃろうから、それは聞かないでおこう。未来予知が関係しているとなると、儂は知らん方が良いだろうし』

 

 原作と違い、この世界のレッドリボン軍は『世界一危険な軍隊』や『ならず者の集団』と評されるほど悪党ではない。

 縄張り内では幅を利かせるが、その分縄張りを魔族や犯罪組織から守る傭兵団として機能しているからだ。世間的には白とは言い切れないが、黒ではない、白と黒の真ん中ぐらいの灰色の組織だと思われている。

 

 そのお陰もあり、亀仙人も儂を信じてくれたようだ。

 

『そう言えばお主、魔神城に隠れておったな? いたのなら儂を瞬間移動で送ってくれても良かったろうに』

『いや、儂も儂でやる事があったので……』

 

 そして儂は亀仙人から、いかに気を隠したまま急いで帰るのが難しかったのかテレパシーで聞かされる羽目になったのだった。

 




〇魔凶星の魔族

 地球にいる魔族が魔凶星の影響で一千倍以上にパワーアップするのか、魔凶星からは離れた事で一千倍以下にパワーダウンした力が魔凶星に近づいたことで元に戻るのか、どちらなのかは大きな問題になる。

 もし後者だった場合、人造人間に採用すると……故郷である星から離れると、戦闘力が一千分の一以下になってしまう人造人間が誕生する事になる。
 ナメック星編やブウ編でも界王神界、そして超の力の大会等に移動した時に全く戦力にならなくなってしまう。

 そのため、ゲロとしては人造人間に使うならこの辺りを解明する事を優先するつもり。



〇ガーリックJr編

 ドラゴンボール改ではカットされてしまった。ガーリックJr達だけではなく、ハイヤードラゴンも登場する原作と劇場版を繋げるエピソード。



〇宇宙空間の研究施設

 万が一にも地球に被害を出さないという強い意志を持って、ゲロが建設した研究施設。
 もしフリーザ軍やそれ以外の宇宙海賊に見つかった場合は、ホイポイカプセルに戻して逃げるか、研究資料とサンプルを持って脱出した後自爆させる予定。




 PY様、変わり者様、佐藤東沙様、酒井悠人様、くるま様、匿名鬼謀様、 Paradisaea様、-SIN-様、Mr.ランターン様、phodra様、gsころりん様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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