ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする   作:デンスケ(土気色堂)

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71話 人造人間10号マロンの目覚めと、天下一武道会開催までの日々

 得られるキリの量が急に増えた事に、歴史改変者であるドミグラは目を見張った。

「なんだ? またトワが……いや、ゲロやその関係者が何かしたのか?」

「相変わらず、彼らは私達に惜しみない協力をしてくれますのね」

 暗黒魔王メチカブラの下に潜入していたが、最近戻ってきていたロベルの言葉に、「まったくだ」と答えながら、何が起きたのか調べ始める。

 

 しかし、ドミグラが地球を調べても、発生するキリの量が目に見えて増えるようなことは起こっていない。

 トワ達が関与した『魔神城の眠り姫』は、事件そのものは起きるべくして起きただけだ。その過程で本来事件に関わる事はなかったはずの天津飯達やレッドリボン軍の将校の参戦もあったが、それも一時的な事に過ぎない。

 この程度なら一時的にキリの発生量が上がるだけで、すぐに元に戻るはずだ。

 

「ゲロが眠り姫を手に入れたようですが、それが原因では?」

「何をやっているのだ、あいつは。……もういっそあいつを仲間に引き込むか?」

「時の界王神への精神攻撃になっているでしょうから、このままでいいのではありませんか?」

「……それはともかく、眠り姫を手に入れただけでまだ何もしていない。だとしたら他の惑星で何かあったか?」

 

 ドミグラは地球以外の出来事にも目を向けたが、特に大事件と呼べるような事は起きていない。ラディッツが「弱虫」でなくなった事と、ターレスが地球にいる事以外は、宇宙は他の歴史とだいたい同じ状況だ。

「おかしい……まさか、この世ではなくあの世で何かあったのか?」

 そしてあの世まで調べた結果。ベジータ王がスーパーサイヤ人になった事を突き止めた。

 

「これは……嬉しい誤算だが、同時に厄介でもあるな」

 歴史改変者であるドミグラにとって、自身の手を汚すことなく勝手に歴史が改変されるのは、キリが楽に手に入るので喜ばしい事だ。

 

「歴史の改変が進み過ぎると、今までの方法ではキリを手に入れられなくなりますものね」

 しかし、ロベルが言うように歴史が改変され過ぎて全く別の歴史に分岐してしまうと、今までのやり方ではキリが発生しなくなってしまう。

 

 例えば、原作と完全に歴史が分離している未来トランクスが本来いる『絶望の未来』では、原作の歴史で生存している孫悟飯が死亡しても、キリは発生しない。何故なら、『絶望の未来』では孫悟飯が死亡する事が歴史の一部となっているからだ。

 

 この歴史が『絶望の未来』のように完全に元の歴史(原作)から分離した後もキリを手に入れるには、この歴史独自の未来や過去を改変しなければならなくなる。『絶望の未来』で孫悟飯を死なないようにしたり、逆にトランクスを殺したりするような事が必要だ。

 

 つまり、キリを手に入れるために必要な労力が他の歴史と同じくらいになる。そうなっては、この歴史で暗躍する意味が薄れる。

「そうならないためにも調整が必要か」

「気にしすぎるのもエレガントではないと思いますわ。どうせこの歴史はいつか元の歴史から完全に分岐するのですし、その時期が百年後か今かの違いかと」

 

「……それもそうか」

 ロベルにそう言われ、ドミグラはハッとした。ゲロの行動が元の歴史とは大きく異なり、彼以外の歴史の重要人物の行動や状況も異なっている。そうである以上、いつか……元の歴史でセルが現れた頃か、魔人ブウを倒した後か、力の大会が始まる頃か、もしくはさらにその後か……それは分からないが、確実に元の歴史から完全に分離する。

 

「我々にとって重要なのは、その時までに十分な量のキリを手に入れ、時の巻物を手に入れる事が出来るか否か。それまでこの歴史が持てばいい。この方針で動くとしよう。

 もっとも、既に行っている調整はそのままにしておくがな」

 

 

 

 

 

 

 地獄で起きたウィローの反逆が鎮圧され、儂が閻魔大王を祭る祠(秘密研究所のある島に、仮設で建立した)に工業機械を供えてしばらく、新年を迎えた頃。

 天才科学者である儂は、『魔神城の眠り姫』事件で手に入れたサンプルの解析や研究にようやく一段落をつけられた。

 

 まず、ルシフェル達魔族の細胞と魔凶星の欠片についてだが……儂にとってはやや残念な結果になった。魔凶星出身の魔族……スラッグ一味やピッコロ大魔王の系譜の魔族と分けるために魔凶星人と呼称する……は、魔凶星に近づくとパワーアップする種族ではなく、魔凶星から離れるとパワーダウンする種族だった。

 

 ルシフェル達がパワーアップと言っていた事と矛盾するが、彼らが魔凶星から離れて何百、何千年と過ぎている事を考えれば、弱体化した状態で過ごす年月があまりにも長かった故にどちらが通常なのか、感覚が変化してしまってもおかしくないだろう。

 

 もっとも、それを除いても魔凶星人は強大な種族である事に違いはない。魔凶星に居れば、種族の底辺でも戦闘力5千以上。ルシフェルやガステルなら数万、ガーリックJr.なら100万以上。

 戦闘民族サイヤ人でも、戦闘力数百の非戦闘タイプが生まれ、戦闘タイプでも弱い者は1500、名門出のエリートである原作ナッパでも戦闘力は4000。それと比べれば、魔凶星人の凄さが分かるだろう。

 

 つまり、魔凶星人は凄まじく強力だが、それが発揮されるのは魔凶星やその近辺の宙域に限定される種族と言う事になる。狂暴さに関わらず、実は守勢に向いている……というか、他の星を侵略するのに全く向いていない種族なのは、何かの皮肉だろうか?

 

 とはいえ、この魔凶星人の特性は儂の人造人間に組み込むのは難しい。故郷を魔凶星ではなく地球に設定する事が出来たとしても、様々な事情で地球から離れる事が考えられるからな。

 魔凶星を惑星クルーザーに改造する事や、バビディがしていたように魔術で部屋の環境を魔凶星に変える事が出来るならともかく。

 

 そうした解決策の目途が立つまでは、魔凶星人の細胞を人造人間に組み込むのは保留として置こう。

 

 次に眠り姫だが、蓄えられていたエネルギーはやはり特殊なもので、太陽特攻……正確には恒星を消滅させるのに特化したエネルギーだった。アンチエネルギーやマイナスエネルギーと言える性質で、岩石や金属などただの無機物には何の影響も与えられないが、炎やエンジン、雷、そして気功波等のエネルギーを帯びた者には、それが熱だろうと電気だろうと、生命であろうと関係なく効果を及ぼし、無にしてしまうというものだ。

 

 単純に大きなエネルギーではないし、ただの岩石の塊には無力だが、十分以上に危険な代物だ。眠り姫のエネルギーを生命体が浴びれば気を打ち消されて死ぬし、地球のような惑星が浴びれば惑星の核まで凍り付いてしまうだろう。

 

 しかし、上手く使えばこれから儂等を襲う強敵に対する切り札になり得る。当てる事が出来ればフリーザはもちろん、パーフェクトセルの生命エネルギーも無にする事も可能なはずだ。それに他のエネルギー同様に魔力を打ち消す事が可能なら、うまく調整すればバーダックに施されたトワの洗脳を打ち消す事も可能になるはずだ。

 今後の研究と実験が捗るわい。

 

 また、眠り姫に効率よくエネルギーをチャージする方法はもうわかっている。地球上ではなく、宇宙空間で月に相当する天体の輝きを浴びせる事だ。

 これで天候に左右される事無く、二十四時間三百六十五日、満月の輝きを浴びる事が出来る。研究や実験で少々使う分にはすぐにチャージできる。

 

 次に、トワの魔術を計測したデータだが……おそらく、これが魔力だろうと思われる反応を検出する事が出来た。兎人参化の人参化やウーロンとプーアルの変身などの妖術とはまた似ているようで全く違うエネルギーで、儂が直接計測しに行かなければ分からなかっただろう。

 

 とはいえ、今の時点で作れるのはキリと同じく反応をキャッチするレーダー程度。しかし、発生させるのに歴史改変が必要なキリと違って魔力は創り出すこと自体には問題のないエネルギーだ。

 魔術の妨害装置等を開発するための実験を行うために、魔力エネルギーを発生させる、もしくは他のエネルギーを魔力に変換する装置を開発する必要がある。

 

 こちらも鋭意開発中だ。バーダックを解放するためにも、眠り姫よりも魔力関連の研究の方を優先しよう。

 

 そして、人造人間研究は10番目の大台を記録した。人造人間10号マロンが一月に完成したのである。

「んー、なんかぐっすり眠った次の日の朝って感じ~。ゲロちゃん、ヨンちゃん、おはよう~。お洋服ありがとね」

 目覚めたマロンは、儂が用意した服を着て部屋から出てきた。去年彼女が妻達と一緒に一日だけこの世に戻ってきた時に、欲しがっていたブランドの服を取り寄せておいたのだ。

 

 若干手直しが必要だったが。

「おはよう、マロン。体に不調はあるかね?」

「ううん。あ、でも尻尾が生えてるのってなんか変な感じかな?」

 

 マロンはフリーザ一族の細胞を大目に移植しており、その影響でフリーザやクウラが生やしていた白いつるりとした長い尻尾が生えていた。第一形態から第三形態の薄いピンク色に横にラインが入った尻尾ではなく。

 サイヤ人の尻尾よりも長くて質量も多いので、体のバランスが変わるなど影響が大きいだろうと予想して手を打っておいたはずだが、上手く働いていないのだろうか?

 

「思い通りに動かせないのなら、すぐ改造するが?」

「そうじゃなくて、こんな尻尾が生えたのに、自然に動けるのに驚きって感じ? 手がもう一本生えたみたい」

 そうではなく、それまで生えていなかった尻尾を自然に扱えることに逆に違和感を覚えていたらしい。

 

「まあ、そのうち慣れるじゃろう。どうしても嫌なら、切除するが?」

「痛そうだからそれは嫌~。お洋服を買う時に直してもらわなきゃいけないけど、サイヤ人の人達の尻尾よりこの尻尾ってレアなんでしょ? 自分だけのファッションって言うのを追求できるかもって思ったら、悪くないような気がしてきちゃった」

 

「ふーむ、そうか」

「そうそう、ファッションならフリーザちゃんにも負けない! ってなれるかもって」

「……フリーザはその辺り無頓着そうだから、既に君の圧勝じゃよ」

 フリーザ一族は、全裸か戦闘服、それにマントが付く程度じゃからな。宇宙空間でも生身で生存可能な強靭極まりない肉体のせいで、あの一族には服飾文化が生まれなかったのかもしれん。

 

「では、運動テストを行いますか? 新しい体に慣れる第一歩になりますよ」

 そう4号が促すと、マロンは分かりやすく顔を曇らせた。

「ちょっと待って、ヨンちゃん。それなんだけど……あたし、か弱い女の子だから実は自信ないのよね。天国にランファンちゃんがいた時に、ちょっと教えてもらったんだけど、全然上達しないし」

 

「儂との約束を前向きに考えて努力してくれるとは、有難い」

 原作アニメでマロンの性格を知っている儂にとっては意外だったが、マロンは「宇宙の悪の帝王フリーザを倒すのに協力する」という約束を真面目にとらえ、天国にいるうちから武を嗜もうとしていたようだ。

 

 もしかしたら天国でやる事が他になかったからかもしれないが、だとしても感心に値する。

 

「うん、ありがとう。でも、全然出来なかったのよね~。ランファンちゃんも困らせちゃったの」

「天国では肉体がないから、無理もないじゃろう」

 足も幽霊と同じで無いから、蹴り技どころか踏み込みも習えないだろうし。その状態で武の素人であるマロンが強くなるのは至難の業だろう。

 

「だから、もしあたしが全然戦えなくても怒らないでね」

「それは約束しよう。しかし……そうはならないはずじゃ」

 そして始まった運動テストだが……戦闘服に着替えたマロンは、去年ランチとランファンが模擬戦をするのに使った無人の惑星で、思い切り体を動かした。

 

 そして儂や4号が四身の拳で作った分身を相手に行った模擬戦では、本人も驚くべき結果を出した。

「凄いっ! なんでこんなに体が動くの!? あ、ごめん、本気でぶっちゃった!」

「いや、これは分身じゃから気にしないでいいが……」

「そ、そう? きゃあぁ~っ!? ヨンちゃんのお手て取れちゃった!」

「大丈夫です、分身ですから。もし本体だったとしても生やせます」

 

 マロンは青髪ランチのようにエネルギーを完全に永久エネルギー炉から生み出している、気が無いタイプの人造人間だ。その出力は、戦闘力に換算して18万。クウラ機甲兵団のサウザーより1万高く、ナメック星編でギニューと戦った時の悟空(ボディチェンジ前)と同じくらいの戦闘力だ。

 

 しかし、数値以上の成果を出したのがマロンに施した細胞移植と脳改造だ。武の素人で、喧嘩もした事がなさそうな彼女が、かなり力任せで無駄も多いがある程度動けている。

 それは彼女の脳に移植されたサイヤ人やフリーザの細胞が、彼女の闘争本能や戦闘のセンス……つまり才能を底上げしているからだ。

 

 効果が出過ぎて、儂等も驚いた。

 

「そうなの? 良かった~。でも、格闘技って面白いのね。人造人間になる前は、痛いのとか絶対無理だし、疲れるのも嫌~って思ってたの。でも、実際やってみると胸がワクワクドキドキして、もっと戦いたい! って感じ?」

 そして、サンやギネと同じように、戦闘に喜びを感じるようになったようだ。

 マロンの場合は、永久エネルギー炉のお陰で疲労が無くなっている影響も大きそうだが。

 

「さて、予想以上に動けることは分かったが……逆に技の習得だけではなく、弱い演技や手加減も難しそうじゃな。よし、永久エネルギー炉の出力を抑えて戦闘力を弱めよう」

「ええ~、それでうっかりやられたりしない?」

 

「抑えると言っても、戦闘力にして1000程度までじゃ。それに、いざという時には即座に本来の出力に戻せるよう調整しておく」

 それに、マロンはボロボロの状態の上半身のみで宇宙空間を漂っていても生きている、フリーザの細胞を多く移植した人造人間だ。うっかりでやられたりはしないだろう。

 

「ならいいけど~。あ、レッドリボン軍の方はどうするの? あたしって、サイボーグ何号なんだっけ?」

「4号になる予定じゃ。しかし、レッドリボン軍の方には君が完成したことはしばらく黙っているつもりじゃ」

 マロンを見ていると、どうもうっかり口を滑らせるのではないかという不安に駆られて仕方がない。それに、手加減を覚える前にサイボーグ4号としてレッド総帥達の前に出すと、うっかり彼らをやってしまう可能性がある。

 

「ふうん、オッケー。軍人さん達ってカッコいい人が多そうだし、ランファンちゃんにもまた会えるのを楽しみにしてたけど、しょうがないか。じゃあ、あたしはヨンちゃん先輩とゲロちゃんと訓練?」

 

「あと、今日はいませんが桃白白さんと亀仙人さんにも来てもらう予定です」

「えっ!? あの桃白白様が来るの!? それに亀仙人って武天老師様でしょ!?」

 4号が告げた名前にマロンが目を輝かせる。彼女も桃白白のファンのようだ。また、亀仙人が出場した天下一武道会を観戦していたのか、彼の事も知っていた。

 

「有名人に会えるなんて、マロン感激~。どうしよう、サイン貰ってもいいと思う?」

「構わんじゃろう、二人とも喜んで応じてくれるはずじゃ」

 こうしてマロンは戦闘力を1000に抑えた状態で、儂や4号、そして時折来る桃白白や亀仙人の指導を受けて気の制御や感知、そして武術の基本を習得したのだった。

 

 また、マロンが無事蘇生して人造人間10号として稼働するのに成功したので、次の11号と12号、セリパとトーマの改造に着手した。

「今回は二人一度に改造するのですか?」

「うむ。もしもの時は四身の拳で儂の数を増やして対応する予定じゃ。それに、コリー博士がバイオテクノロジーへの興味が大きくなっているようだ。それに、ブリーフも興味があるらしい。

 そのため、折を見て二人も研究に加わってもらおうと思ってな」

 

 原作でジャガー・バッタに雇われてバイオ戦士やバイオブロリーを創り出したコリー博士は、今までは我がGCコーポレーションで培養肉の研究をしていたが、ブルマの協力で牛肉味の培養肉の商品化に成功してからは、次々に鶏肉や豚肉、恐竜肉、そしてマグロやサンマ、ウナギなど魚肉味の開発にも成功している。

 しかも、刺身用の培養肉の開発にも目途がついている。近い将来、培養肉だけの寿司屋を開く事が出来るだろう。まあ、値段は天然物より若干高くなるが。

 

 そうして会社の仕事が一段落付きつつあるので、儂が去年ウィローの研究所から持ち帰ったバイオマン等の狂暴戦士のサンプルに興味を持ち、「このデータを元に人工生命体を開発してみたい」と言っていた。

 なので、人造人間研究にも興味を持ってくれるだろう。

 

 また、ブリーフは最近まで儂がレッドリボン軍に潜入している事を知らなかったので、表面上はギネ以降人造人間を作っていない儂が研究に行き詰っているのではないかと心配して協力を申し出てくれた。儂はホイポイカプセルの開発など、儂を超える天才科学者であり親友でもある彼を信用して全てを話したのだが……話す前より積極的に協力を申し出てくれた。

 

 ブリーフにとってバイオテクノロジーは専門外だが、彼の知見は儂にとって大きな力になるだろう。また、コリー博士の若い才能も新しい閃きに繋がるだろう。どちらにしても、儂以外の目線が増えるのは良い事だ。

「人間ベースの人造人間を作り始めた頃とは違い、世間の人造人間に対するイメージは肯定的となっている。おかげで儂も『巻き込むわけにはいかない』と考えずに済むというものだ」

 

 

 

 

 

 

 一方、儂がフラッペとして潜入しているレッドリボン軍でも厳しい訓練が行われていた。

「マ、マジでこんな修行を、十二のガキがやっているのか……!?」

「児童虐待じゃないの!? 警察にでも通報してやりなさいよ!」

 背中に何十キロもの重りを背負ったシルバー大佐とバイオレット大佐が、息を切らしながらそう漏らすが、本当に十二や三の子供が何か月もこの修行をやっているのだ。

 

「そう言いたい気持ちはわかるがマジだっぺ」

 なので、そう答えるしかない。ちなみに、二人の周りにはもう話す気力もない様子のムラサキ曹長達やイエロー大佐も倒れている。

 

「フンッ、この程度のトレーニングに耐えられないようじゃ、あのガキ共やあたし達がやり合ったハンサムと遭遇したら瞬殺よ」

「はぁ。なんでお尋ね者になった後の方が武道家らしい生活をしているんだろうな」

「いいじゃないか、やり遂げればボーナスが出るんだからさ」

 

 一方、ブルー将軍とボンゴ、そしてパスタの三人は汗をかいてはいるがそれなりに余裕がある様子だった。地力が違うのと、実際に悟空達と戦っているので目指す目標を意識しているからだろう。

 

 実際、この中で最も成長著しいのはブルー将軍だ。彼はなんと、気を制御して舞空術を習得したのだ。おそらく、超能力を制御している経験が気の制御にも役立ったと思われる。……気の感知を習得して、儂の正体に感づくかもしれないから、今のうちに気の感知を阻害する個人用偽装装置でも開発しておこう。

 

「辛いなら、いっそ皆もドクターに改造してもらったら?」

 そして、気を抑えて参加しているサイボーグ1号ことランファンがそう提案する。確かに、そうしてくれると儂は十分なサンプルが揃うのでウハウハなのだが……。

 

「へっ、それじゃあ、俺が死んだ時は頼もうか」

「何を生やされるか分からないから止めとくわ」

 だが、次々に断られてしまった。倒れたままだと改造されると思ったのか、ムラサキ曹長達とイエロー大佐も慌てて動き出した。

 

 そして、修行で汗を流しても立っているブルー将軍やボンゴ達は、自分達が言われたと思っていないようで、ランファンの提案を無視している。

 

「そう? 強さだけじゃなくて永遠の美まで手に入るのに」

「永遠のっ!?」

「美ですってっ!?」

 ランファンが続けてそう言った時には、バイオレット大佐とブルー将軍が思わずと言った様子で反応していたが。

 

「や、安い挑発ね」

「お、面白いジョークね。……覚えておくわ」

 しかし、どうやら彼らにとってランファンの言葉は提案ではなく挑発や冗談だと解釈されていたらしい。

 

「まあ、一人改造するのに一年以上かかっている状態では、レッドリボン軍の貴重な戦力である諸君に勧める事は出来ないッペ。改造手術を受けたいときは、よく考えてほしいッペ」

 そして、改造手術に時間がかかる事を知られているため、儂も立場上レッドリボン軍の貴重な戦力である彼らに改造手術を受ける事を気軽に勧める事は出来ない。そのため、こう言うしかなかったのだった。

 

 そうして天下一武道会が開催される時期まで修行を続けると、修行を始める前とは次元が異なると感じるほど高まった身体能力に驚き、達成感を覚えるようになった。

「ふはははっ! 風よりも速く走れますぞ! しかし、我が愛刀笹錦で斬りかかるより、手刀で殴りかかる方が威力を出せるようになるとは、やや複雑」

「ああ、こうなるとマシンガンを撃つより殴りかかった方が早いな。強くなったのは嬉しいが、今までの訓練が無駄になるかと思うとちょっとな」

 

 しかし、武器に愛着があるらしいムラサキ曹長達や、軍人として今まで行ってきた訓練がプライドを支える柱の一つとなっているらしいイエロー大佐は、複雑な心境のようだ。

「では、ボンゴ大尉達が使っている金属棒と同じ特殊合金製の刀や手裏剣を進呈するッペ。イエロー大佐は、パスタ大尉の戦い方を参考にするといいとッペ」

 

「おおっ! それはありがたい! 出来れば弟達の分も頼む!」

「そうだな。マシンガンからパワードガンに変えて、手榴弾も持つか。後、武器の扱いも訓練しなおすか」

 しかし、儂がそう言うと憂いも無くなったようだ。……彼らが原作よりもだいぶ強くなったが、これでも悟空達にとってはちょっと手ごわくなった程度だろうから、大丈夫だろう。

 

 そして、修行の成果は上々と判断したレッド総帥によって天下一武道会へ出場するメンバーが決定された。

「ムラサキ曹長(長男)とイエロー大佐、シルバー大佐、バイオレット大佐、そしてサイボーグ1号は偽名で天下一武道会へ出場し、出場選手たちの情報を収集せよ」

 その目的は情報収集だ。偽名なのは、レッドリボン軍の将校が敗退したと知られて対立組織に舐められないようにするためである。……そんな配慮をする時点で、レッド総帥も部下が優勝できるとは考えていないのがよく分かる。

 

 実際、前回大会で優勝したギネと前々回大会優勝者の4号のエキシビジョンマッチの無加工の映像を見ても、ブルー将軍でも速すぎて何が起きているのか分からないので、それは正しい判断だ。……サイボーグ1号(ランファン)が本来の力で出場するなら、勝ち目がない訳ではない。しかし、彼女には気をブルー将軍よりちょっと強い程度に抑えるよう頼んであるので、優勝する事はないだろう。

 

 なお、ブルー将軍が出場しないのは悟空達に顔を知られているから。そしてレッドリボン軍最強の戦士である彼を出場させてしまうと、レッドリボン軍の将兵の強さに関する情報を与えてしまうためだ。

 そしてボンゴとパスタを出場させないのは、当然お尋ね者だからだ。

 

「全員予選落ちで、本戦が始まる前に帰らされた、なんて事にならないよう頑張って頂戴ね」

「チッ、くじ運任せになる事を分かっていて無茶を言いやがる」

 ギネは前回優勝したので、今回は選手としては出場しない。しかし、ギネ以外にもサンや桃白白、ターレスにタイツ等彼らが戦っても勝ち目がない選手が多数いる。彼らと予選でぶつからずに済むよう、祈るしかない。

 

 それが分かっているからレッド総帥も複数の将兵を選手として送り込むのだ。

「そう言えば、サイボーグ3号と4号はまだ完成しないの? あいつらも選手として送り込めれば、本戦出場の可能性が高まるんじゃない?」

 

「3号(人造人間8号)はメタリック軍曹(人造人間3号)と同じ完全な機械ベースだッペ。それがばれると反則負けになってしまうッペ。

 4号はバランス調整が難航しているッペ」

 そう言うと、ブルー将軍はそれほど興味を持っていなかったのか、「ふうん」とだけ言ってそれ以上追求してくることはなかった。

 

 そして春になり、去年ドラゴンボールを使ってから一年が過ぎた頃になると、レッドリボン軍はさっそく動き出した。フラッペ(儂)が作った劣化ドラゴンレーダーを使い、天下一武道会に出場しないホワイト将軍やブラウン大佐、カッパー大佐が情報部を指揮するオレンジ将軍と協力してドラゴンボール探しを始めた。

 

 まだ発見には至っていないし、ホワイト将軍は一年中雪が降るジングル村周辺でドラゴンボールを探すための拠点の建築(マッスルタワー)の建設を検討し始めたばかりだが、時間が過ぎれば発見するだろう。

 

 

 

 

 

 

 一方、春になる前に地球の神様がいる神殿でも動きがあった。

「精神と時の部屋を更に改修しようと思うのだが、その前に誰か試しに使ってみてくれないか?」

 そう地球の神様が呼びかけたのだ。

 

 なんでも、この精神と時の部屋は武術ではなく精神の修行を重視して作られた。過酷な環境に一度で二人だけで一年から二年耐える事で、精神と肉体を磨きあげる事が本来の用途だ。

 その結果、地球の十倍の重力だけではなく、空気は地上の四分の一、温度は50度から-50度という過酷な空間になった。過酷過ぎて、地球人基準では惑星一の戦士でも耐えられない場所になってしまったようだが。

 

 その精神と時の部屋を、地球の神様は儂がフリーザ軍などの宇宙に存在する脅威について話した後、武の修行を主目的にした部屋にするため改修を行っていた。

「重力は十倍から百倍まで操作できるようにし、気温と空気の薄さも調整可能にした。また、生活施設の内側は神殿と同じ重力と大気の濃さになるようにしてある」

 

 原作よりもきつい修行が可能なようにすると同時に、生活施設ではその影響が出ないようにして体を休める事を可能にしたのだ。

 原作ではセルゲーム前の悟空も、精神と時の部屋では体が休まらないと言う程だったので、居住性が上がったのは大きいはずだ。

 

「それで、今度はどのように改築する予定なので?」

「ああ、以前はこれでもう十分だと思っていたが、当時考えていたよりも多くの優れた戦士が育っている。そのため、一度に二人しか修行が出来ないのは不便かと思ってな。とりあえず四人まで修行が出来るようにしようと思う」

 

 原作では一度に二人までしか使えないとされていた精神と時の部屋だが、魔人ブウ編では悟天とトランクスがいる間に魔人ブウとピッコロが入っている。この事から、儂は「一度に二人まで」というのは、部屋の施設(特に修行中に口にする食料)の限界があるためではないかと考えていた。

 

 二人が、それも大食いのサイヤ人が二人、一年から二年籠って修行するのだ。必要な食料は莫大な量になる。原作では粉を水に溶いて食べる、楽しみも何もない食事のようだが……それでも大量に必要になるはずだ。

 三人以上で使おうとすれば、それがナメック星人でもない限り途中で食料が尽きて部屋から一旦出る事になるだろう。

 

「そして、これは儂も精神と時の部屋の改装をしてから気が付いたのだが、同じ人間が精神と時の部屋を利用できるのは二日までだったが、それは精神と時の部屋を改装する度にゼロに戻るようだ」

「つまり、既に二日間……精神と時の部屋内で二年を過ごした者でも、部屋が新しくなれば再び二年過ごす事が可能になるという事ですかな?」

 

 そう聞き返した儂だが、実は「もしかしたらそうなのではないか?」と前から考えてはいた。それは原作『ドラゴンボール超』で、ベジータが精神と時の部屋を繰り返し利用していたからだ。その度に部屋を神殿ごと破壊するので、ミスター・ポポから「次壊したら出禁」と言われるほどだった。

 

 なので、部屋が修復によって新しくなるたびに、使用時間のカウントもゼロに戻るのではないかと前世の儂は思っていたのだ。……二日間を超えて使用したため出入り口が消えてしまった精神と時の部屋から出るために、ベジータが空間に穴を空けていただけかもしれないが。

 

 スーパーサイヤ人3や魔人ブウが可能だったのだから、スーパーサイヤ人ブルーになれるようになったベジータに同じ事が出来ないとは考えにくい。神殿まで壊していたのも、ベジータが空間に穴を空けるときの余波に神殿が耐えられなかったのかもしれない。

 

「ああ、そうだ。もっとも、頻繁に部屋を新しく作り直すのはきついので、それこそ地球や他の星の存亡の危機でもなければ勘弁してほしいが」

 まあ、原作アニメでどうであったのかはともかく、この世界の精神と時の部屋の仕様はそうなっているようだ。

 

「お前の願いによって部屋の中では老化が止まるようになったのだから、部屋を使える時間も伸ばしたいところだが、老いた儂には難しい。それは次代の神に託すことになるだろう。

 それはともかく……改装前のせっかくの機会なので、参考意見を求めたいのだ」

 

「事情は分かりました。しかし、ヤムチャやナムではいかんのですかな?」

「できれば、二十倍以上の重力も試してほしいのだ。上手く調整できているかどうか。二人とも才能はあるが、精神と時の部屋で修行するにはまだ早い。……改装後は未熟な者も修行できるようにするつもりだが」

 

 そう言う訳で儂が事情を話したところ、複数の者が手を挙げたので抽選の結果、孫悟飯と牛魔王が試す事になったのだった。

 ちなみに、部屋の中の食事は我が社の缶詰やレトルト食品をホイポイカプセルに収納して届けて置いた。

 地球の神様は、ホイポイカプセルを使えばスペースを節約できることに気が付かなかったのか、「その手があったか!」とハッとしていた。まあ、神様は普段からホイポイカプセルに触れない生活をしているので、仕方がないだろう。

 




〇ロベル

 ドミグラの秘書。ゲームではタイムパトロールと戦う事が出来る等、高い戦闘能力を誇る。なお、この時はまだ魔神になっていなかったので、魔神化後はより強くなることが想定される。

 「さすがわたし」という口癖や「エレガント」さに拘る性格の持ち主。ただ、ドミグラのもう一人の部下のシュレムよりも社交的なのか、コミュニケーション能力が高いのか、一時共闘していたタイムパトロールともそれなりに会話をしていた。

 コミック版ドラゴンボールヒーローズでは、暗黒魔王メチカブラの配下の中に潜入し、情報を集めていた。

 また、魔神化すると尻尾が生える。元々生えていたのを魔神化した後に出しただけなのか、魔神化した影響で新たに尻尾が生えたのかは現在のところ不明らしい。



〇人造人間10号マロン

 フリーザの細胞を大目に移植し、その影響でフリーザ一族の尻尾が生えた人造人間10号。
 フリーザやクウラのように形態が変わる事は今のところないが、宇宙空間でも活動可能な生態に、上半身だけの状態で悟空の気功波を受け、さらに惑星の爆発に巻き込まれてボロボロになった状態で宇宙空間をしばらくさまよっても生きている生命力を持つ。また、ナメック星人譲りの再生能力ももっている。

 戦闘の素人だが、そのフリーザと、更にサイヤ人の細胞のお陰で最低限動けている。良い意味で痛みに鈍く、攻撃にためらいがない。また、本人も戦闘の楽しさを覚えるようになった。
 そのため、ほぼ身体能力任せの喧嘩殺法だが戦闘が可能。しかし、技を身に着けるため永久エネルギー炉の出力を戦闘力1000相当に抑えて修行中。



〇ムラサキ曹長

 原作レッドリボン軍編のマッスルタワーで登場。ホワイト将軍の部下。ピラフ一味のシュウと違い、忍術も使う忍者で常人としては強い。しかし、上司のホワイト将軍が「実力があるのに頭が悪い」と評しているように、(隠れ蓑術で使用する布の表裏を間違える等)抜けている。
 また、実は五つ子で悟空に「分身の術」と偽って姿を現して見せる事で、戸惑わせたりした。

 原作コミックではマッスルタワー編で出番は終わったが、原作アニメだと体内の爆弾を取り出すために行動する8号(ハッチャン)と悟空の後を付け狙う。しかし、彼が隠れている場所に悟空が立小便をしたり、ハッチャンが割った氷の上を気が付かずに歩いて極寒の湖に落ちたり、散々な目にあった後で悟空が投げ捨てた爆弾によって爆死してしまったらしい。

 基本的にギャク描写が多く、アニメでは部屋にエロ本を隠していたり、くノ一のポスターを張っているなどスケベさを演出する描写をされたが、戦おうとしないハッチャンを処刑しようとするなど冷酷な一面もある。

 劇場版「最強への道」では登場しなかったが、アラレちゃんのアニメではブルー将軍の部下として登場している。

 原作での彼の戦闘力は7から8と推測。そして、この作品ではトレーニングによって戦闘力80にまで強くなっている。
 亀仙人の修行を終えたばかりの原作悟空と同程度の強さ。



〇名刀笹錦

 ムラサキ曹長の愛刀。原作では悟空の如意棒によって折られている。……五つ子の中で長男のムラサキ曹長だけ名刀を持っていたのか、次男から五男もそれぞれ名刀を持っていたのかは不明。
 個人的には名刀一目惚れ、名刀秋田小町、名刀越光 等があると面白いと思います。

 この作品ではフラッペ(ゲロ)によって、ボンゴとパスタが使っている金属棒に使われているのと同じ特殊合金製の新笹錦を受け取っている。



〇ブラウン大佐

 原作に名前だけ登場するキャラクター。ドラゴンボールを見つける事に成功し、レッド総帥に献上した人物らしい。
 その後は登場していないので、ドラゴンボールを発見した褒美に長期休暇でも貰って、バカンスにでも行っている間にレッドリボン軍が壊滅したのかもしれない。もしくは既に老齢で、ドラゴンボール発見を最後の仕事にして、退役したのかもしれない。

 また、同じように名前だけ登場したキャラクターには、カッパー大佐が存在する。



〇精神と時の部屋

 この話の部屋の改装(修復)する度に、使用時間のカウントがゼロになる等の設定は、この作品独自のものです。
 


クウヤ様、車椅子ニート(レモン)様、ふふふ様、ユウれい様、泡銭様、闇谷 紅様、ぱっせる様、KJA様、 -SIN-様、ゆーゆーX様、Veno様、大自在天様、ヨシユキ様、佐藤東沙様、匿名鬼謀様、コダマ様、佐藤浩様、太陽のガリ茶様、是非様、excite様、Paradisaea様、KELP様、kubiwatuki様、tahu様、和田白玉様、くるま様、KK1147様、NoSTRa! (ノズトラッ!)様、phodra様、Othuyeg様、 gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。
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