ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
72話 8号とマッスルタワー建設。そして始まる天下一武道会
「さあ、ドラゴンボールを渡してもらおうか」
息子のウパを肩に乗せた男の要求に応えて、聖地カリンの守護者ボラはドラゴンボールを差し出した。
「ふむ、四星球ではないな。しかし、レーダーも無いのに良く見つけたな、ボラよ」
「父上が狩った鳥のお腹から出て来たんです、桃白白さん」
ドラゴンボールを受け取った桃白白は、肩車してやっているウパからボラが見つけた経緯を聞き、「それはお手柄だな」と笑った。
「ドラゴンボールは生き物の胎の中に入ると、レーダーに反応しなくなると会長が話していた。鳥が飲み込んだままだったら、見つけるのに一苦労だっただろう」
「役に立てて嬉しい。でも偶然だ。鳥を捌いた時にはただの丸い石だった」
仕留めた鳥を妻が捌いた時に玉のような石が出てきたから、珍しいのでお守りとして持っていたら、ある日色が変わっていた。
奇妙に思ったボラは念のためにゲロに連絡し……原作通り彼がドラゴンボールを手に入れた事が明らかになったのだった。
桃白白が味方なので原作通りの展開になる事は無いが、桃白白の代わりに原作よりも強くなったレッドリボン軍が聖地カリンに来たら困る。そのため、丁度手が空いていた桃白白が回収に来たのだ。
「そう言えば、ボラよ。お前もだいぶ腕をあげたようだ。もう一度カリン塔へ挑戦しないのか?」
「ここを留守にできない。ウパが大人になったら考える」
「父上、もうボクは子供じゃありません!」
「フハハハハ! ならお前が塔へ再チャレンジする日も近いな!」
こうして聖地カリンの平和は保たれたのだった。
天下一武道会が始まるしばらく前、儂は人造人間8号を起こした。
「おはよう、人造人間8号。気分はどうだね?」
フランケンシュタインの怪物に似た姿の8号は、ゆっくり瞼を開くと周囲を確認してから静かに口を開いた。
「おはようございます。今は、ドクターゲロでいいですか?」
「うむ、ここはレッドリボン軍の基地ではない」
儂がそう答えると、8号はほっとした様子で肩から力を抜いた。
どうやら、起動前に刷り込んだデータは上手く彼の思考に役立っているようだ。
「生まれたばかりだというのに、複雑な状況に置いてすまんな、8号」
「いえ。でも……俺、やっぱり戦うのは怖いです。宇宙の悪の帝王との殺し合い、とてもできそうにありません」
その8号の言葉を聞いて、今度は儂がほっとして肩から力を抜いた。何故なら、8号を原作通りの性格に作る事が出来たからだ。
これでもし、「早く殺し合いがしたいです、ドクター」とか「ムシケラの命を奪うの、愉しみ!」等と8号が言い出したら、膝から崩れ落ちていたかもしれん。
儂は自他ともに認める天才科学者だが、どうも原作の儂は人造人間の人格で色々と、特に機械ベースだと失敗していたので、若干の不安があったのだ。
起動後それほど長い時間を過ごしていないだろうにもかかわらず、命や自然の大切さを理解し、創造者に逆らえるほどの自我を確立させるロボット(人造人間)を開発できるのは、それはそれで天才だと思うのだが。
それはそれとして、兵器や殺戮マシーンを作ろうとして心優しい人格者が出来るなら問題ない。しかし、心優しい人造人間を作ろうとして殺戮マシーンが出来てしまったら大問題だったので、一安心だ。
「ドクター?」
「ああ、心配ない。8号、儂はお前に殺し合いを無理やりさせようとは考えておらん。だが、皆を守ってはもらえないか?」
「守る……ドクター、皆を守るために戦うのと、そうでない戦いに、違いはあるのか?」
「大いにある。とはいえ、言葉だけで教えるのは難しい。経験から学び、お前自身が判断するのが一番だろう」
儂の価値観が8号にとって正しいとは限らんからな。
8号は儂の答えにしばらく考え込んでいた様子だったが、やがて頷いた。
「分かった、ドクター。俺、頑張って学んで判断する」
「うむ、期待しておるぞ、8号。では、今のお前の状態を確認しよう。不調があれば言うように」
起動と人格は成功した8号だが、原作の8号とは性能や機能が大きく異なっている。
まず、外見は身長二メートル強のフランケンシュタインの怪物そっくりな大男で、体の表面は生体部品……人工細胞で覆ってある。この人工細胞はこれまで人造人間に移植してきた異星人の細胞を原料に使っており、頑強で頑健、宇宙空間でも問題なく機能し、再生能力も高い。
また、その人工細胞を維持するため食事を取る必要がある。味覚や嗅覚も備わっており、口に食物を入れて味わい、体内で全てエネルギーに変換する仕組みだ。
そして動力は、もちろん永久エネルギー炉。そして体を支える骨格はカッチン鋼を使用。他にも体内には増えた体重を支えるために反重力装置が組み込まれ、背中には飛行用のバーニア、そして頭部には気やキリや魔力や神力を感知するためのエネルギーレーダーや通信機が内蔵されている。
また、武装としては原作での20号(儂)と同じように目からレーザーを撃つことができる。さらに腕は取り外し可能で、ロケットパンチとして打ち出す事も出来れば、原作人造人間16号のようにヘルズフラッシュも放てる。
これでドリルがあれば完璧じゃったが、内蔵式にするのは難しかったので腕のアタッチメントとして実用化した。
「ドクター……戦うかどうか、本当に俺が決めていいの?」
自身の性能を自己診断プログラムと、儂の口頭によって把握した8号は、遠い眼差しをして儂に問いかけた。生みの親を疑うとは、既にしっかりした自我が確立されているようだ。実に素晴らしい。
「もちろんじゃ。確かに戦闘用のプログラムも組んであるが、出力にはセーフティーをかけてある」
永久エネルギー炉の出力を下げ、戦闘力500ぐらいに抑えている。とはいえ、それでもヘルズフラッシュを撃てば山の一つや二つ軽く消し飛ばせるが。また、抑えたのは出力だけなので、8号のパーツの強度はそのままだ。
外装の人工細胞はともかく、骨格は最終形態のフリーザが全力で殴っても傷一つつかないだろうカッチン鋼製なので、現在(封印されているブウを除く)地球に存在する戦力では8号は絶対に壊せない。
「そしてこのセーフティーは8号、お前にしか解けないようにしてある」
「えっ!? ドクターでも無理なんですか!?」
「基本的にはそうじゃ。まあ、お前の機能を一時的に停止して機械につないで時間をかけてプログラムを変更すれば可能だが、そこまでするなら最初からこんな事はしない」
驚く8号に儂はそう言いながら、セーフティーを解除する手順を伝える。
「セーフティーは二重にかけてある。一段階目を解くと、通常モード……戦闘力に換算して30万程になる。これが、今の設計でお前の体に無理をかけずに動ける最大の力だ」
ウィロー合金とカッチン鋼を使った8号だが、人と同じ複雑な動きをする人造人間は構造上弱点が生じる。それに、骨格や装甲以外の機械部品が山ほどあるのでそれが永久エネルギー炉の力に耐えきれないのだ。
「そして、二段階目のセーフティーを解けば、お前の力は戦闘力に換算して3千万にまで跳ね上がるだろう。ただ、数分と持たず機能停止に陥ってしまうだろう」
「3千万、機能停止……」
「ただ、二段階目のセーフティーを解く必要に迫られる事はまず起きないはずだ。お前を設計する時に今現在儂が持っている技術の粋を集めて造ったからこうなっただけで、特に具体的な脅威が迫っている訳ではないし」
儂の目標は、妻を最強の人造人間にする事だ。そのため、それ以前に造る人造人間には実験的な意味合いがある。8号も例外ではない。
「それと、機能停止と言っても死……破壊されて修復不可能になるわけではない。データのバックアップは常にとっている」
機能停止は機能停止でしかなく、バックアップデータを新しい機体に入力すればすぐに復活する事が出来る。これが機械ベースの強みだ。
「そうなのか……少しほっとした。
それで、俺はこれから何をすればいい?」
「うむ。それなんだが、しばらくはサイボーグ3号としてホワイト将軍に付いて行って、彼が無茶をしないか見張って欲しい」
「分かった」
こうして8号は原作通り、ホワイト将軍の下に送り込まれる事になったのだった。
ホワイト将軍は、ブラウン大佐やカッパー大佐、そしてオレンジ将軍が派遣された場所よりも過酷な現場でのドラゴンボールの捜索を任された。これはレッド総帥が信頼を寄せる古参の部下である事を表している。
「まさか、俺の名前がホワイトだからなんて理由じゃないよな?」
それはホワイト将軍も分かっていたが、思わず口からそう漏れるほど彼が派遣された場所は雪深かった。
一年を通じて雪が降るジングル村周辺は、今が春だと言いう事を忘れるほどの雪景色だった。
「ここでドラゴンボールを……手のひらに乗る程度の大きさの丸い石を探すのか。下手をすると死人が出るな」
フラッペが開発した(と言う事になっている)ドラゴンレーダーの精度は低い。この地域にある、という漠然とした事しか分からないという。
だから、この辺りの雪をかき分けながらどこかにあるドラゴンボールを探さなければならないが……人海戦術で強引に捜索すると、吹雪などで天候が悪化した時に遭難者が出そうだ。
かつてボンゴ達がそうしたように、占い婆に金を積んで占いを依頼すれば正確な場所を占ってくれるだろうが、彼女が亀仙人の姉である以上、そんな事は出来ない。
「将軍、夏を待つのはどうでしょう?」
部下の提案に、ホワイト将軍は深いため息を吐いた。
「正直俺もそうしたいが、この辺りは夏でも雪が降るぞ」
ジングル村周辺も、夏は一応太陽がある間は雪が溶ける温かさになる。しかし、夏でもたまに夜や朝方に雪が降るので結局他の季節に比べるとマシ、程度でしかない。
「それに、今から夏まで何もしないわけにもいくまい。既にドラゴンボールの反応の一つはGCコーポレーションにあり、もう一つは消えているのだからな」
フラッペのドラゴンレーダーに映っていたドラゴンボール反応の内一つが、先日急に消えた。それについてフラッペは、「ドラゴンボールが出す特殊な電波を遮るものにボールが包まれている可能性が考えられるッペ」と答えた。
餌と間違えて動物が飲み込んだか、それともドラゴンボールを探している他の勢力が確保し、察知されないよう小細工を弄したのか。
ドラゴンボールを幾つか確保し、地球国政府への交渉材料にしたいレッドリボン軍としては、前者ならともかく後者なら由々しき事態である。
しかし、どれだけ由々しき事態であっても環境の過酷さは変わらない。
「よし、この近くに村があったな? 村人共を利用するぞ」
人造人間8号がサイボーグ3号としてホワイト将軍の元に派遣されたのは、その三日後の事だった。
「貴様がサイボーグ3号か。機械ベースの癖に戦いが怖くて、兵器としては使えないそうだな?」
「はい。すみません、ホワイト将軍」
そう謝る8号を、ホワイト将軍は鼻で笑った。
「フンッ、喜べ。貴様のような臆病者でもできる仕事がここには山ほどある! まずは村人と一緒に働いてもらうぞ!」
そうホワイト将軍が指さした先では、武装した兵士達に見張られながら人々が建築工事をしていた。
まさか、この辺りの村に暮らす人達を脅して無理やり働かせているのか!?
「……あれ?」
そう思った8号だったが、よく見るとそうではなかった。
「さ、寒い……俺も工事で体を動かしたいぜ」
「工事をしている間に獣に襲われたらどうする。交代の時間まで我慢して見張れ」
武装している兵士達の数は少なく、しかも村人を見張っているのではなく、村人を危険な獣から守るためだった。
「兵隊さん、こっちを持ってくれ」
「おう、任せとけ」
「後ろ通るぞ、おっさん」
「分かった、さっさと行きな」
そして村人だけではなく兵士も働いていた。しかも、両者の関係は険悪なものではないようだ。
そうした事を高性能センサーで素早く把握した8号は、戸惑って目を瞬かせた。その様子をどう解釈したのかは不明だが、ホワイト将軍が口を開いた。
「この近くにジングル村という村があるんだが、そこの村人を雇った。貴様に一般人に対する態度がプログラムされているかは知らんが、丁寧に接しろ。問題が起きると任務に差し支えるからな」
「えっ? 大丈夫なんですか?」
主に村人達の都合や健康、待遇の事を指して尋ねる8号に、ホワイト将軍は答えた。
「もちろんだ。レッド総帥から予算はたっぷり頂いているからな」
しかし、ホワイト将軍は彼の疑問を資金的な問題に対してだと思ったらしい。彼は機械の8号が人間的な感情の持ち主であるという事を、いまいち理解していなかった。
「さて、そろそろ仕事を始めてもらうぞ、サイボーグ3号! 貴様にやってもらうのは重機の代わりだ! 鉄筋や鉄板を俺達の言う通りに運べ!」
「はい! 頑張ります!」
そうして8号は生ける(機械だが)重機として、マッスルタワーを建築するための資材を運んだ。
「その鉄筋をここに置いてくれ。次はそっちの鉄板を上に運べ」
「分かった」
「あちゃ~、機械がいかれちまった。これじゃあ溶接できないぞ」
「それ、多分俺も出来る」
「本当か、兄ちゃん!? 頼むぜ!」
8号はホワイト将軍が言っていた通りにこき使われた。ただ、彼だけが忙しかったのではなく他の兵士や雇われた村人達も、そしてホワイト将軍本人も工事のスケジュール管理や村人達との打ち合わせなど色々直接肉体労働をする機会は少なかったが働いていたので不満は覚えなかった。
それどころか、疲労も眠気も覚えない人造人間なので、仕事終わりで疲れた様子の人達に対して後ろめたくなるほどだった。
しかし、鉄筋や鉄板などを軽々と運び、背中のバーニアで自在に空を飛び、目から放つ(出力を抑えた)レーザー光線で溶接を行う8号は、瞬く間に工事現場で頼られる存在として兵士と村人達に慕われるようになった。
そうして彼らと交流を重ねるうちに、ホワイト将軍達レッドリボン軍は村人達を脅し、形ばかりの給料を払って働かせている訳ではないと確信した。
ちゃんと村長に話を通し、村から募った希望者だけを雇っている。給料は十分な額の現金を仕事終わりに渡し、残業させた時は残業代も支払う。休憩をしっかりとり、食事も支給する。兵士が「俺も村人になって雇われようかな」と冗談を言う程には、悪くない待遇だ。
8号への態度も、8号自身が覚悟していたよりも悪くなかった。むしろ、期待していなかった分良い感じだ。
ホワイト将軍は彼の働きぶりを評価したのか、「兵器としては失敗作だが、工兵としては使えるな」と言いながら様々な仕事を任せるようになった。
食事や休憩は必要ないと主張する8号に、「人工細胞とやらの維持に、多少は食べる必要があると貴様の取り扱い説明書に書いてあったぞ! それに、貴様だけ働いていると他の兵や村人が休めないだろうが! 文句は貴様を人型に造ったフラッペに言え!」と、食事と休養を取るよう命じた。
その言葉から、ホワイト将軍が兵士や村人たちの事を思いやっている事を理解した8号は、嬉しくなった。
ホワイト将軍を見張れとゲロに言われていた8号だったが、いつしか「ドクターが思っているほど、ホワイト将軍は悪い人じゃない」と思うようになるのに時間はかからなかった。
しかし、不穏な予感を覚えないわけではなかった。
「ホワイトさんも、悪い人じゃないのは分かってるし、助かっている部分もあるんだけどなぁ。ちょっと、強引なところがあるからな」
村人達が困ったような顔でそう言う事が増えてきていたのだ。
ホワイト将軍やその部下は、村人達を脅している訳でも、搾取している訳でも、裏で村人達を陥れようと企む事や、村の女子供に乱暴を働くような事をしている訳ではない。
だが、ジングル村の人々にとって何か不都合な事が起きている。起動して日が浅い8号には、それを言葉にする事が出来なかった。
そして、ドラゴンボール捜索のための拠点……マッスルタワーが完成した。
喜ぶ兵士達と村人達。彼らが工事の完了を祝う声を聴きながら、ホワイト将軍も笑みを浮かべていた。
「ドラゴンボールを手に入れたのちは、このマッスルタワーがレッドリボン軍の北限基地となるのだ!」
ホワイト将軍は、ジングル村をレッドリボン軍の縄張りにするつもりだったのだ。厄介な事に、善意で。
マッスルタワーが完成した頃、儂は8号と通信でやり取りをしながら天下一武道会までの日々を過ごしていた。
出来事としてあげられるのは、まずマロンをサイボーグ4号としてレッド総帥達にお披露目した事だ。四か月ほどの修行で武術の基礎を身に付ける事に成功した彼女は、レッド総帥達を前にしてもいつものペースを維持して対応した。
それであまりのマイペースぶりに呆れられたが、続く性能テストで戦車の装甲に使う鉄板で折り紙をして見せ、複数の兵士達が連射したパワードガンの銃弾を全て空中で掴み取ると納得してくれた。
「しかし、天下一武道会に出場はさせず、この基地で待機してもらおう。フラッペが作るサイボーグも、ブルー将軍と同じく、我がレッドリボン軍の切り札だからな。最新作の君の性能を漏らすわけにはいかない」
「はーい! ところで総帥ちゃん、ショッピングには行ってもいい?」
「……まあ、基地の近くの町でなら良いだろう」
「ドクター……礼儀作法のプログラミングは?」
「残念ながら、脳改造でそこまで細かい刷り込みは不可能だッペ」
という会話があった。
次に、精神と時の部屋を試していた牛魔王と孫悟飯が部屋から出てきた。元の予定では二日間、つまり間を置かず二年分修行するはずだったが、彼らは一年分修行をするといったん外に出てきたのだ。
「何か不都合があったか? それとも食料が足りなくなったのか?」
「いや、そう言う訳じゃねえんだけども……部屋の中と外の時間のズレが気になっちまって」
「修行の場としては大変すばらしかったのですが、儂等の方の気構えが足りませんでしたな」
一年間、他に誰もいない世界で二人きりで修行を行う環境は、やはり精神的に影響が大きいようだ。そんな部屋を思春期に使用した原作孫悟飯(子)や、一人で何度も使用したベジータは、特別な才能があったのかもしれない。
いや、原作孫悟飯(子)は四歳で一年近く(前半は一人でのサバイバルだった)ピッコロと修行していた経験から耐性があったのかもしれない。そして原作ベジータはフリーザ軍時代に惑星間を小型宇宙船のアタックボールで移動中に長期間眠る事で、自分と周囲の時間にずれがある事に慣れていたせいもある。
原作ベジータと同じ経験をしているはずのタイムパトロールのベジータに今度会ったら、尋ねてみるとしよう。……答えてくれるかは分からんが。
それはともかく、牛魔王と孫悟飯(老)は一日部屋の外で過ごした後、再び精神と時の部屋に戻っていった。地球の神様は、二人の意見に頷き、「差し迫った脅威や、切迫した事情があるとき以外は、連続して使用するべきではない」と決めたようだ。
後は、コリー博士が人造人間研究に加わった事や、エネルギーを魔力に変換する装置の開発に目途が付いたぐらいか。
コリー博士は「凄い、所々どうなっているのか私にはさっぱり分からないのが凄すぎる!」と興奮した様子で今までのデータを読み漁り、今後は助手とし協力してくれる事を約束してくれた。
ドクター・フラッペの正体が儂だと明かした時は、「驚きましたが、だから桃白白さんが捕まえられなかったのかと納得も出来ました」と言っていた。
エネルギーの魔力変換機の方は、後しばらくすれば完成しそうだが、その後は作った魔力をどうすれば利用できるのかを調べて活用方法を研究する必要がある。
気や超能力を扱うのとは色々違うじゃろうし……神力の扱いかたに近いのなら、地球の神様に助言を貰えればなんとかなるかもしれんが。
……そう言えば、エネルギーを神力に変換する装置を作る事が出来れば、地球の神様が精神と時の部屋を改装する時に役立つのではないだろうか? 神力なら、地球の神様に使ってもらえば使い方も分かるだろうし。
うむ、魔力の方が一段落ついたら次に開発するのはそれだな。
それはともかく、魔力を探知するレーダーを作れれば『トワ達の悪巧みを察知できるようになる』という当初の目的は達成できるのだが……『魔神城の眠り姫』事件での失態を贖うためにも、トワがバーダックを洗脳している魔術を妨害する程度の事は出来るようにしたいからな。
後は……劇場版だと『摩訶不思議大冒険』の時期なので、念のためにミーファン帝国やそれに類似する国や街、村がないか調べてみたが、存在しなかった。
チャオズが何処かの国(自治区)の為政者のご落胤という事も無かったし、鶴仙人やブルー将軍と名前と同じ外見の宰相や将軍がいる国も、当然存在しなかった。
もちろん、天下一武道会と同じ日に他の武道会が開催されるという事も無い。
やはり、『摩訶不思議大冒険』はこの世界では起きないようだ。
そして言うまでもないが、劇場版『最強への道』も起きないだろう。あれは原作の最初のドラゴンボール探しとレッドリボン軍編を合わせた劇場版オリジナルストーリーだからな。
ついでに、先日ドラゴンボールが復活し、桃白白に頼んでボラからボールを受け取りに行ってもらったのだが……残りの六つの内一つの反応がレーダーから消えた。何者かが地球から持ち出したのでなければ、ドラゴンボールが出す電波を遮断する入れ物を開発したピラフ大王の仕業だろう。
ドラゴンレーダーを作れる競争相手がおり、自分達の方が弱いならドラゴンボールを隠しながら集めようとするのは妥当な方法だろう。
そう言えば、こっそり採集しておいたピラフ大王の細胞を解析したところ、彼も魔族の系譜のようだ。しかし、特異な能力は特に持っていないようだった。彼自身が言っていたように、天才的な頭脳以外は常人並みだ。
彼は珍しい頭脳特化の魔族なのかもしれない。今度で会ったら、魔凶星の欠片のサンプルと近づけて試してみたいものだ。
ちなみに、魔凶星人か悪のナメック星人由来かに関わらず魔族が持つ「殺した者の魂をあの世に向かわせず苦しませ続ける」という能力だが、ピラフ大王の場合は無効になっている事が考えられる。
根拠は、原作ドラゴンボールZのサイヤ人襲来編で、ピッコロに殺されたラディッツがあの世に行く事が出来たからだ。
あの時のピッコロはまだ悟飯(子)と修行する前で、まだ悟空達ともしっかり仲間になった訳ではなかった。だが、その時点で彼が魔族としての能力を発揮しなかった。
その原因として考えられるのは、「ピッコロがその時点で善人とは言えないが、極悪人ではなかったから」だろう。
そしてピラフ大王も、言動は悪人寄りではあるが、部下を気にかけ助けようとするなど完全な極悪人という程ではない。なので、ピラフ大王も原作ピッコロと同じように魔族共通の能力を失った状態だと考えられる。……確かめるにはピラフ大王に誰かを殺してもらわなければならないので、確認するつもりはないが。
そして、いよいよ天下一武道会開催の日となった。
原作との違いはいちいち上げるまでもないかもしれないが、最も大きな相違点は亀仙人が変装してジャッキー・チュンとして出場しなかった事だろう。
原作で亀仙人が変装までして天下一武道会に出場したのは、悟空とクリリンに世の中には上には上がいる事を教え、思いあがらず修行に励むように教えるためだ。しかし、この歴史では悟空やクリリン、そして兄弟子のヤムチャやサタン、チャパ王も自分より強いものはいくらでもいると既に知っている。
そのため、亀仙人は自身が出場する必要性を全く感じなかったのだ。
また、バクテリアンの姿も無い。こちらは、単に存在が衛生的に問題があったため、天下一武道会が開催されるパパイヤ島へ行く飛行機に搭乗を拒否されただけだ。
なお、ギランや獅子牙流師範のヤシシ、そしてクリリンの多林寺時代の兄弟子の姿はあった。彼らが原作通り悟空やクリリンと当たるかは、抽選の結果次第だ。
そして逆に原作では出場しなかったはずの人物もいる。サタンにジャガー、ラピスとラズリ、チチにブルマにと盛りだくさんだ。
儂、つまりメインスポンサーに近しい人物や弟子、武天老師の新しい弟子や、過去に本戦に出場した事がある選手などは、予選の段階からメディアに注目され、テレビや雑誌で取り上げられている。
「あれ? あなた、まだ手続きが終わってませんよ?」
「あ、いえ、さっき手続したと思いますよ。ほら、もうランチって名前にありますし」
「え? おや~?」
ランチが参加手続きの途中でくしゃみをしてしまい、係員を困惑させていた。
「ランファンで~す。皆、お久しぶり~」
サイボーグ1号こと、ランファンが六年ぶりに姿を現した事でメディアから注目を浴びていた。前々回の天下一武道会の一回戦で敗退した彼女だが、試合中に自ら服を脱いで下着姿になった事で多くの観客の記憶に残ったようだ。
視聴者が選ぶ武道家ランキングというテレビ番組の、「最もセクシーな女性武道家」部門で常にサンと一位を争っているから、どれだけ印象的だったか分かるというものだ。
「ジン、だ」
「スミレよ」
「黄虎だ」
「謎の忍者、パープルでござる」
そして、残りのレッドリボン軍の面々も偽名で出場手続きを済ませていた。
シルバー大佐はジン、バイオレット大佐はスミレ、イエロー大佐は黄虎、ムラサキ曹長は謎の忍者パープルと名乗っている。
そして最も意外だった出場選手は彼女だろう。
「ピラフ様~、本当に出場するんですか? 絶対予選落ちですよ?」
「自信を持て、マイ! 貴様はこの一年で驚くほど強くなった! 天下一武道会でその実力を試してこい!」
「ピラフ様、当初の目的はあいつらの戦力調査でしたよね? マイを出場させる必要はないんじゃ……」
「バカモン! 観客席で見ているだけより、実際に戦ってみた方がより正確にあいつらの戦力が分かるじゃないか!」
なんと、去年タイツ達の願いに巻き込まれてサイヤ人ハーフになったマイだ。シュウの言葉から推測すると、彼らの目的は、ドラゴンボール探しの最大の障害になる悟空達の戦力を探る事だろう。
そしてマイの気は、約一年前と比べると確かに強くなっていた。師について学んだのではなく、独学で鍛えたのなら大したものだ。
気の大きさから推測すると、彼女の今の戦闘力は……15ぐらいじゃな。大したものだと思うが、本戦に出場するにはよほどクジ運に恵まれなければ難しいだろう。
「今度の天下一武道会も、強ぇ奴らが大勢いるなぁ! オラ、ワクワクしてきたぞ!」
そして、悟空は二回目の天下一武道会に胸を高鳴らせていた。
〇人造人間8号
フランケンシュタインの怪物のような見た目の人造人間。心優しい性格で、戦闘を好まない。悟空と出会った時も、逆らえば体内の爆弾を起爆するぞとムラサキ曹長に脅されても悟空と戦う事を拒んだ。
しかし、弱いわけではなく、ホワイト将軍が悟空を気絶させた時は友達を傷つけられた事に激怒し、ホワイト将軍を拳の一撃だけで彼方へ殴り飛ばしている。
また、劇場版『最強への道』では、最初は一応命令通り悟空と戦うそぶりを見せるが、結局戦いたくないとホワイト将軍の命令に逆らって戦闘を放棄。原作通り悟空と友達になった。
その後、バトルジャケットを操縦するブラック補佐によって窮地に陥った悟空の援軍に駆けつけ戦うが、敗れて機能停止。その後、怒りでパワーアップした事でブラック補佐を倒した悟空がドラゴンボールを使って直したらしい。実際に復活した姿が映る前に映画が終わってしまったが。
原作アニメでは、レッドリボン軍の兵士に生き返してやった恩を忘れたのかと言うようなセリフを言われているが、「最強への道」ではブラック補佐と戦っている時にネジやボルトやバネ等の機械部品が弾け飛んでいる。そのため、作品によって人間ベースか機械ベースかが変わるようだ。
なので、この作品では機械ベースの人造人間とします。
この作品の8号は骨格をカッチン鋼、装甲をウィロー合金で作られ、動力には永久エネルギー炉を使用。エネルギーレーダーや通信機、背中に内蔵式バーニア、体内にカッチン鋼の重さを撃ち消すための反重力装置を内蔵。腕を外してロケットパンチや、ヘルズフラッスを放つ事も出来る。
ただし、普段はセーフティーが欠けられ永久エネルギー炉の出力が抑えられている。動力を解除すると戦闘力30万相当、そしてオーバーロードさせると3千万という強大な力を発揮できるがパーツがその力に耐えられず、数分で自壊してしまう。
〇摩訶不思議大冒険
劇場版第三弾。『神龍の伝説』、『魔神城の眠り姫』と同じ世界線の物語だと思われる。
亀仙人に弟子入りした悟空とクリリンが武道会に出場するまでは原作と同じ流れだが、出場するのは天下一武道会ではなく、ミーファン帝国が開いた武道大会。
帝国では、なんとチャオズが幼い皇帝で、宰相の鶴仙人がチャオズを傀儡にしておのれの野望を叶えるためドラゴンボールを集めるなど、陰謀を巡らせている。……等々、オリジナルキャラクターではなく、原作キャラクターが名前をそのままに、別の立場で登場している。
そのため、この作品での再現は無理でした(汗
ブルー将軍がミーファン帝国の家臣として登場したり、そのブルー将軍ではなく桃白白がアラレちゃんの被害にあったり、原作との差異を楽しめる作品。
〇最強への道
ドラゴンボールGTの後に上映された劇場版。内容は、少年悟空の前にブルマが現れドラゴンボール探しの冒険の旅に誘うところから始まるが、ドラゴンボール探しのライバルがピラフ大王一味ではなくレッドリボン軍になっている。
ストーリーが再構築されており、ウーロンやヤムチャ、プーアル、亀仙人は登場するが、やはりチチと牛魔王は出てこない。
また、ジングル村も登場せず、悟空達がウーロンのキャビンカーで直接マッスルタワーに近づいてしまいレッドリボン軍に襲われ戦いになっている。
ブルー将軍も登場するが、この作品では超能力を使わず悟空と戦う事もなくあっさり処刑されてしまう等、原作との相違点が多い。
しかし、初期のドラゴンボールのアドベンチャー感があり、楽しめる作品。
〇戦闘力推移
・マイ:6.5→15 サイヤ人ハーフになり大猿化した際に瀕死になり、それから回復して6.5に。その後、ピラフが城に作ったジムで太らない程度に独学でトレーニングに励んだ結果、戦闘力が15まで上がった。地球人基準では驚愕に値する成長率で、常人の枠を超えた強さの持ち主。原作初期のヤムチャや悟空よりも強いが……この作品の天下一武道会の本戦に出場するのは難しいだろう。
両生金魚様、佐藤東沙様、泡銭様、クラスター・ジャドウ様、ノーデンス様、KELP様、Paradisaea様、佐藤浩様、kiyo0084様、和田白玉様、phodra様、gsころりん様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。