ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
今年のあの世とこの世の交流試合は、例年は最終日になっていたバーダックチーム+ベジータ王との試合を初日に行う事となった。
それだけスーパーサイヤ人になったベジータ王に対する関心が高かったのだ。
「前から疑問だったのだが、この肉体の細胞で検査が出来るのか?」
「うむ。仮初の肉体とはいえ、今日一日は生きているのとほぼ同じ状態じゃからな。今日の内はこの世の飯が食えるじゃろう?」
そうベジータ王に答えながら、彼の細胞を機器にかける。この世に彼の細胞が存在できるのは今日一日だけなので、データは取れる時に取っておかなければならん。サンプルをとっておいても、ベジータ王があの世に戻ると消えてしまうからな。
そのために直ぐ解析結果が出る機器を採算度外視で開発して持って来てある。
「ふむ……やはり細胞が変化している」
「それで、ベジータ王以外もスーパーサイヤ人に成れるのか?」
「可能性は高い、としか答えられんな。しかし、スーパーサイヤ人へ変化したのはベジータ王独自の体質や遺伝子によるものではないので、条件が合えば他のサイヤ人やサイヤ人の血を引く者も変身できるだろう」
「それで、その条件ってのは何なんだい?」
皆、スーパーサイヤ人に興味があるため、周りに集まっている。儂はすっかりサイヤ人よりサイヤ人に詳しい専門家になってしまったようだ。
解析結果に原作知識を照らし合わせて矛盾が無いよう注意しながら、皆の質問に答えた。
「まず、当然じゃがサイヤ人及びサイヤ人の血を引く事。この場合は、儂がサイヤ人の細胞を移植したサンや、ドラゴンボールでサイヤ人とのハーフになったタイツやブルマ、チチ、ヤムチャにサタンも入る」
後、この場にはいないがピラフ一味のマイもじゃな。また、他の人造人間のランファン、ランチ、マロンも同様だ。……マロンはフリーザの細胞を大目に移植したので、なるならゴールデンの方かもしれんが。
「オラもだか!? じゃあ、スイとモウも?」
「もっと成長してから改めて検査しなければ分からんが、条件が合う可能性が高いじゃろう」
チチの双子の弟妹のモウとスイは、二人とも体質面でサンの遺伝が強く出ているので、可能性は高い。
「あたしも? 元から金髪なんだけど、変身したらどうなるのかしら?」
「逆立つだけなんじゃない? 三つ編みとかにはしない方が良いわね」
「なんだか不良みたいだべな」
「サタンはハリネズミみたいになったりしてな!」
「ええっ!?」
金髪のタイツが自分の髪をつまみながら小首をかしげ、ブルマが髪形を気にして、チチが原作の彼女を思い出す感想を口にする。サタンがスーパーサイヤ人に成ったら……確かに、あのアフロがどうなるのか儂も気になるところだ。
「コホン、それで他の条件じゃが、まず変身の負荷に耐えられる強い肉体の持ち主である事。これはまあ、変身前の素の戦闘力に換算して1万もあれば条件を満たすはずじゃ」
実際には、負荷の大きさを考えれば10万……いや、100万は欲しいところだが。
スーパーサイヤ人に変身する事が出来る素の戦闘力の大きさには諸説あるが、儂は変身するだけなら1万もあれば可能性があると考えている。
ただ、変身時に肉体にかかる負荷に耐えられるかは別の問題だ。変身を解いた途端気を失い、数日以上眠り続ける、なんてこともあり得るだろう。
「1万か……今でこそ大した事ねぇって思える数字だが、死ぬ前は高いハードルだな」
「あたし等が生きていた頃に1万以上って言ったら、ベジータ王と王子ぐらいじゃないか? バーダックはもう少しだったはずだけど」
そして、フリーザに滅ぼされる前のサイヤ人にとって戦闘力1万は低いハードルではない。エリートとされる者達の中でも、片手の指で数えられる者しかいなかったはずだ。
「いや、確かパラガスのガキが強かったって話をどっかで聞いたな。どうだったか知ってるか?」
「……パラガスの息子か」
話題がパラガスとブロリーの事に及ぶと、ベジータ王が遠くを見つめた後眉間に皴を刻んだ。どうやら、忘れていたらしい。
顔つきを見ると、何か悔やんでいるような顔つきだが……ブロリーを劣悪な環境の星に飛ばし子にした事に対して罪悪感を覚えているのかは、彼の事だから分からん。
戦闘民族の王としてのプライドを取り戻したそうだから、「息子の才能を信じるなら、余計な事をせずブロリーと競い合わせるべきだった」と思っているのかもしれない。
まあ、ベジータ王がブロリーを飛ばし子にしてバンパに送らなければ、惑星ベジータの消滅に巻き込まれて死んでいたかもしれないし、原作が始まる前にフリーザに危険視され消されていた可能性もあるが。
フリーザは、戦闘力1万8千(大猿に成れば18万)のベジータを使い続けていた。しかし、大猿化すると自身(変身前)に匹敵する戦闘力4万から5万のサイヤ人がいた場合は危険視する可能性がある。
劇場版『ブロリー』でも、スーパーサイヤ人に関して調べていたし。
「1万か。俺はもうすぐだが……戦闘力が五十倍に上がるとしても、最終形態のフリーザの野郎を倒すには、変身前の状態で120万以上必要だな」
「フリーザがフルパワーを出した場合、240万でやっと互角じゃな。とはいえ、大猿化の場合は1千2百万じゃが」
そして、本来ならこの時期の地球では戦闘力1万はそれこそ天より高いハードルになったはずだが、儂が色々やったせいでずっと低くなっている。
もっとも、それでもフリーザは簡単に倒せる相手ではないのだが。地道なトレーニングをせず、才能のみであれ程の強さなのだからあの一族は凄まじい。
「さて、じゃあそのフリーザを倒すためにもそろそろ試合にしようぜ。今年はサンも分身じゃなくて本体が出るんだろ?」
「本気で来いよ、強くなったのはベジータ王だけじゃないんだからな」
そして始まった試合では、この世チームは出産を終えたサンを加え、ギネに儂、4号、そしてナメック星の若き戦士タイプのムデンの五人であの世チームに立ち向かったが、結果は負けてしまった。
儂等も善戦したが、ウィローの反乱を鎮圧する際に激戦を経験し、その後閻魔大王公認の自警団を結成したため、昼間も刑罰ではなくトレーニングに時間をさけるようになったバーダックチームとベジータ王は、去年の交流試合の時の彼らと比べて圧倒的にパワーアップしていたのだ。
儂らの中で最も強い戦闘力19万のギネは、25万2千のベジータ王に抑え込まれた。
8万7千のサンがプラズマブーストを、そして約5万3千の儂と約7万1千の4号がスピリットブーストを使用して対抗した。
しかし、戦闘力約9万3千のパンブーキンがプラズマブーストを使って突撃してきて、7万500のセリパが攪乱し、中距離から10万3千5百のトテッポと約11万3千のトーマが気弾で攻撃。その後、善戦したが一歩及ばず敗退したのだった。
その後は治療と食事休憩、クリリン対ミイラ君や、悟空達ヤムチャ等の試合の後、スーパーサイヤ人化したベジータ王と二十倍界王拳を使用したネイルの試合を行った。
「見るがいい……これがスーパーサイヤ人だ!」
「二十倍界王拳!」
シールド発生装置も念のために改良を行った最新の物を用意したが、それでも儂等が初めて見た戦闘力1千万越えの戦士達の戦いは、度肝を抜かれるほどの迫力があった。
「ほ、本当に金髪になるんだな。おい、爺さん、あいつらの動きが見えるか?」
「ターレス、無理を言うな。肉眼では全く見えん」
「気も、速すぎて追い切れん。ゲロ、データは取れておるのか?」
「それはもちろん。最新の計測機器を持ってきているので、詳細に記録し、既に解析中じゃ」
「……お前も大概じゃな」
スーパーサイヤ人になったベジータ王の戦闘力は約1251万。それに対して、二十倍界王拳を使ったネイルの戦闘力は約1365万。
シールド発生装置越しでなければ、戦いの余波だけで占い婆の宮殿は更地になっていただろう。拳や蹴りがお互いの体にぶつかり合っただけで激しい衝撃波が吹き荒れ、流れ弾が一発シールドにぶつかる度に、興味深いデータが取れる。
そして試合の結果は、これまで通りネイルの勝ちかと思われたが……なんとベジータ王が激しい気功波の撃ち合いを制して勝利した。
「くっ、二十倍界王拳も使いこなしているつもりだったが……」
「実戦と、トレーニングでは消費する体力や精神力が違うという事だな。儂も危ういところだったぞ」
膝を突いて荒い息を繰り返すネイル。ベジータ王は立っているが、試合が終了した後すぐに変身を解いて額に浮かんだ汗を拭っている。
勝負の決め手は、スタミナだった。それまで二十倍界王拳を一人鍛錬でしか発動した事が無かったネイルは、初めて実戦で使ったために想定より早く体力を消費してしまったのだ。
そして、この敗北はネイルにある決心をさせたようだ。
「……界王様の元で何年も修行した上にこれ以上最長老様の傍を離れる訳にはいかないと思っていたが、今の私ではいざという時護衛としての任を全うできない。
ゲロ、最長老様と相談してからだが、ヤードラット星のビバラ殿を紹介してもらえないか?」
なんと、ネイルが自らヤードラット星での修行を希望した。スピリットパワーの扱いを学ぶことで、二十倍界王拳のコントロールを向上しようと考えたらしい。
「うむ、分かった。ところで、今年は試合をするか分からなかったので超神水という液体を儂が改良した物を持って来たのだが……」
天下一武道会の直後なので、食事と交流だけして試合は行われない可能性もあるかもしれないと思った儂は、なら良い機会だからと、改良した超神水を持って来ていた。せっかくの機会なので、ネイルに勧めてみよう。
「オリジナルの超神水と違い、健康なものが飲めばまず死なない。しかし、その分引き出される力も弱い、という代物じゃ。もっとも、テストは儂自身と4号でしかしていないので確実ではない。ので、万が一のために地球の神様から頂いた超聖水も持って来てある」
超聖水とは、カリン塔を登りカリン様から奪い取った者のみが口にする事が出来る、飲むだけで超人に成れる……と言われている、ただの水である。
しかし、カリン塔のさらに上にある地球の神様の神殿には、同じ名前だが本当にありがたい水がある。
その超聖水を飲めば、どんな毒でもたちどころに治るという神秘の水だ。原作アニメに登場し、ナメック星編の後に差し込まれたアニメオリジナルのエピソードである『ガーリックJr.編』で、下級魔族化した地球人を治すために使われている。
そして、この超聖水を使えば、超神水の猛毒もたちどころに解毒する事が可能だ。
そこで、儂は改良版超神水を飲んだ対象がもし毒性に耐えられなかった場合の治療手段として使うために持って来ていた。
そう説明すると、ベジータ王は真顔で言った。
「そんな便利な解毒薬があるなら、改良版より効果の高いオリジナルの方を試した方が良いだろう」
「いや、改良版でもメチャクチャ苦しいのだが……儂の話を聞いていたのかね?」
「俺も同感だ。俺達も死んでからはバーダックみたいに何度も死にかけてるから、解毒薬があるならそんなに心配しなくても良いんじゃねぇかって、思うんだよな」
「死んでから死にかけるのに慣れるっても、変な話だよな」
ベジータ王の意見に、トーマやパンブーキンも同意している。確かに、彼らの言い分にも頷ける点はあるが……。
「う~む、回復手段があるうちに試してみるか。超神水を飲んだ者のデータもあれば役に立つじゃろう。
ただギネ、サン、二人はやめて置け」
「なんであたしらだけダメなのさ?」
「いや、オラは別に最初からその気はなかったんだけども……」
「二人はついさっき瀕死から復活してパワーアップしたばかりじゃろう。超神水のパワーアップも似たような物じゃから、効果が薄くなる」
儂が解析したところ、超神水を飲んで生き延びた者が強くなる理由は、猛毒によって筋肉や神経、心臓を含めた内臓等体中の組織が破壊された後、超回復が行われるからだ。
身体を限界まで鍛え上げた者は超神水を飲んで生き延びても強くなれないとされるのも、これ以上肉体を強くする余地がないからだろう。
ただ、儂等の場合は……元々瀕死から復活するとパワーアップする生態のサイヤ人だけではなく、純粋な地球人であるチューボやパンプット、そして長年武道の修行を続けてきた桃白白、そして亀仙人や鶴仙人であっても……つまり、ここにいる全員は、超神水を飲んで生き延びれば強くなれるはずだ。(占い婆やブリーフを除く)
実際、亀仙人達はここ十数年の修行の結果、以前は百数十しかなかった戦闘力が、数千程にまで急成長している。これで強くなる余地がないはずが無い。
とはいえ、瀕死パワーアップや最長老の潜在能力覚醒等を受けた直後は、効果が下がると思われるが。
原作の悟空は、ピッコロ大魔王に負けた後にヤジロベーに背負われてカリン塔まで運ばれ、仙豆を食べて復活した後超神水を飲んだ。しかし、それはピッコロ大魔王という強大な敵に敗北した直後で、彼の闘争と生存の本能が強く刺激されていた状態だったので、大きくパワーアップする事が可能だったのだと思われる。
それに対して今の儂等は、打倒フリーザという大きな目標はあるが生存本能が危機を覚えるほど強大な敵と戦っている最中ではないし、差し迫った脅威も無い。そのため、原作悟空と同じ事をしても無駄だろう。
それと、超神水を繰り返し飲むのも意味は薄いと考えられる。一度強く作り変えられた肉体が、過去に受けた毒物に中途半端に抵抗してしまいただ苦しいだけに終わる可能性が高いからだ。
「では、ちょっとカリン塔まで行って試してみるか?」
「待て、夕飯をとってからにしろ。一晩苦しむなら、食事をしてからだ」
「帰るのは明日で良いしな」
「……腹の中の物を吐き出す事になっても知らんぞ」
「じゃあ、せっかくじゃから儂も飲んでみるか」
「明日の試合もあるからのう」
そして、亀仙人と鶴仙人が触発され徐々に手が上がり始める。しかし、儂は待ったをかけた。
「オリジナルの超神水を飲むのなら、制限をつけさせてもらう。体が出来上がっていない者、また地球の神様の神殿と同じ条件での修行を経験していない者はダメだ。
ターレスと悟空は体が出来上がるまで待て」
あと、態々口には出さないが、まだ発病していないが遺伝性の心臓病を抱えているラズリとラピスもだめだ。もしかしたら奇跡的に心臓病が完治するかもしれないが、悪化する可能性の方が高い。
「じゃあ、ゲロのじっちゃんが作った弱い方なら飲んで良いんか?」
「まあ、だいたい六時間は苦しむが死にはせんが……やはりカリン塔に登って修行をしてからにするといいじゃろう」
「ええ~っ!」
「爺さん、また過保護になってねぇか?」
「いや、普通の感覚じゃと思うぞ」
死にはしないといっても、六時間悶え苦しむ事を許可する大人はどうかと思う。
「それに、毒性を抑えた超神水を飲んだ後、オリジナルの超神水を飲んだ場合効果があるのか検証してからでも遅くはないじゃろう。
そう言う訳で、儂も飲む」
「では、私も飲みましょう」
そう言う訳で、儂と4号もオリジナル超神水を飲むことになった。
「お爺ちゃん、体を張り過ぎじゃない? それに、お爺ちゃんとヨン兄さんの二人とも飲んじゃったら、誰が解析するのよ? パパやコリー博士じゃ、空気の薄いカリン塔にいるだけで倒れかねないわよ。それともあたし?」
「ああ、それは飲む前に四身の拳で分身を作るから、大丈夫じゃ」
子供に夜更かしをさせる程ではないからな。
そして超神水を飲む前に取った夕食の席で、儂はベジータ王から内密に聞きたい事があるからテレパシーを寄越せと耳打ちをされた。
『それで、儂に聞きたい事とは?』
『二つある。まず、今も生きているだろうパラガスとその息子の事だ。戦力として貴様の手元に置けるか?』
『至難の業ですな』
ブロリーについては、儂は難色を示した。ブロリーだけならまだしも、パラガスがついているのがキツイ。
以前にも考えたが、この世界のパラガスとブロリーは劇場版『ブロリー』の二人のようだ。なので、ブロリーはパラガスが死んだと知った時理性を失っている状態でもスーパーサイヤ人化するほど彼に対して愛情を持っている。
そして、パラガスはいわゆる「冷酷で残忍な」サイヤ人だ。息子を助けに行く情はあるが、息子以外にそれが発揮されるとは考えにくい。宇宙船が壊れてバンパから脱出できないと分かった直後に、持ってきた食料を自分達親子が確保するために連れて来た非戦闘タイプのサイヤ人、ビーツを殺害している事からもそれが伺える。
バンパから救出する際に恩を着せたとしても、結局戦う事になりそうな気がする。天下一武道会には関わってこなかった歴史改変者も出て来るじゃろうし。
ただ、そうした事は儂に原作知識があるから言える事だ。この歴史でもパラガスがビーツを殺したのは、ギネ達から聞いたので確かだが。
なので、儂が無理のない範疇で説明しようとするが……。
『やはりか』
説明する前に納得されてしまった。
『儂が死んでいるからと言って、恨みを水に流せる奴ではないだろうからな。少なくとも、儂ならそうだ。奴が息子共々フリーザを倒すために協力するというのなら、一度戦ってやってもいいが……。
もう一つの質問だがゲロ、貴様は以前死体の無い者は生き返せないと言っていたが、あれは真実ではないな? ドラゴンボールを使えば、生き返せるのではないか?』
『その通り。ナメック星のドラゴンボールを使えば、生まれ変わってでもいなければ生き返す事が可能じゃ』
『やはりな。しかし……驚きもせず認めるとは気色が悪いぞ』
『別に嘘をついていた訳ではないですからな。言わなかっただけで』
改造する死体が無ければ人造人間にできないのは当然じゃからな。ドラゴンボールについても、当時のベジータ王から質問されてもいない。当時のベジータ王に教えたら危険だと考えたので、意図的に黙っていた事は認めるが。
『フッ、狸め。まあいい。トーマとセリパを人造人間へ改造し終えた後で良い、トテッポとパンブーキン、それとモロコとシトウ、ニオン、ついでにタロとリークを生き返してやれ』
『何故彼らを? それに、自身の名前が入っていないようですが』
トテッポやパンブーキン、それにモロコ達をドラゴンボールで生き返すかどうかは、儂もやや迷っていた。
彼らの場合は脳改造をしなくても、ギネや彼女の息子がいる地球に滅多なことはしないだろうという計算もあるし、モロコ達は地獄に落ちた悪人ではあるが、ウィローのような危険な思想に憑りつかれてはいない。
何より、何年も交流を重ねていると情も覚える。儂も鉄でできている訳ではない。
しかし、儂が驚いたのはベジータ王が生き返せと言った中に彼自身を含めなかった事だ。
『せっかく地獄でサイヤ人の地位が固まり、地獄も居心地が良くなってきたところだからな。自警団の実権も握ったばかりだ、今抜けるのは惜しい』
『閻魔大王が聞いたら、顔を顰めそうな理由ですな』
地獄の囚人に地獄の方が居心地良いと言われては、メンツに関わる。とはいえ、サイヤ人にとっては肉体を持てない天国よりも地獄の方が性に合っているのだろうが。
『それに、儂がこの世に居たらベジータがやり辛いだろう。儂も、分かっていても口を出すだろうしな』
とはいえ、本音はこちらだろう。もちろん、彼にとって地獄での居心地が良いのも本当だろうが。
『トテッポ達を生き返すのは、この世のサイヤ人の数を増やすためだ。奴等なら貴様も断り辛いだろう? それに、生き返った後に星を幾つか救ったとしても、いつかは死んで地獄に戻ってくるのは変わりあるまい。
それに、奴らがいない間に地獄のサイヤ人と自警団を儂に従う忠実な戦闘集団にし、生きているバーダックへの貸しも作れる。高度な政治的判断、という奴だ』
『なるほど。では、モロコ達は? 地獄でも彼らは貴重な存在のはず』
『それはそうだが、その貴重な存在に課された刑期はずっと短い。なら、生まれ変わる前にこの世に生き返し、貴様の近くで新たな技術を学ばせ、地獄に報告させる方が良いだろう。
幸い、他の地獄の囚人の中に使えそうなのが何人かいるからな』
おそらく、宇宙海賊の技術者や、地獄に落ちた他の星の科学者などに自警団を組織する時に声をかけたのだろう。フリーザ軍の技術者を、フリーザ軍に恨みを持つ者から守る代わり働かせる、という手も今のベジータ王なら使いそうだ。
『ああ、奴等には秘密にしておけ、何処からか情報が洩れて、邪魔をする者が出たら面倒だからな』
『分かりました。承りましょう』
そして、この世にサイヤ人が増える事になったのだった。
その後、夕食の後希望者全員でカリン様の所へ行き、超神水を飲ませてもらった。
「なんというか……お主らもっと自分の身を大切にしたらどうじゃ?」
そう呆れるカリン様から超神水を受け取ったのは、地獄のサイヤ人達とネイル、儂と4号、そして亀仙人と鶴仙人、孫悟飯と牛魔王、桃白白にチャパ王、そしてアックマンにチューボとナムだった。
チューボには、「会長の儂が飲むからといって、付き合う必要はないぞ」と言ったが、「トレーニングでの上達が鈍くなってきたので、挑戦したい」と答えられた。
そして夜明けまで苦しみ悶える事になった。
「ふーむ、やはり毒性を弱めた超神水改を飲んだ後オリジナルを飲むと、体がある程度慣れてしまい効果が弱まるな」
「まったく効果がないわけではないようですが、オリジナルを直接飲む場合と比べて約25パーセント減といったところでしょうか?」
「お主ら、自分の本体がもだえ苦しんでいる横で、よくそんな冷静でいられるの~」
データの収集と解析は、予定通り四身の拳で作った儂と4号の分身が行っている。その様子を、本体の儂等と見比べながらカリン様がそう言うが、儂の分身は何でもない事のように答えた。
「超聖水がありますからな」
あらゆる毒に効く超聖水が入った瓢箪に、分身の儂はポンと手を置いた。
地球の神様に分けていただいた時に解析したところ、超聖水に含まれているのは特殊な成分ではなく、神力だった。なので、神力を人工的に作り出せれば儂にも超聖水は作れる。何となく嫌がられそうなので、よほどの非常事態……地球の神様の神殿に行って分けてもらう事が出来ない状況で手元の超聖水が切れ、ドラゴンボールも使えない状況で科学的な手段では治療不能な猛毒が広範囲に散布された場合でもなければ、作るつもりはないが。
そして、ベジータ王や亀仙人も含めて全員無事生き残った。今回の最大の被害者は、大勢に押しかけられ睡眠を妨害されたカリン様だろう。
そして二日目、三日目と試合が行われた。そこでターレスやタイツ、悟空等サイヤ人やサイヤ人ハーフ組は一通り瀕死になってパワーアップした。
「それでは占い婆様、またしばらく暇を頂きます」
「うむ。ちゃんと撮影機器は持っていくんじゃぞ。後、大会には儂も観戦に行くからな」
そしてアックマンは、サイヤ人達と一緒に故郷の地獄へ一時帰郷した。どうやら、彼も地獄一武道会に参加するそうだ。
そして四日目、天国からアルマ、地獄からはシトウ達がやってくる。魔力や神力について彼女達と意見を交わし、改造中のセリパとトーマのデータを見て意見を求め、実りある時間になった。
「この最新型の永久エネルギー炉を、もしウィローが手にしていたら……考えるだけでも恐ろしいですな」
「戦闘力3千万のウィローか。確かに恐ろしいが、ウィローのサイボーグボディでも出力に耐えきれず一分以内に自壊するはずじゃ」
「いえ、光線を打つためだけにエネルギーを使うなら、自壊しない可能性が高いはず」
「なるほど、確かにその通りじゃな」
「8号もその方向で再改造する? それともカッチン鋼の加工技術を高めて、細かい部品を成型できるようにする?」
「やはり後者じゃな。光線の威力だけ上がっても、接近して殴られたら破壊されてしまう。ただ、光線用の永久エネルギー炉を新たに増設するのも面白いかもしれん」
「なるほど。それは興味深いけど……ちゃんとスイちゃんとモウちゃんの検診もしてる? 二人の主治医はあなたしかできないんだから、気を配らなければだめよ」
「もちろんじゃ。検診だけではなく二人の遺伝子を解析し、どんな病気にかかる可能性があるのか算出し、対策も万全じゃ」
二人のクローンを培養して、どんな風に成長するか、病気にかかる可能性があるのか、先に確かめる方法が最も万全と言えるが……さすがにそれは倫理的に拙いと思うのでやっていない。クローンも人じゃからな。
なお、儂がアルマ達と話している間に、悟空は友人と一緒にドラゴンボール、より正確に言うなら四星球探しの旅に出ている。最初に向かったのはシルバー大佐の部隊が探している場所、ではなく占い婆に居場所を占ってもらったピラフ一味の所である。
原作とは順番が逆になったが、悟空の二度目のドラゴンボール探しの旅が始まったのだった。
〇戦闘力推移
以下の数値は、天下一武道会が終わってから数日しかたっていないため、試合やその後の修行の影響で強くなっていない状態です。
・サン:8万7千→11万 ギニュー隊長やクウラ機甲兵団のネイズに迫る実力。
・ギネ:19万→23万7千 瀕死パワーアップによって、クウラ機甲兵団のサウザーを大きく超えた。
・セリパ:4万2千→7万500→8万8千1百 オリジナル超神水の効果によって、瀕死パワーアップと同等のパワーアップを遂げた。
・トーマ:7万4千→11万3千4百→14万2千2百 超神水の効果でギニュー隊長やクウラ機甲戦隊のネイズを超える実力に至った。ボディチェンジを警戒しなければならない時期に突入。
・トテッポ:6万8千→10万3千5百→12万9千3百 ギニュー隊長やクウラ機甲戦隊のネイズを超える実力に至った。
・パンプーキン:6万1千→9万2千8百→11万6千 ギニュー隊長に迫る実力。
・ベジータ王:16万4千3百→25万2千→33万6千 ウィローの反乱と超神水の使用を経て、そろそろフリーザも第一形態だと油断できない実力に至りつつある。
・ゲロ:5万3200→6万1千1百 原作ネイルを超え、ギニュー特戦隊隊員をやや上回った。オリジナル超神水を呑んだが、その前に毒性を抑えた超神水改を飲んでいたため、効果が下がっている。
・4号:7万800→8万1千1百 ゲロと同じく超神水改を何年も前に飲んだ後、今回オリジナルを飲んだ。
・亀仙人:7550→9800 サイヤ人襲来編でベジータと戦った悟空とほぼ互角。からオリジナル超神水を飲んで一万の大台に迫った。
・鶴仙人:5830→7600サイヤ人襲来編のナッパを超え、当時の悟空に迫る実力。
・桃白白:7450→9900 オリジナル超神水を飲んだことで一万の大台に迫る。
・牛魔王:7000→9100
・孫悟飯:7500→9750
・アックマン:5368→7130 地獄のサイヤ人達に対抗意識を燃やす地獄出身者。
・チューボ:2560→3310
・チャパ王:4635→6024
・タロ:9900→1万3千 生前のベジータ王をやや超える強さ。バーダックチーム以外の下級戦士出身のサイヤ人ではトップクラス。
・リーク:6100→8110 トレーニングを続ける地獄のサイヤ人の下級戦士出身者の中では上の下ぐらいの実力。
・ネイル:68万2千5百→88万6千 じりじり成長中だったところに超神水を飲んでパワーアップ。
〇超神水
超神水の効果や、皆強くなれる云々はこの作品独自の設定です。
〇超聖水
神力で作れる云々なども、この作品独自の設定です。
wtt様、クラスター・ジャドウ様、-SIN-様、Paradisaea様、ま゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁ様、 たむろん001様、変わり者様、kiyo0084様、 たかたかたかたか様、excite様、KJA様、Othuyeg様、佐藤東沙様、ずわい様、ゼクス様、太陽のガリ茶様、gsころりん様、にぼし蔵様、gsころりん様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。