ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
79話 ピラフ大王の懲りない野望!
第24回天下一武道会が終わった四日後。天才科学者のドクター・ゲロ、儂が妻のアルマやサイヤ人の技術者のモロコ達、そしてブリーフやコリー博士と知識や技術の交流を行っている頃だ。
まずレッドリボン軍ではブラウン大佐が見事ドラゴンボールを発見し、レッド総帥の元に持ち帰った。
次に、天下一武道会に出場したヤシシが再び聖地カリンへ旅立ったそうだ。彼の実力ではボラはカリン塔へ上るのは止めるはずだが、彼も修行の相手を探していたはずなので、丁度いいだろう。それに、時折訪れては獣の毛皮等と日用品の物々交換を持ち掛けて来る、謎の野生児とも修行しているようだ。
野生児の方はそれほど修行に熱心ではないが、稽古の謝礼として菓子等を提示すると喜んで相手をしてくれるそうだ。……多分、ヤジロベーじゃな。
他の選手の行方については、ラオチュウは普通に息子夫婦が待つ地元に帰ったようだ。
そして、ギランは一度故郷に帰った後、カリン塔を登って地球の神様の神殿に行きさっそく修行を受けているらしい。己はゴロツキなのか、それとも武道家なのかと悩んでいたようだが、故郷に自分の銅像が建っているのを見て、色々と吹っ切れたらしい。
ちなみに、原作アニメでは天下一武道会後に悟空がチチと水不足で困るナムの故郷や、ナムの故郷に繋がる川の上流でグルグルガムのダムを造って水をせき止めていたギラン達の所に行くエピソードがあったが、この歴史では起きないだろう。
ナムの故郷は既に村ではなく街に発展しているし、ギランは故郷ではなく地球の神様の神殿で修行している。
そして儂等の仲間では、まずターレスがヤードラット星へ修行に向かった。瞬間移動を早く完成させたいらしい。既に移動自体は出来ていたから、ターレスならすぐにコツを掴んで帰ってくるだろう。
サタンとジャガーは、地球の神様の神殿へ修行に向かった。気の制御と感知に関して習得するなら、地球の神様の所で修行するのが一番じゃからな。
そしてタイツ達は西の都に戻っている。チチも、しばらく両親を手伝って弟妹も世話をするそうだ。
では、四星球探しの旅に向かった悟空に付いて行く友人とは誰なのか……。
「おめぇらも懲りねぇ奴だなぁ。世界征服は無理だって神龍に言われたじゃねぇか」
「世界征服っ!? そんなこと考えてたのか、こいつら!?」
「悟空、確か神龍には他の願い事をすると言っていなかったか?」
なんとクリリンとヤムチャ、そしてプーアルである。
クリリンは亀仙人の元での修行に一区切りがついたので、次の修行はカリン塔で行うのが通例だが、それではラズリの買い物に付き合う約束が果たせない。そしてラズリの好きな服のブランドの新作が発表されるまでしばらくかかる。そのため、空いた時間で経験を積むために悟空の旅に同行したのだ。
一方ヤムチャは、まだ地球の神様の神殿での修行が残っていたのだが、その神様から「お前の弱点はここでは克服する事は出来ないだろう。しばらくの間、旅に出て己を鍛えるのだ」と言われ、丁度いいので悟空の旅にプーアルと同行する事にしたのだ。
「そうだったか? よく覚えてるな、ヤムチャ。オラ、すっかり忘れてたぞ」
「その通りだ! このピラフ大王様の誇り高い宣言を忘れるとは失礼な奴め! そっちの男を見習え!」
「わ、わりぃわりぃ、次は気をつけるからさ」
「次があってたまるかー!」
激怒して怒鳴り散らすピラフ大王。シュウとマイが左右から「そうだそうだ!」と声をあげる。
状況としては、占い婆にドラゴンレーダーに映らないドラゴンボールの在り処を占ってもらってピラフ大王が持っている事が判明。彼らが移動しないうちに、それぞれ筋斗雲とジェットモモンガで飛んでいき、車で移動していたピラフ大王達の前に立ちはだかった。その直後である。
「貴様等こそ願いは去年叶えただろうが! 今年も願いを叶えようなんてズルいぞ!」
「そうだ! 去年叶えたんだから遠慮しろ!」
「今年は私達の番だぞ!」
邪魔をされた事と、それが去年願いを叶えた悟空達の仕業である事が、ピラフ大王達が怒りを覚える原因のようだ。
「いや、そう言う問題じゃないですよね?」
プーアルはそう言うが、彼らが正論を聞き入れて納得する訳もない。
「別にオラ、願いを叶えたくてドラゴンボールを探してるわけじゃねぇんだ。じっちゃんに四星球を返そうと思って、探してるだけだ」
「俺は……いやいや、俺は自力で克服してみせる。ドラゴンボールは頼らないぞ」
「ヤムチャさん……」
今年は願いを譲れと要求するピラフ達に、困った表情で答える悟空。ヤムチャは一瞬まだ克服できていないあがり症を直してもらう事を考えたようだが、口に出す前にかぶりを振る。
「だから、おめぇ達が持ってるドラゴンボールが四星球じゃないなら、用はねぇ」
「なーんだ、そうだったのか。なら別にいいかってそんな訳に行くか! ドラゴンボールは七つ全部揃わないと願いが叶わないんだぞ!」
「だから、おめぇ達の願いってなんなんだ?」
「フンッ、貴様らに教えてどうなる。願い次第ではドラゴンボールを譲ってくれるとでもいうつもりか?」
「ああ、良いぞ」
「「「えっ!? 本気か!?」」」
裏表なく頷く悟空に、ピラフ大王とヤムチャとクリリンが思わず聞き返した。
「オラはおめぇ達が願いを叶えた後、飛び散る前に四星球を捕まえて持って帰ればいいからな。ただの石に成っちまっても、一年経てば元に戻るんだし」
叶える願いが無い悟空は、持って帰るドラゴンボールが石になってもそれが四星球なら構わないのだ。特に、この歴史では孫悟飯が生きているので、悟空にとって四星球は祖父の形見ではなく、祖父が飾っていたインテリアでしかない。
それなりの愛着はあるが、原作程の価値は見出していない。
「そうなのか? 貴様の考えている事は分からんな。だが、嘘をついているようにも見えん……」
「でも、悪い事を叶えてもらおうとしてるなら、話は別だぞ。そん時はオラ達が退治するからな!」
「ピラフ様、こう言ってますし、言ってやりましょうよ!」
「ふふん、お前達、聞いて驚け! ピラフ様の野望を!」
「いいだろう。聞いて驚け、このピラフ大王がドラゴンボールに願うのは……『新しく地球そっくりな、しかしGCコーポレーションとマイより強い生き物が存在しない惑星を作り、このピラフ大王をその惑星の支配者にしてくれ』だ!
どうだ、驚いただろう? フハハハハ!」
高笑いをあげるピラフ大王に、わーっと拍手して彼をおだてるシュウとマイ。
「え? ワクセイって、地球を増やすんか?」
「お、驚いた。ドラゴンボールでも地球を征服できないから、地球そっくりの別の惑星を作ろうってのか」
「よくそんな事を思いつくなぁ、あいつら。頭良い、のかな?」
「でもヤムチャ様、そんな事が可能なんでしょうか?」
そして、ピラフ大王の願いに驚く四人。悟空は願いが複雑だったので一度聞いただけでは理解できず目を瞬かせているし、プーアルは懐疑的だが。
これには後でプーアルから話を聞いた儂も驚いた。去年話していた「世界一の金持ちになる」等の願いよりも、柔軟でスケールの大きい発想だ。
原作と違い、儂がナメック星やヤードラット星と交流している事を公にし、ナメック星人を地球に招いたり、ナメック星のドキュメンタリー番組を放映したりしたため、ピラフ大王が「地球がダメなら他の星を征服しよう」と考えるのは当然の帰結だっただろうが。
「なあ、地球と同じ星を増やしてそこを征服するのは分かったけどよ、なんでそっちのマイって奴より強い奴がいない星にしたいんだ?」
「決まっているだろう! お前らみたいに強い奴がいたら怖いからだ!」
「銃もミサイルも効かないでしょうからねー」
「私ぐらいの強さなら、ピラフ様のロボットでどうとでもできるのだ!」
そして、自身の支配体制の障害になり得るGCコーポレーションや悟空達強者の存在を最初から排除しておくのも、よく考えられていた。
もっとも、ピラフ大王が願いで強者の存在を除かなくても、ドラゴンボールは地球の神様以上の力が必要な願いは叶えられないので、悟空達のように地球の神様以上に強い存在を創る事は最初から不可能なのだが。
「そっか。う~ん、どうしたら良いと思う、皆? オラ、こいつらの願いが良いのか悪いのか、良く分からねぇ」
「ええっ!? そんなこと聞かれても……フリーザって悪い奴や昔のサイヤ人みたいに、別に他の星を征服する訳じゃないんだよな」
「そうだな。別の地球を創ってそこを征服するのなら、この地球には迷惑は掛からない……のか? いや、そもそもプーアルが言うように、ドラゴンボールでもそこまでの願いを叶えられるのか?」
ピラフ大王の願いの善悪が判断できず、悩む悟空達。地球を征服する訳ではないから、地球の人々に迷惑は掛からない。願いが叶った後のピラフ大王の政治次第で、新しく創られた惑星の人々が不幸になるかもしれないが、それは未来の事だ。現時点で、まだ存在しない人々の幸不幸を決める材料はない。
「な、なにっ!? ドラゴンボールはこの願いも叶えられないのか!? 神様の力を超える願い以外なら、どんな願いも叶えられるはずだぞ!?」
しかし、ピラフ大王は悩むヤムチャが漏らした言葉に大きく動揺し、思わず聞き返していた。
「え? ああ、地球の神様の力を超える願いは叶えられないから、もしかしたら難しいんじゃないかって。だよな、プーアル?」
「そうです。地球と同じ星や大勢の人を新しく創るのは……直接聞いた訳じゃないですけど」
「なんでだ!? 神様ならそれぐらい出来るだろう!?」
「いや、神様って言っても地球の神様だし……」
話がかみ合わず、苛立つピラフ大王と困惑するヤムチャ。これは、神に対する認識の違いである。
ピラフ大王は神様について、単純に「神」だと思っているのだろう。宇宙を含めた天地創造を行った方の神様だと。彼はヤムチャやプーアルとは違い、「地球の神様」の上に界王様や大界王様、そして界王神様が存在する事を知らないのだ。
そして、ピラフ大王の願いを神龍が叶えられるかどうかだが……残念ながら不可能だろう。
惑星を新しく創るのは、推測だが界王神の役割だと思われる。各惑星の神が、新しく惑星を作れるのなら、星が滅びそうな時に新しく惑星を創って人々を移住させる等の手を打つだろう。それが無いという事は、無理と言う事だろう。
『ドラゴンボールGT』ではベビーが地球の近くにツフル星を創っていたが、その時使用したのはただのドラゴンボールではなく、神様とピッコロが一つになった事で復活した究極のドラゴンボールじゃったし。なので、ピラフ大王の願いは究極のドラゴンボールか、スーパードラゴンボールを使わない限り不可能だろう。
新しく人間を創る方は……願ってみないと分からん。クローンを作るのと同じと解釈されれば、意外と作れるかもしれん。魂まで複製する必要があると解釈された場合は、逆に不可能かもしれん。
その辺りは実際に願ってみるか、ズノー様にでも質問しなければ分からない。神力を研究すればいずれ判明するかもしれないが……人造人間の研究開発より優先する必要は感じない。
ただ、地球の神様がジャッキー・チュン(亀仙人)が天下一武道会で破壊した月を作り直した事があるので、惑星ではなく衛星なら創れるはずだ。
ピラフ大王の願いが、「地球と同じ環境の衛星を新しく創ってくれ」だったら、叶えられる可能性は高い。月と同じぐらいの大きさの衛星に大気が存在するのは科学的におかしい気もするが、ここはドラゴンボールの世界。十分ありあり得る。
「でもピラフ様、そう言えば神様よりドクター・ゲロの方が強いというような事を、去年神龍が言っていましたよ?」
「た、確かに。じゃあ、この願いも無理なのか……? おい!? じゃあ、どんな願いなら叶えてもらえるんだ!?」
「えっ? 僕達に聞くんですか?」
「そうだなぁ……」
問われて聞き返すプーアルだったが、悟空は素直に考えだした。そして、原作よりも頭の修行に励んだ成果か、すぐに良いアイディアが閃いたようだ。
「神龍に新しく星を創ってもらうんじゃなくて、地球そっくりの星に飛ばしてもらったらどうだ?」
「なるほど! この広い宇宙には地球と同じ環境の星がまだまだあるはずだな! それなら――」
悟空の閃きに乗り気になるピラフ大王だったが、シュウが慌てて待ったをかけた。
「ピラフ様っ! その地球に似た環境の星に、メチャクチャ強い奴らがいたらどうするんですか!?」
「決まっているだろう、その時はドラゴンボールで……しまった! その星にはドラゴンボールが無い!」
「宇宙船を作って地球に戻れるかも分かりませんよ。メチャクチャ遠くに飛ばされるかもしれません!」
「むぐぐっ! いったいどうすれば……」
「あのさ、素直に金持ちになって満足するとかじゃダメなのか?」
「ダメに決まっているだろう! 世界征服は我が一族の野望なのだからな! それに、金持ちになった程度じゃ貴様らには勝てないし」
「ゲロのじっちゃんみたいに人造人間を作ればいいんじゃねぇかな?」
「出来たらやっとるわ! クソッ、プライドが傷つくから言いたくなかったのに! そうだ、ドラゴンボールが叶えてくれる願いが一つなのが問題なのだ。何回かドラゴンボールを使えば……」
「だったら、地球のじゃなくてナメック星のドラゴンボールを使えば良いんじゃねぇか? ナメック星のドラゴンボールなら、三つ願いを叶えてくれるぞ」
「あっ! 悟空っ、それは秘密だって言われてただろ!」
「何ぃ!? それは本当か!?」
ナメック星にもドラゴンボールがある事は関係者以外には秘密、と言う事にしてある。宇宙船に必要な技術を我がGCコーポレーションがほぼ独占している状態だが、独自に宇宙船を作ってナメック星に向かわれたら困るからの。
しかし、悟空の周りにはその関係者しかいないので感覚が緩んでいたのだろう。つい口に出してしまったようだ。
「ナメック星のドラゴンボールなら一度集めるだけで三つも願いを叶えてもらえるのか! それなら地球そっくりの惑星を探して、そこの支配者にしてもらって、地球とその惑星を行き来できるワープ装置を作ってもらえるぞ!」
「でもピラフ様、どうやってナメック星に行くんですか? 宇宙船作れます?」
「ううん……良し! 地球のドラゴンボールで宇宙船を出してもらおう! さあ、そのドラゴンボールを渡せ!」
「どうすんだよ、悟空? あいつらその気になっちゃったぞ」
「しかも、最初は新しく星と人を創るはずだったのに、地球そっくりの別の星を征服するだけになってるぞ」
「ワリィ、ワリィ。でもよ、この方が分かり易いだろ?」
「まあ、確かに」
盛り上がるピラフ達に対して、困った様子だったクリリンとヤムチャは悟空の言葉に頷く。
「オラ達と勝負して、勝った方がドラゴンボールを手に入れる! こうしようぜ!」
「良いだろう! ゲロには勝てないが、貴様等にまで勝てないと言った覚えはない! ワシが開発したピラフマシンの恐ろしさを見るがいい!」
そして、話はシンプルにドラゴンボールの争奪戦に纏まった。ピラフ達は懐からホイポイカプセルを取り出し、それを投げてそれぞれの機体を出す。しかし、それらは原作のピラフマシンとは異なっていた。
乗り込んで操縦するので三機ともそれなりに大きいが、合体機構はなさそうだ。また、ピラフマシンの丸みを帯びたデザインは踏襲しつつも、それぞれ人型に近い。
『過去の天下一武道会の映像を解析して改良を施した、新ピラフマシンの恐ろしさを思い知るがいい!』
『どうだ、怖いだろう!』
『降参するなら今の内よ!』
それぞれ1号、2号、3号とペイントされた機体に乗り込んだピラフ達が凄む。
「へへ、そう来なくっちゃな!」
「だ、大丈夫だよな?」
「プーアル、ジェットモモンガを頼んだぞ!」
しかし、もちろんそれに怯える悟空達ではない。
『なら行くぞ! フォーメーションAだ!』
『はいっ!』
『くらえ!』
ピラフ達は素早く移動する。その動きは悟空達の予想より早い。そしてピラフマシンの両手を彼らに向けると……なんとエネルギー弾を放った。
『これがフォーメーションA! 十字砲火作戦だ! これで奴らも一網打尽……いいっ!?』
勝利を確信していたらしいピラフ大王だったが、目を見開いて唖然とした。
「よっ! 驚いたな、昔のオラだったらやられちまったかもしれねぇ」
如意棒を回転させエネルギー弾を弾く悟空。
「こいつら、こんな高性能なロボットも作れたのか」
同じく、ウィロー合金製の愛刀でエネルギー弾を弾くヤムチャ。
「ぎやぁぁぁ~っ!? なんで俺だけ~!」
そしてエネルギー弾の連射を受けて踊るクリリン。
『と、とりあえず一人倒した!』
「クリリンさん!?」
戦果に沸き立つシュウと、物陰からクリリンの名を叫ぶプーアル。
「あれ? 痛いけど、意外と平気だ」
しかし、クリリンはエネルギー弾に滅多打ちにされたはずなのに致命的なダメージは受けていなかった。彼が全身に気を張り巡らせて防御していた事も大きいが――。
『しまった! 連射モードでは一発一発の威力が低い! 光線モードに切り替えろ! 同時にリミッターを全て解除だ!』
『『はっ!』』
ピラフ達が新ピラフマシンを操縦しての戦闘に慣れていない事が原因だった。急いでフルパワーで戦おうとするが、その隙を逃す悟空達ではない。
「「かめはめ波ーっ!」」
悟空とヤムチャがかめはめ波を放って真ピラフマシンが放つ光線と力比べを展開する。
『『ぐわぁぁ!?』』
その結果、ピラフの1号とシュウの2号があっさり押し負けて吹き飛ばされた。
『ピラフ様!? シュウ!?』
「太陽拳!」
主と同僚が吹っ飛んだことに動揺したマイが光線を放つのが遅れ、その隙にクリリンが接近して太陽拳を放った。
『い、生きてる!?』
『当たり前だ! この新ピラフマシンの装甲は儂がウィロー合金を真似て……もとい、インスパイアして作った特殊合金製なんだぞ!』
一方、かめはめ波を受けて吹っ飛ばされた新ピラフマシンだったが、ダメージは受けておらずほぼ無傷だった。悟空とヤムチャが手加減していたというのもあるが、新ピラフマシンの装甲はかなり堅牢に作られているようだ。
『くらえっ!』
「うわっ、太陽拳が効かない!?」
一方、クリリンは太陽拳を受けても動きを止めないマイが操縦する新ピラフマシンの拳から逃げ惑っていた。
『フッ、貴様らの得意技はこの前の天下一武道会で分かっているわ! この新ピラフマシンには対太陽拳用装備が搭載されているのよ!』
そうコックピットで誇らしげに勝ち誇るマイ。どうやら、ピラフ大王は天下一武道会からの短い時間で、新ピラフマシンの光学センサーを改良したらしい。
『今度こそくらえ!』
「くっ、うおおおお!」
そしてマイが操縦する新ピラフマシンから、今度こそ光線が放たれる。避けられなかったクリリンは、とっさに両腕を交差して耐えようとする。
『リミッターを解除したマシンの光線に耐えるなんて! でも、いつまで持つか――あら?』
このままではクリリンが負ける。そう思われた時、突然マイが操縦する新ピラフマシン3号が放つエネルギー波が途切れてしまう。
『ど、どうした!? マシントラブルか!?』
『ピラフ様っ、燃料が、燃料が切れました! ガス欠です!』
その原因は、なんと燃料切れだった。永久エネルギー炉でもない限り、無限にエネルギーが続くわけはない。しかも、リミッターを解除していたためマイの想定より早くエネルギーが切れてしまったようだ。
「か、勝ったのかな?」
クリリンは何処か納得がいかないようだが、相手が動けなくなるまで耐えたのだから十分に勝ちと言えるだろう。
『くっ、こうなったら……!』
マイに脱出を指示し、彼女を自分かシュウが持って逃げるしかない。
「おっと! どうするつもりか知らないが、させないぜ!」
「確かロボットは、関節が弱いんだったよな」
しかし、ピラフよりもヤムチャと悟空の方が早く動いていた。ヤムチャはウィロー合金製の刀を閃かせ、悟空は如意棒を振るって、ピラフとシュウがそれぞれ操縦する新ピラフマシンの関節部分を破壊してしまった。
攻撃だけではなく逃亡の手段も封じられた事で、ピラフ大王一味は敗北を喫したのだった。
「くっそーっ、またしてもダメだったか。今回は大人しく渡してやるが、来年こそはこのピラフ大王がドラゴンボールを手に入れてやるからな!」
「本当に懲りねぇ奴だなぁ、おめぇも」
悟空がピラフ大王からドラゴンボールを受け取った頃合いで、儂は瞬間移動で彼等の前に姿を現した。
「会長さん!?」
「げげっ! まさかウィロー合金をパクったのがばれたのか!?」
「オッス、ゲロのじっちゃん」
それぞれ異なる反応を見せる悟空達に手を振って挨拶し、壊れたまま放置されている新ピラフマシンの残骸を手に取って調べる。
ちなみに、ウィロー合金をパクった云々の事で文句を言う気はない。元々儂がウィローの研究成果を盗んだものじゃし。
「ふむ……装甲はウィロー合金を真似たようだが、不純物が多く、恐らく加工の過程が雑なのじゃろうな。正規品に比べると性能は大幅に落ちる」
それに、正規品と比べると格段に性能が落ちるからの。
「ぬっ!?」
「しかし、エネルギー波を撃つための装置と回路の出来は素晴らしい。操縦システムも機能的でありながらシンプルで分かりやすい」
「な、何が言いたいのだ?」
顔を悔しそうに歪めたり、逆に緩みそうになるのを抑えたり、表情がコロコロ変わるピラフ大王に構わず観察を続ける。
ざっとだが、眺めたところでは真ピラフマシンは儂がフラッペとして作った戦闘用ロボットよりも高性能だ。実際、戦闘力138のクリリンと時間は短いが格闘戦を行い、光線を当てている。しかも、負けた理由は燃料切れ。
動力が永久エネルギー炉だったら、負けていたのはクリリンの方だっただろう。
原作よりもピラフ大王の科学技術が進んでいるのは主に儂が色々やった影響と、去年のドラゴンボール争奪戦での経験からじゃろうな。
それに、意図した訳ではないが天下一武道会が格好のデータ収集の場になっている。過去の大会の映像も編集されて販売されておるし。
儂(フラッペ)ではなく、ピラフ大王がレッドリボン軍と組んでいたら、割ととんでもない事になっていたかもしれん。
「やはり欲しいな。ピラフ大王、以前も聞いたが我が社で働く気はないかね?」
「良いだろう、報酬はド――」
「ドラゴンボールは渡せんが、ナメック星に行きたければ案内しよう」
「本当か!?」
「いいっ!? 本気ですか、会長さん!?」
「うむ。ただし、ナメック星でドラゴンボールを集める際は、ナメック星人達の流儀に沿って行うのが条件じゃ」
ナメック星では、ドラゴンボールを使う場合は長老達が知恵比べ等をして競い合い、ドラゴンボールを使う者を決めて来た。そう説明すると、ピラフ大王はやる気になり、ヤムチャ達も納得した様子で落ち着きを取り戻した。
「争奪戦や腕比べよりも希望が出て来たぞ!」
「やりましたね、ピラフ様!」
ナメック星人は一般人でも戦闘力が300はあり、今ではギニュー特戦隊隊員以上の戦闘力の持ち主が、各村に数人いる。ピラフ大王がこのままピラフマシンの性能をあげて行っても、武力ではとても勝てない。
しかし、力ではなく知恵や議論で競うならピラフ大王一味にも勝つ希望がある。それどころか、悟空のような圧倒的強者が存在する地球でドラゴンボールを集めるより望みが大きいように思えるだろう。
「なるほど。なら、こいつらの願いが世界征服の内はドラゴンボールを使う許可が下りる訳がないか」
「ナメック星人のじっちゃん達なら安心だな」
そしてヤムチャと悟空にとっても、ピラフ大王を試すのが善人揃いのナメック星人達なら滅多な事にはならないと信頼できる。
ピラフ大王達がナメック星人達を騙そうとするかもしれないが……ナメック星人達は心を読むなど様々な特殊能力があるので、そう上手くはいくまい。
むしろ、地球で何十年もドラゴンボールを狙われるより安心だ。ピラフ大王達が儂等の予期せぬタイミングでドラゴンボールを使い、そのせいで窮地に陥るという事も考えられるし……ドラゴンボールGTで究極のドラゴンボールを使ってしまうような展開も防げる。
ついでに、我が社はナメック星に駐在する優秀な科学者とその身の回りの世話をする職員を雇用できる。万々歳だ。
「よし! その条件を飲む!」
こうしてピラフ大王はGCコーポレーションに就職したのだった。
そう言えば、まだ歴史改変者が出て来んな? もしかして、ピッコロ大魔王が出て来るか、劇場版『オラの悟飯を返せ!!』まで静観を決め込むつもりなのだろうか?
なお、ピラフ大王が持っていたのも四星球ではなかった。では、四星球は何処にあるのかというと……。
ブラウン大佐が手に入れたというドラゴンボールを、儂(フラッペ)が見たのは今日が初めてだった。
報告では手に入れたドラゴンボールの星がいくつなのかは、記されていない。ドラゴンボールには一星球から七星球まで種類があるが、個々の違いに意味は無いからだ。
「ふむ、四星球だっぺか」
原作とは経緯は異なるが、悟空がレッドリボン軍に来る事はほぼ決まったようだ。
現在のドラゴンボールの獲得状況は……悟空が、ボラから桃白白が受け取った物を旅立つ前に受け取り、今回ピラフ大王から獲得した二個。
レッドリボン軍が、ブラウン大佐が発見した四星球一個。
そして残り四つはまだ未発見。ドラゴンレーダーによるとボールが飛び散った場所は原作と同じ……だと思われる。原作でバイオレット大佐が発見したボールは、何処にあったか描写されていなかった(前世の儂が覚えていないだけかもしれないが)ので、確かな事は言えないが。
少なくとも、シルバー大佐達が探しているボールが、ジングル村周辺の地域、そして海賊のアジトにあるのは間違いない。
どうなるのか、注視するとしよう。
〇戦闘力推移
以下の数値は、占い婆の宮殿で行われた試合で瀕死から復活した際にパワーアップしたもので、天下一武道会の経験から強くなったわけではありません。まだ天下一武道会から四日しかたっていないので、経験を強さに反映する事が出来る程時間が経っていないと判断しました。
・悟空:661→826 非戦闘タイプのサイヤ人の枠を超えつつある。
・ヤムチャ:727→908 非戦闘タイプのサイヤ人を超えたが、戦士として一人前と認められる段階ではない。
・チチ:562→702
・ブルマ:536→670
・サタン:283→353
・クリリン:138 地球人なので瀕死パワーアップが無いため、そのまま。
・マイ:15 彼女は瀕死になっていないのでそのまま。
〇新ピラフマシン
1号から3号まである、人型戦闘ロボット。ピラフマシンらしい丸みを帯びたデザインで、装甲には劣化ウィロー合金が使用されている。
また、掌から光線を放つ事が出来、連射可能なエネルギー弾と高出力のエネルギー波の二つを切り替える事が出来る。
しかし、燃費が悪く、エネルギー波を撃ち続けるとすぐにガス欠になってしまうという欠点がある。
原作のピラフマシンと違い合体機構は無いが、戦闘向けにより高性能になっており、戦闘力に換算すると120相当。
〇ピラフ大王の願い
デンデに代替わりする前の地球のドラゴンボールで、新しく地球と同じ惑星と地球人を創る事は多分無理、片方だけでも難しいのではないかと思います。
原作では死体も残っていないような人々を生き返していましたが、死者の復活を「新しく肉体を作る」「あの世にいる魂を呼び戻して宿らせる」の二工程だと考えると、複製した人間の魂はどうするのか? という疑問がありまして。
ただ、惑星全体が破壊されて万から億単位の死人が出る事もあるドラゴンボール世界なので、一度に数十億人死者の魂が生まれ変わっても平気かもしれません。
なので、地球人を複製するだけなら意外とあっさり叶うかもと思いました。
……単純に「地球国の王様にしてくれ」と願った場合は、あっさりと叶う。しかし、その後ゲロがナメック星のドラゴンボールを使って元に戻さなくても、レッドリボン軍のクーデターを防ぐことが出来ず、最速で一年後には王位を奪われる事になる。
〇キャラクターの年齢
誕生日に関わらず、今年で何歳になるかを記載しています。
・18歳
ヤムチャ
ベジータ
ラディッツ
・17歳
タイツ
天津飯
・15歳
ターレス
ラズリ
ラピス
パンプット(公式設定が見つからなかったので、多分これくらいだろうと推測しました)
・14歳
クリリン
サタン(マーク)
ジャガー
・13歳
孫悟空
チチ
ブルマ
・12歳
チャオズ
・3歳
ユーリン
・1歳
スイ
モウ
酒井悠人様、佐藤東沙様、Mr.ランターン様、gsころりん様、ぱっせる様、都庵様、ゆーゆーX様、アマラ深界在住様、gsころりん様、みえる様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。