ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
その頃、儂はカメハウスで今後必要になるレッド総帥や悟空達に対する弁解……というより、謝罪の台本を書きつつ待機していた。
「ふむ……来ないな」
「なんじゃ? 言い訳のアイディアか?」
「いや、何も起きないなと思いまして」
原作ではこの頃、カメハウスをレッドリボン軍が襲撃していた。もちろん、原作の倍以上強くなったレッドリボン軍の兵士でも、亀仙人には敵わない。ランチがいなくても、全く問題にならない。
ではなぜ儂がここで待機しているのかというと、歴史改変者が何かしてくるかもしれないからだ。……ここには地球の宝の一つである不死鳥もいるから、念のためだ。
「ん? ああ、未来予知か。誰かここに来る予定じゃったのか? ピチピチギャルなら大歓迎じゃが」
「ムキムキの荒くれ者が来るはずでしたが、外れたようですな」
実際にはそれほどムキムキしていない兵士だったが。
言い訳をすると、レッドリボン軍の兵士がここに来ない理由はすぐ分かる。原作のレッドリボン軍は、この小島に居るのが亀仙人……武術の神と謳われた武天老師だとは知らなかった。だが、この歴史のレッドリボン軍は知っている。
手出しするだけ無謀だと、正しい判断を下したのだろう。
だが、先日のドミグラの件もある。歴史改変者が、何故歴史の改変を修正しようとするのか不明だ。しかし、他の歴史からブヨンを連れてくるような真似までしているのだから、今回も似たような事をするかもしれない。
そう警戒していたが、杞憂だったようだ。
「なんじゃ、残念じゃのう。何者かは知らんが、ヤムチャのように儂にも色仕掛け攻撃をしてくれんかのぅ」
そのヤムチャは海賊のアジトでマロンから執拗なスキンシップを受けているが、それを儂等は知る由もないのだった。
「むっ、悟空達の近くでキリの反応が! それにこの魔力は……!」
その時、儂のスカウターにキリと魔力の反応があった。どうやら、歴史改変者は悟空達の方にちょっかいをかけてきたようだ。
そして、この魔力の波長から推測するに、現れた歴史改変者はドミグラではなくトワの方だ。
儂はさっそく時の界王神様に通報を入れ、現地に瞬間移動しようとした。
「何? 魔力の波長が消えた?」
だが、その前に魔力の波長は消えてしまった。キリの反応は残っているので、強化された何者かはまだ健在なようだが、トワはその勝敗の結果が出る前に帰ってしまったようだ。
『ゲロ、通報を貰ってすぐ調べたけど、もう歴史改変者は逃げたあとみたい。キリで強化された海賊のロボットと、骸骨は残っているけど』
そして、時の界王神様からも連絡が来た。どうやら、何らかの方法で魔力を消しているのではなく、本当に帰ったらしい。
「ミラや、仮面のサイヤ人はその場に残っていますか?」
『ううん。誰も残っていないわ。完全に引き上げたみたい』
「……その場に居なくてもキリは回収できるものなのでしょうか?」
『分からないわよ。私は魔術師でも研究者でもないもの。でも、今までの歴史改変者の行動から推測すると、近くにいた方がキリを集めやすいはずよ』
「ふむ……先日、シルバー大佐達が仮面を被せられて操られた時のように、歴史改変者不在の歴史改変。もしや、トワ達は遠隔からキリを集める新技術でも開発したのか?」
『ええっ!? それが本当だったらメチャクチャ防ぎづらくなるじゃない!』
「しかし、シルバー大佐の時と違い、今回は短い間とはいえトワが来ている。ふーむ、情報が不足している気がしますな」
「あー、ゲロよ、さっきから話しているのは時の界王神様か? 儂が想像していたよりピチピチして可愛らしい声が聞こえるんじゃが?」
『ちょっと、ゲロ! 他の人に聞かれてるじゃないっ!』
「これは失礼」
儂は空を飛んで亀仙人から距離を取った。
「それで、キリで強化されたロボットと骸骨は悟空達の手に負えそうですかな?」
『まあ、ギリギリどうにかなりそうよ。というより……場所が閉鎖空間だから、トランクスやベジータに行ってもらうのが難しいのよね。アジトも老朽化してもろいみたいだし』
原作では、海賊のアジトは海賊ロボットが爆発した衝撃で崩壊が始まるくらい老朽化していた。トランクスやベジータでは、拳や蹴りを放った時の衝撃だけで崩れてしまうだろう。
「ふむ……ならこのまま様子を見るか」
幸い、危険なら瞬間移動ですぐに助けに行く事も、駆け付けた後で連れて逃げ出す事も出来る。仙豆も持たせてあるし、足りないようなら儂が持っている。
なので、儂はこのまま待機する事にした。
一方、その頃トワは現場を素早く後にして、隠れ家に戻っていた。
「無事か、トワ?」
「もちろんよ。タイムパトロールが来る前に手早く撤退出来たわ」
「そうか。……俺とこいつ等が奴等より強ければ、ドミグラに塩を送るような事をせずに済んだのだが」
「それを言うなら、ドミグラが怪しげな動きをしなければよかったのよ」
トワが歴史改変を起こしつつも、その場に残ってキリを回収せずに戻ったのは、彼女がドミグラの動きを警戒していた事と、仮面のサイヤ人(バーダック)の洗脳の強化が上手くいっていないからだった。
先日、シルバー大佐に仮面を被せて洗脳し、強化した事件。トワはそれをドミグラの仕業だと考えていた。証拠があるわけではないが、トワは暗黒魔王メチカブラ一味がこの歴史に干渉している事に気が付いていない。だから、自分達でなければドミグラ一味の仕業だとしか思いつかなかったのだ。
そして、マッスルタワーの一件では、ドミグラ本人が現れた。ドミグラがタイムパトロールと同盟を組もうとした事までは気が付かなかったが、奴が活動を活発化させているのは確実。
なら、トワもキリを早く集めなければならないが……トワは並んでいる二人の仮面の戦士を見て内心ため息を吐いた。
二人のうち一人、仮面のサイヤ人ことバーダックはタイムパトロールやドミグラ一味に対する戦力として、十分通じる程強い。しかし、一度洗脳を破られている。二度と解けないように洗脳を強化しているが、彼女が満足できる程進んではいなかった。
約一年前より数段強固になってはいる。しかし、仮面のサイヤ人の正体と洗脳の解き方を知ったタイムパトロールが、執拗に仮面を狙うはず。
仮面が前より数発多く攻撃に耐えられるようになったとしても、数十発攻撃を入れられたら砕けてしまう。
もちろん、キリで強化した仮面のサイヤ人はやすやすと顔面に攻撃を受ける程弱くないし、ミラも強くなっている。だが、油断はしたくない。
そしてもう一人、去年新しく仮面を被せた戦士……仮面の魔族はバーダックに比べると素体が弱すぎる。洗脳は十分しているが、タイムパトロールと戦わせたらあっさり負けてしまうだろう。
魔凶星の近く以外では、戦力にならない。
そうした事情を考慮した結果、ヤムチャが封印していた海賊ロボと近くにあった白骨死体を手早く強化して、すぐに戻るという行動に出たのだ。
近くでキリを集めるよりも、手に入るキリは格段に少なくなる。しかも、結果的にドミグラ一味にも自分達と同じくらいのキリを与える事になってしまう。
しかし、動かないよりはマシだとトワは判断したのだ。
機会を待ち、悟空達がもっと潜みやすい場所で戦うまで待つ余裕がトワにはなかったのである。
「後はこいつの仮面を強化しないと。ドミグラの動きが派手になっている以上、この歴史と本来の歴史との乖離が激しくなって、型通りの歴史改変ではキリが稼げなくなる日も近い。
本来の歴史で人造人間セルが現れるまでもたないだろうと思っていたけど、この分ではフリーザが倒される前に乖離するかもしれないわ」
「分かった。その前に、俺がタイムパトロールを倒す」
「な、なんだこいつら!?」
「お化けだ!? 海賊の祟りだ!」
壁の向こうから財宝と共に現れた骸骨達に、最も狼狽えたのはブルー隊の兵士達だった。彼らはレッドリボン軍の兵士の中でも選ばれた精鋭揃いで、以前からボンゴが課した厳しい訓練に耐えてきた猛者で構成されている。
その強さは戦闘力にして30から40。気の制御や感知の修行は受けていないので、気功波を撃ったり空を飛んだりは出来ないが、並みの魔族では相手にならない強さを誇る超人達だ。
だが、それでも骸骨が動いて襲い掛かってくるのは想定外だったようだ。
『カカカカ!』
しかも、骸骨は十体もいないが強かった。筋肉の無い骨だけの体で繰り出す拳や蹴りで、容易く兵士達を吹き飛ばし、逆に兵士達が放つパワードガンの弾丸やナイフの一撃が当たっても骨にヒビすら入らない。
「狼狽えるんじゃないわよ! あんた達、それでも私の部下なの!?」
そんな兵士達を叱責したのは、指揮官であるブルー将軍だ。彼は動き出した骸骨に臆することなく立ち向かっている。
「動ける者の半数は怪我人に肩を貸して潜水艦まで戻りなさい! 残りはパスタを手伝いなさいっ! 骸骨共やあのロボットの相手は、私達とガキ共に任せて、決して攻撃範囲に入るんじゃないわよ!
分かった!?」
「「「はいっ、ブルー将軍!」」」
それまで骸骨に恐れ戦いていたのが信じられない程、兵士達は統制の取れた動きで行動を開始した。
レッドリボン軍にはまだ二十代や三十代の若い上級士官が複数存在する。彼らが自分と同年代、もしくは年上の兵士を指揮統率していられる理由はそれぞれ異なる。
シルバー大佐は人望、バイオレット大佐はレッドリボン軍でも少ない戦闘機(最近、あまり重要視されなくなってしまった)のパイロットとしての技量。オレンジ将軍はグルメス王国軍に潜入して得た大きな功績。
そしてブルー将軍は、その恐怖と強さが醸し出すカリスマ性である。
「あのオカマ、思っていたより部下に慕われてるんだな」
「単に怖がられてるだけじゃないか?」
「ちょっとそこ! 美少年だからって調子に乗ってるとお仕置きするわよ!?」
「チッ、地獄耳め」
舌打ちするラピスだが、兵士達が離れた事で、悟空達は彼らを庇う必要がなくなり戦いやすくなった。
『カカカカ!』
「こいつら、中々手ごわい!」
しかし、骸骨達は簡単に倒せない程度にはトワによって強化されていた。
バンダナを巻いた海賊の船員だったらしい骸骨九体は、戦闘力にして300相当。何と原作ピッコロ大魔王よりも強い。
「クッ、何十年も手入れされていないサーベルが、何故折れない!」
ボンゴは金属棒で骸骨のサーベルを受け止めたまま力比べをしているが、その顔には汗が浮かび、徐々に押されていた。
彼の戦闘力は240。去年から比べて百近く戦闘力を上げており、特殊金属製の棒と着こんでいるボディアーマーも含めればかなりの強さだ。ここに相棒がいれば、骸骨にも負けなかっただろうが――。
「パスタ、まだか!?」
「まだだよ。その調子で時間稼ぎよろしく」
パスタは相棒と力を合わせて立ち向かうより、相棒達が時間を稼いでいる間にお宝を回収する事を優先していた。ホイポイカプセルのコンテナを出して、素早く財宝を入れていく。ブルー将軍に命じられた兵士もキビキビと動き、骸骨達が腰かけていた椅子まで運んでいく。
「おいっ、お宝を集め終わったら瞬間移動で逃げるんだよな!?」
そしてウーロンも彼らに交じってお宝を集めていた。
「ドラゴンボールを取って来て渡してくれたら、あたし達の潜水艦に乗せてやってもいいよ。何なら、また抱きしめてあげようか?」
「えっ? いや、絶対罠だろ!? 俺はもう騙されないぞ!」
かつて旅行者に変装したパスタの色仕掛けにかかって酷い目に遭った事があるウーロンは、すぐに誘惑を振り切った。
「いいのか? 後ろで財宝が持ち去られていくぞ」
「無駄だよ、ラピス。こいつらは海賊の亡霊じゃない。操られて動き出した骸骨だ」
ラピスとラズリは二人がかりで戦って、やっと優勢に勝負を進められていた。骸骨達は自分達の財宝に全く関心が無いようで、後ろでパスタが零れ落ちた宝石をポケットに忍ばせていても、構わず目の前の二人に襲い掛かる。
ラズリの言う通り、彼らは亡霊ではなく歴史改変者に操られて動き出した意志のない亡骸に過ぎないようだ。
『……!!』
それは海賊ロボも同じだ。侵入者を排除してアジトと財宝を守るはずだったロボットは、目の前の生ある存在を攻撃するだけの狂った人形と化していた。
「ヤムチャッ、また魔封波で封印出来ねぇのか!?」
「無理だっ! 今のこいつを封印しようとしたら、俺の体力がもたない!」
海賊ロボットの相手をしているのは、悟空とヤムチャの二人だった。海賊ロボットが振るう剣を悟空が如意棒で受け止め、ヤムチャがその隙に拳を連続でたたき込む。
「こいつっ、前より硬くなってるぞ! 俺の拳が効かないっ!」
しかし、海賊ロボットのボディには傷一つついていなかった、それどころか、殴ったヤムチャの拳の方がジンジンと痺れていた。
『……!!』
海賊ロボットはそんなヤムチャをあざ笑うかのように左手の銃口を彼に向け、弾丸を放った。
「うおおお!?」
なんと、海賊ロボの左腕から放たれたのは鉛玉ではなくエネルギー弾だった。咄嗟に両腕を体の前に構えて防御しようとしたヤムチャだったが、小型エネルギー弾の連射は防御の上から彼にダメージを与える。
これもいわゆるグミ撃ちだが、強化された海賊ロボットの強さは戦闘力1200。一発一発は大した威力の無いエネルギー弾だが、その連射を受けた戦闘力約900のヤムチャが受けた痛みは無視できるものではなかった。
「こいつっ!」
海賊ロボットの剣を如意棒で受け流した悟空が、マシンガンが装着された左腕を蹴り上げる。エネルギー弾はヤムチャではなく天井に逸れた。
「ぐあぁぁぁぁ!?」
しかし、次の瞬間電撃を帯びた尻尾が悟空の背を打った。
「ぐぐっ……だ、大丈夫か、ヤムチャっ!?」
しかし、悟空はすぐに立ち上がった。電撃は強力だったが、尻尾に込められた力そのものは軽かったからだ。
「……ああっ! 体が解れてきたところだぜ!」
ダメージを受けたヤムチャだが、去年サイヤ人ハーフとなった彼の中に流れる戦闘民族の血が滾らせる戦意は、その程度では揺らがない。
しかし、悟空が海賊ロボットの左腕を蹴り上げたため、エネルギー弾の連射がヤムチャではなくアジトの老朽化した天井を何十発も貫いてしまった。
「やべぇっ!?」
悟空が気づいた時にはもう遅かった。天井に大きなヒビが走り、崩落が始まる。
「かぁっ!」
「えい」
はずだったが、天井の崩落はブルー将軍とマロンがそれぞれ奇声と気の抜けた声を出すと同時に止まった。何と、二人の念動力で天井を抑えて崩落を止めたのだ。
「ブルーちゃん、天井が崩れるのはあたしだけで止められるけど?」
「ふんっ、あんた一人に任せていられるわけ……ん?」
ふと足元に何かがいる気配を感じたブルー将軍が視線を落とすと、そこにはドラゴンボールを抱えたネズミがいた。
「ネ、ネズミ~っ!? 不潔っ、不潔よおぉぉぉ!!」
その瞬間、潔癖症のブルー将軍の集中は解け、悲鳴をあげながらその場を飛びのく。隙だらけになった彼に骸骨の一体が銃を向ける。そこから打ち出されるのは、海賊ロボと同じく鉛玉ではない。
「潔癖症もほどほどにしてよね、もう!」
だが、ランファンがその骸骨を蹴り砕いた事で、ブルー将軍がエネルギー弾に倒れる事は防がれた。
「いただきっ!」
その間に、クリリンが素早くネズミごとドラゴンボールを回収するのに成功した。彼は仙豆を持って怪我人が出た時のために供えていたのだ。
「じゃあ、あたしはこのまま天井が落ちるのを止めてるから、皆よろしくね~」
そしてマロンはそのまま念動力で天井を支え続ける。彼女が本気で戦えば、一瞬で戦闘が終わるのだが……。もっとも、それを知っていても悟空達は自分で戦う事を選ぶだろうが。
そして、一行の中では高い戦闘力を持つターレスとタイツも強敵と戦っていた。
「歴史改変者は、何考えてんの!? 強化具合がバラバラじゃない!」
「俺達に合わせてくれてるのかもな!」
『カカカカ!』
二人と戦っている骸骨は、髑髏マークが描かれた帽子を被り、黒いコートを着た個体だった。おそらく、生前はここを根城にして海を荒らしまわった海賊団のキャプテンだったのだろう。
だからか、それともターレスが言ったように二人の相手をさせる為か、トワはこの骸骨キャプテンを他の骸骨よりも圧倒的に強化していた。
骸骨船員が戦闘力300相当なのに対して、この骸骨キャプテンは戦闘力1万相当。レッドリボン軍の兵士達はもちろん、攻撃の余波だけで悟空やヤムチャだって消し飛びかねない。
そのため、骸骨キャプテンと互角のターレスと、戦闘力約7千のタイツは暴れる骸骨キャプテンの攻撃の余波まで防がなければならず、思うように戦う事が出来ず苦戦していた。
「お化けって、いざ出てくるとそんなに怖くないもんね!」
「殴って倒せるなら、平気だべ!」
一方、苦戦していないのがブルマとチチだ。ブルマの戦闘力は670、チチは約700と、骸骨船員の倍以上の実力で危なげなく叩き壊していく。
「それとあんた、本当はもっと強ぇんじゃねぇのけ?」
「ま、まぐれよ、まぐれ。オホホホッ!」
そして先ほどブルー将軍を助けるために骸骨船員を一撃で破壊したランファンは、チチに追及されて冷や汗を流していた。
「そ、それよりブルー将軍! ネズミはもういないから立ち直ってくれない!?」
「はっ!? ……くっ、不覚を取ったわね。あんた達のせいよ、掃除ぐらいやっておきなさいよ!」
正気を取り戻したブルー将軍は、そう喚きながらボンゴと戦っている骸骨船員に殴りかかる。
「いや、死人に無茶を言うなよ」
『カッ!?』
注意を払っていなかった側面から攻撃された骸骨船員が短い声を上げてよろける。もし彼に自我があれば、ボンゴと同じ事を言ったかもしれない。
しかし、ブルー将軍が戦線に復帰した事で骸骨船員との戦いの流れは決まった。九体いた骸骨船員はチチとブルマによってみるみる倒され、彼女達が来るまでの間は骸骨船員よりやや強いブルー将軍やランファン、やや劣るものの二人一組で戦う事で互角の勝負をしているラズリとラピスが足止めをする。
問題は海賊ロボ、そして骸骨キャプテンだったが――。
「よしっ、戦いやすい場所を作りましょう。ターレス、後はよろしく!」
「仕方ねぇな!」
ターレスはタイツが何をするつもりなのか察すると、骸骨キャプテンに向かって強引に間合いを詰める。
『カカカ!』
もちろん骸骨キャプテンはターレスの接近を止めようと、サーベルで何度も切りかかる。しかし、ターレスはそれを両手に展開したフォトンシールドで何とか受け止めながら間合いを詰める。
「フォトンシールドっ」
そして、タイツはスピリットブーストを発動した状態で、巨大な球状にフォトンシールドを展開した。
『カッ!?』
その内部に、骸骨キャプテンとターレスを収めた状態で。
「へへっ、さっきまでの攻撃は中々効いたぜ」
シールドの内部であるため攻撃の余波に悟空達が巻き込まれる事を心配する必要が無くなったターレスは、戦闘民族サイヤ人らしい狂暴な笑みを浮かべた。
「プラズマブースト! お返しをくらいな!」
そして、身体能力を倍増して拳や蹴り、尻尾の一閃を繰り出す。逃げ場のない超接近戦を仕掛けられた骸骨キャプテンは、サーベルをターレスに突き立てようとするが、その前に全身の骨が砕かれてしまった。
「フンッ、恨むなら歴史改変者を恨むんだな」
最大の強敵が倒された直後、海賊ロボと戦う悟空とヤムチャも勝負に出ていた。
「プーアル、俺の刀を出せ!」
「はい、ヤムチャ様!」
プーアルがホイポイカプセルから戻した愛刀を受け取ったヤムチャは、果敢に海賊ロボに切りかかる。
海賊ロボは電撃を帯びた尻尾を鞭のように振るい、ヤムチャを薙ぎ払おうとするが――。
「はっっ!」
なんと、ヤムチャが振るった刀によって逆に海賊ロボの尾が切断されてしまった。彼の刀はウィロー合金がコーティングされており、キリで強化された海賊ロボットの装甲もヤムチャの腕があれば切断する事が可能だったのだ。
「はいはいはいはいはいぃー!」
そして目にも止まらぬ素早さで刀を何度も振るう。その度に海賊ロボの装甲に亀裂が入るが、内部の機械を破壊するには至らない。
「だりゃーっ!」
しかし、悟空がその亀裂の一つに向かって如意棒を突き立てた。
『っ!?』
「伸びろ、如意棒ーっ!」
海賊ロボの内部に突き入れられた如意棒は、そのまま機械を押しつぶしながら伸びて海賊ロボを壁に縫い付ける事に成功した。
『っ!!』
しかし、海賊ロボは火花を散らしながらも悟空に銃口を向けようとする。
「させるかっ!」
だが、その左腕をヤムチャが刀で切り飛ばした。
「ジャン、拳っ!」
そして、如意棒を放した悟空が海賊ロボットの懐に入り込み、拳を叩き込む。
「グー!」
白い頭蓋骨を模した頭部の装甲に悟空の拳がめり込み、内部の機械ごと砕け散って機能を停止したのだった。
「よし、俺達の勝利だ!」
「じゃあ、もう天井支えてなくていい? マロン飽きてきちゃった~」
「もうちょっと待ってなさい! 海賊の財宝の中から好きなのを一つ選んでいいから!」
「ドラゴンボール以外よ!」
「本当っ!? じゃあ、マロン頑張っちゃう!」
そしてマロンが天井を支えている間に、パスタとウーロンによって素早く財宝は回収され、一行は脱出したのだった。
指令室でブルー将軍から、ドラゴンボールの入手に失敗したという報告を受けたレッド総帥は、彼を労った後、追って命令がある間で待機するようにと伝えて通信を切った。
そして、瞼を閉じると眉間に手を当てた。
「レッド総帥。ドラゴンボールの内五つを取られましたが、二つは我々が手にしています。望ましい結果ではありませんが、作戦を実行するのは可能です」
「いや、ブラック。儂はブルー隊がドラゴンボールを手に出来なかったから悩んでいるのではない」
ブルー将軍の口頭での報告は、まるで冒険小説の粗筋のようだった。海底での探索から、未発見の海賊のアジトへの侵入、そして悪の宇宙人によって動き出した骸骨との戦い。
一度聞いただけでは全てを把握するのは難しかったが、レッド総帥が注目したのは報告の後半……悪の宇宙人についてだ。
「ブラック、オレンジ、どうやら儂は世界征服の野望を叶えようとするばかりに、悪の宇宙人がどれほどの脅威か過小評価していたようだ」
「レッド総帥、どういうことです?」
「作戦は中止だ。我がレッドリボン軍は今より、地球防衛のため、悪の宇宙人の脅威に備え、打倒する事を目的に行動する!」
レッド総裁は、世界の革命や変革……理想があるから世界のトップに立とうとしていたわけではない。彼がレッドリボン軍を結成した時に掲げていたのは理想ではなく、野望の旗だ。
しかし、数々の(主に経済的な)苦難を乗り越え、身長という長年のコンプレックスも解消された今、レッド総帥の視野は大きく開かれた。
以前はせいぜい世界中の富を手に入れ美女を侍らせてやろうとしか考えていなかった世界征服後の自分の未来について、より思慮深く考えるようになった。
地球を手に入れ統治するという重圧を想像し、彼なりに将来行う政策についても考えた。だからこそ分かる。世界を手に入れたとしても、悪の宇宙人から地球を守れないのでは意味は無いと。
もちろん、現政権にも悪の宇宙人に対抗する力は無いだろう。だが、鶴亀仙流の武道家達とGCコーポレーションの人造人間達なら対抗できる。
そこにレッドリボン軍のサイボーグシリーズの力が加われば、悪の宇宙人に勝つ事も夢ではないはずだ。
「今は、鶴亀仙流とGCコーポレーションと協力体制を築く事が最優先だ。そして、ドラゴンボールは悪の宇宙人へ備えるのに必要になるだろう」
どんな願いも叶うという伝説が本当なら、もし力及ばず悪の宇宙人やその手の者を倒す事が出来ず地球に大きな被害が出てしまったとしても、ドラゴンボールを使ってやり直す事が出来るはずだ。
「よろしいのですか? スポンサーやフラッペをどう納得させるのです?」
「それに、鶴亀仙流やGCコーポレーションとの協力体制なら、クーデターを成功させた後でいくらでも……」
「ブラック、ギョーサン・マネーとフラッペは儂が納得させる。オレンジ、儂等がクーデターを起こした後で本当に協力体制を築けると思うか?」
「……どうやら、意志は固いようですね」
「ああ、お前達に……全ての将兵達に苦労を掛けておきながら、すまないとは思っている。だが、責任は儂がとる」
ブラック補佐はレッド総帥の瞳を見つめ、ため息を吐き、オレンジ将軍に目配せをした。
「分かりました、レッド総帥。私も覚悟を決めました」
「おおっ、分かってくれた――ブラック、それは何のつもりだ?」
ブラック補佐が懐から取り出したものを自分に向けるのを見て、レッド総帥は目を瞬かせた。
「私の覚悟です」
ブラック補佐は……ブラックはそう短く答え、引き金を引いた。ビクンと小さく震え、レッド総帥は朽木のように倒れる。
「レッド『元』総帥。今から、私がレッドリボン軍の指揮を執ります。オレンジ、フラッペの説得も頼むぞ」
「へいへい。そんじゃあ失礼しますぜ」
倒れているレッド総帥を担ぎ上げたオレンジ将軍が指令室を後にすると、ブラックは突然の凶行に驚き、呆然としているオペレーター達に命令を下した。
「テレビ局に回線を繋げ! 準備出来次第、私がレッドリボン軍の総帥となった事を宣言する!」
〇戦闘力推移
・ブルー隊兵士:30~40 地球人の軍人としてはトップクラスの戦闘力。パワードガンの直撃を受けても、一発だけで、なおかつ当たりどころが悪くなければ重傷で済む。GCGの新人隊員となら互角の勝負が出来る。ただ、気功波は撃てないし、空を飛ぶ事も出来ない。
なお、新入りのオペレーター(ブルー将軍の見ている前で鼻をほじって独房域にされた人)は除く。
・ブルー将軍:180→315 レッドリボン軍最強の男。『魔神城の眠り姫』事件での激戦や、鶴亀仙流の修行を模倣したトレーニングによって、原作桃白白を返り討ちに出来るだけでなく、原作ピッコロ大魔王にも勝てる強さを獲得した。
・ボンゴ:150→240 レッドリボン軍に転職して大尉になった。原作ピッコロ大魔王よりやや強い程度。
・パスタ:120→190 相棒と同じく大尉。レッドリボン軍では珍しい女性士官。
・ランファン:315? 本当の戦闘力は 18万2600。クウラ機甲兵団のサウザーをやや超えるぐらい。
・マロン:3000ぐらい 本来は戦闘力23万9500相当。フリーザの細胞を多めに移植している影響か、念動力が使用可能。
・海賊ロボット:1200 キリによる強化によってサイバイマンと互角の強さに強化された。その影響か、左腕のマシンガンから発射されるのは弾丸ではなくエネルギー弾になっている。
〇キリは死体を強化できるのか?
多分可能だと私は思いました。
私はキリによる強化を、神精樹の実などのように対象を内側から強化するのではなく、対象の外部にエネルギーを纏わせて一時的に強化している状態と解釈しています。だから、キリによる強化が解けると対象は元の状態に戻るだけで副作用で死んだり、大きなダメージを負わないのだと。
なので、ただの死体や骨でも、命も自我も無いロボットでも強化できると考えました。……多分、生きている戦士を強化するより効率は悪そうですが。
これはこの作品独自の設定となります。
〇オリキャラ
・骸骨キャプテン:1万 キリで強化され動き出した、生前海賊のキャプテンだったかもしれない骸骨。
・骸骨船員:300 キリで強化されて動き出した生前海賊だった骸骨。
どちらもトワがキリで強化して暴れさせた骸骨で、多分地獄にいるだろう本人達は無関係。
なお、どれくらい強化するかは時間が無かったので雑に決めた結果です。
・クラスター・ジャドウ様、Mr.ランターン様、佐藤東沙様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。