ドクターゲロに転生したので妻を最強の人造人間にする 作:デンスケ(土気色堂)
精神と時の部屋での修行は、この天才科学者ドクター・ゲロにとっても、素晴らしく有意義なものだった。
戦闘力の上昇はもちろんだが、それ以外にも部屋の中では一年だが外では一日しか過ぎていないという仕組みが素晴らしい。
健康的な生活を送り、適度な運動のお陰で頭の調子が常によかった。おかげで修行中、研究のアイディアを溜める事が出来た。部屋の中にいる間は老化せず寿命が減らないというのも精神的に楽だ。ドラゴンボールにそう願った以前の自分を褒めてやりたい。
惜しむらくは部屋に研究機材が無い事だが、それは仕方がない。そんなものがあったら、修行に身が入らなくなってしまうからな。
そうして修行を終えた儂の戦闘力はもう少しで十万台に届くほど高くなっていた。儂以外の他のメンバーの戦闘力も驚くほど高くなっている。ベジータ達が原作通りの戦闘力のままなら、大猿化さえ許さなければターレス達ですぐに倒せてしまうだろう。
そしてサタンやジャガー、クリリン達も殆どが戦闘力千を超えてがっちりボディーアーマーを着てヘルメットを装備すれば、サイバイマン一匹までなら戦える程度の強さに到達した。……二匹以上を相手にする場合は、同時に自爆される事も想定されるため、爆発力に耐えられるか不安が残るので、ベジータ達との戦いに連れていくかは迷うところだが。
やはり、レッドリボン軍のメンバーを含めた幾人かはピッコロ大魔王が動いた時に備えて、と言う名目でキングキャッスルや都、レッドリボン旅団で待機してもらうべきだろうか?
「まあ、まだフリーザの最終形態の足元にも及ばん。ネイルが二十倍界王拳を使用した状態を想定しても、勝ち目は薄い。元気玉を使えば何とかなるかもしれんが」
「ドクター、ですが最終形態前なら圧倒できますし、第二形態までなら界王拳を使わなくても勝てます」
ネイルの戦闘力は素の状態で100万を超えた。4号の言う通り、ピッコロと合体しなくても第二形態までのフリーザなら倒せるだろう。
「それに、ランファンとランチ、そしてマロンは第一形態を超えました。サンもそのうち追いつくでしょう」
そして人造人間であるランファン達の戦闘力も53万を超え、第二形態の約100万に近づきつつある。サンは子育てに時間を取られた影響でやや出遅れているが、それもいずれ追い付くだろう。
4号もクウラ機甲戦隊並みに強くなったが、戦闘力では義理の妹達から一気に引き離されているのが現状だ。もっとも、4号には治癒能力があるのでサポーターとして優秀であるし、戦闘力の高さだけで評価するつもりはない。
「しかし、念のためにベジータ王にも協力を頼みますか?」
「それはベジータ王子達への対処が失敗し、フリーザが地球なりナメック星なりに向かうと分かった時で良いだろう。精神と時の部屋を使えば、修行には二日しかかからんからな」
ベジータ王としては、自分を生き返らせるより息子のベジータを鍛えて欲しいだろうし、地獄一武道会優勝者で発足したばかりの自警団の実質的リーダーは地獄に必要な人材じゃろうし。
ちなみに、地獄に居るベジータ王達にもベジータ達が地球に近づいている事を墓に手紙を供えて知らせてある。返事を受け取る方法がないし、占い婆に逐一頼むのも気が引けるからそれについて彼らがどう思っているかはまだ不明だ。
また、念のためだが時の界王神様達にもベジータ達が十年以上早く襲来する事を伝えてある。「また何かやったの!?」と言われたが、まあ、多分何かやったんじゃろうな、儂。身に覚えはないが、いわゆるバタフライエフェクトである事を否定できん。
「それはともかく、精神と時の部屋で思いついたアイディアを纏めておかんとな」
人造人間研究を続けるには、フリーザやクウラとの戦いに勝ち残る事も必要だが、会社の経営を支えるための研究開発も重要だ。
新しい宇宙船、スカウターの改良、より高度な再生医療。他にもナノマシンの研究開発にも手を付けたい。多少でも進めておけば、メタルクウラが現れた時に役に立つ。
後はテラフォーミングに関する技術だな。これも以前ドクター・ウィローのアジトから盗んだ彼等の研究資料が役に立つ。当時は一通り眺めて参考にする程度だったが、本格的に利用するべきだろう。
大気や土壌に含まれる毒は、あらゆる毒を解毒する超聖水を科学的に再現する事に成功すればどうにかなるはずだ。
さらに対象の星の環境に合わせて遺伝子を改良したアジッサを植え、大気や環境を安定させれば、居住できる環境を維持できるはずだ。
また、永久エネルギー炉の性能をさらに上げ、同時に小型化も維持するアイディアがある。実現すれば、16号を原作通りの強さで開発する事が出来るだろう。
「それと、眠り姫シールドシステムと月光発生装置、人工眠り姫か。ようやく眠り姫の活用の目途が立ったわい。……精神と時の部屋を使わなかったら、後二年以上かかる所だったな」
「まだアイディア段階だから、目途をつけるのはこれからだけどね」
「ですが、ただのアイディアと言うには練り込まれています。これならすぐ実験できますよ」
ブリーフは釘を刺したが、コリー博士はそう言ってくれる。
眠り姫シールドシステムは、太陽破壊砲のように光線状ではなく盾状に眠り姫のエネルギーを打ち出す兵器だ。点ではなく面の形になるので威力は落ちるが、広範囲を狙いやすい。
巨大な宇宙船や惑星サイズの兵器等が来た時はこれを使う事になるだろう。
月光発生装置は、はっきり言うと『ドラゴンボールGT』で登場したブルーツ波発生装置と仕組みはほぼ同じだ。ただ、月の光をエネルギー源にする眠り姫を再チャージするために人工的に作り出した月光を持続的に照射する装置になる。
そして人工眠り姫は、その名の通り眠り姫を人工的に作り出す試みだ。これで眠り姫の活用のネックである、眠り姫が一つだけで、再チャージには数千年分の月光を浴びせる必要がある、と言う問題を解決できる。
最低限、実験に使える程度にエネルギーを蓄積できればいいのだが。
「それはそうだけど、ノートに最も多く書き込まれているのがスパイロボットの改良案なのが君らしいね、ゲロ。これで例の歴史改変者の細胞を採取するつもりなのかい?」
「うむ、難しいが成功すれば得る物は大きい。チャレンジしがいのある目標だ」
歴史改変者や彼らが他の歴史から連れて来る存在、そしてタイムパトロールの細胞を手に入れるのは難しい。
彼らが普段いるのは儂が手出しできない場所で、現れるのは殆ど戦っている間だけだ。
億どころか兆単位の戦闘力の持ち主が気を発しながら高速移動するため、今までのスパイロボットでは細胞を採取する事は出来なかった。飛び散る汗や唾液は発せられる気の余波で蒸発してしまうし、小さな羽虫より小型なスパイロボットは彼らが近くを通るだけで破壊されてしまう。
難易度で言えば、まだフリーザの細胞を手に入れる方が簡単だ。彼はこの歴史の住人だから、戦闘時以外でもこの歴史に存在し、喋り、食事をし、睡眠をとる。実際、儂は彼の唾液から細胞を採取する事に成功した。
タイムパトローラーのメンバーは今のところ別の歴史の未来の悟空やベジータ、トランクスなので必要性は薄い。やはり、欲しいのは歴史改変者……魔神の細胞だ。
界王神に匹敵する、何千万年もの時間を生きる寿命。そして強靭な強さと生命力、魔力に特殊能力、そして魔神化と言うパワーアップ。
実に魅力的だ。魔人ブウの細胞と同じく、最強の人造人間を作り上げるためにはぜひ欲しい。……時の界王神様には怒られそうだが。
ちなみに、破壊神や天使の細胞は触れてはならん一線の向こう側だと儂は定義している。
怒りを買って破壊されるから、と言う理由以外にも……破壊神は界王神と命が繋がっており、その宇宙の界王神が全員死んでしまうと破壊神も死んでしまうという弱点を抱えている。また、天使は仕える破壊神が死ぬと、次に仕える破壊神が決まるまで眠りについてしまう。
その上天使は、修行をつける目的以外で戦うと消滅してしまうというルールにも縛られている。
彼らの細胞を採取した人造人間も弱点を受け継ぐかは分からないが、試してみようとは思わない。
そう考えると、『ドラゴンボール超』でザマスが破壊神や天使ではなく、人間である孫悟空の肉体を欲した理由がよく分かる。
人間ゼロ計画を遂行しようとしていたザマスにとって、界王神や破壊神は抹殺しなければならない存在。それなのに破壊神の肉体を奪ったら、対になる界王神を殺せなくなってしまう。
そして天使の場合は、計画遂行のために人間を殺戮し始めた途端消滅してしまう。
その点、孫悟空は人間である事に目を瞑れば都合のいい肉体だったのだろう。……だったら、破壊神に腕相撲でだが勝った事があるジレンや、次期破壊神候補のトッポの肉体を選ばなかったのは何故かとも新しい疑問が浮かんだが、すぐ解決した。おそらく、ザマスはジレンやトッポの存在を知らなかったのだ。孫悟空の事も人間ゼロ計画を思いつくしばらく前まで知らなかったのだから、その可能性は高い。
まあ、それはともかく……。
「皆が使っていない間に僕も精神と時の部屋を使わせてもらおうかな。居住空間から外に出たら倒れそうだけど」
「私も若い頃から体を鍛えておくべきだったかな」
ブリーフとコリー博士は真剣に精神と時の部屋を使う事を検討している様子だった。いや、ただ研究活動をするだけなら、部屋の外でもあまり変わらんぞ。研究室がある分、外の方が環境は整っておるし。
「貴様、実はもう人造人間になっているのではないだろうな?」
「ピラフ大王、自分でも時々信じられなくなるが、まだ生身じゃ」
儂も地球人、それも科学者がここまで強くなれるとは思わなかった。
「人造人間と言えば、セリパちゃんとトーマ君がそろそろ完成するんだろう? 順調? 僕が用意した戦闘服や、パンチーが用意した私服は気に入ってくれそうかな?」
「ああ、それじゃがもうしばらくすれば、儂の本体達と一緒にここに来るじゃろうから直接聞けばいいじゃろう」
ここは儂の秘密研究所の地上部分。地下では、人造人間11号のセリパと12号のトーマがしばらく前に起きたところじゃからな。
それが済めば、ナメック星に行って……そうそう、地獄一武道会に参加したアックマンがベジータ王から預かった伝言にあった名前のメモを確認しておこう。
時間はやや巻き戻り、地獄ではセリパとトーマの送別会が開かれていた。
「主役はあたし達のはずなのに、遠慮なく飲み食いしてるね」
「へへ、硬い事を言うなよ。お前達はもうすぐ毎日腹いっぱい食えるんだからよ」
しかし、ゲロ達に供えられたご馳走を主に飲み食いしているのは二人を見送るサイヤ人や自警団の参加メンバーだった。
「まあ、送別会ったって数か月後には会えるんだけどな」
「占い婆の宮殿でな。しかし、俺達の代わりのメンバーはどうするんだ?」
ふと、トーマが今まで地獄一武道会の事ばかり考えていて忘れていた、自分達が人造人間になって復活した後のあの世チームのメンバー構成についてふと尋ねる。
「まあ、別に俺とセリパがチームに加わっちゃいけないって訳でもないだろうから、そうするか?」
「それならベジータ王が、俺達は心配しないでいいって言ってたぜ」
パンブーキンがそう言うと、トテッポも頷いて肯定する。
「ふうん、誰か良さそうなのを見つけたのかね」
地獄一武道会で優勝した事で、ベジータ王の名声は地獄の悪人達の間で響き渡っている。特に生前コルド軍やフリーザ軍に所属していた悪人が急激に大人しくなり、また一部は彼が実質的にリーダーを務める自警団に入るために列をなしている。
どうやら、決勝戦でコルドやフリーザの祖先だろうチルドをベジータ王が下した事で、生前サイヤ人に対して恨まれる覚えのある者は復讐される事を恐れ、自警団に目をつけられないように行儀良くしているらしい。
それとは逆に、コルドやフリーザに粛清されて死んだ者達は自警団に入れば今後も増えるだろうフリーザ軍や彼らに殺された悪人から守ってくれるのではないかと考えて集まっているようだ。
他にもスラッグ一味の幹部や宇宙海賊等、ベジータ王を認め一目置いている者は多い。彼らとベジータ王に従うエリートサイヤ人達から、新しいチームメンバーを選ぶのだろうとトーマは思った。
「連中の中にあたしやトーマの代わりが務まる奴がいるとは思えないけどね」
「まあ、いいじゃねぇか。数か月後には分かるんだしよ。それより、地球に来るベジータ王子だ。どうする、セリパ? 誑し込めばお前がサイヤ人のお妃様だぜ」
「よしなよ。なんであたしがバーダックの倅と同い年の坊やを口説くのさ。それにあたしがベジータ王をお義父様なんて呼んでいる姿を想像してごらん、似合わないったらないさ」
「それもそうか。まあ、王子さまにも選ぶ権利はあるもんな」
「なんだい、パンブーキン。あたしが生き返る前に焼き豚にして欲しいのかい?」
「おおっと、悪かった、勘弁しろって」
「そうか、その気はないか」
セリパに睨まれておどけて謝るパンブーキンの背後に、ベジータ王が立っていた。
「ああ、その気はないから安心しなよ」
「フッ、別に心配はしていない。むしろ、子孫繁栄には励んでもらわねば困るからな。我がサイヤ人の再興のためにな」
王としての誇りに目覚めたベジータ王だが、その野望は変わっていない。地獄での覇権と、この世でのサイヤ人の再興。そのためには、生き返る者達に色々と励んでもらわなければならない。
「へいへい、生き返った後暇な時に良い男がいたら考えてやるよ」
「おい、セリパ。俺は?」
「トーマ、地球にあんたより良い男がいなかったら相手して――あ、そろそろか」
セリパが見ている前でトーマの姿が薄くなり、はっとして自分の体を見ると彼と同じように徐々に薄らいでいた。人造人間として復活する時が来たのだ。
「いよいよか。じゃあな、トーマ、セリパ! ベジータ王子とバーダックの倅を鍛えてやれよ!」
「やり過ぎないようにな」
「ああ、じゃあまたな!」
「その内ドドリアやフリーザを送ってやるから、ちゃんとぶん殴ってやるんだよ」
そして二人は送別会の参加者に見送られて地獄からこの世へ戻っていった。その時、ベジータ王が人の悪い笑みを浮かべていたのに気が付いたが、その直後に意識が途切れた。
そして気が付くと、再生ポッドと同じようなカプセルの中だった。アラームと合成音声のアナウンスが流れ、液体の排出が始まる。
「……生き返ったのか?」
トーマは口元を覆っていたマスクを外してシャワーを浴びて肌に残っていた液体を洗い流し、カプセルから出た。
こうしていると、まるでフリーザ軍の基地で再生ポッドによる治療を受けていたかのようだ。地獄での出来事は全て夢だったと言われても、完全には否定できなかったかもしれない。
「おはよう。どうかね、人造人間12号になった気分は」
外で待っていたのがフリーザ軍の技術者ではなく、見覚えのある顔の天才科学者でなければ。
「ああ、生き返ったって感じだぜ、ゲロ宰相閣下」
「うむ、それは良かった。こちらの検査でも異常なしと出ている。では、そこに着替えを用意したので、身だしなみを整えたら今後の説明をしよう」
「分かった。おっ、俺が着ていたのと同じタイプの戦闘服か!」
「うむ。供え物として地獄へ送った物と同じだ。最新のデザインの方もあるが、交換するかね?」
「いや、着慣れたこっちの方がいいぜ」
肩全体を覆うカバーの無い、ベルト状になっている旧型の戦闘服をトーマは好んでいた。そして、自然な手つきでスカウターを装着した。
気の感知や操作を習得していても、通信機や情報媒体として便利な装備だからだ。
「ん? 爺さん、あんたと同じ気が近くにあるが?」
「ああ、それは儂の分身じゃ。上でブリーフ達にアイディアを見てもらっている」
「じゃあ、近くの気はランチか。セリパは……ああ、気が無いんだったか」
永久エネルギー炉を動力源にしているトーマとセリパには、気が無い。全身に活力が漲っている感覚があるのに気を全く発していないのは、なんとも変な感覚だった。
「連絡をつけたければスカウターを使うと良い。まあ、セリパはランチ達とすぐ隣の部屋にいるのだが」
「ランチ達? 気は一つしかないが、他の人造人間かロボットでもいるのか?」
首を傾げるトーマにゲロが答えるより早く、部屋の扉が開いた。
「トーマ、着替えが終わったんならさっさとしな。化粧でもしてるのかい?」
「よう、さっきぶりだな、セリパ。そう言うお前も肌艶が良くなったんじゃないか。
ランチはだいたい半年ぶり……って、お前ら何で二人いるんだ?」
既に戦闘服に着替えたセリパよりも、彼女の背後にいる金髪と青髪のランチを目にして目を丸くした。
「ああ、あたしも驚いたけど、四身の拳の応用だってさ」
「お久しぶりです」
「よっ、トーマ」
「そんな使い方も出来るのか……俺も習ってみるかな。そう言えば、俺達もテレパシーや念動力を使えるようになるのか?」
「多少の訓練を行えば習得可能なはずじゃ。君達にもヤードラット星人やナメック星人、フリーザ一族の細胞を移植してあるからな。しかし、ベースはあくまでもサイヤ人。地球人程異星人の細胞を移植できないので、ランチのように自然に使えるようにはならんはずだ」
ゲロによると、地球人程異星人の細胞に適合しないサイヤ人であるトーマとセリパは、ランチやマロンより異星人の細胞を組み込む難易度が高いらしい。地球人の細胞を繋ぎにして、異星人の細胞を混ぜる方式をとっているが、外見が変化したり、自然と超能力を習得できる程ではないそうだ。
「ギネが超能力を覚えていないのも、それが理由かい?」
「うむ。ギネの場合はそれに加えて、超能力よりも武道の修行を優先しているという事情もある」
「じゃあ、サンはどうなんだ? あいつは元々地球人だろ?」
「サンの方も武道の修行を優先しているからじゃな。あとは、外見が変化しないよう移植する細胞の量を抑えたのが影響しているかもしれんが」
「なるほど。それで外見が変化するほど細胞を移植したランチは、すぐナメック星人の超能力が使えるようになったのか」
「ああ、なかなか便利だぜ」
「帽子を被る時ちょっと邪魔ですけどね」
それぞれ自慢げにほほ笑むランチ達。彼女達は額に生えた二本の角の代わりに、テレパシーや巨大化、更に腕の伸縮まで出来るようになっている。
「とはいえ、君達も脳の中心と心臓付近にある核の何方かが無事なら死なない再生能力、宇宙空間でも活動可能なフリーザ一族の生態を引き継いでいる。
それらが正常に機能しているかチェックする前にやる事が二つある。一つは、戦闘力の計測だ」
「気が無くなったから戦闘力も計測できないんじゃないのか?」
「永久エネルギー炉の出力を計測する事で、戦闘力に相当する数値を出す事が可能だ。計測には専用機器を接触させないとならんが。
おお、想定以上の数値じゃ。セリパは136万、トーマはなんと242万じゃ!」
「ひゃ、百万以上!? どういうことだい!? 地獄に居た時の十倍以上になってるじゃないか!」
「2百万!? 一気にベジータ王を越えちまったな」
「さすが姉御とトーマ!」
「これでお二人がスーパーサイヤ人に成ったら、フリーザって人もコテンパンに出来ちゃいますね」
そう沸き立つ四人。ゲロにとってもこの計測結果は予想外だった。
「いや、二人の戦闘力は地獄に居た時点で十万以上に到達していた。それが儂の改造、そして肉体が文字通り死の淵から蘇った事で、サイヤ人の特性が発揮され想定以上のパワーアップを遂げたのか」
そう納得するゲロ。思い起こせば、確かに二人ほど強い戦士を人造人間に改造した事はなかった。ランチでさえ地獄に居た時は戦闘力千にも届かなかったのだ。
戦闘力が十倍になっても、おかしい事は無いだろう。
「これは良い意味で予想外じゃな。もし来年にフリーザが襲来してきたとしても、高い勝率で戦いに臨めるかもしれん。
では、話を戻すが、もう一つやっておくことがある、それは……ちょっとナメック星まで来てもらおう。丁度準備も終わっている頃じゃ」
「ああ、噂の潜在能力解放か?」
「そう言えば超神水は飲んだけど、そっちは受けてなかったね」
「まあ、それもある」
そう言ってニヤッと笑うゲロの瞬間移動で、トーマ達はナメック星へ移動した。その時、ゲロが浮かべていた笑みが地獄で見たベジータ王の笑みと似ていると気が付いた。
「おお、ゲロか。ドラゴンボールの準備は出来ているぞ」
「ありがたい。ではさっそくお願いしますぞ」
トーマとセリパがこれから何をするのか尋ねる間もなく、ナメック星人達によってナメック星の神龍が召喚される。
『さあ、願いを言え。どんな願いも三つだけ叶えてやろう』
「今から名を読み上げる者達の魂をここに呼び寄せて欲しい。パンブーキン、トテッポ、タロ、リーク、モロコ、シトウ、ニオン、メーネ、コレン、以上だ」
「おいっ、もしかしてあいつらを生き返らせるつもりなのか!? それとメーネとコレンって誰だ!?」
「うむ。ベジータ王から勧められてな。ただ、他の者に知られるとトラブルになるからと今まで秘密にしていたのだ。
メーネとコレンは、ベジータ王によるとタロとリークと付き合っている女性らしい」
「あいつら……いつの間に?」
「そんな事より、ナメック星のドラゴンボールは一つの願いで生き返らせられるのは一人だけじゃなかったのか?」
「そうだったのだが、しばらく前に最長老様が改良してくれてな。一つの願いで複数人を生き返らせる事が可能になったのだ」
『容易い願いだ』
話している間にも神龍の目が光り、パンブーキン達の魂があの世からナメック星に召喚される。しかし、当然目には映らない。
『さあ、次の願いを言え』
「呼び寄せた魂の肉体を完全な状態で復元し、生き返らせてくれ」
『容易い願いだ』
だが、二つ目の願いが叶えられた瞬間、パンブーキンやトテッポ、モロコ達、そしてタロとリークと彼らの恋人達が復活した。
「おおっ!? なんだ? 俺が食っていた途中の料理が消えちまったっ!?」
「っ! セリパ、トーマ、何故ここにいる?」
「これはいったい?」
「ベジータ王の野郎、結局パンブーキン達に話さなかったみたいだな。性格の悪い野郎だぜ」
「そう言えばあいつ、パンブーキンにチームについて『お前が心配する必要はない』って言っていたそうだけど、そう言う意味だったのか」
戸惑うパンブーキン達を見ながらベジータ王に悪態をつくトーマとセリパだが、幾度も死線を掻い潜って来た仲間や親しい友人が生き返った事はやはり嬉しいのか、その言葉に険はなかった。
「だけどよ、もしかしてドラゴンボールで死体の損傷を復元するよう願えば、パンブーキンとトテッポも人造人間に改造できたんじゃないか?」
「……おお、確かにその通りじゃ。今まで全く思いつかんかった」
パンブーキンとトテッポは死体の、特に脳の損傷が大きかったため人造人間に改造するのを断念したという経緯がある。
ゲロは彼らの死体をドラゴンボールに願って復元してもらう事を、トーマに指摘されるまで思いつかなかったようだ。
『さあ、三つ目の願いを言え』
「爺さんは三つ目の願いを叶えな。パンブーキン達にはあたし達が説明しておくから」
「助かる。では、不死鳥が病死しないようにしてほしい」
『容易い願いだ』
そして、三つ目の願いはカメハウスで暮らす不死鳥の病死を防ぐ願いが叶えられた。これで彼が食中毒で亡くなる事はもうないだろう。
その後、トーマ達は地球での生活に関するガイダンスを受けた後、精神と時の部屋で一年分の修行を受け、合間の一日で地球の神様の神殿に出張しているツーノ長老に潜在能力を起こしてもらい、もう一年分の修行を行うのだった。
フリーザ軍の基地から旅立ったラディッツは、小さなアラームと共に目覚めた。
「着いたか。ん? まだ二か月しかたっていないだと? どういうことだ?」
弟がいる地球に着いたのかと思ってみれば、スカウターに映っている日付によると到着予定の半分ほどしかたっていなかった。
「なんだ、この惑星は? 座標によるとリデブ星というらしいが、聞いたことのない星だ」
アタックボールの窓からは茶色い星と、近くに浮かんでいるナッパとベジータのアタックボールが見えた。
『ラディッツ、ここはどこだ!? 地球に着いたんじゃねぇのか!?』
『おい、まさか俺達に別の星の座標を送ったんじゃないだろうな?』
ナッパとベジータも目覚めたのか、スカウターから彼らの声が聞こえる。
「分からん。確認したが、ここは地球に向かう通り道にあるリデブ星と言う星らしい」
『あん? なんでそんな星で起こされたんだ?』
『アタックボールの故障か? チッ、いい加減な整備をしやがって。そろそろ専用の宇宙船を買った方がいいかもな』
『おっ、そりゃあいいな。カカロットを連れ帰ったら、カタログでも見てみるか。って、オイ、俺のアタックボールを遠隔操作してるのは誰だ 勝手に着陸態勢に入ったぞ!』
「俺のアタックボールもだ。リデブ星に着陸しようとしてやがる。中断できない!」
なんと、アタックボールがラディッツ達の操作を離れて勝手に着陸態勢に入った。とはいえ、アタックボールの着陸は単純だ。
目標の惑星の陸地に、隕石のように突入するだけだ。
『これは故障じゃない。何者かが俺達のアタックボールをハッキングしていやがる!』
「俺達はあの星に誘き出されたって事か! 舐めた真似を……!」
もしや、地球と言う星にカカロットがいるという情報そのものが自分達を誘き出す罠だったのか? そう考えたラディッツは弟と再会できる希望を踏みにじられたと、激しい怒りを覚えた。
しかし、サイヤ人は宇宙空間では生きていけない。大人しくリデブ星への着陸を待つしかなかった。
茶色い惑星の大気に入ると、土と岩が広がるだけの荒涼とした大地が広がっているのが見え、その中の一部に激突する。
そして大気が呼吸可能である事を電子音声が告げ、ドアが開く。
「どこの誰だか知らないが、後悔させてやる」
「同感だが、あまり熱くなるよ。態々俺達を誘き出したんだ、それなりに腕に覚えがある奴等だろうからな」
「しかし、土と岩しかねぇ星だな。聞いたことも無くて当然だぜ、こんなゴミクズみてぇな星」
近くに着陸していたベジータとナッパも周囲を見回し、自分達をおびき寄せた何者かの姿を探す。
「スカウターに反応は……あそこだ!」
そしてラディッツが指さした方に突如砂ぼこりが舞い上がったと思うと、その向こうに数十人の人影が現れた。
『サイヤ人め……!』
『よくも、我々の星を!』
その人影は複数の種族の宇宙人で構成されていた。魚のような宇宙人に、ヘルメットとマスクを被っているような宇宙人、ナッパよりも二回りは大きい蠅を人型にしたような姿の宇宙人。
『来たか、孫悟空と同じサイヤ人め』
それらの先頭には、スーツ姿の青白い肌の男がいた。ただ、彼は仮面を被っているためにどんな顔をしているのかは分からなかった。
〇人造人間11号セリパ&人造人間12号トーマ
人造人間として復活したセリパとトーマ。外見上の変化はなく、永久エネルギー炉式であるため気が無く疲労しない。また、頭部と心臓に核があり、どちらかが残っていれば再生する事が可能。フリーザ一族の細胞によって宇宙空間でも問題なく活動できる。また、ナメック星人の細胞の影響で五感が鋭く、厳しい環境にも強い。
また、修行すれば念動力やテレパシー等の超能力を習得可能。
戦闘能力は
・セリパ:13万6千(地獄在住時)→136万(人造人間として復活後)
・トーマ:24万2千(地獄在住時)→242万(人造人間として復活後)
となっている。それぞれフリーザの第二形態、第三形態までなら勝つことができ、スーパーサイヤ人に成る事が出来ればセリパの戦闘力は6580万、トーマは1憶2100万に到達する。それぞれフリーザの最終形態(通常時)と、フルパワー時でも互角に戦う事が出来る。
さらに、この後精神と時の部屋での二年分の修行や、ツーノ長老から潜在能力解放を受けて強くなる予定。
ベジータ王から子孫繁栄を期待されているが、お互いへの意識は「他に相手がいなければこいつでいいか」ぐらい。……サイヤ人の平均的な夫婦はドライな関係らしいので、多分これぐらいの感覚で結婚して子供を作っていたのではないかと想像しています。
結婚しても宇宙規模の地上げ業で数カ月以上会えない事も珍しくなく、しかも移動中はアタックボールの中で眠っているので連絡もつかない。子供は生まれてから3年ぐらいは保育器の中で、ある程度大きくなったら非戦タイプでない限り地上げ業に就く。この環境では夫婦の絆を育める人達はそう多くないでしょう。
〇戦闘力推移
・パンブーキン:12万2千(地獄一武道会時)→18万3千(復活前)→22万8千
・トテッポ:13万6千(地獄一武道会時)→20万5千(復活前)→25万6千
地獄一武道会で瀕死になった時だけではなく、生き返った時にも瀕死パワーアップが採用されて一気に強くなった二人。トーマとセリパが消えて、「チームも半分に成っちまったな」、「あいつら、くっつくと思うか?」等と話しながら残った料理を食べていたら、急に生き返ってビックリ仰天。
この後不死鳥に触れて寿命を延ばされたり、精神と時の部屋に入ったり、潜在能力を解放されたりする。
なお、二人がタロやリークと違い恋人と一緒に復活しなかったのは、ただ単に二人に恋人がいなかったため。
・リーク:8110→1万4700
・タロ:1万3千→2万3600
まさか自分達も復活するとは思っていなかった二人。ベジータ王に対しては感謝しつつも、次に会ったら「言っておいてくれ」と文句の一つぐらいは言おうと思っている。
それぞれフリーザ軍の上級戦士や変身前のザーボンとほぼ互角にまで戦闘力を上げている。
ちなみに二人が恋人と出会ったのは、ベジータ王が手を回したのがきっかけである。……パンブーキンとトテッポはガン無視したが、二人は特に疑問に思う事無く言われた通りのチームで模擬戦をし、パトロールをしたため、自然と仲良くなる事が出来た。
〇オリジナルキャラ メーネ コレン
それぞれリーク、タロと付き合っているサイヤ人の女性。それぞれ死んでから地獄で出会った。サイヤ人の再興を企むベジータ王なら、男ばかり生き返そうとするのも不自然なのではないかと思いこうなりました。
メーネの名前の由来はイタリア語でメロンを意味するメローネ。外見は、ツフル星で反逆を越した回想シーンでチラッと出た口にナイフを咥えた女サイヤ人をイメージしています。
コレンの名前の由来は、レンコン。外見は、アニメオリジナルエピソードでベジータ王がフリーザに反逆を起こした時に部下の中にいた女性サイヤ人をイメージしています。……何故か髪が青かった気がしますが、多分染めていたのでしょう。
一応エリートの血筋。
〇この地球のサイヤ人の血を引く者の人数
ハーフ、クォーター、人造人間を含む。また、ランチは1人として計算しています。また、洗脳されているバーダックは含まれていません。
・原作開始時:8人
・レッドリボン軍編:15人(ドラゴンボールの願いによって、タイツ達がサイヤ人ハーフ化)
・96話:26人(バーダックチーム+αが生き返った事で一気に増加)
宰相の尽力(?)によって、既にちょっとした集落ぐらいの人数がいます。
〇リデブ星
戦いの舞台として設定したオリジナルの星。
呼吸可能な大気はあるが、植物を含めた生物が殆ど存在しない死の惑星。一応フリーザ軍の縄張り内にあるが、価値がないため今まで存在を無視されていたという設定。
名前の由来はデブリ。
みそかつ様、佐藤東沙様、Mr.ランターン様、プルプルゲルマニウム様、ノーデンス様、-SIN-様、ヴァイト様、 鱸の丸焼き様、太陽のガリ茶様、excite様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。