個性「魔轟神」   作:グリムロ

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プロットができました。ようやく。すべて回収できるのがいつになるかはわかりませんが……






魔轟神獣ルビィラーダ

■■出久視点■■

 

 

 

 

「相澤、先生……?」

 

 

 

 

 水難ゾーンをどうにか切り抜けた僕たち(出久)が目にしたのは、脳味噌がむき出しの敵が先生を無力化するっていう最悪の光景だった。戦闘経験も個性の扱いもはるかに僕たちの上を行くプロヒーローが、負けた。

 

 

 手だらけの敵の傍にワープゲートが現れ、しばらく話したのち、そいつは急に大きな声で独り言を言い出した。

 

 

「ゲームオーバーだ。あーあ、今回は終わり。でもその前に──平和の象徴様の大事なものをへし折ってから帰ろう!」

 

 

 

 気づけば手だらけの敵が僕らの目の前にいた。いつの間に、とかそんなことを考える前に、蛙吹さんの顔がそいつに掴まれて、脳裏に先生の戦闘シーンがフラッシュバックする。掴んだものが『崩れ去る』個性……!

 

 

 

 

 

 

 

 ……は、発動しなかった。相澤先生は取り押さえられたままなのに。

 

 

 

「……あ?イレイザーヘッド……じゃないなぁ、誰だオマエ」

「はぁ。また捨てた。こんなはずじゃあ、なかったんだけど」

 

 

 

 大きな、それこそ2,3メートルはあろうかという悪魔の背中に乗って降り立ったのは、

 

 

「さっさと、帰りなよ。どうせオールマイトには、勝てない」

「……はー。大きく出たねガキ。脳無、そいつ殺していいよ」

 

「ディアネイラ、お願い」

 

 

 

 真陣さんだった。すぐさま悪魔が脳味噌敵に思い切り拳を叩きこみ、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「……個性無効の個性かよ、オマエ」

「まさか。そんないいものじゃないよ」

 

 

 新たに赤黒い魔方陣が二つ現れた。そこから出てきたのは白い羽の眼鏡悪魔と……何というか、エキゾチックな風貌の大きな鳥だった。南米の部族の絵みたいな、そんな感じのヤツ。

 

 

「蛙吹さん」

「! わかったわ」

 

 

 真陣さんが大鳥をこちらに向けて飛ばす。蛙吹さんは僕たちをひとまとめに縛り上げて備えた。

「飛ぶわよ」

 

 

 

「させるわけないだろ。馬鹿なの?」

「させるんだよ。ディアネイラ、足止め」

「……邪魔すんなよガキ」

 

 

 手だらけは個性の無効を気にしてあまり攻めきれないようだった。真陣さんが時間を稼いでくれている間に、僕たちは鳥に運ばれて距離をとることに成功した。けれど、このままじゃ今度は真陣さんが一人になってしまう。遠くの方で巨体が起き上がるのが見えた。

 

 

「真陣さんっ!」

 

 

 

 

 

 思い切り踏み込み今にも飛び出しそうな脳味噌を止めたのは響き渡る轟音だった。

 

 

ドゴォン!

 

 

 

 

 扉を吹き飛ばして、ついに、彼が──オールマイトが、来てくれた。

 

 

 

「私が来た」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■クルス視点■■

 

 

 

 

 

 

 オールマイトが来た。これできっと終わるはずだ。新しく召喚したガルーダのような生き物、「魔轟神獣ルビィラーダ」は緑谷君たち三人を少し離れたところまで運びきってくれた。私も脳無の気がそれているうちにディアネイラと後退する。

 

 

 後は、ええと、何だったか。脳無とオールマイトが戦って、それで終わり……だったはずだ。じゃあもう干渉はしなくていいよね。

 

「助かったわ、真陣ちゃん」

「ん、無事で、なにより」

 

 死なれるよりはマシである。私が何も捨てずに済むのがベストだが。しかしまあ拳だけでここまで余波が出るとは……と、私は脳無と殴り合うオールマイトを見て思う。

 

 

「Plus Ultra!!」

 

 

 脳無がUSJの天井をぶち破って、彼方へ吹き飛ばされた。残るは強者は死柄木と黒霧だけ、オールマイトなら大した時間もかからないだろう。

 

 

 …………?いや、違った。確かオールマイトは全力を使い果たすんだった。それで緑谷君が助けに入って、それでようやく終わりだ。

 

 

 

 

「オールマイトから、離れろっ……!」

「緑谷ァ!?」

 

 

 

 うん。これで先生が来て、終止符が打たれる。私はいそいそと魔轟神たちをカードに戻した。手元に残ったのは、

 

 

「魔轟神ディアネイラ」

 

「魔轟神獣ケルベラル」

 

「魔轟神獣ルビィラーダ」──大型の鳥。南米で祀られてそうな風貌。

 

「魔轟神クシャノ」──魔轟神の中で唯一白い羽の、眼鏡をかけた悪魔。右手に持つ大きな本が目立つ。

 

 

 

 

 後でまた何を捨てたか聞いておかなきゃなあ。そんなことを考えながら、私は消えゆく敵を見送った。そして、羽の痛みと疲労やらなんやらでぶっ倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校襲撃から数日後のことである。雄英教師は警察と共に一連の事件について話を勧め、主犯格の「死柄木」という男についての分析を終えたところだった。次なる話題は1-Aの女子生徒、「真陣 来栖」について。

 

 

 

「13号の話によると、黒霧は彼女のことを『マゴウ 来栖』と呼んだそうだ」

 

 ワープゲート持ちの黒霧がわざわざ一人だけ別の場所に転送した結果、少女は背中の羽の骨折などかなりひどい怪我を負いつつも生還して見せた。

 

 

「確かオールマイトは個性カウンセラーと偽って真陣君に接触していたね?話は聞いたのかい?」

「……ええ、校長。真陣少女が孤児院の出だということはご存じですね」

「知っているよ。確か苗字はそこの物だったね」

 

 

 オールマイトはやや話しにくそうに切り出した。

 

 

「……少女が転送された先には、自分を捨てたはずの母親がいた。母親は少女に恨みがあり、仲間を引き連れて殺しにかかってきた──というのが大まかな流れ。母親の身体的特徴から個性届を確認してもらったところ特定ができた」

 

 

 

 

 話を引き継いだのは塚内警部だった。

 

 

「母親の名は『魔轟(マゴウ) 美姫(ミキ)』。魔物の魔に轟かすという字です。親とは縁を切り、『真郷」の姓を名乗っていたようです」

「魔轟って……あの魔轟かい?」

 

 

 反応したのは校長だった。最近の人間にはあまりなじみがないが、魔轟家といえば個性婚の法律の制定を声高に掲げていた政治家がいたので有名だ。今はもう隠居らしいが。件の法律の内容も「ヒーローは個性が重要である以上、個性婚は社会秩序を保つ方法として適しているため、制度として制定すべき」など、倫理観からとても素晴らしいとは言えないようなものだ。それに今は政治にかかわっていないはずだった。

 

 

 

 

「ええ。彼女は魔轟家の現在の代表である、魔轟 出歩(いずほ)の娘に当たります」

「連絡は?」

「ええ、取りました。しかし『私と美姫は縁を切っている。行方も知らないし責任も取れない』、と」

「そうか……」

 

 というのも、この母親はいまだに捕まっていないのである。教師たちがUSJに着いたのち死柄木は撤退したため、魔轟美姫を回収する時間はなかったはず。また来栖が母親を気絶させたといっているため、自力で脱出は不可能だろうという観点から、教師たちは敵連合とは別の勢力が関わっている可能性を考えていた。

 

 

 そして一番の根拠が監視カメラの映像である。倒れ伏す人影の傍に現れた人影は背中に羽のようなものを持っていた。しばらくすると二人とも姿を消すのだが、オールマイトには羽の方に見覚えがあった。

 

 

 

 

 ──どうにも真陣少女の召喚体に似ている。名前は確か「アシェンヴェイル」だったか。この相似がどのような意味を持つのかは、オールマイトにはわからないままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






おそらく、勘のいい方は、クルスちゃんが何を捨てたかわかってしまうんじゃないかな、と。

美姫さんには兄弟姉妹が結構います。大家族だね
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