個性「魔轟神」 作:グリムロ
ここは雄英高校1年A組。倍率300を超えるとされるヒーロー科の成績が良い方のクラス。うちの中学校から三人も合格者が出たからか、中学校の担任の先生は驚きを通り越して焦っていた。自分のクラスから超難関進学者を輩出したせいで色々なところから話が来ているらしい。
自分の席でそんなことを考えていると、緑谷君が大きなドアを開けて入ってきた。と言うことはそろそろ相沢先生も………
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
来た。おお、配られた体操服、背中に羽を出すためのスリットが開いている。市販のやつより数段着やすそうだ。
先生に言われるがまま、体操服を着てグラウンドに出た。
「そ、そういえば。真陣さんは個性と自分、どっちの測定をするの?」
「ん……二回測定がある競技は一回ずつ。一回だけのやつは同時参加」
例えばソフトボール投げなら二回のうち一回が私、もう一回がアシェンヴェイルといった具合。正直なところ私の個性は身体能力より指揮能力が求められるタイプだから、この個性把握テストはアシェンヴェイルのスペックと万が一私が一人になったときどこまで動けるか、それを測るつもりである。
というわけで第一種目は50m走、因みに緑谷君が私のことを気にしているのは走るのが同じタイミングだから。
「じゃあ……召喚『魔轟神アシェンヴェイル』」
いつも通りの演出を挟んでアシェンヴェイルを呼び出すと、
「な!?」
先に走り終えて戻ってきていた飯田君が手を前ならえのような形にして驚いていた。
「真陣くんの個性はその羽ではないのか……!?」
「副作用みたいなもの。ほんとは『召喚』って個性、だよ」
「な、なるほど。いやそれにしても──」
飯田君はアシェンヴェイルを見上げて、
「──随分、その。悪そうな顔に見えるな」
「だって、アシェンヴェイル」
「……知るか」
「喋った!?」
試験、四六時中こんな感じだった。アシェンヴェイルに筋肉を触ってもいいか聞いていた麗日さんは大物だと思う。
さらに余談ではあるが、私本人の試験結果は惨憺たる結果に終わった。せいぜい立ち幅跳びが少し良かったくらいだ。ソフトボール投げ15メートルってぶっちぎりで最下位じゃないか……葉隠さんだってもう少し飛んでたのに……
やはり身長を伸ばすことが早急に求められる。帰りに牛乳を買わねば。
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「ちょっといいかい」
「……?」
下校時刻。帰り際に校舎の陰から私を呼び止めたのはスーツ姿のオールマイト(トゥルーフォーム)だった。
「……緑谷君と一緒に、いた方ですよね」
「覚えていてくれたか。実は私ね、個性カウンセラーてのやってて、緑谷しょ……君とはそれで知り合ったんだよね」
そういう設定で行くのか。
「で、君の個性について少し話をきいてもいいかい?」
「それなら大丈夫、です」
私とオールマイトは校内の応接室にやってきた。
■オールマイト視点■
少女のその個性は、召喚された者に意識がないのであればそこまで問題ではなかった。だが、そうではなかった。
それは常闇少年のように体から離れないといった制約があるわけでもなく、それぞれが自分で判断し行動できる、ということだ。そしてそれぞれが並ではない戦闘能力を誇るとなれば、あまりにも汎用性が高く、そしてなんと悪用しやすいことだろうか。雄英に入学したのは正しい方向へと導くことができる、という点で正しく僥倖といえるだろう。
「さて。じゃあまずは……君の個性は何人まで召喚できるのかい?」
「今のところ、ふたり、です」
「今後も増える可能性があると?」
「そう、なります」
ふむ。私と会った時にはまだ一体のみ召喚可能だった、とみていいかもしれないな。そうなると召喚数が増えた大きな要因として考えられるのは。
「今からさらに質問をするが、これは強制じゃない、答えたくなければそうしてもらって構わないぞ。……君は私と会った日、敵に襲われているね」
「はい。……ああ、確かにその時一人召喚権が増えたんですけど、理由はわからなくて……」
「……そうか、ありがとう」
身体に危険が起きて、一体じゃ対処しきれない場合に二体目が召喚可能になる、といったあたりか。それなら雄英にいる間は万に一つも危険などないし、少女の家──孤児院にしたって、事件の後はパトロールが強化されているからこれ以上敵に襲われることはないだろう。
「ありがとう。こちらでも過去の個性から似たようなのを探しておこう。因みに、個性はある程度遺伝するというのは知っているかい?」
「……ええ、まあ」
判別不明な個性のヒントを親族から得るというのは別段珍しい話ではないし、これほどの強個性であれば親もそれなりに目立つ個性を持っている可能性が高い。個性届を調べればすぐにでも特定できるだろうが……少女の出自を鑑みるとそこまで踏み込んでいいとは思えない。
「君の親族に似たような個性の方がいたのであれば、参考になるかもしれないね」
「……ごめんなさい、その、
「すまなかった」
少女はいえいえ、と手を振って否定した、が。
「お気遣いは有難いですが、あまり詮索しないでいただけると助かります。
その眼にやけに剣呑な光が宿っているように見えて、やはり私は少女が何か重いものを抱えているのではないか、と思うのだ。少年少女を導くのが教師である私の務めであるが、こればかりは今すぐどうにかできる問題でもなかった。
そういえば、応接室にきてからずっと左手をポケットに突っこんだままだ。怪我でもしたのかな?
お 知 ら せ
・作者、レポート三昧のためしばらく執筆お休み
・作者、早くクルスちゃんをいじめたいがために戦闘訓練のダイジェスト化を視野に
日常パートがあってこそシリアスが輝くっておばあちゃんが言ってたんですけど、戦闘訓練も個性テストもシリアスになる要素が一切ないのでもう次の話からUSJ行ってもいいかもしれない、などと考えてます。戦闘訓練は閑話的扱いでもいいかな、なんて
ここからはどうでもいい話。
作者はリンク召喚で遊戯王から離れたクチです。というのも、リンクモンスターには守備表示も裏側守備表示もないからです。
……作者はゴーストリックを使ってました。それも猫娘ナイトロック主軸の。
雑に説明しますと、レベル4以上のモンスターが召喚されたら「ゴーストリックの猫娘」がそれを裏側守備表示にして、永続罠「ゴーストリック・ナイト」で相手モンスターの反転召喚を封じる、というものです。
ゴーストリックのフィールド魔法には共通効果で裏側モンスターへの攻撃不可、さらに裏側のみの場合直接攻撃が可能、ってのがありまして、それで相手を動けなくしてから直接殴るといった戦法でした。
リンクモンスターが場にいたら直接攻撃できませんね。ふざけんな