個性「魔轟神」   作:グリムロ

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彼女の血統こそ決闘。「何かを使役する」という遺伝子。













*戦闘シーン、もしかしたらUSJの地図を見たほうがどこにいるのかわかりやすいかも。作者の技量じゃ表現がしきれなかったよ……

あと多分原作じゃ森だけどここではコンクリってことにしてください……


決闘

 入学して十数日が立った今日の午後からの授業こそ、私が気にしている「人命救助訓練」である。要望を反映させて作られた私のコスチュームは真っ黒なワンピースだった。羽が邪魔にならないよう背中が開いており、いくつかカードを入れるためのポケットがついている。

 

 

 バスの車内は賑やかで、誰も──当然ではあるが──この後襲撃があるだなんて思っていないだろう。伝えたところでどうにもならないが。

 

 

 改めて確認しておこう。私の目的はとにかく生き延びること。原作では死者など出なかったが、「崩壊」とかいう強個性に対オールマイト用改造人間……こいつらが容易に人を殺しうる存在だと忘れてはならない。それに13号の言う通り致死性の高い個性は存在する、ほかのモブ敵だって例外じゃない。

 

 

 

 

 そう考えているうちに、バスが停車した。

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

 

 

 スペースヒーロー、十三号が話している間も私は広場の方が気になって仕方がなかった。黒い霧が見えたので、おや?というような表情をすると、

 

 

 

 

 

「一かたまりになって動くな」

 

 

 相澤先生がワープゲートを視認した。生徒たちがそこから出てきた集団を敵だと認識するとともに、一気に緊張が走る。この後黒霧が個性を使用して分断してくるのはわかっていたから、まだ召喚はしない。このあとどの災難ゾーンに飛ばされようが対策はしている。

 

 そう想定していたのだが。

 

 

 

 

「今回雄英高校に侵入させていただいたのは、平和の象徴に生き絶えて貰おうかと思いまして」

 

 

 

  相澤先生の隙をついて私たちの前に現れた黒霧は、爆豪くんが何かアクションを起こす前にこちらを見てこう言い出した。

 

「ああ、そうです。()()来栖さん、貴女は別です」

「……は?」

 

「こちらで感動の再会を用意させていただきました。そういう条件でしたので……では、ごゆっくり」

 

 

 想像より遥かに速いスピードで、黒霧のワープゲートが私の足元に発生した。周りから差し伸べられた手を掴む暇もなく、黒いモヤに飲み込まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──くそっ」

 

 

 飛ばされたのは火災ゾーンと山岳ゾーン、USJの壁に挟まれた三角形に近い教室*1二つ分ほどの空間だった。二つのゾーンの隙間が唯一の出口だったが、そこにはすでに数人敵が陣取っている。そいつらは私を見るや否や、

 

 

「ガァァァァァァァッ!!」

 

 

 と目を血走らせながら突っ込んできた。すぐさま上空を確認するも、蜘蛛の巣のようなものが張られている……強度は不明だが逃がす気がないのはわかった。この敵連合の襲撃が原作で用意周到に計画されたものだったように、私のこの状況も狙って引き起こされたもののようだ。すぐさま、

 

 

「グリムロ!アシェンヴェイル!」

 

 

 前口上も飛ばして二人を呼び出す。グリムロは黒球でもって牽制射撃を、アシェンヴェイルは最初に突っこんできた火を吹く赤ゴリラの顎を殴り飛ばしてから鎧を着た牛頭と取っ組み合った。

 

 

「理性的なふるまいには見えないわね……どうなっているのかしら」

「わからない、けど……普段からあんな感じでは、ないはず。なにかきっと原因がある」

 

 

 壁を背に状況のまずさを噛み締める。逃げ道を作れないことにはジリ貧である。

 

 

「アシェンヴェイル、ゴリラ起き上がった」

「またか、クソ」

 

 

 随分と打たれ強いのか、アッパーを決められたはずの赤ゴリラが立ち上がって吠えた。グリムロの黒球が殺到しダウンを狙うが、それらは少し血を流させるだけで赤ゴリラの勢いは全く衰えない。そのままアシェンヴェイルの方向にナックルウォークの要領で突進する。

 

 

「止められる!?」

「通すわけにはいかねぇからな……ッ!」

 

 

 アシェンヴェイルは腕をクロスさせ衝撃に備えた。赤ゴリラがその上から質量を乗せた拳を繰り出し、

 

 

 

ガオン!!

 

 

 

 と音がしたと同時、気づく間もなく私は吹き飛ばされ壁に叩きつけられていた。

 

 

 背中がひどく痛む、羽が特に尋常ではない痛みを訴えている。頭も打ったのか視界が安定しない。気分が悪くなり思わず吐いた。

 

「クルスちゃんッ」

「はーッ、はー、どう、なって……?」

 

「私にもわからないけれど……まるで衝撃がアシェンヴェイルを貫通して伝わってきたようだったわ。あいつの効果は火を吹くことではないの……?」

 

 

 

 

 

 

「──良いザマね」

 

 私の意識を鮮明にしたのは、よく聞き覚えのある女の声だった。

 

 

「……やっぱり、お前か、クソ女」

「あたし、そんな言葉教えた覚えないわ。にしても」

 

 

 クソ女(母親)は醜く顔を歪ませて、

 

 

「その反応だと、あたしの顔に疵をつけたのがどれほど許されないことかまだわからないらしいのね?」

「……は?」

「なにその顔。ムカつくわ、ああイライラする。子供なんて親の言うことに従ってればいいのに……でもおかげであたしの個性の()()()()に気付けたんだから、そこは褒めてやってもいいわ」

 

 

「本当の、力?」

 

 

 クソ女は悦に入るような、自分に酔うような口調で語りだした。

 

「そう。ずっと、相手を惚れさせる個性だと思ってた。でも、本当は……あたしの気持ちを共有する個性だった!」

 

 

 傍にいるグリムロがそっと私の手を握った。

 

 

「いままではあたしの『あたしは魅力的』って気持ちを共有してたワケ。でもあんたに、そこの男にあたしの大事な顔を殴られてから、あたしの個性を使った相手は全員キレた。当然よね、あたしもおんなじ気もちだったんだから。だからここにいる男は全員あんたに抑えきれないほどの殺意をもってるの」

 

 

 

 

 ……グリムロ?

(わかるわね?もう効果を使う以外突破策がないってこと)

 

 ……たしかに私が考えた策はどれも『USJ内のどこかの施設に飛ばされること』を想定してた。でも、まだ策はっ

(策ならあるわ。こんなクソみたいな状況も、あの女もぶっ飛ばす最低の策が)

 

 ……最低?

(ええ。こんなのじゃ貴女の愛なんて口が裂けても言えなくなるような、そんな策)

 

 

 

 クソ女の声が私を現実に引き戻す。

 

「……聞いてんの?随分と余裕じゃない、五里くん(赤ゴリラ)に苦戦するような分際で……!」

 

 

 

 

 

(……すぐに決断なんて無理な話よね。だからこれは私の所為、全部私がやったこと。ごめんなさい、そして最後だから──)

 

 

「──愛しているわ、クルス。『魔轟神グリムロの効果を発動』」

「そん、な」

 

 

 制止も聞かずグリムロはカードになって、そうしてそれは端っこから黒ずんだ灰になっていく。灰は小さな魔方陣を描いて、新しい一枚のカードを呼び出した。

 

 

 震える手でそのカードを手に取る。

 

 

 

 

 

「やだ、嘘だ、そんな、これじゃあ、」

 

 

 

 ──アシェンヴェイルはどうなるの?

 

 

 

 返事は帰ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
雄英基準




解 説



・赤ゴリラ

個性「憤怒」
キレるとゴリラっぽくなり火を噴く。ナックルウォークってのは猿とかゴリラとかがやる拳と足で四足歩行するアレ。


元ネタ:怒れる類人猿(バーサークゴリラ)

獣族 ATK/2000 DEF/1000

このカードが表側守備表示でフィールド上に存在する場合、このカードは破壊される。このカードは攻撃可能な場合には攻撃しなくてはならない。







・牛頭

個性「浸透(震盪)
拳にしろ角にしろ自分の体にある程度の勢いがあれば物体とぶつかった際それによる衝撃が増幅され空間を伝わる。実は特定の相手、特定の状況で自身の個性を共有できるが本人は気づいていない。


元ネタ:激昂のミノタウルス

獣戦士族 ATK/1700 DEF/1000

このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。









・母親

本名、真郷 美姫。個性の名は『強制共感(仮)』……30秒目を合わせた相手に自分がいま抱く最も強い意識を植え付ける。今までは自分の美しさが絶対かつ最高だと確信していたので相手には「最高の女」というイメージを抱かせていた。


勘のいい方ならクルスちゃんが何を手に入れたのかわかっちゃうかもしれないけど秘密にしといてね。一応手札に加えるはずなのにカードとして表れたのも理由っぽいのはあるから……


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