そして今…僕の目の前では四宮と在校生である幸平創真くんと田所 恵さんが食戟を行おうとしている。何でこんな事になってしまったのだろうか。僕は現場に居たわけじゃないから本当のことは分からないけど事情を知っている人に聞く限り、幸平くんの友達である田所さんが四宮に退学を言い渡されたのを見て…四宮に対して食戟を挑んだらしい。
普通ならそんなの食戟するまでもなく四宮の意見が通るものだけど、今回は少しイレギュラーらしい。四宮のお手本通りではないがアレンジを加えた。四宮の試験では四宮と同じものが作れるのかが査定基準。だけど田所さんの場合はその材料が無くてそれを補おうとして行ったこと。
料理人として働くようになれば…材料が届くのが遅れる事もあったりする。その時にある材料でお客様に対して最高の皿を提供するのも必要になってくる。だから試験とは違うけど…田所さんがやったことも必ずしも間違っているわけではないと個人的には思っていたりする。
この食戟を止められるのなら止めたい。だって卒業生と在校生の食戟なんて過去を振り返ったとしても一度たりともなかった。それは在校生と卒業生には簡単には埋められない『差』というものが存在するから。
だから最初にその事を聞いた時には正直な事を言うと「嘘だよね」と口にしてしまった。幸平くんの勇気も凄いね。あの四宮に恐れることなく食戟を挑むとはね。
「桜先輩」
声のした方向を向くとそこには…乾がいた。彼女もこの食戟を見るためにここに来たのだろう。
「何かな?」
「こんな時に言うのも何なんですけど……この特別試験が終わったら私の料理を食べてくれませんか?」
乾からの予想だにしないようなことを言われたので一瞬、反応が出来なかった。
「……あ、別に良いよ」
この状況で話すような話ではないと思うけどね。
「本当ですか!!???」
「うん。それに乾の料理を食べる機会なんて今じゃないからね。今では超有名店の『霧のや』の女将の君の料理を食べられるなんて嬉しいよ」
彼女の料理を食べるのは僕が遠月学園に在校生として在籍していた時が最後だからもう何年以上前だろうか。それに普通に乾の料理を食べるとしたらそれなりのお金を払わないといけない。なんかそのことを考えると少し負い目を感じる事もあるけどね。
「桜先輩の料理に比べたら私なんて足元にも及びませんが…あなたの『弟子』としてそれに恥じないほどの料理を提供することを約束します」
「乾がそんな丁寧な口調を使うなんて久し振りに聞いた気がするよ。そんな風な口調で言われると……少し気持ち悪いよ」
「ひどくないですか!!!」
「…ごめんね。でも、乾は普通の口調の方が良いと思うよ。その方が僕も好きだしね」
乾が僕に対して丁寧な口調を使ったのは……初対面の時だった気がする。それからはタメ口+敬語みたいな感じだった気がする。
「…………」
「急に無言になってどうしたの?」
「………桜せんぱい……もう少し言葉に気を付けた方が良いと思いますよ」
「何で?」
「変に誤解する女子が現れるかもしれないので」
今さっきのところで誤解するようなことがあったかな。いくら考えてもそれに思い当たるような発言をしたとは思えないんだけどな。
僕たちがそんな風な会話を繰り広げている間にも田所くん×幸平くんVS四宮の食戟は進んでいく。
番外編としてその人の視点の話を一つ書こうと思っているんですがどのキャラが良いと思いますか?
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四宮小次郎
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乾日向子
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水原冬美
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司瑛士
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木久知園果
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茜ヶ久保もも
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小林竜胆
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薙切えりな
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堂島銀
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薙切アリス
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幸平創真