調理を始めてそれなりに時間が経過した事もあって四宮も田所くん×幸平くんの方も料理は完成に近づいているのが見ているだけでも分かる。この時点で勝敗に関して言う事は出来ないが個人的な予想では四宮が勝つと予想している。学園の教師としては生徒たちを押してあげたいところなんだけど…学生時代や自分で店を持ってからの四宮を近くで見てきた僕から言わせればどこまで努力をしたとしても今の時点ではまだ勝てないんじゃないかな。自分の城を持つ主は自分の料理にある程度の誇りは持っているものだ。自分の料理が一番だと。それぐらいの自信を持っていないと生き残ってはいけない。
「水原はどっちが勝つと思う?」
「どうだろ……まだ料理も食べていないから何とも言えない」
「まあ、そうだよね」
それからもう数分が経つとどちらの料理も完成した。そして料理を口にして素直な感想は美味しいだった。どちらの料理もおいしい。高等部1年生がこれほどの料理を作れるのかと素直に関心してしまう。僕は高等部2年生や3年生の教科も持っているけど、決して引けを取っていない。これからの成長が本当に楽しみだと感じてしまうほど。でも勝者は四宮だった。
審査員が票を入れたのは四宮の皿にだった。当たり前と言えば当たり前のような結果だ。確かに田所くんと幸平くんの料理は今の1年の中では少し抜けて美味しいと思う。でも相手は…一人立ちしている料理人。今では日本を代表するような料理人とも差支えのないような人物だからね。
「やる前から結果は見えていたな」
四宮は少し相手を見下すように言った。幸平くんは本気で悔しがっている姿が目に映る。料理人にはそういう負けん気がないと進めない。誰よりも美味しい料理を作ったやる。日々の研鑽が最終的な結果に結びつくのだ。
「大丈夫だよ。幸平くん」
「………」
「キミはすごいよ。田所くんのために四宮に勝負を挑むなんて誰にでも出来ることではないから。この悔しさを忘れなければ絶対に次のステージに進むことが出来る」
「せんせい…」
「田所くん。本当によくやった。やっぱりキミは遠月学園に相応しい生徒だ。キミたちの料理の過程を見させてもらったけど、幸平くんが上手く誘導をしながら田所くんがそれに答えていたように感じた。キミたちの連携は本当にすごいとしか言いようがない。だからここは僕に任せてくれないかな?」
「先生に_?」
「はい。田所くんを退学させるのはやっぱり惜しいしね。キミたちが料理をする姿に僕も惚れたからさ」
そして立ち去ろうとしている四宮を呼び止めた。
「四宮」
「なんだ?」
「……田所くんの失格を取り消しにしてくれないか?」
「お前までそんなことを言いだすようになったか。教師らしいことをしてるじゃねぇか」
「まあ、教師だからね。これでも」
別に教師だから助けようとしているんじゃなくて…この子たちだから助ける。別に生徒だからといって誰でも助けるわけじゃない。少なくとも皿に真剣に向き合っていて、日々自分の皿を高めるために頑張っている姿。それは多くの人の心を動かす力を持っている。
「お前の頼みであったとしてもそんなことをオレが聞く理由はない」
「だったら四宮と僕で料理対決でもしようか。幸い、この場所には審査員もいるんだ。これほどまでに揃っているステージもないしさ。それにここで僕もおめおめと引き下がれないんだよ。生徒の手前ね」
別にカッコつけたい訳じゃないけど、助ける風の感じをしていて断られたから引き下がるんじゃ話にならないしね。それに四宮の料理センスに関してはやっぱり店を手伝っていた僕の目から見ても目を見張るものがあるのは事実だが、彼はスランプに陥っている。店を手伝っている時に…ちょっとの違和感から確信に変わった。
「オレがお前と対決をする理由はないな」
「そうかな。僕はお前とそれなりに長い付き合いになるから分かるんだけど、お前は売られた喧嘩は絶対に買うタイプだからな」
「……やって勝ったらもう文句ないんだろうな」
「もちろん、それに関しては保証するよ」
僕も負けてうじうじと負け惜しみを言うつもりはない。単純な料理勝負で負けたとしてたら仕方ないと受け入れる。田所さんには申し訳ないが…僕を恨んでくれても構わない。
そして僕と四宮の料理バトルは始まった。さすがに四宮も真剣な顔になった。さっきまでが別に手を抜いていた訳ではないだろうが、生徒相手ということもあってそれなりに気楽に出来ただろうからね。
「それじゃあ、僕も料理を始めましょうか」
「…まけた…」
「ああ、キミの負けだよ。四宮」
感想などもありましたらコメントしてくれると有難いです。進みが遅くてすいません。
番外編としてその人の視点の話を一つ書こうと思っているんですがどのキャラが良いと思いますか?
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四宮小次郎
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乾日向子
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水原冬美
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司瑛士
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木久知園果
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茜ヶ久保もも
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小林竜胆
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薙切えりな
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堂島銀
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薙切アリス
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幸平創真