初めての授業をしてから一週間ぐらいが経ち..学内では幸平創真が水戸郁美と食戟をするという話で持ち切りになっている。まあ、転入生がいきなり食戟をするってなったらこうなる事も仕方のない事だとは思うけどね。
でも、幸平くんも思い切った事をするよな。食戟をこんなにも早くやるとは...野心があるのは良いし目標があるのもいいがあまり生き急がない方が良いと思うけどな。まあ、それも若者の特権という奴かもしれないな。この年でそんな事を言っていたら僕より年上の人達に「まだ20代だろ」とか言われそうだな。
この食戟の結果がどんな風に転ぶのか..僕も一料理人として楽しみにしている。僕は校舎の窓から食戟が行われている会場の方を見据えながらそんな事を思っていると.....
「無事、教師になれたようで良かった」
視線を窓から声のした方向に移すとそこに居たのはシャペル先生だった。
「...ご心配をお掛けしてすみませんでした。どうにか無事に就任する事が出来ました」
この学校に来てからそれなりの時間が経過しているもののシャペル先生と話す機会は今まで無かった。僕も初めて教える側にたって色々と忙しかったから時間が取れなかった。
「まあ、私はあまり心配はして無かったがな。芹野は在籍時から確固たる信念を持って何事にも取り組んでいたから。その程度でくじけるような人間ではないだろうからな」
「..失礼ですね。僕も一人の人間なんですから色々と悩みましたしこの決断に至るまでに色々とありましたが..やはり何事もやってみない事には正解なのか不正解なのかは分からないと思い総帥のお誘いを受ける事にしたんです」
この決断が正しかったのかに関しては早くて一年後には結果が出ていることだろう。
「そうか。まあ、芹野は教師にむいているだろう。在籍時には四宮や乾にも料理を教えていたほどの実力者だからな」
「もう昔の話ですよ。今では四宮にも腕を抜かれていると思いますしね」
あいつは今でも客に料理を振舞っていて俺はもう本気で自分の料理を作った事がない。自炊のために作る事はあったりするけどそれもかなり簡単の料理だけだしな。
「それはやってみないと分からないと私は思うがな」
「そうですかね.....」
「...芹野は幸平創真は勝つと思うか?」
俺はさっきまでしていた話と全く違う話を振ってきたのですぐに反応が出来なかった。
「..........あ..幸平くんの事ですか。どうですかね....水戸さんは中等部のデータを見る限りそれなりの成績を収めているし生徒からの人気も高い。会場の雰囲気に飲み込まれたりすると幸平くんの勝利は限りなくないと断言出来ますが.....幸平くんは会場の雰囲気に飲まれるような人間じゃないですからね。正直な事を言うと全く分かりませんね。幸平君の料理は未知数なところも多々ありますから」
「確かにな。あの幸平創真という男はこれからの遠月に大きな影響を与えそうな気もするな」
中等部から遠月にいる訳でも無く高等部から入って来て始業式では宣戦布告のようなものをして周りからは反感を物凄く買ってしまっている。ここまで生徒から反感を買っている人間はそうもいないだろう。
「...そうですね。そうだとしたら僕たちは遠月が変わる貴重な瞬間を見る事が出来るのかもしれないですね」
「そうだな」
その後も色々な事を話したりしてシャペル先生とは別れた。
-同時刻--------あるレストラン
ここは東京にあるレストランで俺は
「四宮先輩~~」
どこからか俺を呼ぶ声が聞こえ声をした方向を見ると俺と待ち合わせをしている人物がそこにはいた。こいつはここがレストランだって事が分かっていているのだろうか。いつもはうるさくてもこういうところでは少し自重しろよ。お前が俺を呼ぶ声が大きいから周りの客が俺たちの方を見ているじゃねぇか。
「相変わらずうるせぇよ。少しは静かにしたらどうだ」
俺は向かい側の席に腰を下ろしたバカを見ながら言った。見た目だけなら大人しそうに見えるらしいが中身はそれと間反対で途轍もないぐらいにうるさい。こいつと一度でも接した事のある人間なら分かると思うが本当にうるさい。
「え~静かにしてますよ」
「静かじゃねぇよ....まあ、このやり取りをしていても話が全く始まらないな」
「そうですね。四宮先輩がうるさいから話が全く始まりませんしね」
「誰のせいだとこのやろ!お前のせいだろうが」
これは泥の沼の言い合いに発展すると思った俺はここは引いた。
「それでお前をここに呼んだ理由だが」
「そうですね。これでも私も忙しいんですからね」
これでもこいつも一国一城の主なわけだからそう簡単に店を抜けられないはずだが態々、時間を取ってくれているわけだから早く話を済ませた方が良いな。
「お前たちにはよく考えたら知らせてなかったと思ってな」
「知らせていない事?」
「ああ、桜の事でな」
「桜先輩!!!桜先輩に何かあったんですか!??」
急に乾が前のめりになった。まあ、桜の話をすればこうなる事はすぐに予想が出来る事だから驚きはしない。
「何かあったと言えばあったな...」
「何!??」
「....桜が教師になった」
それを聞いた乾は驚きすぎて今にも失神するような感じになっていた。普通、同期が教師になるだけで失神するような奴なんているのか...まあ、この場にいるんだけどな。
「........な・な・何でですか!???」
「前々から総帥からお誘いがあったようだったけど自分の店の事もあって受ける事が出来なかったんだが一回店を閉めた事で受けようと思ったらしい。まあ、店を閉めてから2年ぐらい俺たちの事を手伝ってくれていたのは桜の気まぐれだったんだろう。それにすぐに教師になると言ってもなれるわけではないからな」
桜なりに考えた結果が教師になるという選択肢だったんだろう。でも、あいつには考える時間が必要だ。店の事をどうするのかとかこれからの事とか桜には考える事で一杯だからね。
まあ、後...息抜きになればいいだろ。今まで店の事や俺たちの事を手伝ってたりして時間が取れなかっただろうからな。
「...そうですか。桜先輩も新たな一歩を踏み出したんですね。なら仕方ないですね。本当は先輩には手伝って欲しかったりしたんですけどね」
乾なりに桜の事を考えているのかもしれないな。乾が料理の事で悩んでいたりする時に助けていたのも桜だったから乾にとって桜は只の先輩という訳ではない。だから、乾だったらもっと反対とかすると思っていたけど...案外、簡単に受け入れるな。
「....それでこの話をまだ....水原にもしてないんだ」
「...............それは私から水原先輩に言えと遠回しに言っているんですか?」
「そうだ。俺から言ったらあいつの事だから信じないだろうしな。それにあいつが何してくるか分かったもんじゃないからな」
前に桜がしばらくの間、手伝いに行けない事を俺が伝えに行った時に.........思い出すだけでも寒気がしてくるな。
「...こっちも水原先輩に桜先輩関係の事を言うとなると命がかかわってくるんですから。私もそれ系のお話を水原先輩に言うのは嫌です」
身の危険を感じるのは仕方のない事だ。水原は本当に怖いからな。だけどここで引き下がったら俺が水原に伝える羽目になってしまう。ここは多少、リスクを冒してでも乾に行ってもらわなくてはいかない。
「...じゃあ、ここは取引をするか」
「取引?」
「ああ、もし、お前が言いに行ってくれるんなら桜の料理を食わせてやる」
これは一般人が聞けば別に何も価値がない事かもしれないが俺たちにとってそれは違う。桜の料理を食べる事が出来るのは...各々の誕生日の時ぐらいだ。そうでもしないと桜の料理を巡って俺たちの中で争いが起きてしまうだろうからと言う理由で桜の料理を食べられるのは各々の誕生日だけにした。
「...その約束を四宮先輩が絶対に守るという事が証明できるんだったら良いですよ」
バカなのにそういうところはしっかりしているんだよな。
「..誓約書を書けばいいか」
「はい」
その日は解散してそれから数日後に俺は乾に誓約書を渡し取引が完了した。
よくよく考えれば俺たちは何をしているんだ。
番外編としてその人の視点の話を一つ書こうと思っているんですがどのキャラが良いと思いますか?
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四宮小次郎
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乾日向子
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水原冬美
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司瑛士
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木久知園果
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茜ヶ久保もも
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小林竜胆
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薙切えりな
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堂島銀
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薙切アリス
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幸平創真