『ふわぁ〜』
あくびが出るほどに退屈だ。
黒いパーカーワンピースのフードを被り、コンビニで買った炭酸水をコクコクと飲みながらあてもなく歩く。
部屋にこもっていることが多いがたまには外に出てみようと思ったら、思いもよらぬ8月の暑さにやられてしまった。
本来なら学校に行っている時間帯だろう。
なにせ私は学生、中学生である。
まあ詳しいプロフィールは語らないでおこう。
どこにでもいる、わりと普通な中学生だと自覚している。
さてこの暇をどう潰そうか。普段それなりに忙しい日々を送っているので
暇があればやりたいことはいろいろあったはずなのに案外有効に使えずにガッカリである。
とりあえず、私にとっての生活必需品である飴を買いに行こう。
袋に入っているフルーツ飴。
家にあるストックもあと10袋くらいになっていたような気がする。
多すぎるって?
まあ私の体の7割は炭酸水、2割は飴でできているからそう考えれば普通でしょう?
近くにあった売店に入ったら漫画の立ち読みをしている知り合いを見つけた。なんとなく面倒で声をかけずにスルーしようとすれば掛けられてしまうのが運命なのか
「あら?
そう声をかけてきたのは茶髪のショートカットで名門常盤台中学の制服を
着ている少女。学園都市第3位超電磁砲こと御坂美琴である。
『どうも。久しぶりですね美琴。相変わらず元気そうです。』
美琴「こっちも月乃の変な喋り方聞いて安心したわ」
『こればっかりは癖なのでどうしようもないです』
普段は誰に対しても敬語、そんでもって呼び捨てというなんとも言えない組み合わせで喋るのが
美琴「最近変なことに首突っ込んでないでしょうね?月乃もあのバカ並みにしょっちゅう色んなことに巻き込まれてるんだから」
『あのバカ、が誰を指すかは知りませんけど美琴には言われたくないですよ。美琴はすぐ無茶するから心配なんです』
1人ではどうしようもできないこともどうにかしようとして空回りするのが彼女のよさであり悪さである。
美琴「私を誰だと思ってるのかしら?学園都市第3位よ?」
『わかってますけど。まあなんにせよ気をつけてくださいね。』
美琴「月乃こそ気をつけなさいよ。能力だってないんだし、月乃はヒョロヒョロしてるし』
ヒョロヒョロしてるは心外である。
ちなみに彼女が私が無能力者だと思っているのは、私自身がそう話したからである。
本当か?そんなのどっちでもいいだろう。
『そんなことないです。それじゃあ私はこれからちょっと用事あるのでそろそろ失礼しますね。ばいばいです。』
彼女が私がレジに持って行った大量の飴を引いた目で見ていたことは気づかなかったことにしようと思う。
さて売店から出て。ある程度の場所まで来て。裏道に入って。
ここからはお決まりの展開である。
「おいおいお嬢ちゃん、こんな時間にこんなとこいていーのかあ?」
こんな時間と言えどまだ17時過ぎである。
不良に絡まれるには少々早い時間な気がするが気にしないことにしよう
『や、やめてください…!』
可愛らしく怖がる演技なんかしてみて誰かが助けてくれるのを全力で待とうと思う。
「楽しいこと俺らが教えてやんよー?」
「ほら、こっち来いってー」
腕を掴まれて体が傾き、思わずその場に倒れ込む。
『いや…っ!』
そろそろ王子様に登場してほしいものだ。演技し続けるにしても少しばかり長い。ぶつくさと言っている不良達を横目にビルの屋上へと目を向ける。
ほら、そこにいるんじゃないか。
「てめェらガキに手ェ出してんじゃねェぞ。」
とりあえず感動の笑顔を浮かべてみて。
彼が不良を吹っ飛ばすところを眺めて。
『あの…!助けてくれてありがとうございます。ほんとに助かりました』
可愛らしいヒロインを演じてみる。
「なんだァ?その気持ちの悪りィ喋り方はよォ?
そんなに俺に殺されてェのか?あァ?」
もう少し優しく扱ってくれてもいいと思うんだ。
『
そして用件はなんですか。私に会いに来るのは用がある時だけでしょう』
一「さすが話が早ェなァ
仕事だ。手伝え」
何回言えばわかるのだろうか。
『そろそろ月乃って呼んでくださいよ』
一「それだって偽め…」
すっと彼の口元に人差し指を当てる。
『何か言いましたか?』
日は暮れた。