咲-Saki (仮面ライダー)電王戦!   作:ツヨインジャー

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第11話 鶴賀のみんな、僕に釣られてみる? (中編)

「ツモ、2000-4000。」

 

「ワハハ、また君のあがりか。」

 

またもやU京太郎があがる。しかし、ゆみはU京太郎の手元をじっと見ていた。

 

(やっぱり怪しいな。)

 

「何だ?私の顔に何かついているのか?」

 

次の局で睦月がU京太郎の視線に気づく。

 

「いやあ、君の清楚な顔に見惚れちゃって。迷惑だったらごめんね☆」

 

「見惚れて…?うむ、悪い気はしないけど…」

 

U京太郎は大胆にも睦月にそっと体を傾ける。睦月は頬を赤らめて目を逸らす。だが、ここでゆみの目が光る。

 

「おい、須賀 浦太郎。今さっき何をした?見せろ。」

 

ゆみはU京太郎の手首を掴む。その手から麻雀牌がいくつか落ちた。しかも、U京太郎が隠していた牌はさっきまで睦月の河にあったものまであった。

 

「あらら、ばれちゃったか。理牌の時を狙ったから見抜けないと思ったけど。」

 

「握りこみと河すり替えの複合イカサマか。かなりレベルが高いが、ルール違反だぞ?」

 

「ごめんなさい。みんな、ここは僕の顔に免じて許してくれない?」

 

静かに怒るゆみと皆にU京太郎はウインクする。

 

「やめろ…怒り辛いじゃないか…」

 

「ワハハ、今日だけは大目に見てやるぞ。」

 

「う、うむ。そうだな。」

 

ウラタロス得意の誘惑スマイルで何とかごまかせたようだ。ちなみにさっきの頭ハネもゆみが桃子の話題で動揺した隙に握りこみで隠していた牌で作ったものである。

 

(しかし、さすが麻雀部だね。デンライナーでやるときはイカサマし放題だけど、ここでは無理か。)

 

 

 

 

 

だが、終わってみればU京太郎は睦月を抜かして4人中3位という結果に終わった。

 

「睦月に勝つとはなかなかやるな。君は大会では男子の個人戦に出てたらしいが…」

 

ゆみは一旦卓から離れてパソコンを叩く。

 

「君は予選落ちしたのか…君の実力ならいいところまで行けそうなのにな。あれだけ高度なイカサマも使えるのにこんな成績なのか。」

 

ゆみは不思議そうに首を傾げる。

 

「あはは、そのときは調子が悪かったんだよ。」

 

(京太郎ってそんなに弱いのか…)

 

ウラタロスは精神の中では少しがっかりしていたそうな。

 

ゆみはパソコンの電源を切ると同時にため息をつく。

 

「どうしたんだい?何か悩みでもあるような顔だね。」

 

「よくわかったな。」

 

U京太郎の突然の指摘にまたもや驚くゆみ。だが、また考えこむ顔になる。

 

「悩みがあるなら相談に乗るよ。」

 

U京太郎はゆみに微笑みかけるが、ゆみは神妙な面持ちでU京太郎にある頼み事を持ちかける。

 

「いや、なかなかモモが部活に来なくてな。いつもなら私が来たときには決まっているのだが、いつまで経っても来ない。気配すら感じなくてな。今日は休むつもりなのか…」

 

「じゃあ、僕が連れて来てあげようか?モモちゃんが見えるのは君と僕くらいなんだろう?」

 

U京太郎の提案にゆみは少し戸惑う。

 

「いや、モモはかなり人と話すのが苦手でな。会話することすら難しいような気がするが…」

 

「大丈夫だよ。女性のことなら僕にお任せさ。」

 

U京太郎はあまりにも得意げに言い放ったのでゆみもさすがに折れた。

 

「わかった。君に任せよう。ただし、無理矢理連れてくる必要はないぞ。モモにも何かあるかもしれないからな。」

 

U京太郎はゆみに軽く手を振ると、部室を出て、学校の周辺を探しに行った。

 

 

 

 

一方、桃子は学校からそう遠くない公園にいた。そして、桃子はあろうことか砂の塊、つまりイマジンと会話していた。

 

(お前の望みを言え…どんな望みも叶えてやろう…お前が払う代償はたった一つ…)

 

「本当に何でも叶えてくれるっすか?なら…加治木先輩とずっと一緒にいたい…って言うのはだめっすか?」

 

(加治木…どのような者だ?特徴を教えてくれ…)

 

「えっと…鶴賀学園にいる紫の髪で…」

 

桃子はイマジンにゆみの特徴を一通り話す。

 

(なるほど。では、そのような者を探して参る。)

 

砂の塊はローブを来た男のような姿になり、その場から消えた。

 

 

 

 

 

 

そして、桃子がイマジンと契約した数分後、桃子の目の前に現れたのは眼鏡をかけたあの時の青年であった。

 

「やあ、『東横 桃子』ちゃんだね?こんにちは。まずはコーヒーでもどう?」

 

U京太郎が桃子を見つけて歩み寄り、缶コーヒーを手渡す。

 

「あ、ありがとうごさいまっす。」

 

桃子は遠慮がちに缶コーヒーを受け取り、プルタブに指をかける。U京太郎はコーヒーを一口飲むと、桃子に顔を向ける。

 

「そういえば、鶴賀学園に行って『加治木 ゆみ』さんって娘に会ってきたよ。」

 

「本当っすか?そ、その私のことを何か話してなかったっすか?」

 

桃子はU京太郎の言葉に食いつく。しかし、U京太郎は額を手で押さえながら残念がるような声を出す。

 

「ゆみさんは別に君の話はしてなかったなあ。麻雀部の部室にも行ったけど、他の皆も誰一人として君のことを気にしてなかったよ。」

 

その言葉に桃子はショックを受けたようで飲みかけの缶コーヒーを落とした。そして、桃子は肩を落として落ち込む。

 

「加治木先輩すらも気にしてなかったんすね…やっぱりもうすぐ引退する先輩に無理言い過ぎて…怒らせちゃったんすね。私は最低な後輩っす…」

 

桃子はあまりにもゆみに依存していたことが逆に負担になっているのではないかと思ってはいたが、それがいざ現実となると胸が締め付けられるような思いがしたのだった。しかし、そんな悩み苦しむ少女にU京太郎はというと…

 

「ごめんね。さっきの話、嘘だよ。本当はゆみさんは君の名前を何度も呼んでいたよ。ゆみさんは君をしきりに心配していたね。」

 

「えっ!?酷い嘘っすよ、そんなの!私をからかってるんすか?」

 

桃子は珍しく怒る。だが、U京太郎はそんな怒る桃子を眼鏡を触りながら軽く受け流す。

 

「人生を面白くするのは、千の真実より一つの嘘。僕は嘘を使って君を試したのさ。どれだけ君は仲間を大切にしているかをね。君はゆみさんのことを大事に思ってるね。」

 

桃子は騙されたことも忘れてU京太郎の話に聞き入っている。

 

「でもね、ゆみさんといつまでも一緒にいるわけにはいかないわけでしょ。これから先、また君は影が薄いことを理由に心を閉ざしてしまうのかい?そんなのはもったいないと思うよ。まずは麻雀部のみんなと仲良くなってみたらどうかな。」

 

「で、でも、今まで加治木先輩以外にはなかなか気づいてもらえなかったっす。私には無理っすよ。」

 

「影が薄いだなんて思い込みだって可能性もあるんだよ。顔を上げてごらん。世界がきっと広がるよ。ゆみさんの引退は君が大海へ漕ぎ出すいいチャンスだ。素敵な新天地が君を待っているはずさ。」

 

もちろん、ウラタロスの言葉なのでうわべだけの言葉かもしれない。しかし、桃子を元気付けるには十分だった。

 

「名前を…教えてほしいっす!何て言うんすか?」

 

桃子はU京太郎に興味を持ったようで名前を聞こうとする。

 

「僕は須賀 浦太郎さ。改めてよろしくね☆」

 

なぜか先ほどから偽名を使う。ウラタロスらしいといえばそうなのだが。

 

「じゃあ、『清澄のウラさん』。ありがとうごさいまっす。私、少し自信が持てたっす。」

 

「それはよかった。あ、君コーヒー落としちゃったみたいだね。」

 

桃子はU京太郎の嘘に驚いたときに缶コーヒーを落としてしまっていた。U京太郎はそんな彼女にそっと自分のコーヒーを差し出す。

 

「僕ので良ければあげるよ。」

 

「いいんすか?ありがとうっす、ウラさん!」

 

桃子は頬みながらU京太郎のコーヒーを受け取る。にこにこしているU京太郎だが、桃子が座っているベンチの前の光景を見た途端に笑顔が消える。ベンチの周りに白い砂が散らばっていたからだ。

 

「桃子ちゃん。ちょっとここから動かないでくれるかい?大丈夫、すぐ戻ってくるから。」

 

U京太郎は名残惜しさを若干感じつつ、イマジンの気配を追跡するために公園から一旦出ることにした。そして、残された桃子はまたコーヒーを飲もうとするが、あることに気づく。

 

(こ、これってウラさんと間接キスになるんじゃ…!?)

 

頬を赤らめる桃子。果たしてこれはウラタロスの計画の内なのか。それは本人のみぞ知る。

 

 

 

 

 

そのころ、鶴賀学園ではゆみが一人、部室に残っていた。辺りはすっかり夕暮れ時だ。

 

「よし。今日はこれで帰るとするか。」

 

ゆみは部室の扉を開け、廊下を歩く。もうみんなはとっくに帰ってしまったようで廊下には誰もいない。

 

「モモは結局、今日は来なかったな。須賀 浦太郎はモモを説得できなかったのか…」

 

だが、そうつぶやくゆみの背後から鎖が伸びる。そして、その鎖は一瞬にしてゆみを縛り上げてしまった。とっさの出来事にゆみは尻餅をつく。

 

「わっ!?何だこれは?鎖…」

 

「加治木ゆみ。おぬしは少しここで大人しくしてもらうでござる。」

 

廊下の暗がりからぬっと姿を現したのはローブのようなもの着た醜悪な怪物であった。

 

「な、何だお前は?話が通じるなら教えてくれ。何が目的だ?」

 

ゆみはまず冷静に怪物に問いかける。しかし、怪物は何も言わず、ゆみを縛った鎖の先を柱に巻きつけ、ゆみを動けなくした。

 

「時が来るまでそこから動くな。さすれば、おぬしは…」

 

「じゃあ、もう時は来たね。」

 

怪物の言葉に誰かが口を挟む。そこにはU京太郎がいた。

 

「浦太郎?危険だぞ、逃げろ!」

 

「大丈夫だよ、ゆみさん。それに僕は女の子を置いて逃げることはできないよ。」

 

U京太郎は怪物の方に向き直ると、髪を掻き分けながら言う。

 

「ああ、君が桃子ちゃんと契約したイマジンだね。お名前は?」

 

「拙僧の名は『ザントマンイマジン』。しかし、今はおぬしに構っている暇はない。」

 

ザントマンイマジンの返しにU京太郎はふふんと鼻で笑う。

 

「君の探している桃子ちゃんは公園にはもういないよ?僕、桃子ちゃんが移動するところを見たからね。」

 

「何だと!?」

 

ザントマンイマジンは顔色を変えて窓から飛び出した。

 

「おい、桃子ってまさか…」

 

心配するゆみをよそにU京太郎はゆみに巻きついた鎖をほどく。

 

「大丈夫だよ。桃子ちゃんは公園にいるよ。あいつには嘘を言っておいたからね。」

 

「そ、そうか。本来は嘘はいけないが、今回ばかりは役に立ったな。」

 

ゆみは少し皮肉を混じえてU京太郎を褒める。

 

「さて、ゆみさん。君もここから動かないでね。桃子ちゃんは僕が助けに行くからさ。」

 

U京太郎は走り出し、校舎の外に出る。

 

(モモ…助けに行きたいのは山々だが…下手に動いてまたあの怪物に捕まるのは嫌だからな。今は浦太郎にまかせるしかないか…)

 

ゆみは今すぐにでも助けに行きたい思いを堪えて、U京太郎の走り去る背中を見ていた。

 

 

 

 

 

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