咲-Saki (仮面ライダー)電王戦!   作:ツヨインジャー

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第12話 鶴賀のみんな、僕に釣られてみる?(後編)

「お待たせ、桃子ちゃん。」

 

U京太郎は公園に戻ってきた。

 

「約束通り待ってたっすけど、一体何を…」

 

だが、桃子がいい終わらない内にU京太郎は桃子の手を握る。

 

「いろいろ頼み込んでごめんね。次は、僕と一緒にここから離れようか。いろいろ話さなきゃいけないことが…」

 

「やはり、流言であったか。」

 

そのときU京太郎の言葉を遮るように低い声が響く。そこにはザントマンイマジンが立っていた。

 

「言葉の裏には針千本。千の偽り、万の嘘。嘘に騙される君がマヌケなだけなんじゃないのかい?」

 

「拙僧はあまり無駄な戦いはしたくないのだが、貴様は生かしておくと厄介でござるな。屠ってくれよう。」

 

U京太郎と対峙するザントマンイマジンは背中から自分の武器である鎖鎌を抜く。

 

「桃子ちゃん。意外とあれが早く来ちゃったから作戦変更。ちょっと危ないから僕から離れてね。」

 

いつもへらへらしているU京太郎に真顔で促されたため、桃子は公園の木陰に隠れる。そして、U京太郎はパスを取り出して、ベルトに変化させる。

 

「変身。」

 

『ロッドフォーム!』

 

京太郎の身体に一瞬、無機質な黒いアーマーがついたかと思うと、青いマスクのようなものが頭に、黒いアーマーが青とオレンジのアーマーに変化した。これがウラタロスが憑依した、ロッドを武器に戦う姿『仮面ライダー電王 ロッドフォーム』である。

 

「お前、僕に釣られてみる?」

 

 

 

 

 

 

「電王か…相手にとって不足はない。くらえぃ!」

 

突然、ザントマンイマジンは電王に向かって口から砂煙を放射した。

 

「うわっ!?何だこの砂煙?」

 

予想外の攻撃に電王は顔を伏せる。しかし、砂煙を浴びた電王にある異変が起きた。

 

「何だこれ…?前が見えない!?」

 

いつもは冷静なウラタロスもこれには驚いた。どうやらこの砂煙には相手の目を潰し、視界を奪う効果があるようだ。

 

「ふっ、これでどこに拙僧がいるかはわかるまい。」

 

「なかなか君も卑怯だね…ぐわっ!」

 

ザントマンイマジンは目の見えない電王に対して、鎖鎌をさまざまな方向から何度も投げて攻撃する。

 

「くっ!さすがにこれはかわすのが…くはっ!一苦労だ…」

 

鎖鎌の連続攻撃で電王が一方的に消耗していく。それを木陰から見ていた桃子は不安に駆られていた。そのとき、桃子はあることを思いつく。

 

(このままじゃ、ウラさんが負けるっす。でも、ウラさんは目を潰されたみたいっす。どうすれば…そうだ!あそこにあの怪物を誘導すればいいっす!)

 

思いたつや否や、桃子は木陰から飛び出し、公園の真ん中にある池に走り出した。

 

「おぬし!?どこへいかれる?」

 

ザントマンイマジンが桃子に視線を向けたため、投げた鎖鎌の軌道がずれた。鎖鎌は公園の水飲み場を斬り裂いた。

 

「待たれぃ!おぬしがいないと拙僧は望みが叶えられん。」

 

ザントマンイマジンは桃子を追いかける。電王もザントマンイマジンの台詞から状況にだいたい察しがついたので声が聞こえた方向を頼りに走り向かう。そのとき、ふしぎなことがおこった。

 

「わっと…顔に水が…あれ?目が見えるようになった!」

 

電王はザントマンイマジンが壊した水飲み場から吹き出た水を偶然浴びた。すると、潰されたはずの目が見えるようになったのである。

 

(この砂は水で落ちるみたいだね。)

 

目が見えるようになった電王は桃子とザントマンイマジンがいる池に向かった。

 

 

 

 

そのころ、桃子は公園の池に足を踏み入れていた。この池は桃子ぐらいの身長なら足がつく浅さである。

 

「おぬし。逃げるとは何事でござるか。」

 

ザントマンイマジンは桃子を拘束しようと鎖鎌を構える。しかし、ザントマンイマジンの背後に電王が現れる。

 

「だめじゃないか。女の子に乱暴したらさっ!」

 

「ぐわあっ!?」

 

ザントマンイマジンは後ろから電王の蹴りを食らい、池に落ちる。電王もザントマンイマジンに続いて池に入った。

 

「どこまでも拙僧の邪魔をするか。我慢の限界にござる!」

 

ザントマンイマジンはまたもや砂煙を電王に浴びせる。

 

(くっ、また視界を奪われた…あれ?)

 

そのとき、電王の耳に何かが届く。それはパシャパシャと水を踏む音であった。

 

(そうか!これでやつがどこにいるかわかるぞ。)

 

一方、ザントマンイマジンは動かない電王に勝ちを確信していた。

 

(盲目になりて、諦めがついたようでござるな。とどめだ!)

 

ザントマンイマジンはパシャッと水面をきって鎌を投げる。しかし、

 

「そこか。はあっ!」

 

電王はロッドで飛んできた鎖鎌を絡め取った。

 

「何だと!?なぜ拙僧の鎖鎌が見切られたのだ?ありえん!」

 

だが、鎖鎌が手元を離れてしまったので、ザントマンイマジンは素手で電王にバシャバシャと水音をたてながら立ち向かう。

 

「君がどこにいるなんて、もうわかるよ。それっ!」

 

電王は斜め後ろから襲ってきたザントマンイマジンをロッドでカウンターを行う。ロッドで腹部を突かれたザントマンイマジンは池に転がる。電王はまだ目が見えていない。それでも戦えるのは相手が移動する度に聞こえる水を踏む音を頼りに戦っているからである。

 

「ぐはっ!おのれ…こうなれば一時撤退だ!」

 

ザントマンイマジンは電王から背を向けて逃げようとする。

 

「逃がさないよ。」

 

電王は水をすくって顔にかけ、砂を落とす。そして、逃げるザントマンイマジンにロッドを投げつける。ロッドが刺さったザントマンイマジンは金縛りにあったように動かなくなった。

 

「そろそろ三枚におろすか。とうっ!」

 

動かなくなったザントマンイマジン目掛けて電王は飛び蹴りを見舞う。これが、ロッドフォームの必殺技『デンライダーキック』である。

 

「無…念…!」

 

キックを受けたザントマンイマジンは膝をついたあと、爆散した。

 

 

 

 

 

「桃子ちゃん。大丈夫かい?」

 

呆気にとられている桃子に変身を解除したU京太郎が歩み寄る。

 

「ウラさん。私の作戦がうまく行ってよかったっす。あの怪物の姿が見えないなら水辺に誘い出せば、水を踏む音を頼りに動けるかなって思ったんす。」

 

「そうか。君はそんな考えがあって池に…君もなかなか頭がいいね。」

 

そういうと、U京太郎はまた桃子の手を握る。

 

「ねえ、桃子ちゃん。さっきの話を続きなんだけど…これからたくさん友達を作ってって言ったけど。あんまり男の子の友達は作って欲しくないな。だって、僕にしか見えない君が他の男の子に見えちゃったら、ちょっと妬いちゃうな。」

 

「ウラさん…私もウラさん以外の男にはなびかないと思うっす…」

 

「じゃあ、その証拠をちょうだい?」

 

U京太郎は桃子に目を閉じながら顔を近づける。桃子も目をつぶって受け入れる準備をしていた。そのときだった。

 

(おい亀野郎!お前、なんで壁にキスしようとしてるんだコラ!)

 

モモタロスが京太郎の精神に乱入する。

 

「ちょっと先輩!いいとこだったのに邪魔しないでよ。」

 

(うるせー!いつまでも妄想デートしてないで、デンライナーに戻って来い。)

 

「しょうがない。じゃあ、帰らないと…」

 

U京太郎は名残惜しそうに桃子を見つめる。

 

「ごめんね。急用ができて僕、ちょっと帰らなきゃいけなくなったんだ。」

 

「そうなんすか。私も寂しいっす。」

 

俯く桃子にU京太郎はそっと髪を撫でる。

 

「また会いに来てあげるよ。君が僕のことを忘れなきゃね。」

 

「忘れないっ!絶対に忘れないっす!」

 

背を向けてクールに去っていくU京太郎を桃子は見えなくなるまでずっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

京太郎の体を京太郎の家に返した後、ウラタロスはデンライナーに戻る。

 

「ただいまみんな。はい、歯車。イマジンを倒して拾ってきたよ。」

 

「どうだったんだ、亀?」

 

「実はね。僕もなぜか先輩と同じようにデンライナーの動力機関を壊した記憶を思い出したんだ。しかも、みんなも僕と一緒になって壊してたよ。」

 

「なんやそれ!?」

 

モモタロスに続いてキンタロスも立ち上がって驚く。

 

「しかし、俺たちがデンライナーなんか壊してなんのメリットがあるんだ?」

 

ウラタロスの思い出した不思議な記憶。皆が歯車を拾ったときによぎった記憶と酷似している。果たしてこの記憶の正体は何なのだろうか。

 

「ねえ、カメちゃん。デンライナーのパソコン。何かピカピカ光ってるよ?」

 

そのとき、リュウタロスがデンライナーに備え付けてあるパソコンを指差した。

 

 

 

 

 

 

一方、ここは鶴賀学園の麻雀部の部室である。

 

「こんにちはっす、加治木先輩。昨日は来なくてすみません。

 

「いいんだ、モモ。それにしても、今日は元気だな。何かいいことでもあったのか?」

 

「いや、その、昨日…」

 

桃子は昨日のウラタロスとのやり取りを思い出して赤面する。

 

「ワハハ。今日はモモが少し影が濃くなったような気がするぞ。」

 

「本当です。モモさんが私にも見えます。」

 

「うむ。心なしか私にもぼんやりとだが、見えてる。」

 

智美と佳織と睦月の言葉に感激したのか、モモはぱあっと笑顔になる。

 

「先輩、ちょっとパソコン貸してほしいっす!」

 

「いいけど、何に…」

 

しかし、ゆみが言い終わらない内に桃子はパソコンのEメールのタブをクリックする。モモは「今日、みんなが気づいてくれて嬉しかったっす。これもウラさんが私に自信をつけてくれたおかげっす。本当にありがとう。』とメールを送った。そのメールのアドレスの頭には『Uratarou』とあった。

 

 

 

 

 

 

そのころ、鶴賀学園の屋上には赤い髪の女性がいた。

 

「ありがとうザントマンイマジン。おかけで電王のすべてのフォームのデータを調べることに成功したわ。さて、次は…『特異点の抹殺』ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 




『敵イマジン図鑑 No.4』
「ザントマンイマジン」
・東横桃子が契約したイマジン。モチーフは姿が子どもしか見えないドイツの童話に登場する妖怪『砂男(ザントマン)』から。侍や忍者のような口調で会話し、無駄な争いは好まない性格。武器は鎖鎌と口から噴射する敵の視界を奪う砂煙。ただし、この砂煙は水で洗えば落ちるらしい。


(作者あとがき)

ウラタロス編を読んでくださってありがとうございます。正直、ウラタロス編は一番書くのが難しかったです。あー、疲れた。今回の舞台は鶴賀学園でしたが、さすがの亀さんもかじゅとモモの間に入ることはできませんでしたね(笑)やはり、かじゅ×モモは永遠のテーマです。ちなみにイマジンズの中で桃子が見えるのはウラタロスのみということになっております。

次回は何と『あの方』が鹿児島で騒動を巻き起こします。お楽しみに!



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